ダンガンロンパQQ   作:じゃん@論破

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第二章「能ある故に爪は尖る 前編」

 

 こちらは、『ダンガンロンパQQ』の解説になります。

 本編を読了していることを前提に執筆しているため、本編についてのネタバレが多分に含まれています。

 まだ本編を読まれていない方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「創作論破『ダンガンロンパQQ』、解説編『後のお祭り』を読んでるそこのお前!よく見つけてくれた!もっと読め!もっと見ろ!もっとオレの姿を記憶に刻め!オレという存在を世に知らしめろ!このオレが──」

 

 「黙れ。話を進めろ」

 

 「っだよ!!ジャマすんじゃねえよ!!」

 

 「貴様の長々しい一人語りで余計な時間を取らせるな。俺の睡眠時間を削ってまで付き合ってやっているのだ。可及的速やかに片付けてしまうぞ」

 

 「え?なんだ、これ夜中にやってる設定だったのか?」

 

 「無駄話は許さん。話すことだけを話せ。まずは自己紹介、俺は“超高校級の棋士”古部来竜馬だ。『第二章 能ある故に爪は尖る』の前編解説を担当する。相方は此奴だ」

 

 「ヒャッハーッ!!ごきげんよう愛すべきアリ共ォ!!オレ様はテメエら人類の天敵!!努力も歴史も技術も希望もすべてをぶち壊す恐怖の権化!!もっとオレを恐れろ!!オレに怯えろ!!史上最悪のテロリスト、“超高校級の爆弾魔”屋良井照矢様とはオレのことだあ!!」

 

 「では今回の話だが──」

 

 「ちょっと待てェい!!なんか言うことあんだろうがテメエ!!完全スルーっつうかもはやシカトじゃねえか!!解説編の相方をシカトするってあるか!!」

 

 「五月蠅い土竜だ。おとなしく地中で蚯蚓でも囓っておればいいものを」

 

 「マジもぐらじゃねえか!!ってそうじゃなくて、本編の話に行く前にもっといろいろあんだろ!!前口上長えなとか、“才能”バラしていいのかとか、オレとお前の組合わせってどうなんだとか!!」

 

 「くだらん。その辺の解説など不要だろう。必要ならばまた書けばいい」

 

 「作者の野郎に解説編の解説編書かすつもりかよ!?エンドレスに続くじゃねえか!」

 

 「創作物として無限に続くのは良いことだろう」

 

 「需要ねえよそんな続き方!」

 

 「だいたい本編を読んだ者であれば、今さら貴様の正体や俺と貴様の因縁など解説するまでもなかろう。こうしていま膝をつき合わせているだけで俺は手が出るのを堪えているのだ。貴様とて早く終われば無意味に痛い目を見なくて済む」

 

 「いやまあそりゃそうなんだけどよ、他のヤツらって本編行く前にいろいろと雑談っつうか、本編と関係ねえフリートークもしてんだよ。オレはそういうのを期待して今日来たんだよ!そしたら相方がお前って……!これなら清水の方がまだマシだった!あいつならなんだかんだでノってくる、っつうかノらせられたのに!」

 

 「お互い様だ。俺とて貴様の顔なぞ二度と見たくなかったが、こういう状況になってしまったのだから仕方あるまい。兵装束にて母思うより、槍持て首級を取れ」

 

 「なんだそりゃ」

 

 「兵役にかり出されて母を思い泣くよりも、持った槍で首でもとって名を上げるべし。現状を憂うよりもその中でできる限りのことをしろということだ」

 

 「じゃあそう言えよ。お前のその似非故事成語、意味が分かりにくいんだよ。本編でもちょこちょこ言ってたろ」

 

 「言葉を知らずとも意味を推し量ることはできる。それすらもできん馬鹿であるというだけの話だ」

 

 「ああそうか。日本語は日本語だもんなちょっと考えりゃあ小難しい言葉の意味くらいすんなりと分かるかァ!!だいたい似非だろ!?実際にはないんだろ!?」

 

 「古部来家にはある」

 

 「古部来家なんて実在しねえじゃねえか!!」

 

 「それを言うなら、もぐらも実在はせんだろう」

 

 「それはいいじゃねえかよ!ってか実在したらネタになんかできるかい!」

 

 「ならば俺が架空の故事成語を口にしたところで何の問題がある。非実在であることなど、それこそ知らずとも推し量れよう。ならばこの問答に意味などあるまい」

 

 「野暮ってえ話しなさんなって。なあ古部来よお。オレもお前も本編では死んだ身だ。過去のことは水に流して仲良くやろうぜ」

 

 「言葉で勝てんと踏んで急に話の軸を変えてくるな。寄るな触るな凭れるな。貴様の馬鹿さで穢れる」

 

 「言葉で勝てねえ?クックック……ぎゃはははははァッ!!バーカ!!お前はとっくにオレにやり込められてんだよ!!今はじまってからどれくらい経った?オレたちはその間なんの話をしてた?本編に関係ある話だったか?答えはNOだ!!テメエがくだらねえと吐き捨てるような話題で冒頭のトークは終了だ!!オレの目的は達成され、テメエの可及的速やかに終わらせるとかなんとかいう目論みはもう既に破綻しちまったんだよォ!!なあ!!分かるかコラァ!!」

 

 「情緒不安定だな」

 

 「リアクション少ねッ!!そんだけかよ!?せっかくもぐらモードになったっつうのに!つまんねーの」

 

 「不安定なのか調整自在なのかどっちなのだ?」

 

 「へへ、どっちだろうなあ?」

 

 「さして興味もないが」

 

 「きょうめよ!!興味を持てよ!!きょうめよ!!」

 

 「そんな言葉はない」

 

 「テメエが一番言うな!そもそもお前がそんな調子だから、オレががんばって盛り上げてやってんの分かんねえのかよ?このままじゃ他のヤツらのインパクトに負けちまうぞ」

 

 「インパクトはいらん。コンパクトにまとめろ」

 

 「淡白に言いやがって」

 

 

 

 

 

 

 

 「とはいえ、無駄話をしてしまったことは事実。深くであった。ここからは簡潔に解説をしていくぞ」

 

 「だからそれが面白味がねえっつってんのに、頑固な野郎だねえ」

 

 「まずは、ああ。あの馬鹿の独白からか」

 

 「お前さあ、解説編でくらい名前で呼べよ。お前からしたら全員馬鹿だろ?誰が誰だか分からねえって」

 

 「一理あるな。では改めよう。癖毛馬鹿の独白からだ」

 

 「わあ分かりやすい、って名前で呼べっていうオレの意見はどこに消えた!?」

 

 「どうやら心中企てていたクロとしての脱出策に、裁縫馬鹿が処刑されたことで自信を喪失したようだな。所詮ヤツが何をしようと俺や六浜の前では無計に等しかっただろうが」

 

 「六浜は名前で呼ぶんだな。なんだその差別。にしてもまあ、さすがに主人公だし一章過ぎたら最後まで生き残るのが定石だろうよ。パラレルで一章死のパターンもあったらしいけどな」

