ダンガンロンパQQ   作:じゃん@論破

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おしおき編

 

 「うっぷぷぷぷぷぷ!!!いやー流石オマエラだね!!!四回連続大正解ィィイイイイイッ!!!」

 「黙りなさい・・・・・・!」

 

 穂谷の言葉はけたたましいファンファーレに掻き消される。

 

 「今回、“超高校級の考古学者”明尾奈美さんをブチ殺したにっくきクロの正体はあ〜〜〜!!」

 「やめなさい・・・!!」

 

 震えた声には力なんかない。

 

 「“超高校級のマジシャン”、『Mr.Tricky』こと鳥木平助くんだったのでしたあ〜〜〜ッ!!」

 「・・・どうして・・・・・・どうして私ではないのですかッ!!!」

 

 目に刺さるほど眩く光るディスプレイ、七色の光を好き勝手に放つスポットライト、視界を遮らんばかりの金銀のテープ。華やかで、煌びやかで、場違いなほどに絢爛だ。

 証言台を支えにやっと立っていた穂谷は、乱暴に叫んだ後、力が抜けたようにしゃがみ込んだ。歌姫の面影なんて欠片もない、悲痛で歪んだすすり泣きが聞こえる。能面のように変化のなかった表情は悲しみに崩れてた。

 

 「と、鳥木くん・・・ほ、ほんとにキミが・・・明尾さんを殺したの?」

 「申し訳ございません。謝って済む問題ではないことは重々承知の上でございます。しかし他に術は無かった・・・すべて覚悟しております」

 「承知の上だとか覚悟だとか・・・んなこと言ってんじゃねえんだよ!!これはテメエだけの問題じゃねえんだぞ!!」

 「・・・」

 「そうです・・・!!なぜ貴方が・・・なぜ貴方が犯人なのですか!!!貴方は関係ないでしょう!!!どうして・・・・・・なんてバカなことを・・・!!」

 「どういうことなのか、説明してくれないかな。どうしてキミが人殺しなんかしたの?キミは、そんなに外の世界に出たかったのかい?」

 

 静かに佇む鳥木、泣き崩れて支離滅裂なことを叫ぶ穂谷、鳥木に冷たい問いを投げる曽根崎。それ以外の俺たちは、この状況を理解できずにただそこにいた。モノクマはまだ処刑を始めない。クロである鳥木に話をさせようとしてんのか。だとしたら、その内容は間違いなく俺たちを絶望させるものだ。

 

 「いいえ。出たくないと言えば嘘になります。ですが、私が明尾さんを殺めてしまったのは決して私自身のためではございません」

 「自身のためではない?」

 「曽根崎君の推理通り、明尾さんは穂谷さんを襲い、そして逆に致命傷を負ってしまわれた。私が何をしても彼女は助からなかったでしょう」

 「そりゃ言い訳か?どうせ助からなかったから殺してもいいってことか?」

 「・・・明尾さんはあの時、私に全てをお話しくださいました」

 

 そう言って鳥木は、事件のことを話し始めた。曽根崎の推理では分からなかった、なぜ鳥木が明尾を殺したのかを。現場の偽装や脱衣所の隠し扉を使ったトリックを。

 

 「あっあっ、これもしかして回想いっちゃうパターン?ボクがまた暇になっちゃうパターン?」

 

 空気をぶち壊すモノクマの言葉に耳を貸す奴はいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 事件のあった夜、私はキッチンで翌朝の朝食の下拵えをしておりました。一通りの準備を終えた後、確か時刻は零時を越えて少し経った頃でした、部屋に戻って寝ようと思い、食堂を後にしました。寄宿舎の扉を開けて、自分の部屋のある廊下に踏み入った瞬間、私は自分の目を疑いました。

 そこには、廊下に伏せて必死に這う明尾さんがいらっしゃいました。よく見ると、頭が真っ赤に血で汚れてしまっておられ、満身創痍といったご様子でした。

 

 「あ、明尾さん!?どうなさったのですか!?」

 「・・・!?ううぅ・・・・・・と、とりき・・・か・・・・・・?」

 「はい!鳥木でございます!一体何が・・・ど、どうしてこんな・・・!!」

 「う、うらぎり・・・ものじゃ・・・・・・!やつが・・・!!」

 「裏切り者・・・!?」

 「裏切り者は・・・・・・穂谷だったんじゃ・・・!!」

 「えっ・・・!?な、なにを仰っているのですか・・・?」

 

 駆け寄った私の声だけを頼りに、明尾さんは訥々とお話しになりました。思いがけない言葉に私はますます混乱してしまいましたが、その時はすぐに正気を取り戻したのです。そんな場合ではないと。

 

