家庭教師ヒットマンREBORN-another 作:金剛石Mk2
ーーーーマフィアのボス、裏社会に君臨する闇の支配者。何人もの信頼できる部下を片手で動かしファミリーのためならみずからの命をはることもいとわない。彼のまわりには信望と尊敬の念が取り巻きスラムの少年はヒーローとあがむたて……。
「残念、また頭からだ」
「いや、あとちょっとだったじゃ、ごめんなさいごめんなさい!!押しつけないで!!」
朝も早く、土屋皆守の部屋では珍妙な光景があった。リボーンに拳銃を突きつけられた土屋皆守が、『マフィアのすべて』という本を読まされていた。
「まあ、今日はこんくらいでいいか。毎朝読めよ、お前はファミリーのⅩ代目のボスになる男なんだからな」
「ならどうして拳銃をつきつけられてるんですかね!?」
「このくらいマフィアのボスになったら朝の挨拶だとでも思え」
「マフィアのボスになんか絶対ならねー!!」
端から見て、会話を聞けばなんともふざけた内容である。だが土屋皆守にとっては、まさに人生がかかったやりとりだ。
昨日、一昨日とリボーンと関わっただけですでに何度も死ぬような目にあっているのだ。このまま言う通りにしていたら、それこそ命がいくつ有っても足りないだろうと考えていた。
「心配いらねーぞ。あとはこっちで勝手にやるからな」
「心配しかねーよ!!」
現にリボーンは気軽に言葉を返しながらどこから持ち込んだのか分からない武器の数々をいじっているのだ。土屋皆守が思わず大声でツッコミを入れるほどに。
もはやどうしようもなく日常を破綻させられるに違いないと、土屋皆守はある種悟りのようなものを感じていた。
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ーーーーあいつはいったい、なにをするつもりなのか?
土屋皆守は学校の自分の席に座りながら、朝から頭の中にあった不安は取り越し苦労だったのだろうと安堵していた。
あの後、リビングで朝食を取りーー一昨日からの一連の出来事を母親に話そうかとも思ったが、思い返したことの有り得なさに結局話さなかったーー家を出る時にリボーンがついてこなかった段階で驚いた。
あの様子では間違いなく学校にまでついて来てなにかをやらかすと思ったからだ。事実、昨日は特に何も言っていないのに学校で遭遇した。
思わず振り返った土屋皆守に母親の視線が突き刺さり、特に何を言うでもなくおざなりに挨拶を交わして家を出た。
登校中、ひょっとしたらいじっていた武器の数々を使ってこれもマフィアのボスには必要なことだとかなんとか言って襲ってくるのではないかとあたりをキョロキョロと見回したが、そんなことは特になかった。強いて言うなら、その挙動不審な様子に周りの注目を集めてしまった程度だ。
ーーーーなんだ、特に気にする必要はなさそうだ。
そう結論づけた土屋皆守は、今朝から続いた緊張の糸が途切れたせいかぼんやりとした様子で先生の話を聞いていた。
「……でイタリアに留学していた矢島隼人(やじまはやと)君が、このクラスに編入することとなった。」
ふっ、とイタリアというの単語に半分以上聞き流していた先生の話へと意識が向いた。
ーーーーイタリアと言えば、リボーンが言ってたマフィア……ボンゴレなんちゃらがあったような……まあ、関係ないだろう。
そんなことを思いながら、編入することになったらしい生徒に視線を移した。
かなりがっちりとした体をしている。あだ名をつけるとしたら……ゴリラだろうか、などと考えていると視線がこちらを向いている気がした。
「それじゃあ、矢島君の席はあそこだ」
「わかりました」
先生が指差した方へ移動する矢島が、土屋皆守の席を通り過ぎる時にそれは聞こえた。
「Ⅹ代目はおれだ」
「っ!」
その言葉に振り向けば、矢島はこちらにキツい視線をわずかに向けて直ぐに前に向いた。
「なあ、知り合いか?」
「いや、初対面だけど」
隣の席のクラスメートに投げつけられた質問に正直に答えた土屋皆守は、机の横にかけてあったカバンに紙切れがあるのを見つけ拾い上げた。
それを見た土屋皆守は、つい先ほど結論づけたことが的外れも良いところだったと理解した。その紙切れにはこうあった。
ーーーー昼休みに話がある。逃げるなよ、ボンゴレファミリーⅩ代目ボス候補、土屋皆守