魔法少女と一角獣   作:牡蠣専用鍋

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 こんばんは、牡蠣です。


 今回は少し長くなってしまいました。




 第15話、どうぞ。








魔法少女+一角獣+騎士+小動物=?

 一夜明けた火曜日の放課後、俺はなのはとユーノを連れてはやての家を訪れていた。

 

「えと、ここが涼さんの言ってた協力者さんの家なの?」

「ああ」

 

 八神と書かれた表札の下にあるインターホンを押すと、すぐに家の中から声がした。

 

「はぁーい! あ、涼君ね、いらっしゃい」

「こんにちは、シャマル。皆との顔合わせの為に、昨日言ってた俺の仲間を連れてきたんだ」

「「こ、こんにちは!」」

「ええ、こんにちは……」

 

 なのはの魔力量を見て、少し警戒度が上がったか。無理もないけど、ここはフォローしておこう。

 

「玄関先で話すのもなんだろうから、上がらせてもらってもいいか?」

「え、ええ、どうぞ」

 

(俺の仲間なんだから、そう警戒するなよ。心配しなくても何も起こらないさ)

(ご、ごめんなさい。予想以上に大きい魔力の持ち主だったから……)

(気にするなよ。初対面なんだし、そんなもんさ)

 

「お邪魔します」

「「お、お邪魔します!」」

 

 何だか固いな。こっちにも声を掛けておくか。

 

「2人共、緊張しすぎだ。皆いい人達だから、気負う必要もないぞ」

「そ、そうだよね、うん」

「なのはに釣られて僕まで緊張しちゃってたよ」

「ユーノ君、それってどういう事なの?」

「え!? あ、これは言葉のアヤだよっ」

 

 ……大丈夫そうだな。いつもの調子だ。

 

「あ、いらっしゃ~い」

「お邪魔するよ」

「そんな固くならんでもええよ。そ、れ、よ、り、もっ! その子がもう1人の魔導師なん?」

「あ、た、高町なのはです! こっちはユーノ君! よろしくね!」

「初めまして、ユーノ・スクライアです」

「おおっ、ホンマにフェレットが喋っとる! あ、私は八神はやて言います。年も同じみたいやし、はやてでええよ」

 

 なのは達とはやてを会わせたのは正解だったな。初対面なのに上手くやれてる。それにどっちもいい子過ぎるくらいだし、この先も問題無さそうだな。

 

「これは……相当な量の魔力の持ち主ですね。涼の周りには不思議な縁でもあるように思えます」

「何を言うんだよ……ってシグナムか、何処に行ってたんだ?」

「風呂洗いです。この地では『働かざる者食うべからず』と言うそうですから」

 

 初めて見た時から思っていたけど、シグナムは超が付く程の真面目な人格らしい。守護騎士の将だから、これくらい真面目じゃないと務まらないんだろうな。

 

「ヴィータとザフィーラは何処に?」

「この周辺の地理を調べる為に出ています。もうすぐ戻る筈です」

「そうか、なら先に紹介するよ。昨日言ってた魔導師と発掘者の2人だ」

「こ、こんにちは、高町なのはです!」

「ゆ、ユーノ・スクライアです!」

「シグナムだ、よろしく頼む」

 

 凛とした雰囲気を放つが、ゴム手袋とスポンジを持っているせいでちょっと決まってない。

 

「私はシャマル、よろしくね」

 

 ちょうどお茶を淹れてキッチンから出てきたシャマルも自己紹介をする。

 

「ただいまー!」

「只今戻りました」

「お、2人共おかえり~」

 

 本当にタイミングが良いな。でもこれで全員揃ったか。

 

「涼、来てたのか! ……ソイツが昨日言ってた奴か? アタシはヴィータ、よろしくな」

「私は高町なのは! なのはって呼んでね。よろしくね、ヴィータちゃん!」

「私はザフィーラだ」

「はいっ、よろしくお願いします! ザフィーラさん!」

 

 さて、一通り顔合わせが済んだところで本題に入ろう。

 

「なあ、色んな所回ってる時に変な反応あったから調べてみたっけ、コレ見つけたんだけど……」

 

 そう言って、ヴィータが渡してきたのは件の探し物、ジュエルシードだった。

 

「お、おお、良く見つけたな! これで俺達の手元には6個集まった事になるな」

「へへっ、まあな! でもソレ、スゲー量の魔力が詰まってんのな。蒐集したら結構なページいきそうだぜ」

「……蒐集?」

 

