ハッピードリップ―小さな喫茶店の小さい幸せなお話―   作:REKYU

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3話 ~ハプニングのあとに~

イヤァァァァァァァァ!!

―――バターーーーンッ!!―――

壊れるんじゃないかって勢いで扉が閉められる。これ俺が悪いのか?まあ女性にお見せするようなものでもなかったのは事実なんだ。多分俺が悪い…

とりあえずサクッと着替えないと…

 

 

――――3分後―――

着替えは終わった、こういうピシッとした服はなんか落ち着かないな…

やっぱり俺はユニフォームが一番しっくりくる。まあ…もう2度と着ることはないんだが。…さて

「呼んだ方が…いい…よな?」

見苦しい姿をご披露してしまったわけだが、それでずっとギクシャクしてってのはいただけない。1人が雰囲気悪かったりなにか様子がおかしいと周りは伝染していくものだ。ここでキッチリ終わらせよう。幸い足音は聞こえてない。と、いうことはまだドアの向こうにはいるんだろう。……よし

「あの…すいません。着替え終わったんで…入っても大丈夫ですよ」

恐る恐る声をかける…。………すると…

 

―――ガチャッ―――

「…………………………………」

無言で入って参りましたぁ~。…どうしたらいい?まず謝ることだよな!そうだよな、いや絶対そうだ。

「えと…さっきは俺の不注意でごめんなさい、なんか適当にドアに貼り紙でも貼れば良かったですよね。ホントすいません!!」

90°のお辞儀を披露、野球部直伝の直角謝罪…ふっ…決まった。

顔をあげて様子を伺うと…オタオタしたウェイトレスさんが。慌ててる姿も素敵とか言えないよな。でも胸が高鳴ったのは言うまでもなかった。

「えっ、あ!いや!私のほうこそ確認もとらないで入ったからこんなことになってしまったわけであって!決して…あな…貴方が悪いわけではないですよ!」

そう言って貰えるのは凄くホッとする。が、顔が心なしか赤い。さっきの事故を思い出してしまったんだろうか?…ちょっとこっちまで恥ずかしくなってきしまう。話を進めた方がいいな。

「んっと、俺は橘 洋介っていいます。バイトの経験なんてないですけど宜しくお願いします!!……えと…先輩?」

名前がわからないから先輩としか呼べなかった、も少しさらっと言えたらカッコよかったのかもしれない。くそぅ…

「私は岸夜 奈々(きしや なな)って言います。大学生です!これから…宜しくね!洋介くん!」

うぉ…洋介くんなんて言われるの初めてだ…しかもとびきり綺麗な女性にだ…野球ばかりやってて女っ気がなかった俺にとって凄まじい破壊力だ…っ。

「き、岸夜先輩ですね、宜しくお願いします」

改めて先輩の名前を呼ぶと、ちょっと複雑な表情をし始める。顔がまた赤くなる、怒ってるのか…なんなのか…。

「えっと…岸夜先輩じゃなくていいよ…?そんな堅苦しい呼び方されてもこっちもなんか畏まっちゃうというか…ね?ほら、下の名前とかでも…いいし…?それに先輩は慣れないし…」

上目遣いは反則っす、ズルいっす。そこまで言われたら先輩なんて口が避けてもいぅまいよ…。だが…そしたらなんて言えばいいんだ…?むむむ…?

 

~脳内妄想タイム~

「わかった。じゃ宜しくな!奈々!」

「えっ…あっうん…宜しく…」

 

馴れ馴れしすぎるな、論外だ

 

「わかったよ、じゃあ宜しくね!奈々ちゃん♪」

「……うん、宜しく」

 

チャラい、これは軽い男にしか見えない、没だ

 

「わかったでござる!奈々殿!」

「ぬ?よ、宜しくでござるよ…?」

 

どこの時代だ、ありえん、切腹

 

~妄想タイム終了~

 

ダメだ…!俺はどうしたらいい!後半に至っては崩壊してる!色々ともうヤ、バ、す、ぎ、る!!!

悶々と考えてる…チラッと先輩のほうを見ると

「…………♪」

えっなんで機嫌良さそうなんすか?えっ…えっ?理解できない、なにをしたんです俺?いやそんなことより呼び方!どうにかしないと

あっ…そういや…宗也って部内で【そうやん】って呼ばれてたよな…?これなら気軽だし…あんまり違和感なさそうか…?多少馴れ馴れしいかもしれんがねーわって程でもない…筈!だって部内でそういう呼び方あるんだもん!おかしくないってこと…だよな!?…じゃあ…行くぜ…!

 

「わかりました…じゃ、ななやん…で」

さぁ…これならどうだ…?表情を…伺うと…――

……えっ?目からハイライトきえてますけど!?なんかやっちまったか!?

「あーあ…呼ばれちまったか…」

なになになになに!?雰囲気が変わってるぞ!ダメなの!?ダメなの!?

