ダンガンロンパQQ   作:じゃん@論破

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解説編『後のお祭り』
Prologue.1「覆水は盆に返れない」


 

 こちらは、『ダンガンロンパQQ』の解説になります。

 本編を読了していることを前提に執筆しているため、本編についてのネタバレが多分に含まれています。

 まだ本編を読まれていない方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「創作論破『ダンガンロンパQQ』、解説編『後のお祭り』をお読みいただいているみなさん、こんにちは。たくさんある創作論破の中から本作を選んでいただきありがとうございます。本作は『ダンガンロンパQQ』の本編解説を行うお祭り企画です。ボクは、Prologue.1『覆水は盆に返れない』の解説を担当する、希望ヶ峰学園1年生、“超高校級の広報委員”こと、曽根崎弥一郎でーす!よろしくね!そして!」

 

 「希望ヶ峰学園2年生、生徒会学生課生活指導係、“超高校級の予言者”、六浜童琉だ。よろしく頼む」

 

 「堅いなあのっけから!それに改めて聞くと肩書き多いし長い!もっと簡潔にまとめられないわけ?」

 

 「いきなり肩書きにダメ出しをされるとは思っていなかった。仕方がないだろう。この解説を読んでいる皆様に、私が一体何者なのかをきちんと理解していただかなければ、誰が喋っているのか気になって話が入って来ないだろう」

 

 「解説を読んでる時点で本編には目を通してるんだから、そこまで細かく説明する必要も無いと思うけど」

 

 「世の中にはどんな人間がいるか分からないからな。解説から読むという奇行に走る人間がいてもおかしくない。私たちの物語が完結してから時間が経っていることだしな」

 

 「いきなりメタいこというね。まあともかく、最初の解説はボクとむつ浜サンの二人でお送りするよ!よろしくね!」

 

 「待て。よろしくするな。そもそもこの走り書きのような何かが一体なんなのかの説明がないこともさることながら、今さらっと勢いに乗せて進めようとしただろう。そうはいかんぞ。むつ浜ではない。私の名前は六浜だ」

 

 「ハイ、お決まりの訂正ありがとうございまーす」

 

 「お決まりの間違いをするからだろう!言っておくが私はその渾名に一度として納得したことはないからな!むっつりスケベの六浜という意味だろう!そんな不名誉な渾名断じて認めるわけにはいかん!」

 

 「大きい声出さないでよ。分かった分かった。とにかく今回はこんな二人で解説をお送りするよ」

 

 「やるだけやろう。まるで見通しが立たんがな」

 

 「むつ浜サン。予言者なのにね」

 

 「だからむつ浜と呼ぶな」

 

 

 

 

 

 「さあ、というわけでPrologue.1『覆水は盆に返れない』の解説を始めるよ。記念すべき最初の一文にして最初の一言は、望月サンのセリフからだね。こういう第一文って、いわば小説自体のスタートダッシュでしょ。ここって実はかなり重要なところなんだけど、これはどうだろう」

 

 「変にひねって長くなってしまったり外してしまったりするよりは、普通の書き出しでいいと思うのだがな。「そこを移動してはくれないか」って、小説の冒頭としてインパクトがあるとはあまり言えないような気がするぞ。まあ、望月にそのつもりはなかったのだろうが。書き出しといえば、かの文豪、夏目漱石の『吾輩は猫である』が最も有名かつインパクトも大きいだろう」

 

 「『坊っちゃん』とかもね。最初の一文で主人公の説明を、これ以上無いほど端的にしちゃうんだよね。あとは太宰治の『走れメロス』とか。「メロスは激怒した。」って、インパクトあるどころかミスリード誘ってるよねもはや。ボクはじめて呼んだとき、ああこのメロスって人はすごく気が短くてせっかちな人なんだなって勘違いしちゃった。そのくせタイトルが『走れメロス』ってメロスに命令してるもんだから、一体このセリフはどんなに気が短い人が言ってるんだろうってそわそわしながら読んだ記憶があるよ」

 

 「きちんと読めばその後の文章で、メロスが正義感あふれる若者だということは分かるのだがな」

 

 「それはそうと、この始まりからわかるように、コロシアイが始まるより前から、清水クンと望月サンはこんな感じで顔を何度も合わせていたんだね。とはいっても、清水クンは望月サンのことをうざったいヤツくらいにしか思ってなかったみたいだけど」

 

 「よく顔を合わせるがあまり知らない間柄ということだな。望月も望月で、どこかで見た顔と言っているぞ。この二人、本編でこそペアの様に扱われているが、実際コロシアイという状況にでもならなければお互いがお互いに興味などなかったのではないか?

