家庭教師ヒットマンREBORN-another   作:金剛石Mk2

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標的32 縁は続くよどこまでも?③

 「どうしてもこの問7がわかんねーんだよなぁ。これわかるか?」

 

 前本が頭を掻きながら口にしたその言葉が、長い長い苦悶の時間の切っ掛けだった。

 

「おいおい、教科書見りゃ大体解き方は書いてあんだぜ。まあ、貸してみろよ」

 

 そういって矢島は前本の手にある問題用紙を受け取った。

 

「問7はな……ん!?」

 

 そうして問題に目を通し始めた矢島の顔色が変わった。そのまま食い入るように問題用紙を見つめ始めた。

 

「…………おい、どうした矢島?」

 

 その様子に土屋が声をかける。だが、普段ならすぐに何かしらの返事を返す矢島が今は何も返さない。そのまま右手に問題用紙を待ったまま左手を頭に当てて黙っている。

 

 しばらくして問題用紙を置くと教科書を手に取り、先ほどと同じように食い入るようにページをめくりながら読み始めた。とうとうその顔には脂汗がにじみ始めた。

 

 そこから5分ほどたって、ようやく矢島が教科書から顔を上げた。その鬼気迫る様子に思わず矢島の様子を伺っていた土屋と前本もほっと息をついて声をかけた。

 

「一体どうしたってんだそんなおっかない顔して教科書にらみつけてさ」

 

「答えはどうだった?」

 

「…………わかんねぇ」

 

「へっ!?」

 

 矢島の口から搾り出されるようにもれた言葉に、間の抜けた声が漏れる。

 

「マジかよ。やっべーな……全部解けなきゃ落第だったぜ、確か」

 

「な、なんだとぉーー!!??」

 

 前本がポツリと呟いた言葉に、矢島は大きな声を上げて反応した。

 

「何でそんな大事なことを早く言わなかったんだおめー!!」

 

「おわっ!?ジュースが!!……あっぶねー」

 

 ダァンッと、勢いよく手を机に叩きつけながら矢島は叫んだ。その勢いにジュースが入ったコップが倒れかけ、危うく土屋がどうにかこうにか半分以上の問題を解いた問題用紙にかかりそうになるほどだった。

 

「まーまー、とりあえず落ち着けって……まだ時間はあるんだからさ。力あわせて考えよーぜ」

 

「当ったり前だ!!ボスを落第させるわけにはいかねーかんな!!」

 

「と、とりあえず分かったから落ち着いてくれ……さっきから机の上がめちゃくちゃに……」

 

「す、すいません……」

 

 どうにか矢島を落ち着かせて、問7を解くべく頭を悩ませる3人だが無情にも時計が時を刻む音だけが部屋に響き、答えを導くことはかなわない。

 

 うんうんと唸りながら頭を抱える3人は、冷房が効いているにもかかわらずだらだらと滝のように汗が流れ落ちていく。

 

「…………って、アッチー!!冷房効いてるのかこれ!?」

 

 そのあまりの暑さに土屋が耐え切れずに大声を上げる。

 

「おいおい、叫ぶなよむさくるしー。心頭滅却すれば火もまた涼して言葉もあるだろう?」

 

 そんな土屋に声をかけるのはリボーンだった。

 

「そうだ!!リボーン、お前家庭教師なんだろ!?だったらおしえ………」

 

 振り向きながら声をかけた土屋は、そのまま絶句した。

 

「どうせなら、ガマン大会でもして気分転換といくか?」

 

 そこには毛糸の帽子とマフラーを身につけ、ぐつぐつと湯気を立てるなべの乗ったコタツにもぐっているリボーンの姿があった。

 

「暑さの原因お前じゃねーか!!どうりであっついはずだよ、悪魔か何かかお前は!!」

 

「これの言いだしっぺはおれじゃねぇぞ」

 

「いや、お前以外に誰がいると……」

 

 聞き苦しい言い訳にしか聞こえないことをいうリボーンにつっこんだ土屋だったが、その言葉もドアの影からゆらりと現れた人物の姿に途中で消えた。

 

「……ハルは悪魔じゃないですよー」

 

「……お帰りは階段を下りて真直ぐですよー」

 

「他人行儀のレベルがひどい!!」

 

 反射的に出た言葉に、切れの良いツッコミが返ってきた。そして、これは土屋の部屋がカオスへと変貌していく前兆でしかなかった。

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