魔法少女と一角獣   作:牡蠣専用鍋

18 / 21
 こんばんは、牡蠣です。

 前回から間が空いてしまいました……。




 第18話、どうぞ。




一角獣達と黒い魔法少女

 ジュエルシードの反応がした地点に向かう途中、サーチャーを通してフェイトが封印をしたところを見る。

 

「どうやらフェイトが封印したみたいだな。とりあえず暴走する事は無くなったか」

「後はお話しするだけなの!」

 

 その言葉に頷き、飛行速度を上げる。

 

 

 

 1分もしない内にフェイトとアルフの下へ降り立つと若干の敵意はあるものの、ちゃんと話し合おうとしていると感じられる。

 

「フェイトちゃん……」

「……あなた達を待っていました」

 

 なのはとフェイトはお互いに色々言いたい事があるみたいだが、どちらも変な所で口下手なせいか上手く言葉になっていない。ここは俺が橋渡しをしよう。っとと、ボイスチェンジャーを忘れるところだった。

 

「そうか……で、用件は何かな?」

「話が、あります……」

「俺達と話す事というと……ジュエルシードについて、だな?」

「はい」

「分かった、だがこちらからも聞きたい事がある。先に聞いても構わないか?」

「……はい、構いません」

 

 まずは向こうが警戒しているであろう管理局との繋がりを否定しよう。そうしなければ落ち着いて話も出来ないからな。

 

「では聞くが、君達は……管理局と繋がっているのか?」

「「涼さん!?」」

「……?」

「……どういう事だい?」

 

 フェイト達の警戒度が上がったが、予想外の言葉に驚いたなのはとユーノを見て逆に困惑する。ここまでは思い通りだ。

 

(なのは、ユーノ、ここは俺に任せてくれ。これはフェイトとゆっくり話せるように場を仕立てる為だ。上手くいけばあの2人と敵対しなくて済むかもしれない)

(……分かったの。こういう時は涼さんに任せれば大丈夫って信じてるからね!)

(うん、そうだね。僕たちは大人しくしてるよ)

 

「答えてくれ。もし君達に管理局との繋がりがあった場合、ここで倒さなければならない」

 

 言って、少しだけ敵意を向けると、大体の事情を理解してくれたようだ。

 

「いいえ、繋がっていません。それに私達も同じです。あなた達が管理局と繋がっていたら、倒さなくちゃいけなくなります。でも、今の言い方からすれば、繋がりは無いみたいですね」

 

 よし、これでいいだろう。

 

「お互い、何か事情があるようだな」

「そう、ですね」

 

 少し迷うように視線を彷徨わせると、念話で相談をしてきた。

 

(スズ、これって信じてもいいのかな……?)

(俺は大丈夫だと思う。面と向かって話したフェイトはどう思った?)

(私は…………信じたいって思った)

(そう決めたのなら、俺もアルフも従うよ)

(スズに先越されたのは癪だけど、その通りさ。使い魔のアタシはご主人様に付いて行くだけだよ)

 

 アルフって使い魔なのか!? 特殊な関係だと思ったが使い魔とは思わなかった…………じゃない。今は話し合いに集中しないと。

 

「どうした?」

「い、いえ、何でもないです。……私達がジュエルシードを集めているのは、母さんが集めて欲しいって言ってたからです」

 

 母さん、か……。この歳で母親が居ない筈は無いとは思っていたが、ジュエルシードの収集に1枚噛むどころかフェイト達に収集を命じた存在だったとは。

 

「俺達に話しても良かったのか?」

「私はあなた達の事を信じたいって思いました。だから話したんです」

「そう言われたら、俺達の事情も話さない訳にはいかないな」

 

 話そうとした直前で、なのはに手を引かれる。何事かと思って見ると、自分自身の口から話したそうにしていた。

 

「分かった、ここからはなのはに任せるよ」

「うん!」

 

 ユーノを俺の肩に乗せて後ろに下がると、なのははバリアジャケットは展開したままレイジングハートを待機状態へ戻す。……話し合いに武器は必要ないって事か。

 

「私達がジュエルシードを集める理由はね、最初はユーノ君の落し物だったから。だけどついこの前、はやてちゃんっていう子と知り合って変わったの」

「……変わった?」

「うん。はやてちゃんは闇の書っていう魔導書の主さんなんだけど、その本のせいで足が動かなかったり発作が起きたり、とっても大変な思いをしていて、私達はそれを何とかする為に集めてるの」

