魔法少女と一角獣   作:牡蠣専用鍋

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 こんばんは、牡蠣です。


 気が付きゃGWが終わっていました。まるで意味が分からんぞ!?

 仕事しかしていないと言うのに……。



 第21話、浅からぬ因縁の始まり……?


白と黒

 ジュエルシードを封印し終わって油断していたなのはの直上に現れた黒いユニコーン。迎撃が間に合って良かったが、コイツは一体何者なんだ? 父さんが開発した『ユニコーン』と瓜二つの姿と武装、ますます思考がこんがらがる。

 ……兎に角、今はなのはを護らなければ。『感覚』を研ぎ澄まし、相手の一挙手一投足を目で見るのではなく、心で感じ取る。

 

「何者だ、答えろ」

「……」

「だんまりか。……もしや時間稼ぎか?」

 

 それなりに感情を表に出さない訓練を積んでいるみたいだが、『感覚』の前には無力だ。当たりだと伝わってくる。戦闘後で疲弊した所に介入して、他の局員を結界内に入れる時間を稼ぐと言った所か。

 

(涼さん……? こ、怖いよ……?)

(なのは、下がれ)

(で、でも……)

(下がれ)

(う、うん……。涼さんも、気を付けてね)

 

 なのはを怖がらせてしまった。後で謝ろう。

 ……くそ、冷静になれ。なのはが安全圏に退避するまでの時間を稼がないといけない。

 

「やらせない!」

「!」

 

 全身を覆う装甲で顔は見れないものの、なのはを墜とそうとする意志を感じ、俺はバルカンを斉射し切りかかる。

 相手は俺と同じ『シールド』で弾丸を全て防ぎ、右手に持ったままの『ビーム・サーベル』で剣を受け、ビーム同士のぶつかり合いによって周囲に紫電を撒き散らす。

 

「…………」

「くっ!」

 

 空いた左手にマグナムより1回り小さいライフルを展開し、俺の腹に突き付け発射する。発射されたビームを間一髪盾で受ける事が出来たが、Iフィールド展開が間に合わずビームの影響で盾が赤熱し、少しの間盾が使えなくなってしまった。

 察した相手はすかさず盾に向かって蹴りを放ち、スライド機構を潰しIフィールドを展開不可にしつつ距離を空けると、ライフルを収納しマグナムを展開、構えるのが見えた。俺も対抗して盾を収納しマグナムを展開して構える。

 

「!」

「!」

 

 同時に放たれたマグナムは衝突した瞬間のみ拮抗したが、相手のマグナムはビームの照射時間が長く、俺が放ったビームが掻き消されてしまう。

 

「魔力変換の魔法陣が無い!? くそっ、間に合え!!」

 

 左肩にある補助スラスター、アポジモーターを焼き切れるのを覚悟で全力で吹かす。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ!!??」

 

 急激な稼働によってスラスターの噴出孔が一部融解、さらに制御が甘く下半身が数瞬遅れて回避した為、残った左足の膝から先がビームに当たってしまう。装甲が融解しサイコフレームが一部露出するが、素肌が露出する前にビームの範囲外に出る。感じた事無い痛みと衝撃、ビームの纏う紫電による感電と、『感覚』を限界まで高めていた影響で意識が飛びかける。

 

「ぅぅぁぁぁぁああああ!!!!」

 

 気を抜けば狂いそうな程の痛みを雄叫びで無視し、マグナム発射後の姿勢制御中の相手に再度マグナムを撃つ。左足から嫌な音が聞こえたがこれも無視する。

 

「!?」

 

 向こうもギリギリで盾のIフィールドを展開し防御するが、その隙を見逃すほど甘くは無い。

 

「『NT-D』!! 『ユニコーン』、俺に従えぇぇ!!」

 

 俺の声に応え、『ユニコーン』はシステムを起動する。視界が赤く染まり、鋭敏な『感覚』が更に研ぎ澄まされる。続いて装甲が下半身から順次展開、象徴的な角がV字アンテナに変わり、一瞬だけサイコフレームが淡い緑の光を放ち赤く光る。相手のマグナムを受けた影響で左膝から先の装甲展開が不完全だが、この際関係ない。倍以上に増えたスラスターを全力稼働させ、赤い光の線を描きながら接近する。

 

「なっ!?」

 

 聞こえた声は何故か聞き覚えのある声だと思いながらも、マグナムを受け切った盾が全損し、左腕から煙と火花を出している相手に向かって突撃していく。

 

「トンファー!」

 

 音声認識で両腕前腕部にマウントされている『ビーム・サーベル』のホルダー部分が180度回転し、ビーム発生器部を前方に向け『ビーム・トンファー』が展開する。トンファーが展開している両腕を振りかぶり、あとは振り下ろすだけという所で、両肘が水色の輪に捕らわれる。

