立派な魔法使い 偉大な悪魔   作:ALkakou

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第一章 『吸血鬼と悪魔』

 幼等部から大学部まで擁する麻帆良学園の敷地は、とても広い。まるで一つの街であり、学校と言われなければ一見しただけでは分からないだろう。そしてその大きな敷地の中央には、巨大な木がそびえ立っている。270mにもなるその巨木を学園の者は『世界樹』と呼び、学園の象徴的な存在であった。

 そしてその世界樹には不思議な現象が起こる。それは木が光るというものだ。この不思議な現象ゆえに世界樹に興味を抱くものが絶えず、世界樹に関係するサークルがかなりの数存在している。

 そのサークルの中には当然世界樹を観測・研究するものもあり、観測・研究データも長年に渡って蓄積されていた。そこから、22年の周期で発光現象が起きることが随分前から分かっていた。またその原因は、世界樹に生えている発光性の苔類が周期的に活発な発光を行うからではないかと推測されている。もっともそれは“表社会”の説に過ぎない。

 本当は、表ではない“裏社会“で言われている説が正しい。その説によると、そもそもこの発光現象は『長年にわたって蓄積した魔力量が最大に近付いた時に起きる、魔力の放出現象』とされていて、一種の生理現象に近い物であるとされている。

  もともと植物にはそういった、辺りの気や魔力を蓄積・放出する力がある。世界樹の場合、その蓄積量・放出能力が異常といえるほどに高いのだ。その異常とも言える蓄積量と放出能力のために、大気へ放出される魔力が高濃度かつ大量になり、それが結果として発光しているように見えるわけである。

 つまり発光現象とされているものは実のところ、可視するほどに高濃度な魔力の放出現象なのである。

 ただしこの魔力の放出は、世界樹自身が持つ魔力貯蔵量の調整機能にすぎない。そのため異常気象や大気に存在する魔力の量などで周期が前後することもある。

 最後に発光現象が確認されたのは、2ヶ月前の6月に開かれた学園祭『麻帆良祭』の時だった。その時は、ここ数年の異常気象により、22年の周期よりも1年早い21年ぶりの発光であった。

 つまり世界樹はほんの2ヶ月前に、蓄積していた大量の魔力を放出した、ということだ。

 しかし“今”世界樹は煌々と発光している。まだ麻帆良祭から2ヶ月も経っていないにも関わらずに。それもぼんやりとした弱々しい発光ではない。前回の麻帆良祭の時とは比べものにならないくらいに強い発光であり、さながら光の柱のようである。

 当然この出来事は瞬く間に学園中の生徒はもちろんのこと、教員達の話題となっていた。そして、普段は魔法使いの立場を隠している一部の魔法先生・魔法生徒と呼ばれる間でもだ。いやむしろ魔法先生達の方が事の重大さを理解し、より騒然となっていた。

 それもそのはずである。現在、世界樹が発光しているということは、本来なら22年ほどかけて蓄積される魔力が、一瞬にして満たされたということだ。それも柱のような強烈な発光となれば、世界樹の処理能力がオーバーペースに働いていることになる。

 このままでは処理しきれない魔力が、どんどんこの地に溜まり何が起こるかわからない。大規模な魔力の暴走が起これば辺りが文字通り消し飛んでてしまうことも十分に考えられる。そういった事情を知らない一般の生徒にとってはなかばお祭り騒ぎだったが、麻帆良学園は油断できない緊迫した状況になっていた。現に麻帆良学園の理事長である近衛近右衛門は、魔法先生達に対して警戒体制をとらせていた。

 学園が騒然となっている中、屋根の上で煌々と光る世界樹を眺めている少女がいた。

 

「やれやれ……冗談ではないぞ。見てみろ! スキ間から漏れ出す魔力だけであの輝き」

 

 その少女は金色の長い髪を風になびかせながら、人形の様に整った顔にうんざりとした表情を浮かべていた。

 

「おまけに向こうの世界のものが見えるとはな」

 

 彼女が見上げた先には、『墓守り人の宮殿』と呼ばれる魔法世界の建造物の姿が浮かんでいた。少しの間彼女は何をするでもなくその眺めをじっと見守っていた。彼女が何かを考えている様子は見て取れるが、その真意を知ることは出来ない。

 そんな彼女のつかの間の思考も、ある姿が視界に映ったことで中断させられた。

 

「あれは、ぼー……や?」

 

 今上空に浮かんでいる宮殿で誰かが戦っている姿が見えたのである。普通ならばそのような小さな姿は見えないし、例え見えたとしても不鮮明である。だが彼女にははっきりと見えていた。戦っているのは、自身の弟子であるネギ・スプリングフィールドだ。

