《火星の地球人》だった男のインフィニット・ストラトス   作:匿田 名作

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第二章最終話です!
どうぞ!


mvt.5 血の記憶

昨日あった学年別トーナメントは全試合中止になった。

なんでも、ボーデヴィッヒのISにVTシステムというシステムが組み込まれていたそうだ。

 

VTシステムとは、過去の『ヴァルキリー』すなわちモント・グロッソにおいて優秀な成績だった人たちの戦い方を完全に模倣するシステムだ。

 

僕の見解通り、彼女に積まれていたVTシステムのオリジナルは、その大会で優勝した織斑先生のものだった。

完全なトレースだけあって、かなり強かったがしょせん模倣品。本物には劣る。

それに助け船もあったから今回は簡単だった。

 

 

 

「―――――オレンジ色・・・」

 

 

 

 

ふとあの忌々しい顔が頭に浮かぶ。

 

オレンジ色

 

確かにあの声はあいつのものだった。

ハイパーセンサーを使ってやっと見えるくらいの遠距離から狙撃し、ボーデヴィッヒを助けた張本人。

 

なぜボーデヴィッヒを助けるような真似をしたのか?

なぜこの世界にいる?

なぜIS学園に来た?

 

 

なぜアセイラム姫を僕から奪っていった・・・?

 

 

 

 

 

 

 

「スレイン?どうしたの?もうすぐSHRの時間だよ?」

 

横から清香に声をかけられる。

そんなに深刻な顔をしていたか?

 

「?なんだか昨日から元気ないね・・・?

 まぁ、そりゃああんなことがあってからだったら仕方ないことだけど・・・」

 

「いや、清香。僕は大丈夫だよ。

 いつの通りのスレイン・トロイヤードだよ」

 

「・・・?変なスレイン」

 

失敬な

 

っと、先生が入ってきた。

 

「えーっと、それでは今日は転校生を紹介します

 それもなんと!四人目の男子ですよ!!」

 

「「「「えぇえええええ!!?」」」」

 

僕はデジャヴを感じると同時に一つの結論に至った。

『あいつ』が来ると。

 

「それでは入ってきてください」

 

「――――はい」

 

その声は忘れるはずもない、

 

オレンジ色のものだった。

 

 

 

 

 

「今日からこの学校に通うことになった界塚伊奈帆です。よろs―――――

 

 

 

 

「動くな・・・!」

 

 

 

 

 

そいつの声を聞いた僕は半ば衝動的に拳銃の銃口を貝塚伊奈帆に向けていた。

こんどはあの時のように打ち損ねたりはしない・・・ッ!

 

 

「ちょ!?ちょっと!?スレインくん!!?落ち着いてください!!?

 は、早くその銃を下してください!!」

 

「ぃ・・や・です・・・」

 

「絶対に・・・嫌です!!

 僕はこの男を殺さなければならない!!」

 

「ひっ・・・!」

 

 

あぁ、感情がとめどなくあふれてくる・・・

もう止まらない。

止めたいはずなのに、アセイラム姫の笑顔が脳裏に焼き付いて

それが僕の感情を助長するように高ぶらせていく。

 

「スレイン・トロイヤード、お前は何か僕に対して勘違いを―――

 

「うるさいッ!!!」

 

もうこいつの話を聞く気なんて僕にはない。

僕が考えていることは、目の前のこいつを殺すことだけ。

 

「アセイラム姫を・・・アセイラム姫をあんな目にあわせたお前を・・・お前を・・・ッ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何事だッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不覚にも織斑先生によって界塚伊奈帆を殺し損ねた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トロイヤード、今回の件は反省文だけでは済まないぞ。

 わかっているな・・・?」

 

「・・・はい・・・」

 

場所は職員室。

僕は織斑先生から小一時間ほど説教を受けていた。

それはそうだ。

世界で有数のISを動かせる男子が、同じ境遇の者を射殺しようとしたのだから。

 

「・・・トロイヤード、お前は私に――――

 いや、『この世界の住人』に隠し事をしていただろ?」

 

