こちらは、『ダンガンロンパQQ』の解説になります。
本編を読了していることを前提に執筆しているため、本編についてのネタバレが多分に含まれています。
まだ本編を読まれていない方はご注意ください。
「わーーーっはっはっはっはっはあ!!」
「だ、だれだおまえはー?」
「この名を知らぬとは言わせぬぞ!!わしこそは!!新進気鋭の肉体派考古学者!!掘って掘って掘りまくり!!誰が呼んだか“超高校級の考古学者”!!明尾奈美とはわしのことじゃあ!!どかーーーんッ!!」
「ははあーっ」
「くるしゅうない面を上げい。ではこれより創作論破『ダンガンロンパQQ』、解説編『後のお祭り 第一章前編』を始めるぞ。わしの話を聞けェーーーィッ!!」
「ははあーっ。アケオさまー」
「んがっはっはっは!気分がいいのう!久し振りに全力で動くと気持ちが良いもんじゃのう!今のうちに動きだめしとかんと、後で体が痺れてこんか心配じゃったが、これだけ動けば大丈夫じゃろう!」
「ね、ねえナミ。ワタシはまだ名前を言っちゃダメかしら?」
「おお忘れておった!すまんすまん。名乗れ名乗れ。今のままではこれを読んでいる読者がわし1人の特別企画と勘違いしてしまいそうじゃからな。さすがにわし1人には荷が重すぎるでな」
「そう。ありがとうね。それじゃあ……ハーイ、ディスプレイの前のみんな、ちょっとつかれてない?コーヒーでもいかが?ワタシは“超高校級のバリスタ”、アンジェリーナ・フォールデンスよ。アニーって呼んでちょうだい。今日はナミといっしょに、ワタシたちのお話の一つを解説するわ。よろしくね」
「うーむ流れるような自己紹介!実に気持ちが良い!さすがアニーじゃな!」
「ナミこそ、こうやって出てくるのは久し振りなのにちっともキャラがブレてないわね。出だしからインパクトが強かったわ」
「アニーにも協力してもらったからのう。ヒーロー風にしてみた。今はワンパンで敵を倒すヒーローや木偶の坊が成長するヒーローが流行らしいからの」
「ちょっとおくれてる気がするわね。ナミらしいわ」
「いやあそれほどでもあるがの!」
「ほめてはないわよ。それじゃあ、今回はワタシとナミでお送りするわね。コーヒーでも飲みながら、ゆっくり読み進めていってちょうだい」
「瞬き厳禁じゃ!!」
「文章でそれはムチャね」
「では改めて『ダンガンロンパQQ』、『解説編 後のお祭り』を始めていこう!今回は第一章『忘れた熱さに身を焦がす』の日常編から非日常編までを解説していくぞ!担当はわしこと明尾奈美と!」
「ワタシことアニーでお送りするわね。よろしくおねがいね」
「プロローグでは、主人公である清水の学園生活と、コロシアイ生活のスタート、そして各キャラクターの簡単な自己紹介が描かれたのじゃったな!ここからはそのコロシアイ生活の中でわしらがどのように過ごしていたかが描かれておるぞ!伏線もあっちこっちにあるぞ!」
「カケルがキボーガミネスクールであんな風にすごしてたなんて知らなかったわ。知ってたら、もっとやさしくしてあげられたのに……」
「十分優しかったと思うがの。しかしその気遣いはヤツにとって逆効果じゃったろう。ヤツは今の自分の立場に劣等感とコンプレックスを抱えておるが、それ故に他人から気遣われることを嫌うはずじゃ」
「むずかしいわね。男の子は」
「ヤツは特別だと思うがの。さて、そんな清水の視点から物語は始まるぞ」
「ねえ。ストーリーが進む前に聞いておきたいことがあるから、今きいていいかしら?」
「なんじゃ?なんでも聞いてみ」
「前回、カナタとダイオがこのコーナーをしたときに、タイトルのモチーフについてカナタがエクスプレッションしてたのね。それでプロローグまでしか説明してなかったから、その後も説明したらどうかしら」
「おお!なるほど名案じゃな!その後となると、まさしく今わしらが解説をしているこの第一章『忘れた熱さに身を焦がす』じゃな!いやー、この語呂の良さ!もじり具合といいリズム感といい意味合いといい、なかなかに秀逸なタイトルじゃ!」
「うん、ナミがそう言うのはいいと思うわ。でもこれって作者が書いたものだから、ものすごくセルフプライズよね」
「自画自賛じゃな!仕方あるまい!こういうことをガンガン言っていくための解説企画じゃ!それで、このタイトルの解説じゃな。ふむふむ。まずは元ネタとなることわざからじゃ。結構もじってあるが、元ネタが分かった読者も多かったのではないかのう。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」じゃ」
「ごめんなさい。ワタシやっぱりジャパニーズまだむずかしいの。どういう意味かしら?」
「熱い茶を飲んでしまい火傷をしてしまっても、飲み込んで喉元を通り過ぎてしまえばその熱さも忘れてしまう。転じて、手痛い失敗をしても事が収まれば忘れてまた同じ失敗を繰り返してしまう、という意味じゃ」
「えーっと……ホットコーヒーをのんでベロがいたくなっても、のんじゃえばあつくないからもう一口のんじゃうってこと?」
「茶がコーヒーに変わっただけじゃな。まあ大きくは違わん」
「じゃあ分かったわ」
「飲み物が変わっただけでか!?日本語の難しさはどこへ行った!?」
「ベロをやけどしちゃったことくらいワタシにだってあるわ。ことわざっておもしろいわね」
「それで、元ネタの意味を踏まえてこのタイトルの意味じゃ。忘れた熱さ身を焦がす、忘れた熱さとは、つまり過去の失敗のことじゃ。それに身を焦がすということじゃから、舌だけでなく身体中を焦がしてしまったのじゃ。身を滅ぼすと言い換えてもよいの。つまりこのタイトルは、過去の失敗を繰り返したことで身を滅ぼすことになった、という意味じゃ」
「ということは、このタイトルって、ジョージのことを言ってるのね。スクールでチエにしてしまったことと同じことをミコトにして、そのせいでローズに……」
「そういうことじゃな。それに関しては後半の解説で詳細が語られることと思うぞ。ちなみにこのタイトルの「焦がす」というのは、「忘れた熱さ」と「恋焦がれる」の両方に通じる掛け言葉じゃ。この辺の言葉遊びが小憎いのう」
