LEGEND DAYS   作:ひゃっほー

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11話 人材確保

ガウルの提案によりアーサーはガウルとナナミと模擬戦をする事になった。1対2の模擬戦だ。

3人は湖の上に丸太が何本も刺さっている水上アスレチックを中心にしてお互いに距離を取り向き合っている。

「そろそろ始めるか!」

 

ガウルは意気揚々にそう言うと輝力武装獅子王爪牙を展開する。ガウルの四肢に蒼雷の爪が出現した。

 

ナナミはレオから神剣エクスマキナを預かっている。エクスマキナを棒状に変化させて構える。

 

「アーサーさん! 本気でいきますよ!」

 

 

「ああ、僕この模擬戦では弓しか使わないからー」

 

アーサーは思い出したように弓を掲げてそう言った。

 

「関係ねーな! ぜってー剣抜かせてやるよ!」

 

「私もガウルに賛成!」

 

アーサーの弓しか使わない宣言でなめられたと判断したのだろう。

 

(なめてるわけじゃなく、パスティヤージュ対策なんだけどね)

 

「じゃあ、頑張って剣抜かせてみなよ」

 

クスっとアーサーが笑う。

 

「「上等!!」」

 

開始と同時にガウルとナナミが弾丸の如く飛びだす。

 

(中々の踏み込み、でも甘いな)

 

アーサーは弓を構え、紋章術レベル1を発動。ガウルとナナミに向けて矢を穿つ。

アーサーの放った矢は木が根をはるように分かれ四方八方から2人を取り囲み、空中で停止している。

 

ガウルは矢を気にせずにこちらにそのまま突っ込んでくる。矢がガウルを敵と認識し、一斉に発射された。

ガウルに当たる寸前、ナナミが気迫のこもった声を発する。

 

「水神掌!!」

 

ナナミが放った紋章術で全ての矢が撃ち落とされた。

 

(即興のタッグにしてはいい連携だね)

 

「スキだらけだぜ!!」

 

ガウルが輝力武装で必殺技を放つ。

 

「轟雷斬!!」

 

蒼い雷の斬撃が獅子の爪の如く迫る。

アーサーは瞬時に弓を引き絞り地面に向けて放つ。

丸太が粉々に弾け飛び、足場を破壊する。それによってガウルの紋章術は明後日の方に飛んでいった。

 

お互いに別の丸太に着地する。

 

「あぶないあぶない」

 

全く焦りの色を見せないアーサー。

 

「ち! 外したか……」

 

ガウルは必殺の間合いから技を躱された事に舌打ちをしていた。

 

すると棒状のエクスマキナを持ったナナミが空中から襲いかかった。ナナミの足にはスケートのような輝力武装が展開されている。あの輝力武装で水面を自在に動けるようだ。

(輝力って凄いなー)

 

内心そんな事を考えながらしっかりとナナミの攻撃を躱す。

だが、背後にガウルが迫っていた。

 

「とった!!」

 

ガウルの爪がアーサーを切り裂く瞬間、ガウルが横に弾け飛んだ。

 

「……え?」

 

ナナミがその様子を見て驚いている。数メートル吹き飛んだガウルを尻目にアーサーがナナミの無言の質問に答える。

 

「気づかなかった? ナナミちゃんが空中から攻撃してくる寸前に矢を放っといたんだ。矢の軌道を設定してね」

 

アーサーは舌を出してイタズラっ子のような笑みを浮かべている。

つまりナナミの攻撃を躱しただけではなく、2人に気づかれないように矢を放ち、時間差でガウルに当てたということだ。

 

それを見ていたジェノワーズや兵士達は驚愕の空気に包まれていた。一番驚いているのはジェノワーズの中でも弓を使っているベールだ。

 

(何なんですか〜あの人! 気づかれないように弓を放つ時点でおかしいのに……さらに矢の軌道操作まで! 一番最初の紋章術でも矢を増殖させてましたし……弓の技量も反則級です〜!!)