 

 「ほう、話せ」

 

 「話の振り方が雑すぎだろ!きょうめっての!」

 

 「だからそんな言葉はないと言っている」

 

 「ったくよお。パラレルっつうか、ちょうどまさにこの話を作者が書いてる時に思い付いたパターンなんだけどよ。清水って自分の立場とか、“才能”とかを毛嫌いしてて、ものすげえ卑屈だろ?パラレルではその逆で、あいつが自分の努力の“才能”にプライド持ってて、逆に他全員を“ただの才能”っつって見下してるっつう。どっちにしろヤなヤツだけどな」

 

 「それで一章死になるのか。哀れというか不憫というか、そんな感情も湧かんほど情けないな」

 

 「まあ他のヤツらに先越されるくらいならって先走っちまって、滝山の返り討ちに遭う、というか半分事故で死ぬっていう。自業自得とはいえ、悲しい最期だよなあ」

 

 「貴様が言うと説得力の欠片もないセリフだな」

 

 「で、思い付いたはいいけど今更もう遅いし、けどせっかく閃いたキャラ案がもったいねえってことで、次回作のとあるキャラにその性格は引き継がれたらしいぜ。傲慢で、やたら自信家で、他人を見下してて、そのくせ能力はあるから余計にムカつくようなヤツが」

 

 「おそらく次回作を読んでいる者は同じ人物を思い浮かべているだろうな。あの白髪馬鹿」

 

 「敢えて明言してねえんだから決定的なヒント出すんじゃねえよ!」

 

 「ではこの件の解説はこれで終わりだな次に移るぞ」

 

 「おいおいおいおいおいおい!急に事務的になりやがったよ!もっと自然に繋げられねえのかよ自然によ!?」

 

 「自然にする必要がどこになる。解説編だと銘打っているのだぞ」

 

 「不自然だと気持ちがぶった切られんだろそこで!いちいち区切ると冷めるんだよ読んでる方々がよォ!!」

 

 「お前は誰に対して敬語を使っている。では貴様が見せてみろ、自然な繋ぎとやらを。カウントをとってやる。1.2.3」

 

 「んな急に雑なフリでできるかってんだよ!さてはお前バカだろ!バーカ!」

 

 「馬鹿に馬鹿と言われても何とも感じんな」

 

 「もういいわ!グダる前にとっとと次行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 「次は朝飯のシーンだな。相変わらず古部来は寝坊だ。そんでもって晴柳院もこの日はまだ来てねえ。まあしゃあねえわな。あいつにとっちゃ相当ショックな出来事だっただろうからな。むしろなんとか起きて来られただけでも大したもんだと思うぜ」

 

 「コロシアイが始まった時点で必要だった覚悟がなかっただけのこと。覚悟を決めたとしてもこの時点では遅いわ」

 

 「へーへー、厳しぅござんすねー。オレも別に晴柳院が可哀想とか言うつもりはねえけどよ、お前はあんまりにも他人の感情に無頓着っつうか、厳しすぎんぞ。甘い部分も出しておいて普段から普通の人間のフリしとかねえと、いざってときに困るもんだぜ」

 

 「月並みな説教かと思ったら全く違った。普通の人間のフリなどオレには不要だ。厳しくしているのは否定せん。俺自身がそう育てられてきたし、そうすることが人としての成長に必要なことだからだ」

 

 「ただ厳しいだけじゃ晴柳院みてえなタイプは潰れちまうぜ?」

 

 「それで潰れるようならばその程度ということだ。本来人はもっと強い。恐れ臆し怯えるから弱くなる。打ち破らざれば己の手で己を弱むるもの也」

 

 「はあ……言いてえことは分かるけどな。お前なりに晴柳院を心配して、敢えて厳しくして成長を促して困難を乗り越えてもらおうってこったろ?でもなあ、いかんせん晴柳院がそういうタイプじゃねえんだよなあ。すれ違いってヤツだな」

 

 「待て。俺が晴柳院を心配しただと?乗り越えてもらおうだと?馬鹿なことを言うな馬鹿。俺はヤツのあの内向的で軟弱な態度が気に入らんから喝を入れたまでで、その後にヤツがどうなろうと俺の知ったことではない。況してや案ずることなどありはしない」

 

 「自覚がねえのかはたまた繕ってんのか。別にどっちでもいいや。んなことよりも、晴柳院にそんな態度とってるせいで、この後むつ浜に言われちまうもんな。ほらこのシーン」

 

 「俺が相手とはいえ、こんなことを全員の前で口にするのは愚かしいな。自らこのコロシアイを止められないと宣言しているようなものだ。それに、この程度のことで俺の意識が変わると考えたのなら、この場面の六浜は相当頭が弱い」

 

 「ボロカス言うじゃねえか。けど実際にこの後の展開で死んじまうだろ!」

 

 「貴様がそれを言うのか」

 

 「むしろオレが言わなきゃ誰が言う!?むつ浜か!?清水か!?バカ言うんじゃねえよ!オレがしでかしたことをオレが言わねえでどうするってんだよ!」

 

 「くだらんことを誇って大声を出しおって。とことん卑しい男だ」

 

 「結構!卑しくて下らなくて浅ましくて悪どくて疎ましいオレみてえな男にぶっ殺されたヤツの言葉なんか何一つ痛くねえなァ!!」

 

 「なぜ一人で興奮している。座れ、机に乗るな。今さら俺に優位を感じてどうなるというのだ。この章の話ではないが、俺も貴様もとどのつまりは敗者だ。何を言おうと五十歩百歩なのだ。見苦しい」

 

 「れ、れいせー…。オレが裁判でこのテンションのとき、むつ浜たちはドン引きだったんだぞ。そんな冷静でいられるとなんかやりにくくなんだろ」

 

 「貴様と『もぐら』の本質を理解すれば、恐れおののき怯えることが逆効果だと知ることになるからな。知らずとも、俺がそんな張り子の虎を恐れることはないが」

 

 「よ、よく分かってんじゃねえかよ。なんか照れんな」

 

 「どういう感性だ貴様。いや言わなくていい」

 

 「オレの感性よかお前はどうなんだよ。いくら可能性は高いっつっても、“超高校級の予言者”のむつ浜にそんな予言されたら、そりゃもう可能性とかじゃなくて確定した未来になっちまうじゃねえかよ。多少ビビるだろ?」

 

 「それも同じだ。ヤツの“才能”と呼ばれるものの本質を理解していれば、ヤツの言葉に翻弄されることもない。統計的、確率的、論理的に現在の状況から未来を推測すれば、俺が死んでいる未来など簡単に予想がつく。とっくに覚悟していたことだ」

 

 「お前みたいなヤツは普通、他のヤツらがどうなるか興味ねえけど自分だけは生き残るって確信してるもんだけどな。まあオレがまさにそうだったんだが!」

 

 「生き残ると確信していたというか、貴様は皆殺しを画策していただろう。コロシアイのシステムを根底から無視しようとしていただろう」

 

