動物の耳や尻尾を持つ種族たちが暮らす、地球とは隔絶した異世界フロニャルド。
そしてこの異世界フロニャルドでは興行として『戦』が行われている。
『戦』はこちら側の世界でする殺し合い、略奪、侵略などの生死が関わってくるものではなく、スポーツ精神に則ったアスレチック競技により戦争の勝敗を決するというもので、安全かつ楽しいものだ。
ビスコッティ共和国領主ミルヒオーレ・フィリアンノ・ビスコッティはガレット獅子団領国に『戦』で敗戦を重ね、窮地に瀕していた。そこで最後の手段である勇者召喚の儀を行いシンク・イズミを召喚する。勇者シンクはフロニャルドの『戦』の内容知り、快くミルヒオーレに協力する。
シンクの活躍によりビスコッティ共和国に勝利をもたらし
さらに遥か昔に封印されていた魔物を討伐するというフロニャルドの危機ともいえる事態も救って地球へと帰還した。
それからしばらくして、勇者シンク・イズミがフロニャルドに帰還するという報告をミルヒオーレから受けたガレット獅子団領国代表領主レオンミシェリ・ガレット・デ・ロワは神妙な面持ちで会議の席に着いていた。
会議室はレオを中心にして円状の長椅子と机で形成されている。
その向こう側からこの重苦しい空気を破るように1人の老人が口を開いた。
「ビスコッティ共和国に勇者が召喚されて以来我らガレット獅子団領国は『戦』に負けを重ねている。もしこのような事が続くようであればレオンミシェリ閣下の名声に傷がつく事になりましょう」
レオはその老人の発言に眉をピクリと反応させるが、沈黙を守ったまま話を聞いている。
反論がこないと察した老人達は立て続けに口を開く。
「ここ最近『戦』の負け続きで領民は些かながら不信感を抱いているという情報も耳にしております」
「この状況を見て何もしないというのはいささか理解出来ませぬ」
老人達はこれまでのうっぷんを晴らすかのように各々意見をレオに向けて投げつける。
「元老院の皆さん、少し落ちついて下さい」
レオの側近で近衛隊長のビオレ・アマレットが老人達をなだめるが、老人達はフンッと鼻を鳴らしてビオレの事を無視し再び口を開く。
「レオンミシェリ閣下。どうか我らが前々から述べていた提案をお受け頂きたい」
「どうか早急にご決断を……」
今まで沈黙を守っていたレオが決心したかのように組んでいた腕を解いた。
「わかった……」
そう重々しく呟く。
「元老院の言い分はごもっともじゃ。前々からの提案であった勇者召喚の儀をガレット獅子団領国領主レオンミシェリ・ガレット・デ・ロワの名において行う」
そしてこの日。
ガレットに初めて勇者召喚が行われた。
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