「やっぱりセルフプライズになっちゃうけど、よくできてるわね。恋っていうのも、ジョージがあんなことをした元々の原因だものね」
「作者のタイトル付けのセンスがキレッキレじゃった頃じゃな。今ではロンカレの方のタイトル付けに四苦八苦しておるそうじゃが」
「向こうはミュージックタイトルしばりなのよね。どうしてそんなことするのかしら」
「原作の章タイトルのようなセンスを作者は持ち合わせておらんからな。中途半端に寄せてスベるくらいならいっそということじゃろう。共通のテーマがあれば多少付けやすくもなるしのう」
「後になればなるほど苦しくなるって分かりそうなものだけど」
「後先考えるより今のかっこよさを重視するスタンスは評価してやろう!ぬはは!」
「ナミはどうして作者に上からのものいいができるかしら。リスペクトするわ」
「さて、冗談はさておき、最初の場面はわしらが全員集合して、今後の計画を話し合う場面からじゃな。こんな状況下でもコーヒーを淹れとるアニーはさすがの肝っ玉じゃ」
「どんなときでもコーヒーは心をおちつけてくれるのよ。あせったときこそコーヒーブレイクでのんびりするの。それはそうと、カケルがおきてきたときまだ、テルヤとローズとランとリョーマはおきてきてないのね」
「屋良井と有栖川と望月はただ朝が弱いだけじゃろうな。特に前二人は不規則な生活をしておりそうじゃ。その点わしは早寝早起きが徹底されとるからな!8時には寝て5時には起きとる!」
「おばあちゃんじゃないんだから。ナミってふつうに夜中もおきてたわよね?」
「必要とあらば夜更かしや遅寝もできるぞ!そこは言っても、わしの体は花の女子高生じゃからな!まだぴっちぴちのヤングじゃからな!」
「その言い方がもう若くないと思うわ。えっと、ストーリーの中ではこれからのクッキングのローテーションを決めてるわね。ジョージやドールがいるとスムーズね」
「というより、異論をはさんで無意味に角を立てることを避けておるじゃろう。まだ警戒は解けんし、何が起きるか分からんからのう。しかし今にして思えば、この持ち回りの役割分担決めは意味があったのか?ほとんどアニーか鳥木が料理していたような気がするぞ」
「ワタシは好きでやってたのよ。テルヤとカケルだってきちんとローテーションを守ってクッキングしてたわよ」
「清水は他人が作った料理を警戒しとったし、穂谷は途中から鳥木に特別に作らせておったな。それに飯出と有栖川の件があってからはローテーションも崩れて、ほぼ成り行きでアニーと鳥木の役割になっとったな」
「仕方ないけれどね」
「そしてこの後、古部来が来ないことに六浜が腹を立てて、個室に突撃するんじゃったな。そこで六浜の初心なところが露見するわけじゃ」
「いくら怒ってたって、モーニングに男の子のへやに入っていっちゃうなんて、ドールもなかなかやるわね。でも自分でまっかになっちゃうなんて、カワイイわね」
「確かに古部来の体はずいぶん逞しいし男らしいからの、思わぬ露出の多さにどきっとするのも分かる。だが残念ながらわしはもっと老け込んだしわっしわの肌の方が好みじゃがな!」
「かわらないわねナミは。ところで、リョーマはいつもグレーのおきものきてるのに、ねるときはタンクトップにジーンズなんてラフなスタイルなのね。どちらかというとアメリカンなかんじがするわ」
「そう言われればそうじゃろう。あれかの?着物を着ると気合いが入るから、その逆にアメリカ風の寝間着にすることで気を抜いているということか?」
「着る服でスイッチのオン/オフをしてるのね。わかりやすくていいわね」
「じゃが上はまだしも下は着物の方がリラックスできそうじゃ。とはいってもこの古部来が履いとるジーンズもなかなかによれておるがの。いいよれ方じゃ……ダメージジーンズになるとまた若々しくなってしまうが、ギリギリくたびれるだけの状態を保っておる……。さながら痩せた後期高齢者の薄皮のようじゃ。ふひひ、ゾクゾクするのぅ」
「ワタシは今のナミにぞくっとするわ。よだれふいてちょうだい」
「じゅるっ、おっとすまん……。いかんいかん、古部来のジーンズに垂涎するとは。しかしやはり古着には独特の魅力があるものじゃな。わしのジャージも汗と砂と涙にまみれてすっかり年季物じゃ!埃という名の誇りを被っておるわ!」
「ナミはいつもそのカッコね。うごきやすくてよさそうだけど、バスのあとにそれを着たら、いみなくなっちゃうんじゃない?」
「風呂上がりには風呂上がり用のジャージを用意しておるわ!適度にくたびれて適度に伸びて適度にほつれているのがベストなんじゃ!じゃからわしが服を買いに行くときは必ず古着屋じゃ」
「もうちょっとおしゃれしてもいいんじゃないかしら?そうだわ、またワタシたちでナミをキレイにメイクアップしてあげましょうか。あのときのナミはキレイだったわ」
「うっ、頭が!やめろ!そのときの話はやめろ!あれはわしではない!あんなのはわしではないんじゃあああっ!!」
「そんなにイヤだったの?ワタシたちはたのしかったのよ?」
「お前さんらはわしで遊んでただけじゃからそりゃ楽しいじゃろうよ!この三つ編みも服装もツルハシも口調も、すべてはわしのポリシーじゃ!むりやり見た目を変えても内に燃える魂までは変えられんぞ!」
「かっこいい、気がするわ……。なんだかよく分からないけれど」
「しかしわしの三つ編みはともかく、アニーのその巻き髪はわしにとって異次元髪型じゃのう。走っても頭を振っても崩れんとは、どんなに固く作ってあるのじゃ?」
「これはモーニングにセットしてるのよ。ヘアアイロンでくるくるってしてね。このヘアスタイルだとほら、なんだか亜ダルティなかんじっていうか、シックなレディってかんじがしない?」
「まあ、若者の髪型ではないわな」
「ワタシのヘアーってほうっておくとボサボサになっちゃうから、きちんとセットしないとダメなの。ストレートにしようともおもったんだけど、そうするとコーヒーいれるときにジャマになっちゃうじゃない?」
「なるほどの。細かなキャラクターデザインにもきちんと意味が込められておるんじゃのう。わしの服装といいアニーの髪型といい」
