家庭教師ヒットマンREBORN-another 作:金剛石Mk2
「おい!? リボーン!! 今日のあの時、お前一体俺になにをしたんだ!?」
リボーンが土屋皆守の家を訪れ、眉間に拳銃を撃ち込みその結果カツアゲされた金を取り返したその日の夜。
土屋皆守はリボーンに詰め寄っていた。当然だ、気がついたら不良男子に馬乗りになっていたのだ。しかもトランクス一丁で。おかげで全力疾走でその場を離れて家に駆け込んだ後、着ていた服が無くなったことに気がつき叫んだ土屋皆守が母親を誤魔化すのに時間がかかりすぎてとっくに夜を迎えていた。
そんなクソめんどくさい変な事態になった理由など、深く考える必要などないだろう。
リボーンに撃たれたことだ。それ以外にはまず有り得ない。だからこそあの場で様子を眺めていた、事態元凶だろうリボーンに詰め寄っているのだ。
「お前が死ぬ気になった。簡単に言えばそんだけだ」
「いや、ワケわかんねーか…………?」
それに対するリボーンの言葉はチーズのように穴だらけで、土屋皆守は当然のようにツッコミを叫ぶがふと感じた違和感に言葉が止まる。
「…………ふんっ!」
その違和感が鼻にあると感じた土屋皆守は片方の鼻を押さえて思い切り息を吹き出す。すると、押さえていない方の鼻から何かが転がりだした。
「た、弾……? なんでこんなもんが…………まさか」
コロリと転がるそれは拳銃の弾だった。それが土屋皆守の鼻から転がり出てきたのだ。
「ま、マジかよ……マジで頭撃ち抜かれてたのかよ!!」
「ああ」
「おまっ、軽っ!」
「それは死ぬ気弾。ボンゴレファミリーに代々伝わるもんだ」
「スルーかよ」
土屋皆守の動揺など意に介さないリボーンは淡々と説明を始めた。
「それを脳天に撃たれると、撃たれた奴は条件さえ満たせば死ぬ気になって復活する」
「死ぬ気になって…………?」
「そうだ。もっと具体的に言うなら、死ぬ気になるってのは体中の安全装置を取っ払った状態だ。普段は出せないような力が出るようになる」
「普段は出せないような、力……?」
土屋皆守は思い出す。リボーンに撃たれた後、つまり死ぬ気で不良男子から金を取り返すつもりだった時にはまるで疲れなど感じなかった距離が、金を取り返し我に帰って羞恥のあまり叫びながら全力疾走して息を切らせながらリボーンがいたところまで戻った時の距離であることに。そして後者の時にはヘトヘトだったことを。
「なら、ひょっとしてあの変な口癖みたいなものも…………」
「それはしらね、少なくとも死ぬ気弾にそんな効果はない」
「えっ、ちげーの」
思いついた羞恥を沸き起こす口癖のようなものも、死ぬ気弾なんていうワケの分からないものを理由にできると思った淡い期待はリボーンの淡々とした説明でバッサリと切って捨てられた。
「まあ、なにはともかく心配すんな。お前は俺が立派なボスにしてやる。というワケで俺は寝るぞ」
「いや、心配しかねーし何がというワケでなのかもわかんねーし。そもそもなんでオレがマフィアのボスになんか……!」
「ひとつ言っておくぞ。オレの眠りを邪魔したらしぬぞ」
いつのまにやらパジャマに着替えたリボーンはいそいそと布団に潜り込む。思わずツッコミながら詰め寄った土屋皆守だったが、リボーンの言葉とわずかに感じた違和感に動きを止めて辺りに視線を走らせる。
前に出した腕、その数センチ先にワイヤーが爆弾につながって設置されていた。
「ひ、ひとの部屋になんてもん仕掛けてやがる……」
そろりと後退し、辺りになにも無いことを確認した土屋皆守はその場に崩れ落ち呟いた。
「それにしても、マフィアのボスか。ワケがわかんねー、とりあえず今日はもう寝よう」
そう呟いて土屋皆守はベッドに入り眠りについた。
そして、土屋皆守の波乱に満ちた数時間は今は一応の区切りがついた。