 

 「そうかなあ?ボクは二人のことお似合いだと思うけどね!ガンガンせめてく望月サンにおろおろする清水クンとか超面白かったし!あはは!」

 

 「全然笑えない、いやしかしそうえいば、あの二人があれほど親密になった背景には、少なからず曽根崎の影がちらついているな。お前が面白がってあの二人をくっつけようとあれこれしているうちに、本当に二人ともその気になってしまったということか?」

 

 「清水クンはどうだか分からないけど、望月サンは途中から完全に清水クンに興味を持ってたよね。どういう種類の興味か知らないけど。学術的興味とか言ってたけど、性格変わる前の望月サンも清水クンには多少の関心があったみたいだし。純粋な恋愛感情もあったんじゃない?無自覚だったことは断言できるとしても」

 

 「序盤から中盤にかけての清水のどこにそこまで惚れ込んだのか。私には到底理解できんがな。あの時の清水は本当にひどいものだった」

 

 「あ、でもボクが思うに、清水クンって望月さんといい感じになってる一方で、実は六浜サンのことちょっと好きだったんじゃないかなって思うんだ」

 

 「…………は?」

 

 「最初はそんなに接点なかったけどさ、三章のおんぶ事件とか、五章の時の信頼とかさ。あと六章で六浜サン、なんか清水クンだけ特別に呼び出して話してたりしてたじゃん!清水クンも清水クンで望月サンに呼び出された時より素直だったし、なんか裁判中もすっごい責任感じて六浜サンの名前しきりに出してたし」

 

 「や、やややややややめろ!私と清水の関係を協調するようなシーンを選りすぐるな!この狭い合宿場内で16人もの高校生が生活していれば、否が応でも顔を合わせる機会は多くなるだろう!たまたまだたまたま!」

 

 「えー?そんなに否定する?じゃあ六浜サンは、清水クンに好かれるのはイヤなの?」

 

 「……イ、イヤというほどのことではないが……そ、それでも、戸惑いは……する。告白したりとか、付き合ったりとか……れ、恋愛ごととは無縁だからな……。不純でなければ生徒同士の交際も認めるが……自分のこととなるとそれは別の話というか……

 

 「古部来クンといい清水クンといい、六浜サンの周りの男ってろくなもんじゃないね」

 

 「なぜそこで古部来の名前を出す!私が古部来とそのような関係にあるとでもいうのかあ!!ない!!断じてない!!」

 

 「あまり強い否定をするなよ。肯定して見えるぞ

 

 「なぜそこで愛染惣右介の言葉を改変引用した。と言うか曽根崎、お前さっき三章とか六章とか言ってたが、プロローグからそんな先の話をしてしまっていいのか?いくら企画ものとはいえ、一応時系列は守るべきだと思うぞ」

 

 「それを言ったら、冒頭でキミ生徒会の人間だってバラしちゃったじゃない。あれ確か五章で明らかになることだったよ」

 

 「いってしまったことをとやかく言っても詮無きことだ。これから気を付ければいい」

 

 「都合いいなあ。六浜サンってリーダー気質で責任感が強いところがあると思ってたけど、意外といい加減なところがあるんだね」

 

 「私も所詮は高校生だからな。完全であろうとする限り人は不完全なのだから、成人にも達していない私など至らない点は多くある」

 

 「自己評価が低い!ボクたちにあれだけのことしておいて不完全とかよく言うよ!」

 

 「だが結局失敗しただろう」

 

 「そうだけどね」

 

 

 

 

 

 「だいぶ話がそれちゃったけど、清水クンが職員室から自分の教室に帰って行ったよ。教室に着くまでの間で、自分の置かれた境遇と彼なりの学園生活観が語られたね」

 

 「はっきり言っていいか」

 

 「どうぞ」

 

 「ふざけるなッ!!