 「い、いまはそんなことを仰っている場合ではございません!明尾さん、医務室まで運びますので、お気を確かに!」

 「まて・・・!!もういいんじゃ・・・わしはもう・・・・・・しぬ・・・!」

 「そんな・・・弱気になってはいけません!!」

 「聞くんじゃ、鳥木よ・・・・・・。ほ、ほたには・・・なにか・・・・・・かくしとる・・・!ふろで・・・・・・はだを、さらせぬわけが・・・!いまもどこかに・・・!」

 「なぜ明尾さんがそんなことを・・・!!そ、それに、このお怪我は・・・?」

 「ほ、ほたにに・・・・・・・・・やられたッ・・・!せんてをうったが・・・・・・なさけない・・・なさけないのう・・・・・・!」

 

 そう言いながら、明尾さんは血の混じった涙をこぼしておられました。体温が徐々に下がって、小刻みに震えているのが手から伝わり、私はいよいよどうすればいいか分からなくなってしまいました。ただ、明尾さんの言葉だけはしっかりと聞き取れたのです。

 

 「しかし・・・・・・さいわいじゃ・・・!とりきよ、お、おまえがいて・・・・・・・・・わしはあんしんじゃ・・・・・・!鳥木!」

 「ッ!!」

 

 最後の力を振り絞り明尾さんは顔をあげて、初めてそのお顔を私にお見せになりました。その瞬間、私は寒気を覚えました。

 強く打った所は赤く腫れ、乱れた髪が血と涙でお顔に張り付いておりました。その目は・・・死が目前に迫って尚、強く私を睨んでおりました。真っ黒な色の瞳からは、彼女の想いが噴きだしているようでした。

 

 「ほたにがクロじゃ・・・・・・!!わしをころしたのは・・・・・・・・ほたにじゃ!!」

 

 それを聞いた途端、私はもう全てがどうでもよくなってしまいました。目の前で明尾さんが息絶えそうになっていることも、キッチンの火を消し忘れたような不安も、何もかもが。ただ一つだけ、激しく湧き上がる感情が頭を支配しました。

 このままでは、穂谷さんが処刑されてしまう。それを理解した次の瞬間、私はまた一つ理解しました。

 

 「・・・・・・そうか、僕が殺せばいいのか」

 

 おそらく明尾さんにその言葉は聞こえていなかったでしょう。なぜならそれを呟くと同時に、私は彼女の首に手をかけていましたから。

 

 「がッ・・・!?な、と、とり・・・き・・・・・・!!なに・・・・・・を・・・!!」

 「ごめんなさい、明尾さん。僕はあなたを救えない」

 「・・・ッ!?」

 「だから僕があなたを殺して、彼女を救うッ」

 「あッ・・・ぐぅ・・・・・・!!っは・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「うっぷっぷっぷっぷ!!あ〜あ!殺〜っちゃった〜殺っちゃった〜!!せーんせーに言ってやろーって先生はボクだった!!見たぞ見たぞ鳥木くん!ボクは全て見てたぞ!」

 

 気が付いたのは、そんな声が背後から聞こえてきた時でした。その途端に息が詰まるような気がして、私は必死に呼吸を取り戻しました。気を失っていたのでしょうか、それからどれくらい時間が経ったのか、よく覚えていません。

 

 「・・・はっ!うっ・・・あ、あけお・・・・・・さん?」

 

 私は、自分の手が目の前の明尾さんの首を絞めていることにそこでようやく気が付きました。真っ赤に染まった手袋に驚いて、思わず明尾さんの上から飛び退いてしまいました。ぐったりと動かなくなった明尾さんは、廊下の真ん中に転がって指一本動かしません。

 

 「なに今更ビビってんの?“あれ”はキミが殺したんだよ」

 「わ、わたしが・・・?明尾さんを・・・?」

 「その様子じゃ、無我夢中だったって感じ?でも許さないよ!キミはもう立派なクロ!朝になって誰かがこの死体を見つけたら学級裁判が始まるんだよ!うぷぷぷぷ!こんな展開ファンタスティ〜〜〜ック!!」

 「学級裁判・・・私がクロ・・・そ、そうだ。私が殺したんだ・・・」

 「あれ?といや!」

 

 私は全てを見ていたモノクマに言われて、思い出しました。私が明尾さんを殺してしまった。それは決して事故などではなく、私の意思です。それを思い出して、私はすぐに立ち上がって、近くの部屋のドアをノックしようとしました。しかしそんな私を、モノクマがタックルで止めたのです。

 

 「うあっ!?な、なにを・・・!?」

 「オマエ今なにしようとした!!まさかとは思うけど・・・!!」

 「・・・自首です。私は明尾さんを殺してしまいました。だから、皆様に裁いていただくのです。学級裁判なんてさせません。私はただ、皆様に全てをお話しして、貴方に処刑されるのです」

 「こ、こ、このバカチンがああーーーーーーッ!!そんなこと許さねーぞ!!自首なんて!!あり得ない!!ボクのお楽しみの時間を奪う気か!!犯罪者のくせにどこまで横暴な奴なんだ!!」

 「お邪魔をしないでください。私はもう覚悟はできております」

 「あっそう。じゃ、止めないけど」

 

