ダンガンロンパQQ   作:じゃん@論破

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第四章「鼠の嘘から出た犠牲 前編」

 

 こちらは、『ダンガンロンパQQ』の解説になります。

 本編を読了していることを前提に執筆しているため、本編についてのネタバレが多分に含まれています。

 まだ本編を読まれていない方はご注意ください。

 


 

 「なんだかんだと言われても!!」

 

 「解説しちゃるのが世の情け!!」

 

 「本編の風化を防ぐため!!」

 

 「本編の記憶を守るため!!」

 

 「原作リスペクトと創作者の意地を貫く!!」

 

 「パッシブクリエイティブな解説役!!」

 

 「飯出条治イァ!!」

 

 「明尾奈美ィンヌ!!」

 

 「紙幅を駆けるアウトドア派の二人には!!」

 

 「イエローチャーム!!ファンの歓声が待ってるぞ!!」

 

 「「じゃじゃじゃじゃーーーん!!」」

 

 「っしゃあ!!ドカーンと始まったぜ明尾!!」

 

 「うむ!やはり物事の始まりというものはこうでなくてはいかん!圧倒的なインパクト!ド派手な紹介!そして先の展開への興奮!これがなくてはな!」

 

 「まったくだ。だってのになんだァ?この四章の始まりは。いきなり夢オチとかナメてんのかよ!夢オチは絶対禁止だって協定のはずだろ!」

 

 「そりゃ漫画の話じゃが、まあ小説でも同じことは言えるのう。夢で済ませれば何をどうしても説明がついてしまう。いわばワイルドカードじゃからな」

 

 「夢は見るもんじゃなくて叶えるもんだろうが!!」

 

 「その意見に賛成じゃが脈絡がないのう。それよりもお前さん、そのリュックは降ろさんのか?重いじゃろう」

 

 「それ言ったらお前こそベレー帽脱がねえのか?部屋の中で帽子はマナー違反だぜ」

 

 「こりゃわしのトレードマークじゃ。ベレー帽にお下げにメガネにそばかす。赤いジャージに軍手がわしじゃ」

 

 「トレードマーク多すぎだろ!俺だってこのリュックは俺の冒険家らしさの演出のひとつだ!これだけはぜってえに譲れねえ!」

 

 「確かにお前さん、冒険家らしい恰好はあまりしておらんのう。アクティブそうではあるが、冒険家と言うともっといろいろな装備がありそうなものじゃが、お前さんの装備はだいたいポケットにしまえる程度のものじゃろう」

 

 「漢だったらサバイバルナイフと水がありゃあ、後は現地調達でなんとかなる!」

 

 「逞しいのか無謀なのかよう分からんわい。ところでお前さんの服装でひとつ気になることがあるんじゃが、聞いても構わんかの」

 

 「いいぜ!なんでもこいやあ!」

 

 「その十字架のネックレスは一体なんじゃ?古部来のペンダントも不似合いじゃが、お前さん伴天連かなにかか?」

 

 「伴天連て江戸時代か!こりゃお守りみてえなもんだよ。いくら身ひとつで冒険っつっても、どうしようもなく運に身を委ねなきゃならねえときもあらあ。そういうときのための、まあ気休めだな」

 

 「お前さんもそういうものに頼るときがあるんじゃな」

 

 「自然の力ってのはときどき想像を簡単に超えてきやがるからな。海のど真ん中で台風にブチ当たったり、吹雪の中で夜明かすハメになったり、ジャングルでよく分かんねえ部族の狩りに巻き込まれたりな」

 

 「それほどの死線をくぐり抜けてきた男とは思えん…あまりにも情けのうて」

 

 「うるせえ!!あんなもんはある意味で避けようのねえ終わりだったんだよ!!人間だって動物なんだから本能には逆らえねえ!!お前だって腹減ったら飯食うし眠たくなったら寝るだろ!!三大欲求ってのは生活に密着してんだよ!!だったらヤりたくなったらヤったっていいだろ!!」

 

 「ヤっても構わんが同意がなければ人権侵害じゃ。おとなしくひとりで致しておれ」

 

 「ちくしょうめが!!」

 

 「もともとお前さんはそういう、見境なく場も良識も弁えずエロに走る設定じゃったな。本編では多少変更がきいて抑制されておったが、ついに化けの皮が剥がれたか」

 

 「この章で大浴場が開放されてたろ!むちゃくちゃ惜しいことした!死ぬならせめて四章で腹の上で死にたかった!」

 

 「どさくさに紛れてタイミングだけでなく死因もケチつけてきおったな、図々しい。腹の上でじゃと?そんな殺し方があるか。見たことないわ」

 

 「前例がねえなら作りゃあいい!前例もガキもいっぺんにな!」

 

 「全くうまくない。いくらなんでも死因が腹上死など、曲がりなりにも高校生が主要人物となっている創作論破では御法度中の御法度じゃ。捜査もしづらいじゃろう」

 

 「後のことは知らねえ!そんな男のロマンみてえな死に方ができりゃあ本望だろ!」

 

 「ただ単にお前さんがスケベなだけじゃろう。それと先ほどから無遠慮にしゃべっておるがな、わしも一応女じゃぞ

。弁えい」

 

 「なに、明尾?う〜ん…アリだな!」

 

 「45年早いわ若造が!!」

 


 

 「さくっとフられたところで、四章の解説編おっぱじめっか!」

 

 「本編でもこれぐらい物分かりよければ、あんな悲劇は起こらんかったはずじゃがのう」

 

 「ん?なんだ?」

 

 「なんでもないわい。ところで、解説編はまず最初に章タイトルの解説から始めるのを恒例にしたいのじゃが」

 

 「お前の願望じゃねえか!別にいいけどよ!えっと、四章のタイトルはなんっつったっけか?」

 

 「覚えとらんのか、まったく仕方がないヤツじゃのう。『鼠の嘘から出た犠牲』じゃ」

 

 「なんじゃそら。意味わからん」

 

 「その解説をするんじゃろうが。QQのタイトルはどれもことわざをもじったものにしているから、そっちの方面から分析していくぞ」

 

 「おう、久し振りに明尾の口から学者っぽい台詞が出て来たな。分析って」

 

 「これまでのタイトルはひとつのことわざをもじったものになっておったんじゃが、四章からはいくつかを組み合わせておるな」

 

 「なんでだよ?」

 

 「知らん。ひとつのことわざからじゃ思い付かんかったんじゃろ。『鼠の嘘から出た犠牲』は何と何が混ざっているかわかるかの?」

 

 「鼠っつったら、窮鼠猫を噛むとか、袋の鼠とか、そんなところか?嘘から出たって部分は、そのまんま嘘から出た誠ってのがあるな」

 

 「なんじゃ、正解するのか。つまらん。意味分からんと言っておきながらここで正解しては、お前が賢いのか頭悪いのか分からんではないか。一貫性を持て!」

 

 「なんで正解して怒られてんだよ!んなことより、それがどう組み合わさってどういう意味になってんだよ!そっちだろ!」

 

 「ふむ。タイトルでは毎回、その章内で中心になるキャラについて描写しておるんじゃが、この鼠というのが誰かが最も重要じゃな。さっきお前さんが言ったふたつのことわざは、どちらも追い込まれて窮地にある者の喩えとして鼠と言うておるが・・・さて、飯出よ。ここまで言えば分かるじゃろ?キリッ」

 

 「全然クールじゃねえ。キリッて口で言うな」

 

 「やってみたかったんじゃもん」

 

 「え〜っと・・・ってかまあ、四章で中心になるヤツで、窮地に追い込まれたヤツっつったらもう、穂谷しかいねえよなあ」

 

 「その通りじゃ。その穂谷は、ことわざで言う鼠の如く追い詰められて、挙げ句に嘘を吐いたわけじゃな」

 

 「ああ。なんか吐いてたな。部屋にいたところを男か誰かに襲われたっていうヤツ。まああの時の穂谷は自分が犯人だと思い込んでたから、その嘘の善し悪しについて俺が言うこっちゃねえけど・・・嘘から出た犠牲、だろ?嘘から出た誠が元ネタなんだったら、吐いた嘘が本当になった、だから・・・」

 

 「追い込まれた鼠こと穂谷が、咄嗟に嘘のつもりで言ったことが真実となって、穂谷以外の犠牲が出た、という意味になるの」

 

 「その犠牲ってよぉ・・・」

 

 「うむ。そういうことじゃ。穂谷が嘘を吐こうと吐くまいと結果は同じじゃったがな。いやはやなんとも人の世は上手く行かないものじゃ」

 

 「なんか達観したようなこと言ってっけど、この事件のきっかけはお前が穂谷襲ったからだろ!?他人事じゃねえだろ!!」

 

 「やかましい!!あのときは穂谷が『裏切り者』かと思ったから、ほんの少し問い詰めるつもりだったんじゃ!!しかし気付けば穂谷を殺そうとしておった・・・あのときのわしはどうかしとった。わしがあんなことをしなければ鳥木と穂谷を引き裂くようなことにはならなかったかも知れんのに・・・」

 

 「いやあ、お前が行動してなくても、結局コロシアイだからなあ。分からねえな」

 

 「つらたんじゃな」

 

 「微妙に古ぃな」

 


 

 「ではそろそろ本編の解説に行くとするかの。さくさく行くぞ!さくさくと!」

 

 「ってなんだこりゃオイ!?いきなり夢オチとかそんな展開ありかよ!?禁止じゃなかったのかよ!?」

 

 「そりゃ漫画の話じゃな。それに物語全体のオチではないから、これくらいは構わんじゃろう?というかこれを夢オチとは言わん」

 

 「この時点で死んだヤツと曽根崎が全員出てるから、昔の夢なんだって分かるけど、こりゃ具体的にいつかとか決まってんのか?」

 

 「コロシアイが始まる前で、合宿場での生活にもすっかり慣れたころじゃな。曽根崎が、2回『卒業』のチャンスを逃したと言っておるじゃろう?ここで、わしらがコロシアイ前に行っていた合宿場での暮らしのことが分かるんじゃ。解説ポイントじゃな」