「ジュエルシードは願いを叶えるロストロギアだから、ソレに願う為?」

「うぅん、それは駄目。何でかって言うとね、ジュエルシードは願い事を叶える時にその願いを歪めて叶えちゃうの。だから私達が本当に欲しいのはジュエルシードの中にある魔力なんだけど、えと、その魔力は……」

 

 なのは自身良く分かっていないみたいだし、補足してやらないとな。

 

「魔力を蒐集したら使えなくなるんじゃないかと思うだろうが、ジュエルシードから魔力を蒐集しても機能に異常は無いんだ」

「そう! それでね、魔力を集めた物なら渡せると思うんだけど……ユーノ君は、フェイトちゃん達に渡すのは反対?」

「ジュエルシードは危険な物だけど……。フェイト達が悪用するようには見えないし………………うん、反対はしないよ」

「良かったぁ……。という事だから、どうかな? 私達と一緒に集めない?」

 

 言われた言葉に悩むフェイトだが、俺やアルフに相談はしてこない。どうやら自分の意志で決めるようだ。

 

「……分かった。前とは事情も違うし、今のあなた達とは協力したいと思う」

「フェイトちゃん……!」

「でも、その前に…………」

「あ……うん、そうだね!」

 

 唐突にバルディッシュを構えるフェイトに、レイジングハートを展開して構えるなのは。……ってどういう事!? この一瞬で2人の間に何があったんだよ!? まるで意味が分からんぞ! アレか! ポケモンの如く、目と目が合ったらとりあえず戦う的なヤツなのか!?

 

「この前は涼さんがフェイトちゃんと戦ったでしょ? だから今度は私の番! だから涼さんとユーノ君はそこで見てて!」

「お、おう」

「わ、分かった……」

「アルフも、手を出さないで」

「あいよ。フェイトはフェイトのやりたいようにやりなよ」

 

(スズも、アルフの側で見てて)

(分かったよ)

 

 トントン拍子で進んでいく状況に若干混乱しつつも、周りに被害が及ぼさない為にシャマルに念話を入れる。

 

(何か嫌な予感がする。結界を頼む。)

(分かったわ。ついでに緊急用の妨害魔法も準備しておくわね)

(助かる。それと魔力反応の探知を常に走らせておいてくれ)

(結界の中はもちろん、外もある程度なら何もしなくても探知は可能よ。他に何かある?)

 

 結界は張ったし、脱出用の手段も準備した。外からの割り込みにもすぐに対処出来るようにもしたから……。

 

(……そうだ、旅館の周辺に探知妨害って掛けられるか?)

(何をそこまで警戒してるのか分からないけど…………出来たわ)

(警戒するに超したことはないさ。それに嫌な予感程頼りになって、頼りにしたくないモノは無いだろう?)

(フフッ、そうね。フェイトちゃん達を含めた結界内の全員の状況は把握しておくわ。気を付けてね)

 

 さり気ない気遣いに、礼を言ってから通信を終わる。ちょうど向こうも戦闘準備が終わったようだ。

 

「魔法は非殺傷、クリーンヒットが1撃入ったら終わり。これでいいよね?」

「うん、問題ない。……バルディッシュ」

 

≪Yes sir.≫

 

「それじゃあこっちも……レイジングハート!」

 

≪All right. Mask equip.≫

 

 マスク……? と思っていたらなのはの顔に、額に一本角があるマスクが展開されていた。

 ……もう突っ込まないぞ。何で『ユニコーン』の顔を模してるのかとか、そもそも何でマスクなんか装備したんだとか、突っ込みどころしかないけどここは我慢だ。

 

「カッコイイ……」

 

 え!? カッコイイ!? いや、我慢、我慢だ。

 

「でしょ? 涼さんのユニコーンと同じなんだ!」

「ユニコーン……」

 

 頼むからこっちを見ないでくれ……。出来れば感想を求めるのもやめて欲しいかな。

 

「お揃い感出てて……い、いいんじゃないか……?」

「やった!」

 

 もう勝手にしてくれ……。

 

「結界は張ってあるから被害は気にしなくていいぞ」

「うん! それじゃあ始めよう!」

「うん……!」

 

 お互いがデバイスを構えた瞬間先程までの緩い空気が無くなり、周囲は一触即発の雰囲気に包まれる。そのまま少しの睨み合いの後、魔力弾のぶつけ合いから戦闘が始まる。

 