 

「バインド!?」

「!」

 

 俺だけでなく黒いユニコーンを纏った相手も水色の輪で拘束される。

 

「そこまでだ!」

 

 つい昨日も対峙した少年が、俺と黒いユニコーンの間に現れる。

 

「提督の固有戦力とは聞いていたが、やり過ぎだぞ! マグナムの使用は禁止されていた筈だ! 襲い掛かったこちらにも非があるが……白い『バンシィ』の乗り手も、剣を引いてくれ」

 

 『バンシィ』? あの黒いユニコーンは『バンシィ』と言うのか。

 

「……了解した」

 

 ビームを消し、ビーム発生器を収納する。

 

「感謝する。詳しい事情を聞かせて貰いたい。同行してくれ」

「……」

「スズ」

「スズ君」

「!」

 

 迷っていると後ろから声が掛かり、シグナムとシャマルが近付いて来る。

 

(何故来た! 下がれと言っただろう!)

(私とシグナム以外の皆は結界内から撤退させたわ。それに涼君、左足が大変な事になってるわよ?)

 

 改めて左足の状態を見ると装甲が融解し、『NT-D』を使用した際に無理矢理展開した事で最早原型を留めていない。痛みを無視出来ているのは『NT-D』を起動しているからだろう。

 

(すぐに治療したいから『ユニコーン』を解除してほしいけど……ここじゃ無理よね)

(とりあえず、同行しよう)

(よろしいのですか?)

(他の皆は撤退済み。俺達3人なら大抵の状況は何とかなる。ここは同行して、管理局の持っている情報を集めよう。ついでに足の治療も並行して頼む)

 

 納得した2人の同意を得て、執務官とやらに向き直る。……と、その前に両肘のバインドが邪魔だな。……解析完了、解除。

 

「なっ……一瞬で侵食から破壊を!?」

「この程度なら俺達の仲間の方がもっとマシなバインドを展開するぞ?」

「何だとっ……!?」

 

 つい身内自慢をしてしまった……。いや、だってなぁ……。実際なのはのバインドはもっとややこしい構成だし。

 

(お話はそこまでにしておいてもらってもよろしいでしょうか?)

 

 俺の物ではない空中投影ディスプレイが現れ、映し出された大人の女性が剣呑になりかけた空気を払拭する。

 

「そうですね。そちらの『バンシィ』にやられた足の治療もしたいですし」

 

(ご同行して頂ければ治療施設の提供を致しますが?)

 

「ええ、お願いします」

 

(ではクロノ執務官、この方々をアースラまでご案内して頂戴)

 

「了解。……それじゃあ転移する。余計な抵抗はするなよ?」

「分かっているさ」

 

 執務官が展開した術式に乗って、アースラと言う場所まで転移する。

 

 

 

 

 

 アースラの転送ポートに着いた所で、俺が『NT-D』を維持出来る限界時間が来てしまった。サイコフレームの光が失われ装甲とアンテナが閉じ、全身から脱力感と筋肉痛、左足からは激痛が走る。飛行魔法を維持して、地面から数cmだけ浮いていられたので、倒れずに済んだのは幸いだった。

 

「ぐぅ!?」

「スズ! シャマル、治療を!」

「分かってるわ! スズ君、左足だけだせる?」

「や、やってみる……。左脚部、強制解除(パージ)

 

 『ユニコーン』は俺の意を汲んで、左の大腿から先の装甲を粒子化してくれた。

 

「これは……酷い……」

「まずは折れた骨を復元するわ。動かないでね。お願い」

 

≪Ja.≫

 

 シャマルはベルカ式の魔法陣を展開し、両手を俺の左足に翳す。彼女の魔力がクラールヴィントを通して治療の効果を生み出し、折れて捩れた足の骨を瞬く間に元の状態へ戻していく。

 

「次」

 

 焼け爛れたと言いうより、溶けたと言うべき皮膚と筋肉の治療に取り掛かる。翳した手はそのまま、俺は何が起こっているのか分からない内に筋肉はもちろん、皮膚までもが元通りなる。

 

「凄い、な……」

「もちろんよ。これが私の本領なんだから」

 

 足の痛みが突然無くなった事に驚いてぽつりと洩らした感想に、シャマルは得意げに返し念話で言葉を続ける。

 

(それに涼君の身に何かあって悲しいのは、はやてちゃんやなのはちゃんだけじゃないんだから)

(……済まなかった)

(分かればよろしい!)