 

 「はっきり言ったねー!」

 

 「なんだこのパート!腐ったとまでは言わんが、性根の曲がった卑怯者ばかりではないか!私の預かり知らぬところで、希望ヶ峰学園の品位は地に堕ちていたのか!指導だ!指導してくれる!!」

 

 「おー、むつ浜サンが珍しくまっとうに憤慨してる。そんなに唾を飛ばして」

 

 「清水の周りにヤツの気持ちを理解してやれる者は一人もいなかったのか!希望ヶ峰学園の不手際で入学してしまい、才能にコンプレックスを持ったまま学園生活を送るなど、悲惨の一言に尽きるではないか!剰え、顔を見るなり陰口を叩いたり居心地の悪い空気を作るなど陰湿極まりない!ゲスだ!ゲスの極だ!」

 

 「怒ってるねえ。まあ秋藁クンたちも言ってるけど、希望ヶ峰学園も学校だからね。こういうのはどこの学校にもあるものさ。いじめたいお年頃なんだよ」

 

 「たとえあらゆる学校機関にいじめが遍く存在していようと、私の手の届くところで行われていたことが我慢ならない!この教室に乗り込んで全員説教してやりたい!この状況を放置してしまい申し訳なかったと清水に謝罪したい!」

 

 「どうどう六浜サン。これ解越だから。本編改変とか絶対やっちゃダメだから」

 

 「ふう……ふう……すまん、取り乱した。あまりにもあまりにもな状況だったからつい。」

 

 「気持ちは分からないでもないけどね。秋藁クンこれは陰湿だもんね。常に周りから馬鹿にされたり避けられたりいじめられたり、あっさり書いてあるけどこれ実際はかなりキツい毎日だったと思うよ。清水クンってトゲトゲしてたから本編だと分かりにくいけど、実はかなりいじめられっ子キャラなんだよね」

 

 「本編ではいじめをするような小さい人間はいなかったからな。というかそれどころじゃなかった」

 

 「六浜サンだったら、もし清水クンが合宿場でもいじめられでもしてたらどうしてた?」

 

 「なんだその質問!いやまあ、私がいる限りいじめなど起きさせもしないが、万が一そういうことがあれば、私はそのいじめたヤツを徹底的に指導する・そんな卑怯なこと“超高校級”の称号を持つ人間がすることではないとな!」

 

 「熱く語るね〜。もしかして経験あり?」

 

 「お前は相変わらず質問にデリカシーがないな。私は別にいじめられたことはないが、本当にあったらどうするつもりなのだ」

 

 「その辺で話を広げてみようかと」

 

 「重いわ!ただでさえ本編の清水が不憫で仕方ないというのに、解説の我々まで重苦しい話にしてどうするのだ!この企画自体が崩壊するわ!」

 

 「重い話と重い話の相乗効果で重力崩壊でも起きるのかなあ」

 

 「ブラックホールが発生するではないか!」

 

 「光さえ逃げ出せない究極の闇が冒頭から発生するなんて、この企画の将来が心配だよ。まあでもそれに引き付けられる人もいるんじゃないかな。ブラックホールだけに」

 

 「全然上手いこと言えてない!」

 

 「でもね、ボクもちょっとは清水クンのこと可哀想だなって思ってるんだよ。だから合宿場にいる間は楽しんでもらうっていう気持ちもあったの」

 

 「絶対ウソだ。お前はただ清水を弄んでいた。いじめとまでは言わなくともおもちゃにしていた」

 

 「人聞きが悪いなあ。そんなに清水クンに肩入れしないでよ。でもまあ、このお話しの清水クンに同情しちゃうのは仕方ないね」

 

