何とか5月に入る前に更新出来ました。
第20話、どうぞ。
なのは達と海鳴公園で合流した後、改めて今回の封印方法について話す。
「手順はこうだ。始めに広域結界を近辺の海全体に展開後、フェイトが海に魔力を流してジュエルシードを強制発動させる。発動後フェイトはシャマルの所へ補給に行く事」
「分かった」
「次に発動したジュエルシードに対して封印作業を行うんだが、強制発動させているから簡単にはいかないだろう事が簡単に予想出来る。そこで全員にポジションを割り振った。ディスプレイに出すから確認してくれ」
お馴染みの空中投影ディスプレイを展開、全員の役割を表示する。
・フロントアタッカー:シグナム、ヴィータ、アルフ
・ガードウィング:涼(スズ)、フェイト
・センターガード:なのは
・フルバック:シャマル、ユーノ
「何が起こるか分からないから、フロントの3人は少し……いや、かなり危険な担当になるが切り込み役をお願いする」
「分かりました」
「ハッ、ベルカの騎士をなめんじゃねーよ。危険なんざ慣れっこだっつの!」
「任せなよ。その為の力さ!」
心強い返事に頷いて返し、説明を続ける。
「ガードウィングの前にセンターガードについて説明する。このポジションはなのは1人だが、重要なポジションでもある。近距離は別として、中・長距離からの火力はなのはがトップだと言えば分かるか?」
「うん! みんなが注意を引きつけてる間に、遠くから大きいのを撃って封印するんだよね?」
「そう、メインの封印役だ。期待してるからな」
「分かったの!」
気合十分で精神面、身体面の両方ともが非常に良い状態だ。これなら封印もスムーズにいきそうだな。
「次にさっき飛ばしたガードウィングについてだ。このポジションはフロントとセンターの間に位置する役割で、フロントの切り込みのサポートやセンター……なのはのデカい一撃を放つまでの被害を抑えたりと、機動力と判断力が求められる」
「スピードには自信があるから、きっちり役割を果たすよ」
「焦って前に出過ぎるなよ。リスクは負いすぎない事だ」
「うん、分かった」
フェイト以外にも言える事だが、必要以上に頑張り過ぎる嫌いがあるからな。予め抑えるよう言っておけば少しはマシになるだろう。
「最後にフルバックだが、シャマルとユーノでは動きが違う事を先に言っておく。シャマルには結界の維持、フェイトへの補給、全員の状態把握、緊急時の妨害工作、そして一番重要な旅の鏡を使用してジュエルシードを回収する事。やる事が多いが、担当している本人なら重要性を理解している筈だ」
「ええ、後ろは任せて、封印に集中してくれて大丈夫よ」
「任せたぞ。ユーノには負傷したメンバーの治療、バインドでの捕縛といった前に出ての補助を任せる。シャマルと連携して常に味方の状態を良好に保ってくれ」
「分かった! それじゃあこの姿のままじゃ駄目だね」
そう言ってなのはの肩から降りて魔法陣を展開するとユーノの身体が光に包まれ、シルエットが小さなフェレットの形からなのはと同じくらいの大きさまで変化した。そして光が収まった後その場に居たのは、金髪碧眼の美少年だった。
本来の姿は人だって分かっていたけど、まさかこんな美形だったなんてな……。
「え、え、ええええぇぇぇぇ!? ユ、ユーノ君が、フェレットが男の子にぃ!?」
「あ、あれ? この姿をなのはに見せた事無かったっけ?」
「最初っからフェレットだったよぉ!」
「え、え~と…………あ、そうだったね……」
あたふたしている2人を見ているのもそれはそれで楽しいが、今はそんな事している場合じゃないか。
「色々言いたい事や聞きたい事はあるだろうけど、今は置いといてくれよ」
「あ、ごめんなさいっ」
「ごめんなさい……」
「ちゃんと反省してくれたなら良いんだ。さあ、気を取り直して次にいくぞ。全員、戦闘準備だ!」
『はい!』
『おう!』
『うん!』
「『ユニコーン』、起動!」
「レイジングハート!」
「バルディッシュ!」
「レヴァンティン!」
「起きろ、アイゼン!」
「クラールヴィント!」
≪≪Set up.≫≫
≪≪≪Anfang.≫≫≫
アルフとユーノ以外のメンバーが自分の相棒に声を掛け戦う為の姿に変わる。
≪≪Mask equip.≫≫
≪≪≪Maske Ausrüstung.≫≫≫
デバイスの電子音声に続いて今度は全員が『ユニコーン』を模した仮面を装備する。
なのはだけじゃなかったのか……。いや、集団感出てていいんだろうけど、一角獣の仮面はちょっとなぁ……。しかもフェイトとアルフも付けてるし。
「その、仮面って……」
「ああ、この仮面をしても視界がふさがれる事は無いので、問題ありません」
そうじゃないよ!! 違う、そうじゃないんだ……。
「はぁ……。うん、もういいや。この件は置いておこう」
そうでなければ色んな意味で持たないよ。
「ではこれより、ジュエルシードの封印を開始する! 全員、ポジションと役割は確認したな? 同じポジション同士だけじゃなく、全員が連携を怠らなければスムーズに事が運ぶ筈だ。気を抜かずに行くぞ!」
『了解!』
「行動開始!」
その言葉で全員がそれぞれの役割を果たす為に飛び立つ。さあ、やるぞ!
