鮮やかに残酷で優しくも冷たい・・・
一点を除いて。
月灯がさす夜の元にその『漆黒』は動いていた。
人の形をしているその『漆黒』は行き交う人の中の異常を一つ演出していた。
『漆黒』と裏腹に表裏一体と見る景色を変えてみれば同じ場所同じ位置に『純白』は存在していた。
『純白』は行き交う異常の中の一つの平常を演出していた。
ただ『漆黒』は何も持たず『純白』は左手に刀を持っていた。
『漆黒』はふと顔を見上げ『純白』は右手を刀に添え、
振り抜く。その一挙一挙の動作は軽くしなやかに美しく無駄の無い究極に近い。周りの異常はその平常に牙を向き本性を表していく。
『漆黒』が見上げた先に無数に降るであろう雨粒が一つ、一つと映りだす。矢先音と共に降りしきる雨、水玉が『漆黒』の頬にぽたり、ぽたりと滴り流れる、雨とは水とは何一つ交わらない唯一無二の透明、だが赤い。
目からこぼれうるモノは赤かった、頬を伝う流れにのり他を赤に染め上げる、しっとりと赤く熟れた舌を伸ばし赤を舐めとり、卑屈にして妖艶な瞳は魅了してやまない『闇』を秘めていた。
『純白』も雨にうたれる、足元は滑りやすくたやすく走れば転ぶそのように流れを作る地面に『純白』は逆らい異常を斬り続けた。
白いコートは主が一心に斬り続けている最中なお純白を保っていた。周りを見渡せば赤く紅い水滴が地を覆わんとばかりに広がる。いつしか雨は振り変わり血しぶきを降らしていた。
『漆黒』の跡をついてくる人影が二つ、一つは大きく、もう一つは小さい影、白衣を着こなす茶色い頭髪の女性と白銀の長髪を
ただ『純白』には誰もついてはいなかった。
それでも『純白』は構わない。
『純白』が体験した中で大きなものを失ったこれくらいの事は何でもない。
一心不乱に降り続ける数は減らず増えていく一方、重苦しい一撃一撃を防ぐ、いつしか攻守は変わり『純白』は異常に圧倒されていった。
『漆黒』は歩みを止め、後をついてきた二人と止まる。右手を覆うように黒い霧が巻き上がり晴れ覆っていた右手に刀だけが残った。
黒く映る鞘からは真っ黒な刀身が、だがその刀身には紅い目の龍が描かれている。一振り『純白』が振った一振りとは違う、優しく辛辣で素早く無情な斬撃。
周りの平常は恐れ悲鳴をあげるが『漆黒』にとっては
ふと、口角が少し上がりにやける。
『純白』は異常の攻めを受け止め流し斬り重ねる、幾時も何度も何度でも油断していない時こそ注意を払わなければならない、たった一つの反応の遅れ刹那の一撃から連なる無数の連撃。
『純白』は汚れ裂けやがて赤へと変わりつつある。
地に手を起く、全身には傷が渡り赤い赤い流れが頬をつたり地に一滴と堕ちる。
負の感情が芽吹き樹形図を形成するのは容易い、だが芽吹きは起きず消えていく負の感情。
その眼差しに異常は怯える、むしろ負の感情は異常のほうに芽吹き始めた。
そして先手は異常にあがった。
『純白』は汚れを知り、『漆黒』は汚れを無くす。
そして世界は変わる。
飛びかかった異常の伸びた腕は『純白』に届きはしない、宙を舞った腕を虚ろな目で見つめる異常もまた舞っていた。
『漆黒』が『純白』と交わるとき、世界は変わる。
両者を隔てていた壁は厚い、だが『漆黒』にとっては薄皮一枚の厚さ、放った斬撃で薄皮を裂き異常を切り裂く事はどれほど安易なものか『純白』が理解するには程遠い。
裂け目から飛び出した影は二つ、一つは白黒紫と色鮮やかな鎧を纏う者、もう一つは白銀に白いメッシュが入った者。
鎧を纏った者は両手に持つ鎌で首を刈り取る、刃を引っ掛けそれをスーっと引くだけでまるでプリンのように首を落とす、多少の抵抗感は『純白』の傷ついた姿を見て感情は変わり気に留めなくなる。
白銀の少女は何も無い手のひらに薄らとできた氷の膜を異常に触れていく、途端凍りつき動きは止まる。少女は怖い、自分の能力がいつか人を傷つけないかと、だが『漆黒』の表情を見て切り替える。流れた涙はもう二度と動かない時に対しての哀れみだった。
『漆黒』は近づく異常に対し正面は刀で切り伏せ周りからは足元から黒い槍で串刺しにしている。まるで異常は無理矢理襲いかかり殺されるのをしたげられるように向う、眼球は割れたかのように血が溢れ瞳孔は猫のように爬虫類のように細く鋭い怒りを宿す『漆黒』にとってそれは息を吸うと等しい動作だった。向かう異常は縦に斬り裂き、側面から来ようものなら鞘で頭を砕き刀で体を二つに別ける、哀れみもない無に異常は斬られた続けた。
そして『純白』ちは左腕に蒼い文字と共に白に腕が染まり体に触れる、逆再生のように傷は癒えて疲れもなくなる。それは異常からしたら迷惑な事だろう、三人の加勢と共に後一歩で仕留められず自力で傷も癒されれば嫌でも襲いかかる。目先に光る流れ、『純白』はただ横に刀を振った、ただ一時の静寂川が流れるようにさらさらと斬撃は通り過ぎた。異常が気づいたのは遠のく意識に『純白』が無傷に戻り刀を振るっているという最後の景色。
いく時流れたかは誰も知らない、その四人は周りを赤く染め上げたバラバラの骸が凄惨さを物語る。
ただ骸だけがあれば良かった、何もなく黒ずんだ世界にできた赤そこに向かい蠢く影。
これは『漆黒』の物語、『純白』の傍観。
『純白』は刀を鞘に戻し、周りに半透明状の刃を出現させる。蒼い文字は頬に刻まれ左目を囲むように広がる。
『鎧』を纏った女性は呆れるように鎌を握り締める、光を帯びるように刃が輝き背中の羽を円上に展開させる様はクジャクのよう。
『白銀』は足元が凍り紅い結晶を作る、結晶が集まり一つの龍を創り出す。少女に寄り添うように近づく龍、透明と紅のコントラストが妖艶さを際立たせ、目から流れる涙もまた紅かった。
『漆黒』は黒いコートをなびかせると腰のホルスターから二丁の銃を器用に回し腕を交差構える。
つり上がった口角の笑は絶やさず自信が溢れるその眼差しで叫ぶ。
『はじめよう・・・・・イカれたパーティのなぁ!!』
響きわたる銃声と共に物語は始まる。
END
はい、お初にお目にかかる方もそうでない方も初めまして。
寧音(しずね)と申します。
かなりマイペースに書いたりしています。長続きはしないと思います。
長編物の予告らしきものですがいつか出るであろう本編の主要人物を四人出しました。
キャラ説明も本編のほうでやりますがいつになるのやら・・・
方向性がいまいち見えない、その先も見えません。
いつか本編が投稿されましたらニヤリとする要素ぐらい入れれば良かったですかね・・・
かなり書いた気がしますが意外と短いものですね。
誤字などがございましたらお教え願えると幸いです。
ちょっと終わりがアレですね。