 「いや、そうでもないのだ。話が逸れて言うタイミングを逃したが、私が怒っているのは秋藁たちだけではない。清水には申し訳ないが、ヤツにも言いたいことがある」

 

 「へえ。というと?」

 

 「たとえ希望ヶ峰学園への入学が不本意なものであって、自分の才能に自信がなかったとしても、それが学園生活を放棄し、風紀を乱し、自身を貶める理由にはならん!ヤツはヤツで意気地が無い!そんなに学園に不満があるなら我々生徒会に相談するという手がある!抗議という策もある!自主退学という道もある!ヤツはそれらを放棄するどころか、選択しようとすらせずに全てを投げ出したのだ!敵前逃亡どころか敵と向き合ってすらいない!その怠惰さが気に入らんのだ!」

 

 「そこねー。清水クンのクズなところだよね。目の前の問題をあきらめるならまだしも、問題自体を見て見ぬフリするっていうか。まあ清水クンらしいといえばらしいけど、その結果がこれだよね。周りの為すがままに任せて、何もせず文句だけは心の中で吐き出す。情けないったらないね」

 

 「私は悔しい!私は悲しい!私はむなしい!清水は生徒会を頼ることもなく、一人で抱え込むこともなく、自分自身から逃げ出したのだ!それを救ってやれなかった自分が悔しいし、それに気付けなかったことが悲しいし、今となっては全て後の祭りという事実がむなしい……ああぁ……なんということだぁ……」

 

 「そんな分かりやすく頭抱えないでよ。解説はしようよむつ浜サン」

 

 「ああぁぁううああぁぁ……ぐすっ」

 

 「えっ。うそ、泣いてるの?うそでしょ?ボクが泣かせたみたいじゃんやめてよ!」

 

 「済まない。まさか私もこんなことになるとは思わなかった。ただ解説をすればいいとだけ聞いてきたのだが、こんな重い話を聞かされることになるとは思わなかった」

 

 「ブラックホールができちゃうくらいだからね」

 

 「できてない。というかそれはもういいだろう。そんな種類の重さでは誰も寄ってこんだろう」

 

 「QQの、特に清水クンのキャラ設定の重さって他作品のキャラに比べて軽いというか、現実的な部分があるけど、だからこそ逆にシリアスな重さだよね。もっとポップな重さならいいのに」

 

 「重さにポップもシリアスもあるのか?清水がシリアスな重さだとして、ポップな重さとは例えばなんだ?」

 

 「片輪とか」

 

 「びっくりした!!いきなり何を言い出すのだ貴様は!!完全に放送禁止用語ではないか!!」

 

 「あとは記憶がなくなってるとか、人には言えない過去があるとか、そういう現実離れした重さなら読んでる方も軽く受け止められそうなのにねー」

 

 「私が軽く受け流せんわ!いくら二次創作の企画ものとはいえ言っていいことと悪いことの区別くらいはつけろ!」

 

 「大丈夫だよ。実際には伏せ字になるから」

 

 「ニュアンスでだいたいの内容は伝わってしまう気がするぞ。貴様、腐っても広報委員ならば言葉選びももっと慎重にできるだろう」

 

 「腐ってないよ別に。でもまあ言葉のプロではあるからね。慎重に過激でセンセーショナルな言葉を選んでるよ」

 

 「選び方が間違っている!なぜ私はこんなヤツと一対一で会話劇を繰り広げなくてはならないのだ!」

 

 「そういう采配になったんだから仕方ないじゃない。今更そんなこと言わないでよ」

 

 「そもそも、なぜ清水がメインの話で私と曽根崎が解説役なのだ?普通こういうのは話のメインでもあり主人公でもある清水が適役だと思うのだが」

 

 「清水クンがこの手の企画に乗ってくれると思う?」

 

 「ああ(察し)」

 

 「それに、この話の清水クンって可哀想でもあるけど徹底的にクズだからね。自分で自分のクズっぷりを解説させるのって、かなり鬼畜な采配じゃない?」

 

 「それもそうだな……。私でさえ思わず立ち上がってがなり立ててしまったのだ。清水がこのシーンを読んで、まともな精神状態でいられたとはとても思えん」

 