 体当たりをするほど激昂していたにもかかわらず、モノクマは私が真剣に言うと、あっさりと引き下がりました。私としては好都合だったのですが、モノクマに限って折れるなどということがあるわけもなく、私は少し警戒していました。そうしたら、案の定、モノクマは不敵に笑って言ってきたのです。

 

 「じゃあ別に自首すんのは止めないけどさ、でもいいの?自首した瞬間にキミは規則違反でおしおきだよ?」

 「・・・規則違反?」

 「合宿規則その17『『クロ』による殺害から学級裁判終了までの間、学級裁判を妨害する行為を禁止します』!!クロが自首するなんて、まさに学級裁判を妨害する行為だよね!!もし自首なんかしたら、その場で自慢のボクのライフルがキミのありとあらゆる場所をぶち抜くよ!!全身に穴を増やしてやるよ!!」

 「構いません。処刑は覚悟の上です」

 「うぷぷぷぷ♫でも、いいのかな〜あ?キミが処刑されても、学級裁判は開かれるよ」

 「?」

 

 私はいまひとつモノクマの言うことが理解できず、考え込みました。私が自首した瞬間に処刑されて、学級裁判が開かれて一体何があるというのでしょう。

 

 「うぷぷぷぷ♫死んだ明尾さん、めちゃくちゃな穂谷さんの部屋、凶器も現場もそのまんま。この状況を見たら、鳥木くんの一言なんて霞んじゃうよね!穂谷さんが犯人だと疑われること必至!穂谷さんだって自分が犯人だと思うはずだよ!だって自分が致命傷を与えた明尾さんが、部屋の前で死んでるんだもん!」

 「・・・!?」

 「だけど真実を知る鳥木くんは、その頃呑気にゴートゥーヘヴン!あ、いや、ヘルかな?どっちでもいいや!死人に口なしって言うし!」

 「そ、そんな・・・!」

 

 モノクマが言うことに、私は心が揺らいでしまいました。仮に私が自首をしたとしても、それを信じていただけるだろうか。この状況を全て理解して、私の考えを汲んでもらえるだろうか。穂谷さんが、自分がクロだと思い込んでしまわないだろうか。選択を誤って、穂谷さんが処刑されてしまわないだろうか。そんなことを考え始めると、私はどうしても、自分を信じることができなくなってしまいました。今、自首するのはあまりに危険です。

 

 「で、ではどうすれば・・・!?私は・・・自分のしたことを話すこともできないのですか!?」

 「安心してください、話せますよ。ただし投票が終わってからだけどね!!」

 「投票が終わってからって・・・それでは遅いではありませんか!」

 「知らねーよそんなの!!だいたいクロが自首したがるなんてボクも想定してなかったんだよ!!ただボクはオマエがつまんねーことしねーように忠告だけしにきたの!!じゃあなあばよ!!」

 

 そう言うと、モノクマはポーズを取りながら廊下の向こうに消えてしまいました。この罪を告白することもできない、絶望に打ち拉がれた私を残して。私はそれから、悩み続けました。どうすればいいのか、どうすれば穂谷さんを救うことができるのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そして私は閃きました。私だけが加害者になればいいのだと。明尾さんも穂谷さんも、私に襲われた被害者になればいいのだと。そうすれば被害者の穂谷さんが追及されることはなくなり、私だけが処刑されるのだと」

 「それが現場偽装の動機か・・・なるほど」

 「じゃ、じゃあ、明尾の部屋に雑に証拠残したのも、鍵を見てわざわざ男子脱衣所のだっつったのも・・・」

 「皆様がお気付きになったのは幸いでした。ですが、明尾さんが穂谷さんを襲撃なさったことまで明らかにされてしまったのは想定外です」

 「犯人入れ替えマジックって言ったところかな?あんなお粗末なタネじゃあすぐバレちゃうよ、キミらしくもない」

 「では・・・脱衣所の隠し扉はいつ知ったのだ?」

 「明尾さんをお部屋に運んだ際、テーブルの上にメモがあり、そこで。彼女の計画もそれで知ったのです」

 「明尾さんも明尾さんで雑だね。彼女らしい」

 

 鳥木は落ち着いて喋ってたが、狂ってやがる。鳥木は、穂谷の身代わりに死ぬつもりだってのかよ?本当なら穂谷が殺してたはずの明尾をわざわざ殺して、『クロ』の立場を奪いやがったのか。なんでだ、なんでそんなことしたんだよ。

 

 「なんでそんなことができんだよ!お前は穂谷の身代わりになって死ぬんだぞ!なんで他人の穂谷のために・・・そんなことができんだよ!!」

 「ど、どうしたの清水くん・・・?」

 「人のために命張って、余計なマネして俺らを振り回しやがって!!どういうつもりなんだ!!テメエは穂谷のなんなんだよ!!」

 「落ち着け、清水。確かに鳥木がこの事件に関わったことで複雑にはなった。だがもう解決したことではないのか。なぜお前がそこまで声を荒げる」

 「・・・ッ!!ムカつくんだよ!!人のためにしか動けねえ奴が!!なんでテメエは自分のことを考えてねえんだ!!明尾を殺した理由も!自首しなかった理由も!裁判中の態度も!今だって!なんでテメエは自分が死ぬことを考えねえ!!なんで穂谷のことばっか考えてやがるんだよ!!」

