何とか宣言通り4日以内に投稿出来ました。
それでは第11話、どうぞ。
家に帰ったらフェイトが居るなんて、つい1週間前を彷彿とさせる展開だ。だがその隣のお姉さんは誰だよ。
……あ、もしかしてアルフ? 呼び捨てでいいって言ってたけど、こんなに年上の人だとは思わなかったぞ。一応敬語使っておこう。
「こうして顔を合わせるのは初めてですね、アルフさん。スズです、よろしく」
「良く分かったね、アタシがアルフだって。それと敬語はいらないよ。ウチのフェイトがお世話になったんだ。逆にこっちが敬語使わないといけない筈なんだけどね、フェイトが普通に話した方がアンタが楽だって言うから」
視線をフェイトに向けると、漫画を読んでいた顔を上げて俺達の様子を窺っていた。……それ買ったのか、家にもあったのにな。
「なるほど、じゃあアルフって呼ぶよ。遅くなったけど、よく来たな、2人共」
「うん、鍵の場所教えてもらってたけど、勝手に入って良かったの?」
「この前みたいに外で待たせるのも悪いだろうし、構わないぞ。部屋に荷物置いて来るから、そのまま寛いでてくれ」
「そう言えば夕飯食べたか? まだならウチで食べてくと良い」
「うん、食べていく」
「悪いね、ご馳走になるよ」
茶の間に戻って2人に聞くと、フェイトは食い気味に、アルフは少し遠慮しながら食べていくと返事をもらったので台所に行こうとすると、背中から声を掛けられた。
「その前に1つ、聞きたいことがあるんだ。飯はそれからでも遅くは無いだろう?」
……魔法関連か。
「聞きたい事は、どうして魔法を知っているか……だろ?」
「そうだよ、話が早くて助かるよ」
アルフの警戒が高まったのが分かる。いつでもフェイトを守れるよう、俺を攻撃出来るように備えているのがバレバレだ。
ここはさっさとバラしてしまった方が正解か。
「父さんが遺してくれた知識だよ。魔法の知識はつい最近知ったばかりさ。正直に言えば、俺自身の魔力資質とか適性も大まかにしか知らない。これだけ言えば十分か?」
「嘘は……言ってないみたいだね。だけど分からないのは、一目見た時から感じてたその雰囲気さ。タダの一般人にしちゃ重すぎるプレッシャーじゃないか」
「あ、アルフ……」
アルフの警戒が敵意に変わりフェイトが焦りを見せるが、俺がここで焦っては台無しになる。
「コレは生まれつきの力だよ。色んなモノを理解するっていうか……感じる力。コレのせいで普通の人には気味悪がられるんだけどな」
「……管理局は?」
「もちろん知ってる」
即答した瞬間、アルフはフェイトの壁になるように立ち上がる。
「フェイト、やっぱりコイツは!」
「あ、アルフ待ってよ……!」
「知ってるだけだ。連絡手段の1つも持っていない。俺にあるのは魔法の知識と魔力だけだ」
『ユニコーン』は明かせない。今の状況のまま『ユニコーン』装備の俺となのはとユーノに出会ったら、ロクな事にならないからな。
「…………」
「…………」
「ふ、2人共……」
俺とアルフの睨み合いを、フェイトがオロオロしながら見守っている。
「2人には理由があって管理局に見つからないようにジュエルシードを集めているのは分かった。なら俺に出来るのはこれくらいだ」
手の平にサーチャーを作って渡す。
「俺特製の常時展開型のサーチャーだ。俺が魔力の供給を止めない限り消える事は無いし、リンクすれば衛星型のビットとして自動で攻撃と防御をしてくれる」
「アタシ達に協力するって言うのかい?」
「そうだ。それにジュエルシードを封印出来なくても、探索は出来る」
フェイトは嬉しそうにサーチャーを眺め回しているが、アルフは敵意は無くなったが少し悩んでいる。アルフもアルフで結構素直なんだな。もう少し押せば何とかなりそうだ。……まるで詐欺師みたいな思考だよな、コレ。
「俺が協力するのはフェイトの為だ。放って置けば自分の体調を無視して探し続けて、倒れるのが目に見えている。知ってしまったんだ、見てないフリなんか出来るもんか」
「スズ、アンタ……」
「私そんな無茶なんかしないよ?」
不満気な声が聞こえたが、今は無視してアルフの言葉を待つ。
「……ハァ、分かった。一応信用はしてあげるよ。だけど、もしフェイトに危害が及ぶような事があれば……!」
「分かってる。手紙の事だって忘れちゃいないさ。安心してくれ」
「2人共聞いてる?」
「それならいいんだ。悪かったね、敵意なんて向けちまってさ」
「気にしてないよ。そういうのはもう慣れてる」
「ねぇってば」
そろそろ放置もやめようとアルフに軽く目配せする。……よし、分かってくれたか。
「無視したのは謝る、今から美味い夕飯作るからそれで許してくれるか?」
「ごめんよ、フェイトからしたらそんなに難しい問題じゃなかったんだろうけど、アタシは心配だったんだ」