 聞きなれない単語になのはとユーノが首を傾げている。……あ、言ってなかったな。

 

「はやて」

「うん、闇の書~」

「や、闇の書!?」

 

 はやての声に従って現れた魔導書の姿を見て、ユーノが驚きの声を上げる。

 

「ユーノ君、この魔導書が何か知っとるん?」

「知ってるも何も、闇の書と言えば指定遺失物扱いの危険なロストロギアじゃないか! 何でこんな所に!?」

 

 なるほど、大体理解出来たぞ。

 

「ユーノ、知っている限りでいい。闇の書に関する事を教えてくれ」

「え、あ、うん、分かった。今言った通り、闇の書は古代ベルカの時代のロストロギアで、管理局では指定遺失物として全次元で捜索されているんだ。それと完成した闇の書は、主ごとその周辺の管理世界を滅ぼすレベルの次元災害を引き起こすって言われてる。軽く本で読んだだけだから、これくらいしか知らないんだ」

「いや、十分だよ」

 

 やっぱりか。こんな強力な魔導書が知られていないワケ無いからな。

 

「やはり涼の見解は正しかったという事か。まさかそこまでの被害を及ぼすとは……」

「それだけの存在という事は、これまでの主の中にも闇の書の問題に気付いて、解決をしようと試みた人は居る筈だ」

「ですが今こうして我ら守護騎士が主はやての下に居るという事は、解決まで至らなかったと。そして闇の書の異変を隠す為に我らの記憶は消され、また愚行を犯す所だったのですね……」

「いや、まだ落ち込むのは早い。今回は起動直後から異常に気付けたおかげで、時間もあるから解決法も模索出来る」

「そう、ですね。」

 

 ほんの少しの間一緒に居ただけだが、今回の主であるはやてがとても優しい子であると理解しているんだろう。守護騎士にとっては感じるモノがあるようだ。

 

「それにユーノ、闇の書の今の主ははやてだ。決して悪用なんかしないさ」

「うん、それは分かるけど……」

「えっと、その闇の書っていう本が大変な事になってるんだよね? だったら私にも出来る事は無いかな?」

「なのは……うん、そうだよね。今僕がなのはに助けてもらっているみたいに、僕にも出来る事があるなら手伝わせてほしい!」

 

 俺が口を出すまでも無かったか。そうだよな、2人だってちゃんと考えているんだし、俺も気を引き締めないといけないな。

 

「今のなのはに出来る事は、ジュエルシードを集める事だ。砲撃での強制封印は今の所なのはにしか出来ないから、当てにしてるぞ。ユーノはなのはのサポート、それとシャマルと一緒に闇の書の解析をしてくれ」

「うん!」

「分かった!」

「よし、それじゃあこのジュエルシードを蒐集してくれ。どのくらいページになるのかを知らないといけない」

「分かりました」

 

 シグナムが闇の書へ蒐集の指示をすると、自動的に白紙のページを開く。

 

≪Sammlung.≫

 

 電子音声の後にジュエルシードから魔力を蒐集し始め、闇の書のページへ文字という形で蓄えられていく。ロストロギアと言うだけあってか次々とページが捲られていき、20に届くかという所で止まり闇の書が閉じる。

 

「大体19ページと少しか。思ったよりも稼げたな」

 

 感想を言いながら蒐集されたジュエルシードの状態を確認する。どうやら蒐集される前よりも全体の魔力総量は下がっているものの、全て無くなったわけでは無さそうだ。

 

「闇の書でも干渉出来ない部分……ブラックボックスって事か。それでも十分過ぎる量が詰まっているな」

「ふぅん……あ、そういやこのジュエルシードって何個あるんだ?」

「全部合わせて21個だ」

「それを全部蒐集出来れば、400はいくな! よぉし、ちゃっちゃと集めちまおうぜ!」

 

 勢い付くのはいいが、先にフェイトについて言っておかないと後々厄介な事になりそうだ。

 

「その前に俺達以外にもジュエルシードを集めている子についても話しておきたい」

「そ、そうなの! フェイトちゃんっていう黒い魔法使いの女の子が居るんだけど、その子とお話ししたいの! だから、えっと……」

「慌てなくてもいいんだぞ。なのはが言ったフェイトという魔導師が、今の所俺達とは敵対関係にあるんだ」

「敵? そんな奴、話すまでも無ぇ、アタシがぶっ潰してやるよ」

 