 「モノクマのルールに抵触しなきゃなんでもありでいいんだろ?まあやる前にバレちまったんだけどな…ちくしょう!火薬が手に入るまで鳴りを潜めてたのが裏目ったか…!」

 

 「火薬がなかったらどうするつもりだったのだ」

 

 「最悪もうハッパ使わねえで、毒なり鈍器なりいってたかもな。粉塵爆発は不自然だしバレやすいからオレの美学に反する」

 

 「この世でもっともどうでもいい美学だな」

 

 「背中で泣いてる男の美学だぜ」

 

 「なぜ貴様が泣く。泣きたいのは殺された方だろうどう考えても」

 

 「──っと!んなこと言ってる間に、新しく解放された資料館の探索シーンだぜ!今後この資料館ってのはやたらと重要な場所になってくるんだよな」

 

 「資料という名目で書物やらなにやらが大量に保管されているからな。物語の核心に迫る場面でこの手の資料は欠かせん。2階の楽器置き場も、何度か注目されていたな」

 

 「ところでよぉ、他の創作論破だと新エリア開放っていうと、マジで新しいエリアが開放されんだと。その点、なんでQQは施設1個なんてみみっちい開放の仕方してんだ?」

 

 「そこに突っ込むのか…。はじめに舞台を設定するときに、舞台が広すぎると各人がどこで何をしているのかを把握しきれなくなると懸念したために、逆に狭くし過ぎたのだ。そのことに気付いたのは始まってからだからどうしようもなかったがな」

 

 「その間抜けって誰のことだ?」

 

 「無論、作者だ。いくら広かろうと、自分に都合の良いように登場人物を動かせばいいだけの話だというのに」

 

 「その反動か、逆に次回作のエリアはバカでかいんだろ?こんな合宿場とは比べものにならないくらい」

 

 「遊園地を中心に街が脈絡なく群れていると聞いた」

 

 「極端なんだよマジで…。けどまあこのオレがいるんだ。広すぎて厄介なことになるって心配は仕方ねえっちゃ仕方ねえけどな!」

 

 「何をおもってしてこのオレなのか知らんが、貴様も俺も登場人物である以上、その行動は全て作者の手の中だろう。勝手に動き回るわけでもあるまいに」

 

 「それがそうでもないんだと。作者だけでなくって物書きに結構共通してるらしいんだけどな、登場人物って書いてるうちに自分が想像しなかった動きをしだして、収集つかなくなりそうになったりするんだと。うちの作者の場合は新しい設定付け加えたり強引に元の流れに戻したりして調整するらしい」

 

 「そういうものなのか?俺には分からんことだな」

 

 「お前だって相手がどんな動きしてくるか分からねえ将棋だったら困んだろ」

 

 「どんな動きをしようとも盤の上では駒の数も動きも行動範囲も限界がある。物書きほど自由ではない」

 

 「そーかよ。でもわっかんねーかなー。これわりと物書きあるあるなんだけどなあ」

 

 「それは単に自分で自分の思考を整理できていないから、取りあえず書いたものを後から消したり変えられなくなって、勝手に動いていると認識しているに過ぎないだろう。勝手に文章が書き進められるわけでも、絵が浮かび上がってくるわけでもあるまいに」

 

 「野暮ってえヤツだな。そんな論理的な説明すんじゃねえよ。いいじゃねえか。キャラは勝手に動くんだよ」

 

 「勝手に動くのならば俺が貴様なんぞに殺されて黙っているわけがなかろう。己の仇を己で討つのが俺のやり方だ」

 

 「マジで!?オレこの解説編でずっとタマ狙われてたのかよ!?ステイステイ!」

 

 「腹立たしいことに、その行動は作者権限で制されているらしい。腸は煮えくりかえっているというのに身体が動かないというのは、何とも奇妙な感覚だ」

 

 「ずっと腸が煮えくりかえってたのかよ!?知らず知らずのうちにとんでもねえヤツとコンビ組まされてんじゃねえかオレ!」

 

 「貴様にだけは言われたくない」

 

 

 

 

 

 

 

 「んで、場面は資料館探索に移るみてえだな。こっからは命の危機を感じながらお送りするぜ。屋良井照矢だ」

 

 「10余名で探索してもそれなりに時間がかかる。かなり広い施設だな。もっともこの時俺は部屋で将棋を指していたわけだが」

 

 「けどお前、事件が起きて捜査するときとか、その後の3回目の動機発表のときとか、普通に資料館使ってたよな。いつの間に探索したんだ」

 

 「探索などせずとも、一目見ればどういった施設なのかは一目瞭然だろう」

 

 「清水と同じこと言ってんぞ。しかも清水はその後望月に論破されたぞ」

 

 「ふんっ、あの馬鹿と俺では一目でとらえる譲歩量とそこからの推察力が違う。言葉は同じでも理解度は全く異なるのだ」

 

 「なんつうかなあ。お前と清水って結構似てるよな。人と関わろうとしねえし、やたら人に暴言吐くし、いっつも不機嫌そうなツラしてるし。お前、結局清水のことどう考えてんだ?」

 

 「どうもこうも、馬鹿としか言いようがない。努力の才を以て希望ヶ峰学園に入学しておきながら、その努力を怠るどころか放棄したのだろう?才覚ある者といえど努力なしに何を成し遂げることができようか。況してや努力をせぬ凡人など言うまでもない」

 

 「つまるところ、もったいねえってことだな」

 

 「ヤツにそれだけの価値があればの話だがな。学級裁判での動きは、物語の主人公として最低限必要な分だった。そこを勤め上げたことは褒めてやろう」

 

 「オレらはドロップアウトしちまったしなー。オレを追い詰めたのはむつ浜だったけど」

 

 「3章以降は清水以外の者が学級裁判で犯人を指名するようになっている。事件が難化、複雑化するにつれてヤツの手には負えなくなっていったということだ」

 

 「まあオレは彼の程度のヤツの手に負えるヤツじゃねえもんな。それに5章の犯人指名も、あいつにゃ無理だったと思うぜ。まあ望月が適任だったってことか」

 

 「情に絆され正確な思考が出来なくなるのは未熟な証だ。その隙を突かれては目も当てられん」

 

 「冷てえ野郎だな。そんなんだからむつ浜に絡まれるんだよ。この探索の後から、お前とむつ浜ってやたら将棋指してたろ。すげえ難しいこと言いながら」

 

 「あれはヤツが提案してきた。どうしても話をしたいと言うから、俺の鍛錬の邪魔をしないのならば話を聞いてやると言った。そうしたら、将棋を指してやればいいのだろうと。甘くみられたものだ」

 

 「甘くみたっつうか、どうしようもねえワガママに取りあえず付き合ってやってるって構図にしか見えねえんだが」

 

 「好きにとらえろ」

 

 「お前さてはオレと会話する気ねえだろ!雑な返事ばっかりしやがって話膨らまねえじゃねえか!やべえってマジで!解説編として終わってるって!」

 