 もっとも、ネギの姿・戦闘レベルは彼女の知っているものとは桁違いだった。もはや別人と言っても過言ではないほどに。そしてすぐに彼女は何がネギをここまで変えたのか、その答えに行き着いた。

 

「間違いない……な。よもや 闇の魔法(マギア・エレベア)とは。確かに、この短期間であそこまでになるにはそれしかあるまい」

 

 闇の魔法とは、本来放出させるはずの魔法を固定し、それを取り込んで霊体と融合させることで爆発的な力を得る、まさに狂気の技である。もともとは彼女が考案した技法であるが、取得の難しさや使用による費用対効果から、彼女以外まともに扱えないものであった。そのため闇の魔法は彼女固有の技法であると言われていた。

 だがその技を、魔法世界へ向かってから僅か二カ月の間で弟子であるネギは取得していた。ネギが闇の魔法に手を出したことに、師匠である彼女はなんとも言い難い気持ちだった。なぜなら闇の魔法は強大な力をもたらす反面、使用するにはリスクがあるからだ。

 術者の肉体的負担。そして精神と魂の崩壊だ。魔法を霊体と融合させるということは、精神と魂を直接魔力の渦に晒すような行為である。そんなことをすればいずれは廃人となるか、人間から理性のないただ破壊するだけの魔物に成り果ててしまうかである。

 仮に上手く制御できたとしても、もはや人間という枠組みを超えてしまい、新しい種として転生してしまう。つまりこの技法に手を出すということは種族としての人間にはもう戻れない、ということであり、ネギはその道を選んだと言うことになる。

 弟子の愚かな選択に少女は呆れていた。もっとも弟子が自分と同じ道を選択したことを少なからず喜んでいたが。

 そんな時、背後に気配が降り立った。すこし前に『魔』に属する者が学園に侵入したことを結界を通して知っていたが、今は事態が事態だ。それにそう強くない反応だったので放っていたが、どうやら向こうから少女に会いに来たらしい。

 

「貴様は何者だ?」

 

 少女――最強種とされる吸血鬼の真祖が振り返り言葉短く問う。そこには赤いロングコートを纏った、悪魔が恐れる最強の狩人がいた。

魔法世界で神に準ずるとされる古龍と同格の、最強種として謳われている吸血鬼の真祖(ハイデイライトウォーカー)

 伝説の魔剣士の血を引く半人半魔であり、魔界に君臨する魔帝ムンドゥスを封印した最強の悪魔狩人(デビルハンター)

 二人の最強が麻帆良学園にて対峙した。

 吸血鬼の真祖――エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは金色の髪を風になびかせ、刺すような眼差しをむけている。そして最強の悪魔狩人――ダンテは銀色の髪をかき揚げ、苦い顔を見せていた。

 

「何者かって? あー、俺はこんな姿をした悪魔を狩りにきた、ただの便利屋さ」

 

 ダンテはコートの内側から一枚の写真を取り出した。

 

「この嬢ちゃんみたいな姿らしいんだが……」

 

 その写真はエンツォが持ってきたものだ。写真には金髪の少女が紅茶を嗜んでいる姿が写っている。その少女はまさしくダンテの目の前にいるエヴァンジェリンその人である。

 それを聞いたエヴァンジェリンの顔が、僅かに歪んだ。

 昔から彼女の首を狙う輩は数多くいた。それこそごろつきのような賞金稼ぎから、一国の正規軍までもだ。しかし呪いによって麻帆良学園に封印されてたこともあり、もう随分とそのような輩はいなかった。

 だが目の前の銀髪の男は自分を狩りに来たという。なんという愚か者で、なんというタイミングに来るのか、とエヴァンジェリンの心中は穏やかではなかった。

 なぜなら取り払っておかなければならないことが増えたからである。以前学園へ侵入したヘルマンという伯爵級の悪魔よりも弱い反応だったこともあり、学園内をチョロチョロ動き回る程度なら自分が動かなくてもそこら辺にいる魔法先生が何とかすると踏んでいたが、自分を狙っているとなれば話は別だ。

 何事も大きな障害を取り除いておくことは当然であるが、時には小さな障害や要素にはそれ以上に気を払わなければならない。それは始めは小さかった要素が後々になって大きな障害となったり、小さな要素が大きな番狂わせを起こすことがあるからだ。

 そしてそういったハプニングは、得てしてこのような一大事に限って起こるものである。エヴァンジェリンはそれを知っているからこそ、目の前の要素を払っておきたかった。そして彼女には学園に侵入した魔を払う任もある。もっとも普段からエヴァンジェリンは乗り気ではないが。

 つまりエヴァンジェリンにはダンテを始末する理由があった。

 

「私を狩りに来た――か。普段なら遊んでやるところだが、今は貴様に割いている時間はない。悪く思うな。直ぐに終わらさせてもらう」

 

