ダンガンロンパQQ   作:じゃん@論破

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Prologue.3「窮しても通ぜず

 

 こちらは、『ダンガンロンパQQ』の解説になります。

 本編を読了していることを前提に執筆しているため、本編についてのネタバレが多分に含まれています。

 まだ本編を読まれていない方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「創作論破『ダンガンロンパQQ』、解説編『後のお祭り』を読んでるみなさん、こんにちサンキュー。あたしは“超高校級のコレクター”こと石川彼方だよ、今回の解説編の担当をすることになったから、ちょっとの間だけどお付き合いよろしくね。それから相方はこいつ」

 

 「チョコもろきゅうのソーセージー!!滝山大王だぜー!いえーい!」

 

 「……え?なに?なんでいきなり食べ合わせの悪そうなキャッチコピー付けてんの?何をどう間違えたの?」

 

 「はじまるまえに石川が言ってたじゃねーかよ。名まえ言うまえにこれ言うんだぞって」

 

 「あたしが言ったのは“超高校級の野生児”、滝山大王だから!チョコもろきゅうのソーセージって、想像しただけで気持ち悪い食べ物のことなんか教えてないから!」

 

 「いやいや、これはもろきゅうみたいなかんじでチョコをソーセージに付けてたべるってことなんだぜ。そういう食いもんがあるってアニーが言ってたぞ」

 

 「それはたぶんチョコフォンデュのことだと思うけど、だとしても自己紹介の時に名前より先に言うことじゃないでしょ!しっかりしてよね。これから本編の解説するんだから、あんたの発言にまでいちいち解説入れてたらあたしてんてこ舞いになっちゃうわよ、あんたと一緒にやるってだけで、こっちは開始前から不安で仕方ないっていうのに」

 

 「シッケーな!おれだってやるときはちゃんとやるぞ!カイセツだろ。かんたんかんたん」

 

 「一応聞くけど、解説って何かわかって言ってんの?」

 

 「わかんね!でも石川がいるからきっとダイジョブだよな!」

 

 「そんなところで頼られてもうれしくもなんともない!頼るっていうか丸投げじゃない!けどまあ、今回のお話しはk本的にみんなの自己紹介がメインだから、解説することも分かりやすいし、話しやすいからなんとかなるのかしら……」

 

 「なんくるないさー」

 

 「うちなーぐちで言っても全然安心できない。むしろ軽々しく聞こえて余計不安が増した」

 

 「天井のシミをかぞえてるあいだにおわるって!」

 

 「それ使う場面が全然違うから!誰に教わったのよそんなの!」

 

 「そねざき」

 

 「やっぱり案の定予想通りだった。いい?曽根崎の言うことの9割はいい加減だから真に受けちゃだめ。何か言われたら「はいはい」って言ってスルーしとけばいいの」

 

 「はいはい」

 

 「あたしをスルーするな!!なんで解説担当の相方をスルーするのよ!!」

 

 「おこんなよ石川。ハラへってんのか?おまんじゅう食うか?」

 

 「あらありがと気が利くわねって、なんでおまんじゅう持ち込んでんの!?自由過ぎるでしょ!!」

 

 「ながくなるからもってけっていいでがくれた」

 

 「長いって言ってもお弁当が必要になる長さじゃないわよ。はあ……でもちょうどおなか減ってきてたからもらうわ。あむっ」

 

 「やっぱハラへってたんだな」

 

 「しょっぱなからあんたにツッコミっぱなしだからね。この調子じゃ話が終わるより先にあたしのテンションが保たないわよ」

 

 「おまんじゅう食いながらまったりやろうぜ〜。もぐもぐ」

 

 

 

 

 

 「じゃあ早速、っていうかようやく、解説編『後のお祭り』を始めていくわよ」

 

 「おまつり!わーい!」

 

 「外に出て行こうとするなそのお祭りじゃない!番外編とかパロディとかの意味のお祭りだから!」

 

 「ちぇっ。なーんだ。ややこしいタイトルつけるなよな」

 

 「もう3回目なのに今更そこに文句つけてもしょうがないでしょ。それにこのタイトルだって、結構考えた末に付けられたんだからね。せっかくだから解説編も本編と同じタイトリングをしようってことで」

 

