LEGEND DAYS   作:ひゃっほー

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7話 気持ち

アーサーは今、ビスコッティ共和国に訪れていた。

理由は昨日のゴタゴタに関しての件だ。

 

メンバーはビスコッティ側から領主ミルヒオーレ・フィリアンノ・ビスコッティ。

ミルヒオーレの秘書アメリタ・トランペ。

勇者シンク・イズミ。その友人のナナミ・タカツキとレベッカ・アンダーソン。

 

ガレット側からは領主のレオンミシェリ・ガレット・デ・ロワ。

レオの側近であるビオレ・アマレット。

そしてガレットの勇者アルトリウス・ペンドラゴンだ。

 

和やかな雰囲気で始まったこの会は現在、驚愕の空気に包まれていた。

それはアーサーの自己紹介の時に起こった。

各々軽い自己紹介を終えアーサーに順番が回ってくる。

 

「えーっと昨日の『戦』で知っていると思うけど改めてアルトリウス・ペンドラゴンです。アーサーって呼んでね」

 

するとシンクが思い出したかのようにアーサーに質問する。

 

「アーサーさんは地球側の人ですよね?出身はどこなんですか?因みに僕はイギリスと日本のハーフでベッキーは在日イギリス人、ナナミはイギリスのクウォーターです」

 

シンクはこと細やかに説明した。

 

「僕は……今はあるのかな?一応ブリテン王国って所なんだけど……」

 

アーサーがそう答えるシンクとレベッカが固まってしまった。

全員が怪訝そうに2人を見る。

 

するとレベッカが大声を出して立ち上がった。

 

「ブリテン王国!!?? そしてアーサーって名前って事はもしかしてもしかして!! あのアーサー王伝説のアーサーですか!!??」

 

「やっぱり!? 僕もベッキーに貸してもらったファンタジー小説を呼んでアーサー王については軽く知ってるけど、そのアーサー王さんなの!!?? やっぱり!!」

 

2人の興奮する姿を見てミルヒオーレが尋ねた。

 

「レベッカさん。そのアーサー王伝説というのはどういう物なんですか?」

 

「わしも気になるな。教えてくれんかの?」

 

レオも気になるようだ。

 

 

ベッキーはアーサー王について語る。

 

「えーっとアーサー王伝説っていうのは1人の騎士のお話なんですが、簡単に説明すると……」

レベッカはそういうと流暢に語りだす。

岩に突き刺さった剣を引き抜いた者が王となるという伝説があった。

多くの力自慢や剣士が挑んだが誰も抜くことは出来なかった。

しかしある日アーサー少年が試みると剣はいとも容易く抜けた。

アーサーこそ伝説の王と見込んだ魔術師マーリンの協力もありアーサーは王として頭角を現し、仲間を得てブリテンの王となる。

美しい妻グィネヴィアを得て、仲間とは上座下座の無い円卓で会議を行う公平な政治を行った。

それ故にアーサーの仲間は「円卓の騎士」と呼ばれた。

しかし円卓の騎士の一人、ランスロットとグィネヴィアは 恋仲になりアーサーとランスロットは争うことに。

一方アーサーは自分の姉と不倫関係になり子供(モルドレッド)まで作っていた。

この子供は長じてアーサーと敵対。

国は乱れアーサーは争いの中で倒れる。

最期の時にアーサーは聖剣エクスカリバーを本来の持ち主たる湖の精霊に返すべく湖に投げ入れる。

湖の中からエクスカリバーを持つ手が現れ三度剣を振ると湖に消えた。

 

「とまあ、こんな感じです。簡略化しましたが、伝説になるくらい凄い人なんです!! それにとても強い騎士だったっていうのも沢山の本に書いてありました」

 

レベッカはキラキラした瞳でアーサーを見つめる。

 

「大体あってるけどところどころ違うかな? 僕は不倫なんてしてないし」

 

( それに……伝説うんぬんの前に君達とは関わっちゃいけない存在だ。)

 

 

レベッカの話を聞いていた全員は驚きが隠せていないようだった。

 

「只者ではないと思っていたが……まさか一国の王だったとはこのわしも驚きじゃ……」

 

「私もです」

 

流石のレオンミシェリも驚いているようだ。ビオレも肯定する。

 

「へー凄い人なんだねー」

 

ナナミもアーサーの伝説に驚いたのか尊敬するような目でアーサーを見ている。

 

「でも……一体どうしてアーサーさんはフロニャルドに召喚されたのでしょうか?」

 

ミルヒオーレが呟く。

 

アーサーは笑みを浮かべて答えた。

 

「僕は1度死んだ。ずっと暗闇の中を漂ってたんだ……でも僕は今ここにいる。このフロニャルドに召喚されて新しい人生が始まった。素性の知れない僕を温かく迎え入れてくれたレオ閣下やガレットの皆んな。それにビスコッティの人達。間違えて召喚さてしまったのかも知れないけど僕は幸せだよ。……でもそれ以上に僕は優しい皆んなと関わっちゃいけない存在だと思う。僕は自分の国を守るために何十万という人達を殺してきた。友と呼べる存在も。自分の子供も。だから…この手は血で汚れきってしまっている。この世界の人達があんまりにも優しいから僕は忘れてしまっていたようだ……だから……」

 

アーサーの瞳から一筋の涙がこぼれる。

 

 

「あれ……どうして泣いてるんだろう……ごめんね? 少し頭を冷やしてくるね」

 

アーサーはそう言って部屋を出て行った。

 

「アーサーさん」

 

シンクがアーサーの後ろ姿をみて呟く。

 

空気が重苦しい。

 

するとレオが黙ってアーサーの後を追いかけて行った。

 

 

「レオ様が行ったんなら大丈夫だね」

 

ベッキーがレオの後を目で追いながら行った。

 

「ここはレオ様に任せよっか」

 

ナナミが続く。

 

アーサーが思っていた事を話してくれるなんて思わなかった。あの笑顔の裏で何を考え、何を思っていたか。

 

アーサーに何かしらあると気づいていたビオレはそっと心の中で呟いた。

 

レオ様頼みましたよ……

 

 

 

 

 

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