  そう言うと、エヴァンジェリンの右手から白い煙が溢れ出す。パキパキという音が聞こえ、同時に当たりの温度が急激に下がった。それは彼女の右手が作りだした冷気によって、空気中の気体が固体へ昇華しているためだ。そしてそれはエヴァンジェリンが戦闘態勢に入ったという証拠である。

 しかし一方のダンテは、両手を軽く挙げて肩をすくめた。

 

「お気遣いありがとよ嬢ちゃん。でも残念ながら大ハズレみたいだ。あのヘドが出そうな、悪魔の臭いがしないんでね」

 

 ダンテが苦い顔を浮かべていたのはこのせいだ。

そもそもダンテは悪魔狩人であり、読んで字の如く、悪魔を狩るのが彼の本業である。そして今回は、久々に強くてヤバい悪魔だと聞いて、アメリカからはるばる日本の麻帆良学園まで来たのだ。

 ところが実際に対象と接触してみれば、“悪魔の臭い”がしないのだ。この“悪魔の臭い”は悪魔が放つ独特な臭い、というよりも、臭いを含めた五感に働き掛ける悪魔が気配といったほうが正しい――ダンテ曰く、臭いだけなら獣の血の臭いに近いらしいが。

 ダンテはそれを長年の経験、そしてなによりも本能によってかぎ分けてきた。その“悪魔の臭い”がないという事は、ターゲットとして渡された写真に写る目の前の少女が、悪魔ではないということを表していた。

 

(ったく、エンツォの野郎。ガセネタ掴まされやがって)

 

 口には出さず、この仕事を持ってきたエンツォにダンテは悪態をついた。

  元々、裏の社会でもガセネタというのは溢れ返っているものである。そのためエンツォなどの情報屋や仲介屋は、その情報の正確さ、真偽を見極めなければならない。その情報によって大金が動き、様々な組織が動くからだ。そしてなによりトチれば情報を流した自分がバラされるからでもある。

 エンツォは金にうるさいが、そう言った真偽を見極める情報網と、なにより鼻の効く男である。そのため、ダンテはエンツォがガセネタ持ってきたことが意外でもあった。

 

「そういうわけでお騒がせしてすまないな、嬢ちゃん」

 

 そう言うとダンテは背を向け立ち去ろうとした。ターゲットが悪魔ではないなら、彼の仕事ではない。それに少女を痛めつけるような趣味は持っていない。

 彼の背にある大剣リベリオンの刀身には、エヴァンジェリンの姿が映っている。また腰に提げられた二丁拳銃のエボニーとアイボリーの銃身が、世界樹の光を鈍く反射していた。

 

「悪魔ではないから帰る? 確かに私は悪魔ではなく、魔法使いだ。だがそれは言い訳ではないのか? 私には貴様が尻尾巻いて帰るようにしか見えないよ。それにやすやすと見逃すと思うか?」

 

 明らかに挑発ととれるそれを聞いたダンテは、足を止めた。

 

「あいにく俺の好みは悪魔だけでね。魔女の知り合いならいるが、魔法使いなんてファンシーでファンタジーなもんには興味はないんでね。嬢ちゃんらしくお花を咲かせる魔法でも唱えてな」

「悪魔とか言ってる貴様が、魔法使いをファンタジーと言うか? ああ、それと私はファンシーな魔法使いではない。私は悪い魔法使いだ、とんでもなく極悪級のな」

「そんなフリフリでロリータな格好で悪い魔法使いか。極悪ってなら――」

 

 それまで背を向けていたダンテが振り返った。そしてダンテの手には、いつの間にか腰のホルスターから抜かれた銃が握られている。

 

「――血の方がらしく見えるぜ?」

 

 ダンテは躊躇なく引き金を引いた。銃口からダンテの魔力が篭められた弾丸が吐き出される。

 銃弾はエヴァンジェリンの方へ空気を裂いて直進するが、エヴァンジェリンは微動だにしない。

 そして弾丸はエヴァンジェリンの頭を――かすめた。かなり近かっため、エヴァンジェリンの金色の髪が数本ちぎれてしまった。

 エヴァンジェリンをかすめた弾丸が直ぐになにかをぶち抜いた。赤い液体がエヴァンジェリンに降り懸かる。彼女の背後には、頭部に大きな風穴を空けた召喚魔が立っていた。

 隆々とした肉体に蝙蝠のような皮だけの翼を生やした姿の召喚魔は鋭利な爪を振りかざしていた。エヴァンジェリンを後ろから襲おうとしたのだろう。そこをダンテが銃で撃ったのだ。

 頭部に風穴を空けられた召喚魔は力無く崩れ落ち、屋根から落ちていった。見回すと、いつの間にかダンテとエヴァンジェリンの回りには召喚魔が群がっていた。先ほどの召喚魔と同じような姿をしたものから、手に剣を持っていたり、四つん這いで他の屋根を跳び移っていたりと、様々な種類の召喚魔が確認できた。