 「タイトリング?それってイカリングよりうまいか?」

 

 「イカリングともオニオンリングとも違うそもそも食べ物じゃない!タイトルを付けることよ。読者のみなさんはもう気付いてると思うけど、ダンガンロンパQQのプロローグや章のタイトルは全部、ことわざのもじりになってるのよね」

 

 「ことわざ」

 

 「あんたには分からないでしょうね。でも結構考えられてるのよ。それぞれの章ごとにタイトルで暗示されてるキャラがいたり、元の意味から中身がある程度予想つけられたり。あたしやあんたもタイトルになったりしてんのよ。あんまりうれしいことじゃないけど」

 

 「ほへー。プロローグのタイトルってどんなんだっけ?」

 

 「一番最初のプロローグ1が『覆水は盆に返れない』だったわね。これの元ネタはさすがの滝山でも分かるんじゃないかしら?聞いたことない?」

 

 「う〜〜〜ん……うぬぬぬぬっ……!ふんっぐぐぎがっ!!」

 

 「え?なに?なに急に歯を食いしばって苦しそうにして。どうしたの!?」

 

 「ふぐっ……!ふ、ふくすい、は……!ぼんにぃい……!!かっ……えらあああずぁっ!!……だったっけ?」

 

 「質問に答えようとしてたんだ!そんなにガチで思い出そうとしないと出て来ないの!?」

 

 「ふう……ふう……あーつかれた。あたまがぐわんぐわんする」

 

 「ことわざ一個言うだけで相当消耗しちゃってる……ごめん滝山。さっきの軽い質問にあんたがそこまで本気になってくれるとは思わなかった」

 

 「はらへったあ。力がでねえよお……」

 

 「分かった分かったわよ。出前とってあげるから元気だして」

 

 「アニーのめしがいい」

 

 「じゃあアニーに電話して終わった後にご飯作ってもらうから」

 

 「わーい!がんばる!」

 

 「えーっと、びっくりして何の話してたか忘れちゃったわ。なんだったかしら?」

 

 「……ふんっ!」

 

 「ああもういいからいいから!!そうだそうだ!!『覆水は盆に返らず』よね!プロローグ1の元ネタ!」

 

 「ことばはしってるけどいみはわかんねんだよなあ」

 

 「覆水っていうのはこぼれた水のこと。言葉の意味をそのまま直すと、こぼれた水をお盆に返すことはdけいない、ってことよ」

 

 「なんだそりゃ。あたりまえじゃん!」

 

 「このことわざには由来があるの。昔の中国のあるお役人さんが結婚したの。でもずっと仕事もしないで本ばっかり読んでたから、奥さんは愛想尽かして離婚したのね。でもその後で、そのお役人さんが出世すると、元奥さんはよりを戻そうと言ってきた。そこでお役人さんは水を張ったお盆をひっくり返して、この水と同じように私とあなたの縁はもう戻せないよって言ったの。そこから、一度起きたことは二度と元には戻らないって意味になったのね」

 

 「ぐう……」

 

 「寝るな!相方が解説してる時に寝るな!」

 

 「むにゃ……おきてるおきてる。えっと、チョコもろきゅうのソーセージの」

 

 「それ一番最初の会話だし違うっつってんでしょ!どんだけ記憶が混濁してんのよ!」

 

 「なんだっけ?」

 

 「プロローグ1!章のタイトル!元ネタのことわざ!」

 

 「ああそうだそれだそれだ」

 

 「まったくもう。気を取り直して解説するわね。この『覆水は盆に返れない』っていうタイトルはQQの中でも秀逸なタイトルよね。このタイトルは清水のことを表してるんだけど、まず覆「水」と清「水」でかけてるのよね」

 

 「じゃあしみずがおぼんからおっこちたのか?」

 

 「あながち間違いじゃないわね。清水は自分から才能を捨てたから、“超高校級”っていうお盆からドロップアウトしたのよ。才能を捨てるなんて、あたしからしたら考えられないわ。あいつの過去に何があったのかはまた別で語られると思うけど」

 

 「なんだかかわいそうだなあしみず。でもしみずが自分からそうしたんなら、あいつはそれでいいのかもな」

 

