魔法少女と一角獣   作:牡蠣専用鍋

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 こんばんは、牡蠣です。


 まさかこんなに遅くなるとは……。大変お待たせしました。

 先に言ってしまうと、今回は次回に向けての準備回(?)となっています。



 第19話、どうぞ。


一角獣と名前

 あれから殴られた頬をシャマルに治療してもらい、詰め寄るなのはを抑え守護騎士達の追及をフェイトと出会った経緯から説明する事でなんとか収め、全てが終わる頃には深夜の1時を過ぎていた。

 ついでに茶化す気満々だったシャマルには罰として探知妨害とは別に、周辺に異常が無いかの監視任務を与えておいた。睡眠を摂らせない訳ではないし、これ位なら罰の内にも入らないだろう。

 

 翌日、散歩をしていたら出会ったと言ってフェイトとアルフを紹介すると、フェイトは小学生とすぐに打ち解け、アルフは高町家の面々から強者のオーラを感じ取ったのかウズウズしていた。ここにも戦闘好きが居たか……。

 

 

 朝食を食べた後は昼の帰る時間まで自由時間になり、俺とフェイトは小学生組と一緒に部屋に居た。

 

「俺は別に見てるだけでもいいんだが……」

「ええからええから! そんな事言わずにやってみぃ? 1回やれば分かるから、な?」

 

 何だよその誘い方……。怪しい勧誘にしか聞こえないぞ。

 

「ホラ、フェイトちゃんもやるの!」

「え、でも……」

「はい、『ブラック・マジシャン』デッキ」

「え、う、うん…………あ、可愛い……」

 

 ああ、フェイトが流されてしまった……。くっ、これが数の暴力というヤツか! その期待に満ちた視線はやめてくれ!

 

「……わ、分かったよ。やるからそんなに見ないでくれ」

「ふふっ、最初からそう言えばいいのよ!」

「アリサちゃん、顔が悪いよ……」

「すずかちゃん、さり気ないどころかモロに煽っとるで」

 

 すずかってもしかして……いや、何でもない。何でも無いからその目は勘弁してくれ。

 

「ほい、『HERO』デッキ」

「お、おう」

 

 ヒーローねぇ……。如何にも主人公が使っていそうな名前のカードだな。

 

「それじゃあ涼さんとフェイトちゃん、向かい合ってジャンケンしてな」

「「ジャンケン、ポン」」

 

 

 

 

 

 カードゲームは楽しかった……が、カード同士の組み合わせ等がこんなにややこしいとは思わなかった。それを苦も無く考えて遊ぶとは、彼女達の頭はどうなっているんだ……?

 

 

 

 

 

 部屋の中で遊んでばかりではいけないので旅館の周辺を散歩していると、あっという間に帰る時間となった。帰りの支度は全員済ませてあり、来た時と同じく男性陣で荷物をマイクロバスに積み込む。それと都合が良かったので帰りはフェイト達も一緒だ。

 鮫島さん(何でも出来る凄い人)が運転するマイクロバスで解散場所の高町家まで行き、鮫島さん(こういう人をダンディと言うんだろうな)以外の全員が降り荷物も降ろすと、鮫島さん(一体いつ休んでいるのだろうか)はアリサと月村家の面々に時間になったら迎えに来る旨を伝えて颯爽と去って行った。……格好良い。

 

 

 夕方まで遊んだり談笑して、陽が沈む前には解散となった。夕食を食べていかないかと誘われたが明日は学校があるからと、断る理由としては弱かったが桃子さんと士郎さんが察してくれたので助かった。そして帰り際、なのはに夜になったらこれからの事を話し合う為通信を入れると伝えて、八神家一同とフェイト達と共に高町家を後にする。

 

 

 

 

 

 俺は一度家に荷物を置きに帰った後、隠蔽魔法を使って姿を見えないようにして八神家へ飛んで行くと、ちょうど良くフェイト達も交えた夕食の時間に入る所だった。先にお互いをよく知らない守護騎士達とフェイト達の自己紹介を済ませてから食卓を囲むと、食器の片付けが終わる頃には敬語が取れる位に打ち解けていた。

 ふと時計を見ると8時半を指していた。……先になのはに連絡を入れておこう。

 

「さて、そろそろ頃合いか」

 

 その一言で全員の雰囲気がガラリと変わる。

 

「それじゃあこれからの事について話し合おうと思うが、その前に……」

 

(はい、こちら高町なのはです!)

(ユーノです!)