◇
後方のビルの屋上に降り立ったシャマルが結界を展開したのを確認した後、上空に待機していたフェイトが魔法の発動準備に取り掛かる。
「私の出番だね。アルカス・クルタス・エイギアス。煌めきたる天神よ、今導きの
局所的な天候操作によって発生した雷雲から放たれた雷撃は海面に触れると同時に魔力流を発生させ、海中にあるジュエルシードを強制発動させる。
「シャマル、反応は幾つだ!?」
(ちょっと待ってね……6……7……全部で8つよ!!)
8つ!? 半分あれば儲けものだと思ったが……いや、今は封印が先だ。
「(全員、警戒を怠るな! ジュエルシードが発動するぞ!)」
口頭と念話で伝えた直後、激しい光と共に海面が荒れ始める。ゆっくりと浮き上がってきた8つの小さな欠片……ジュエルシードの周りに莫大な量の海水が集まり、ボールの形を経由して超巨大な人型に変化し、両目にあたる部分が光る。
「デ、デケェ……!?」
人型と言っても、以前戦った椅子と机の集合体とは比べものにならない程大きい。以前の巨人が15m程であったが、今回の巨人はその倍、30mはあろうかという巨大さだった。
「あの大きさだと、掠っただけで墜とされるぞ! 常に動き回って安全な位置を確保しろ!」
『了解!』
指示を飛ばし、俺自身もフロントの3人よりも少し離れた位置に着く。
「なのは! 安全圏からの砲撃支援に徹しろ! 小さいのは要らない、最初から全力全開だ!」
「任せて!」
デバイスを砲撃形態に変化させ後方に下がるなのはを確認し、マグナムとシールドを装備する。同時に近付いた魔力に反応した巨人が腕を振り上げる。それを見たアルフは巨人の腕に鎖状のバインドを巻きつけるが、数瞬だけ持ったものの千切られてしまう。当たり前だ、あの大きさを拘束出来るわけがない。
「アルフ、ユーノはバインドに専念しろ!」
「あいよ!」
「分かった!」
指示を受けた2人は、巨人の頭上から幾重にも展開された魔法陣から何本もの鎖を巻き付け始める。
「あれだけデカければ攻撃は絶対当たる! 逆に小さいのは意味が無い! シグナム、ヴィータ! ファルケンとギガントを許可する! タイミングを見て放て!!」
「はいっ!」
「おうっ!」
最大攻撃を許可した2人は巨人に向かって突撃していく。後は臨機応変に動いてくれるだろう。
(ディバインバスター、1発目、行きます!)
念話の3秒後、直径約2m程もある桃色の光線が巨人の肩に命中し爆発と煙で上半身が隠れるが、煩わしそうに振り回した腕に掻き消される。そして巨大な腕によって発生した竜巻の如き風圧に、1番近くに居たフロントはもちろん、そこそこ離れた位置に居た俺すらも吹き飛ばされてしまう。
「ぬあっ、ぐっ!? 効いてねぇのか!? おい、涼! コレどうすんだ!!」
体勢を立て直し一時退避してきたヴィータが混乱気味に聞いてくる。でもそんな簡単に何とかする方法を思いつくワケ無いだろ!