 それをくるりと回って一度確認したダンテは、少しだけ口角を上げた。そして硝煙を上げるエボニーと、ホルスターから抜いたアイボリーを構える。

 

「Ha―Ha! Let’s Start The Party!」

 

 すぐさま二つの銃口から銃弾の雨が降り始めた。

 左右から迫る召喚魔の群れに腕を広げて一瞬にして十数発の鉛弾を浴びせ、撃ち落とす。直ぐさま向きを変え前と後ろにも同様に銃弾を撃っていく。前方にいた召喚魔の一体が力尽きても慣性でダンテに迫るが、それをダンテは蹴り上げた。蹴られた召喚魔は迫り来る召喚魔の壁に突っ込んだ。

 そうして四方八方からくる召喚魔を的確に撃ち落とし、葬ってゆく。

 エボニーとアイボリーで別々の獲物を狩り、二丁の圧倒的な弾幕で召喚魔を蜂の巣にする。

 召喚魔と近接戦闘になっても、紙一重でかわして同士討ちを誘い、体術と銃撃を巧に織り交ぜて圧倒する。その様はまさに銃の音色を旋律に華麗に踊っているようだ。

 そんなダンテの戦いを見て、召喚魔達にも恐怖心はあるのだろうか、怯んだように召喚魔達は距離をとった。

 

「どうした? ビビってんのか?」

 

 ダンテが肩をすくめて召喚魔を挑発する。それを見て怒ったのか、隙だと思ったのか。四方から同時に召喚魔がダンテとの距離を詰める。召喚魔の爪や牙、手にした剣がダンテを仕留めるべく振るわれる。しかし、そこにダンテの姿はなかった。

 

「よし、タイミングは合格だ」

 

 ダンテの声が聞こえてくる。

 

「ただ、遅いな」

 

 ダンテは真上の空中にいた。召喚魔の攻撃が当たる寸前に跳んで、回避したようだ。彼の驚異的な跳躍力によって屋根から軽く数mは跳んでいた。そしてダンテが空中で上下逆さまになり、頭が下になる格好になった。そのまま真下にエボニーとアイボリーを構える。さらに体を高速で回転させ――ダンテは 引き金を引いた。文字通り銃弾の雨が降る。真下にいた四体の召喚魔は銃弾の雨をまともに喰らい、凄まじい数の鉛弾を全身に浴びた。

 ダンテが回転を止めて、屋根に降り立った。足元にはダンテの銃による妙技『レインストーム』を受けて穴だらけになった召喚魔が転がっていた。手元にあるエボニーとアイボリーの銃口は、高速で銃弾を発射する熱で加熱され、赤く光っていた。

  まだ放熱をしているエボニーとアイボリーを器用にくるくると回し、ダンテは銃を腰のホルスターに納める。その時、ダンテは殺気を感じた。普通なら気付かないほど小さな殺意だったが、非常に鋭い殺意だった。その殺意を放っていたのは、指先にビーム状の剣『断罪の剣』を出していた、エヴァンジェリンだった。

 そして瞬動と呼ばれる移動法により、傍目には瞬間移動をしたように一瞬で間合いを詰め、まだ背を向けているダンテに切り掛かった。

 ダンテも一瞬の事にも関わらず反応し、目にも止まらぬ速さでリベリオンを抜いていた。そしてリベリオンと断罪の剣が凄まじい速度でぶつかり、甲高い音を立てた。

 

「後ろからなんて、ちょっと狡くないか?」

 

 断罪の剣と激しい競り合いをしながらダンテが話し掛ける。またまだ余裕がある。

 

「言っただろう、早く終わらさせてもらうと」

 

 リベリオンと激しい競り合いをしながら、言葉を返す。こちらもまったく全力は出していないようだ。

 

「それに貴様は思っていたよりも厄介そうだしな!」

 

 それが合図だったかのように、両者が弾かれるように離れた。すると先程まで二人が競り合っていた所に、召喚魔の剣が振り下ろされた。その剣は粗悪なもので、切れ味の悪いものであった。しかし純粋な破壊力は高く、屋根に大きな窪みと亀裂が走り、破片が飛び散る。

 

「邪魔だよ」

 

 エヴァンジェリンがまたもや瞬動で、召喚魔の後ろに現れた。そして召喚魔の後頭部を蹴りつける。頚椎と頭骨が砕ける音と共に、召喚魔が屋根にたたき付けられる。

 まだ空中にいたエヴァンジェリンだったが、空中での瞬動――虚空瞬動により再びダンテを間合いに捉える。再びリベリオンと断罪の剣が火花を散らした。しかし今度は競り合いにならず、弾かれる。