 

 「おい、ちったあ俺にも喋らせろ。そこの解説ならできるぞ!やるぞ俺は!」

 

 「分かった分かった。ではわしは茶でも飲んで待っておる」

 

 「いや聞いとけ!!えーっとだな。俺たち“超高校級の問題児”は、希望ヶ峰学園の問題解決プロジェクトとして、この合宿場で共同生活を送ってたわけだ。それぞれが抱える問題をクリアしたら本校に戻って普通の学園生活に戻れるんだが、その問題をクリアしたかどうかの試験が、定期的に本校から来る職員が執行するんだよな」

 

 「ずずず・・・」

 

 「聞いとけっつったろ!!」

 

 「聞いとるわ。間違っておらんから口を挟まんかっただけじゃ。あられも食べていいか?」

 

 「マイペース甚だしいな!!食えよ!!」

 

 「飯出もいるか?」

 

 「いる!!」

 

 「では解説が終わったら摘まんで良いぞ」

 

 「よっしゃ!えーっと、どこまで話した?ああ、卒業試験か。あの湖の向こうから船で来るんだよ。本校の職員が。2週間にいっぺんくらいだったかな。で、俺らに個別面談とか簡単な試験とかして、問題がクリアされてるかどうかチェックして、問題なけりゃその船で本校に戻るってこった。『裏切り者』、もとい『生徒会役員』の六浜は普段は監督・報告役で、卒業試験のときは試験官とかその手伝いをしてたな」

 

 「懐かしいのう」

 

 「曽根崎が言ってた、2回やって誰も『卒業』できなかったっつうのは、その試験を誰もクリアできてなかったっつうことだな!まあ1ヶ月で解消する問題ごとき、天下の希望ヶ峰学園が手こずるわけねえよな!だっはっは!!」

 

 「笑っとるがなお前さん、同じ問題児のわしが言うのもなんじゃがお前さんの問題は相当拗れておるぞ。終ぞ有栖川とは和解できず、それどころか殺されてしまったではないか」

 

 「んん・・・思い出すだけで頭と心臓が痛くなるぜ・・・。俺のやってることが袴田をあんなことに追い込んだんだって知ってからは、マジで有栖川の顔見るどころか、部屋の前通るのもビビるようになっちまった」

 

 「それだけの呵責があるだけ、どこぞのテロリストよりはマシかの」

 

 「ところでよ、夢の中の曽根崎は、なんで清水が一番『卒業』に近いと思ってたんだろうな」

 

 「そりゃ清水の卒業条件が簡単だからじゃろ。要するに『僕はもう学園に反発しないで真面目に“才能”を磨きます。すみませんでした』と言えばいいんじゃ。わしらにしてみれば言うまでもないことじゃが、あやつの性格からしてまず言いそうにないが」

 

 「言わねえな。太陽が西から昇ってまた西に沈んでっても言わねえ」

 

 「そんなことじゃから誰も『卒業』できずに1ヶ月を過ごしたということじゃな。実際には数年の時が経っていたわけじゃから、よくもまあ全員が全員『卒業』しなかったもんじゃ」

 

 「むしろそっちの生活の方が地獄じゃねえか・・・希望ヶ峰学園に留年なんてあったのかよ」

 

 「そりゃ私立高校なんじゃからあるじゃろう。現に穂谷は1度ダブっとるぞ」

 

 「あったなそんな設定。清水とかならまだしも、なんで穂谷がダブるんだ?」

 

 「出席が足らんのじゃ。それがヤツの問題でもあったんじゃがな。海外公演などで日本にいないことも多かったんじゃが、それは“才能”磨きの一環じゃから良いとして、持病のために病欠することも多かったからの」

 

 「その穂谷の病気も、四章では大事な要素だろ?朝飯のシーンでもやたらと栄養バランスとかカロリー気にしてるみてえだったしよ」

 

 「鳥木がその辺りは上手くやっておったからの。医務室でサプリメントを飲んだり、日課の散歩をしたり、健康を維持しようと努めている様子が随所に見られるの。それも、この章に向けての伏線じゃ」

 

 「そうだよな。この章を境に健康どころじゃなくなるもんな」

 

 「それは後半組に解説させるとして、わしらは前半の解説を続けるぞ。まあここからは嫌が応にも穂谷を中心に物事が進むわけじゃが」

 

 「改めて結束を呼びかける六浜に、穂谷がひとり反発するってか。ストレスのせいとは言われてっけど、単純にあいつが鳥木以外の誰も信じてなかっただけだろ?」

 

 「その辺りは現実的に考えることができる人間じゃからのう。考えてしまう人間、と言った方がいいかの。持病のこともあって、半ば自棄になっているとも言える。持病も日に日に悪化し、コロシアイでいつ殺されるか分からない環境で、無事に脱出できる保証などないのじゃ。自棄にもなる」

 

 「そのくせ妙にプライド高えから病気のことを誰にも言わねえときた。難しい女だぜ」

 

 「偉そうに女を語るな貴様が!」

 

 「うおおっ!!危ねえ!!なんでツルハシ振った!?」

 

 「最近はこれくらい過激にしなければツッコミもウケが悪いからの」

 

 「過激過ぎるわ!!ひくわ!!」

 

 「冗談じゃ。このツルハシは安全な発泡スチロール製じゃぞ。ほれ、この通り」

 

 「目ェ狙ったろうが!!」

 

 「細かいことを言うのう。さて、次は大浴場のシーンじゃ」

 

 「話題転換ヘタクソだな。なんでお前はそんなに銭湯でテンション上がってんだよ」

 

 「そりゃやはり古き良き日本の原風景じゃからな。チビの頃に近所の銭湯で番台に上がらせてもらったことがあってな。暖簾の奥に覗くしわしわの老体や、風呂上がりのこざっぱりとした老人たちの語らう姿・・・アリじゃろ」

 

 「番台までしか聞いてなかった。まあそのノスタルジーは分かるぜ。昭和の風景って感じだよな。実際、俺らは昭和の時代を生きちゃいねえんだけど、なんでか懐かしいって感じちまうよな」

 

 「それにな、お前さんなら分かるじゃろう。裸の付き合いの気持ちよいこと!」

 

 「エロい話か?」

 

 「お前にはデリカシーというものはないのか。セクハラで訴えるぞ」

 

 「いやお前にセクハラとか言われる筋合いねえわ!!」

 

 「あるわ!!」

 

 「ちくしょう・・・訴えられたくねえから頭下げとくけどな。お前だってキャラ的に勘違いされること言うなよな」

 

 「おっ、お前さんつむじが二つあるのか」

 

 「変な方向に話広げようとすんな!」

 


 

 「やっぱり俺だけセクハラ扱いされたの納得いかねえな・・・」

 

 「いつまで言うとるんじゃ、女々しいヤツめ」

 

 「いやだって、銭湯見たときのお前の台詞思い返してみろよ。ジジイに欲情してるヤツなんかド変態じゃねえか」

 

 「世には枯れ専という嗜好もあるんじゃぞ。知らんのか」

 

 「枯れ専の中でも右派だろうが!極右だろうが!」

 

 「やかましいのう。困ったら大声ばかり出して、若手芸人か」

 

 「なんだその喩え!」

 

 「シーンは既に銭湯の中を探索しているところじゃ。清水と曽根崎が男湯の方を探索しておるぞ」

 

 「この中に仕掛けがあるんだよな。両方の風呂を繋ぐ隠し通路と、ロッカーの数字」

 

 「その通りじゃ。ロッカーの数字については清水が地の文で説明しておるが、ちゃんと漢数字を使っておる。女子風呂の方の数字がどのようになっているかについては言及されておらんが、敢えて漢数字を使っている意味に気付ければ早い段階でクロは分かったかも知れんのう」

 

 「いや無理だろ。意味に気付くのは。普通にスルーするって。っていうか今回のクロ、予想でかなり当てられてるし」

 

 「そうなんじゃよなあ。“才能”的にクロにならないわけがない、とまで言われてしまっておった。原作の同じ“才能”のキャラは見事に生き残ったというのに」

 

 「考えることは分かるけどな。んで、銭湯で重要なシーンっつったらこんなもんか?」

 

 「ふむ。一応、男湯の後に売店コーナーを調べておるのじゃが、そこで鳥木が駄菓子に詳しいという設定が出て来る。貧困家庭で安く手に入る食材として、駄菓子に親しみがあったということじゃな」

 

 「かなり勝手なイメージだよなそれ」

 

 「あとは動機のファイルを見つけて、穂谷が再登場するシーンじゃな。ここで穂谷がファイルを見なくてもいいんじゃが、動機を知っている者と知らない者を出してしまうと、情報の非対称性を意識して会話や展開を調整しなければならん。それが煩雑じゃったから、モノクマを利用して穂谷を連れて来たんじゃ」

 

 「要するに作者がめんどくさがったんだろ」

 

 「まあそうなんじゃがな。ここで一旦話の区切りじゃ。次話では、この“超高校級の問題児”修正・改善プロジェクトについての説明が前半を占める」

 

 「ここで監視役、いわゆる『裏切り者』のことが出て来るんだよな。こういうの創作論破だと毎回出て来るけど、だいたい名前だけで味方のこと多いよな」

 

 「『裏切り者』や『密告者』などじゃな。響きは非常に不穏じゃが、真相如何によっては全く立場が変わるからの。敢えて怪しげな言い回しをすることで疑心暗鬼を誘発することと、新しい展開に繋ぎやすくなるから作者にとっても便利な存在じゃ」

 

 「QQの中じゃ、とにかく損な役回りばっかだったけどな。全員から疑われるわ何しても上手くいかねえわネタにはされるわ」

 

 「そもそもが問題児たちを監視する役目じゃからの。胃が痛くなるのは仕方あるまい」

 

 「つうかここから色々言われてっけど、希望ヶ峰学園はこのコロシアイのこと認識してんのか?黒幕の正体からして、希望ヶ峰学園と全く無関係ってわけじゃねえだろ?そうでなくても、今まで連絡取り合ってたところと急に音信不通になったら、職員が飛んできてもおかしくねえだろ」