「……何か納得いかないけど、二人が私の事を心配してくれてたのは分かったから、もう気にしてないよ」
ちょっと拗ねていたけど、すぐに機嫌を良くしてくれた。それどころか俺達の気持ちを感じたのか、嬉しそうにはにかんでくれた。可愛い。
「良かった。夕飯出来るまで待っててくれ。テレビ見ててもいいし、漫画読んでてもいいぞ。フェイトが読んでたやつならウチにもあるし、なんなら全部借りてってもいいぞ」
「ホント? ありがとう」
「……何から何まで悪いね」
「気にしなくていいさ。んじゃ、しばらく待っててくれよ」
そう締めて俺は夕飯の支度に取り掛かった。
因みに夕飯の献立は、フェイトが卵焼きや目玉焼きを気に入ってくれたのを思い出して、かに玉がメインとなった。もちろん大好評でフェイトは言わずもがな、アルフもおかわりする程気に入ってくれた。
やっぱり作った物をおいしいと言って、笑顔で食べてくれるのはとても嬉しい。
◇
翌日の日曜日、俺は昨日買った物を手に月村家に足を運んでいた。その途中、なのはと恭也さんに出会ってしまった。
「あ、えと、お、おはよう、なのは」
「おはよう、涼さん!」
……気にしてないのか? いや、それにしては元気すぎる気もする。
「おはよう、涼。昨日はなのはと色々あったみたいだな?」
「お、おはようございます……」
重い、重すぎる。絶対なのはの泣き顔の件だ。一体どう説明すればいいんだ……。
「もう、お兄ちゃん、あの事ならもう話したでしょ? 涼さんは悪くないんだから、その変な空気はやめてよ!」
「しかしだな……」
こう言うって事はちゃんと説明してくれてたのか。頭が上がらない。
「私は私のやり方でこの気持ちと向き合っていくって、そう決めたの。だから……」
「な、なのは?」
スルッと、ごく自然に、まるでそれが当たり前だという表情で俺の手を握るなのは。
「行こ?」
「……ああ」
もしかして、俺は彼女に弱みを握られているのだろうか。
「くっ、なのはぁ……」
恭也さん、今にもハンカチを噛みしめそうな雰囲気はやめて下さい……。
「恭也様、なのはお嬢様、浜寺様、いらっしゃいませ。浜寺様には御初に御目にかかります。メイドのノエル・K・エーアリヒカイトと申します。こちらは妹のファリン・K・エーアリヒカイトと申します。御気軽にノエル、ファリンとお呼び下さい」
「よろしくお願いします!」
「ご丁寧にどうも。ご存知でしょうが改めて、浜寺涼です」
本物のメイドなんて初めて見たな。テレビの向こう側の事だと思っていたが、まさかこんな近くにいたなんてな。
メイドの2人に案内されて着いた部屋には、すずかとアリサとすずかのお姉さんと思われる人がいた。
「いらっしゃい、なのはちゃん、恭也さん、涼さん」
「先にお邪魔しているわよ」
「3人共よく来たわね。貴方が浜寺君? すずか達から話は聞いてるわ。随分と面白い子みたいね。私はすずかの姉の月村忍、よろしくね」
どこをどう解釈したら、面白いって評価になるんだ?
「どうも、浜寺涼です。よろしくお願いします。……出来れば変な目で見ないでくれると助かります」
やはりと言うべきか、忍さんも普通の人とは違うようだ。最近は普通じゃない人ばかりに出会うせいで、変な威圧感みたいなモノには慣れてしまっていたのが功を奏したな。
「あら、気付かれちゃった。君がどんな人かこの目で見てみたかったのよ。気を悪くしたなら謝るわ」
「いや、別に気にしてはいないんで、構いませんよ」
「そう、なら私はこれで失礼するわ。恭也、行きましょう?」
「ああ」
なるほど、そういう関係か。どうりで恭也さんの機嫌が良さげなわけだ。
「私と恭也は部屋にいるから、何かあったら呼んでね」
「ではお茶をお持ちしましょう。恭也様、なのはお嬢様、浜寺様、何か御希望は御座いますか?」
「いや、任せるよ」
「私もお任せで」
「俺もお任せします」
ていうかいきなり家に上がって図々しく注文なんか出来る筈が無い。
「畏まりました。ファリン」
「はい、了解です!」
綺麗に一礼して去っていくメイド2人と、腕を組んで去っていく2人を見送ってから、俺となのはは椅子に乗っている猫をどかして座る。
「おはよ~」
「うん、おはよう」
「おはよう」
……やっぱり俺の場違い感が凄いな。今更気付いてもどうしようも無いのにな。
「相変わらずすずかのお姉ちゃんとなのはのお兄ちゃんって、らぶらぶだよね~」
「あはは……、うん。お姉ちゃん、恭也さんと知り合ってからずっと幸せそうだよ」
「ウチのお兄ちゃんは……昔に比べて、優しくなったかな。よく笑うようになったかも」
俺が居なくても話はどんどん進むな。うぅむ、居心地が悪いぞ。あえて空気を読まないか……?