 「それがそうでもないのよ。清水の“超高校級”へのコンプレックスはすさまじくって、だけど心のどこかであいつは、才能を捨てたことを後悔してたと思うの。もう一度希望ヶ峰学園で“超高校級の努力家”として学園生活を送りたいと思ってたと思うの」

 

 「そうなのか?なんでわかるんだよ?」

 

 「あいつがそう思ってたからこそ、『覆水は盆に返“れ”ない』って不可能形なのよ。帰りたくても返れない。還れないし、変えられない。そんな後悔までもが、このタイトルに込められてるってわけよ」

 

 「なんだかわかんねーけどかなしくなってきた。しみずってそんなにわるいことしたか?」

 

 「悪いことしたから落ちぶれたんじゃなくて、落ちぶれたこと自体が悪なのよ。希望ヶ峰学園に限らず、世の中そういうもんよ。そうじゃなかったら、あたしだってあんなこと……」

 

 「な、なんかいき苦しくなってきた。あれ?なんでだ?おれはたのしくおしゃべりしてればいいってきいてたぞ」

 

 「今からこんな暗くなってたらダメね。この後になると本当に洒落にならないくらい重い話が出てくるんだから。ここはせめて明るくバトンを渡していかないと。章タイトルの話よね!プロローグ1の次はプロローグ2よ!」

 

 

 

 

 

 「ないたきじからうたれてくー!」

 

 「あら、すんなり言えたわね。イントネーションがおかしいのが気になるところだけど、字面じゃわかんないからOKね。えらいえらい」

 

 「えへへー♫」

 

 「変換すると、『鳴いた雉から撃たれてく』ね。元ネタは『雉も鳴かずば撃たれまい』、余計なことしなければ余計に痛い目を見ることもないってことわざね。ざっくり言うと」

 

 「よけいなこと?」

 

 「このタイトルでもクローズアップされてるのは清水ね。ポイントは、お話しの最後で清水がモノクマに突っかかっていったところよ」

 

 「あー、あれはビビった。ホントにしみずしんじゃったかとおもった」

 

 「あたしも思わず目を閉じちゃった。モノクマに怒るのは分かるけど、ああやって余計なことするとこうなるぞって見せしめにされかけたのよね。その意味で、清水は鳴いた雉だったわけよ。結局本編を通して撃たれた雉はいなかったわけだけど」

 

 「キジってなんてなくんだ?」

 

 「ケンケンって甲高い声で鳴くらしいわよ。あたしも実際には聞いたことないけど」

 

 「ヒーヒヒッ」

 

 「なにその絞り出すような笑い方。そんな厭らしい仕草するヤツじゃないでしょ」

 

 「いまケンケンって」

 

 「もしかしてチキチキマシーン猛レースのケンケンのこと言ってんの!?分かりづらいボケしないでよ!ツッコミのタイミング完全に逃したじゃない!」

 

 「おもいついたことはえんりょしないでどんどんやれって、ろくはまが」

 

 「きっと六浜ちゃんはそんななんでもありっていう意味では言ってない!というかあんた、何気に今までの解説を担当した人たちから真面目にアドバイスもらってきてるのね」

 

 「ふふーん!よしゅーふくしゅーばっちりだぜ!」

 

 「復讐はしなくていいし予習してきたっていうなら本編のタイトルくらい覚えておきなさい。ちなみにいま、曽根崎と飯出と六浜ちゃんからアドバイスがあったって言ったけど、清水からはなんて言われたの?」

 

 「しみずのはなしはしなくていいって」

 

 「主人公の話しないでどうすんの!ったくもう本当にあの男は!っていうか、もうしちゃってるから別にいっか。次いきましょ」

 

 

 

 

 

 「そんじゃ、いまおれたちがカイセツしてるはなしのタイトルはなんだっけ?」

 

 「覚えとけ!と言いたいところだけど、ここだけちょっと難しいのよね。他のことわざに比べてあんまり使う機会もないし。えっと、タイトルは『窮しても通ぜず』ね。元ネタは「窮すれば通ず」、物事が行き詰まって困り切るとかえって思いがけない活路が開けるって意味よ」

 

 「ほー」

 