「ワタシはもっといろんなヘアスタイルにトライしてみたいとおもうわ。ナミだってせっかくのロングヘアーなんだから、いろいろやってみましょうよ。だいじょうぶ、こわくないわ」
「怖くて髪をいじらんわけではない!わしではなくとも髪の長い女子はたくさんおるじゃろう!」
「そういえばそうね。QQガールズはみんなロングヘアーがセミロングだわ。ランだってツインにできるくらいのレングスはあるわけよね」
「そこは作者の好みかのう。髪が短いとボーイッシュな印象になってしまうからの。そんなタイプはQQの女子にはおらんかった」
「ってことはやっぱり、ナミにもガーリッシュな格好をしてほしいんじゃないかしら?」
「わしの三つ編みおさげは昭和感を演出するためじゃ!残念じゃったな!がはは!短髪では帽子でほとんど見えなくなってしまうからのう!すわ、短髪といえば、QQメンバーで短髪の方が少ない気がするぞ」
「そうね、リョーマかジョージしかいないわ。ヤイチローやユーマも男の子にしてはロングだものね。リョーマとジョージのヘアスタイルを見ると、ショートヘアのバリエーションが少ないのがりゆうかしら」
「一度、創作論破対抗、髪の毛の平均長さ対決をしてみたいのう!間違いなくQQは上位に食い込むことじゃろう!」
「すごくニッチね」
「髪型や髪色はキャラの印象に残りやすい部分でもあるからのう。そう考えると、清水のあのアホ毛は主人公故ということじゃな。他のあらゆる要素で主人公らしくないものを、あの髪型でなんとか主人公としての面目を保っておる」
「ピコピコうごくのよね。見ててとってもかわいかったわ」
「清水にかわいいという感想を持てるのはお主だけなもんじゃろうなあ……。後半で穂谷があれをリンゴ頭と呼んでおったが、アニーも初対面で同じようなことを言うておるし、あの清水に臆さんとは、なかなかの肝っ玉じゃな」
「キモッタマ?あんまりうれしくなさそうなフレーズね」
「いいや、度胸が据わっているという意味じゃ。勇敢じゃ」
「そんなことないわ。カケルだってハイスクールティーンズですもの。ちょっとくらいトゲトゲするのも、そういうお年ごろなだけよ」
「ただの大人目線じゃったか。ますますヤツの器が小さく見えてくるわい」
「さあ、ドールにむつ浜っていうステキなニックネームがついたあとは、この合宿場でのみんなの生活をのぞいていくシーンね」
「まだ一章で誰も死んでおらんからな!モノクマだけでなく清水や穂谷のような不穏分子はおるが、まだここでの生活に慣れようと希望を持っている感じがするぞ!飯出たち男子に至ってはモノクマとバスケをする始末じゃからな!」
「モノクマってそんなにアクティブなキャラクターだったかしら?原作でもそんなシーンなかったはずよ」
「実はこの部分を執筆中の作者は、ダンガンロンパはアニメを観ただけじゃったからのう。ゲームも小説も抜きで描写しようとすれば、こんなシーンも出てくるじゃろうよ。日常編の描写には少なからず事件や真相についての伏線を張っておるものじゃが、このバスケはただパロディをしたかっただけじゃからな」
「あとは、テルヤにあのセリフを言わせたかったのよね。「“超高校級の〇〇”だ」っていうの」
「そうじゃな。ヤツは本当の才能を三章まで隠しておったんじゃが、それまではところどころで自分の才能を偽るセリフを言っておった。自分の正体をぼかすためじゃな。バスケ部じゃったりファッションリーダーじゃったり、弁士なんぞと言ったこともあったの」
「もともとボツになったキャラクターの才能よね。弁士はリバイバルしたけれど」
「ボツになった案など山ほどあるぞ!すべてが最初のまま採用されておったらQQはどんなことになっておったか!少なくともわしはこんなしゃべり方ではなく、もっとロマンチストな乙女じゃったろうな!」
「ワタシもバリスタじゃなくてソムリエールだったのよね。それもステキだけど、さすがにティーンにアルコールはのませられないからボツになったのよ」
「笹戸は駄洒落好きじゃったし石川は怪盗じゃった。曽根崎はひげ面の大男で六浜と望月に至っては一つのキャラクターから分裂して誕生したしのう」
「アメーバみたいに言うわね。じっさい、そうなんだけど」
「ボツ案論破!というのも面白そうじゃな!今思い付いたから言うてみた!どうなっても責任は取らんぞ!」
「フリーダムすぎるわナミ。ちょっとおちつきましょう。コーヒーでもいかが?」
「ふむ、もらおうかのう。我ながらさすがに取りとめがなさ過ぎたわい。屋良井の話じゃったかな」
「また三章のときにテルヤのことはディティールがお話されると思うわ。今は一章のお話をしましょう。ジョージたちがバスケをしている間、ライブラリのテラスでローズたちはティータイムを楽しんでたのよね」
「おおそうじゃったそうじゃった!男子会をしている一方で女子会をしておるんじゃったな!わしはそんな柄ではないから参加せんかったが、有栖川に望月に六浜に晴柳院か。さすがに華があるメンツじゃのう」
「このシーンってなんのためにあったのかしら?」
「こっちはきちんと伏線が張ってあったぞ!一つは有栖川がいつもぬいぐるみを携帯しているという件、ここが裁判で凶器の話になったときに活きてくるわけじゃな!それから途中で滝山が乱入してくるのじゃが、そのときに森の中からテラスのクッキーの匂いを嗅いできたというんじゃ。この鼻の良さは、一章の裁判と三章の裁判の伏線になっておる」
「いきなり手の平をかがれるんだもの、びっくりしたわ。お菓子なんて持ってないわよって言ったのに」
「お前さん、滝山を犬かなにかと思っておらんか?いやほとんど変わらない気もするが、さすがにあの状況でお菓子を探すほど滝山も呑気には構えておらんかったじゃろう。血の臭いがすればなおさらじゃ」
「それで、ドールがまた赤くなってローズがおこっちゃうのよね」
「滝山も滝山じゃが、有栖川も女子のことになるとすぐ熱くなるのう。前回の石川が言うておったが、確かに有栖川が女子を支えておったのは間違いないのう。女子力はQQ女子の中で一番じゃ!」
「そういえば、このときワタシたちは何をしていたかしら?」