 「がなり立てるのはむつ浜サンだけだと思うけど」

 

 

 

 

 

 「なんて言ってる間に清水クンがみんなから帰れコールを浴びてるよ。しょっぱなからこんな目に遭った主人公は、後にも先にも清水クンくらいだろうね」

 

 「この謎の一体感はなんなのだろうな。よっぽど清水は普段から周囲から嫌われていたのだな。あの性格ならば無理もないか」

 

 「秋藁クンの話じゃ、授業妨害や無断欠席なんかもあったらしいからね。ねえ、全然関係ない話なんだけど、気になるからしていい?」

 

 「……なんだ。言うだけ言ってみろ」

 

 「創作論破って結局コロシアイがメインだから描写されることってほとんどないと思うんだけど、希望ヶ峰学園ってどういう風なカリキュラムで生徒を指導してるの?色んな才能の子を一箇所に集めて未来への希望として育成し、その才能を研究するって、かなり抽象的で中身が見えてこないんだけど」

 

 「思いの外まともな質問だな。よかろう。生徒会として答えてくれよう。だがあくまで、『ダンガンロンパQQ』という二次創作作品の中での希望ヶ峰学園のカリキュラムだということは念頭に置いて聞いてくれ」

 

 「画面の前のおともだちも、そこはしっかり理解してね!」

 

 「急に子供向け番組感を出すな。そして存在からメタな空間でさらにメタなことを言うな」

 

 「メタいものをメタと思えるあなたの心がメタい

 

 「あいだみつをの名作を雑にもじるな!何が何だか分からなくなってくるではないか!それで、我が校のカリキュラムについてだが、まず全学共通カリキュラムと、クラスごとの必修カリキュラム、そして選択カリキュラムの3つから成っている」

 

 「おお、意外とちゃんとした説明」

 

 「入学の段階で、才能ごとにある程度クラス分けがされるのだ。文系ならば人文学系才能や経済学系才能、法学系才能などに分けられ、理系才能なら数学・医学・物理学・農学などといった具合だな。他にはスポーツ系や、技巧系、芸術系、特殊技能系などに分かれる。どのような組み分けがされるかはその年の入学者の才能に依るから、クラス数やクラス毎の人数は年によってまちまちだ。全学共通カリキュラムとは一般的な航行での学習内容だな。人として備えておくべき常識や、人類の希望足る存在としての知識や品格を養う。これはクラスに依らず全員が履修する」

 

 「必修カリキュラムとは違うの?」

 

 「必修カリキュラムとは、わかれたクラスごとに設定された必修科目だ。理系ならば数学が代表的だな。文系ならば社会学といった具合だ。そして選択カリキュラムで、才能に合わせたより専門的な学習を進めていく。必修カリキュラムと選択カリキュラムは、大学で言う学部と学科に準えて考えると理解しやすいだろう」

 

 「ふーん。そんなんだったかなあ。あんまり覚えてないや」

 

 「本編では触れる必要のなかった設定だからな。そもそもこの設定は、この企画を書いている最中に考えたものらしいぞ」

 

 「触れるどころか影も形もなかったんじゃないか!なんで六浜サン自信ありげに説明しだしたの!?」

 

 「設定されたのは本編より後だが、設定上私は知っていなければならないことではあるからな。物語は終わっても作者が創作を止めない限り、我々は絶えず変化し続けるのだ」

 

 「なんだか深い話っぽくなってきたなあ。ボクはもっと軽い気持ちで、六浜さんと楽しくおしゃべりしながら本編の話もちらちらするっていう企画だと思ってたんだけど」

 

 「本編の話がメインでなくてどうするのだ!と言いたいところだが、振り返ってみると案外我々の話も脱線しまくっているな。まともに本編の話をしているとは言い難い」

 

 「そういうのもいいんじゃない?色々とアナーキーなQQらしいって」

 

 「アナーキーって……私としてはあまり納得のいく形容ではないが、まあ大きくは違わないだろう」

 