 

 

 

 

 

 「・・・生きていて欲しい。彼女は私の、一番大切な人です。それだけの理由では、いけませんか?」

 

 一切の迷いもなく、鳥木は答えた。なんだそりゃ。一番大切な人って、そんなの命懸ける理由になってねえじゃねえか。生きていて欲しいって、ほとんど死にかけてる穂谷がこの先も生きてて何の意味があるんだ。そんな言葉は頭の中を巡っては、声にならずに消えていく。鳥木の真剣な目付きに、俺は何も言えなくなった。

 

 「一番大切な人?理解しかねるが、どういう意味だ?」

 「命を懸けても守りたいという意味です。彼女は・・・私を必要としてくれた。マジシャン『Mr.Tricky』ではなく、鳥木平助として」

 「?」

 

 意味が分からねえ。鳥木平助としてって、『Mr.Tricky』は鳥木だろ。どっちがどっちでも同じじゃねえのか。

 

 「私がマジシャンとしてデビューしたのは、実家の近くの公園でした。その日に食べるものも苦労していた家計を助けるためにお布施を集めるためでした。幸いなことに、評判は上々、あっという間に私の名は知られていきました。有難くもテレビ局の方にお声をかけられお給金をいただけるほどになり、果ては“超高校級”の肩書きまで。ですが、光が強いほど影は濃くなるものです」

 

 話を聞きながら、他の奴らが唾を飲む音が聞こえた。緊張してやがる。どいつもこいつも心当たりがあるのか?そんな周りの様子をうかがいながら、強く握った拳に俺自身も緊張してるのに気付いた。“才能”を持つことの裏返し、そんなのは俺だって痛いほど分かってる。

 

 「私のマジックをご覧になる観客の皆様、ご協力いただくテレビ局やスタッフの方々、希望ヶ峰学園の方々、そして私の家族さえも・・・私が『鳥木平助』であることなど忘れてしまっていました。私は“超高校級のマジシャン”『Mr.Tricky』、それ以外の名前などどうでもいいのです」

 「どうでもいい・・・?」

 「ステージで華々しく輝き、観る者を魅了し、奇跡を起こし、多くのお金を稼ぐ『Mr.Tricky』こそが、彼らの必要とする“私”でした。『Mr.Tricky』でない鳥木平助など、必要のない存在なのです」

 「そ、そんなことないですよ!だって・・・鳥木さんは鳥木さんやないですか!」

 「ふっ、いいのですよ。私からマジックの“才能”を奪ったら何が残りますか?鳥から翼を奪ったら一体何になるというのですか?それは、“なんでもない存在”になるしかないのですよ」

 

 薄く笑ってそんなことを言う鳥木は、全てを悟ったような、なにもかもを諦めたような顔をしてた。涼しい顔なのに、そこからは何か狂気みたいなもんが滲み出てるような、そんな気がした。

 

 「私はそれに気付いた時から、“鳥木平助を演じる『Mr.Tricky』”として生きてきました。私は私であってはならない、皆様の望む“私”は『Mr.Tricky』だと知ったからです。ここに来て皆様とお会いした時も、私は“私”でいました」

 

 こいつはずっと、そんな風に生きてたってのか。自分じゃない奴を演じながら、自分を偽って、本当の自分を見せないようにしてたってことなのか。理解できなかった。だってこいつがそんな無理をしてるなんて感じなかった。自然で、当たり前にそうしてた。

 

 「ですが彼女だけは・・・穂谷さんだけは、そんな私の仮面を見抜かれました。『鳥木平助』の仮面を被る、『Mr.Tricky』という仮面の下にある、本当の私の存在を。そして私に気付かせてくれた。既に二つの存在が私の中で融け合い、その境を失いかけていることを・・・“私”が、本当の私を失ってしまう前に」

 

 だんだんこんがらがってきた。今のこいつは鳥木と『Mr.Tricky』のどっちなんだ。鳥木は鳥木じゃねえのかよ。『Mr.Tricky』なんてステージの上で演じてるキャラクターじゃねえのか。必要とされたから本当の自分を抑えつけるなんて、なんで鳥木はそこまで他人のために生きられるんだ。

 

 「・・・お前の言うことを否定するわけではないが、それでも私には理解できんな。穂谷に救われたと言うが、それは命を懸けるほどのことなのか?穂谷のためにお前が身代わりになるほど、お前は穂谷に感謝しているというのか?」

 「感謝・・・というだけではございませんね。それはきっかけに過ぎません。私が、穂谷さんを心からお慕い申し上げることの、ほんのきっかけです」

 「と言うと?」

 「・・・・・・穂谷さん、お話ししても構わないでしょうか。貴女のことを」

 「・・・」

 