 「貴様が知っていることを話せばいいだろう。たとえば、資料館の検索機能付きパソコンだが、これは3章の裁判で少し話題に上がる。2階の音楽資料館の楽器類はこの後穂谷がよく使うが、2章の裁判にもかかわってくる場所だ。あとは5章の動機編で希望ヶ峰学園のシンボルの裏に隠された資料が使われる。この資料館は、かなり色々な事件への伏線が張り巡らされている場所だとかな」

 

 「いま全部お前言ったぞ!?オレにしゃべらす気ねえのか!」

 

 「このような場所を合宿場に用意する意味が分からん。それに隠し本棚にあったあの資料は、希望ヶ峰学園が意図してこの合宿場に隠したのか。だとすれば、ずいぶん不用心だ」

 

 「まあそうだよな。普通は目の届く、手の届くところに隠すわな。あとそうだ。学園のシンボルが資料館にあったことで、このコロシアイに希望ヶ峰学園が関わってるんじゃないか説が浮上するんだよな。この時点じゃ学園がどのくらい絡んでるかぼんやりしてた」

 

 「創作論破に限った話ではないが、希望ヶ峰学園というのはやたらと暗部を取り沙汰されるのだな。国家的特権を有する故の底知れ無さがそうさせているのだろうか」

 

 「こういうでけえ組織にゃやべえ部分があった方が面白えんだよ。まあとはいえ、さすがにコロシアイなんかさせる気はなかっただろうけどな」

 

 「学園は、ここに黒幕が潜んでいることを知りながら俺たちを送り込んだのか、或いは黒幕が俺たちを発見して寄ってきたのか」

 

 「そこは作者のみぞ知るって感じだな。どっちにしろオレらは完全に巻き込まれただけだけど」

 

 「次は二章の日常編か。退屈すぎてあくびが出そうだ」

 

 「ただの寝不足だろ」

 

 

 

 

 

 

 

 「まずは笹戸の釣りシーンからだ。まあなんだ。うん、オレは別に笹戸に対して言うことは特にねえ」

 

 「奇遇だな。俺もあの釣り馬鹿にはこれといって印象に残っていることはない」

 

 「やべえ…いきなり話題がなくなっちまった。よく考えたらあいつなんなんだろうな。自分で言うのもなんだが、オレとか古部来とか癖の強えキャラが山ほどいる中で、あいつってマジで特徴ねえじゃんか。根暗じゃねえんだけど地味っつうかなんつうか」

 

 「あれがヤツの素なのだろう。或いは問題児になる前のヤツの姿か。釣りの才能は本物のようだが、あの小さい身体のどこにそんな力を備えているのやら」

 

 「ああそうだな。あいつって童顔のくせに腹筋割れてんだよな。うっすらと」

 

 「運動系の才能というのはQQの中にはそういない。ヤツは除けば猿だけだ」

 

 「そうだな。滝山は運動ってジャンルかどうか微妙だけど、その滝山と笹戸は結構つるんでるイメージだな。あと明尾や晴柳院」

 

 「ここではそこに蒐集馬鹿が加わるのか。この章ではヤツの才能への執着がテーマになっているが、執着心といえば当の笹戸も大概だったな」

 

 「あー、まあそうだな」

 

 「捌く魚一尾一尾に手を合わせるというのは、あまりに常軌を逸している」

 

 「あのなよなよした雰囲気と幼さでカムフラージュされてっけど、その命に対する異常な尊重心ってのが、あいつが“超高校級の問題児”たる由縁だったりするんだよな。命を重く見過ぎだっての」

 

 「貴様は軽んじすぎだがな。それから、蒐集馬鹿がここで写真を撮っている。この写真の蒐集は何を意図したのだったか。おい、説明しろ」

 

 「忘れたからってオレに丸投げすんなよ!こりゃだから、アニーの写真を撮ってるってのがミソなんだよ。二章の学級裁判でアニーの指輪の話出てくんだろ?その時に元々はめてた指輪が何かの証拠として、写真が使われるって予定だったわけだ」

 

 「予定、か」

 

 「そう、予定だ。結局それをするまでもなく話が進んだから、写真ネタはお蔵入りになったってわけだ。そうでなくても、この写真撮ったの石川だし」

 

 「これは俺の予想だが、作者は何も考えずに取りあえず写真の件を書いたな」

 

 「だろうな。バカ丸出し」

 

 「あとは大物がかかって釣り糸が切れる件。ここも後の伏線になっているのだろう?」

 

 「ああ。二章でアニーの首を絞めた凶器の話のときにな。それだけじゃねえぜ?この釣り糸、5章の伏線にもなってんだ」

 

 「自然火災装置の仕掛けか」

 

 「ああ、適度に強度があって、簡単に切れるって性質だからこそ使えるわけだ。そう考えるとこのシーン、結構伏線たっぷりだよな」

 

 「日常編にはあらかじめ多くの伏線を仕込んでおかなければならない。事件直前になってやたらと説明的になったり、ある人物が目立ったりしては勘付かれるからな」

 

 「日常編にはこんなのがうじゃうじゃしてんだろ。こりゃ解説も一苦労だな」

 

 「だから簡潔に済ませるとはじめに言っただろう」

 

 「お前が言う簡潔は簡潔じゃなくて粗雑だろ!馬鹿が馬鹿とツレだって馬鹿なことを馬鹿馬鹿しくやってるとかしか言わねえだろ!」

 

 「俺はそんなに馬鹿馬鹿言っていると思われているのか」

 

 「言ってるだろ実際!初対面の清水にも言ってたし裁判中はオレも言われたぞ!忘れてやんねーからな!」

 

 「あまり馬鹿と連呼すると馬鹿っぽく映るな…今後改めよう」

 

 「おお。やけに素直じゃねえか」

 

 「貴様を見ていて思ったのだ。こいつと同程度の人間に思われるのだけは避けようと」

 

 「素直ではあったけど態度は変わってなかった!ちくしょう!」

 

 「次は曽根崎と発掘馬鹿が資料館で話す場面だな。ここは特に伏線などないだろう」

 

 「馬鹿か!!超ド級に重要な伏線があんだろうがよ!!オレ様の話してんだよオレ様の!!もぐらの!!」

 

 「もぐらがこのコロシアイの首謀者ではないかという憶測と、この合宿場が希望ヶ峰学園の土地なのではないかという疑惑だろう。今更すぎて取り立てることもない」

 

 「テロリスト『もぐら』の詳細がはじめて言及される重要シーンだろうが!!可能な限りの犠牲者と執拗なまでの封じ込めの仕掛け!!アリの子一匹逃がさねえ破壊と殺戮はもはや犯罪作品の領域に達する!!ぎゃはは!!」

 

 「本当に三章でこの男と解説をすることにならなくて良かったと心から思う。面倒が過ぎる。こんだけ詳しく言及するってことは、本編でもぐらが絡んでくるのは必定!!きちんと伏線仕込んであんぜ〜オレ様は!!」

 

 「他に仕込みがあるとすれば、曽根崎の不穏な発言か。ヤツは基本的に無害ではあったが、思考回路の計り知れん深さや腹の内に一物抱えた暗さがあったな。殺人が起きることに対して肯定は勿論のこと否定もしていなかったように思う」

