家庭教師ヒットマンREBORN-another 作:金剛石Mk2
土屋皆守は、目をつぶりながら深く息を吸って気持ちを整えていた。そうして、落ち着いたと思ったところで目を開けた。
――――大丈夫、今までだって訳の分からないことには巻き込まれてきたんだ。だから大丈夫だ。
「あ、あの……さっそくなんですが、こう……ギュってさせてもらえませんか?」
――――ダメだこれ、わっかんね。
これまで赤ん坊の殺し屋から毒の料理を使う殺し屋などの訳の分からない存在に振り回されてきた土屋を、ここまで動揺させているのは目の前にいる制服姿の女子――三浦ハルであった。今まで土屋を振り回してきた存在は、だれもかれもマフィア関係者だった。だからこそある程度割り切れていたのだが、この三浦ハルという少女はマフィアとはまったく関係ないらしい変人であった。
それでもというか、やはりというか、そんな動揺にゆれる土屋の内心をよそに話は進む。
「気安くさわるな」
「えっ」
「おれは殺し屋だからな」
むしろ、土屋に対して追い討ちをかけるような流れになっていた。
「って、おま!?何を言ってるんだよっ……おわっ!?」
拳銃を持ちながら、マフィアとは関係ないと自身が言った相手に対して言い放つリボーンにツッコミを入れた土屋だが急に放たれたビンタに声をあげて驚いた。
「何で避けるんですかっ!!」
「何で殴るんですかっ!?」
ビンタを放った張本人……三浦ハルの言葉に思わず敬語になりながらも土屋はツッコミを入れた。
「それはあなたが最低だからです!!何てこと教えてるんですか!?こんなかわいらしい赤ちゃんに!!」
「はあ!?」
「赤ちゃんは真っ白ハートな天使なんですよ!?あなたはそんないたいけな純情を腐ったハートでデストロイする気ですか!?」
「いやなにいってんのマジで!?ていうか誤解!!誤解だから!!」
今にも掴みかかろうとするハルに対して土屋は必死に反論する。
「何が違うって言うんですか!!」
「殺しなんて教えてない!!」
「ダウトです!!あなたリボーンちゃんのお兄ちゃんでしょ?よく一緒にいるんだし!!」
「いや違うけどっ!?」
「それじゃあなおさら悪い!!他人の赤ちゃんをデビル化なんて!!」
――――もうやだ、マフィア連中より話がつうじねぇ!!
必死の土屋の反論はそのたび倍近い量のよく分からない理屈で押し流される一方だった。
「いいですか?あなたはもうリボーンちゃんに会っちゃダメですよ!!健やかな成長に悪影響どころじゃないんですから!!」
「そーはいかねーぞ」
「え?」
もはや土屋がどうしようもないと諦めかけたときに、ようやく話の中心人物たるリボーンが口を挟んだ。
「もうリボーンが説明してくれ……俺は疲れた」
「こいつをマフィアのⅹ代目ボスに育てるのがおれの仕事だ。それまでそばから離れられないんだ」
「おわぁあ!?」
リボーンが説明した瞬間、今度は硬く握られた拳が土屋に向かって飛んできた。
「何を避けてくれちゃってるんですか!!なにがマフィアですか!!不良の遊びにもほどがありますよ!?しかもリボーンちゃんの自由まで奪って!!」
捲くし立てるハルの様子に、土屋はある思いを抱いた。
――――あぁ、うん。これ知ってるわ、うん。今まで知らない対応化と思ってたけど、この理由といい話の聞かなさ具合といい知ってたわこういうタイプ。
土屋の頭の中には、ビアンキの姿が浮かんでいた。