 

 「その辺りはぶっちゃけ決めておらんのう。最終展開を考えれば、希望ヶ峰学園はもはや学園として機能していない、つまりは“人類史上最大最悪の絶望的事件”と同じような状態になっていると考えられる」

 

 「マジかよ・・・じゃあ学園がどうのこうのって話、丸っきり無駄じゃんか」

 

 「当時のわしらには知る由もないことじゃからのう。学園がここにわしらを隔離したために、学園に疑いが向くことも黒幕の想定だったんじゃろうな。そうすれば『裏切り者』への不信感も強まるからの」

 


 

 「っしゃあ!!晴柳院パート来たァ!!」

 

 「急にデカい声を出すな!ていっ!」

 

 「効かん!晴柳院の語りパート実は貴重だからな!2章以来久し振りだぜ!」

 

 「シンプルに気持ちが悪い。確かに珍しいがの」

 

 「やっぱり京都弁っていいよな。はんなりしてるっつうか、心が落ち着くっつうか」

 

 「晴柳院は地の文でも台詞でも京都弁を使っておるが、言葉の訛りよりもイントネーションの方を大事にしていたそうじゃぞ。文章では伝わらんがな」

 

 「そうだよな。あの独特な言い回しっつうか、柔らかい言い方が京都弁の良い所だもんな。あー、晴柳院の台詞を生声で聞きてえ」

 

 「輪をかけて気持ちが悪い。描かれているシーンのシリアスさに合わせた解説をせい」

 

 「晴柳院と穂谷のパートだよな。穂谷はなんでまたこんなに怒ってんだ?四章の穂谷ピリピリし過ぎだろ。月モノか?」

 

 「いい加減に目の前にいるのが女子だということを理解せい!!デリカシー!!」

 

 「すまん」

 

 「許す。穂谷がイラついているのは、ヤツと晴柳院の相性が極端に悪いからじゃな。穂谷が一方的に晴柳院に相性の悪さを感じているということじゃが」

 

 「そうなんか」

 

 「晴柳院は、日本最大級の宗教団体、日青会の会長の孫娘で、将来的には陰陽師の名家でもある晴柳院家の家督を継ぐ立場にある。要するに良いとこのお嬢様じゃ。一方、穂谷は難病を抱えて生まれ、治療費のせいで穂谷の稼ぎを以てしても決して裕福ではない暮らしをしておる。どちらも本人が望まない形で、片や恵まれ、片や恵まれておらん。そんな二人が同じ“超高校級”として肩を並べているのが、気に入らんのじゃろう」

 

 「そりゃまあ、気持ちは分からんでもねえが、穂谷の勝手な嫉妬だろ?晴柳院は何にも悪くねえじゃねえか。あんなに腰低くて器量よしなのによ」

 

 「その腰の低さと庇護欲をそそる見た目も、穂谷が気に入らんところでな」

 

 「そこがイイんじゃねえかよ!!」

 

 「今日イチで声を張るな」

 

 「あいつのちっこい体で健気に動き回るところとか!!それから古き良き大和撫子って感じの性格とか!あと着物が似合うぺったん」

 

 「そおい!!!」

 

 「ごふっ!!」

 

 「希望ヶ峰学園なら“超高校級の検察官”などもいるじゃろうか」

 

 「もう訴訟の準備を始めている・・・!!ってかそのツルハシやっぱり鉄だろ!!重たかったぞ!!」

 

 「その重さは貴様の罪の重さじゃ」

 

 「初めて聞く決め台詞!!?」

 

 「さて、飯出の行く末はさておき、晴柳院のあの性格も、穂谷にとっては自分の神経を逆撫ですることになってしまうんじゃな。晴柳院も名家の跡取りとして、教養や品性を磨いてきた上に、ああして周囲の顔色をうかがう性格になってしまったわけじゃからな。どちらも悪くない。仕方のないことなんじゃよ」

 

 「まあ色んな事情はあらあな。けどそれにしたって当たり強えよな。晴柳院が余計に惨めに見えてくる」

 

 「惨めに見えるとますます晴柳院のことが嫌いになる悪循環じゃな。本当にこの二人は相性が悪いとしか言いようがないのう」

 

 「俺は100%晴柳院の味方だぜ!」

 

 「お前が味方についたら穂谷も晴柳院も裸足で逃げ出すのう」

 

 「なんで晴柳院も逃げてんだよ!」

 


 

 「ほ?次は男子の入浴シーンか!誰得じゃ!画面が若いわ!」

 

 「ぶつくさ文句言ってっけど、なんだかんだで清水も一緒に入ってんじゃねえかよな。この時いる男子は全員参加してるだろ」

 

 「清水と鳥木が並んで頭を洗っているというのもシュールな光景じゃな。清水はアホ毛が相変わらず立派にそそり立っておるし、鳥木はオールバックでないと誰だか分からん」

 

 「一緒の風呂入ることなんて滅多にねえし、修学旅行とかだとこういうところで、友達の、学校じゃ見えねえ生活の部分が見えてきてなんつうかこう、微妙な感じになるよな」

 

 「分かりみ〜」

 

 「んで、曽根崎はなんで清水に暴力振るわれるって分かってて自分から飛び込んでいくんだろうな。たらい顔面にぶつけられるって、冗談じゃ済まねえレベルだぞ」

 

 「既に痛覚が麻痺しているのかも知れんな。滝山に殴られたせいで脳がおかしくなったんじゃろ」

 

 「シャレになってねえ。あと、この風呂のシーンで大事なのは、鳥木の大家族っぷりだな」

 

 「弟が三人と妹が二人じゃろ。6人兄弟の長男とは大変じゃな。しかも家計を『Mr.Tricky』の稼ぎで賄っているなど、ほとんど家長ではないか。父親は何をやっとるんじゃ」

 

 「そういう部分で穂谷と通じ合ったのもあるんだろうな。意外と鳥木が家庭的な感じあると思ったら、マジで家庭守ってるとは」

 

 「そんなんじゃから、『Mr.Tricky』として大金を稼いでいる割に、金銭感覚が高校生並みなんじゃよな。10万円で腰を抜かす程度には」

 

 「なんか不憫になってくるぜ・・・俺にだって10万円は大金だけど、あんだけテレビ出て金稼いでるヤツが、家計のせいで贅沢できねえなんて思うと・・・今度ラーメン奢ってやろうかな」

 

 「そこは駄菓子じゃろう」

 


 

 「日常編3話は、冒頭でいきなり俺たちの抱えてる問題の詳細か」

 

 「設定として考えてあったが、いざ書いてみるとなかなかはっきり書く機会がなくての。クロとなった面子は割と分かりやすいのじゃが、シロの面子は何が問題じゃったのか分かりにくい者もいたからの」

 

 「アニーとか滝山とかな。っていうかアニーのなんて問題じゃねえだろ。あいつに何の責任もねえじゃねえか」

 

 「世界的に権威ある学園としては、生徒の個人情報が分からないというのはそれだけで危険なものなんじゃ。同じ時期に『もぐら』なんかを抱えておっては、なおさらにな。別にアニーの奴隷だった過去がバレたとしても、アニーにも学園にも不都合なことは起きまいて」

 

 「そこはアニーっつうより、フォールデンスのおっさんが隠したかったところなのかもな。今の時代に奴隷なんて所有してたら、どんな金持ちでも一発アウトだろうからな」

 

 「やはりアニーは周りに翻弄され続けてきたんじゃな。ああ悲しや」

 

 「それこそ解決のしようがねえと思うけど・・・アニーが自分から言うしかねえよな?」

 

 「希望ヶ峰学園も残酷なことをさせようとするのう。話したくないことを話すまで合宿場に隔離するなど」

 

 「なんか希望ヶ峰学園って黒い部分多くね?」

 

 「教育機関である前に、人が持つ“才能”というものを研究する機関じゃからな。得体の知れん研究をする巨大な組織は悪いものじゃと相場が決まっておる。少なくとも悪性因子が紛れていることは間違いないじゃろう」

 

 「“才能”ってもんもよく分からねえけどな。高校生レベルを超えて、人類史上最強レベルの“才能”持ってるヤツだっているだろ」

 

 「そこは設定のインフレじゃの。原作キャラの経歴は十分に高校生らしいものに収まっていたかと思うが」

 

 「たえこ・・・」

 

 「もちろん例外もおる」

 

 「その“才能”にコンプレックス持って、妙なこと考えちまうヤツもいるんだからな。分からねえもんだぜ」

 

 「わしらにとって“才能”は、特に手に入れようと思って手に入れたものでもないからの。自分の好きなことをしていたら認められたという感じじゃ。じゃから、無理に何かの“才能”を手に入れようとする、という気持ちはなかなか理解できんのじゃな」

 

 「んなこと清水の前で言ったら地雷踏み抜くことになるぜ。あと望月もその手のヤツか」

 

 「そうじゃな。望月もそうじゃし、石川も“才能”に拘泥し過ぎる余りに身を滅ぼしてしまった」

 

 「石川はアレだろ?自分の物欲を“才能”で言い訳してただけだろ。気持ちはまあ分からんでもねえが、ブレーキが利かねえのを“才能”のせいにするのは汚えぜ」

 

 「ブレーキ効かんとかお前が一番言うな」

 

 「そういやこのシーンはその望月が語り手だな。あいつ、頭の中でまであんな固い喋り方なのかよ。疲れねえのかな」

 

 「そういうところらへんもヤツは破綻しておるからの。曽根崎を探すためだけにモノクマを呼び出すというのは、やはりヤツに感情らしいものが薄いことの表れじゃな。合理的と言えば合理的じゃが」

 

 「事情を知りゃあ同情もできっけど、よくもまあ清水はこんな望月に最後まで付き合ってやったよな。他にもっとやべえヤツらがいたからヘイト集めずに済んだけど、清水と曽根崎以外に望月があんまり人と話してるところとか見たことねえや」

 

 「そういう意味でもあのトリオは最後まで残っていてよかったの」

 

 「よかっ・・・た・・・?何にも良くねえ気がするけど・・・」

 