 鳥木の問いかけにも穂谷は答えない。ぴくりとも反応せず、こっちの方が先に死んじまったんじゃねえかってくらい静かだ。けど、微かに呼吸をする音だけは聞こえてくる。返事をしねえのは声が聞こえてねえのか、それとも答えるのも苦しいくらいに弱ってんのか、無言で許してんのか。なんにしてもこのままじゃ話が進まねえ。鳥木はため息を吐いて、勝手に話し始めた。

 

 「穂谷さんも、私と似ているのです。いえ、似ていると言うには全く異なりますね。ですが、彼女もまた、仮面を被っているのです。“超高校級の歌姫”の仮面を」

 「仮面・・・穂谷さんの、仮面?」

 「優雅で、高潔で、気高く、気品に満ちた歌姫の仮面です。それは、穂谷さんの弱さを封じるための、強く厚い仮面です」

 

 初めて会った時から、穂谷の無機質な笑顔には違和感を覚えてたんだ。何の感情も無い、形だけの笑顔。それこそまるで仮面みてえに揺るがなくて、イラつくこともあったが不気味に思うこともあった。その裏に何が隠れてるかなんて、考えたこともなかった。人を馬鹿にするだけの奴だと思ってたからだ。

 

 「・・・弱みと言うと、穂谷円加の抱える疾患のことか?」

 「ッ!?な・・・なぜ望月さんがそれを・・・!?」

 「えっ・・・も、望月さん何か知ってるの!?」

 「やはりか。私は専門ではないから詳細は不明だが、神経系の疾患か?」

 「どういうことだ望月・・・!!なんでテメエが穂谷の弱みなんか知ってんだよ・・・!!」

 

 穂谷の抱える弱み、それが鳥木の口から語られる前に、望月の口から飛び出した。鳥木の反応からしてそれは当たってんだろう。けど、なんで望月がんなこと知ってんだ。穂谷が話すわけねえし、唯一知ってたらしい鳥木もそんな秘密をべらべら喋る奴じゃねえ。

 

 「生活習慣を観察すれば容易に推測できることだ。食事に細かな規定を設けたり、医務室にも頻繁に出入りしていた。最近は食事が粗末になるにつれて医務室への出入りも増えた」

 「ストーカーみたいだね」

 「テメエが言うな」

 「穂谷さんは・・・・・・脊髄を患っておられます。放置しておけば自力では動けなくなってしまう、治療の困難な病気です。もう十数年もの間、彼女はその病気と闘っておられるのです」

 

 脊髄の病気、ほっとけば動けなくなるという言葉はいまいち現実味がなかったが、穂谷が重い病気を抱えてること自体は妙に納得できた。そう言えばこいつはずっと医務室にいた。毒薬でも物色してんのかと思ってたが、そう考えると栄養剤や鎮痛剤でも探してたんだろうか。

 

 「穂谷さんはそのご病気を誰かに知られることを極端に嫌いました。難病に冒されていることを知られ、同情や興味を集めてしまうことを嫌ったのです。自尊心の高い方でいらっしゃいますから、ご自分の“超高校級の歌姫”の肩書きに泥を塗ることになってしまうとお思いになったのでしょう。なので穂谷さんは、そのご病気を隠すため仮面を被り、治療のためご自分で努力なさいました。歌姫の“才能”で得たお金で困難な手術を繰り返し、少しずつ治療していったのです」

 「・・・それと、キミが穂谷サンのために命を懸けることと何の関係があるの?」

 「穂谷さんはそのことを私に打ち明けてくださいました。自分の弱さに仮面を被せて取り繕っていることが、過去を抱えて独り生きていこうとしていることが、私たちは似ていると仰ってくださいました。私には・・・もったいないお言葉です」

 

 そこで深く息を吸って、鳥木は意味深に間を置いてから言った。

 

 「初めてなのです、私が心から愛おしいと感じた方は」

 

 そう言って横にへたり込む穂谷を見て、鳥木は物悲しそうな目をした。まだすすり泣いてる穂谷を前にして、どうすればいいか分からないみてえだ。

 

 「どうか、穂谷さんをお許しください。彼女は被害者なのです。明尾さんもまた被害者・・・お二人は何も悪くないのです」

 「で、でもそもそも、明尾さんが穂谷さんを狙ったのは、その・・・『裏切り者』だと思ったからでしょ?も、もし穂谷さんが『裏切り者』だったら、キミのしたことは・・・!!」

 「いいえ、それは明尾さんの勘違いです。明尾さんは仰っておりました。穂谷さんが手術の痕を隠したり、夜中に医務室にお薬を取りに行ったりなさることが、『裏切り者』だと思わせてしまったのでしょう」

 「だから穂谷は大浴場に行きたがらなかったのか・・・裸になれば、手術痕など隠しようがないから」

 「そ、そんなのも全部そいつのプライドの問題じゃねえか・・・!!明尾はそのせいで勘違いして、こんなことになったんだぞ!!穂谷が何も悪くねえなんて言えんのかよ!!」

 