「あの……あのー…」

「ななやん…ななやんって…そりゃ堅苦しくはしないでって言ったのに…やんって…期待しちゃうじゃん…」

ブツブツブツと呪文を唱えておられる。確実にミスったくさい。

どうしよ、もう普通にさんでいいよな、もうそれしか思い浮かばない。

「奈々…さん、奈々さん。大丈夫ですか…」

声が届いたのか…ようやく呪文を唱えるのをやめてくれた奈々さんが

「まあ今はそれでいいか…宜しくね、洋介くん!」

手を差し出してくる、なんとか及第点は頂けたようだ。うっしうし

「ええ、宜しくお願いします、奈々さん」

差し出された…細い、白い、柔らかい手を、俺は…マメやタコだらけの手で返し、握手をした。

 

 

 

さてと…自己紹介も済んだし呼び方も決まったし…

「そろそろ……お店に戻りましょうか?仕事も覚えないといけないし…」

そろそろ行かないとマズイ気がしてきたし、マスター一人ってもの混んでたら大変だろうし……

「あっうん…行こう…ってちょっと待って!」

ん?どうしたんだろうか…?

「えっと…ね?その…えと…うーんと…」

モジモジしだした…トイレっす?

「なんですか?」

「うぁ…その…えっと…アドレス交換…してくれる!?」

スマホをずいっと出して、リンゴのように真っ赤になりながら…アドレス交換を求められました。……可愛すぎて抱き締めちゃいそうなんですけど。

「あのね!ほら、困ったときにバイト変わったりとかの連絡も取れないと不味いし、持っといて損はないでしょ!直接会うのも限界があるし、ね?」

うーん…まあ、それもそっか…別に教えたくないってことでもないから全然構わないんだし。

「わかりました、こっちこそ、お願いしますね」

これなら不測の事態があっても平気だろう。

「ありがと♪じゃ、電話帳送るね!」

向日葵のような明るい笑顔を向けられると、ホント教えてよかったなぁって思えるな。

「よし!ありがと洋介くん!それじゃ店に戻ろうか♪」

「はい、宜しくお願いしm……!?」

 

―――ギュッ―――

 

最高の笑顔を向けられたまま、手を握られて俺は、店に戻るのだった。

不意討ちって卑怯だよな…

 

 

~夜,洋介side~

「まだドキドキしてるわ……」

俺の手にはまだ握られた感覚がハッキリと残っている。

おかげでバイト、集中どころじゃなかったんだけど…。

一応ちゃんとメモったりはしたけど、見直さないと何一つわからないくらいには重症だ。こんなんでバイトちゃんと出来るのか俺?

「でも…やっぱ…なにかあるんだよな、あそこ」

まだ会って間もない関係だけど、大事にしよう。俺を絶望から救ってくれた、恩人のために、自分が変わってくために……

「よっし…寝るかぁ」

 

 

布団に潜り、奈々さんに握られた感触を感じつつ、洋介は安らかな眠りにつくのであった…

 

 

 

 

~夜,奈々side~

「……うふふ♪やった……洋介くんの電話帳GETしちゃった…!」

ベッドに入るなりニヤニヤが止まらない、自身もそれはわかっている。わかっている……のだが。

「ニヤけが止まらないよぉ…!」

助けて貰った時から、洋介くんをずっと意識している。一緒に働けるってなったときは凄く嬉しかった。だって私を助けてくれたヒーローと一緒にいれるのだから。着替えを覗くハプニングもあったが全然嫌な気持ちはなかった。寧ろドキドキしたくらいだ。アドレスを聞いたのはちょっと強引だった気がするけど頑張ってよかった。

「こんな感覚…初めてだなぁ…」

一緒にいて心地よい、ずっといたくなる感覚。ずっと生きてきて味わうことのなかった感覚である。これがなんなのかは私自身、わからないけど…

「早く明日にならないかなぁ~」

そう思えるくらいには、今が幸せなのであった




はい、ついにヒロインがしっかり登場しました!
えっ?話が進んでないじゃないかって?なんのことやら…(震え

ではキャラクター紹介です

岸夜 奈々(きしや なな)
本作のヒロイン(未定)。ドリップで働く大学生の女の子
助けてくれた洋介のことを意識している。言いたいことは基本伝えるが、赤面したり恥ずかしがりと男の子を心を掴む行動を素でやってる末恐ろしい女の子

【挿絵表示】


な、なんと!ヒロインには絵が!ついてます!!
しかも!超!超!超!可愛いです!!
描いてくれましたゼン(リア充駆逐艦)さん!本当にありがとうございます!
皆様、ゼンさんが執筆してる【不完全えふぇくと】も是非ご覧ください!独特の世界観と絶妙な言葉の使い方で素晴らしいものとなっていますよ!!


さてさて…今回はここまでー
これからは3人でキッチリ回していきますよー!



感想.ダメだし,色々と待ってます!
読んでくれた方に感謝を!
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