 

 「あいつはあいつでブッ飛んでっからな。まさか学園を相手取ってスパイやってるとは思わなかったぜ」

 

 「ヤツの委員会での先輩の影響なのだろう?何者だったのだそいつは」

 

 「それは登場してからのお楽しみってことでお預けだぜ」

 

 「出るのか?この解説編に?」

 

 「その予定だぜ!曽根崎が相手とは限らねえが」

 

 「曽根崎以外に誰がそいつと話ができると言うのだ。聞けば故人というし」

 

 「オレら全員故人みてえなもんだろうよ…」

 

 「まあそうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 「で、次はお前とむつ浜が将棋指してるところだ。お前が自分から外に出るシーンなんてここくらいしかねえんじゃねえかマジで」

 

 「単なる気紛れで表に出てみればこれだ。まったく鬱陶しい」

 

 「この会話の中でも言ってるけどよ、やっぱりお前晴柳院にキツくあたったのって、あいつのことを想ってなんじゃねえの?硬派気取ってっけど実はロリコンなんじゃねえの?」

 

 「遠回しに飯出を貶めているが」

 

 「お〜ん?論点ずらしィ!!怪しいなあオイ」

 

 「馬鹿なことを言うな。もし俺が本当に晴柳院に惚れていたら、ヤツ自身が強くならずとも俺がヤツを死なせん。敢えて厳しくする愛情は親心だけだ」

 

 「え、なんだその男らしいセリフ」

 

 「愛だの恋だの軟派なことを語る気はないが、少なくとも貴様が考えるような拙い恋愛観は持っておらん」

 

 「お前の口から恋愛観なんつー言葉が飛び出すとは思わなかった!つかてめーむつ浜となんかいい感じになってただろ!そこんとこどうなんだよ!」

 

 「人を指さすな馬鹿。ヤツが俺とどういう関係であれ、貴様にはどうでもいいことだろう」

 

 「明言しねえあたりが余計に怪しい!ちくしょう!なんで男二人で恋バナなんかしなきゃならねえんだよ!誰が見てえんだよそんなの!気持ち悪い!」

 

 「貴様が話題を吐くって貴様が否定するとは、いったいどういう話の運び方だ。やはり情緒不安定だな貴様」

 

 「逆にテメエのそのローテンションはなんなんだよ!ちょっとはオレに合わせろよ!」

 

 「合わせろと言われても、それほど劇的なことが起きていないからな。裁判の解説ならまだしも日常編の解説では大して話すことはない」

 

 「清水も清水だったけど古部来も古部来だなこりゃ…。ハイテンション役で宛がわれたオレの身にもなってくれよ…」

 

 「邪悪すぎる貴様に宛がわれた俺の身にもなれ」

 

 「前々から言われてたことではあるけど、この謎采配なんなんだろうな。清水と飯出っつう組合わせもどうかと思ってたけどなんだかんだやり切ったし、かと思えば本編でちょっとしか出てねえ袴田をがっつり解説役に抜擢したし」

 

 「誰と誰をどう絡ませるかは本編の頃から作者が苦しんでいたkとだろう。俺と六浜がよく将棋を指す仲になるというのははじめから決まっていたようだが」

 

 「キャラ同士の絡みなあ。QQは割と序盤から同じヤツらとつるんでる感じあったから、悩んでたっつうか最初は手探り状態だったんじゃね?」

 

 「人と人がどう出会いその仲を変化させていくかなど、作者にとって最も苦手とすることではないのか。己がまともにできないことを描写など不可能だろう」

 

 「きっついこと言うなお前!まあ一章ではその辺が曖昧で、よく分かんねえ組合わせが見られたりもしたんだよな。だいたい二章で固まったって感じだな」

 

 「関わり合いになった相手とその深度によっては、後々に自分の首を絞めかねん。人間関係すらも利用し合うのだ。一瞬たりとも気を緩めれば足下をすくわれるというのに、呑気なヤツらだ」

 

 「どちらかっつうとどうにか脱出しようとか角が立たないようにしようとかしてるヤツらを尻目に将棋指してるお前の方がよっぽど呑気だと思うんだけど!?」

 

 「ほう、貴様は脱出しようと角が立たないようにと苦心していたわけか」

 

 「苦心っつうか、まあそういう気持ちではいたな。誰だってこんなわけわかんねえところに拉致監禁されて大人しくはしてねえだろ」

 

 「今まさに貴様らが、ガチャガチャなんぞで遊び呆けている場面になっているが、これは脱出と何の関係があるというのだ」

 

 「遊び呆けちゃいねえよ!ただの息抜きだろこんくらい!モノクマメダルだって見つけたんだからちょっとくらいいいじゃねえか!だいたいな、このモノモノマシーンだって後々重要になってくるんだからな。トリックとかで」

 

 「原作のモノモノマシーンから出るものは、トリックには使えないガラクタばかりだったと思うが」

 

 「ガラクタじゃねーよ!キャラとの親睦深めるのに贈ったりするんだからな!さてはお前やり込み要素とか無視してシナリオクリアしたらクリアしたことにするタイプだろ!」

 

 「そもそもピコピコはやったことがない」

 

 「ピコピコて!!ジジイの言い方じゃねえか!!ってかそういうことじゃねーよ!!」

 

 「喧しいな貴様は。だが贈り物をして親睦を深めるというのは理解できる。だからこの後望月がアニーにランプを渡しているわけか」

 

 「あいつの場合は単純に需要と供給が一致したくらいの感覚だと思うけどな。ちなみに、原作みたく一人一人に親密度が上がるプレゼントが設定されてるわけじゃねえぜ。別に必要ねえ設定だしな」

 

 「考えてみれば、そうやすやすと贈り物など受け取るべきではないしな。状況からして」

 

 「まだそんなこと言ってんのかよ!」

 

 「そしてここは貴様の視点で話が進んでいるようだが、貴様こそこの状況においてよく誰それが好みだの云々かんぬん言えるな。節操のない」

 

 「悪かったな。こちとら思春期真っ盛りの男子高校生だっつうんだよ。彼女いない歴=年齢の童貞野郎だよ。文句あっか!」

 

 「別段文句はないが、男の嫉妬ほど見苦しいものはない。女の尻を追いかけるくらいなら追いかけられるよう己を磨けばいいだけのこと」

 

 「まさかテメエの恋愛観聞かされるとは思わなかった。クソほど興味ねえし」

 

 「貴様のような軟派者を見ていると不快だ。あれこれ移り気に目で追って終いには何も残らん。1人に決めて責任を持つということが甲斐性だ」

 

 「なんか正論っぽい気がしてくるけど、どうせお前のことだから古くせえ価値観でしゃべってんだろうな。ったく六浜も苦労しそうだぜこりゃ。ちくしょう」

 

 「なんだ最後の捨て台詞は」

 