「わしとアニーは食堂におったぞ!石川と穂谷と鳥木と古部来も一緒じゃ!鳥木と古部来が将棋を指している横で、穂谷が優雅に茶を飲んでおって、石川とアニーは夕飯の献立を考えておって、わしは洗い物当番じゃ」
「ずいぶんこんでたのね。リョーマはドール以外とショウギボードをしてたのはこの時だけなんじゃないかしら」
「そうじゃな。六浜ほどの計算能力と暗記能力があって、ようやく古部来にかみつける程度ということじゃ。ヤツの実力の高さがうかがい知れるのう。アニーも確かチェスを打ったことがあったのではなかったか?」
「あるわ。なんだかヘンなかんじ。いろんなことをすればするほど追い詰められていくような。ピタゴラナントカみたいに自分の一手があとになって自分を追い詰めるような……いつのまにか負けてるのよ」
「何と言っても超高校級じゃからのう。しかし、自分の勝負に付き合わせておいてこの尊大な態度……偉そうじゃのう。少しは相手を気遣って茶菓子でも差し出せばいいものを!」
「リョーマがそんなことするなんてイメージできないわね。イメージできないといえば、このときリョーマがネックレスをしてるのは意外だったわ。アクセサリーなんてしない人だと思ったから」
「このネックレスも後々の伏線になっておるんじゃ。ネックレスと言うか、将棋の駒をプレスチックのケースに入れて紐を通したものじゃからな。見た目には相当安っぽく、小学生の工作のように見える代物じゃ」
「だけど大事なものなのよね。いつも首にさげてるってことは。ワタシのリングとおんなじね」
「アニーにとって大事な人の話も、ここで少し触れとるの。指輪について触れておらんが、このしっとりした言い方は間違いなく思い人がいる感じじゃぞ。アニーはその、フォールデンス氏にそういう感情はなかったのか?」
「ふふふ、そうね。ステキな人だとは思うけれど、フォールデンスさんはもう結婚もしてるし子供も孫もいるわ。ワタシよりずっと年上だしね。ワタシを幸せにしてくれるのはフォールデンスさんだけれど、フォールデンスさんを幸せにできるのはワタシより今のファミリーよ」
「ちなみに年齢はいかほどじゃ?」
「そうね。何年か前に70のおいわいをしたって言ってたから、73か74くらいじゃないかしら」
「全然アリj」
「ナシよ。ぜったいに」
「そんな食い気味で……すまんな、冗談じゃ。所帯持ちにはさすがのわしもいけんわ。幸せな家庭を壊すような略奪愛はちと重すぎるからの」
「そこだけが問題じゃないわ。今さらだけど、どうしてナミはそんなに年上の人が好きなの?それに、しゃべり方も」
「どうしてと言われてものう。はっきり覚えとらん。確か、小学生のときは周りと同じようなしゃべり方だったと記憶しておる。中学生の入学時もじゃ。考古学にのめり込んでからはもうこのしゃべり方じゃし、中学校の卒業式ではもうこのしゃべり方じゃった気がする」
「ジュニアハイスクールでいったい何があったのかしら。何があったらそんなしゃべり方になるのかしらジャパンのジュニアハイスクールではみんな一回、チューニビョーっていう病気になるらしいけれど、それかしら」
「中二病扱いするでない!わしのこれはポリシーじゃ!考古学者として過去と対話するために必要なあり方なんじゃ!」
「でも、ポリシーっていうことは、それをなくすこともできるんじゃないかしら?」
「ほ?というと?」
「ふつうの女の子にもどれるってことよね」
「そんな昔のアイドルが引退するときのように言われてもじゃな。なんじゃ、ツルハシを置いてここから出て行けばよいのか」
「しゃべり方のことよ。カナタとかローズみたいなしゃべり方もできるんじゃないの?」
「ふぅむ……できんことは、ないかもしれんのう。いや待てアニー。お前さん今、わしに普通のしゃべり方をさせて、そこから徐々に髪型と服装とわしを改造する気じゃったろう。またわしを辱めるつもりじゃったろう!」
「そ、そんなこと思ってないわ。ショックうけたからってうたがいすぎよ」
「いやじゃいやじゃ!わしはもうあんな姿になりとうない!これがわしの生き様なんじゃ!ありのままの姿見せるんじゃ!」
「こういうところはまだ子供みたいなのよね、ナミって。分かったからダダをこねないでちょうだい。ほこりがすごいわ」
「人は誰しも譲れないものがあるもんなんじゃ!女の道を逸れたとてわしはこの道を外すわけにはいかんのじゃ!」
「かっこよく言い直すならせめて立って。ねころんでたらいいセリフも台無しよ。もうナミをむりやりおしゃれさせたりしないから」
「がるるるっ!」
「ダイオみたいになってるわよ」
「まったく、勘弁してほしいものじゃ。いきなりあんな女子力にあてられたら危うくトラウマになるところじゃぞ」
「もうなってると思うわよ。今のリアクションを見たところ」
「すっかり本編の流れを忘れてしまったわい。どこまで話したんじゃったかのう?」
「合宿場でワタシたちがどんな風に生活してたかね。その後はモノクマからワタシたちにモチーヴがあたえられるのよね」
「創作論破じゃからの!やはり動機伝達があってコロシアイがなければ話が進まんからな!最中はたまったものではなかったが、こうして他人事のように見ているとドキドキしてくるものじゃのう!」
「フィクションだものね。ムービーを見ているのと同じようなかんじよね」
「動機は原作でも、コロシアイを起こさねばと思わせるものじゃったり、コロシアイをすれば得があったり、多種多様じゃったな。創作論破ではそこも注目するポイントの一つじゃ。どんな動機で誰が動くか、見極めるのも醍醐味じゃのう」
「ワタシたちのファーストモチーヴは「大切な人」だったわね。ストーリーの中ではカケルとローズ、それからちょっと先だけれど、ランのが分かったわね」
「動機の中では最もオーソドックスで、原作でも一番最初に与えられた動機じゃのう。じゃあここで言う「大切な人」というのは、言葉が持つ意味以上に色々な意味を含んでおる。清水の場合は家族じゃから、そのままじゃろう。あいつが素直に家族を「大切な人」と思うかは別の話じゃが」
「ローズやランのムービーって、「大切な人」がそのまま映ってるわけじゃないわよね」
