家庭教師ヒットマンREBORN-another 作:金剛石Mk2
「なんだよこれ、どうしろってんだ…………」
土屋皆守は、トイレの個室で頭を抱えていた。その手に握り込まれているのは、編入生ーーーー矢島隼人からのメモである。
男からの手紙のようなものという段階でもあまり嬉しいものではないが、それだけでならば土屋皆守はここで頭を抱えたりなんてしてはいないだろう。
問題は、矢島隼人がメモの中で、土屋皆守をボンゴレファミリーのⅩ代目ボス候補だとハッキリと記していたことだ。
ただでさえ、リボーン一人でとんでもない出来事に巻き込まれているのだ。それに加えてボンゴレなんちゃらとか言うマフィアの関係者なんかと関わることは、自殺のようなものだと土屋皆守は思っている。
だが、すでに相手はこちらのことを知っているのだ。顔を知られているどころの話ではない、通っている学校に編入してくるなんてマネをしているのだ。
昨日の不良男子とは比べものにならないだろう。少なくとも、先生にチクればどうにかなるなんてレベルではない。というか、真面目に考えて真面目に対応されるワケもない。
ーーーー先生!!助けてください!!矢島隼人はマフィアの関係者なんです!!
自分でもふざけているとしか思えない。昨日だって、相手が要注意人物として教員に認識されている相手だったからすんなりと話が通ったのだ。
ああでもない、こうでもないと頭を抱えて悩む土屋皆守に構うことなく、時間は流れていった。
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「意外だな、まさか約束通りお出ましになるとは思わなかった」
昼休み、校舎裏。そこには二人の人影があった。
言うまでもなく、土屋皆守と矢島隼人である。結局、土屋皆守の休み時間は頭を抱えることだけに消費された。
挙げ句まともな対応も思いつかず、出たとこ勝負に出るしかなかった。
「いいいいったいなんのよようだだ」
そして思い切りつまづいた。
「ダメだな、全然ダメだ」
「な、なにが」
そんな様子に矢島は呆れたように言葉を吐き捨てる。いったいなんのことだかガチガチになった土屋皆守にはわからなかった。
「こんな奴がボスになったら、ボンゴレファミリーは終わりだな」
「や、やっぱりお前は……」
「ちゃおっス」
マフィアの一員なのか、という土屋皆守の言葉は遮られた。
「リボーン!?」
土屋皆守にとってはもはや疫病神のような存在に位置付けられている人物、リボーンによって。
「思ったより早かったんだな、矢島隼人」
「やっぱり知り合いなのかよ」
「直接俺と会うのは初めてだけどな」
いつの間にか、校舎裏に面する窓に腰掛けていたリボーンは、世間話でもするように声を上げた。
「はじめまして、あんたが九代目が最も信頼する殺し屋って評判のリボーンか」
矢島隼人の言葉に、今まで半信半疑だったリボーンの自己紹介の言葉が事実だったらしい、と土屋皆守は半ば現実逃避気味に考えていた。
だが、つぎの瞬間。矢島隼人が口にした言葉で我に帰った。
「でだ、土屋を殺れば俺がⅩ代目内定って話は本当にか?」
「はっ!?イヤイヤ、それはオレがボスの血を引いてるからであってお前にはなれ……」
「ああ、本当だ」
「……るのかよ!?」
矢島隼人の口から出た物騒な言葉に、土屋皆守は否定の言葉を口にしようとして、リボーンによってその否定の言葉を否定されてしまった。
「んじゃ、殺しの開始だ」
「イヤイヤイヤイヤ、おい!?待てよ!!」
挙げ句続いた言葉に、土屋皆守は声を張り上げて待ったをかける。
「何を言ってんだよ!?お前の仕事は、俺を立派なマフィアのボスにすることだろ!?」
「ああ、そうだ」
「なら俺を殺ったらボス内定なんて冗談だろ!?おい!?」
「本気だぞ」
だが、リボーンは顔色を変えず態度も変えずに先ほどの物騒な言葉を肯定し続ける。
「なっ、ま、まさか……裏切るのかよ!!」
「違う。俺はお前に戦えと言ってんだ」
「そ、そんなん無理に決まってんだろ!?」
リボーンの言葉に土屋皆守は顔を青くして否定する。一般人なんかご戦えるわけがないと。
「今朝読んだあれ、もう忘れちまったのか?」
「け、今朝ぁ?」
土屋皆守の記憶の中には、今朝は拳銃を突きつけられながら本を読んだ覚えがあった。
「ファ、ファミリーのためには命をいとわないってあれか!?」
「おぉ、ちゃんと覚えてるじゃねーか」
「そ、それがなんの関係があるんだよ!!」
「マフィアのボスには、無理でも戦わなきゃいけない時がある。それこそ、昨日みたいな逃げができないような状況がな」
いつの間にか、リボーンの手には拳銃がありそれは土屋皆守に狙いを付けていた。
「これは教育だ。今から死ぬ気で戦え」
その言葉に土屋皆守の額を脂汗が垂れる。
「この程度乗り越えられなきゃ、マフィアのボスなんて夢のまた夢だ。だから、死ぬ気で生き延びろ」
リボーンの表情も声の調子も変わらない。だが、土屋皆守にはまるで重りを乗せられたかのようなプレッシャーがかかる。
「
そうして、土屋皆守にとっては初めての命懸けの闘いが始まろうとしていた、