 「オレの周りにゃデキあがってるヤツらばっかりじゃねえかと思ったんだよ。テメエと六浜しかり、清水と望月しかり、鳥木と穂谷しかり」

 

 「最後の組はこの後の場面でどっぷりと絡んでいるな。この時点ではまださほど関係が出来上がっているわけではないようだが、何をしているのだ」

 

 「鳥木がマジックしてんな」

 

 「やはり遊んでいるではないか」

 

 「だから遊んでるわけじゃねえって!鳥木に一回くらいちゃんとマジックさせとかねえと、“超高校級のマジシャン”らしさが出ねえだろってことでやらせてんだよ。あと、こいつらの関係を作り上げるって目的もあるな」

 

 「マジックを見せただけで関係が出来上がるのか?」

 

 「なあ古部来よぉ。お前さてはQQ読んでねえだろ。適当にしゃべってんだろ」

 

 「無論」

 

 「無論、じゃねえよ!あのな、四章のネタバレにもつながってくるけど全部言うわ。鳥木も穂谷も、本当の自分を出さないって意味で仮面を被ってんだよ。穂谷の場合はあの嗤ってねえ笑顔で、鳥木の場合はMr.Trickyってキャラな。んで、鳥木の方はそのことを見抜かれたのが初めてだったから、穂谷のことが気になりだしたってところだな」

 

 「全部説明したな。あの二人は一応、公式で恋仲になっている唯一の組だったな」

 

 「唯一なのかよ?QQは割と組合わせ多い方だと思ってたぞさっき言った3組だろ。あと滝山とアニーだろ、あと晴柳院と笹戸だろ」

 

 「知るか、どうでもいい。そう聞いているから言っているだけだ」

 

 「急にめんどうくさくなってんじゃねえよ!」

 

 「誰と誰がどういう関係になろうが、本編で語られている以上のことはただの妄想に過ぎんだろう」

 

 「いよいよこのコーナー自体を否定してきやがったな。さてはアニメのOVAとか本編とはパラレルって考えるタイプだろ」

 

 「マンガなど見ない」

 

 「アニメのことマンガって言うのは完全にジジイだからなもう!何の話だ!」

 

 「この手の場面では、いかにも恋仲に発展しそうなむず痒い雰囲気が流れるものだが、この二人の場合はそういうわけではないらしいな」

 

 「まあどっちもそういうタイプじゃねえからな。つうかこれって、穂谷が鳥木の被ってる仮面をムリヤリ引っぺがしにかかってるところだから、良い雰囲気っつうよりヤな緊張の方が強えだろ」

 

 「ホタテがムリヤリ殻をこじ開けられているようなものか」

 

 「喩えへたくそか!おっと、ここで空気を読まねえでモノクマのアナウンスだ。この次は動機編だな」

 

 「二章の動機はなんだった。瑣末なことだったような気がするが忘れてしまった」

 

 「あのな、モノクマが殺人の動機として寄越すもんだぞ。瑣末なわけねえだろ。人にはバラされたくない秘密だよ。原作の二章と同じだけど、ちょっとこっちは具合が違ったな。互いに秘密を握らされるっていう、あれ何の意味があったんだ?」

 

 「思い出した。誰が自分の秘密を握っているか分からないこと、自分が誰の秘密を握っているか分からないこと、或いは秘密そのものから疑心暗鬼を加速させるという意図だったな。一つ目に比べて遠回しではないか?直接殺人に繋がるというより、衝動的な、偶発的な殺人を促しているようにも見える」

 

 「実際そうなんだろうよ。一回殺人が起きて裁判とおしおきを経たら、オレら全員の敵はモノクマだっていやでも思い知るだろ。そしたらオレらが団結しちまうから、その結束をぶち壊すために疑心暗鬼の種を蒔いたってことだろ」

 

 「そこまでモノクマの意図が透けていて、何もしなかった貴様も大概だな」

 

 「んーまあオレ的にはどっちでもよかったからなあ。どうせ全員ぶっ殺すつもりだったし、オレの正体があんな紙切れでバラされんのも気にくわなかったけど、バレたらバレたなりにやりようはあったしな。どうせオレがその気になったら誰も逃げられねえんだよ!テメエ然りな古部来!」

 

 「あのアホ毛馬鹿が手にした秘密は一体誰のものなのだろうか。コロシアイの全てを知っている者など、物語通して見ても黒幕以外にはおらんだろう」

 

 「実際のところ、あの秘密ってデタラメみてえなもんだっただろ。だからなんでもいいんだよ。一応、QQ全体のオチを臭わす伏線っぽいもんにはなってっけどな」

 

 「…俺たち全員が、既に一度コロシアイを経験していたということか?あり得んな。モノクマが最後のセリフで、『二回戦』とはっきり言っている。俺たちのコロシアイの前には何もなかった」

 

 「これが『本選』で『予選』があったとしたら?地下資料館にとんでもねえ数の“超高校級”どもの資料があったんだぜ?」

 

 「どうとでも言える、ということか。ヤツらしい」

 

 「でまあ、案の定モノクマの思惑通りにバラバラになってくわけだけど、ここでお前がむつ浜のために残るのは意外だったな。クダラン、とか言ってさっさと帰るかと思ってたのに」

 

 「待て。なんだ今の変な声は。まさかだが、俺のモノマネではなかろうな」

 

 「ダイタイコンナカンジダロウ。キサマハ」

 

 「そんな停止直前のロボットのような声はしとらん。貴様とは歩んできた道の重みが違うのだ。俺と同じなど出ようはずもない」

 

 「人生の険しさで声は決まらねえと思うけどな。そういやオレらのICVって決まってねえの知ってっか?」

 

 「知らん。小説においてICVなど必要ない。縦しんばあった方がいいとしても、それは各々が勝手に想像の声を宛がえばいいだけのこと。こちらからわざわざ指定する理由がない」

 

 「単純に作者が、イメージに近い声色の声優知らねえだけだけどな。つまりだ!!」

 

 「五月蠅い急に」

 

 「今ここで希望のICV言っときゃそれが正式採用されるってことだろ!」

 

 「どこかで見たような件だな。正式採用もなにも動画化の見込みもなかろう。勝手に頭の中でイメージする分には自由にしておいた方がいいのではないか」

 

 「うるせえ!ひとまずオレは山口勝平でオナシャス!古部来は!」

 

 「誰でもいい。興味がない」

 

 「古部来は置鮎龍太郎でオナシャス!」

 

 「本当に意味があるのかこの件」

 

 「最近じゃ動画の創作論破ってのも出始めてっからなあ。ない話じゃねえぜ?っつうかQQだって一回声劇企画あったんだからな」

 

 「やめろ、自分たちの物語の黒歴史を紐解くな。あれは悲惨だった」

 

 「お前もちゃっかりキズ抉ってんじゃねえか!男声1人も集まんなくてとうとう作者がイメージの声を全員分録ってアプリで流すとかやったの忘れさせてやれよ!」

 

 「どういう気持ちでこの件を書いているのだヤツは。気でも触れたか」

 

