家庭教師ヒットマンREBORN-another   作:金剛石Mk2

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標的5 副作用

 土屋皆守は、青ざめた顔で校門の前に立っていた。周りからはひそひそとした声と共に興味半分恐怖半分の視線が突き刺さる。

 

 そんな土屋皆守の思考は、たった一文で埋め尽くされていた。ーーーーやっちまった、と。

 

 こうなった経緯は、極めて単純であった。

 

 土屋皆守は、ぼんやりと今朝から今までのことを振り返った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 目を覚ました土屋皆守はベッドから身体を起こすと部屋の中を見渡す。そこには記憶通りのトラップとパジャマを着た赤ん坊ーーーーリボーンが布団にくるまってすーすーと寝息をたてていた。

 

「夢じゃ、なかった……」

 

 あまりにも現実味の無い昨日の出来事が脳裏を駆け巡り、頭をかかえる。

 

 学校から帰って来たら変な赤ん坊が家庭教師になるだなんて抜かし、母親は平然と受け入れた。挙げ句その赤ん坊であるリボーンには気絶させられ、2人っきりになったら今度はマフィアのボスの依頼を受けた殺し屋だなんてつたえられた。

 

 この段階まで思い出した時点で、土屋皆守の常識がキャパシティオーバーしそうだ。心なしか頭や腹がキリキリと痛いような気もする。

 

 普段ならこれ幸いと学校を休んでしまうのだが、この頭痛腹痛の元凶が視界の隅に確実に存在している。

 

 このまま部屋にいればまたワケの分からない事態に巻き込まれるだろう。あるいはワケは分かるが分かりたくない理不尽な暴力が飛んでくる可能性も否定できない。むしろ否定する材料の方が少ないくらいだと思い出した時点の昨日のやりとりだけでも確信を持てる。

 

 ならこのまま学校へ行った方が数千倍ましだろう、さすがに学校にまではこの赤ん坊はこないだろう。そう結論づけた土屋皆守は、なるべく物音を立てずにトラップにも気をつけて着替えを終えた。

 

 そのままそそくさと朝食を平らげ、学校へと向かったのだ。

 

 昨日やらかしてしまった、最もワケの分からない出来事……不良男子絡みのことを思い出さずに。

 

 校門付近にやってきた土屋皆守は、足を止めた。なにやら機嫌が悪そうな制服をだらしなく着崩した金髪の男子が、校門の正面その前で仁王立ちしているからだ。

 

 そのせいで、登校している生徒がその不良男子を避けるようにしているために綺麗に人の波が二分割されている。

 

 そして、その不良男子の姿に土屋皆守は思い出す。昨日の暴走を。それと同時にどうやら向こうもこちらに気がついたようだ。

 

 こちらへと不良男子が近づいてくる。その姿から目をそらし、その他の生徒のように脇へと避けてやり過ごそうとしたが、その肩にポンと手が置かれる。

 

「よー、つっちー君。昨日ぶりだなぁ」

 

 かけられたら声は、フツフツと燃え盛るような怒りが感じ取れた。

 

「ちょーっと。お、は、な、し、しようぜ?」

 

 続く言葉は疑問系だが、有無を言わせるつもりが無いのは指が肩に食い込む痛みで明白だった。

 

「おい、そこ! なにをしている!」

 

「ちっ」

 

 そこに、誰かが呼んだのか先生が声をかける。舌打ちと共に放された手に普段ならまずしないであろう先生への感謝を感じた土屋皆守。

 

「なんでもないでーす。…………昼休みに校舎裏に来い。来ないと、な?」

 

 気のない返事を先生へ返した不良男子の小声が打ち消した。

 

 そのまま不良男子は居なくなったが、これから先を考えた土屋皆守は思わずその場に立ちすくんでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 時間はすでに流れて三時間目の休み時間。土屋皆守は、この時にはすっかり自分が昨日やったことを思い出していた。

 

 とっくに話は広まっていたのか、教室ではやたら遠巻きにされ向けられる視線は同情半分嘲笑半分。なにやら笑い声も聞こえた気がする。

 

ーーーー面白そうだと思うなら変わってくれ!!そう叫びたかったが、叫んだところで昼休みに待つ出来事が変わるわけでなし。

 

