LEGEND DAYS   作:ひゃっほー

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14話 月下の魔剣

風月庵を訪問し、【魔物】について聞いたアーサー。今は何故か寝付けず、満点の星と月を見上げながら外の空気に身体を触れさせていた。

 

(綺麗だなー。皆んなにも見せてあげたかったな……)

 

円卓の騎士の皆んなや国民を思い浮かべる。

 

ふっとアーサーは軽く笑うと背後の気配に話かける。

 

 

「それで? 僕に何のようかな?」

 

「気づいてたでござるか……」

 

背後にいたのはヒナだった。ヒナはクスッと笑った。

 

「何か物思いにふけっていた様子でござるから、いきなり声をかけるのはどうかと思ったでござるが……気配は消していたつもりだったでござる」

 

アーサーはヒナをチラリと見て言った。

 

「どうかな? 本当に気配を消そうとしてたならわからなかったかもね〜」

 

「それで何を思い出していたでござるか?」

 

ヒナは首を傾げて尋ねる。その仕草がいつものダルキアンとは程遠く見えて、可愛いと思ってしまったアーサー。

 

「ヒナってそういう仕草も出来るんだね。普段のダルキアンって感じじゃなかったから少し可笑しくって」

 

アーサーはケラケラと笑ってそう言った。ヒナは少しムスッとした。

 

「一応、拙者も女にござるよ」

 

「怒んないでよ……可愛いよヒナ」

 

アーサーは綺麗な笑みを浮かべてそう言った。それを聞いたヒナは少しだけ頬を染める。

 

「お世辞でも嬉しいでござるよ」

 

(お世辞じゃないんだけどね)

 

「それで僕が何を考えてたんだって話だよね? 少し前の事を思い出してたんだ。こんな綺麗な夜空を皆んなにも見てもらえたらねってね」

 

「アーサー殿の昔の話は少し興味があるでござる」

 

ヒナは少し真剣な顔をする。

 

「ヒナの頼みなら話てあげるよ」

 

アーサーは笑顔で過去の自分の事を話した。ヒナはアーサーの話を黙って聞いていた。レベッカが皆んなに話した事に補足をつけながら。

 

 

「…………とまあこんな話だよ。一応今の向こうの世界では伝説になっているらしいけど、大した話じゃないよ」

 

アーサーは夜空を見上げてそう言った。

 

「楽しくもあり、悲しい話でござったな」

 

ヒナはそう言ってアーサーを見つめる。

 

「うん。でも……今のこのフロニャルド、この世界が好きなんだ。レオやガレットの皆んな、それにビスコッティの人達、もちろんヒナやユキカゼ、イスカも。僕はこの世界が大好きだよ。なんとなく分かるんだけど、僕のこの身体はここに来た時から死ねない身体になってるみたいなんだ。だから僕は……この世界を一生見守っていくつもりだよ。皆んながいなくなるのは寂しいけどね……」

 

アーサーは少し悲しそうな笑みを浮かべていった。ヒナはそれを聞いて自身の事を話し出した。

 

「拙者……いや私も死ねない身体なんだ。兄者も同様に。私の故郷は魔物によって滅ぼされた。その魔物を倒した時に大量の魔物の血を浴びてしまった……それから兄者と私は不老不死になってしまった。私はその時に魔物の血の影響なのか成長が止まってね。まあ仲間の一人のおかげで今くらいには成長する事はできたから彼には感謝している」

 

ヒナはそう言ってアーサーを見る。

 

「そうなんだ……なら僕と一緒だね。ならこれからも仲良くしてね。お互い長生きだし。ていうか喋り方が違ったから驚いたけど、そっちが素なの? ヒナってそもそもビスコッティに来る前何してたの?」

 

「そうだね……こっちが素なのかもしれないな。それともこっちがいいでござるか?」

 

ヒナはクスッと笑った。

 

「んー……どっちでもいいかな。ヒナが好きな方で喋りなよ。それでビスコッティに来る前の事なんだけ……

 

もう一度アーサーがヒナに尋ねようとした時、2人は途轍もなく邪悪な気配を感じた。

まるで深海に閉じ込めらたような圧迫感が襲う。イスカもそれを感じたのか、ヒナの大太刀を持ってこちらに走ってくる。

 