 

「まさか医務室に行くまでも無く、治療を終わらせてしまうとは思いませんでした」

 

 仮面の奥で微笑んでいたが、言葉を放った執務官に向き直る。

 

「私達の大事な仲間に、貴方達の手を触れさせる訳無いですもの」

「なっ」

 

 何の抑揚も感じられない声で返したシャマルは、いつもの柔らかな雰囲気とは一転、慈悲すら持たない冷酷な雰囲気を纏っていた。

 

「執務官、案内しろ」

 

 俺の一歩前に出たシグナムまでもが、まるで触れたら切り捨てると言わんばかりの威圧感を放っていた。

 

「っ……わ、分かった。付いて来いっ。『バンシィ』、お前の処分は後で決定する。自室に戻っていろ」

 

 言われた本人は、執務官が歩き出した方向とは別の方向へ歩き去った。

 

「スズ君、大丈夫?」

「あ、ああ。大丈夫だ、問題ない」

 

 さっきの雰囲気が嘘のように無くなり、心配そうな声で話し掛けられ戸惑ってしまった。

 駄目だな、集中し直さないといけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「艦長、現地の魔導師3人を連れてきました」

「お通しして下さい」

 

 応接室と思しき部屋に通された俺達は、内装を見て唖然としてしまった。赤い敷物に座布団、番傘といった茶屋の様な内装に加え、鹿威しと来たもんだ。近未来的な廊下を歩いていたと思ったら、急に昔の茶屋風の部屋に通される。これで驚かない方が驚きだ。

 

「どうぞ、お掛けになって下さい。クロノ執務官はこちらへ」

「はい」

 

 今は治っているが、正座出来ない俺の為に腰掛け椅子が用意されている所は好感が持てる。

 

「出来ればバリアジャケットと、『バンシィ』を解除して頂けませんか?」

「突然襲い掛かって来た相手に無防備になれと言うつもりか」

「それとも貴方達は何の対策も無しに敵地に乗り込めるとでも言うつもりかしら」

 

 椅子に座る事無く、いきなり辛辣な事を言った2人に俺は驚きを隠せない。

 

(2人共、落ち着いてくれ)

(いや、しかし……)

(確かに文句はある。だけどそれ以上にやらなきゃいけない事があるだろう)

(それは……はい……申し訳ありません)

(ごめんなさい……。私情を優先しすぎていたわ)

(なのは達にも言ったけど、反省しているならそれでいいんだ)

 

 艦長と呼ばれた女性は、会話の区切りがついた事を察して話し始めた。

 

「その件は、私の監督不行き届きが原因です。大変申し訳ありませんでした」

「……謝罪を受け入れます。それにもう怪我は治っていますので、この件はお仕舞いにしましょう」

「寛大な措置、感謝致します。では改めまして……私は時空管理局提督、この次元航行艦アースラ艦長、リンディ・ハラオウンです」

「ご丁寧にどうも。俺は『ラプラス』のリーダー、スズです」

「『ラプラス』メンバー、シャマルよ」

「同じく、シグナムだ」

 

 この人……『感覚』を使っているのに物凄く読み取りづらいぞ!? この若さで提督って言う位だから、色々な修羅場を(くぐ)ってきたんだろう。…………ちょっと待てよ? その隣に居る執務官の名前もハラオウンとか言ってなかったか?

 

「クロノ執務官もハラオウンと……」

「ええ、息子です」

 

 ま、まじでか……。あー、桃子さんという例があったわ。有り得なくは無いか。

 

「そうですか……。っと、申し訳ありませんが、バリアジャケットとこの『バンシィ』の解除は認められません。理由は先程も言った通りです。艦長である貴方なら、俺達の考えはお分かりでしょう?」

「ええ、それはもう」

 

 笑みを崩さない分余計にやり辛い。しかもこっちが少しでも油断した瞬間、そこを起点に切り崩す気だって意思を隠しもしない。本当に顔が隠れてて良かったと思うよ。

 

「では本題……俺達の事について、管理局の事について、話し合いをしましょうか」

「あら、お早いのね」

 

 うっさい! 舌戦なんてした事無いから、こっちはいっぱいいっぱいなんだ! マルチタスクフル活用で対応しても、やられる気しかしないんだよ……!?

 

(舌戦というか情報戦は初めてだから、もしもの時は手を貸してくれ……)

(任せて頂戴。出来る限りのサポートはするわ)

(わ、私はこういった事は苦手なので、補佐に回ります……)

 

 シグナムは戦闘専門だから仕方ない。シャマルには頭が上がらない……。

 

 …………よし、逝くぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何とか……なるかなぁ……?




 対『バンシィ』の前哨戦みたいな感じになってしまいました。

 戦闘描写が物足りなさを感じます。もっとじっくりねっとり描写したいのですが、そうなると文字数が半端無い事になりそうなんですよね。
 いっその事、戦闘のみの回を設けるとか?


 次回は……次回も? 主人公の胃にダイレクトアタックしそうな説明回ですかね。早く『バンシィ』と戦わs(ry



 ではまた次回で。
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