「ディバインシューター!」

 

≪Divine Shooter.≫

 

「フォトンランサー!」

 

≪Photon Lancer.≫

 

 直射型で弾速、連射速度共に高いフォトンランサーがなのはに向かって多数押し寄せるが、ほとんどを飛行魔法の制御で回避し直撃する物のみを、先に展開して身体の周囲を衛星のように回っていたディバインシューターで撃ち落とす。かなりの弾速だったが、しっかり見てから回避、迎撃している事から、動体視力の高さが窺える。

 

「今度はこっちの番だよ!」

 

≪Divine Shooter Combination.≫

 

 普段は4発展開するところを6発に増やし、4発を自身で誘導操作しかく乱、意識誘導に使用し、残り2発を自動誘導、必要に応じて誘導操作する形で当てていく攻撃バリエーションだが、フェイトも負けてはいない。即座に自動誘導の2発をランサーで迎撃、残りの4発に向かって突撃し、機動性を活かしてデバイスで直接叩き切る。

 僅か30秒にも満たない攻防だったが、お互いの技量を図る目安になったようだ。

 

「やっぱり強い……。でも、私だって伊達に何度も墜とされてるワケじゃないの!」

「前に少しだけ戦う所を見たけど、それ以上に強くなってる……。だからって私も負けるわけにはいかない……!」

「行くよ、フェイトちゃん!」

「行くよ、なのは!」

「フラッシュ!」

 

≪Flash Move.≫

≪Blitz Action.≫

 

「インパクトッ!」

「っ!」

 

 2人の姿がブレた次の瞬間デバイス同士が激突し激しい光と火花を散らす。少しして光が収まると、距離をとって肩で息をしていた。

 

「まだまだだよっ!」

「まだっ!」

 

 再び高速で接近しデバイスをぶつけ合い、そのまま(もつ)れ合うように飛びながら激突する2人。1度大きく旋回し、一際大きい打撃音と激突後、ゆっくりと下りてくる。

 

「……惜しかったな」

「うん……負けちゃった……」

 

 悔しそうな声のなのはのバリアジャケットは、胸の部分が破れて焦げていた。遠くからだったが機体のアシストのおかげで最後の一撃の際、フェイトはバルディッシュを斧から鎌の形態へ切り替え、以前俺の盾越しに装甲を削ったように杖を越えて胸に一撃を入れていたのが見えた。

 

「でも、あの時みたいに砲撃を撃ってないし、次は分からない」

「フェイトちゃん……」

「そうだな、今戦ってみて悪かった点は……なのは自身、分かってるよな?」

「うん…………よしっ、戻ったら反省会なの!」

 

 思う所は多々あるだろうが、今は自分の事よりフェイト達との関係に目を向けられる。本当に良い子だよな……。

 

「っ、涼さん!」

(涼君!)

 

 ずっと黙っていたユーノと監視をしていたシャマルから同時に名前を呼ばれ一瞬狼狽えるが、即座に意識を切り替える。

 

「来るか!」

「え、えっ?」

「何が来るの……?」

 

(シャマル、この場の全員、フェイトとアルフも含めて念話の対象にいれて構わない。どうなっている?)

(結界が侵食されているわ。無理矢理こじ開けようとしているみたい。もって後1分て所かしら)

 

 1分か……結構余裕があるな。これなら何とかなりそうだ。

 

「今聞いた通り、結界が破られようとしている。この場に管理局員が侵入しようとしているらしい」

「えぇっ、もう!?」

「管理局!?」

「一体何がどうなっているんだい!?」

 

 俺とユーノを除いた3人はそれぞれ驚くが、構ってはいられない。

 

「これから緊急用の妨害魔法を発動させてこの場を脱出する。この近くに旅館があるだろう? 探知妨害を掛けてあるから、そこに向かうぞ」

「うん!」

「分かった!」

「で、でも……」

「そうだよ、いきなり言われても……」

 

 渋られるのも予想の内だ。

 

(フェイト、アルフ、ここは従っておこう。素直に付いて行けば、管理局に見つかる事無く逃げられるぞ)

(そう、だね。分かった、付いて行こう)

(仕方ないね)

 

「説明は後でする。とにかく今は逃げるのが先決だ。付いて来てくれ」

「分かりました」

「分かったよ」

 