 「この場合は、合宿場に集められたあたしたち全員を指して言ってるわけね。コロシアイを強要されて出口がなくて完全に困り切ってるのに、活路が全然見えて来ないっていうことよ。そんなに深くかかわってるわけじゃないけど、まあその通りよね」

 

 「そうなんだよなー。もりの中入ってみたけど、こういうのがたくさんあってとおれなかったんだ」

 

 「そのバッテン、本編でもやってたけどなんなの?立て札でも立ってた?」

 

 「なんかな、こういうのがたくさんあつまっててな、びっしり広がっててな」

 

 「あ〜……もしかして金網かしら?それだったらあんたならよじ登って越えられそうだけど?」

 

 「んで、やばいケハイがしたから木のぼうなげてみたらバリバリいってまっくろこげになった」

 

 「高圧電流ながれてるわよねそれ!?あっそう……まああのモノクマがただの金網なんかで閉じ込めるわけないわよね。触ったらおしまいってことか。まあ電気も攻略の方法がないでもないけど、きっとそれだけじゃないんでしょうね。地雷くらい埋まってそうだわ」

 

 「こえー。あんなもりの中でしんじまったらクマにボロボロになるまで食いちらかされちまうぞ。カラスもきてあたまわれるまでつつかれるぞ。たくさんウジもわくぞ」

 

 「大自然の死体処理プロセスを詳らかにするな!なんでそこのボキャブラリーは豊富なのよ!」

 

 「見てきたからな!」

 

 「経験談なのね……そういえばあんたって、大自然の中でそのくらいの年まで生き抜いてきたのよね。動物に育てられた人間の話って少なくないけど、よくこうやって普通に会話できるまでになったわよね」

 

 「がんばってベンキョーしたからな!おれだってやればできるんだぜ!」

 

 「できればもうちょっと常識と服を身につけてきてほしかったわ。ほとんど半裸であちこち駆け回られて、最初のうちは本当に見かけるたびにびっくりしてたわよ」

 

 「おれはもっとベンキョーしてもよかったんだけど、やったらおれのよさがなくなるって言うから、じゃあしょーがねーなって」

 

 「ああ。“超高校級の野生児”だもんね。教育しきったら野生児じゃなくなって才能もなくなるから、イイ頃合いで打ち止めってことか。それで問題児扱いしてちゃ世話ないわよね」

 

 「おせわになりました」

 

 「ちゃんとそういう礼儀言葉は習ってきたわけ?」

 

 「いただきまぅす。ごちそうさまんぼー」

 

 「魔法の言葉っぽくなってる!ステキな仲間がぽぽぽぽーんしそう!」

 

 「えー、でもこのはなしでしみずのなかまがぽぽぽぽーんするんだろ?おれや石川もいるんだろ?」

 

 「そりゃそうだけどぽぽぽぽーんはしてない!普通に登場する!ってあれ?もしかして今、脱線に脱線を重ねた話の流れを滝山に修正された?あたしがリードされてた?」

 

 「ふっふーん」

 

 「うっわドヤ顔むかつく!」

 

 

 

 

 

 「まずはしみずとそねざきがでっけーホールから出てきて、いっしょに色んなところ行くことになったシーンだぜ」

 

 「ここで曽根崎が、『もぐら』の話をしてるのよね。さり気なく、もないけど、ここで三章に向けての伏線を張ってあるわけ。原作でもジェノサイダー翔の伏線が早めに張ってあったから、それに倣ったわけね」

 

 「『もぐら』ってなんだっけ?」

 

 「忘れちゃダメでしょあんたは!っていうか、忘れるって『もぐら』が一番嫌がることだから。あんた曽根崎と屋良井の話きいてなかったの?」

 

 「それどころじゃなかった」

 

 「ああ、そうだったわね。その裁判の時も、あんたには特別な演出かかってたもんね」

 

 「あっ、しみずがそねざきのことぶった」

 

 「このやり取りもこっから何十回とするのよね。よく曽根崎は清水に愛想尽かしたり離れていったりしなかったわね。なに?Mなの?」

 

 「えむ?えむってなんだ?」

 

 「やめましょう。こんなこと滝山に教えてたらわけわかんないわ。解説をしましょう解説を」

 

 「えーっと、いちばんはほたにだな。うぅ、こわい……」

 

 「あんた穂谷ちゃんのことそんなにこわがってたっけ?」

 