「有栖川の場合は『「大切な人」にまつわる秘密』、望月の場合は『「大切な人」が誰か』を知らしめる映像になっとったわけじゃな。まあそんなものを見せられて冷静でいられる者はおらんじゃろうな」
「ナミは見たの?モチーヴムービー」
「当然見たぞ!再生するまでに四苦八苦じゃったがな!映っておったのは考古学会のお偉方じゃった。わしの学説や論文を嬉々として語った後に、同じ数だけの棺桶が並んでおったわ。えらく不吉な映像じゃったが、わしはその手の別れには慣れておるからの。趣味の悪い映像じゃと唾棄したんじゃが……思い出すと今でも気分が悪くなるのう」
「抱きしめてあげるわよ?」
「いやええ。お前さんに抱きしめられると他の弱った思い出まで浮かんで制御できんくなりそうじゃ。そういうアニーは……言わずもがなじゃな」
「ええ。フォールデンスさんだったわ。だけどワタシは、フォールデンスさんはきっとぶじだって信じてたわ。ワタシが世界一のバリスタになって自分のお店をひらくまで、借金してでも長生きするって言ってたもの」
「愛情が重い!そしてそれを受け入れてしまうアニーの度量がデカすぎる!まあわしの方もアニーの方も、清水の方も、実際はどうなっていたことやら」
「QQのマスターマインドって、ワタシたちのタレントが目当てなのよね?だったら、外の世界をこわす意味はないんじゃないかしら?」
「そこは分からん。目的のためには手段を選ばんヤツじゃったからのう。必要じゃと言って国の一つくらいつぶしてそうじゃ」
「それができるだけの才能を手に入れたところが、あの人のおそろしいところよね。だけどワタシみたいなタレントまで手に入れてどうするのかしら?」
「おいしいコーヒーでも淹れて休憩するのかのう?」
「わざわざこんなことしなくても、ワタシがだしてあげるのに」
「お前さん、少しはコーヒーを振る舞う相手を選んだ方がよいぞ。コーヒー飲めばみんな友だちではないぞ」
「モチーヴムービーを発表するのと同じくらいから、ミコトとジョージの関係が少しフィーチャーされてるのね。カケル目線からだからあんまりよく分からないけど」
「清水はその手の話には興味ないからの、少なくともこの時点では。その周りで飯出が晴柳院を探しておったり、晴柳院が飯出を避けたりしておるな。そして動機の発表後も、飯出がやたらと晴柳院を意識しておることを曽根崎に指摘されとるの」
「ジョージの言ってるアマテラスオオミカミって、ジャパンの神様よね」
「太陽神じゃな。弟の愚行を見てられんと天岩戸に逃げ籠もり姉としての責務を放棄した女じゃ」
「な、なんだか言い方がきびしいわね」
「しかもその後どんちゃん騒ぎにつられて出てくる軽々しさじゃ。その上、鏡に映った自分の美しさに目を奪われてあっさり引き出されたナルシストときた!何が太陽神じゃ!そんな意志薄弱尻軽女ごときめが!何様じゃ!」
「神様ってさっきナミが言ったわよ!?」
「わしはそういう芯が通っておらんヤツが我慢ならんのじゃ!何事にも一家言を持つべし!大流に流されるままでは角は立たなくなるじゃろうが小さく目立たぬ小石になってしまうぞ!日の本の国に生まれたからには、強くたくましい巌となれ!」
「ナミってそんな古風な考え方だったかしら?」
「神話というのはどうも理屈が通っておらんくて腹が立つんじゃ。そもそも信じておらんしのう。古代の地球の姿はほとんど丸裸にされておるんじゃし、神話に語られる出来事も解明されつつあるしの!天岩戸神話は要するに日食じゃ。天文教室が開かれる程度のプチイベントじゃ」
「自分の国のストーリーをそんなにばっさりきりすてる人はじめてみたわ。昔の人にとってみればいきなり暗くなるなんてこわかったのよきっと」
「暗くなった世界でどんちゃん騒ぎができる度胸があればもう何も怖くなかろう」
「それもそうだわ」
「一方の晴柳院を外に連れ出すことに成功したのは、どんちゃん騒ぎではなく有栖川の説得だったようじゃのう。この時にはまだ有栖川は飯出をどうこうするつもりはなかったんじゃろうな」
「ジョージがミコトに行きすぎたアタックをしてたのが原因だものね。タイミングがあるとしたら、この後かしら。ディナーまでの間にそんな話になって、そこでローズが……」
「そう考えると、この説得がよかったとも思えんの。そのせいで有栖川は自らの手を汚し、自分の命まで失うハメになったんじゃと思うと……親身になるのも考えものじゃな」
「何がどんなことになるかわからないものね。こういうの、なんていうんだったかしら?うまがどうとか」
「人間万事塞翁が馬、じゃな!由来の物語はハッピーエンド風に終わっておるが、どうなるか分からないという意味ではバドエンドにも使える言葉じゃ。逃げた馬が伴侶を連れて来たり、落馬して骨折したために兵役を免除されたり──」
「ミラクルの連続ね」
「ミラクルのう。奇跡という言葉もなんだか安っぽく使われるようになってしまったわい。単に低い確率の出来事が起こることを奇跡とは呼ばんというに」
「たしかに、テレビとかだとそこまでびっくりしないようなこともミラクルって言ったりするわね。それも演出なんでしょうけど、すこしおおげさよね。どれくらいのことだったらミラクルってよべるのかしらね?」
「この広い宇宙で同じ星に生まれ、出会い、そして恋に落ちること……かのう」
「きゅうにロマンチックなこと言わないでちょうだい!完全にナミがボケるテンションできいてたのに、まちがえたわ」
「ボケるテンションとか……お前さんそんなこと言うタイプではなかろう。わしだって乙女じゃ。ロマンチックなことくらい言うぞ。めっちゃ言うぞ」
「なんだか意外だけど、でもナミってそういうタイプよね。ワタシたちの中にはタイプの人がいなかったからツルハシばっかりふってたけれど、スクールでは問題児になるくらいティーチャーや理事会にアタックしてたのよね」
「少しでもいいと思ったらとにかくアタックじゃ!好きか好きでないかはその後判断すればよい!相手を知らずに好悪を断ずることなどできんからのう!」
「パッシヴね。ステキだと思うわ。きっとナミがもっと若い人を好きになってたら、もっとハッピーな生き方になったと思うわ」
