家庭教師ヒットマンREBORN-another 作:金剛石Mk2
時はめぐって、世間は夏休み。中学生ならば、いつもと違って家で昼近くまで寝ていたり逆に汗をかきながら遊びまわっていることだろう。そして、中学生真っ只中である土屋皆守はどうだろうか。
「では、今日の補修はここまでです」
「あぁー、終わったー……」
夏休みにもかかわらず、その姿は学校にあった。理由は単純で、テストの結果が悪いことによる補習授業を受けているからだ。
「このプリントは明日までの宿題です。全問正解しないと落第ですからね」
「え~、そりゃないよせんせー」
「そんなこと言ってもダメです。では、終わります」
普段なら、クラスのほぼ全員からのブーイングでどうにかなる横暴も、補修のせいで教室には2,3人しかいないせいで軽く流されてしまった。
「あぁー、ちくしょう。補修に宿題とか夏休みの意味ねぇーじゃんかよー」
「なぁ、土屋」
元は自身がテストで良い成績が出せなかったことが原因であるが、それを棚に上げて不満を口にする土屋に前本が声をかけた。
「今日の宿題、2人でやんね?そっちのほうが早く終わるだろうし」
「お、いいな。そうしようぜ」
前本の提案に、土屋はすぐに同意した。そして、ぼんやりと思う。
――――あぁ、やっぱり普通っていいよな。
脳裏をよぎるのは、拳銃を持ってスーツを着た赤ん坊にやたらと距離の近い自称ファミリー、おまけにそいつの姉からは訳の分からない理由で殺されかけている。つい最近はとんでもない変人とかかわりを持ってしまった。
土屋は頭が痛くなりそうなそれらを追い出して、前本との会話に集中することにした。
「それじゃ、どこでやるかー。出来れば涼しいところが良いよな」
「ウチでやればいいだろ」
「いや、ウチはちょっと……ゲッ!?」
だがそれも、すぐ後ろから聞こえてきた声で意味をなくした。
「リボーン、おま!!なんでここにいんだよ!?」
「ん?こいつ知り合いか?」
「ちゃおっス」
そこにいたのは土屋の苦難の元凶、リボーンであった。そして、前本ははじめて見るリボーンのことを呼ぶ土屋に疑問を投げかけていた。
――――そ、そういえばこいつ……前本をファミリーにしろとかどうとか言ってたような……。
「い、いやー実はそうなんだよ」
「おれはリボーン。マフィアの殺し屋でこいつの家庭教師をしてんだ」
「急になに言い出してんのお前は!?」
土屋がリボーンのことをどうにか誤魔化そうとしようとした瞬間、リボーンは包み隠さず端的に自己紹介を終えていた。
それを聞いた前本はポカンとあっけにとられていた。発言の内容を考えれば当然の反応だ。
「もうちょっとこう、なんかないのかよ!!」
「なんかってなんだ?」
「そりゃあ、あれだよほら……」
そのぶっちゃけっぷりに思わずツッコミを入れる土屋だったが、逆にリボーンにつっこまれ困ってしまった。リボーン自体は嘘は言ってはいない。問題はそこではなく空気を読めていないというか、一般人相手に殺し屋だのといってしまうことなのだがそのことへのツッコミはむしろ事態を悪化させかねないのだ。
「……ハハハハ!!お前って良い家庭教師つけてんだなー!!」
そんなリボーンと土屋の微妙な膠着状態を変えたのは、前本の笑い声だった。
「……へ?」
その反応に、思わず変な声の出た土屋だったが前本はそのことを気にするそぶりはない。
「なあ、リボーンっていったっけ。ついでに俺にも教えてくんねーか?菓子あげるからさ」
そういってリボーンを抱えあげている前本の姿に、土屋は一つの結論に達した。
――――じょ、冗談だと思ってるー!?
変な目で見られないようで安心が半分、ひょっとしたら前本も少し変なのかも知れないという不安が半分土屋の頭に生じた。
「いいぞ。でも簡単に教えたら意味がないからな、一通りできるまで口は出さないぞ?」
「おー、まじで家庭教師っぽい!!よろしく頼むぜ!!」
なんだか仲良くなっている二人を見て、土屋はふと呟いた。
「あれ、結局ウチでやることになってる……?」
その呟きに答える人はいなかった。