 「すぐおこるんだもん……おこるのにかおはわらってるからよけいにこわい……」

 

 「あの子はああいう顔しかできないんだからしょうがないじゃない。でも確かに、穂谷ちゃんってちょっと怖いわよね。なんというか、常に睨まれてるような気がする。ちょっとでも失言したりミスしようものならすぐ指摘してきそうな怖さがあるわ」

 

 「びくっ!びくっ!」

 

 「ここではまだ女王様って呼ばれてるくらいしか情報がないから、そこまで怖がることはないと思うわよ。このあだ名って誰が付けたのかしら。曽根崎じゃないっぽいけど、よく言えたわねそんなこと。あたしだったら怖くて無理」

 

 「そねざきはすげーなー。あんなほたにとたのしそうにしゃべれて」

 

 「次はアニーね。正しくはアンジェリーナ・フォールデンス。まあこれも本名かって言われると微妙だけど」

 

 「わーいアニーだ!アニーだアニーだあ!」

 

 「探索を始めていきなりコーヒーブレイクって、この時のアニーって実はかなりマイペースなんじゃないかしら。一応キッチンと食堂の探索はしてるみたいだけど」

 

 「コーヒーってにがいんだよなあ。アニーがよろこぶからのむけど、もっと甘いのがいい」

 

 「アニーだったら甘くておいしいコーヒーも淹れてくれるわよ。それにしても、ここで清水がアニーのコーヒーに毒が入ってるかもって邪推してるのがあたしは許せない。アニーがそんなことするわけないじゃない」

 

 「そーだそーだ!どくなんか入ってたらにおげばすぐわかるんだから心ぱいしなくたっていいじゃんか!な!」

 

 「ポイントがだいぶずれてる。匂いじゃ分からない。初対面だから警戒してるっていうのは分かるけど、結局このあと清水、アニーのご飯食べてるわよね。ちょっとでも疑ったことをあやま……るわけないか。この男が」

 

 「そのつぎはろくはまだ」

 

 「女の子3連続ね。六浜ちゃんはここで資料館を調べようとしてたみたいだけど、まだこの時は開放されてなかったのよね」

 

 「ろくはま……しりょうかん……うっ、あたまが」

 

 「うっ、あたまが。じゃないでしょ。頭抱えたいのはむしろ六浜ちゃんの方だっての!それにしても、この資料館、この後なかなかの頻度で使われるのよね。二章でも三章でも五章でも重要な場所になるし。そこを考えると、最初に目を付けた六浜ちゃんはさすが、“超高校級の予言者”と言ったところかしら」

 

 「ふつーにどまん中にあったからだとおもうけど。はんたいがわにこぶらいもいたんだろ?」

 

 「そうね。テラス席の方を探索してたわ。六浜ちゃんは中を覗いてたみたいだけど、古部来はこの時なにしてたのかしら?あいつなら中を覗いても入れないなら意味ないって言って、他のところ行きそうだけど」

 

 「休んでたんじゃね?」

 

 「あり得るわね。規則の発表前だし、ここで居眠りしててもおかしくはないわ。清水のことバカ呼ばわりして偉そうにしてたけど、こいつだってろくに働いてないじゃない!」

 

 「こぶらいはほたにとはちがうこわさがあるぞ。何も言わなさそうなのにものすげーこえーぞ」

 

 「威圧感は確かにあるわね。その反動かしら、バランスとりかしら、次は笹戸ね。やっとここでクセの少ない顔ぶれが出てきたわね」

 

 「ささどはなー、やさしいしなー。おれのこといっぱいおせわしてくれるしなー」

 

 「あんたとは仲良くしてたわよね。というか、あんたが一方的に懐いてたって感じだけど。笹戸も笹戸で、あんたとか明尾ちゃんに振り回されまくってて悪い気はしてなかったっぽいわね」

 

 「あいつなよっとしてるけどな、けっこう体がっしりしてんだぜ。力もそこそこあるんだぜ」

 

 「それは裏設定というか、どっかで言われてるわね。才能で言えば釣り人って、アウトドアスポーツの一種とも言えるから、ジャンルなら体育会系になるのかしら」

 

 「ささど、ぬいだらすごいんです」

 