 勘違いって、たったそれだけで明尾の死は片付けられんのか。勝手に勘違いした奴が勘違いさせた奴を庇った他人に殺されたなんて、そんな風に片付けんのか。そんなの、全部穂谷に振り回されただけじゃねえか。そんなの、許されていいのか。

 

 「初めから全ての罪は私が償うつもりでした。明尾さんからお話を聞いた時点で、もはや私以外に罰を代わることができる者はおりませんでした」

 「全ての罪を背負うなんて、キミはキリストにでもなったつもりかい?明尾サンにトドメを刺したのはキミだけど、穂谷サンだって致命傷を負わせてる。それにこの事件を仕掛けたのは明尾サンだ。キミがその罪を代わりに償うなんて、傲慢じゃないか」

 「傲慢でもなんでも、私は構いません。それで彼女が生きられるならば・・・私は」

 

 鳥木の覚悟は本物だ。本気でこいつは、穂谷の身代わりになることを望んでる。もう三度も見てきて、思い出すだけで鳥肌が止まらなくなるあの処刑を受けることを、本望だと感じてる。曽根崎は傲慢だっつうが、俺にはもっと、得体の知れねえ不気味な何かに思える。

 

 「勝手なことをッ!!!」

 

 そんなよく分からねえ感覚も、耳を劈くような声で吹き飛んだ。全員が一斉に、その声を発した穂谷も見た。

 

 「私は・・・そんなこと望んでいないのに・・・!!これは私の問題なのに・・・・・・どうして貴方が罰を受けなければ!!ならないのですか!!」

 「穂谷ッ・・・!もうやめろ・・・!もう遅いんだ・・・!!」

 「分かっていましたよ!!明尾さんの死因を知った時から!!犯人が私ではなくなっていることに!!貴方が・・・・・・私を生かそうとしていることに・・・!!」

 「犯人が分かっていて、自身がクロだと主張したのか?理解に苦しむな」

 「私は貴方の助けなんか必要なかった!!私は貴方を犠牲にして、こんな身体で生き永らえたくない!!貴方が死んで私なんかが生きるなんて・・・そんなの・・・・・・そんなのおかしいじゃないですか・・・!!わ、わたしは・・・!あなたに生きていてほしいのに・・・!!」

 

 乱暴に、いい加減に、調和の欠片もなく響く悲鳴のような叫びは、弱々しく震える身から発せられる。自分を犠牲にして大切な誰かを生かしたい、その想いをぶちまける。こんなの、痛くて聞いてられねえ。穂谷と鳥木は、互いに本当のことを知りながら互いを生かそうとしてたんだ。相手を想うあまりに、嘘と真実で自分を殺そうとしてた。

 

 「申し訳ございません、穂谷さん。身勝手ではございますが、最期に一つ、お願いをきいて頂けないでしょうか」

 「・・・最期なんて、認めません・・・・・・!」

 

 鳥木は穂谷の隣に跪き、力の抜けた白い手を取った。骨の浮き出た弱々しい手は、指の長い整った手の上で解けるように開いて閉じた。

 

 「生きてください。美しくなくても、強くなくても、私は、貴女に生きていて欲しい。誰よりも愛おしい、貴女だから」

 「と・・・とり、き・・・・・・くん・・・!!」

 

 もしここがステージの上だったら、壮大な音楽と共に万雷の拍手が二人に浴びせられたかも知れない。こんな悲劇めいた結末なんか、舞台の上だけでたくさんだ。だがここは地下深くに造られた裁判場。これは演目じゃない、まぎれもない現実だ。

 

 「はい!この話は終わり、ちゃんちゃん!悲劇の歌姫と殺人マジシャンのラブストーリー?ケーッ!ありきたりだなあ!やるならもっとこう、血沸き肉踊り血で血を洗うようなドロドロ昼ドラ的展開をだね」

 「・・・!」

 「な、なんだよその目は!みんなしてもボクを睨んでさ!ボクは傍観者として意見を言ったまでだぞ!そんな目でボクを見るなーーーッ!!」

 

 もう言葉で抗議する奴はいなかった。穂谷と鳥木以外の全員から敵意の眼差しを向けられて、モノクマはわざとらしくビビる。どうせこいつにとって俺たちなんて、恐れる必要もない奴らなんだ。それを示すように、すぐにケロっと態度を変えた。

 

 「さて、そんじゃクロの自白という名の軽いコントも終わったようなので・・・さっさと皆さんお待ちかねの、おしおきタイムに突入しましょーか!!いっちゃいましょーか!!」

 「くっ・・・!なぜこんなことに・・・!」

 「と、とりきさぁん・・・!」

 「・・・皆様、笑顔でとは申しません。せめて最期は涙を見せず、お別れしましょう。マジシャンが舞台を去る時!!それはお客様に一時の夢を見せた時でございます!!我らが『Mr.Tricky』は永久に不滅です!!またいつか、夢の世界でお会いすることでしょう!!」

 