「暗に今のわしをディスっておらんかそれ……。まあええわ。とにかくわしは肉食系じゃからな。ガンガンいくぞガンガン。なにせライバルは少ないが時間制限がえげつないからの。想いはすぐ伝えねば一生伝え損ねる率が非常に高い」
「だから若い人を好きになればいいって言ってるのに」
「そう簡単に変えられるものでもなかろう。逆にアニーはどんな男がタイプなんじゃ?本編ではフォールデンス氏のことばかりで、他に男っ気がなかったから知らんぞ」
「そうね。ワタシは二人の時間を大切にしてくれる人がいいわね。休日はゆっくり二人で出かけたり、いっしょにお家でムービーなんか見たり。ワタシのいれたコーヒーをのみながらおしゃべりできたらステキじゃない?」
「なんだか少女のようじゃな。将来の夢はきれいなお嫁さんとか言いだしそうじゃ」
「ワタシの夢は世界一のバリスタになって自分のお店を出すことよ」
「ブレんのう」
「動機が発表された後は、飯出がビュッフェを計画するところじゃな。アニーも手伝っておったのう。それと石川と笹戸と晴柳院に有栖川か」
「他のメンバーはどうしてたのかしら?」
「ピックアップされておったのは清水と望月じゃな。多目的ホールで清水がボールに八つ当たりして鬱憤を晴らしておる。そこへ望月がやってきて、清水を監視すると宣言するわけじゃな」
「プロローグでもおかしなことを言ってたランだけど、ここでは特にヘンね。カケルが言ってたみたいに、まるで感情がないみたい」
「実際ないんじゃから仕方なかろう。ううむ、QQでは数少ないラブコメシーンじゃと言うのに、清水のこの荒々しさはなんというか……女心がまるで分かってないのう」
「でもランの気持ちを知って、カッコイイ言葉を言うのもカケルらしくないわ。ウィットにとまないことでおなじみじゃない」
「そんな馴染み方はしておらんが、まあ間違いないのう。悪態も不満もストレートじゃ。じゃから望月に目をつけられたんじゃな」
「五章でこの二人と多目的ホールっていうシチュエーションは、また出てくるのよね」
「そうじゃな。そのときはまた全く違った雰囲気になっておる。ここでは望月が清水を知りたいと宣言しておって、五章では望月が清水に知って欲しいと話を持ちかけるわけじゃ。対比的じゃな」
「そうなるまでずいぶん時間がかかったわね」
「お互いに歩み寄り方を知らん上に、歩み寄れない理由があったからのう。もどかしいことこの上ないわ。わしが望月じゃったらこの場で清水に想いを告げて押し倒して魅惑のささやきの一つや二つ──」
「それはさすがにpixivで全年齢公開ではお送りできないわね。公開して後悔することになると思うわ」
「そうか?ふむぅ……普段のわしのやり方で通じるのはやはりわしの好みだけか」
「ナミってアプローチのときいつもそんな風にやってるの?そんなアブノーマルなアプローチをしてるの?」
「そうじゃが何か問題か?」
「問題だから“超高校級の問題児”になってるんだと思うわ……。ワタシもそう思うもの。やっぱりナミはみんなとちがうわね。いろいろとエキセントリックだわ」
「もっと自由な恋愛がしたいぞ!」
「いきなりどうしたの!?」
「わしだってステキな殿方に想いを寄せて恋い焦がれて、時には大胆になって物を贈ったり時には恥じらって声もかけられなかったり、そんな甘くもほろ苦い恋愛をしたいんじゃ!年が離れていようが孫くらいの年齢差があろうが、好きなものを好きと言って何が悪い!猛アタックして何が悪い!わしの好みを否定する権利が誰にある!わしの恋路を嗤う権利が誰にある!わしの想いを批難する権利が誰にあるというんじゃ!」
「分かる。ナミの気持ちはすごく分かるわ。人を好きになるのに理由なんてないし、バリアがあるから好きになんてならないなんてことないもの。だけどねナミ。ナミはもうちょっとアタックをひかえた方がいいわ。ナミの好きな人にだってその人のライフがあって、その人も好きな人がいるんだもの。あなたの好きをみとめるなら、その人も好きもみとめてあげないと」
「……分かっておる、分かっておるんじゃ。どうもわしは特殊性癖持ちの変態のような扱いを受けるから、わしだって普通の恋多き乙女なんじゃと分かってほしかったんじゃ。恋に恋するお年頃なんじゃ」
「そうね。だけどあんまり恋ばっかりだとかなしいことにもなるわよ。ほら、ジョージだって、恋しちゃったからこんなことになっちゃったんでしょう?」
「そうじゃな。恋は盲目か。昔の人はよく言ったものじゃわい。盲目どころかハイになって少々の痛みでは止まらんようになる前に、飯出は冷静になる必要があったんじゃな」
「そして……ジョージの死体を発見するお話ね」
「非日常編の冒頭でアニーと滝山がちょっといい感じになっとるの。清水と望月についてはさっき話したが、お前さんは滝山とどうなんじゃ?よう一緒にいる気がするが」
「ダイオはいつもお菓子をもらいにくるから、コーヒーといっしょにあげてるわ。なんだか近所の野良猫におやつをあげてるみたいな気分よ」
「ヤツは尻尾が似合いそうじゃのう。それにしても、飯出の死体を見ても滝山は人を呼びに行くほど余裕があったんじゃな。案外、こういうモノには慣れておるのかもしれん」
「ワタシはびっくりしたわ……だってジョージが血まみれでたおれてるなんて、イメージできないもの。ショックであのときのことはあんまりおぼえてないわ」
「ここは初回じゃから死体発見アナウンスはないんじゃな。第一発見者が滝山で、第二発見者がアニーじゃとして、三人目は誰じゃ?」
「アーリーモーニングだったから、マドカがたまたま通りかかったわ。ワタシはそのときこしがぬけちゃってて……」
「そして清水の視点に移るわけじゃな。呑気に寝ておるわ」
「そりゃあそうよ。ジョージが死んでるなんて分かるわけないもの」
「コロシアイの始まりはいつも唐突じゃな。拉致監禁され動機があるとはいえ、人を殺すほどの決意をすることになるのにどれほどの時間と覚悟がいるのか、人によって異なるものじゃ。1日足らずで決意する者もいれば、決意しきれずくすぶり続ける者もおる。それがいつどんなきっかけで爆発するか分からないもんじゃのう」
「そうね。先のお話になるけど、このときテルヤはきっと内心おだやかじゃないはずよね。先をこされたって思ってたはずよ」