 「脱がすな!そういえば腹筋われてるってのも言われてたわね。あんな顔してムキムキの体してたらちょっと引くかも……。笹戸は何も悪くないけど、なんかちがう」

 

 「ちがうな」

 

 「ここで半分くらいかしら?晴柳院ちゃんと有栖川ちゃんがセットで登場ね」

 

 「こいつらなかいいよなー。いつもいっしょだったぜ」

 

 「有栖川ちゃんが晴柳院ちゃんを猫可愛がりしてるってところをよく見るけど、晴柳院ちゃんも有栖川ちゃんに懐いてるわよね。ぬいぐるみ作ってもらったり髪結ってもらったり。そう考えると、有栖川ちゃんの女子力ってすごいわね。同世代の女の子のお世話できるって」

 

 「おれもありすにはおせわになりました。たくさんふくぬってもらったぞ!」

 

 「あんたそのものが縫われそうになったこともあったわね。女子たちの前で半裸になったから。六浜ちゃんやアニーが精神的に女子を支えるんだったら、有栖川ちゃんは物理的に女子を守ってたポジションかしら」

 

 「ありすはおこってもあんまりこわくねーな。すぐにげきれるし」

 

 「ちょっといま気になったんだけど、なんであんた他の人はみんな苗字呼び捨てなのに、有栖川ちゃんだけありすって呼ぶの?別人みたいになってるわよ」

 

 「ありすがわってなげーじゃん。ダメか?」

 

 「ダメかダメじゃないかで言ったらダメじゃないけど、理由が雑ね。まあ有栖川ちゃんが気にしてないみたいだったからつっこまなかったけど、せっかくの解説編だから聞いただけよ」

 

 「つぎいってみよー!ってああ!つぎおれだ!チョーコもーろきゅーの!」

 

 「それはもういい!ちょうどあんたが森の中から帰ってきたところね。さっきのバッテンの件もあるわ」

 

 「そういや、ここでおれ名まえ言ってなかったとおもう。そねざきがなんでかしってた」

 

 「あんたの場合は特例入学だから、曽根崎がマークしてないわけがないわよね。この見た目であの言動で、そのバックグラウンドで、どうしたって目立たないわけがないもの」

 

 「こんときのおれバカっぽいなー」

 

 「大丈夫、今でもあんたは昔のまま。変わったりなんかしてないわよ」

 

 「いいかんじっぽく言ってるけどだまされねーからな!バカってことだろ!」

 

 「あら、これくらいじゃ騙されないのね。やっぱ成長してるじゃない」

 

 「そうだろーふふん!」

 

 「騙されはしなかったけどごまかされはしたわね」

 

 「つぎはあけおだぜー!いえー!」

 

 「QQメンバーはみんなキャラが濃いけど、その中でも明尾ちゃんは群を抜いて濃いわよね。女子なのに一人称わしって」

 

 「おもしれーよな。あとあいつ、近くにいるとすなとおせんこうのにおいがするんだぜ」

 

 「どんな女子高生だッ!女子力皆無って設定にしたって、さすがにそこは気ぃ遣わないとダメよ明尾ちゃん!古びた倉庫にハアハアしてる場合じゃないって!」

 

 「ヘンだよなー。あんなそうこがいいなんて、ヘンだよなー」

 

 「恋愛のストライクゾーンが60オーバーとか、骨董品や古い建築に欲情するとか、老人言葉とか女子力の無さとかつるはしとか、色々と盛り過ぎじゃない?よくそこそこ長い登場期間を上手くやっていけたわね」

 

 「メガネっこだしな!」

 

 「そこは気にならない。というか曽根崎から教えてもらった言葉を使わない」

 

 「えー!?なんでそねざきにおしえてもらったってわかるんだ!?」

 

 「他にメガネっ子なんて言葉を教える人はいない。さ、次よ次。次は鳥木ね」

 

 「かっこいいなー。とりきってキラキラしてるよなー」

 

 「そんな風に思ってたの?悪くは思ってなかったと思うけど、そんな憧れめいた感情だったの?」

 

 「なんつーか、おれもああなりたいっておもったりする。ぴしっとしてるし、みんなにやさしいだろ?それからめしもくれるし、おこんないし」

 