 「創作論破界に風穴を開ける作風がコンセプトの一つだからね」

 

 「……もしかして今、『アナーキー』と『穴あき』とをかけたのか?」

 

 「同じような意味じゃない?」

 

 「全然違うまるで違う大いに違う!アナーキーとはそもそも近代イギリスのような無政府状態やそれによる混乱を指す言葉だ!統制を失って混乱しているというのなら穏やかに物語の大筋を表しているかも知れんが、断じて同じような意味ではない!」

 

 「統制なら六浜サンがとってたじゃないか。古部来クン公認のリーダーでしょ」

 

 「あれで統制が取れていたというのなら、現実世界のどれほど秩序が行き渡った世界なことか。たった十余名の高校生をまとめられなかった私がリーダーなど、ちゃんちゃらおかしい話だ」

 

 「ちゃんちゃらおかしいとか柄にもない言葉使わないでよ。重力だけじゃなくてキャラまで崩壊しかけてるじゃないか」

 

 「まだ重力崩壊の話を引っ張るのか。もういいだろう。もともと何の話をしていたか忘れてしまったぞ。確か、清水がクラス全員から帰れコールを受けていたあたりまで進んでいたはずだ」

 

 「そこから、こんな主人公珍しいって話になったんだよね。でもこんな主人公だからこそ、冒頭部分から他とは違う描写になったんだね。普段の学園生活から始まるのって結構少ないでしょ」

 

 「そうだな。大抵は入学する前の時点から、希望ヶ峰学園の説明と軽い自己紹介から入るのが定石だろう。他のパターンと言えば、何らかの意味深長な会話や場面から暗転して校内で目を覚ますという流れか。いずれにせよ、主人公が自己紹介すらせずに第一話を終えるなど、今のところ私は見たことも聞いたことも」

 

 「そこへいくとこの話、清水クンの苗字こそ出てきてるけど、下の名前とか才能とか一切出てきてないんだよね。ホント、読者ほったらかしというかなんというか、いろいろと大胆ではあるよね」

 

 「原作はもちろん、他作品との差別化も大きなファクターだからな。果たしてこの1話でどれだけの読者を引き込めるのやら」

 

 「数字データなら得意分野でしょ?人気作品の傾向とか、閲覧数との相関関係とか分からないの?」

 

 「私が分かるのは作者が分かることだけだからな。それ以上はどうしたって分からん」

 

 「作者より頭のいいキャラは書けない問題みたいなこと?」

 

 「まあ……似たようなものだな」

 

 「なに?なんかいまいち納得してませんけどみたいな顔して」

 

 「いや、その問題に関して私は否定的な立場にいるからな。作者より頭のいいキャラは普通に書けると思うぞ。頭がいいということの定義の話になるから、ここではあえて言うまいと思ったのだ」

 

 「また脱線しそうだねえ。ボクは別に構わないんだけど、いよいよ何の話をしてるのか分からなくなりそうだからやめとこうか」

 

 

 

 

 

 「次は清水クンがやけくそになって教室から自分の部屋に逃げ帰るところだね」

 

 「逃げ帰ると言うな。普通に、帰ると言え。いやまあ、構図で言えば完全に逃げているのだが、さすがにこの状況で清水に立ち向かえと言うのは酷だろう。清水自身の暴言が原因とはいえ」

 

 「ホント、暴言になるとやたら饒舌になるよね清水クン。どういう舌してんだか」

 

 「この、「テメエら全員死んじまえ」というセリフ。実は深い意味が込められているのだとか。曽根崎、説明してくれ」

 

 「うーんとね。本編を最後まで読んだ人ならわかると思うけど、この清水クンのセリフとQQ自体の大オチを合わせて考えると、ただの暴言以上の意味にも聞こえるんだよね。洒落にならないんだ」

 

 「確かに洒落になってない。とんでもない」

 

 「それから、本編の中で清水クンはキャラ中トップクラスで暴言を吐くけど、「死ね」とか「殺す」とか言ったのは実は冒頭の何カ所かと最期だけなんだよね。迂闊にそんなことを言える状況じゃなくなったからね。その意味でも、コロシアイとかけ離れた環境でのセリフってことが際立つんだ」