「どうかのう。三年の時間が経過していることで焦りが加速したとは思うが、確かにここで死んでしまっては残念無念じゃろう。ヤツに限らず誰しも納得できる死にはならんじゃろうが」
「そんな中で一番にジョージをしらべられるリョーマは、やっぱりすごいわね……。ちゃんと手を合わせてるし、ホントはいい子なのがかくし切れてないわね」
「さすがに死者を前にして不遜な態度でいるべきではないと思ったか。そうでなくとも自分の命がかかっておるわけじゃし、真面目にもなるじゃろう。清水もこの後の捜査は比較的真面目にやっておるしのう」
「こういうパートの中で、あとのクラストライアルのための手がかりを全部見つけておかなくちゃいけないのよね。作るのがたいへんそうだわ」
「ちなみに作者のやり方は、事件の大筋が決まったら学級裁判の流れから先に作る派じゃ!その中で証拠や情報を添削していくわけじゃな!」
「だからあちこち周ってるのね。先に捜査しちゃってあとはいきおいでなんとか……っていうのはダメかしら?」
「ダメではないが、後から必要な証拠が足りんことになりかねんし、少なくとも作者には向いてないのう。それでもほとんど事件の内容ができあがっておるのならなんとかなるかも知れんの。どうじゃ、やってみんか?」
「文章の中から作者に呼びかけないで。わけがわからなくなるわ」
「どうせやるとしても次回作の連中が困るだけじゃ!わしらには何の影響もないわい!」
「次回作の子たちをとおまわしにいびらないであげてちょうだい。カケルといいナミといい、なんでそんなに目の敵みたいにするの?」
「わしは別に目の敵になどしておらん。わしらが苦労した分だけヤツらも同じかそれ以上の苦労をすればええと思っておる。これはヤツらのためなんじゃ!ヤツらが成長するためなんじゃ!」
「そういうの、最近のジャパニーズではローガ」
「やめろ!!それだけはやめろ!!その言葉だけはわしは聞きとうないし言いとうない!!そんな、高齢者全員を十把一絡げに批難するような乱暴で汚い言葉はやめろ!!」
「きゅうに必死ね」
「どんなものにもよい面と悪い面があるものじゃ。マナーの悪い年寄りもいれば人に優しい年寄りもおる。若者じゃてそうじゃろう。比率が高いというだけで全員を目の敵にするようなことはやめてもらいたい!」
「じゃあナミも次回作の子たちと仲良くしてあげて。ちゃんとあやまる」
「ごめんなさい」
「はいよくできました」
「なんじゃこれ。なんでわしが子供扱いされておるんじゃ!わしはQQメンバーじゃったら年長組に入るじゃろ!」
「ワタシだってみんなのママ的ポジションにいるって気でいるのよ。だから今回の解説はアダルトレディコンビってことね。シックでアダルティな解説をお送りするわよ」
「もう後半なのに今更コンビ名を付けるのか!?アダルトレディとはなんだか甘美な響きじゃが、そんな需要があるのじゃろうか」
「あってもなくてもいいわ。ワタシはナミといっしょにお話できて楽しいもの」
「うっとりとした目をするな。急にどうしたのじゃアニー。ほ、ほれほれ!本編では清水がまた曽根崎と行動を共にしておるぞ!こいつらはもうこの時点で既にコンビじゃな」
「カケルは本当にこのとき、ヤイチローがいなかったらドミトリーの周りを見ただけで終わってた気なのかしら?」
「さすがの清水も自分の命がかかってる状況でそこまでいい加減なことはせんと思うがのう。なんだかんだでこの後、曽根崎に連れられて各所でそれなりに証拠品を見つけておるわけじゃし」
「ワタシたちもいっしょうけんめいだったのよ。だけどキッチンじゃ何も見つからなくて、あんまり役に立てなかったの。次の事件ではワタシ、参加できなかったから……」
「まあ想像できんじゃろうな。今を生き残るために必死なんじゃから。それにしても犯人のヤツもなかなか色んな場所に証拠を残しておるのじゃな。寄宿舎や多目的ホールに展望台……ふうむ。意外と活動範囲が広いぞ」
「色々なしかけやじゅんびが必要だものね」
「準備といえば、飯出が展望台に呼び出されたときに持ってきていたグッズは……あれが発表されたときは殺されたとはいえ、呆れてしまったわい。ヤツはいったい展望台で誰と何をするつもりだったんじゃ」
「……ま、まあ男の子ですものね。ちょっとはそういう気持ちになったりもするわよね」
「たとえ気持ちがある相手がいたとしても、いきなりそんな展開になったりはしないじゃろ。エロ同人ではないんじゃから」
「ナミくらいパッシヴだったらそういうのもアリなのかしら?」
「わっはっは!わしはそんな若者のような危うい恋愛はせん!じっくりこってり付き合って、結婚するまでは疚しいことなどせんわ!って何を言わせるか!!恥ずかしいじゃろ!!」
「うふ、ひっかかった」
「今更言うのもなんじゃが、やはり解説編ではキャラが変わるのう。アニーがこんなにわしを振り回してくるとは思わなんだ」
「そういうナミはあんまり変わらないわね。それがナミのいいところよ」
「わしはいつでもわしのままじゃからな!わしがわしであること、それがわしの証明……!」
「かっこいい感じで言ってるけど意味分からないわ」
「お前さんもはっきり言うようになったのう」
「捜査もそろそろ大詰めじゃが、アニーは他に気になるところはあるかの?」
「そうね……この、ダイオがシャワーの使い方も知らないっていうところ。これって今までダイオってお風呂入ってなかったってことになるのよね?」
「そうじゃな。野生児じゃからっていうことじゃろうが、あれだけ動き回って汗もかくじゃろう。足は泥にまみれるじゃろうし髪の毛もぼさぼさになるじゃろう。それでもヤツは一度として風呂に入っておらんかったことになるわけじゃ」
「っていうことは、ジョージの死体を見つけたあのとき、ワタシの手をとったときも……」
「洗ってない手じゃろうな」
「どうしよう……ワタシあのあとふつうに食器をさわったりコーヒーいれたりしてたわ……」
「……知らぬが仏というヤツじゃな。いやさすがに、ヤツも手を洗うくらいの常識はあったと思うんじゃが、そういえば見たことないのう」