 「またチャンスがあったらやりてえぜ。いっそのこと声だけじゃなくてアニメでだ!オレもぬるぬる動いてみてえなあ」

 

 「めかぶでも食っておけ」

 

 「ぬるぬるになりてえわけじゃねえよ!ボケか!?ボケたのか!?マジトーンでボケるから分かりにくいんだよお前!」

 

 「油断もせず動揺も見せず常に十手先、百手先を読むようにすれば、自ずと感情は抑え込むようになる」

 

 「望月がまさにそんな感じだったなあ。意外と古部来を突き詰めてくと望月みたくなったりして」

 

 「合理的かも知れんが、人間味を失った結果がアレならば、俺はそこまで求めない。限りなく近くなろうとも人間をやめはしない」

 

 「オレはとっくに人間やめてっけどなあ!WRYYYYYYYY!!」

 

 「案外貴様も仮面を被っているのかもしれんな。テロリストの仮面と石的な仮面を」

 

 「いや石の仮面は被ってねえよ」

 

 

 

 

 

 

 

 「事件の前には飯がある。そんなQQだから第二章でもちゃんと飯時のシーンだぜ」

 

 「そんな決まりがあったのか?」

 

 「なかったけど気付いたらそうなってるんだよ。まあ事件は夜に起こりやすくて、そうなると自然と晩飯のときが事件前最後の描写になりやすいってことだな。古部来と穂谷は自分で勝手に飯吐くって食ってるけど、穂谷はどうせ鳥木に作らせたんだろ。お前はどうしたんだよ」

 

 「飯くらい自分で作れなくてどうする。歯も生えぬ赤子でもあるまいに」

 

 「やっぱそうか。他に作ってくれそうなヤツもいねえしな。ちなみに何食ってたんだよ?」

 

 「さんまの塩焼き、白菜の漬け物、ひじき煮、豆腐とたまねぎの味噌汁、白飯だ」

 

 「がっつり一汁三菜揃ってやがる!こいつそんなスキルまであったのかよ!?」

 

 「漬け物はモノクマが用意していたものだがな。よく漬かっていた」

 

 「鳥木とかアニーとか笹戸とか、料理スキル高いヤツ結構いたけど、まさかお前もそっち側だったとは…なんだそのギャップ!これ以上属性付けてテメエは何をしようとしてんだよお!!」

 

 「知るか。なぜ貴様が悔しがる」

 

 「古部来っつったら絶対関白宣言的なことして自分じゃ飯の炊き方も分からねえような古くせえ昭和の旦那になるタイプだと思ってたのに、実は料理上手いなんて設定まで付けたらますますオレが目立たなくなんだろ!オレなんか料理っつったらカップ麵と目玉焼きくらいしかできねえよチクショウ!」

 

 「カップ麵は料理では無い。どうせ今までやってこなかったのだろう。やったことのないことができなくて何を悔しがる必要がある。できるようになりたくば行動しろ。たわけが」

 

 「だって料理って片付けめんどくせえじゃん!」

 

 「貴様は一生カップ麵と目玉焼きだけ食っていろ。粗末な食事と栄養失調でくたばればいい」

 

 「辛辣!?いや、オレもたいがいだけど清水もたいがいだろ!晩飯が白飯とレトルトのチンジャオロースだけって!しかも取り分けもしねえで山盛りから取ってくって!なんだ!本場スタイルか!回転テーブル持って来い!」

 

 「この場面だけで曽根崎は二回も顔面に茶碗に盛った白飯を叩きつけられているな。懲りん男だ」

 

 「この後、皿洗うシーンでも一回石鹸水ぶちまけられてんぞ。ってか清水も曽根崎に暴力振るうの慣れすぎだろ。自然にやってっけど超危ねえぞ」

 

 「ばかばかしい。馬鹿とつるむから曽根崎まで馬鹿に見えるのだ」

 

 「そりゃ望月とイチャついてんのをからかうだろ。ピーマン嫌いだから文句言うとか、その流れで天体観測に誘うとか、こいつらマジでオレらのこと見えてねえんじゃねえのか」

 

 「それを望月に理解させるのは骨が折れそうだ。概念を理解させるところからとなるともはや教育だな」

 

 「んで、もっともらしい理由つけて天体観測の準備を曽根崎と清水に手伝わせることに成功して、その間に資料館に毛布を取りに行ってんな。ここが実は事件に関して重要な部分なんだよな」

 

 「資料館の個室が閉まっていたことだな。事件の全容からして、あの時点ではまだ中に石川とアニーがいたのだろう。よく物音を立てずにやり過ごしたな」

 

 「一応秘密ってことだったしな望月が来たこともあいつらにとっちゃ不測の事態だし、アニーだってあんまし人に言いふらしたくねえだろ。なんてったって自分の秘密だからな。つうかあれだな。こうしてみるとなんかギリギリ筋が通ってるラインの綱渡りっつうか、危うい感じだな」

 

 「ポイ捨てのルールも、飯出の件があったためにどう説明すれば矛盾がなくなるか試行錯誤したらしい。深く考えもせずにルールを決めるからだ馬鹿め」

 

 「そんでもって翌朝、事件が起きるわけだ。ちなみに事件編の冒頭で望月の語りがあるだろ。これ実は、設定があやふやだったときの名残なんだぜ」

 

 「名残?」

 

 「こんな星空見たことねえっつってるだろ?北半球と南半球で見える星は違くても、天文バカの望月なら星を見てだいたいの位置は絞り込めるはずだろ」

 

 「よくそんな船乗りの真似事のようなことができるな」

 

 「そんな望月が見たことねえ空ってことは、日本どころか地球かどうかも怪しいってことだ。な?ふわふわしてんだろ?」

 

 「別の天体であることを匂わせて何の意味があるのやら」

 

 「意味なんかねえよ!結末じゃ何も分からねえ!絶望的な事実しか残らねえ!そんなクソ曖昧でもやもやした後味しか残らねえ、不確かな結末が本来のQQだったからな!」

 

 「本来のどころか、今でもなおあの合宿場がどこにあったのかは明言されていないではないか。一応希望ヶ峰学園の所有地ということになっているから、少なくとも国内ではあろうが」

 

 「もともとは更正施設だからなあ。そこまでたいそうな場所じゃねえだろうけど、こういう意味深な一言が色んな所にあったりするんだよこれだから見切り発車はヒヤヒヤすんな」

 

 「その反省を次回作に活かせていたのなら意味はあっただろうがな」

 

 「活かせて…ねえよなあ」

 

 「活かせていないと言えば、この密室のトリックもまた、十分に活かせてないな。夜中に明確なアリバイでも作ればいいものを、何もせずただ現場誤認だけに使うとは。馬鹿には過ぎたトリックだ」

 

 「いや普通に動機がある上に誰もが寝てる時間にわざとらしいアリバイがあったら逆に怪しいだろ。そんな悪目立ちするよりシロの中に紛れた方が安全だと踏んだんだろうよ」

 

 「結果見破られてしまっては世話ないな」

 

