橙はなぜ生まれたのですか?
藍はなぜ橙を創ったのか。
そんなシリアスなお話。


1 / 1
自己解釈が多いかもです。苦手な方はお帰りください。
シリアスが嫌いな方もお帰りください。


橙はなぜ生まれたのですか?

「藍様。橙は式神だと聞きました。なぜ橙は生まれたのですか?」

唐突に私の式神である橙はそう言った。

人間ならば神が貴方に命を授けなさったのですよなどと言えるが、

式神は違う。なぜなら私が創ったからである。

「私がお手伝いしてくれる人がほしいなぁと思って、橙を創ったんだよ」

「じゃあ、橙にも式が創れるのですか?」

「それは…」

”なぜ橙は生まれたのですか?橙にも式が創れるのですか?”

その質問達は私の昔のかすれた記憶のビジョンを呼び覚まし、その苦痛に私は倒れた。

 

…私はなぜ橙を創ったんだ・・・?そもそも式には何か核となる”何か”がいるはず。

その何かをつかもうとした途端、私は眩しい光と聞きなれた声に包まれた。

 

「もう…藍ったら、急に倒れて。式が解けちゃったのかしら?」

目を覚ますと、布団の上で私はあおむけで寝ていた。

「いえ、そうではないようです。紫様。」

実は私も式神であり、紫様にお仕えする身である。

「橙のことかしら?」

「そのようです。今朝、なぜ橙を創ったのかという質問をされまして」

紫様はため息をついた。

「藍。式神を創るには何か核がいることは貴方も知っているはず。

 橙の核は貴方にとってとても重要なものだったわ。

 そしてそれはあなたと橙に異常をきたしているのよ」

私と橙に…?

「それは核が橙に影響していると?」

私は一番恐れていることを質問した。

「ええ、そうよ。あなたは早急に決断しなければならないわ。あの時のように」

紫様は私の額に指をあて、私の過去を暴き補填した。失われた過去を。

 

遠い昔、動物好きだった私は一匹の猫を溺愛していた。

黒い体毛に太陽の光が綺麗に反射するので、橙と名付けた。

だがそんな楽しい日々は続かなかった。

私は式、妖の類だ。橙はその妖気に耐えられず、どんどん衰弱していった。

さまざまなことをした。薬を飲ませたり、心身を清める泉にもいった。

だが、延命することにしかならず、より橙を苦しませることとなった。

私は私を憎んだ。自暴自棄になり、ただ茫然と打ち込まれた式に従う中身のない式神となった。

そんな時紫様は、こう言った。

「あなたは今ここで立ち止まるの?限界は今かしら?

 私の友達にも限界なんてないって常識を覆そうとした人がいたわ。

 最初は私も無理だと思ってたわ。だけどどんな困難にもくじけず、戦い続けた彼女は、

 最後の最後に限界を超えたわ。だからあなたにもできるんじゃない?」

私は必死で橙を助ける方法を探した。だが妖気を抜く方法などなかった。式にする以外は。

しかし式にするには問題があった。式の核である。

橙の核となるもの、つまり思いのこもったものはなかったのだ。

でも、橙は助けたい。だから私は私の記憶を使った。橙の核に。

 

流れる川のような記憶は途絶え、私は現実にふり戻された。

「橙は今記憶の混濁を起こし、妖気が式に侵食してるわ。これ以上は無理よ。」

「核である記憶にも妖気があったというのですか!?」

障子越しに橙の声のうめき声が聞こえる。

「誰もやったことのないからイレギュラーは存在するのよ。

 橙を殺しなさい。それとも新たな最適解をもう一度作りなさい」

橙を殺す。その言葉は鋭く私に突き刺さった。

私は必死で考えた。橙のいる庭までの数メートル、あらん限りの記憶をたどった。

「藍…様。橙は…」

橙は助けを乞うように私にすがる。その声が昔の記憶と重なり、焦りが増す。

殺す、殺す、と私の中で同じ言葉がりんしょうする。

「ごめんね。橙。式が壊れちゃったみたい。ちょっと横になってね。」

橙は素直にあおむけに寝て、目を閉じる。

…ごめんね。橙。

「少しは主を頼ったらどうなの?」

後ろから、紫様が私を蹴飛ばす。

「ですが橙は…」

「全く。変なところは従者ぶって。

 私が橙の記憶をとりだすわ。あとは任せる」

「わかりました」

その言葉は私に0.1%の決断をさせるのに十分だった。

紫様の手が橙の体に触れ、そこから淡いオレンジの光が漏れだす。

橙の記憶は丸く小さな雛のようだった。

「今までありがとう。信じてるよ」

 

「…私は?」

「あなたは橙。私の式よ」

「なぜ橙は生まれたのですか?」

その言葉は繰り返される。

 

 




ちょっとぐだぐだしちゃったかもですね
感想お願いします

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。