 そしてダンテは振り返って背後に迫っていた召喚魔を両断する。両断された召喚魔は、赤い血を噴き出しながら崩れ落ちた。一方でエヴァンジェリンも振り返って召喚魔の首を撥ねていた。

  断罪の剣には、触れた物を強制的に蒸発させる効果がある。そのため召喚魔がみるみる相転移させられ、蒸発していく。また、相転移させられた物質は大量の熱を奪う。それは周囲の熱が奪われ、周囲が極低温にまで温度が低下するということを意味する。現に蒸発した召喚魔の周囲が凍結していた。

 空気中の水分が凍結する中、互いに背を向ける形になったが、二人とも身を翻し、そのまま上段の蹴りを繰り出す。そして両者の間で足がぶつかり、衝撃が走る。

 

「速いな嬢ちゃん」

「貴様もそれなりにな」

 

 一瞬二人が笑みを浮かべた。そして再び離れる。

 反逆の名を持つ剣と、死刑を執り行うという剣が激しくぶつかっては離れ、火花を散らしていく。

 また、激しく弾き合う中、互いに迫り来る召喚魔を切り伏せていく。決して共闘でははない。

 両者の考えは異なっている。ダンテにとって周囲の召喚魔は狩るべき対象であり、エヴァンジェリンにとっては邪魔な存在だから斬っている。ただそれだけだった。だが召喚魔を葬るという点では共通していたために、召喚魔の死体がみるみる積み重なっていく。

 その速くて激しい剣舞のなか、赤い光が混じっているのが見える。それはダンテの持つリベリオンだった。リベリオンの刀身を赤い光が覆い、時折、パリパリと言う音と共にスパークがほとばしる。

 そして一度後ろに跳び、リベリオンを逆手に構える。

 

「Let’s Rock!」

 

 ダンテが逆手に構えたリベリオンを素早く振る。すると刀身から赤い光が放たれた。それはリベリオンの斬撃を魔力によって飛ばす『ドライブ』という技である。

  さらにダンテはもう一度リベリオンを逆袈裟に振り上げる。二つの斬撃が召喚魔の群れを切り裂いていく。召喚魔の群れ、いや壁には大きな穴が出来ていた。リ ベリオンには微量の魔力が残っているようで、僅かに刀身に赤い光とスパークが確認できた。それをダンテは、血をふるうように軽く振って魔力をふるい落とした。

 そしてダンテのすぐ近く。そこには瞬動で間合いを詰めたエヴァンジェリンがいた。冷たく輝く剣が迫る。再びリベリオンと断罪の剣が、大きな音をたててぶつかる。今度は弾かれず、競り合った。

 

「結界にかかったときの貴様の魔力や力は、たいしたものではなかった。あれくらいは掃いて捨てるほどいる」

 

 激しさを増す競り合いの中、エヴァンジェリンが話し掛ける。リベリオンと断罪の剣からは、不快な音が絶えず鳴っている。二人のあまりの力に、足場となっている建物を押しつぶしていく。

 

「だが今の魔力を飛ばしたあの攻撃だ。あの瞬間、貴様の魔力が変わった。たしかに、数瞬だけ魔力の質を変え爆発的に増やすことも出来る。しかし貴様の場合、違うんだよ、質も、気配も! あれは人間の出すものではない、魔族のものだ!」

 

 エヴァンジェリンが語気を強め、同時に競り合いも彼女が圧倒し始める。

 

「もう一度聞こう。さぁ、貴様は何者だ!」

 

 ダンテは顔を伏せていた。銀色の髪に隠れて、表情は伺えない。彼の顔に浮かぶのは苦痛だろうか、それとも――。

 

「ふん。答える気はないか」

 

 冷たい笑みを浮かべたエヴァンジェリンは一瞬だけ力を抜き、直ぐに力の向きを上へと変えた。ダンテは一瞬判断が遅れる。その一瞬が結果を変えた。

 断罪の剣がリベリオンを上へと弾き、ダンテの手からリベリオンが離れる。上空へ弾かれたリベリオンは、くるくると回りながら落ちていく。その刀身には、ダンテが断罪の剣により貫かれる姿が映っていた。

 ダンテの口から血が溢れる。鮮やかな赤い筋が口角からつたい落ちていく。しかし刃が突き刺さっている腹からの出血はなかった。それは断罪の剣が帯びる極低温によって、刃の周りの体組織が局地的に凍りついていたためである。

 血を吐くダンテに構わずエヴァンジェリンは断罪の剣を更に押し込む。比例するようにダンテの吐血量が更に増した。

 エヴァンジェリンは決着がついたと確信した。断罪の剣は対象を蒸発させる。その例にない物質もあることはあるが、それはあくまでも例外。生物ならばほぼ存在しないに等しい。