 「細かいことは気にするな」

 

 「『裏切り者』の存在で疑心暗鬼が加速してるときにモノクマとふたりで話してるところ、もし誰かに見られたら不要な疑い持たれるってところも考えねえのかな」

 

 「考える必要がないことなのじゃろう。この時のヤツにとって大事なのは、誰がどう思うか、ではなく、事実か否か、じゃからな。自分が『裏切り者』ではない限り、モノクマと何をしていようがどのように疑われようが、それは誤りであると言い切れる。じゃから特に躊躇しない」

 

 「いや、メチャクチャじゃねえか!合理的かそれ!?」

 

 「人がどう考えるかも含めて考えるのが、真に合理的な思考判断じゃ。その点で言うと、望月の考えは合理的とも言えないんじゃろうな」

 


 

 「次はお前の語りだな!あの笹戸がやべえシーンだ!」

 

 「あのときの笹戸はヤバい雰囲気出てたのう。晴柳院が気持ちを立て直すシーンでもあり、五章に向けての伏線にもなるシーンじゃ。一方わしは、ただ化石を磨いてざっくりしたアドバイスで晴柳院に気合いを入れておった」

 

 「強引に笹戸連れ出してきたけど、お前笹戸のことどうなんだよ?滝山が生きてたときもやたら構ってたよな」

 

 「そうじゃな。笹戸は案外アウトドア派じゃし、あれでなかなか体もしっかりしておるからの。滝山と一緒にわしの手伝いをさせておった。例のアレに目を瞑れば可愛いヤツじゃ」

 

 「男としては」

 

 「若すぎるな。あと50年は要る」

 

 「なげーなあ・・・ずっと見てると、なんかお前と笹戸っていじめっ子といじめられっ子みたいに見えんだけど」

 

 「わしは笹戸にいじめられてなどおらんぞ」

 

 「お前がいじめっ子側だろ!」

 

 「人聞きの悪いことを言うな!わしはいじめなどしておらんぞ!手伝う代わりにゆでたまご一個あげる約束したじゃろ!何なら今から笹戸をじっくり話を聞こうか!」

 

 「その言い分がいじめっ子のそれじゃねえか!いや、ていうかマジでお前と笹戸がいじめる/いじめられるの関係になってるとは思っちゃいねえんだけど、傍目からしたらそう見えるってことだよ。なんだかんだお前、最後まで良いヤツだったからさ」

 

 「なんじゃ急に。褒めても顔から火しか出んぞ!」

 

 「照れるようなことじゃねえぞ」

 

 「何てことを言っている間にシーンは多目的ホールの中で晴柳院の話を聞くところじゃぞ。このシーンは、前に穂谷が晴柳院の実家について言及していたことの振り返りと、その詳細を解説する意味があるな。具体的には日青会という会についてじゃ」

 

 「なんかそっちも希望ヶ峰学園に負けず劣らず黒い感じがしてんだけど、一応名家ではあるんだろ?」

 

 「そうじゃな。宗教団体と聞くと怪しげな感じがする者もおるかも知れんが、やっていることは寺などと同じじゃ。新興宗教というよりも、仏教の一派じゃな。じゃから歴とした伝統も格式もある」

 

 「それが希望ヶ峰学園とずぶずぶの関係になってたんだろ。晴柳院の爺さんもオヤジさんも“超高校級の陰陽師”らしいじゃねえか」

 

 「晴柳院家にとって“超高校級”の称号などあって当然のものかも知れんな。逆に晴柳院の性格上、入学するまでは気が気でなかったと思うぞ。万が一、自分が希望ヶ峰学園に入れないようなことがあったら・・・」

 

 「家の名前に傷が付くな」

 

 「それだけで済めばまだいい。家名に泥を塗るということは、日青会の威光を曇らせるということじゃ。それはつまり信者の減少を招き、シビアな話をすれば家計も大きく変わる。経済力が変われば周囲への影響力も変わる。ひいては希望ヶ峰学園との癒着も弱まり、晴柳院家は一代で大きく傾くことになる」

 

 「おおう・・・確か、日青会って大学の運営とか政治にも一枚噛んでたよな?そんなのが落ち目になったら・・・」

 

 「間違いなく混乱が起きるな。それもあちこちで」

 

 「自分が“超高校級”になれるかどうかで、マジで日本全体の未来を変えちまうのかよ・・・。マジで晴柳院、どんだけのプレッシャーの中で今まで生きてきたんだよ・・・」

 

 「あの臆病な晴柳院が、よくそのプレッシャーに耐えてきたの。まあ、希望ヶ峰学園と癒着している以上は、“超高校級”に選ばれるのは確定的じゃがな。これは裏設定中の裏設定、つまり作者の頭の中にしかなかった設定じゃが、晴柳院はスカウトされてはおらん。希望ヶ峰学園側から入学するように頼まれている。ヤツの祖父がそうさせたんじゃが」

 

 「自分の家の事情知ってりゃ、それがどういう意味を持つかも分かるよな。断れるわけがねえし、入学したら入学したで一層晴柳院家と希望ヶ峰学園はべったりになる。しかも自分には学園生活で四六時中監視されてることが確定してるわけだ」

 

 「うむ。笹戸とかな。ちなみにこのようなイレギュラーな入学は、晴柳院以外だと滝山だけじゃ。滝山は現役の高校生ではなかったが、“才能”の特性上、高校生でないことに意味があったので入学を認められておる」

 

 「野生児に高校生もクソもねえもんな。おっと、今言った笹戸が、希望希望ってうるさくなって来たぞ」

 

 「これがヤツの本性の一部じゃな。実際、この話が公開されてから来た感想のほとんどで笹戸が、怪しいじゃとか、希望厨じゃとか、声帯が緒方恵美じゃとか言われておったぞ」

 

 「それは普通に似合いそうだな。どうしても原作のふたりがちらつくけど」

 

 「笹戸にしてはちいと色気が強すぎるかの。わしは久保田民絵さんがいい!」

 

 「さすがに女子高生の声っちゃ無理があるだろ!」

 

 「麻生久美子さんくらいかの?」

 

 「波平の嫁じゃねえか!!チョイスが渋いんだよ!!だったら俺は置鮎龍太郎かな!!」

 

 「はあああああっ!!?身の程を知れ!!」

 

 「そんな言われなきゃダメか!?いいじゃねえか言うだけタダだろ!置鮎龍太郎じゃなかったら、じゃあ神奈延年か檜山修之かなあ」

 

 「さんを付けろよデコ助野郎!!」

 

 「口調変わるほどかよ!?置鮎さんじゃなかったら神奈さんか檜山さんです!!」

 

 「烏滸がましいにも程があるぞ。飯出程度であればそうじゃな・・・」

 

 「いや待て、その感じで名前出したら誰でも失礼だろ」

 

 「そうじゃな。変な飛び火する前に次の話題に移るとするか」

 

 「賢明な判断だ」

 


 

 「いや〜、さすがわしじゃ。良いこと言うとるわ」

 

 「自分で言うか」

 

 「改めて自分の言うことを客観的に聞いて、良いこと言ってるなと思っての。お前は何の為に生まれてきた!?お前がしたいことをするためじゃろう!ならばお前はお前のままで良い!」

 

 「んん・・・まあ、良いこと言ってるかも知れねえけど、なんか勢いで誤魔化してる感もすげえんだよな。晴柳院の困ってることって、どうすれば穂谷とまともに話せるかだろ?それに対してお前は、難しいこと考えずに自分がいいと思った方法で当たれ、ってそれ、何の解決にもなってなくね?今まで晴柳院はそうやってきたんだろ」

 

 「そりゃ晴柳院家のしきたりや陰陽師としての自分に捕らわれていた中での『最善の手』じゃからな。晴柳院家の自分から、自分らしい自分へとパラダイムシフトを経ての『最善の手』はまた違うじゃろ」

 

 「結果上手く行ってねえけど」

 

 「それはそれじゃ!失敗から学べばいい!」

 

 「化石掘りならまだしも、人間関係で何度も失敗できるってのは夢物語だぜ。印象ってモンがある限り、失敗すれば確実にこっちのマイナスになる。マイナスが重なれば、後からデッカいプラス持って来てもトータルマイナスになることもある。だから慎重にならなきゃいけねえんだ」

 

 「言ってることは正しいかも知れんがお前にだけは絶対言われたくない!!」

 

 「失敗したからこそ言える人生の教訓ってヤツだろ!!」

 

 「失敗の度合いがデカすぎるわ!!」

 

 「うるせえな。お前だってこの章で失敗するだろ。ここのシーンとか」

 

 「なんじゃ。わしはおらんではないか」

 

 「その手前だ。お前が晴柳院と笹戸を引っ張って合宿場走り回ってるとき、食堂では六浜と穂谷と鳥木が話してたんだ」

 

 「穂谷がもはや鳥木も信用できなくなって、自分で食事を作ると言いだしたんじゃな」

 

 「穂谷からすりゃ鳥木を疑うってことも辛かったはずだぜ。この章のラストで分かることだけど、あんだけ入れ込んでたんだからよ」

 

 「しかし鳥木が『裏切り者』であるという可能性も0ではない。しかもその『裏切り者』が自分たちに仇成すものであるのならば、逆にこれまで信用を獲得するために動いていた、ということも考えられる。要するに、疑い出せばキリがないんじゃ。じゃから食事くらいは安心して食べたいということじゃろう」

 

 「実際この時点で六浜はどうだったんだ?これは5章で分かることだけど、『裏切り者』は六浜だったんだろ?あいつは自分が『裏切り者』だってことすら忘れてたのか?」

 

 「そうじゃな。その辺りは黒幕が上手くやった。しかし完全に記憶を消すことはできん。六浜の気持ちとしては、『裏切り者』はもしかしたら自分ではないかという疑念があるのじゃな。じゃから六浜は独白の中でも、自分は『裏切り者』ではないとは言っておらんのじゃ」

 

 「マジかよ!?ちゃんとその辺できんだなウチの作者!」

 