 いびつに笑うモノクマの声をかき消すように、外していたマスクをもう一度付けた鳥木が声を張る。それは、俺たちが知ってる『Mr.Tricky』そのものだった。今にもド派手なマジックをしそうなほど、そいつは堂々と胸を張ってそこにいた。

 

 「不意に訪れた今生の別れ・・・お先に失礼いたします。皆様どうか、どうか・・・!」

 

 深々とお辞儀をしたそいつは、ゆっくりマスクを外して床に置いた。次に顔を上げると、そこにいたのはマジシャン『Mr.Tricky』なんかじゃなく、普通の高校生『鳥木平助』だった。

 

 「生きて・・・!!もう二度とこんな・・・むごいことは・・・!!」

 「ッ!鳥木・・・!必ず!必ず約束だ!我々はもう、二度とここには戻らない!きっとだ!」

 

 さっきまでの威勢はまるで失われて、震えた声の鳥木がいた。今まで崩れなかった鳥木の落ち着きが、もうどこかに消え失せてた。だが、その目はどこまでも澄んでた。

 

 「今回は!“超高校級のマジシャン”鳥木平助くんのために!!スペシャルな!!おしおきを!!用意しましたあ〜〜〜ッ!!」

 

 無慈悲にハンマーを振り上げるモノクマの意に反して、鳥木はその運命を悲観していない。最後にちらと穂谷を見て、満足気に目を閉じた。

 

 「それでは!張り切っていきましょーーーぅ!!おしおきターーーイムッ!!」

 「みんな・・・さようなら」

 

 鳥木はそう呟いて、真っ暗な壁の向こうに消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       【GAME OVER】

   トリキくんがクロにきまりました。

     おしおきをかいしします。

 

 吸い込まれそうな黒の衣装に身を包んだ鳥木平助は、五色のスポットライトに照らされる。光沢の美しい銀の鎖が腕と脚に巻き付き、絢爛な意匠にその身体を固定する。華やかで煌びやかで眩しいその十字架が立つのは、無機質なコンクリートと金網に閉ざされた空間だった。演者は場違いなほど派手に、観客は耐えがたいほど悲痛に、その時を待っていた。シルクハットを被ったモノクマが数え切れない程のトランプを取り出し、赤と黒の入り交じるその中にたった一枚だけ、踊る道化のカードを混ぜた。やがてけたたましいブザーとともに演目の題がモニターに映し出される。

 

 

     《SHOOT THE JOKER!!》

 

 

 トランプの束をシルクハットに入れ、その口は鳥木に向けられた。片手に持つステッキでその口を叩く。3,2,1。四度目にハットを叩いた瞬間、トランプが勢い凄まじく飛び出した。

 

 「ッ!!」

 

 鳥木は思わず目を閉じた。トランプが空気を切り裂き鳥木の頬を掠め鋭い痛みが走る。生暖かい液体の感触に気付いた時には、既に無数のトランプが眼前に迫っていた。

 縦横無尽に焦点を巡らせる照明が、鳥木の姿を一瞬だけ映し出してはまた暗闇に隠す。トランプの飛び交う音だけが暗い処刑場に響く。皺一つない衣装に次々切り込みが刻まれていく。無防備にさらけ出された皮膚をトランプが刻み、こぼれ出す血が弾け、傷口から肉が削ぎ落とされていく。肩が、脚が、腕が、腹が、首が、耳が、頭が、少しずつ切り刻まれていく。途切れることなくトランプが鳥木の身体を傷付ける。黒かった服はいつしか細かな断片となって散り、赤く変わり果てた身体に鋭い紙片が突き刺さる。

 

 「・・・!!!」

 

 未だに切り刻み続けられる身体は痛み以外の感覚を失い、磔の苦しみで息が詰まる。それでも鳥木は声をあげない。固く目を閉じてひたすらに耐える。

 そしてシルクハットから最後のトランプが飛び出すと、モノクマはもう一度ステッキで叩いた。銀色の刃が一瞬だけ照明の光に輝き、全ての光が消えた。

 

 

 黒一色の世界に鉄の臭いがどこからともなく漂う。暗闇にドラムロールが蠢く。スポットライトの光の下でモノクマは誇らしげに胸を張って、ステッキで処刑場の中央を指さした。スポットライトはその後を追って、そこにあるカードを照らし出した。銀のナイフに鳥木平助の心臓ごと貫かれた、たった一枚のジョーカーのカードを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「うっぷぷぷぷぷ!!マジックだいせいこーーーーーぅ!!てじな〜じゃん!ってとこかな!!でもあのトランプはもう汚くて使えないなあ。はあ、もったいないもったいない」

 「鳥木ッ・・・!」

 「あああううぅ・・・と、鳥木さんまで・・・こんなことに・・・・・・!!」

 

 大袈裟な装置と眩しいくらいの光と感情を高ぶらせるような音、それはまさに『Mr.Tricky』が得意としたド派手なステージマジックの手法だ。ただあいつの死を侮辱するためだけに、モノクマはここまでの準備をしてたっつうのか。どこまでも常識が通用しねえ奴だ。