 「優しくて怒らなくてご飯がおいしいって、耳あたりはいいけど実際、人を育てる人としては欠陥あるわよね。怒るときはきちんと怒らないと」

 

 「おこってもやさしいとおもうぜ」

 

 「そういえば鳥木って年下の弟妹がたくさんいるのよね。叱ったりするのかしら」

 

 「ダメですよ、って言いそう」

 

 「ダメですよ、って……イメージないわね。もっと執事っぽくて、いけませんよ、くらいじゃないかしら。いや、そもそもなんで家族に敬語前提なのよ」

 

 「じゃあ、こらっ、とか、めっ、とかかな」

 

 「もっとイメージないわね。敬語の方がまだあり得そう。こういう話はあたしたちがいくら考えても仕方ないし、鳥木が解説するときに明らかにしてもらいましょ。宿題よ宿題」

 

 「そんなのできたのかよ!」

 

 「さ、次はあたしね。あたしに関してあたしが何か言うこともないんだけど……滝山なんかある?」

 

 「んっとな、なんで男子にむかついてんだ?」

 

 「そりゃまあ、このくらいの年頃だとだいたい男子に対してちょっと不満があるのは普通じゃない?こういう状況だし、つい言っちゃったっていうか……そこは正直あんまり考えてなかったわ。けど曽根崎と清水がじゃれてるの見たら、のんきねって思うのも当然じゃない?」

 

 「男子のノリなんだぜー。女子にはわからねーだろうけどな!」

 

 「そのノリをこんなところでやる意味がないでしょってことよ。まあいいわ。清水がじゃれてるつもりじゃないっていうのも分かったし。自分が出てるところじっくり見るの恥ずかしいからさっさと次いきましょ」

 

 「つぎはー?やらい!」

 

 「この男は……今の段階じゃ完全になりを潜めてるわね。あんな危険人物だとは思わなかったわ。才能不明っていうのは気になってたけど」

 

 「そねざきはやらいがもぐらだってのはわかんなかったのかな?あいつならわかりそうだけど?」

 

 「どうかしら。あいつの調査資料によれば、この合宿場にいることまでは予想付けられるみたいだったけど、連れてこられて間もないこの時は、そんなことまで考える余裕なかったんじゃない?」

 

 「バレてたらバレてたでどうなってたんだろな。いきなりぜんぶボカーン!とかあったのかな」

 

 「あながちない話じゃないのが怖いわ。規則さえなかったらあいつ皆殺しも厭わないって言ってたものね。めちゃくちゃよ……」

 

 「おれもめちゃくちゃな目にあわされた」

 

 「あたしが言えたことじゃないかもしれないけど、あんたのあれは相当かわいそうだったわ。まあその辺もあとの解説に回しましょ」

 

 「おまえがヒーローになんかなれるわけねーだろ!こんにゃろー!」

 

 「目立ちたがりっていうのはこの時からちょいちょい言われてたわね。目立ちたいというか、目立ったことで記憶に残ることが目的だからちょっと違うわけだけど。承認欲求の塊みたいなヤツだわ」

 

 「ほたにともこぶらいともちがうかんじでこわいよな」

 

 「あんた意外と色んな人怖がってるのね。でも屋良井とはよく遊んでなかった?」

 

 「あんなヤツとは思わなかったんだもんよ」

 

 「ああ。本性現したときはもう時既に遅しだったものね。ホント、そのあたりの策略はしっかりしてるわ」

 

 「つぎにいいでだ!しみずからこれ言っとけっていうのが一つあるぞ!」

 

 「清水から?なによ、あいつなんだかんだで滝山にちゃんとアドバイスしてくれてるんじゃない。なに?」

 

 「こいつキャラちがくね?だって!」

 

 「た、たしかに……前回の解説の飯出と、ここで自己紹介してる飯出と、なんかちょっとだけキャラが違う気がするわ。なんというか、今ほど破天荒さがないというか。ちょっと落ち着いてるわよね」

 

 「リーダーぶってたんだなー」

 

 「というか、単純にこの時はまだキャラが固まってなかったんだべ状態だと思うわ」

 

 「べ?」

 

 「あらやだ、あたしったらなんでべなんて付けたのしかしら。口が勝手に」

 