「そういえば、今日は俺も誘ってくれて、ありがとう」
「いえいえ、こっちこそ、来てくれてありがとうございます」
「お礼と言っちゃあなんだけど、お土産があるんだ」
リュックから昨日買った物を取り出すと、3人に配る。
「これは……」
「お揃いのブレスレットなんだけど、そもそも家族以外にお土産とか贈り物とかするのって初めてだったから、気に入るかどうか……」
「いいえ、とっても嬉しいです! ありがとうございます!」
「ええ、涼にしてはイイセンスじゃない! ありがとう!」
自分で選んだ事にしておくといいってなのはが言ってたけど、ちょっと心苦しいな。
「えっと、私も貰っていいの?」
「もちろん。日頃のお礼とかも籠ってるから、受け取ってくれると俺も嬉しい」
「……ありがとう、涼さん!」
ちょっと悩んでいたが、ちゃんと受け取ってくれて良かった。
「涼、自分の分はあるんでしょうね?」
「一応買ってしまったんだが……、俺とお揃いなんて嫌じゃないか?」
「何言ってるのよ、アンタも私達の友達でしょうが。遠慮なんてしなくていいのよ」
「そ、そうか……少し照れるな」
頼むからその微笑ましげな視線は勘弁してくれ……。
「ふぅ……ところで今日は、元気そうね」
「え?」
「なのはちゃん、最近少し元気無かったから……」
どうやら2人にもなのはの様子はおかしく映っていたみたいだ。
「もし何か心配事があるなら話してくれないかなって……。二人で話してたんだけど」
「すずかちゃん……」
「でも、無理矢理聞き出すのも悪いかなって思ってたのよ」
「アリサちゃん……」
本当、良い友達を持ったもんだよな。
「まあ今は言えないけど、その内ちゃんと説明するさ」
「って事は、涼も関わってるのよね?」
「ああ、だから心配するなって。何かあれば俺がなのはを守るから」
「涼さん……!」
いけない。言葉を間違えた気がする……。
「へぇ……。なのはの騎士ってところかしら」
「いいなぁ、なのはちゃん」
「ふぇっ!? またなの~!?」
仕方ない、笑って誤魔化すか。
「ははははっ!」
「もう! 涼さんも笑ってないで、もっと言い方ってあるでしょ~」
「ふ、ふふふっ」
偶にはこんな時間も悪くないな……。
◇
場所を家の前の庭に移して猫と戯れていると、ここ数日感じる事の無かったあの感覚がやって来た。
(涼さん! ユーノ君!)
(ああ、感じた)
(ジュエルシードが……!)
今度は大丈夫。気力も体力も完璧。なのはの調子も良さそうだ。
(ユーノ、ジュエルシードの所まで先に行ってくれ。何処かに行ったユーノを探すって理由で追いかけるから)
(分かった! それじゃ行くよ!)
念話で打ち合わせしてから、なのはの膝から飛び降りて走り去っていくユーノ。
「ゆ、ユーノ君!」
「どうしちゃったのかしら?」
「多分、目につく何かを見つけたんだろう。あいつは小さくてすばしっこいからな。俺となのはで探してくるよ」
「私達も手伝いましょうか?」
「いや、大丈夫だ。すぐ戻ると思うけど、よっぽど遅かったら携帯に電話してくれよ」
「分かったわ。2人共気を付けてね」
「ああ、なのは、行こうか」
「うん!」
アリサとすずかを言いくるめて、なのはと共に林に入っていく。
「ユーノ、結界を!」
「うん! ……封時結界!」
その一声でこの周辺が、通常空間とは隔絶される。流石ユーノだ。サポートの腕はピカイチだ。
「よし、『ユニコーン』起動!」
「私も! レイジングハート!」
≪Stand by ready.≫
お互いの相棒に声を掛け、それぞれ白い膜と桃色の膜に包まれ、それを破る形で変身を完了させる。
「ジュエルシードは……あっちか! ユーノは結界の維持、俺達は封印。いつも通りやれば大丈夫だ、行くぞ!」
「「うん!」」
気合の籠った返事を聞いて、俺達はジュエルシードの元へ向かう。向かったのだが……。
「こ、これは……」
「ね、猫……」
「た、多分、猫の大きくなりたいって想いが、成長じゃなくて巨大化として叶えられたんだと思う……」
ある意味、正常に願いを叶えているとも言えなくもないってのが皮肉だな。
「……『シールド』」
左上腕部に盾を展開して、猫の前に躍り出る。Iフィールドも展開済み。その直後、金色の光が襲い掛かってきた。
「涼さん? ……!?」
「これは……魔法の光!?」
来たか……フェイト!
「……ロストロギア、ジュエルシード。頂いていきます」
さあ、ここが勝負所だ。
如何でしたか?
今回はフェイトと魔法の繋がりを作る回でした。
ではまた次回で。