魔法少女と一角獣   作:牡蠣専用鍋

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 こんばんは、牡蠣です。

 申し訳ありません、投稿がギリギリ間に合いませんでした。

 出来るだけ執筆スピードを上げられるように努力します。



 では第12話をどうぞ。


一角獣と力

「邪魔をするなら、倒します」

 

 普段の姿を知っているせいで、無表情にデバイスを向けてくるフェイトに違和感を感じる。とりあえずボイスチェンジャーを起動してから話し掛けよう。

 っていうかこれ標準装備なんだな……。最初から使っていれば色々楽だったんじゃないのか?

 

「待て、こちらに交戦の意思は無い」

「……退いて下さい」

「ジュエルシード封印後、対話に応じるのが条件だ。なに、そんなに時間は取らせない」

 

 少し悩む仕草をしたな? 付け入る隙はありそうだ。まずは俺のサーチャーを通して諭す事からだな。

 

(フェイト、内容はどうあれ、受けるだけでジュエルシードを封印出来るんだ。それに3対1は無理がある。ここは無駄な消耗を抑える為に提案を受けよう)

(スズ!? ……うん、言う通りにする)

 

 よし、話し合いには持ち込めそうだ。

 

「分かりました。でも、このジュエルシードは渡してもらいます」

「こちらの条件に同意すれば構わない。少し待ってくれ、そこに居る仲間に状況を説明する」

 

「なのは、ユーノ。猫の発動させたジュエルシードを封印した後に、話し合う事になった。この子について色々聞きたい事があるだろうが、まずは封印してからだ」

「わ、分かったの」

「う、うん」

 

 ひとまず2人には後で詳しい事を話そう。

 

「待たせたな。発動させたのが大人しい猫で助かった。普通に封印魔法を使うだけで済みそうだ」

「そう。……バルディッシュ」

 

≪Yes sir.≫

 

「ジュエルシード、封印」

 

≪Sealing.≫

 

 黒い斧型のデバイス、バルディッシュの先に集まった魔力を解放することで特に異常も無く封印が完了し、ジュエルシードは格納領域に収納される。

 

「それで、話って何ですか」

「君がジュエルシードを収集しているのは理解した。こちらもソレを収集しているのだが、この際その理由はどうだっていい。この町に被害をもたらさない為に、協力してほしい」

 

 出来るだけフェイトが得に感じるように言ってみたが……どうだ?

 

「少し時間を下さい」

 

(……スズ、どうすればいい?)

(フェイトはどう思ってるんだ? それを聞かないと何も言えないぞ)

(……受けたいとは思う。けど、この人たちが弱かったら協力する必要が無いとも思う)

 

 ……ああ、成程。弱いくせに首を突っ込んで、余計な被害を及ぼさないか心配なのか。

 

(だったら、実力を見せてもらえばいいのさ。フェイトが直接戦って判断すればいい)

(! そうだね)

 

「あなた達の実力が見たいです。弱い人と協力しても、意味ないですから」

「分かった、なら俺が相手をしよう」

 

 右手に『ビーム・マグナム』を展開して交戦の意思を見せると、フェイトもその手に持ったバルディッシュを構える。っと、その前にほったらかしの2人に説明しておこう。

 

「なのは! ユーノ!」

「「う、うん!」」

「これからこの子と戦う事になった!」

「え、ええ!?」

「何で!?」

 

 まあ、いきなり戦うとか言われたらそうなるな。

 

「この子に協力を持ち掛けたんだが、弱い人とは協力出来ないと言われてな。3対1も卑怯だからって事で、俺が1人で戦って実力を証明する」

「だ、大丈夫なの……?」

「心配するな、魔法は非殺傷に設定されている。余程強力なモノじゃなければ問題ない」

「気を付けてよ? 僕達は見ている事しか出来ないけど……」

「分かったよ。2人は流れ弾が当たらないように防御魔法で身を守っててくれ」

 

 不安そうな顔をしている2人の頭を軽く撫で、改めてフェイトと対峙する。

 

「それじゃあ始めようか」

「はい」

 

 初めての対人戦がフェイトか……。気が引けるがそんな事を思っていれば、一瞬で落とされると感覚が伝えてくる。

 

「君の強さは理解した。ならば、こちらから行かせてもらう!」

 