「少し時間をくれ。対処方法を考える」
「もう初っ端からギガント使うぞ?」
「構わない。判断は任せる。戦闘経験はヴィータの方が上なんだ、俺よりも効果的なタイミングは分かるだろ?」
「ハッ、言うじゃねぇか! なら好きにやらせてもらうぜ!」
気合を入れなおしたヴィータはデバイスを両手で握り、大砲の様な音と共に空を蹴って巨人に向かって行く。
「スズ、お待たせ」
「補給は十分か?」
「うん、殆ど全快。全力戦闘も大丈夫だよ」
「良し、俺達も行くぞ!」
「うん!」
俺は左、フェイトは右に分かれてフロントのサポートに入る。行き掛けにマグナムを撃ち込むが、命中した左胸の海水を蒸発させながら貫通するだけで、すぐに元通りになる。
(皆、ジュエルシードの位置が分かったわ! 頭部の目に2つ、鳩尾に1つ、へそに1つ、両肩に1つずつ、両膝に1つずつよ!)
濁った海水のせいで、光る目の様な部分以外ジュエルシードの所在が分からなかったが、シャマルの解析で残りの全てを把握出来た。
「(全員聞いたな? まずは右肩のジュエルシードを狙え!)」
『了解!』
(2発目、右肩狙い、行きます!)
先程と同じ様に念話の3秒後、桃色の光線が狙い違わず巨人の右肩に命中。先程と違う点は、光線がマグナムの様な単発式ではなく照射式である点。
(なのは!?)
(このまま1つだけでも封印出来れば、少しは楽になると思うから!)
確かにその考えは間違ってないと思うが……。
(シャマル! 封印したジュエルシードを旅の鏡で回収出来るか!?)
(やってみるわ!)
俺達の意図を察したのか、急に巨人がもがき始める。それに対していち早く動いたアルフとユーノは、鎖の本数を増やして拘束力を強める。数秒もしない内に貫通した光線を見て、とりあえず1つは封印出来たと思ったが、事はそう上手くは運ばない様だ。
(ダメ! 封印は出来たけど、魔力を帯びた海水のせいで封印が強引に解かれてるわ! 回収しようにも魔力流に邪魔されて、上手く空間に干渉出来ないの!)
やはりか……。どうする? 封印は出来てもすぐに解かれる。旅の鏡での回収も出来ない。魔力を帯びた海水。強度はマグナムか、ディバインバスターの照射で貫通可能。
巨人の動きは鈍重だが、挙動1つ1つが致命傷になりかねない。全員大なり小なり魔力を消費しているが、全力戦闘はまだ可能。
「こうなりゃギガントでぶっ潰してやる!」
マルチタスクで援護射撃をしながら考え事をしていると、痺れを切らしたヴィータが高度を上げて魔法陣を展開し、大威力魔法の準備に入る。それを見た巨人は足を止めたヴィータに向かって左手を伸ばす。
「ヴィータを援護だ!」
「私が! レヴァンティン! ロード、カートリッジ!」
≪Explosion!≫
指示を聞いたシグナムがデバイスである剣を鞘に納めると、電子音声と共に刀身の付け根にあるダクトパーツをスライドさせ、圧縮魔力の詰まったカートリッジをロード、排莢する。
「飛竜、一閃!!」
裂帛の気合と共に蛇腹剣の形態へと変化したレヴァンティンに、シグナム自身の炎熱変換資質による魔力付与が加わった炎の竜巻とも言える一撃が、巨人の左手首を表面だけでなく内側をも切り刻み、その手首から先を切り落とす。
(3発目、支援行きます!!)
間髪入れずに顔に直撃した砲撃によって、巨人の視界が塞がれる。まさに絶好のタイミングだ。
「今だ! やれ、ヴィータ!」
「おう! アイゼン! ロード、カートリッジ!!」
≪Explosion. Gigantform.≫
柄部とハンマーヘッドの接続部にあるシリンダーを2回スライドさせカートリッジをロード、ハンマーヘッドを巨大な角柱状へ変形させる。ヴィータの身の丈程もあるソレを勢い付けて振り上げる。
「轟天爆砕!」
魔力を注ぎ込み、巨大なハンマーヘッドを10倍近い大きさまで更に巨大化させる。加えて3発目のカートリッジもロード。流石に危機を感じた巨人はヴィータ目がけて拳を突き出すが、既に致命的な一撃は放たれていた。
「
振り回された際の加速、膨大な質量、膨大な魔力の3つが組み合わさり、その名の通り全てを叩き潰す『巨人族の一撃』と化した一撃は、一瞬の抵抗も許さず水の巨人を海面に叩きつける。それによって人という形を失った巨人は直径10m程の球形になった。
オオオオオオオオォォォォォォォォ!!!!!!