 

 2人を待とうと言う直前に通信回線が開き、展開済みの空中投影ディスプレイに随分とやる気に満ちた表情が現れる。

 

「よし、全員揃ったな。………………新たに協力者も増え、管理局も出てきた事で俺達の状況も一筋縄ではいかなくなった。そこで、改めて状況整理と行動方針の確認をしたいと思う。何か他に意見や質問はあるか?」

 

 問題が無ければ進めようと思った所でフェイトの手が上がり、目線で促す。

 

「分かり切ってる事を聞くと思うけど、この中のリーダーってスズで合ってるよね?」

「ん、まあ、そうだな。こうやって纏めたりするのがリーダーだって言うのなら、俺がリーダーって事になるな」

 

 そうか、あんまり意識していなかったけど、俺ってこの集団を纏めてたんだな……。

 

「そう…………うん、分かった。私達は出来るだけスズ達に協力する」

「ありがとう。俺達もフェイト達に出来る限りの協力を約束しよう」

 

 お互いに頷き合い、俺は全員を見る。反対意見も無いようだし、本題に入ろう。

 

「まず現在の俺達の基本的な役割や方針はこんな感じになっている」

 

 新たにディスプレイを展開し全員に見えるように、この間書いたものを少し修正して表示する。

 

・現地チーム:なのは、涼(スズ)

・騎士チーム:シグナム、ヴィータ

・サポート:ユーノ、シャマル

・非常戦力:ザフィーラ

・本部:はやて

・基本方針:ジュエルシードの探索、蒐集

 

「これに新しくフェイト達が加わる」

 

・協力者:フェイト、アルフ

 

「ここでちゃんと分かっていて欲しいのは、フェイト達の目的はジュエルシードで俺達の目的はジュエルシードそのものではなく、その中にある魔力だ。この利害関係が一致しているからこそ、俺達は協力関係でいられるんだ」

「涼、それはこの場に居る全員が分かっていると思います。ですが今我らが対処せねばならない件は……」

「焦るな、シグナム。まずは周りではなく、足元の地盤を固める事が先決だ。この国では『急いては事を仕損じる』と言うし、何事も焦っては見えるものも見えなくなるぞ。何より、はやてを護る守護騎士の将が焦ってどうする」

「っ! 申し訳ありません……」

 

 やはり以前話した、闇の書が管理局に見つかった場合の事を考えてしまっているせいで、シグナムだけじゃなく全員が焦りを隠せていない。まずはその焦りを少しでも解消する事から地盤固めを始めよう。

 

「皆が気にしている管理局についてだが、俺の意見を言わせてもらう。元々監視されていた闇の書の起動を確認して、この地に局員を送り込んだんだろう。しかし監視していたのを知っていたのは一部の局員だけなんだと思う。だからいきなり管理外世界で危険なロストロギアが見つかりましたーって報告が入っても、信憑性などの問題で大部隊を送り込む事なんて出来ないんだろう。現に俺達の前に姿を見せた局員はたったの1人。実際に闇の書が確認されない限り、追いつめられる事は考えにくい」

「なら、闇の書を表に出さなければ良いだけなのでは?」

「いや、それだけじゃ駄目だ。報告があった世界に魔導師が居た……これだけでも増援を求める理由になる。遅かれ早かれ向こうは人海戦術を執ってくるだろう。故に、ここからは時間との勝負だ。ジュエルシードの存在を管理局に悟られる前に全て集める」

 

 焦りすぎる必要のない理由の説明と、大雑把だが次にやるべき事を決めた事で大分落ち着けたようだ。

 

「具体的には今までのように分かれて探索するのではなくて、見つけ次第全員で早急に封印する。そして封印完了したら多重転移でその場を離脱。基本行動はこれでいく、何か質問はあるか?」

 

 見回すと、大人しく話を聞いていたヴィータが手を上げていたので目線で促す。

 

「全員でソッコー封印して離脱はいいけどよ、肝心のジュエルシードが無きゃどうしようもないだろ」

「その事だが……フェイト、今ジュエルシードは何個持っている?」

「えっと、全部で5個だよ」

「俺達の分と合わせると11個、残りは10個か。まだ半分もある筈なのに見つからないという事は、残りのいくつかは海に沈んでいるんだと思う」

「まさか、海の中を潜って探す……とか言わねぇだろうな?」

 

 じっとりとした視線で訴えてくるが、そんな馬鹿な事させる訳がないだろ。

 