 「キャラかたまってなかったのか。いつかたまったんだ?」

 

 「ここはちょっと裏話というか、本当なら言わないでおいた方がいい話なんだけど、飯出がリーダーポジションになるっていうのは確定事項だったんだけど、六浜ちゃんとの差別化が難しかったらしいのよ」

 

 「えー?ぜんぜんちがうとおもうけどな」

 

 「キャラ自体は差別化されても、文字の上で差を出そうとすると勝手が違うのよ。しゃべり方でああこのキャラがいま喋ってるんだな、って分からせるためには、六浜ちゃんのちょっと古くさいしゃべり方とは違う、けどリーダーっぽい喋りが必要になるの。そこに冒険家っていう逞しさを付け加えようとしたもんだから、とっちらかっちゃったっていうか、上手く書けなかったのね」

 

 「そうなんだあ。そうだよなあ。今のいいでだったら「〜なのだ!」とか言わねーよな」

 

 「それこそ六浜ちゃんの口調よね。キャラが固まってきたのは、一章であいつ視点で書いてるときあたりよ。結果論だけど、本当ギリギリになって口調が固まるなんて、なかなか不憫よね」

 

 「しんでキャラが立ったし、しぬまえにキャラがかたまったし、いそがしいヤツだったんだな」

 

 「冒険家だけにキャラ迷子になっちゃったのね。さ、いよいよラストは望月ちゃんよ」

 

 「ふーむ、もちづきはいつもねむたそうだな」

 

 「眠たいんじゃなくてジト目ってヤツよ。この子もなかなか深い背景があるキャラよね。棒読み無表情で難解な言葉使うって、割とありふれてるキャラ造形だとは思うけど」

 

 「しみずとそねざきとなかよくしてるぜ」

 

 「もうこのトリオはいつも一緒ね。清水に二人が付きまとってる感じだけど、清水も後半はなんか受け入れてる感じよね。あいつが最終的にあそこまで丸くなれたのは、二人のおかげってことね」

 

 「よっしゃーこれでぜんぶカイセツおわったぜ!はらへったー!」

 

 「キャラ紹介だけじゃなくて、その後もちょっと続くのよ。改めて出口がないことが分かって、望月ちゃんの変な発言があった後で、モノクマから電子生徒手帳が配られる件。前と後の件はどの創作論破でも共通する必要な流れだとして、真ん中の望月ちゃんの発言は、この子の異質さを際立たせるアピールタイムみたいなものね」

 

 「空から出てくのはさすがにおれもむりだぜ」

 

 「なんというか、あたしたちと同じ場面をイメージしてても状況を理解してないっていうか、課題を履き違えてるっていうか。なんか噛み合わないのよね」

 

 「その点そねざきってすげーよな。さいごまでしっかりおはなししてた」

 

 「チョコ菓子みたいに言ってるけど、曽根崎も曽根崎で相手の話を聞いたり聞いてなかったり誘導したり放置したり自由自在だから、逆にお互いノンストレスで話せたのかしら」

 

 「あいだにはさまれたしみずは大へんだっただろうな」

 

 「ノンストレスじゃないわね。二人分のストレスも清水が肩代わりしてただけね」

 

 「やっぱいいトリオだな」

 

 「清水にしてみればたまったものじゃないけどね。さて、これで本当に本編の解説は終わりね」

 

 「はらへったー!」

 

 「そういえばアニーにご飯作ってもらう約束だったわね。今から呼ぶから、最後にお別れの挨拶して終わりにしましょ」

 

 「はーい!」

 

 「それじゃあ画面の前のみんな、最後まで読んでくれてありがとう。次は一章前編、日常編と非日常編の解説になるわね。だれが来るかはお楽しみ♫」

 

 「いーしーかーわー!はーやーくー!」

 

 「はいはい分かったわよ。それじゃあお別れの挨拶いくわね。お相手は、欲しいものは絶対ゲット!石川彼方と!」

 

 「チョコもろきゅうのソーセージ!滝山大王がおーくりしたぜ!」

 

 「それキャッチコピーにするの!?最後の最後まで!?」

 

 「さよーならいおん!」




解説編もずいぶん書いた気がしますがまだプロローグでした。
次の分も書き上がって校正中ですので、しばしお待ちを。

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