家庭教師ヒットマンREBORN-another 作:金剛石Mk2
「それで、トンズラこいたのか」
「人聞きがわるいな、どうせなら頭脳プレーって言ってくれ」
土屋皆守はベッドに腰掛けマンガを読みながら、リボーンからの辛辣な言葉にぼやいた。
昼間、不良男子に呼び出しを受けた土屋皆守は昼休みに入ると同時に生活指導担当の先生へと相談したのだ。校舎裏に来いと脅されたと。
不良男子は先生の間ではいわば要注意人物であった為にアッサリと話は通った。後は休み時間をトイレに緊急避難することでやり過ごし、放課後になると同時に全力で帰宅したのだった。
「それで、明日はどうすんだ?」
「また明日考えるさ。それよりさ」
脳天気な言葉に反応を返さず、リボーンは銃を磨く。それを気にせずに土屋皆守は言葉を続けた。
「なんでイタリアのマフィアのボスなんてのが、俺を次のボスなんかにしろだなんてお前に依頼したんだ?」
「そりゃ、お前がボンゴレファミリーの血を受け継いだれっきとしたボス候補だからさ」
「いや、ワケわかんねーよ!もっと詳しい説明しろよ!!」
その最もな土屋皆守の言葉にも特にリアクションを返さず、磨き上げた銃を分解ししまいながらリボーンは言葉を続けた。
「ボンゴレファミリーの初代ボスは早々に引退して日本に渡った。それがお前のひいひいひいじいさん。だからお前がボス候補になったワケさ」
「へー、まるでマンガかなにかみたいだな。しっかし血を引いてるってだけでマフィアのボスに……なんて、とんでもなく運がいいのかもな」
その説明に、土屋皆守は高揚感を覚える。自分が特別だと言われたような気になったからだ。
「血筋だけでマフィアのボスになんかなれるワケねーだろ」
続いたリボーンの言葉が無情にもその熱を奪い去っていった。
「……へ?」
「お前をボスとして育てる予定なんかなかったて話だよ」
「……イヤイヤイヤイヤ、それじゃなんでお前はここに来てんだよ?」
リボーンの言葉に一瞬固まった土屋皆守はすぐに言い返した。その言葉にリボーンは鞄の中から数枚の写真を取り出し、土屋皆守へと向き直った。
「ボンゴレⅨ世は高齢ということもあって、ボスの座をⅩ代目に引き渡すつもりだったんだ。ところが……」
言葉を切り、持っていた写真の一枚を土屋皆守へと向け見せる。
「ひっ」
「Ⅹ代目候補最有力のエリンコが抗争の中撃たれた」
写真に写るのは拳銃を手に血溜まりに倒れ伏した外国人の姿。それに息を呑む土屋皆守の様子にお構いなく、リボーンは2枚目の写真を向けた。
そこには水の中、足に重りをくくりつけられた青白い顔の男の姿。
「若手No.2のマッシーモはドジって海の底へドボン」
「……ッ」
続いて三枚目。
「秘蔵っ子のフェデリコはいつの間にか骨に」
「い、いちいち見せるんじゃねーよそんなの!!」
唐突に死体の写真を見せられた土屋皆守の顔は蒼白だ。だが、リボーンはやはりその様子を鑑みることなく言葉を続ける。
「とまあ、こんな感じで候補として残ったのがお前だけになっちまったってワケだ」
「なっちまったってワケだ、じゃねーよ!なんねーからな!!俺は絶対にそんなんになんねーからな!!」
その衝撃に土屋皆守は叫びながら否定し、掛け布団を頭から被って絶対拒否の体勢に入る。
「安心しろ、その為に俺はここに来たんだ。俺が立派なマフィアのボスにしてやる」
「安心できるかバーカ!!俺は絶対ゼッタイぜったいそんなんならねーからな!!」
そんな土屋皆守の意思をまるで違う方向に受け取ったような反応のリボーンに、土屋皆守は掛け布団をガバッとはねのけてツッコミすぐさまかぶりなおした。
そんな土屋皆守ーーの入ったベッドを見ながらため息をついたリボーンは、水玉のパジャマのまま部屋を出てそのままベランダへと出た。そして、手に持った携帯でどこかへと電話をかけた。
「……ああ、俺だ。話がある。……そうだ、Ⅹ代目の件についてだ…………」
こうして、土屋皆守の日常に不本意な暴力やら硝煙やらの匂いが立ち込めるようになってしまうが、そのことを掛け布団をかぶった土屋皆守はまだ気づけない。