 2人の了承を得た直後転移反応を捉え、青い魔法陣と共に黒いバリアジャケットの少年が現れる。

 

「こちらは時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。管理外世界(シャマル、やれ!)での魔法行使は(全員目を瞑れ!)禁止されている! 詳しい事情を聞かせ(クラール・ゲホイル!)てもらおぅわっ!?」

 

 長ったらしい口上を垂れ流しているクロノとやらには悪いが、管理局に関わるつもりは無い。問答無用で妨害させてもらう。

 

「今だ」

 

 全員が頷くのを確認して、先頭をなのは、最後尾が俺の順で旅館へ向かった。

 

 

 

 

 

 旅館へ着くと、入り口の前でシグナムとヴィータとシャマルが待っていた。はやては流石に外に出歩かせる訳にはいかないし、ザフィーラはその警護にあたっているから2人の姿は無い。

 

「涼、大丈夫でしたか?」

「全員特に問題なしだ。シャマルのおかげだな」

「サポートの腕なら誰にも負けないんだから! なのはちゃん、どこも怪我してない?」

「あ、大丈夫です!」

「旅の鏡越しに見てたけどよぉ、動きが良くなった分、戦術に無駄があるみてぇだな」

「うっ、それはそのぉ……」

 

 なのはが守護騎士達と話し始めてしまった為、フェイト達が所在無さ気にそわそわしている。

 

「フェイト、アルフ」

「な、何ですか?」

「何だい?」

「これからは仲間として、共にジュエルシードを集める……と考えていいんだな?」

「はい……!」

「アタシはフェイトの使い魔だし、ご主人様と共に在るだけさ」

 

 返事は変わらない、か。これ以上は隠し通すのも無理が出てくるし、仲間となった以上隠すのもいけない。…………よし。

 

「先に謝っておく。済まなかった」

「な、何を言ってるんですか?」

「いきなりそんなこと言われても困るよ……」

「……『ユニコーン』、解除」

 

 『ユニコーン』が粒子化しカードへ形を変え、胸のポケットへ収まる。

 

「ス、スズ……!?」

「あ、アンタ……!!」

「……敵対する可能性がある以上、言い出せなかったんだ。本当に済まない!」

 

 頭を下げる。これだけで今まで2週間以上騙していた事を許してもらえるとは思わない。それでも下げ続ける。

 

「私達となのは達の手を組ませようとしてたのは、スズ……だったんだね」

「ああ」

「頭を上げて」

 

 視線の先にいるフェイトは、色々な感情が入り乱れた何とも言えない表情をしていた。

 

「えと、何て言えばいいんだろう……? スズが本当に私を想ってくれてたのは分かるんだ。だから怒るに怒れないんだよね……」

「フェイト……」

「だから、アタシがケジメをつけてやるよ。1発、ぶん殴ってやるから覚悟しな!」

「分かった…………ガッ!?」

 

 右頬にアルフの拳が突き刺さる。これは……痛い。想いが乗っている分感じる痛さも強い。

 

「涼さん!? な、何するの!」

「いいんだ、なのは」

「で、でも!」

「いいんだ。これはケジメなんだから」

 

 立ち上がってなのはや守護騎士を目で制し、再びフェイト達と向かい合う。

 

「大丈夫……?」

「ああ、むしろ隠し事が無くなってスッキリしている」

「そう……なら、いいけど……。先に言うけど、私達はスズやなのはの仲間をやめないよ」

「フェイト……」

「むしろスズの事を知れて良かったと思ってる」

 

 なんていうか……心が広すぎるよ……。

 

「これからも、よろしく頼む」

「うん、こちらこそよろしくね」

「はぁ、アタシだけ除け者は嫌だしね。よろしく頼むよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、なのは達にはなんて説明しようかな……。

 

 こらそこシャマル、ニヤニヤしない。




 今回も何かごちゃごちゃしているような気がしなくもないです。

 主人公は知らない事ですが、ユニコーンの仮面は守護騎士含め全員展開出来ます。
 一本角の集団……何これ怖い。

 エンブレムは基本左肩に付いていて、装甲の展開の都合で『ユニコーン』は盾に、赤いエンブレムなので騎士甲冑が赤いヴィータだけ白いエンブレムで、ザフィーラはノースリーブの道着っぽいヤツなので、胸の位置に付いています。




 ではまた次回で。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。