 その言葉と同時にマグナムを構え、抜き打ちの要領で撃つ。だがその一撃は軽く避けられてしまう。

 

「っ! 今のは当たれば危険……!」

「難なく避ける君もやるじゃないか」

「今度はこちらから行きます。バルディッシュ」

 

≪Photon Lancer. Full auto fire.≫

 

 電子音声の後にフェイトの周囲に発生した魔力スフィアから、電気を纏った直射弾が連続で発射される。しかし俺はその場から動く事無く、Iフィールドを展開した盾で全ての弾を着弾寸前に霧散させる。

 電気ということは変換資質持ちか! これは厄介だぞ……。

 

「遠距離は通じない……! なら!」

 

≪Scythe Form.≫

 

 斧の部分が柄と直角になるように開き光刃が展開され、鎌の形体となる。

 

「アークセイバー!」

 

≪Arc Saber.≫

 

 掛け声と共に構えたデバイスを振り抜くと、光刃がブーメランの如く迫ってくる。迎撃しようと後退しながらマグナムを撃つが、変則的な軌道を描くソレには当たらない。それに加えて誘導型であるらしく、追尾までしてくる。全力で逃げるよう『カン』が訴えるが、間に合わずに盾で受けてしまう。その瞬間光刃が『シールド』を噛む。

 

「今」

「しまっ」

 

≪Saber Blast.≫

 

 コマンドにより盾を噛んだ光刃が爆発し、電気を纏っていた影響で一瞬ではあるが受けた左腕が麻痺する。それに気を取られていたせいで、フェイトの接近を許してしまう。

 

「ハァァッ!」

「ぐぅっ!」

 

 振りかぶった鎌が見え咄嗟に痺れたままの左腕を掲げ防御するが、鎌という武器の特性で盾を越えて刃が『ユニコーン』の胸部装甲に当たり火花を散らす。

 

「くっ、やられたままだと思うなよ!」

 

 ガリガリと装甲を削る嫌な音を無視して、頭部バルカンを斉射する。当たりはしなかったが、少しだけ距離を離す事に成功する。

 

「っ! そんな所にも武器を!」

「仕切り直させてもらう!」

 

 さらに距離を稼ぐ為、マグナムの残り3発も全て撃ちこむ。ある程度離れたところで左腕の調子を確かめる。……よし、問題ない。

 

「やっぱり強いな……」

「……………」

 

 だがいくら相手がフェイトだと言っても、ここまでやられて黙っているわけにはいかない。

 

「やられっぱなしは嫌だからな! 『ビーム・サーベル』!」

 

 マグナムを収納し両手に剣を持つと、スラスターの出力にモノを言わせて突撃する。

 

「……バルディッシュ」

 

≪Axe Form. Blitz Action.≫

 

 フェイトの姿がブレたと思うと、視界から居なくなる。次の瞬間、背後に悪寒が走る。感覚に従い薙ぎ払うように右手の剣を振ると、間一髪で斧の一撃を防ぐ。

 

「うおおお!!」

 

 空いた左手の剣を、デバイスごと叩き切るかの如く振り下ろす。

 

「くぅ……ぅぅぅぅううああああ!!」

 

 不意打ちを防がれ追撃を食らったフェイトは押し込まれそうになるものの、全身から魔力を(ほとばし)らせて対抗する。桃色の剣と金色の光を纏った斧がぶつかり合い、周囲にバチバチという音と魔力の衝撃波を撒き散らす。やがて耐え切れなくなると、お互いが弾き飛ばされる。

 拮抗していたのは時間にして5秒にも満たない間だったが、体力、精神力共に大きく削られた。

 

「…………」

「…………」

 

 しばらく一定の距離を保ち睨み合いが続くが、それも長くは持たずに空気が弛緩する。

 

「どうだ? 少なくとも、無能ではないとは証明出来た筈だ」

「はい、あなたの実力は、全部ではないですけど理解出来ました」

 

(この人達を倒すより、協力して集める方がいいと思う)

(そうだな、そっちの方が楽だし早い)

 

 よし、良い方へ向かっているぞ。

 

「ですが、貴方達の持っているジュエルシードを渡して下さい。それが私からの条件です」

 