ジュエルシードの集合体が堪らず上げた、声にならない魔力の叫びによって空間全体が軋みを上げ、その近くに居た俺達は身動きが取れなくなる。
(今なら全部のジュエルシードが1ヶ所に集まってるから、封印のチャンスよ! 誰か動ける!?)
(私がやります!!)
後方に下がって砲撃に専念していたおかげで、唯一被害を免れていたなのはが名乗りを上げる。
(頼めるか!?)
(まっかせて! 特訓の中でレイジングハートと考えた、知恵と戦術、最後の切り札の使い所! 今がその時だよ!!)
遥か後方の上空なのにも関わらず、巨大な桃色の魔法陣が見える。一体何をする気だ!?
(使い切れずにばら撒いちゃった魔力を1ヶ所に集めるの!)
その言葉通り、薄紫色、赤色、薄緑色、橙色、金色と色付いた魔力が、なのはの下へ集められていく。
「ま、まさか……」
「収束……砲撃……?」
「アイツ……!」
「全員、動けるようになったか!? なった奴から緊急避難だ!!」
まるで星の様に光る魔力球に底知れぬ危険を感じ、全員に避難を指示する。
「私は大丈夫。アルフ、動ける?」
「あ、ああ、なんとかね」
「なら先にシャマルの所まで行っててくれ」
フェイトとアルフはお互いを支え合い、避難し始める。
「ユーノ、シグナム、ヴィータ、大丈夫か?」
「私は何とか。涼は大丈夫ですか?」
「俺は問題ない」
「アタシも大丈夫だ」
「僕も大丈夫」
残った3人の復帰を確認した所で、空が桃色に染まる。
「ん、ん!?」
「拙い……!」
「オイ、急げ!」
「わわ、待って!」
脈動する魔力球を見て、ジュエルシードの集合体には目もくれずに避難する。
≪Starlight Breaker.≫
(これが私の全力全開! いくよ! スターライト! ブレイカー!!)
全員が避難し終わった所で、臨界を迎えた魔力球に放出口が作られる。ディバインバスターとは比べ物にならない程の威力を持った星の光の如き光線は、ジュエルシードの集合体に着弾後ドーム状に光が膨れ上がる。
アレが全部ダメージの効果範囲なんだとしたら、恐ろしいにも程がある。
「…………シャマル」
「え、ええ、封印完了よ」
ビルの屋上から眺める桃色のドームは、なのはの能力の高さを物語っていた。呆気にとられている中、シャマルが驚きと緊張の混じった声を上げる。
「これって……!? 涼君!」
「どうした」
「強制転移反応! 結界をこじ開けて侵入するつもりよ! 場所は……なのはちゃんの真上!? あ、ちょ、涼君!? ジュエルシードは回収しておくわよー!!」
次の瞬間、俺は返事をする事すら忘れて飛び出していた。
「なのはぁっ!!」
「りょ、涼さん? えっ……?」
困惑気味のなのはの直上に、黒い影が現れる。スラスターを最大出力で吹かし、咄嗟に展開した『ビーム・サーベル』で切りかかると、向こうも俺が持つ剣と似たような剣で迎え撃つ。
「お前はっ……!?」
「っ!」
鍔迫り合いになり相手の姿を確認した瞬間、訳が分からなくなった。困惑を悟った相手は鍔迫り合いをやめ、俺を弾き飛ばす。
「黒い…………」
「なのは、下がれ!!」
そう、俺の前に現れたのは…………。
「黒い…………ユニコーン…………?」
漆黒の装甲に、金色の角を持った…………ユニコーンだった。
ラプラスの戦闘を監視していた管理局員達がヤヴァイと思ったランキング
※シャマルの妨害によって音声は取れませんでした。
8位:ユーノ(金髪の少年)
7位:アルフ(オレンジ色の髪の女性)
6位:シャマル(緑色の魔導師)
5位:涼(一本角のロボット)
4位:シグナム(ポニーテールの剣士)
3位:フェイト(黒い魔導師)
2位:ヴィータ(赤い魔導師)
1位:なのは(白い魔導師)
尚、艦長さんは全く違うランキングになった模様
因みに30m級は大体ジャイアントロボや、ビッグオー、グレンダイザー、ガオガイガーレベルの大きさです。
評価して頂けるのは嬉しいですけど、低めの評価を頂くとやっぱり悔しいですね。
高評価はもちろん低評価をも糧にして、小説の質の向上に努めていきたいと思います。
ではまた次回で。