 言い方が悪かった、少し訂正しよう。でも何て言おう? 俺がフェイト達にも手を貸している事は言えないしな。…………なのははフェイトと話をして、出来る事なら力になってあげたいと考えているんだろう。ならその意を汲んで、そういう流れに持っていくか。俺もフェイトの事は心配しているんだ、なんとかしよう。

 

「待ってくれ、ただ倒すだけじゃ駄目だ。おそらくだが、フェイトはジュエルシードを集める為の手駒。倒せば余計に厄介になる」

「ではどうするのです? 我らはあまり口が達者とは言えません。説得となると……」

「分かってる。この中で一番の適任者はなのはだ。フェイトとは歳が近いみたいだし、説得をするのに適している。それになのは自身のやる気もある。上手くいけば、フェイトに指示を出している人物まで辿り着けるかもしれない」

 

 ここまで言って全員の反応を窺うと、なのはとユーノとはやては素直に賛成をして、守護騎士達は少し思案した後決定権をシグナムに託したようだ。

 

「……分かりました。その件は涼や高町に一任します。我らはジュエルシードの探索に力を入れ、そのフェイトという魔導師と敵対した場合すぐに連絡、時間稼ぎをしましょう」

「よし、これで大まかな方針は決まったな。それじゃあ確認するぞ。質問は後で受け付ける。カーテンを閉めてくれ」

 

 暗くなった部屋に空中投影型ディスプレイを表示し、箇条書きで確認していく。

 

・現地チーム:なのは、涼

・騎士チーム:シグナム、ヴィータ

・サポート:ユーノ、シャマル

・非常戦力:ザフィーラ

・本部:はやて

・基本方針:ジュエルシードの探索、蒐集

・フェイトと敵対した場合:騎士チームは現地チームを呼んで時間稼ぎ。現地チームは対話、交渉、説得。

 

「補足しておくとザフィーラは基本はやての守護で、緊急時にそれぞれのチームの救援に入ってもらう」

「畏まりました」

「サポートのユーノは現地チームと、シャマルは騎士チームと組んで常に3人で行動するようにしてくれ」

「分かった!」

「分かったわ」

 

 こんなところか。大体はこれを基に行動して、緊急時は合流すれば大丈夫か。

 

「なあなあ、私の役割って何なん? 本部って言われても、何をすればええのか分からんよ?」

「それを説明する前に、全員に言っておく事がある」

 

 その一言で部屋の空気が一層引き締まる。多分あんまりいい話じゃない事を察したんだろう。

 

「闇の書の事だが多分、いや、十中八九既に管理局に見つかっていると思う」

 

 守護騎士達の警戒度が急上昇し、物理的圧力を持っているレベルにまでなる。急な話に付いていけてないなのはとユーノだが、無視して続ける。

 

「理由はある。それは9歳にもならないはやてが1人暮らしをしている事。この時点で証明しているようなものだろう」

「それがどういった……まさか!」

「この日本じゃありえない。魔法で認識をずらさない限り、な」

「となると闇の書の起動も……」

「ああ、知られているだろうな。大方、起動を知って慌ててると思う。それと近い内に管理局がこの地に来るだろうな」

 

 シグナム以外の守護騎士も色々言いたそうにしているが、話をややこしくしないように黙っているんだろう。正直助かる。

 

「だからこそ、この中で一番重要な立ち位置にいるはやてを中心にするんだ。軽く見たが、はやての魔力の殆どは闇の書にあって、とても戦闘なんか出来る魔力量じゃない」

「そうやったんやね……。でも、管理局と交渉するってのは駄目なんか?」

「正直に言えばその方がいいのかもしれないが、基本方針のジュエルシードの蒐集を出来なくなるし、最悪の場合拘束されて身動きが取れなくなってしまうかもしれない。そうなると闇の書の異変を取り除く事も出来なくなる。後は…………あんまり言いたくないけど、はやてごと闇の書を強制封印する事になるかもしれない」

「そ、そうなったらはやてちゃんは……!?」

「っ」

 

 最悪の結果を想像して、言った本人の俺以外の顔が曇る。もちろんそんな結果にさせるワケが無いと伝える為に、わざと大きな声で話す。

 

「だからこそ!! はやてを助ける為に、管理局とは協力は出来ない。管理局側から見れば、これは魔法技術の乱用っていう罪になるかもしれない。それでも、俺ははやてを見捨てられない。知ってしまった、関わってしまったんだ…………助けられるかもしれない命を放ってはおけないんだ!」