 「そんなこと言っていたら作者権限でお前消されるぞ」

 

 「そんなわけねえだろ!そしたらお前ひとりでやることになるぞ!」

 

 「それもいいかも知れんのう。最初の方にも言ったかも知れんが」

 

 「いいわけねえだろ!!」

 

 「いいわけない、といえばじゃが」

 

 「話の繋ぎもうちょっと上手くできねえか?」

 

 「結局、穂谷が作った料理は実に簡素なものじゃった。栄養バランスに気を遣った結果、レタスと簡単なスープとパンにフルーツ、まったくなってないのう」

 

 「肉も魚も卵もねえじゃねえか!!タンパク質抜きってなんだこりゃ!!」

 

 「穂谷の生活力のなさは絶望的じゃのう」

 

 「お前の空気の読めなさもだよ。この状況の中にお前らと例のトリオも突入してくるんだぞ。一気に食堂が混み合ってきたじゃねえか。ちなみにモノクマもいるぞ」

 

 「まさか合宿場の全員がこのタイミングで集結するとはな。図らずも晴柳院と穂谷が全員の前で会話することになってしまった。わしとしては、お互いの考えをはっきりさせる良い機会と思ったんじゃがな」

 

 「だから、晴柳院からしてみりゃお前にムリヤリ連れ回されて引っ込みのつかねえ場に放り出されたのと変わらねえんだよ」

 

 「っと、その前にモノクマの口から大浴場のアーケードゲームのアップデート情報じゃ。ここでの景品が後々重要な意味を持ってくるわけじゃな」

 

 「ゲームクリアの特典が動機って、原作2作目の2章の動機そのまんまじゃねえか」

 

 「あれは過去の事実をゲームとして追体験させることで当時の関係者を疑心暗鬼に陥らせることが目的じゃろ。こっちはそれとはまた違う。単純に誰も知らない情報を手にできるものじゃ」

 

 「ま、これについてはまた後でいいか」

 

 「いよいよ晴柳院による穂谷説得のシーンじゃ!」

 

 「いや・・・これ説得じゃなくね?一緒に風呂入ってください、って」

 

 「何を言う!昔から裸の付き合いをすればお互いのことが分かると言うじゃろう!関係の修復にはこれ以上ない手段ではないか!」

 

 「現に穂谷は晴柳院との絶交を宣言しやがったからな。色々晴柳院が過程をすっ飛ばしておかしなこと言ったのが、ただ神経を逆撫でしただけだったんだな。まあ、誰が悪いかっつったらムリヤリその状況を作った明尾だけど・・・」

 

 「なぬっ!?わしか!?穂谷がカウントダウンし出して晴柳院にプレッシャーをかけたからじゃろ!」

 

 「あいつがプレッシャーに弱いこと知ってたらこんなことさせねえよ!俺だって無理だわ!」

 

 「お前じゃったらどんな状況でも穂谷と対話など無理じゃろう」

 

 「う〜ん、反論できねえ。あいつ俺のこと絶対嫌いだよな」

 

 「そう落ち込むな。あんドーナツをやろう」

 

 「これケータリングだろ」

 

 「どんどんこの解説スタジオの設定ができあがっていくな。ケータリングまであるとは」

 

 「ラジオスタジオのイメージだろ。こうやって向かい合って話しながら、ガラス越しにディレクションすることもできる。望月と滝山の回のときに六浜が四苦八苦してただろ」

 

 「ドアがあるから向こうから誰かが入ってくることもできるし、わしらが一度退席することもできるのか」

 

 「それはできねえんじゃねえか?だったら六浜が入ってきて直接望月と滝山を黙らせただろ」

 

 「ほっ!?ということは催したらどうするんじゃ!?」

 

 「さあ?その辺はまあ、ご都合主義っつうか、何時間いても催さないような仕組みになってんじゃねえか?」

 

 「なんじゃそりゃ!?そんなものわしは認めんぞ!わしらは作者のオモチャではない!生きた人間なのじゃ!そのジュースをよこせ飯出!」

 

 「やめとけー」

 

 「やめらいでかあ!!」

 

 「マジで全部飲んだよこの人」

 

 「これでどうじゃあ!さすがにここまですればわしも催さずにいられんじゃろう!そうすればわしはここから出てトイレに行かなければならなくなり、しかしドアが開かないとなれば・・・・・・わしピンチ!!?なぜじゃ!!?」

 

 「言わんこっちゃねえ」

 

 「おおおう!!催しても負け!催さなくても負け!どうすればいいんじゃ!?」

 

 「お前は誰と戦ってんだ」

 

 「それは分からんが、晴柳院は穂谷と戦っておる。みろ、日常編ももう終盤じゃ。鳥木と晴柳院のシーンじゃ」

 

 「鳥木が穂谷の代わりに晴柳院に頭下げてんな。ホントあいつは穂谷に従順な執事になっちまってるよな。一回くらいビシッと穂谷に言ってやったりしねえのか?しかり飛ばすことも愛情だぜ」

 

 「鳥木はこの後、穂谷に割とビシッと言っておるぞ。あくまで穂谷が孤立してしまうことのないようにと気を遣っておったが、晴柳院のことを鼠呼ばわりしてあからさまに無視したことや、鳥木に甘えていることを開き直っていることに、遂に温厚な鳥木も堪忍袋の緒が切れた、というところじゃな」

 

 「こりゃあもう晴柳院のやることなすこと全部裏目に出てるよな。穂谷を直接説得しても変な感じになっちまうし、鳥木の方から謝られて謝り返してたら今度は鳥木と穂谷が険悪な感じになっちまうし」

 

 「穂谷がここで晴柳院のことを鼠と何度も繰り返し呼んでおるな。あくまでこの話における鼠は穂谷じゃ。鳥木が追い詰められていると言っているようにな。じゃからこれは読者へのミスリード材ということじゃ」

 

 「単なる嫌みにもなってるから自然だな。あいつならマジでいいかねん」

 

 「斯くしてこの四章、晴柳院がとにかく穂谷を孤立させてはならんと試行錯誤した結果、穂谷は本当に孤立した立場になってしまったわけじゃ。そこに『裏切り者』の情報。疑心暗鬼にならんわけがない」

 

 「モノクマはこれも計算してやったってことか?」

 

 「どうじゃろうな。さしものモノクマもそこまで全てを読み切っていたとは思えんが、穂谷の性格上、いずれこうなることは予測できるからの。その時が来た、くらいの認識ではないか?『裏切り者』の情報はそれ以外にも効果覿面じゃしな」

 

 「もし穂谷が本当に晴柳院にほだされたら?」

 

 「次なる一手を打つか、清水や笹戸辺りに揺さぶりをかけるのではないか?」

 

 「簡単にはモノクマの手から逃れられねえってことか。それどころか、これじゃまるっきりアレバニアファミリーじゃねえか」

 

 「そうじゃな。人形共がいくら知恵を巡らそうとも、圧倒的な力と俯瞰からの視点で全てを意のままにしてしまう絶対存在がおる。せいぜいが足掻くことくらいでは、どうすることもできん」

 

 「おっと、一転して六浜と望月の資料館でのシーン。こっちもモノクマの圧倒的な支配力に頭を悩ませてんな。六浜も望月も記憶消されてるし無理もねえか」

 

 「ちなみにここで六浜が生徒会役員や、希望ヶ峰学園生徒会のシステムについて言及しておるじゃろ」

 

 「してるな。確かいま、この解説編と、六浜が主役のスピンオフ番外編と、ロンカレの番外編と、3つ同時並行で書いてるんだろ?そのスピンオフで本格的に生徒会役員たちが出て来るんだろ」

 

 「そうじゃ。まあ並行とは言うが、ひとつを終わらせて次に取りかかる、という形じゃな。或いはこっちが行き詰まったからあっちを書く、というような。全てを均等に進ませるというようなことはしておらん」

 

 「ふ〜ん、で、その生徒会がどうした」

 

 「生徒会という設定自体は原作から引き継いだものじゃが、そのシステムなどに関しては全く情報がなかったため、作者が勝手に考えた。作中の設定からして、原作の時代からそうとう時間が流れておるから、時を重ねる内に変化した、ということでも説明がつくがの」

 

 「六課役員とかいうヤツか。あれなんだ?」

 

 「適当じゃ」

 

 「マジで!?」

 

 「なぜなら、生徒会の詳細な設定はQQが完全に完結し、その後スピンオフ番外編を考えたときに初めて生徒会役員のキャラクターやシステムを決めたからじゃ。つまり、この話を執筆中は生徒会の設定など影も形もない、ということじゃな」

 

 「じゃあ六課とかって何の意味もねえの?」

 

 「このときはな。じゃが、そこはきちんと辻褄が合うように設定してあるわい」

 

 「へー。六課ってなんなんだ?」

 

 「学生課、公安課、美化課、広報課、催事課、庶務課の6つの部署のことじゃ。希望ヶ峰学園生徒会の仕組みについて簡単に説明しておこうかのう」

 

 「ここらが良い機会だと思うぜ」

 

 「あくまでここの作者が考えている設定じゃから、公式設定とは違うぞ。そもそも公式設定の方がどうなっているかはわしら知らんし」

 

 「設定資料集とかに載ってるもんなんじゃねえのかよ・・・下調べしとけよ・・・」

 

 「まず生徒会は、会長1名と男女の副会長が1名ずつ、会計長に書記長の5名で執行役員というグループがある。生徒会の活動内容や方針をここで決定するわけじゃな」

 

 「基本的には最上級生がやるよな。うちは3年制だから、会長と副会長はまず3年生が務める」

 

 「しかしそこは“超高校級”の“才能”が集まる希望ヶ峰学園。全体をまとめる会長やその補佐である副会長はともかく、会計や書記、そしてその下にある六課役員など専門性の高い役職になると、もはや学年は関係なく、“才能”第一で任命されるようになる」

 

 「だから1年生で生徒会に入ってる、なんてことも割とよくある話なんだよな。毎年ひとりくらいはいるぜ」

 

 「スピンオフでは1年生は3人おる。これは異例の多さじゃな。だいたいが1人。多くて2人じゃ」

 