 つまり彼は間もなく蒸発する運命にある、とエヴァンジェリンは考えていた。

 

「やるじゃないか嬢ちゃん。一本取られるとは思ってなかったぜ」

 

 しかしエヴァンジェリンの考えを裏切る声が響いた。その声はまさに軽快で、楽しそうな声だった。思わず顔を上げたエヴァンジェリンの瞳孔は僅かに広がっていた。そしてその視線の先にあるダンテの顔には、苦痛はおろか汗一つなかった。むしろ皮肉るような笑みを浮かべている。まさにエヴァンジェリンの神経を逆なでするような笑みだ。

 おもむろにダンテが片手を掲げる。それを見たエヴァンジェリンがとっさに後ろへ跳んだ。ダンテに突き刺している断罪の剣を手から切り離し、新たに剣を精製する。ダンテの手には、屋根に刺さっていたリベリオンが戻っていた。

 瞬間、二人は動いていた。まさしく一瞬の事だった。

 

「……なぜ生きている? 並の魔物では耐えられんはずだ」

 

 エヴァンジェリンは鋭い眼光を放つ。

 

「なに、ちょっと体が丈夫なだけさ」

 

 しかしダンテは相変わらず笑みを浮かべている。その笑みのすぐ下。ダンテの首元には断罪の剣が、エヴァンジェリンの首元にはリベリオンが突き立てられていた。互いに皮一枚。寸前のところで刃は止まっていた。

 

「それよりもどうする、まだやるか? 吸血鬼のお嬢ちゃん」

 

 ダンテの言葉でエヴァンジェリンの視線が更に鋭くなる。先ほどまでの激しい剣戟とはまた違った、全身を刺すような空気。常人なら意識が吹っ飛んでしまうようプレッシャーが、たった数秒の間広がる。

 その無言の戦いを、ふいに破ったのはエヴァンジェリンだった。彼女は舌打ちをするとダンテの首元から断罪の剣を離した。ダンテもそれに習いリベリオンを引いた。それを合図にしたかのように、ダンテの腹を貫いていた断罪の剣が音を立てて砕け散った。

 

「もちろん止めを刺すまでだ」

 

 そこで言葉を切ると、エヴァンジェリンは右腕を振った。右腕から断罪の剣が離れ、離れた剣がダンテの首をスレスレのところを通り抜ける。

 断罪の剣は少し離れたところにいた召喚魔の一体の眉間に突き刺さった。ダンテが振り返ると、召喚魔が断末魔を上げながらみるみる蒸発し、周囲の召喚魔が凍結してゆくのが見えた。

 

「……と言いたいところだが、今はあの雑魚どもを蹴散らすのが先だ。鬱陶しい事この上ない。貴様以上にな」

 

 エヴァンジェリンの両手が、再び冷気を纏う。相手はダンテではなく、麻帆良学園の空を覆い地上を跋扈する無数の召喚魔である。どうやら凄まじい速度で次々に召喚されているようだ。

 

「俺としてもそっちの方がありがたいね。嬢ちゃんとやり合う理由は無いしな」

 

  ダンテが同意する。なぜなら彼としては悪魔ではないエヴァンジェリンと戦う理由はないし、世界樹へ向けて進んでいた召喚魔の群れから一部が――それでもか なりの数だが――迫っていたからだ。さながら黒い波のようである。そして召喚魔以外の魔の気配が辺りに立ち込め始めたからだ。

 

「心配するな、こいつらが片付いたら相手をしてやろう」

 

 エヴァンジェリンが呪文を唱え始める。

 

「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック『来たれ、氷精、闇の精。闇を従え吹雪け常夜の氷雪』」

 

 魔法を行使するための始動キーと、精霊に呼びかける呪文を唱える。すると彼女の右手に黒い塊が現れる。その塊は凝縮された魔力。そしてエヴァンジェリンが右手を突き出すと、その魔力の塊が放たれた。

  その魔法は『闇の吹雪』。強力な吹雪と暗闇を発生させる魔法である。巨大な渦となり猛烈な吹雪を伴ったそれはまさに黒く渦巻く竜巻だった。この魔法はもと もと破壊力が高いが、エヴァンジェリンは通常よりも多く魔力を篭めていた。そのため放たれた魔法の大きさと威力は、桁が違っていた。

 闇の吹雪が召喚魔の群れを直撃した。猛る闇と吹雪のうねりが召喚魔を襲う。余りの力に召喚魔が原形を維持出来ずにバラバラになっていく。それでも闇の吹雪は直進を止めることは無く黒い波を突き抜ける。

 結果、召喚魔の波が真っ二つに裂かた。

 

「凄いな、これならこっちの出番はなさそうだ」

 

 ダンテがその光景を見てエヴァンジェリンに拍手と共に言った。彼女が振り返ると、ダンテは屋根の端に立っていた。どうやら吐血も止み、腹の凍傷も治っているようだ。

 