「涼さん……」

 

 もう目の前で死なれるのは御免だ。そんなもの、何度も味わうようなモノじゃない。だから訴える。

 

「守護騎士達」

「「「「はっ!!」」」」

「協力、してくれるな?」

「「「はっ!!」」」

「するに決まってんだろ!」

 

 4人の顔を見回して頷き、なのはとユーノの方へ向きなおす。

 

「改めて言うが、2人は無理して付き合わなくていいんだぞ。俺達に付き合い続けたら、確実に犯罪者の仲間入りだ」

「で、でもっ……」

「僕は……」

「俺達に加わるか否か、この一線は凄く重要なラインだ。今すぐじゃなくていい、よく考えてほしい。どんな選択をしてもいい、後悔だけはしないでくれ」

「うん、分かった……」

「うん……」

 

 最後にはやてと向き合い、少しの間見つめ合う。

 

「勝手に話を進めてすまない。だけど……」

「昨日今日、もの凄い勢いで私の周りが変わってもうた。正直私自身も全然分かっとらんのよ。……けどな、少しだけ分かった事がある。私の事を思って、私の事を助けようとしてくれてるって」

「そうだ。このまま悲しい終わりを待つより、足掻いて、それでもって言い続けて、最悪じゃなくて最高の結末にしたいんだ」

「ありがとう、とっても嬉しい。その目は私の為にやらなくてもいいって言っても聞かんのやろ?」

 

 本当に嬉しそうに、だけど少しだけ困ったように笑う。

 

「よく分かってるじゃないか」

「中心の私が言うのもアレやけど、あんまり無理はせんでな?」

「ああ、それに俺達の目的はジュエルシードだ。上手くやれば余計な被害も迷惑も掛けずに済む」

「…………うん、ほんならええ。なんや、私自身の事やのに足を引っ張ってまうから、私が関われんのはもどかしいなぁ」

「それでいいんだ。はやてはゆっくりしていればいい。気が付いたら全部終わってるから」

 

 言いたい事は沢山あるのに、上手く言葉にならない表情で俺を見るはやての頭を撫でる。

 

「はぁ……涼さんも守護騎士のみんなも、無理して身体を壊すのだけは堪忍な?」

 

 俺と守護騎士の5人が頷くのを見て、はやてはなのは達と向かい合う。

 

「なのはちゃん、ユーノ君」

「はやてちゃん……」

「はやて……」

「今日初めて会ったばかりの私の為に、付き合わなくてもええんよ。まぁ、それは涼さん達にも当てはまるけどな」

 

 その言葉で決心が付いたのだろう。吹っ切れてはいないみたいだが、表情が全然違う。

 

「私……お話し、ほんの少ししか出来てないけど、はやてちゃんと友達になれたと思ってる。だから、私は私の魔法の力を友達の為に使いたい……!」

「なのは……。僕は……僕はっ……どうしたらいいのか分からない……! こんな僕自身が嫌だよ。だけどっ! だけど……何もしないのはもっと嫌だ!! だから、選ぶ。涼さん達に協力して、はやてを助けるって!」

「本当に、その選択でいいんだな?」

「……分からないよ。でも、後悔するかしないかは私が決める! だから涼さん、はやてちゃん、これからもよろしくね!」

 

 そうだよ、なのははこう見えて凄く強引なんだよな。

 

「ああ、こちらこそ! なのはの力、当てにしてるぞ」

「うん!」

「ユーノもだ。決めたんだろう?」

「う、うん!」

「なら、何も言わない。サポートは前で戦う俺達の生命線だ。サポートがあるから、俺達は安心して戦えるんだ。頼りにしているからな!」

「ま、任せて!」

 

 2人から心強い答えを聞いてから、最後にもう一度だけ全員と目を合わせる。

 

「確認する! 俺達の目的はジュエルシードを集めて、はやてを助ける事!!」

「「「はいっ!! 「「「うん!! 「おうっ!!」」」」」」

「ついでに色んな面倒事も解決して、最高の結末を目指す!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目指すは誰にも文句を言わせない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やるぞおおぉぉぉぉ!! 応っ!!!!」

『応っ!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 完全無欠のハッピーエンドだ!!!!





 勢いに任せた結果が今回のお話でした。

 上手く纏められたような、纏まっていないような……。

 読んでる方々に面白いと思って頂ければ嬉しいです。



 ではまた次回……
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