 

 

「いってー! やりやがったなアーサー!」

 

吹き飛ばされたガウルがすぐさま立ち上がる。どうやら腕の防具破壊だけで済んだようだ。

 

「ガウル、自分がチャンスだと思った時が一番無防備なんだよ。それにしっかり防御できてるじゃない」

 

アーサーはそういって弓を構える。

 

「凄いよ! アーサーさん! 私全くわかんなかった!」

 

ナナミはアーサーの技量を見て興奮しているようだ。

 

「おっしゃー! まだまだいくぞ!」

 

「オッケー! ガウル! 最低でも一撃入れよう!!」

 

ガウルとナナミはキラキラと眼を輝かせ、楽しそうにアーサーにむかっていった。

 

「どんどんきなよ。僕の弓の紋章術の実験台になってもらうからね〜」

 

アーサーはそういって黒い笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

結果から言うと、アーサーの完勝だった。

自由自在に弓を操り、2人を全く寄せ付けなかった。矢を増殖させ、軌道を操り、接近戦の得意なガウルとナナミが近づく事すら出来なかった。途中から弓の紋章術をほぼものにして遊んでいるようにもみえた。結局2人はアーサーに一撃入れることも出来ずに完全敗北をきしたのだ。

 

2人は荒い息をしながは、悔しそうに倒れている。

3人の模擬戦を見終わった兵士達は訓練に戻っている。

 

すると、ジェノワーズが意気揚々にこちらに歩いてきた。

 

「おーお前ら、ちょっとは参考になったか」

 

息を整えたガウルがジェノワーズの3人に話しかける。

 

「そうやなー。アーサーが強すぎてちょっと引いたわー」

 

ジョーヌが笑いながらいう。

 

「確かに。でも……ガウ様もナナミもよく頑張った」

 

ノワールが2人の頭をよしよしと撫でる。

 

アーサーはそんなほのぼのとした光景を見て笑う。しかし何故かベールが下を向いていた。

 

「どうしたの? ベール?」

 

ノワールが心配そうに尋ねる。

 

(あの子は確か……ジェノワーズの弓を使う子だよね)

 

するとベールがアーサーの前に来た。ウサギの耳がぴょこぴょこしている。

 

「どうしたの? ベールちゃん」

 

アーサーも心配そうに尋ねる。みんなベールを心配そうに見つめている。

 

するとベールが呟いた。

 

「アーサーさん…………わたしに弓を教えて下さい!!」

 

「いいよ」

 

簡単に返事をする。ベールは驚いたように顔を上げた。

 

「何となく察するに、僕の弓の技量を見て自信無くしちゃったかな?」

 

意をつかれたようにベールの瞳が揺れた。

 

「……はい……わたしも弓には自信があったんですけど、剣士のアーサーさんの方が圧倒的に技量が上だったからちょっと悔しくて……」

 

ベールは涙目になって言った。

 

アーサーはベールの頭に手を乗せて撫でる。

 

「ベールちゃん。僕はベールちゃんよりずっと年上なんだ。その分剣も弓も鍛錬してきた。僕の技量はもう伸びない。もう伸びしろがないんだ。でもベールちゃんはこれからいくらでも強くなれる。弓なら僕が教えてあげる。だからそんなに落ちこまないで? ね?」

 

アーサーは困ったように撫で続ける。

 

「それにベールちゃんは僕より弓の才能あると思うよ。あと…………」

 

ベールの耳にだけ聞こえるように顔を近づける。

 

「これ秘密なんだけど……僕新しい部隊の隊長を任されるんだけど……少数精鋭の部隊を作りたいと思ってるんだ。それで提案なんだけど、そこにくる気ない? 勿論ジェノワーズは続けてくれて構わないよ? ちょっと実力のある弓兵が欲しくてね」

 

アーサーはニコッと笑ってベールに言った。

ベールは少し考えてから決心したようにアーサーを見る。

 

「……入ります。いえ、入れて下さい。私も強くならないといけないですから」

 

ベールは力強く頷いた。

 

「そっか……嬉しいよ。これからよろしくね? ベール」

 

それを見ていた皆んなが内緒話の内容を聞いてきたがアーサーがベールにウィンクする。それを見たベールが笑みを浮かべる。

 

 

「秘密です〜」

 

 

なんだかんだブーブー言っていた皆んなもベールが元気を取り戻したので喜んでいる。

 

そんな様子を見つめて笑うアーサー。

 

(これで弓兵の確保は出来たなー。後は何人か歩兵を見て部隊の編成だな。レオにも人材の報告しないと……)

 

 

 

 

アーサーはこれからの事を楽しみにしながら次の訓練場に向かうのだった。

 

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