「っ・・・やっぱり知ってましたか

 もう隠すつもりはないですけど、聞きたいですか?僕の話」

 

織斑先生はもう何もかも知っているようだった。

そのうえでこうして僕を呼び止めているのだろう。

 

僕はきっと今までずっとこのことを隠す『ふり』をしてただけだったんだ。

誰かに気づいてほしくて、ずっとふりだけしてたんだ。

それが今回の気の迷いの原因だと思う。

まだ気持ちに整理はついていないし、当然アセイラム姫にも会えるなら会いたい。

でもかなわない願いだとも理解している。

それが貝塚伊奈帆にすべての原因があるわけではないことも。

 

「――――いや、追って聞かせてもらう。

 クラスメイトには先ほどの件についてはうまく言っておいてやろう

 感謝しろよ?『火星騎士』スレイン・トロイヤード」

 

「・・・!・・・はい」

 

「あ、それと・・・

 界塚とは、難しいかもしれんが仲良くやってやれ。

 あいつには敵意があるようには思えない」

 

「・・・善処します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スレイン、本当のことを教えて?」

 

「だから、さっき織斑先生が話してたでしょ?」

 

清香が執拗に僕のことについて聞いてくる。

だからなんだっていうんだ・・・

 

「絶対にスレイン嘘ついてるでしょ!

 だって顔見ればわかるよ『僕は嘘ついてます。本当のこと話したいです』って」

 

「ないからないから」

 

さっきからこんなのばっかでもう夕飯時だというのにいまだにねばり続ける。

そんなに僕の話が聞きたいのか?

 

「ふ~ん・・・

 だったらさ、織斑先生がいってた『戻った記憶』について少し話してよ」

 

「うっ・・・」

 

清香がしばらく長話しないうちに結構狡猾な尋問の仕方を覚えたようだ。

何があった・・・

 

「へぇ~・・・そんなに教えられない内容なの・・・?

 それともやっぱり嘘?

 

 ってどうしたの?急に真剣な顔になって」

 

でもいつかはきっと話さなきゃいけないことなんだ。

貝塚伊奈帆へ明らかに敵意を向けていたこと。

今まで暗黙の了解だった『もとから専用機持ちだった』ということ。

 

そして、僕の過去の鮮烈な血の記憶のこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「清香は――――

 

 

 ――――火星と地球が戦うということが想像できますか?」

 

 

 

「え?」

 

 

僕は彼女にすべてを話すことにした。

 

 

 

 

 

 

「――――僕は今までに何人もの人を殺してきました。

 恐らくこの世界とは全くの別次元で、地球と火星の戦いの中で。

 

 そして僕は地球人であって火星の人間です。

 火星ではそれはもうひどい待遇でした」

 

「スレイン・・・」

 

「アセイラム姫は、そんな中唯一僕の心の支えになってくれた人でした――――」

 

 

このあともずっと僕の長い長い過去の話が続く。

けれどそれを清香は一度も笑ったりせずにしっかり真剣に聞いてくれた。

この世界の人たちにとってそれはただの妄想のようにとられてしまう話を。

 

 

 

「スレインは、

 

 スレインはずっと大変な思いをしてきたんだね・・・」

 

清香が瞳にいっぱいの涙をためてこちらを見つめる。

 

「そんな顔、しないでください・・・

 清香には笑顔が一番似合ってますよ」

 

そういう僕も涙を流している。

 

「ぅう・・・ありがと、スレイン」

 

僕の言葉に笑顔で返してくれる清香。

その笑顔にこちらも今できる精一杯の笑顔で返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、やっぱり僕は今が途方もなく愛おしいんだ。

この世界での一分一秒が、僕を幸せにしてくれているんだ。

そのことに過去は関係ない。

 

今僕が見るべきもの。

それは、

 

 

 

 

 

今と未来だけだったんだ。




ふぅ~
どうでしたか?

これでいよいよ第二章が終わります。


それにしても・・・


シャルルが性別ばれしていないだと・・・!?
どうする作者!!?


―――えっとここからはいつも通りの定型文。

誤字、変なところ、思うところがありましたら感想まで!

ではでは!!
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