「そんな汚いかっこうのまま歩き回ってるなんて……大きなお風呂があるのに入らないなんて……考えられないわ。世界にはお風呂どころか水もまともにもらえない人だっているっていうのに……」
「お前さんが言うと説得力が違うのう。滝山の場合は面倒臭いから入らないというよりは入り方が分からないのじゃろうな。あんなもの動物とほぼ一緒じゃ」
「ナミをお風呂に入れるより先に、ダイオをお風呂に入れてあげないといけないわね」
「まだわしを改造するスキを伺っておったのか!いや滝山の入浴補助も色々とそれはそれで問題があるんじゃが!」
「そういえば四章でナミはミコトをさそって温泉に入ってたのよね。他の子は来なかったの?」
「その時は色々と張り詰めておったからのう。今にして思えば、大浴場の開放が遅かったこともさることながら、わしらのまとまりの無さは異常じゃったな。風呂イベントと言えば創作論破の醍醐味の一つじゃというのに、そこをほぼまるまるスルーするという大胆な構成じゃ」
「そこはまた四章のときにくわしくなるのかしら?」
「そうじゃな。まだどうなるか分からんが、その時わしが解説を担当しておったら、曽根崎改めソノゾキの所業も含めて解説してくれる」
「ヤイチロー……ま、まあ男の子ですものね」
「お前さん、その手の話になるとだいたいそれで済ませるのう。もしかして苦手か?」
「苦手というか、なんて言っていいか分からないのよ。別にそういうお年頃なのは分かるからイヤっていうわけじゃないけれど、ついていけないわ。キャラじゃないのよ」
「キャラじゃないというお前さんのセリフが一番キャラではないじゃろ!」
「そういうナミはずっとブレないわね。前回のダイオだって、本編よりちょっとはかしこくなってたわよ」
「解説編である以上は多少の知性は必要じゃからな。性格が変わったといえば、この時と比べて清水は遥かに丸くなっておったわい。太ったという意味ではなくな」
「だれも太ったなんて思わないわ。どちらかというとカケルは細い方よね」
「スリムというより痩けておる感じじゃな。不健康な痩せ方じゃ。おまけに猫背で身長もそこまで高くないから、余計に弱そうに見えてしまうんじゃな。わしはこれだけ動き回ってるおかげで、体は割と引き締まっておるぞ!筋肉もそこそこある!」
「ワタシは最近ちょっと脚が太くなってきて気になってるのよ……パンツが少しキツくなってきたような気がするわ」
「アニーもツルハシを持てぃ!わしと共に発掘場で発掘をしよう!そうすればあっという間に痩せるぞ!」
「痩せるより先に手がボロボロになりそうね。そういうのには慣れてるけれど、やっぱりやりたくはないわ。ワタシは土の中にある化石よりも、ナミがキレイにブラッシングした化石の方が好きよ」
「ん、そうか?むふふん、そうかそうか。わしの化石標本の美しさを理解できるか。博物館にあるような巨大な恐竜の化石なんかも心惹かれるが、アンモナイトやウミユリやフズリナといった小さな化石にしか見えない美しさというものもある。手にとってその重みを感じ、刻まれた紋様の幾何学的美しさを堪能し、固い感触の向こう側にある遥か彼方の生命を」
「OK。もう分かったわ。化石のお話はまた今度、コーヒーでものみながら聞かせてもらうわ」
「なんじゃ。まだわしは話し足りんぞ。解説ももう裁判直前まで話すことは話したし、このまま喫茶で二次会といこうではないか」
「二次会って、パーティじゃないんだから。でもたしかに、ワタシたちが解説しなきゃいけないところはもうおしまいね。でもねナミ、ヤイチローから聞いたんだけど、最後にあいさつをしないといけないんだって」
「才能なんかクソ食らえ、的なヤツじゃな。めんどうなルールを作ったもんじゃのうまったく。ラジオの終わり的な遊びなんぞするからじゃ」
「急にそんなこと言わないで、楽しく終わりにしましょうよ。後でおいしいコーヒーいれてあげるわ」
「どちらかというとわしは茶の方が好きじゃがの。渋くて苦い緑茶などが飲みたい」
「グリーンティーラテなんかどうかしら?作者がスタバでいつも飲むヤツよ」
「あの牛乳の部分がうまいんじゃよな。飲みとうなってきた。よし!それにしよう!サイズはLじゃ!」
「スターバックスのサイズはS・T・G・Vよ」
「なんじゃそりゃ!SMLではないのか!?」
「うふふ、何の略か当てられるかしら?」
「Sは……スモールじゃろ?Tは……たっぷり?」
「Smallでもないんだけれど……」
「Gは……ごっそりじゃ!Vは……バ、バーチャル?」
「バーチャルのドリンクは飲めないわね。気になる人はスターバックスのサイズでググってちょうだい」
「最後の最後で本編に関係ないどころか全く取り留めのない会話をしてしもうた。これ以上余計なことをして六浜に怒られる前にシメるか」
「そうね。これも人のネタですものね」
「そうじゃ、最後に次回の話だけしておこう」
「次回は、第一章『忘れた熱さに身を焦がす』の後編ね。クラストライアルからおしおきまでの解説をするわ。誰がやるかは、教えてもらえないのよね?」
「投稿されるまでのお楽しみじゃな。じゃが有栖川は来るのではないか?まだやっておらんじゃろう」
「ローズが来るなら、バディはミコトかしら。ワタシたちみたいにガールズペアになると思うわ」
「わしらと六浜、石川が既にやっておるから、相方は命以外じゃと穂谷か望月か。どちらも有栖川とはあまり会話が弾まなさそうじゃのう」
「じゃあやっぱり作者イチオシのバラみこペアかしら」
「実はもうこれを書いている時点では執筆を始めておるからの。わしらのこの会話も完全に茶番じゃ。番茶を飲みながら書いた茶番じゃ」
「うふふ、読む人はきっと満足してもらえると思うわ。それじゃあ、最後にごあいさつしましょうね」
「よし、それでは画面の前のそこのお主!ここまでお付き合い感謝するぞ!50年の年を重ねてまた会おう!」
「それまで覚えられていたらいいわね。お相手は、疲れたあなたにコーヒーを、アンジェリーナ・フォールデンスと」
「輝くツルハシ古代のロマン!!明尾奈美がお送りしたぞ!!さらばじゃ!!がっはっはっは!!」
やっぱり本編で絡みのあるキャラ同士じゃないと話が弾みにくいですね。
次回はそんなことないのでご安心ください!(フラグ)