 「その辺の細かい理由はスピンオフに任せようぜ。とにかく生徒会のシステムそのものだ」

 

 「そうじゃな。ええっと、執行役員の下には、先ほど言った6つの部署が付いておる。そこは原則上級生1人、下級生1人の二人で一課じゃ。六課役員とは、その上級生、すなわちその課の責任者を指す。もっと言えば、執行役員の中から会長と副会長を入れた9人が六課役員と呼ばれるの」

 

 「六浜は実際、六課役員なのかよ?」

 

 「ヤツは学生課。そして学生課の責任者は六浜ではない。つまり、六浜の推理は残念ながら外れじゃ。ま、イレギュラーの多い生徒会じゃからの」

 

 「がっちり宣伝しちまったな。まだ全然書けてもいねえくせに」

 

 「大丈夫じゃ。絶対面白くなるから」

 

 「ハードル上げんじゃねえよ!」

 

 「ほれ、シーンも面白くなってきておるぞ。六浜は明らかに正体が分からない上に自分がそうかも知れない『裏切り者』の存在に翻弄されておる。一方の望月は『裏切り者』が存在するという事実はあっさり受け入れ、それが危険なのかどうか、自分はどう行動すべきかを考えておる。六浜がコロシアイがまた起きると予言しているのなら起きるのだろうと、それすらも受け入れてしまっておる」

 

 「やっぱ不気味だよこいつ・・・」

 

 「そしてラストシーンでのこの台詞!「記憶を奪われたのは本当に私たちだけなのだろうか」じゃと。まったく意味が分からん!」

 

 「そりゃそうだ。大して意味なんか込めちゃいねえんだから」

 

 「そうなのか!?」

 

 「この時点ではまだ真相は全然分からねえからな。記憶を消されたらしいことだけは分かってっから、それっぽいことを言ってるだけだ。望月だったら合理的にっつって色んなこと考えそうだろ?」

 

 「ううむ・・・確かに、この話の真相まで行ったところでわしら以外に記憶を消されている者などおらんかったのう」

 

 「こういういい加減なところもあるんだよ。なんつったって処女作だからな」

 

 「意味は分かるがお前が言うとやらしく聞こえるからイヤじゃ」

 

 「風評だろそりゃ!!」

 

 「あながち風評でもないが・・・。というかそもそも処女作ではないじゃろう。QQを書く前に他ジャンルの二次創作ガッツリ書いてたじゃろうが。完結もしてたではないか」

 

 「こういうガッチリ話作り込むようなミステリ系のものははじめてだろ。伏線の張り方が分かってねえんだよ」

 

 「別に売り物でもないから細かいことは言わんがな。QQ自体が見切り発車じゃというのに、よくもまあここまで乱暴に伏線を張れるものじゃな」

 

 「その辺は温かい目で見といてくれや」

 

 「言い訳ばっかしとるわ・・・」

 

 「その他ジャンルの二次創作の方もたいがい拙え出来だけどな!気になるヤツは『Digimon Fugitive』で検索してくれい!」

 


 

 「次の清水のシーンはなんじゃこりゃ。あいつひとりだと本当に何もしねえな」

 

 「大事なのは倉庫のシーンの後からじゃからな。別にここはどうでもいいんじゃ。なぜ清水が急に倉庫に行きたくなったのかは知らん。展開的に必要だったからじゃ」

 

 「だからところどころ粗えっての!」

 

 「今回の話は全体的にシリアスな感じを心がけておるからの。おまけに残り人数が少ないから清水でも描写しないわけにはいかんのじゃ。むしろちょうどよく余ってたから動かしたくらいの勢いじゃ」

 

 「一応あいつ主人公だよな・・・?なんつう扱いだ・・・」

 

 「前に誰かが言っておったが、この倉庫の番号は11037の3分割じゃ。論破ファンにはお馴染みの数字じゃな」

 

 「いじられすぎだろアポ」

 

 「倉庫に武器があることは実は大して問題ではないんじゃがな。黒幕が後から運び込んだとか、いくらでも説明が付く。そういうところに気付かず、何か重大なことに気付いてしまった、的な雰囲気を出しておる。そういうところじゃな、清水は」

 

 「俺さ、最初の解説編であいつと一緒にやったからか知らねえけどちょっとあいつに感情移入してんのかな。清水嫌われすぎじゃね?」

 

 「仕方ないじゃろう。プロローグでのあいつを知らんのか。あれほど露骨なのもどうかと思うが、嫌われても仕方ない態度を取るからじゃ。仲間じゃから気が合うのではないか?」

 

 「さすがに俺あいつほど嫌われてねえわ!!」

 

 「作中の設定的にはな。じゃがリアルを見てみたら」

 

 「リアル?作中?何の話だ?俺たちは俺たちのままだろ」

 

 「こいつ・・・!二つの意味で現実逃避しとる・・・!!」

 

 「ボケの上にさらに上手いボケ重ねて潰すのやめろ。ってか、清水が訝しんでたのは武器があるってことじゃなくて、その前は何があったかだろ」

 

 「その前はなんでもいいんじゃ。要するにこの倉庫の肝は、六章で明らかになる地下施設への入口としての機能じゃからな」

 

 「目の付け所はよかったけど、ちょっと惜しかったんだな」

 

 「その辺りも清水らしいっちゃ清水らしいのう。今一歩届かないというところが」

 

 「おっ。それでいよいよ次のシーンだな」

 

 「寄宿舎に戻ろうとする清水に、曽根崎が助けを求めるシーンじゃ。もちろんわしはこのとき全力で曽根崎を追いかけておるぞ!」

 

 「ソノゾキ!!」

 

 「伝わらないかも知れんが、清水の周りを逃げる曽根崎をわしがグルグル追いかけている。あまりに急な出来事じゃったから、さすがのわしも髪をろくに乾かす前に大浴場を飛び出してしまった」

 

 「どこがシリアスだよ。思いっきりギャグじゃねえか」

 

 「ここでは普通にスルーしておるがの。大浴場の構造上、普通なら覗きなどできるはずがないんじゃ。じゃがそれに言及すると、この後の裁判で曽根崎による攪乱が全く説得力なくなってしまうのでな。敢えてギャグにすることで流させる作戦じゃ」

 

 「そういうの多いな、うちの作者。シリアスでもギャグでも、地の文の中のほんの一文の言い回しとかに伏線仕込むの」

 

 「緻密さが出るじゃろ?」

 

 「そうだけど、気付かれねえ伏線って意味あんのかよ。気付かれてこその伏線じゃねえか?」

 

 「そこまでの技量はない」

 

 「ダメなヤツだ」

 

 「この覗き騒動のときに、わしは隠し通路のことを知るわけじゃ。そしてそれが巡り巡って四章のクロにも伝わることになるんじゃな」

 

 「つくづく、明尾と晴柳院が入ってるタイミングで隠し通路の確認した曽根崎の業が深えな・・・クソッ」

 

 「お前さん・・・うらやましがってるじゃろ?」

 

 「な、ななな、ななに言ってんだよバ、バッカじゃねえの?いくら俺でも」

 

 「ふんだんに動揺しておる」

 

 「正直羨ましい!だってあいつ晴柳院の裸みたんだぞ!?羨ましいに決まってんだろ!!」

 

 「うお・・・本気で悔しがられると本気でひく・・・」

 

 「うるせーうるせー!もうどうにでもなれ!」

 

 「やけくそじゃな。もう少しだけ続くから辛抱せい。わしも辛抱する、というかずいぶん辛抱しとる」

 

 「本当に俺、清水くらい嫌われてね?」

 


 

 「よし、ついに非日常編じゃ」

 

 「何もよくねえ。お前、この話での立場分かってんのか?」

 

 「と言ってものう、過ぎたことを悔やんでも詮無きことじゃ。覚悟は決まっておる」

 

 「冒頭はまた清水の独白だな。喉の調子悪いから医務室に行くっての」

 

 「いかにも意味ありげなシーンじゃが、喉の調子が悪いのはただの寝冷えじゃ。特にクロが何かしているわけでも、新しい動機でも、この後清水が病気になるわけでもない」

 

 「ほんと粗いな。四章の後半から急に粗さが目立ち始めてきたぞ」

 

 「ボロが出たというところかの。実際、書き始める前にプロットが作ってあったのじゃが、それは三章までじゃった。ここからは自転車操業的に書いていることになる」

 

 「そりゃ粗くもなるわ。っておい、清水と穂谷はなんで顔合わせただけでこんなに険悪になってんだ」

 

 「あの二人じゃから無理もないのう。わしが現れなかったらコロシアイが早まっておったかも知れん」

 

 「少なくとも清水にその根性はねえな」

 

 「殺伐とした医務室にわしが!!この愉快な語り口で空気を和ませておる!!さすがわしじゃな!!」

 

 「余計に掻き回してるような気がするけどな・・・棘と格闘とか地味なことしてるしよ」

 

 「穂谷に抜いてもらいたかったんじゃがのう」

 

 「やるわけねえ・・・」

 

 「実は明穂という可能性もあったり・・・」

 

 「ない」

 

 「冷静に否定されると傷つく!いいじゃろ!わしじゃって穂谷と仲良くしたかったんじゃ!」

 

 「まあ、ここでの穂谷の態度如何によってはこの後の展開を変えることもできたかも知れねえけどな」

 

 「そうじゃな。ここでの会話でわしは、穂谷が『裏切り者』なのかも知れんという疑惑に確信を得てしまったからのう。ともに風呂に入ることをそこまで拒絶するのもおかしいと。同じ湯に浸かることよりも、肌を晒すことをイヤがっていたのが気になっての」

 

 「あいつの事情考えたら傷見られたくないだけなんだけど、こういう状況だったら変な勘繰りされてもまあ、仕方ねえったら仕方ねえか」

 

 「誰しも言えない秘密はあるが、それが疑惑に変わってしまうのがコロシアイ生活の恐ろしいところじゃな」

 

 「だから次のシーンでは、もう事件が起きた後だ。部屋で寝てる清水を鳥木が叩き起こすシーンだ」

 