 そ、そう来たか……。そうだよな、最初からユーノと協力してない時点で気付くべきだった。本来はユーノの落し物なのに、それを知っていて尚且つ秘密裏に回収しようとしている事から、彼を襲ったのはフェイト達……正確にはフェイトを操っている人物なのだろう。

 

「それは……」

「そ、それは駄目だ! ジュエルシードは危険な物なんだ! 何かの目的の為に使うのはいけない!」

 

 ユーノがそう言った事でフェイトが少し残念そうな顔をした後、表情を引き締めた彼女がデバイスを突き付けてくる。

 

「なら私達はロストロギアの欠片、ジュエルシードを賭けて戦う敵同士です。覚悟して下さい」

 

 言葉と共に、強い敵意が向けられる。それを感じた瞬間視界が赤く染まり、あの日見た『NT-D』の文字が浮かび上がる。

 

「な、何!? これはっ……ぐああぁぁぁぁ!!??」

「っ!?」

「りょ、涼さん!?」

「どうしたの、涼さん!!」

 

 全身を締め付けるような痛みに、返事すら出来ない。ただ感じるのは、目の前の(フェイト)を倒すという『ユニコーン』の意思と、壊された枷だった。

 

(スズ、何が起こってるの……? 急にあの人が苦しみ出したんだけど……)

(…………)

(スズ……? スズっ!?」

 

 フェイトが呼んでる……痛い……応え(倒さ)なきゃ……違う、違う!! やめろ、やめてくれ!! い、意識が…………

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

「涼さん……? 涼さん!!」

 

 最初は様子見のつもりだったんだと思う。それで私じゃ出来ないような戦いをした後、私達があの女の子の条件を呑めないと分かると、強い重圧を感じた。その瞬間涼さんの様子がおかしくなった。

 犬の怪物や巨人と戦った時にも見た赤い光が全身から溢れ、真っ白な装甲が足から頭にかけて開いていく。マスクの下から顔が現れ、最後に象徴的な一本角が割れて金色のV字アンテナに変わると、今までのユニコーンとは似ても似つかない姿に『変身』した。

 

「何……アレ……?」

「ぼ、僕にも何が何だか……」

 

 変わったのは姿だけじゃないと、私の『カン』が訴える。それと一緒に嫌な感覚が全身を駆け巡る。

 

「アレは……駄目だよ……。あの子がやられちゃう……!」

「な、なのは!?」

 

 飛び上がった私は涼さん――ううん、アレは涼さんじゃない――ユニコーンと女の子の間に割って入る。

 

「私は高町なのは! あなたは?」

「えっ? フェ、フェイト・テスタロッサ……」

「あのユニコーンは私達が抑えるから、フェイトちゃんは逃げて! アレから嫌な感じがするの! だから早く!!」

「う、うん」

 

 ユニコーンから発せられる嫌な感じはフェイトちゃんに向けられていた。だからまずは逃げてもらうように伝えると、素直に従ってこの場から離れて行こうとする。ユニコーンが追いかけようとしたけど、その前に私が立ち塞がる。

 

「駄目だよ、ここは通さないの!」

 

 止まってくれる事を期待したけど、駄目みたい。

 

「やろう、レイジングハート! ユニコーンを止めて、元の涼さんに戻ってもらうの!」

 

≪All right. Divine Shooter.≫

 

 私の周りに出来た5個の魔力弾が、目標に向かって飛んでいく。1つはバルカン、2つは剣で、2つは盾でそれぞれ打ち消されてしまった。でも標的を私に移すことに成功した。

 

「そう、こっちなの!」

 

≪Protection≫

 

 高速で近付いて剣を振り下ろしてくるけど、展開された防御魔法でしっかりと防ぐ。ついでに周りに仕込みをする。

 

「シュートバレット!」

 

≪Shoot Bullet.≫

 

 急速充填された一撃でユニコーンを吹き飛ばす。しかしすぐに体勢を立て直して突撃を仕掛けてくる。

 

「読めてるの! ……今!」

 

≪Restrict Lock.≫

 

 先に仕込んでいた所に来た瞬間捕獲魔法を発動させ、左腕と右足をガッチリと拘束する。

 前にユーノ君が犬の怪物を捕まえたのを見てて、便利そうだから教えてもらって練習してたけど、初めて使うのが涼さん相手って凄く複雑なの……。

 