 

 「なるほどな。男子高校生ならば会話の中でつい使ってしまいそうな言葉だが、作者も執筆中実は気を遣っていたのだとか。おそらく自力で気付く読者はいないだろうが」

 

 「分かりにくいよね。なんでそういうことを清水クンが言えなくなったかは、次のプロローグ2『鳴いた雉から撃たれてく』の解説で語られる予定だよ」

 

 「次の解説も私たちがやるのか?」

 

 「ううん。そっちはまた別の人がやるよ。ボクたち16人の中の誰か二人ってことは確定してるけどね。せっかくだからむつ浜サン、予言してみなよ」

 

 「『予言』ではない『推測』だ」

 

 「ハイお決まりの訂正その2。いただきましたー」

 

 「その件をフってくることは推測するまでもなかったがな。そうだな。今回清水が呼ばれなかったのは自分の重い話をさせるのが忍びないからということなら、次の話ならまだ話せるのではないか?というか、ヤツはどの話でもまともに解説などしなさそうだから、まだ自分の視点で物語が進んでいるプロローグのうちに1回は来るだろう」

 

 「ほうほう。じゃあ相方は?」

 

 「正直見当も付かん。相性を考えて穂谷と古部来はあり得ない。進行役ができない滝山と望月は除外だ。むろん私と曽根崎は除くとして、後のメンバーなら誰でもあり得そうだな。笹戸、石川、飯出あたりならなんとかなりそうだ」

 

 「むしろボクは古部来クンと清水クンの地獄の空間も見てみたいけどね。どんなことになっちゃうか面白そうじゃない?」

 

 「どちらも黙りっぱなしで話が進まんだろうそれでは。基本的にあの二人、コミュニケーションに関しては完全に受け身だぞ。受け身同士を采配してどうする」

 

 「沈黙を表現するっていうのも文章家の腕の見せ所ではあるけどね。二人とも何も言わない、気も遣わない殺伐さ加減を楽しむ新しいエンターテインメント。どう?」

 

 「どうって……悲惨な結果になるだろうな。予言どころか断言できる」

 

 「あはっ。じゃあ計画倒れだね。それじゃあ、今回はここまでかな。意外とたくさんしゃべれて楽しかったよむつ浜サン♫」

 

 「私も思いの外楽しかった。どうなることかと思ったが、案外どうにかなるものだな」

 

 「これで次オファーが来たときも安心だね。同じ組合わせにはならないだろうから、ボクとはもうこれっきりだけど」

 

 「次はもっと大人しくて常識のある誰かが来ればいいが……アニーや晴柳院を希望する。というか、できれば企画自体を勘弁願いたいが、そうもいかんのだろうな」

 

 「そんじゃあ画面の前の皆さん。才能なんてクソ食らえ!お相手は曽根崎弥一郎と!」

 

 「ちょっと待て。なんだそのラジオの最後のような別れの挨拶は。それと、その前に何か言っただろう。才能なんてクソ食らえ?なんだその口汚い上に論破作品全否定の文言は」

 

 「QQのキャッチコピーで清水クンの決め台詞。知らない?」

 

 「知ってはいるが改めて聞くとイヤだな。せめてもう少し柔らかい表現に変えられないか?というか、お前自身の決め台詞はないのか」

 

 「えー、文句が多いなもう。じゃあ改めていくよ?むつ浜サンも決め台詞かキャッチコピー付けてよね」

 

 「承知した。いつでもいいぞ」

 

 「それじゃあ、画面の前の皆さん、読んでくれてありがとね!今回のお相手は、嘘“は”言わない広報委員、曽根崎弥一郎と!」

 

 「むつ浜ではない六浜童琉がお送りした」

 

 「バイバーイ☆」




おひさですー。楽しかったですー。
取りあえずまったりゆっくり進めて行こうかなと。
ダンガンロンパカレイドの執筆も頑張ってます!サボってないですから!
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