 「なんかわしの死体発見シーン、あっさりしとらん?」

 

 「何にこだわってんだよ」

 

 「だって飯出とかアニーとか古部来に滝山は、みんな劇的な演出がされておったではないか」

 

 「そりゃ俺は最初の被害者だし、アニーは密室殺人だからインパクトあるし、古部来と滝山もああいう殺し方だったらそういう演出にもなるだろ。その点、お前は部屋に転がってるだけだし」

 

 「ぬおおっ!!せめて被害者ダービーでは上位に食い込みたかった!!」

 

 「なんだ被害者ダービーって。ってかパラレル時空だからって自分のことよくネタにできるな」

 

 「構わん構わん。ブラックなのもアクセントじゃ」

 

 「実はこの明尾の死体発見アナウンスで、鳥木と曽根崎と望月が発見してアナウンスが鳴ってんだよな。清水が発見したかどうかは曖昧にぼかされてる。清水が見てはじめてアナウンスが鳴ったって明記しちまうと、一気に鳥木がクロってバレちまうからな」

 

 「粗いくせにそういうところはぬかりないのう」

 

 「そんで現場は笹戸の情報で穂谷の部屋にも行く。一応合宿場の部屋割りは公開されてっから分かるけど、明尾の部屋と穂谷の部屋ってマジで寄宿舎の対角線なんだよな」

 

 「わしの遺体をわしの部屋に運ぶのは相当リスキーだったことじゃろう。その辺りは愛のなせる業といったところか」

 

 「いや、だから粗さだろ?」

 

 「しかしこの穂谷の部屋でのシーンはきちんと伏線仕込んでおるぞ。どうも穂谷が生きているらしいことに皆が気付き、鳥木が医務室へ運ぶというところで、きちんと鳥木は指を怪我しておる。手袋をしていては絶対にしないような怪我じゃ」

 

 「普通だったら、この鳥木が怪我したガラス片か何かが手掛かりだと思うわな」

 

 「ちなみに鳥木が手袋をしていないという描写はここと、あと裁判で1回出て来る。まあ、それを見破るまでもなく、この章は鳥木クロの予想が多かったがの」

 

 「マジでなんでなんだろうな」

 

 「おそらくアレじゃろ。読者はみんなマジシャンをヤバいヤツだと思っておるのじゃろ。テンコーとかマリックとかセロとかもヤバいヤツじゃ」

 

 「いや適当なこと言うな!!」

 

 「さて、捜査が本格的に始まるが、相変わらず清水と曽根崎はともに行動しておる。仲が良いのう」

 

 「ていうか曽根崎が勝手に清水に付きまとってるから、勝手に引き連れてるかのどっちかだからな。なんだかんだで放棄しない清水もたいがい付き合い良いが」

 

 「珍しく・・・もないが、曽根崎が清水に対して面と向かって暴言を吐くとどことなくシリアスな雰囲気が出るのう」

 

 「普段と調子が違うってだけであいつは特に不気味に見えるヤツだからな。四章にもなってきたから、そろそろ真相のヒントなんかも出て来る頃合いだろ。油断ならねえとはこのことだ」

 

 「事件の捜査の中でも真相に繋がるヒントが隠されているかも知れんからの」

 

 「何が分かるか、じゃなくて何が分からねえか、に注目して調べるべきことを考えるのか。逆転の発想ってヤツだな!で、まずは明尾の部屋から捜査だ」

 

 「穂谷の部屋は立て込んでおるからの。わしもひとりぼっちで放置されて寂しいから呼び寄せてしまったわい」

 

 「むしろ晴柳院が呼ばれそうなもんだけどな」

 

 「むほあッ!!?そ、曽根崎め!!わしの服を脱がすとはどういうことじゃ!!やはりヤツはわしに劣情を抱いておったのじゃな!!それも死体にとは・・・なんとレベルが高い!!」

 

 「死体に興奮してるヤツをレベルが高いって表現する時点でお前もそこそこのレベルにいそうだけどな。っていうかいるけどな。これはあくまで捜査の一環だから、別に曽根崎にいやらしい考えなんかなかったぞ」

 

 「それは分かっておるんじゃが、自分が男子に服を脱がされているところを見ては心穏やかでいられん。昨今では女性に救命措置をした男性が後からセクハラで訴えられるという、恩を仇で返すの模範解答のような例があるくらいじゃからな」

 

 「死人に口なしとも言うぜ。今更なに言ったって意味ねえよ」

 

 「ここで重要なのは、部屋中にある血じゃな。笹戸の靴の裏にべったり付着してしまったことで血が新しいこと、部屋中に散っているにも拘わらずわしの頭の下に血溜まりがないことから殺害場所がワシの部屋ではないことが分かるのじゃな。曽根崎はこの時点でどこまで推理できていたんじゃろうな」

 

 「どうだろうな。普通はまず情報をとにかく集めて、そのときに気になったことを後から繋ぎ合わせるみたいな感じだと思うぜ。その場でなんもかんもは推理できねえだろ」

 

 「主人公や探偵役でないと大して推理を要求されないので気持ちが楽じゃのう」

 

 「要求されないどころか推理する機会もなかったぜ」

 

 「得意気に言うことではない」

 

 「ところでお前の部屋の捜査でちょっと気になったことがあるんだけどよ」

 

 「ほう、なんじゃ。答えてくれよう」

 

 「お前の復元した化石の模型が、美術品として扱われるくらいキレイだってマジかよ?」

 

 「なんじゃ、それか。マジじゃぞ。わしとしては丹精込めて磨いた化石を売りに出すのは心苦しいからあまりせんのじゃが、博物館やマニアなどからどうしてもと頭を下げられることもある」

 

 「すげえヤツじゃねえかよ・・・」

 

 「そういうお前さんこそ、冒険家なんじゃから色々な組織から依頼が来たりせんのか?あそこを調査せい、探検に付き合えなど」

 

 「そりゃあるけど、ホラ、俺英語話せねえじゃん」

 

 「知らん」

 

 「だから外国のチームで通訳なしだとやって行けねえんだよな。ソロで行けるところなんてのも限られるしな」

 

 「なるほど。やはり“才能”によって活動範囲は様々じゃの。わしはたまに外国で発掘もするぞ。発掘チームなら高い確率で通訳ができる者もおるからの。わしも英語はからっきしじゃ!わはは!」

 

 「いや、普通にまずくねえか・・・?俺ら曲がりなりにも高校生だぜ?」

 

 「希望ヶ峰学園とはいえ、普通の高校程度の内容はできていないと後々苦労するじゃろうからな・・・六浜に習いに行くか?」

 

 「やだよ。あいつ教えるのうめえけど怖えもん。アニーに頼もうぜ」

 

 「コーヒー漬けで寝かせてもらえんぞ」

 

 「んうう・・・あ、そうだ。次作の主人公だ、あいつ外国人だったろ。あいつだったら」

 

 「小学生に教えてもらうのか?わしは構わんが、周りが許してはくれんと思うぞ」

 

 「八方塞がりかよ・・・」

 

 「普通に勉強すればいいんじゃ」

 


 

 「廊下の血の量の話も終わったの。今回の事件はあちこちに付着した血がひとつ重要な要素になっておるの」

 

 「血を使って現場偽装なんてのは原作とか他のミステリーでも常套手段だからな。ここに来てようやくって感じだが」

 

 「今までは現場を偽装する必要がなかったからのう。お前さんの事件は偽装というよりも、意図せず死体が移動してしまったというだけじゃ」

 

 「死ぬかと思った」

 

 「死んだじゃろ」

 

 「しっかし穂谷の部屋は荒らされてんな。よくこれで生き延びたもんだ」←ブラックジョークに疲れた

 

 「なりふり構わない人間というのは恐ろしいものじゃ。わしも本気で穂谷を殴りかかりにいっていたのじゃが、よもや返り討ちに遭うとは思わなんだ。タイトル通り、追い詰められた鼠というのは恐ろしいものじゃ」

 

 「猫が鼠をいじめてたら後からやってきたカラスに突かれたってとこだな」

 

 「ほう!お前さんにしては上手い喩えじゃな!」

 

 「その辺の事実は推理じゃ分からねえこともあるけど、もっと大事な証拠品がここで見つかるぜ。脱衣所の木札だ」

 

 「まさか男女で木札の数字の表記が違うとはの。敢えて違う表記にする意味があるのか?」

 

 「実用的な意味で言えば、もし大浴場の外で見つかったときにどっちのかすぐ分かるってのがあるな。ミステリ的に言えば、今回の裁判でも言われたように、表記が違うことを知ってること自体が別の事実に繋がることにもなる。モノクマはたぶん後者を意図してこういう具合にしたんだろうな」

 

 「まったく、あちこちにそんなものを仕込んでおるんじゃな。油断も隙もあったものではない」

 

 「今回の事件でその違いを知ってたのは、まず女子風呂に覗きに入った曽根崎と、そのことを曽根崎から聞いた明尾、そんでもって明尾の部屋でそのメモ書きを見つけたとかいう鳥木の3人だな」

 

 「忘れないようにメモしていたのを利用されてしまうとはの・・・しかも、そのメモを鳥木に処分されてしまうとは」

 

 「そりゃそうだ。鳥木は穂谷がクロになるところを身代わりになるだけじゃなくて、なるべく明尾も非難されないようにって謀ってたんだからな」

 

 「うぬぅ・・・自分が殺した相手に気を遣うとは、全く破綻しておるな。ヤツの場合は殺したくて殺したというわけではないが」

 

 「とことんまであいつは自分の仮面を脱げなかったからな。だからこそこうなっちまったってのもあるんだが」

 

 「全ては初めて真の自分の存在に気付いてくれた穂谷のためにか・・・こういうのはあれじゃな!尊いってヤツじゃな!」

 

 「あーあ」

 

 「な、なんじゃその分かりやすい嘆息は」

 

 「そういうの自分で言ったらおしまいなんだぜ。サムい」

 

 「自分ではないじゃろ!わしは当事者ではないじゃろうが!」

 