「右腕と左足も!」

 

 四肢を固定されてもがくけど、そう簡単には破らせない。

 

「レイジングハート!」

 

≪Cannon mode.≫

 

 頭のバルカンの射程範囲に入らないように、背後に回り込んで杖を突きつける。

 

「零距離ディバインバスター! 涼さんを返してもらうの!」

 

≪Divine Buster.≫

 

「シュートッ!!」

 

 トリガーを引くと杖の先に溜めこまれた魔力が解放されて、ユニコーンを呑み込む。光の奔流が収まると、装甲を閉じて元の一本角に戻り、嫌な感じも無くなっていた。

 

「良かった……あっ!」

 

 意識を無くしていたのか、ユニコーンが解除されて地面に落ちていく。

 

「任せて! フローターフィールド!」

 

 先に落下地点にいたユーノ君が魔法陣を展開して、涼さんを受け止める。

 

「涼さん!」

「待って! 周りに誰も居ないから、結界を解除して助けを呼ぼう」

「え?」

「僕達じゃ意識の無い涼さんを運ぶのは無理だよ。理由は……木から落ちて意識を失くしてたって事にしよう」

「う、うん」

 

 そう言うユーノ君に従って、私はお兄ちゃん達に助けを求めた。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 目を覚ますと、なのは達、つまり今日会った人達に囲まれていた。聞くところによると、木に登ったユーノを捕まえようとして落ちてしまい、意識を失っている所をなのはが助けを呼んでくれたらしい。詳しい事の顛末はなのはに聞いたが、どうやら俺を元に戻してくれたのも彼女みたいだ。感謝したが、苦笑いで返された。……何故だろう?

 その場にいた全員に謝ると、なのはは申し訳なさそうにし、アリサには怒られ、すずかには泣かれ、恭也さんからは軽く頭を小突かれた。忍さんには何も言われなかったのが逆に堪えた。

 

 それとフェイトにも途中から応答が通じなかった事についてしっかりと謝った。かなり心配を掛けたみたいで、機嫌を戻すのに大変苦労した。

 

 

 

 

 

 

 そして現在、俺は『ユニコーン』の暴走と無理矢理外された枷について知る為、土蔵に居た。

 案の定、以前の本が光を放っていた。

 

「『ユニコーン』についてちゃんと説明してくれるんだろうか……」

 

 本に触れると、前回と同じように転送ポートの上に自動で移動し、本が開かれる。

 

「……まずはこれが流れるのは、『NT-D』が強制起動したという条件を満たした場合だと言っておく」

 

 となると通常起動した場合もあるのか。……いや、それなら最初にアレを起動したときに流れる筈だ。とにかく話を聞いてみよう。

 

「そこで何よりも先に言っておく。どんなに研究しても『NT-D』の起動条件が分からなかった。開発者としてあるまじき失態だ、すまない」

 

 そうか……。残念ではあるが、2度起動しただけだが輪郭は掴めている。ここは流すべきではないだろうが、今は置いておこう。

 

「そしてこの枷が解放された事で、『支配権』を行使出来るようになった」

 

 …………? 一体何を支配するっていうんだ?

 

「『支配権』は名前の通り、支配する力だ。その力が古代遺産に対して作用することは分かっているんだが、どんな古代遺産に適応するかが分からなかった。研究時、手元に無かったというのもあるが、分からない事ばかりで本当に申し訳ない」

 

 古代遺産……ロストロギア……。ジュエルシードにはどうなるんだろうか……?

 

「この映像で最後に伝える事は、涼、力に呑まれるな。拒絶でもなく扱うのでもなく、受け入れるんだ。力は使う者の意思1つで、破壊の力にも創造の力にも変わる」

 

 受け入れる、か。そうすれば『NT-D』も……。

 

「これでこの映像を終わる」

 

 そこで本は光を失い地面に落ちる筈が、パラパラと捲れて、背表紙に近いページを開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「涼……夜を……夜天を……探すんだ…………」

 その声と共にイメージが流れ込んでくる。本の表紙を見たところで俺は意識を失った。

 




 個人的に詰め込み過ぎたような気がするお話でした。

 次回以降も色々考えてありますので、しっかりと文章にしたいですね。



 ではまた次回で。
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