「そういうわけで俺は下にいる奴らをもらうぜ。上は譲ってやるよ。アディオス、子猫ちゃん」

 

 ダンテはウインクをするとエヴァンジェリンの方を見たまま、背中からダイブした。そしてダンテは、それまで自分がいた所が爆発する光景を見た。

 彼は知らないことだが、エヴァンジェリンのフルネームは『エヴァンジェリン・アタナシア・キティ・マグダウェル』であり、彼女はキティと呼ばれるのが大嫌いだった。

 そしてダンテは知らないまま、キティと呼んでしまったことで、彼女の癪に障ってしまったのだ。

 落下中のダンテは、先程まで繰り広げられた剣戟を思い返していた。あの時は本気を出しておらず、加減をしていたとはいえ一撃を貰うとは思ってもいなかった。しかし彼は腹を貫かれてしまった。それは彼女が加減をすべきではない存在だったということである。

 それに彼女は吸血鬼らしい。長いこと裏稼業であるデビルハントをしてきたダンテは初めて本物の吸血鬼と会った。もっとも、実際はダンテの興味が向いていなかっただけであり、ダンテが悪魔をハントするように吸血鬼のハントを生業とする者はいる。

 ダンテは久々に面白い仕事が回ってきたと喜んでいた。吸血鬼を初めて見て、それはなかなか手応えのある戦いが出来たからだ。そしてなにより地面に降り立った彼を迎えた悪魔だ。これまでいた魔族の影を投影して作られた半人形半肉体の半端者ではなく、自身の肉体と自身の意志で動く悪魔だ。

 悪魔達はダンテが降り立った瞬間、赤く光る双眸を更に輝かせ狂喜していた。2000年前に魔界の人間界侵攻を阻んだ逆賊の血を受け継いだ者であり、ダンテ自身も封印されていた魔帝ムンドゥスの復活を阻止した大敵である。

 悪魔達にとってこれ以上ない仇だ。彼を、往年の仇を血祭りにあげるべく悪魔達はじりじりと距離を詰め、手にした刃や爪牙を構える。

 その時、おもむろにダンテが片手を前に出して――クイッと手招きした。

 

「Come on,WIMP!」

 

 それを聞いた悪魔達の希薄な理性は弾け飛び、無数の赤い目が一斉に襲い掛る。四方八方。逃げる場所はない。しかしダンテは銃のセーフティーを外し、不敵な笑みと共に構えた。

 

「It’s show time,BABY!」

 

 

「チッ」

 

 ダンテが屋根からダイブした後、エヴァンジェリンは派手にえぐられた屋根を見て舌打ちをした。

 エヴァンジェリンはダンテが罪の剣の一撃に耐えられるとは思っていなかった。断罪の剣に斬られても生きているとすれば、それはエヴァンジェリンと同じく不死であるか、高位の悪魔と同等以上の力を持った存在くらいである。

 不死という存在は極稀であり、得てして強大な力を持っているものである。彼が学園結界に入ってきた時の反応は、かつて学園に進入したことがある爵位級の悪魔よりも弱いものだった。そのため彼女はダンテを不死でも高位の悪魔でもないと考えていた。

 しかし実際に生きているということは、ダンテはエヴァンジェリンの考えていたものより厄介な存在だということになる。少し面倒な事になったな、とエヴァンジェリンが考えているとまたもや背後に誰かが降り立つ気配を感じた。

 

「なんだジジイ。指揮をとらなくていいのか?」

 

 振り返るとそこには白い装束を着た頭が異様に長い老人がいた。この老人は麻帆良学園の理事長である近衛近右衛門である。彼の後ろにはアルビレオ・イマと近衛詠春がいた。近右衛門は長く伸びた顎髭をさすりながら近付いてきた。

 

「いやの、おぬしを捜しにきたんじゃよ」

 

 エヴァンジェリンは近右衛門の表情が普段の飄々としたものでも穏やかなものでもない、険しいものであることに気がついた。後ろの詠春も同様に険しい顔になっていた。ただ一人アルビレオ・イマだけがいつもの含みのある笑みを浮かべていた。

 

「なにがあった? 説明しろ」

 

 なにかあったのだろうと察したエヴァンジェリンの語感も厳しくなっていた。近右衛門は髭をさするのを止め、一拍置いてから口を開いた。

 

「ふ む、此度の一件がこちらの世界と向こうの世界だけの問題では無くなってきたようでな。厄介なことに魔界が動いているようでな。人間に危害を加えないよう設 定が施されている召喚魔とは違う、純粋な魔族が出てきていてな。奴ら世界樹を目指しているようじゃ。そこでおぬしの力を借りようと思ってな」

 