 「当事者みてえなもんだろ。書いてるヤツが同じなんだからよ」

 

 「メメタァ!!」

 

 「そんなこと言ってる間に、清水と曽根崎が医務室にいるその鳥木と穂谷に話聞きに行ったな」

 

 「こんな状況で鳥木が穂谷に手を出すと思っておるのか曽根崎は・・・男子高校生ならば仕方ないかも知れんが、時間と場所を弁えよ!」

 

 「こっち見んなよ!なんだよ!」

 

 「わしらの中で血液型の設定が判明しているのは曽根崎だけなのじゃが、特に意味はないのじゃろう?」

 

 「ないぜ。別にここは、血液パックの数が合わねえってだけの話だからな。けど鳥木は明尾の部屋や廊下に撒く血で、A型を選んでたな。ってことは明尾と穂谷はどっちもA型ってことなんじゃねえのか?」

 

 「わしはA型かも知れんが、穂谷はA型ではないじゃろう。B型じゃろう」

 

 「いや、お前もたいがいB型っぽいけどな」

 

 「そりゃお前さんもじゃろ!」

 

 「なんでだよ俺A型だろ!」

 

 「どこがじゃ!!というか“超高校級”の“才能”を持つ者はみな我が強くてマイペースなんじゃから、みんなB型でもおかしくないくらいじゃ」

 

 「ゴリラか」

 

 「ほ!そう言えばお前さんはゴリラっぽいな!わはは!!」

 

 「わははじゃねえ!ってかいいんだよ血液型なんか!鳥木がなんでA型のパック取ったかって話だろ!」

 

 「そもそもわしは血液型の性格分類など信じておらんからの。鳥木がA型を選んだのにも大して興味もない」

 

 「単純に数が多いから適当に手に取ったのがA型のパックだったってだけだろ。血液型決めてねえし、そんな話にもなってねえから、深い意味なんてねえよ」

 

 「決めんのかの。血液型」

 

 「いやもう決めたきゃ決めろよ。なんだっていいよ」

 

 「じゃあわしA型」

 

 「じゃあ俺もA型」

 

 「なんじゃこれ」

 

 「おっと!穂谷が目を覚ましたぜ。起きたら上着がはだけてたからびっくりしてらあ」

 

 「そりゃびっくりするじゃろ。曽根崎はこの短い間に二人も女子の服を脱がしているんじゃぞ」

 

 「役得だなあ、あいつ」

 

 「お前が1シロで良かったとこんなに思ったことはない」

 

 「さすがにひどすぎんだろ!!」

 

 「穂谷に状況を説明し、さらに部屋で襲われたと嘘半分、真実半分の証言をしておる」

 

 「明尾に襲われたって言ったら自分が殺したってバレるから、あくまで自分も明尾も第三者に襲われたってことにしたかったんだな。もしマジで穂谷が犯人だったとしても、ろくに証拠隠滅もできねえ、自分で捜査した事実を作ることもできねえ。他人の捜査状況も分からねえ中でいい加減な嘘吐くって、かなりの大博打だな。ってか勝ち目ねえな」

 

 「あのまま鳥木がわしを放置していれば、間違いなく穂谷はクロになっておった。だからこそ鳥木はああしたんじゃが、この時点で穂谷も違和感を覚えておるはずじゃ。明尾が死んでいたなら、なぜ清水たちが自分をあからさまに疑っていないのか」

 

 「あ、そっか。穂谷の中だと明尾は自分の部屋かその前の廊下で死んでることになってんのか」

 

 「じゃからこの時点では、穂谷視点でもわしが誰に殺されたのか曖昧なんじゃ。自分が殺したことになったのか、あるいはそうではないのか。そうでないなら誰なのか」

 

 「こういうのっていっつも探偵役目線で事件が進むからさ、たまには犯人目線や事件に深く関わってるヤツの視点から見てみるってのも面白そうだよな」

 

 「古畑任三郎観ろお前は」

 

 「あれも視点は探偵役だろ」

 

 「実は二作目の一章で、作者はそれをやろうとしたんじゃがな。犯人視点で裁判などが進んで行くスタイル」

 

 「へえ。なんで止めたんだ」

 

 「単純に難しかったのと、その方式じゃと書きたい件と背反するんじゃ。なので止めた」

 

 「なかなか上手くいかねえもんだな」

 

 「機会があったら番外編で犯人視点の裁判を書いてみるのもいいかも知れんのう」

 

 「これ以上書くもん増やしてどうすんだよ!今だってQQ解説編と六浜主役のスピンオフと、あとあっちの番外編でハワイ編やってんだろ!?三作目の設定練りとかも同時並行してんだろ!?現実の諸々も込みで!やめとけって!」

 

 「余裕があればということじゃ。この解説編とて、定期的に出しているわけではないじゃろう。書けるときに書いて、止まるときは数ヶ月も止まる。前回の更新はいつじゃったかな」

 

 「2月23日。そろそろ三ヶ月になるな」

 

 「ほれみい。本編じゃったら1ヶ月も開けば遅れていると感じられるのに、そろそろ三ヶ月じゃというのに全く待たれている感がないじゃろ」

 

 「それは更新頻度とは別問題だろ」

 

 「さて、捜査は最後に大浴場に行って終わりじゃ。ここでは穂谷の部屋で見つかった鍵で開けたロッカーから血まみれのハンマーが出て来たのがまず大きな収穫じゃな」

 

 「それから曽根崎だけ捜査してるところがあるよな」

 

 「覗きに使った隠し通路じゃな。清水には気付かれないよう、浴室の捜査をさせている間にささっと捜査しておる」

 

 「なんで敢えて清水に隠したんだ?どうせ裁判で分かることじゃねえか。このときはもう、鳥木が犯人だって目星も付いてんだろ?」

 

 「ヤツのことじゃからちょっとしたイタズラのつもりなんじゃろう。メタ的にはインパクトを優先したからじゃが」

 

 「まあ、作品として成立させようとしたら非合理的に見えるような描写になっちまうこともあるわな」

 

 「そうそう。商品でもそういうことはあるんじゃから素人の趣味程度でそこまで目くじら立てる者もおるまい」

 

 「自分で言ったら言い訳だけどな」

 


 

 「よし!最後に全員が裁判場行きのエレベーターに乗って、捜査編は終わりじゃ!」

 

 「俺たちが解説担当するのはここまでだな!裁判編からおしおき編までは次の組にバトンタッチだ!お疲れ!」

 

 「お疲れさんじゃ!いや〜長かったのう。三ヶ月ほどお前さんとずっと喋っていたような気になってくるわい」

 

 「リアル時間だとな。一服入れようぜ。喋り疲れた」

 

 「ときに飯出よ。次に解説編を担当するのは誰か知っておるかの?」

 

 「え〜っと、ひとり2回ずつやるだろ。俺と明尾は今やったし、前回がアニーと石川、その前が滝山と望月で滝山が2回目だから・・・まだまだ結構いるな」

 

 「わしらは一足先に仕事完了じゃ!っぷはー!お茶がうまい!」

 

 「解説しもらしたことはあるか?」

 

 「特にないじゃろう。あっても、わしらが忘れるくらいじゃ。その程度の小話ということじゃろう」

 

 「お前がルールかよ!?それ言いだしたらこの解説編自体、本編読む上で必要ない小話の集まりだからな!?」

 

 「知っていればなるほど、と思えるくらいのちょっとした話をお届けするコーナーじゃ。構わんじゃろ」

 

 「別にいいんだけどよ。あ〜、それにしても、これで俺も解説終わりか〜。なんか初回がプロローグの頃だったから、なんか長えことこの企画やってた気がするわ」

 

 「もっと長いヤツもおるがの。清水なんかまだ先じゃろう」

 

 「ま、主人公だしな。最後の方なのは確実だろ。その辺考えたら、次回のコンビはだいたい予想付くけどな」

 

 「ほ?そうか?」

 

 「お前のその、ほ?、てなんだよ」

 

 「驚いたときや感心したときに出る言葉じゃ!いいじゃろう!愛嬌があって!」

 

 「自分で言うなよ・・・。は?とか、え?とかなら分かるけど、ほ?てなんだよ」

 

 「わしっぽいじゃろ!」

 

 「お前しか言ってないからな。そうでなくてもお前の喋り方は特徴しかねえけど」

 

 「ええんじゃわしのチャームポイントなんか!もう解説することはないんじゃろ?終わって打ち上げに行こう!飲むぞ!」

 

 「飲むってオレンジジュースな。打ち上げなら他のヤツらも呼ぼうぜ。屋良井とか声かけたら来るだろ」

 

 「うむむ・・・自分で言っておいてなんじゃが、世界線が一気に分からんようになった・・・」

 

 「パラレルなんだからなんだっていいんだよ!なんで急にそんな細かいところ気にした!」

 

 「いよいよ終わると思ったらテンション上がってきてしまっての。この勢いのまま朝まで騒ぐぞー!ではそろそろ〆にしよう!」

 

 「うっしゃ!!じゃあ最後はバシッと決めるぜ!!」

 

 「画面の前の若造共!」

 

 「いやそんなん前回言ってなかっただろ!!」

 

 「ここまで解説編を読んでくれてありがとう!まだまだ物語は中盤!今後もちょくちょく解説編は進めていくから油断するでないぞ!」

 

 「そういうわけだ。次回は遂にあのコンビが登場するぜ!楽しみにしとけよな!っつうわけで今回はここまでだ!お相手は情熱燃える冒険野郎!!飯出条治と!!」

 

 「輝くツルハシ古代のロマン!!明尾奈美がお送りした!!ありがとーーーーーう!!ありがとーーーーう!!」

 

 「ところで明尾、お前トイレ我慢してたんじゃなかったか?」

 

 「・・・ッ!!忘れとった!!!ぬああああああああああああああああああああッ!!!」

 

 「ギャーッ!!・・・すげえ勢いで行っちまった」




お久し振りです。QQの解説編です。
ロンカレが書き終わってもまだ毎日書き続けています。
番外編の風呂敷を広げすぎたので、大急ぎで畳んでいってます。
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