 今朝とは違う理由で痛み出した腹が限界を迎え、トイレに駆け込み用を足したのはついさっき。今はどうしたものかと頭を抱えていた。

 

「おう、どうした。頭なんか抱え込んで」

 

「ふあっ!?」

 

 突然頭上からかけられた声に、土屋皆守は情けない声を上げて驚いた。

 

 慌てて視線を向ければそこにはすべての元凶、リボーンの姿があった。

 

「おまっ、何ですここに!?」

 

「仕事に決まってるだろ」

 

 疑問をぶつければ、要領を得ない答えが返ってくる。また腹が痛くなりそうだ。だが頭を抱えているだけでは癪だと土屋皆守は顔をリボーンに向けた。

 

「こっちはお前のせいでひどい目にあってんだぞ!!」

 

「ひどい目?」

 

「そうだ!! お前が昨日ぶち込んだ死ぬ気…………」

 

「ん、どうした?」

 

 言葉を止めた土屋皆守に、リボーンは不審に思ったのか聞き返すがそれどころではなかった。

 

 ーーーー普段は出せないような力が出るようになる。

 

 昨日聞いた言葉が土屋皆守の頭の中を繰り返し反響する。

 

「な、なあリボーン。いや、リボーンさん?」

 

「急にどうした気持ち悪い」

 

「……っ。いや、できれば死ぬ気弾を撃ってもらいたいなあ、なんて」

 

「そりゃ、一体どうしてだ?」

 

 突然卑屈とも取れるほど物腰が低くなった土屋皆守にリボーンは疑問をこぼす。

 

 そんなリボーンに、土屋皆守は今朝の出来事を説明した。

 

「そんなワケだから頼む!! 撃ってくれ!!」

 

「死ぬほどの後悔はしているか?」

 

「……ん? 死ぬほどの後悔?」

 

「言ったはずだぞ。条件さえ満たせば死ぬ気になって復活するって」

 

「ああ、そういえば」

 

 そんなことも言っていたな、と思い出した土屋皆守にリボーンは言葉を続ける。

 

「そう、それが死ぬほどの後悔だ」

 

「……あれ、ならその条件を満たさないとどうなるんだ?」

 

 そんな疑問の声にリボーンは簡潔にジェスチャーと一言で答えた。

 

「俺は殺し屋だぞ」

 

 そう、答えてそっぽを向いた。

 

「…………もしかして、死んでた?」

 

「まあ、そうなるな」

 

「うおーい!? なんてもん撃ち込んでやがんだ!!」

 

「で、どうする? 撃つか?」

 

 大きな抗議の声は、急に戻った会話と向けられた銃口でかき消された。

 

「ムリムリムリムリ!? そんなんむりに決まってんだろ!?」

 

「なら腹をくくるんだな」

 

 全力の否定はリボーンにアッサリと流された。この件については特に手を出すつもりはないようだ。そう言うと、リボーンの姿が消えた。

 

 取り残された土屋皆守は、起死回生となるだろうアイデアがなくなり、結局頭を抱えるほかなくなってしまった

 

「こうなったら、あれしかない」

 

 そう呟いた土屋皆守は、思いついた最終手段を実行すべく駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ちっ、あの野郎おせぇーな」

 

「バックレたんじゃねーの?」

 

「かもな。仕方ねえ、教室に行く……いや、来たみたいだぜ」

 

 昼休み、校舎裏では不良男子とその仲間が手ぐすね引いて土屋皆守を待っていた。

 

 だが、昼休みを半分過ぎても来なかったためにイライラが募っていた。土屋皆守の教室に乗り込むことも考えていたが、聞こえてきた足跡に足を止めた。

 

 そして、そのイライラを発散すべく声を出した。

 

「遅かったじゃねーか!! 土屋ぁ……!?」

 

「貴様等、話は聞かせてもらったぞ」

 

 そこにいたのは、生活指導担当の体育教師だった。

 

「あ、あの野郎チクりやがったーーーー!!」

 

「に、逃げろーー!!」

 

「こらー、待たんか貴様等ーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして、土屋皆守はどうにかこうにか危機を脱したのだった。

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