光に溢れる日常に、二人の少女がいた。
しかし、ある時突然に光が消える
「私が、私が悪いの。だから、気にしないで?」
そう言って、少女は闇の中に消えていった。
─────
声が、聞こえる。
はぁ!?マジ意味わかんない──
どこからか、声が聞こえる。
てーか、アイツまじウザくない??──
だんだんと、大きくなっていく。
じゃあ、ハブにする?あっはっはっ──
「はぁっ、はぁっ、はぁっ....」
気が付くと、走っていた。
どこに向かっているのか。
いつから聞こえていたのか。
昼休みになった時だったと思う。
走り出して、とにかく声の聞こえないところを目指して。
どこに行けば、聞こえなくなるのか。
それは、全く分からない。
ここじゃない何処かへ。
今、外へ出たのかもしれない。
中靴のままだ。
でも、それも気にならない。
とにかく、声から逃げたい!
「ん....?おい、美少女が走ってきたぞ!?」
誰か、いる。
ここは....体育館裏?
「君、大丈夫?」
そこに、二人の男子生徒がいた。
ネクタイの色から、二年生だろう。
一人は、髪の長い、爽やかな生徒。
もう一人は、ワンブロックを入れた、いかにも不良といった目つきの悪い生徒。
その内、爽やかな生徒が、私に声をかける。
「あ、えっ。だい、大丈夫です」
声が震える。
「....そっか。あ、お茶飲む?口つけちゃってるけど....」
「ね、ね!君、一年生??」
二人が一度に、話しかけてくる。
パニックを起こしている、今の頭では、二人に返事を返せない。
「あ、え、え....」
「日生、ちょっと黙ってて」
日生と呼ばれた、目つきの悪い生徒は、ションボリしながら廃棄用に置かれていると思われるイスに座り込む。
「俺は、二年の神澤心優。あっちの見た目悪い奴が、同じクラスの前田日生だ。まぁ、ゆっくりでいいから、何があったのかを、話せる程度で話してくれないか?」
神澤先輩の話し方は、私が落ち着くのに充分な時間をくれた。
「あ、いや、体育の時間にジャージを、忘れたのかもしれなくて、走ってきたんです」
どこからか、声が聞こえてくる。
なんて、言えるはずもなく。
今は、誤魔化す。
「そっか。とりあえず、ジャージは見てないな。ごめんな、力になれなくて」
あなたが謝る必要はないですよ。
この人は、きっといい人なのかもしれない。
でも、話す気にはなれない。
「そう、ですか。お邪魔してごめんなさい」
神澤と、前田。
どこかで、聞いたことがあるような気がした。
「ま、俺達とあんまり長く居るもんじゃないよ。とにかく、教室に戻ったら?」
どう言う意味なのだろう。
「わかりました。ありがとうございました」
私は、教室へと歩き始めた。
「あ、そうそう。良かったら、名前。聞かせてくれないか?」
そうだ、まだ名乗っていなかった。
「一年の、栄花 咲(えいか さき)です」
「ん。なんか良く分からないけど、どうしてもジャージが見つからなかったら、相談しにきてね」
....。
この人は。
「....ありがとうございます」
それから、声が聞こえることはなく、五時間目と六時間目を過ごした。
もしかしたら、幻聴だったのかもしれない。
部活に所属しているわけでもないので、私はまっすぐ帰路につく。
きっと、幻聴だ。
学校が始まって、まだ1ヶ月。
疲れて、幻聴が聞こえただけ、そうにちがいない。
私は、部屋に戻ると、親友に貰ったシュシュを手に持つ。
高校に入学してから、髪を切った。
それから、シュシュを使う機会がなく、棚に置いておいた物だ。
「ねぇ、菜摘。私、疲れてるんだよね」
これね、私とお揃いなのっ!──
「えっ!?」
まさか....そんな。
気のせいだと、そう決めつける。
「咲ー、ご飯よー」
「うん、わかったよお母さん」
ご飯を食べて、ゆっくり寝たら。
きっと何もかも、元通りだ。
そうにちがいない。
今回は咲ちゃん視点のお話です。
次は、前田の話。
そして、月見里さんが出ます。