 「アニーが起きて来なくて焦って飛び出してくるシーンも、敢えて犯人の石川視点で書かれてるだろ。これ、犯人主観で事件発生シーンは描かれねえだろうっていうなんとなくのイメージに反してキャスティングされたから、石川が記憶喪失になったりしてるわけじゃねえぜ」

 

 「そういえばこの女、自分で殺しておいて死体に驚いたような素振りをするし、信じられないとばかりに感情が詰まっているようだが、なんなのだ。心の病か」

 

 「まあ衝動殺人だからなあ。自分がしたことが信じられねえって部分があるってことだろうよ。でもアニーを見つけてすぐに靴の中敷き回収する冷静さはあるし、ここも作者なりのカムフラージュなんじゃねえの?犯則っぽいけどな」

 

 「そんな叙述トリックは完全に反則だ。レッドカード一発退場ものだ」

 

 「微妙な時事ネタぶっ込んできやがった!一番興味なさそうなくせに!」

 

 「そしてすぐにいつもの二人がやってきて捜査開始か。曽根崎は熟れたものだ。アホ毛馬鹿の無能っぷりが際立つな」

 

 「いや普通の高校生は死体見てどうすりゃいいかなんてわからねえから。捜査の仕方なんか分からねえから」

 

 「貴様は普通ではないだろう」

 

 「普通のフリはさんざんしてきたぜ?普通のヤツよりさらに普通を演じてきたんだ。目立たなさは半端じゃねえぜ」

 

 「自己顕示欲と隠遁技術の共存か。矛盾しているな」

 

 「矛盾!故に最恐!それが『もぐ──」

 

 「今回の捜査は資料館内部に限られているが、やはり情報量が多いな。個室だけでも10種近くのコトダマが集まっている」

 

 「おいコラ!」

 

 「釣り馬鹿の本の栞、鳥木のヘッドフォンコードの故障などから凶器や密室トリックに行き着いた者は、そう多くはいまい。いずれにせよ靴の中敷きに辿り着かねば犯人は断定できんのだからな」

 

 「シカトこいてんじゃねえよ!なに急にめんどくさくなってんだ!」

 

 「この事件に関しては遺された情報から事件当時の状況を想定できても、いかにしてその後の状況を生み出したかが肝要になっている。故に組み上がる推理は、確証のない情報が含まれて不確かな部分があることも否めない」

 

 「なあおい聞けよ!マジでそういうのやめろって!オレがそういうの一番イヤだって知ってやってんだろ!質悪いぞ!」

 

 「論理的に説明ができるのは、何者かがアニーを絞殺し、密室トリックを仕掛けたということだけ。犯人に直接繋がる手掛かりはここから得られていない」

 

 「頼むから無視しねえでくれよお!ちゃんと解説すっから!」

 

 「よしでは話せ」

 

 「マジでぶっ殺してやろうかこいつ。あ、殺したわ」

 

 「ただの無視がここまで効果的だとは思わなんだ。貴様、難儀な性格をしているな」

 

 「まさか古部来に心配される日がくるとは思わなかった」

 

 「心配などしていない。ただこういう生物として奇異なる目で見ているだけだ」

 

 「生物ってなんだ!人間だろうがオレは!『もぐら』だけど!人間だろ!」

 

 「人間をやめたのではなかったのか」

 

 「それはそれ、これはこれだろ!シャレが通じねえヤツだな」

 

 「分かったから続きを話せ」

 

 「続きっつっても、お前ほとんど捜査編のまとめしゃべっちまっただろ。確かに2章って、石川を直接断定できたのって、最後の最後に鳥木のアドバイスがあったおかげだもんな。あれがなきゃ、犯人が誰かなんて決まらねえままだったかも知れねえ」

 

 「その場にあるものだけで、極力余計なことをせずに立ち去ったのだ。手掛かりを残さないという意味では、実に理に適っている」

 

 「おおう、そういう風に思ってるのは意外だった」

 

 「馬鹿はとにかく余計な小細工をして、それで身を隠した気になっている。いらぬことをすればするほど自身の手掛かりを残し、正体が暴かれる危険が高まるというのに。いらぬことをして満足している者を見るのは実に不愉快だ」

 

 「イラついてんのかよ。なんか清水みてえになってきたな」

 

 「冗談でも俺とヤツが近しいというだけで反吐が出る」

 

 「どんだけ嫌われてんだよあいつ!まあまっとうな部類の人間だったら距離置くヤツだけどな」

 

 「貴様がまっとうを語るな」

 

 「語らずに騙れってか?」

 

 「終わりにしよう、この茶番を」

 

 「なんだかんだ結局最後までかっちりやってんじゃねえか。勤め上げたかどうかは分からねえけど、やり切りはしたな」

 

 「一刻も早く帰って寝たい。このあとは裁判だが、俺様にとっては既に過去の話、もはや興味も記憶もないわ」

 

 「記憶がねえのはおかしいだろ!一応、次回誰が担当するかみたいなことも話するんだぜ」

 

 「興味がない。誰だろうとどうでもいい」

 

 「まあそう言うなや。残ってるメンツは穂谷、笹戸、有栖川、鳥木、望月の5人だな」

 

 「1人余りが出るではないか」

 

 「それはおいおい調整してくってことで、次回はどの組合わせだと思う?」

 

 「鳥木と穂谷でいいのではないか。今回も話題に上がったが、恋仲なのだろう?」

 

 「テキトー…けどその線結構あり得るんだよな。ついでに言うと有栖川とか望月が誰と組むか謎なんだよ、このメンツだと」

 

 「裁判の解説なのだから話の分かるものを采配しているのだろう。今回のグダグダっぷりを反省しなくてはならん」

 

 「いやまあ、日常編とかそんなもんだし。途中だいぶ話はしょったし」

 

 「次回は貴様のようなヤツとは二度と御免だ。というより、この解説自体が御免だ」

 

 「ところが残念!あと1人1回ずつはあるんだぜ!」

 

 「せめて幾分かマシな者が相方に来てくれればいいのだが」

 

 「オラ、じゃあここらで〆の挨拶言っとけよ。オレは後でいいから、古部来先やれ」

 

 「…では。俺は全く乗り気ではなかったが、奇特にも最後まで付き合っているそこの貴様。ご苦労だった。拙いものを──」

 

 「長えよ!他の連中の〆の挨拶みてねえのかよ!見てねえんだったこいつ!もっと簡単に一言、キャッチコピーみてえなの自分につけんだよ」

 

 「また面倒な件を作ったなうちの作者は」

 

 「いいからやれやれ」

 

 「分かった分かった。まったく面倒この上ない…。ではこの解説編は、1日睡眠12時間、古部来竜馬と」

 

 「(なんだそりゃ!!と思ったけど突っ込んだらまた長くなるからやめとこ)史上最悪の爆弾魔、屋良井照矢様がお送りしたぜ!テメエら次また合う日までせいぜい生きてろよ!あーばよ!」




そんなにボリュームアップしたわけじゃないですけど、なぜか間が空いてしまいました。
書き上がったのは7月なのよ。投稿サボってただけなのよ。
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