 本格的に面倒な事になってきたな、とエヴァンジェリンは辟易した。しかしちょうど近右衛門に聞きたいことができたところだ。かえって好都合だったかもしれない。

 

「ふん、まあ協力してやらんこともない。だたし、あの世界樹の下……いや、この学園に何が隠されているのか吐けばな」

 

  エヴァンジェリンは近右衛門から、召喚魔たちは向こうの戦いから漏れた流れ召喚魔と事前に聞いていた。当初は真剣に聞かず聞き流していたせいもあって何も思わなかったが、こんこんと湧き続ける召喚魔を見て違和感を覚えた。なぜなら、向こうの戦いから漏れた流れ召喚魔にしては数が多すぎるのだ。

 更に魔界が動き出したという事実はそれに拍車をかけた。麻帆良学園に封印されていたエヴァンジェリンの耳にも、魔界の状況は少しではあるが入っていた。魔界の帝王の復活と封印についてもだ。もっとも、魔帝ムンドゥスを再度封印した張本人のダンテのことは知らなかったようだが。

 魔界という世界は強力な主導者がいなければ、一つに纏まって動くはずはない。なぜなら、例外はいるものの多くの魔界の住人である悪魔は、理性よりも本能のもと動くものだからだ。そのために魔界では日夜熾烈な殺戮と生存競争が繰り広げられている。

 そのような荒くれどもを纏めていたのが魔帝ムンドゥスだった。しかし、その絶対的な支配がなくなった途端に魔界の纏まりなどなくなり、今日まで終わらない覇権争いが続いていたはずだ。

 だが今魔界が動いているという。それは、魔界が何者かの意志により纏まり、悪魔達は何者かの意志により世界樹を目指しているということを意味している。

 わざわざ魔界が世界樹の為だけに動くとは考えられない。考えられるとすれば、魔界の狙いは世界樹にある何かだ――とエヴァンジェリンは考えていた。また、召喚魔達の召喚主である“完全なる世界”も同じものを狙っているとエヴァンジェリンは踏んでいた。

 

「この学園に何が隠されているか……か。むぅ」

 

 ところが近右衛門は言おうか渋っていた。そんな中、アルが口を開いた。

 

「……キティ。あなたもかつては確かに普通の女の子だったはずですよね」

「突然何を言い出す? 昔話が地雷なのは、知っているよな?」

 

 それを聞いたエヴァンジェリンは眉間を寄せ、明らかに不快な表情を見せた。しかしアルは構わず続ける。

 

「あなたを、今のあなたへと変えてしまった人物について、なにかご存知ですか?」

「知るか。おおかた不死の秘宝にでも嵌まった頭の悪い魔法使いだろう」

 

 抑揚のない、淡々とした答えを返したエヴァンジェリンは、そこで一拍おいて一瞥もなく続けた。

 

「もう殺した。600年も前の話だ、興味もない」

 

 興味もない、というのは本心だろう。しかしどこか別の感情があるようにも見える。そんなエヴァンジェリンの横顔を見ながら、アルが問い掛けた。

 

「……その人物が死んでなかったとしたら?」

 

 エヴァンジェリンが怪訝な表情を浮かべる。横を向いていた顔をアルへと向けた。そのアルは表情を変えず続けた。

 

「そして、その人物が今もなお生きてあそこにいる、としたら?」

 

 エヴァンジェリンは怪訝な表情のままアルへ反論する。

 

「死んでいなかった……だと? それはオカシイぞ。もともと不死を得て

いたのならば、私を使って研究する必要がない」

 

 彼女の指摘はもっともであり、矛盾を突いていた。しかしアルはあることを一つ付け加えた。

 

「ではその人物が『不死』ではなく、『不滅』だったとしたら?」

「それは……」

 

 『不死』ではなく、『不滅』。それは肉体的な死を迎えようとも、その『存在』は生きているということである。

 『不滅』は肉体的な死を迎えると、魂はそのままにもう一度生まれることや、既存の肉体に入り込むことで可能である。そしてその人物が『不滅』であるなら、エヴァンジェリンが昔に殺したとしても今もなお『存在』が生きているということは否定できなくなる。

 エヴァンジェリンがそれを察した様子を見ると、アルは核心に迫った。

 

「そして“紅き翼”も20年前討伐に失敗し、10年前かろうじて封印に成功しました――ある一人の英雄の犠牲によって」

 

 エヴァンジェリンが長年待ち続け、ネギが追いつづけた存在。アルがナギ・スプリングフィールドの事を言っていることは明白だった。

 一方、エヴァンジェリンは目を見開いて衝撃を受けていた。それは先程の『不滅』と『ナギ・スプリングフィールド』の二つから見えてくる答えに至ったからだ。

 

「そうです。あそこに眠っているのは、始まりの魔法使い『造物主(ライフメイカー)』です」


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