「海に魔力を流して強制発動させるんだよ。これだけの戦力があれば、残りの10個が同時に発動しない限り問題は無い」

「ふぅん……で、魔力を流すのは誰がやるんだ?」

「私が、やる」

 

 頼もうとした所で、本人が名乗りを上げた。頼む手間が省けて助かったが…………何だろうな、この感じ。

 

「私の電撃変換資質があれば、広範囲に魔力を流せる」

「……フェイト、頼めるか?」

「頼まれなくてもやるよ。母さんが、待ってるから」

「そうか……」

 

 『母さん』と呼ぶ瞬間、フェイトの表情が硬くなるのを見逃さなかった。やはり、1度彼女の母親に会ってみる必要があるな。

 

「テスタロッサが発動を行うとして、封印の間に管理局が手を出して来たらどうするのです? 戦闘に入る事も考えるべきでしょうか」

「そうだな……乱入されたとして、向こうが敵対行動を取らない限り此方からは手は出さない」

 

 となると昨日の妨害は早計だったか? いや、あの選択は間違ってはいなかった筈だが…………考えるのは後だ。

 

「分かりました。では、いつ行動に移しますか?」

「今日、これからだ」

「……は?」

「これから、封印に、向かう。問題があれば言ってくれ」

 

 早ければ早いほど良いとは言ったが、早すぎて逆に驚いてるな。

 

「…………我らは構いません」

「私達も大丈夫」

「……なのは達はどうだ? 無理なら言ってくれ。万全の状態でなければならないからな」

 

(私は大丈夫! ユーノ君は?)

(僕も大丈夫だよ)

 

 流石に急すぎたかとも思ったが、反対はされなかったから良しとしよう。

 

「ああそうだ。先にフェイトの持っているジュエルシードを蒐集しておこうか」

「分かった」

 

≪Put out.≫

 

「シグナム、蒐集を」

「はい」

 

≪Sammlung.≫

 

 バルディッシュから排出された5個のジュエルシードの魔力が、闇の書にページとして蒐集されていく。数分もしない内に全て蒐集し終えて、ジュエルシードはバルディッシュに収納される。

 

「それじゃあ俺達は行くが、はやてはここで待っていてくれ」

「……うん、分かった。気を付けてな? 怪我とかしたらあかんからな? ……ちゃんと、帰って来てな?」

 

 戦う力が無いせいでとても歯痒い思いをしているのは分かるが、こればかりは俺にはどうにも出来ない問題だ。だから、必ず帰る約束をする。

 

「もちろん、全員無事に帰ってくるさ! ザフィーラ」

「はっ!」

「今回はシャマルも連れて行くから、留守を頼むぞ。俺達が居ない間が、裏に居る奴らの絶好のチャンスとなる。……抜かるなよ」

「この命に代えましても、主はやてをお護り致します……!」

 

 力強い返事に頼もしさを感じる。大丈夫だとは思うが万が一にも問題起こったとしても、彼が何とかしてくれるだろう。

 

「あ、後な……名前、考えたんよ」

「名前?」

「せや、名前。守護騎士とかの名前はあっても、涼さんやなのはちゃんやフェイトちゃん達を含めた名前って無かったやろ?」

「……聞かせてくれ」

「……『ラプラス』」

「『ラプラス』…………うん、良い名前じゃないか」

「ほんまに……?」

「ほんまに」

 

 皆の顔を見る限り、結構好印象のようだ。はやてには名付けの才能でもあるんだろうか?

 

「というワケで、これから俺達の集団名を『ラプラス』と呼称する。異議は?」

『ありません!』

『無いよ!』

((異議無し!))

 

 改めてはやてに向き直ると少し恥ずかしそうにしていて、思わず頭を撫でてしまった。

 

「おっと、それじゃあはやて、ザフィーラ、行ってきます」

「行ってらっしゃい! 皆、気を付けてな!」

「ご武運を」

 

 2人の言葉に手を上げて応え八神家を後にし、俺達はなのはとユーノとの集合地点である海鳴公園に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さあ、今夜は『ラプラス』としての初戦だ。派手に行こうか!!




 組織名、決定です。
 正直『ロンド・ベル』と『ラプラス』のどっちにしようか迷いましたが、『ラプラス』に決めました。

 フェイト達も加わり、結構な大所帯と化してきました。
 戦力過多? いえ、知らない言葉ですね……。

 ちゃんと釣り合いは取れるよう工夫はするつもりです。


 ところで、設定とかって需要あるんですかね? 丸々1話使って書く程の価値が有るのやら、無いのやら……。


 ではまた次回で。
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