 全身を刻まれて目も当てられない姿になった鳥木を、穂谷は一度も見ようとしなかった。だが何が起きたかは分かってるはずだ。もはや叫ぶ元気もないらしく、一層の涙をこぼしてた。

 

 「いやあ、それにしても今回は退屈な事件だったね。クロ以外に真相を知ってる人がいて、クロ自身がハナから生き残る気なかったなんてさ、やっぱあの規則作っといて正解だったや。でも、もうこんな事件はやめてよね?オマエラ、殺るからには徹底的にだよ!持てる全てをぶつけて相手をぶっ殺して、だまくらかして、でなきゃ意味ないじゃ〜〜ん!」

 「もういい加減にしてよ・・・!!これ以上、僕らをどうしようっていうのさ・・・!!」

 「だから言ってるじゃん。ボクはオマエラに絶望して欲しいわけ、全ては大いなる希望のためにね!!うぷぷぷ!!」

 「意味分からねえよ・・・ふざけやがって!こんなこと、いつまで繰り返させるつもりだ!!」

 「落ち着きなよ清水クン。モノクマの言うことが意味分からないのは今に始まったことじゃないでしょ。冷静にならないと・・・思う壺だ」

 「ぜ、絶望とか希望とか、なんの話ですかぁ・・・・・・。希望のために絶望してほしいって・・・どういうことなんですかぁ・・・」

 「うぷぷぷぷ!!」

 

 気分が悪い。処刑を見ただけのせいじゃねえ。モノクマの掴み所のねえ言い方も、ムカつくほど能天気で明るい笑い声も、イラついて仕方ねえ。何がそんなにおかしい。全部テメエのせいだ。

 

 「何か可笑しいことでも言ったか?」

 「どうせまた良からぬことを考えているのだろう」

 「いやね、ここまで生き残ってきたオマエラに、少しはご褒美でもあげちゃおっかなと思ってね!もう四回も学級裁判を勝ち抜いてきたんだから、何かないとオマエラのモチベーションももう続かないでしょ?いや〜、そんなところに気が付くボクってやっぱりデキるクマ?デキクマ?」

 「ご褒美って、嫌な予感しかしないね」

 

 そんな気持ち悪い笑い方でご褒美なんて言われてもなんの期待もできねえ。モノクマが俺たちに寄越したもので良かったものがあった試しなんてねえ。全てが俺たちをコロシアイに向かわせるものだ。どうせまた動機みてえなもんを寄越すに決まってる。

 

 「ちなみに受け取り拒否はできないから!っていうか、みんな気になってるでしょ。今年の汚れは今年の内に落とすの精神だよね、大掃除的発想だよね」

 「本当に意味分かんないよ・・・なんのこと言ってんの?」

 「うぷぷぷぷ!忘れたとは言わせないよ、『裏切り者』の存在をさあ!なななんと大出血サービス!今ここで、その正体を発表しちゃいたいと思いまあ〜〜〜す!!」

 「はっ!?」

 

 それはあまりに唐突な宣言だった。動機として発表された『裏切り者』の存在、俺たちを監視するために紛れ込んだ希望ヶ峰学園からの差し金。モノクマと繋がってんじゃねえかとか、希望ヶ峰学園と連絡を取り合ってるとか、色んな疑惑でいつの間にか危険視されてるそいつの正体は、遂に分からねえままだった。そもそも明尾がこの事件を仕掛けたのも、穂谷を『裏切り者』だと思い込んだからだ。

 

 「ちなみに明尾さんでも鳥木くんでもないからね。うぷぷぷ!もう死んでるなんて間抜けなこと、ボクが許さないんだからね!」

 「・・・!」

 

 俺たち一人一人の顔を確認するように、モノクマはじろじろと見てくる。マジでこの中に『裏切り者』がいるってのか?そいつが名乗り出てさえいれば防げたかも知れねえ事件で、もう二人の人間が死んだ今、まだ息を潜めているってのか?それを暴露するなんて、それこそ新しい疑心暗鬼の種にしかならねえじゃねえか。

 

 「お、おい!まっ・・・!」

 

 やべえと感じた俺が止める間もなかった。モノクマはあっさりと、『裏切り者』を指さした。

 

 「オマエラの中に潜むずる賢い『裏切り者』の正体はぁ・・・オマエだよッ!!うぷ!うぷぷぷ!うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『コロシアイ合宿生活』

生き残り人数:残り7人

 

  清水翔   六浜童琉   晴柳院命    【明尾奈美】

 

  望月藍  【石川彼方】 曽根崎弥一郎    笹戸優真

 

【有栖川薔薇】 穂谷円加  【飯出条治】 【古部来竜馬】

 

【屋良井照矢】【鳥木平助】 【滝山大王】【アンジェリーナ】




年内に第四章を終わらせることができた!!よかったあ!!これが2015年最後の投稿(の予定)です!!来年から五章、そしてクライマックスまで一気にいきたいと思います(いけるとは言ってない)
それではみなさん、よいお年をお迎えください!
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