家庭教師ヒットマンREBORN-another 作:金剛石Mk2
「お、おかしい……」
「どうかしましたか?ボス?」
毒さそり・ビアンキが訪れた翌日、特に何も起きなかった学校からの帰り道で土屋皆守は呟いた。そのすこしおかしい内容に、隣に歩いていた矢島隼人が疑問を呈した。
「い、いや。特に何にも無いよ。マジで」
無論、何も無いわけではない。というよりも、何も無かったからこそ逆に恐ろしく感じてしまっているのであった。昨日現れたリボーンの元愛人?らしいビアンキという殺し屋が何も仕掛けていなかったことがだ。
なにやらリボーンを自由の身にするためだとかなりぶっ飛んだ理屈を元に土屋を殺そうとしてきた上に、去り際でさえも殺意を隠す努力をほとんど放棄していたような相手が、である。今日の授業にあった調理実習に紛れ込ませるんじゃないかとかなり挙動不審になって警戒していたが影も形も見えず、女子からの御裾分けすらも空気を読まずにもらわずにいても一切怪しげなものは無かったのだ。
「そうっすか。ならいいんですけど」
「ていうか、何で今日はここまでついてきてんだ?いつもはもっと早く別れんのに」
とにかく、もう大丈夫なのだろうと判断した土屋はふと矢島へと質問をした。
「そーでした!!今日はボスの家族の皆様に挨拶をしようと思いまして!」
「は、はぁ!?いきなり何言ってんだよ!?」
矢島の口から飛び出てきた言葉は、今まで土屋の頭を占めていた悩みとは別方向で面倒そうな事柄だった。
「いえ、こういう筋はきちんと通しておかないといけないんです!!」
「わかった!!分かったから離れろ暑い暑苦しい!!」
いきなりの発言に驚きの声をあげた土屋に矢島は興奮気味に言葉を返した。そして、癖なのかやたらと距離が近い。ただでさえ夏の日差しが照りつけているのにごつい男に近づかれる趣味の無い土屋は、矢島の訪問を許可していた。
「ありがとうございます!それじゃさっそく準備をしないと!!」
そういうなり矢島はかなりの速さで家路へと着いた。
「はぁ、めんどくさそうだなおい。いや、殺し屋に殺されかけるよりはましだけど」
そう呟いた土屋は額を落ちる汗をぬぐいながら、家路に着いた。
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「ふぃー、暑かったぁ……とっとと部屋のクーラーつけよう」
ようやく自分の部屋にたどり着いた土屋はガチャリとドアを開けた。
「ちゃおっす」
「……おう、楽しそうでなによりだよ」
それを出迎えたのは普段のスーツではなく、浴衣を着こなし素麺をすするリボーンだった。そしてもはや土屋はその程度では特に動じないほどに慣れていた。それこそ、もう大きな声で突っ込みを入れることなど無いだろうと土屋がすこしばかりずれた感想を抱く程度に。
「そういえばリボーン、ビアンキは結局どうなったんだ?イタリアにでも帰ったのか?」
そして、土屋はふと気になった疑問をリボーンに投げかけた。
「あら、私ならここにいるわよ。あとあなたの分の食事もあるわ。存分に味わってちょうだい」
「な、なんで普通にいるんだお前はーー!?」
その疑問に答えた人物――ビアンキの登場で、少しばかりずれていた感想は間違いだったと突きつけられた土屋だった。