「兄者! この気配!」

 

「ああ、魔物だろうな……それも飛び切り凶悪な」

 

ヒナもイスカも冷や汗を流している。

 

「気配は少し遠くの森の方だね。それで……どうするの?」

 

アーサーも少し険しい顔で2人に尋ねる。

 

「もちろん行くでござる! 兄者! アーサー! 急ぐでござるよ!」

 

ヒナはイスカから大太刀を受け取ると途轍もない速度で駆け出した。それを追うよにアーサーとイスカがついていく。これでも充分早いのだが……

 

「2人とも僕の後ろを走って」

 

アーサーはそう言って2人を自身の後ろに下がらせると、風の精霊の加護を使う。

 

風王結界《インビジブルエア》を発動。

 

アーサーの前に風の結界が張られ、空気抵抗がなくなり、3人の走力はとんでもなく跳ね上がる。

 

「凄いでござるな……」

 

「ああ、そうだな! よし!このまま突っ切るぞ!」

 

3人は森を一気に駆け抜ける。邪悪な気配を感じた場所に近ずくにつれ、あの押し潰されそうな圧迫感が増していく。

 

そして、凄い速さで到着したその場所に3人は立ち止まった。

 

少し開けた森の中心に禍々しい気配を放つ剣が突き刺さっていた。

「あれだね……」

 

アーサーがそういうと、2人も頷く。

 

その剣の刀身は闇の様に黒く、赤黒く光っている。さらに血管の様なものが脈をうっており生き物のようだ。

 

「なんて禍々しい……今まで見た禍太刀の中でもあれ程のは見た事がないぞ……」

 

イスカはごくっと息を飲んでそう言った。

 

「とりあえず早く封印した方がいいね。午後ヒナに封印は習ったから3人でやろう」

 

アーサーは漆黒の禍太刀に近ずいていく、ヒナとイスカも後に続く。

 

禍太刀を中心に三角形の陣を築き、その頂点にアーサー、ヒナ、イスカがそれぞれ立つ。そして3人は懐から封印札と封印刀を取り出す。

 

「よし! やるぞ!」

 

「「ああ!!」」

 

3人は一斉に禍太刀に封印を放つ。強力な封印術が禍太刀を包み込む。

 

「やったでござるか……?」

 

ヒナがそう言って禍太刀の方に歩み寄ろうとした。

 

「ヒナ!! まだだ!! 下がれ!!」

 

イスカがそう叫ぶ。

 

瞬間!!

 

禍太刀から漆黒の瘴気が立ち上る。それはそのまま人型に形を変えて禍太刀を引き抜くとヒナを攻撃した。

 

アーサーはイスカが叫んだと同時に動き出しており、腰の聖剣を引き抜くとヒナを攻撃した斬撃を弾き返した。

 

金属同士がぶつかり合う甲高い音が森に木霊する。

 

ヒナを抱えて、アーサーはイスカの方に下がる。

 

(重っ!! 何あの黒い奴!!)

 

アーサーはこめかみから垂れる冷や汗を拭う。

 

すると人型になった禍太刀は黒い霧からハッキリと姿を形成した。

「何だ……あれ……」

 

3人はその姿を見据える。

 

黒い全身甲冑に身に纏い甲冑のまわりには黒い霧が漂っている。顔をよく見ると漆黒の長髪に無機質な黒い瞳。病的な程白い肌。顔は整っているが、まるで死人の様だ。

 

 

「お前は一体何者だ……!!」

 

イスカが絞り出す様に尋ねる。黒い騎士はこちらを一瞥するとこう言った。

 

「我が名はグラム。最強の魔剣にてこの世界を滅ぼす為に顕現せし最悪の存在なり。こちらでは我を禍太刀と呼ぶようだがな……」

 

 

グラムはそう答えると漆黒の剣をこちらに突きつけた。

その刀身は月の光を飲み込む程に鈍く黒く輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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更新が遅くて申し訳ないです。

これからも頑張っていくのでよろしくお願いします。
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