魔法少女と一角獣   作:牡蠣専用鍋

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 こんばんは、牡蠣です。

 完成はしました。したのですが……。

 とりあえず、日常?パートは今回まで。次回は戦闘が入る予定なので、頑張ります。



 それでは、今回も楽しんでくれるとありがたいです。


魔法少女と友達 一角獣、惑う

「あなたが……バナージさんなんですよね?」

 

 私は最後の確認として、目の前にいる彼に問いかける。

 

「ああ、そうだよ。クイズ、簡単だったかな?」

「そこそこ、かな。友達と一緒に……アリサちゃんとすずかちゃんと一緒に色んな人に聞いてまわったからすぐに分かったよ。でも、あんまり楽しくなかったの」

「まあ、あんまりいい噂じゃないからな」

 

 そう言って苦笑いをして、人間らしい反応を見せたことで謎の違和感から解放される。漸く動けるようになったアリサちゃんとすずかちゃんがこちらに寄ってくる。

 

「あんたが……じゃなくて、あなたが浜寺って人なんですね。あれだけボロクソ言われてる人だから、もっと奇人変人を想像しちゃいましたよ」

「あ、アリサちゃん……」

 

 挑発的でからかうような言い方に、(たしな)めるような視線を向ける。

 

「期待に応えられなくて悪いな、アリサ・バニングスさん」

「え……どうしてアタシの名前を……」

「君、結構有名なの知ってる? それに月村すずかさんとなのは、3人でひとまとめのグループとして、だけどな」

 

 知らなかったの……。そんなに有名だったんだ……。

 

「その人を食ったような態度、それに一目見た時の変な感覚、そりゃあんだけ言われて当然かもね」

 

 早速敬語すら使わなくなったアリサちゃん。喧嘩腰に見えるけど、「でも」、と続ける。

 

「あんたは悪い人には見えない。少なくとも、アタシは嫌いじゃないわ!」

 

 うん、やっぱり彼女は凄い。1度見ただけなのにその人の本質を見極めてしまう、トンデモ才能の持ち主なの。

 

「そうか……。みんな俺を見ただけで変な顔して避けていくのに、そんなふうに言ってくる人は初めてだ」

 

 浜寺さんは柔らかな笑みを浮かべ、アリサちゃんはいつもの勝ち気な笑みを浮かべる。なんか通じ合ってるみたいで不快なの。

 

「あの……浜寺さん……」

「ん? どうかしたの?」

「あなたは、この学校で何て言われてるか知ってるんですよね? なら何でそんなに平気でいられるんですか? 辛くないんですか? どうして……」

 

 さっきからずっと俯いたままだったすずかちゃんが今にも泣きそうな顔で、私たちが話を聞いてまわってる間ずっと思っていた事を聞く。

 

「どうして、笑っていられるのか……か」

「っ! はい……」

「うーん、そうだな。決して辛いワケでも無いし、ずっと平気ではいられないよ」

 

 そう言われて、浜寺さんが何を言いたいのかよく分からなくなる。

 

「それにさ、どっかの誰かも言ってるじゃないか。顔で笑って心で泣くってさ」

「そんなに辛かったのなら文句の1つでも言い返してやればいいじゃないのよ!」

「言ったさ。言ってちゃんと聞き入れてくれる人がいれば、今頃こんな噂は流れてなんていない」

 

 私たちが何も言えなくなっていると、そのまま言葉を続ける。

 

「まあ、俺の噂よりも先に方を付けようか。月村さん、君が何かを隠しているようだけど、ソレが何かは知らない」

「っ!? そ、それ……なんで……?」

「だけど、ここにいる君の友達は、ソレを知って気味悪がって離れていくような人間か?」

「それは……そんなこと……」

 

 いきなり話題が変わったのもあって、2人が何について話しているのかは分からない。けど、すずかちゃんの抱えている悩みについてって事だけは分かるの。

 

「すずかちゃ「すずかっ!」……あう」

 

 出鼻を挫かれたからここはアリサちゃんに任せるの……。

 

「アンタ、アタシを馬鹿にしてない? 何かを隠しているのは知ってたけど、あえて聞かないでおいたのよ。だけどそんなに気にしてるのなら言ってやるわ!」

 

 『ビシィッ』と効果音が付きそうなくらい勢い良く人差し指をすずかちゃんの鼻先に突き付けると、実にらしく宣言し始めた。

 

「別に抱えてる秘密を今話す必要は無いわ! でもね、アタシはそんな隠し事くらいで友達やめるなら、初めっから親友なんかやってないわよ! ホラ、なのはからもガツンと言ってやりなさい!」

「わ、私も! すずかちゃんの事大切な親友だって思ってる! だから、えっと……なんて言えばいいんだっけ?」

「バカなのは! こういう時気の利いた言葉くらい言えるでしょうが!」

「で、でもアリサちゃんが言いたい事全部言っちゃって……」

「ふ、ふふふっ」

 

 なんだかんだで結局いつもの空気になってしまったけど、どうやら結果オーライ……なのかな?

 

「ま、話したくなったらいつでも言いなさいよね」

「うん、アリサちゃん、なのはちゃん、ありがとう」

 

 目尻に涙を溜めながらも笑ってくれたから、もう大丈夫みたい。

 

「浜寺さんも、ありがとうございます。もしかして、こうなる事が分かってて言ってくれたんですか?」

「さあ、どうだろうな。『カン』で言ってみただけだし」

 

 ニヤリと悪戯が成功したような顔で笑う浜寺さん。私は苦笑い、2人はポカンと口を開けててちょっとカワイイ。

 

「あ、アンタねぇっ! 馬鹿にするのも大概にしなさいよ! ちょっと見直したのに、もう敬意なんて払ってやらないんだから! アンタなんか涼って呼んでやる! さんなんか付けてやらないから!」

「アリサちゃん、落ち着いて。浜寺さんのおかげで私の悩みも解決したんだし、ね?」

「う~、納得がいかないわ。思ってたより悪くないっていうか、かなりいい奴みたいだってんだから余計にモヤモヤする!」

 

 色々言ってるけど、あれって感謝の裏返しみたいなモノなんだよね。何だっけ……つんでれ? 後でお姉ちゃんに聞いてみようっと。

 

「なのは! 何ニヤニヤしてるのよ~」

「ふぁ、ふぁいふうお~(何するの~)」

 

 からかった時毎回ほっぺた引っ張るはのやめてほしいの……。

 

「まったくもうっ。涼!」

「はいよ」

「えと、その……あ、ありがと! すずかの悩み解消してくれて! 悔しいけど私となのはじゃ何も出来なかったし……」

「気にしないでくれ、モヤモヤを抱えたままだと気持ち悪いしな」

 

 何てことはない風に言うけれど、一言二言であっさりと解決させる浜寺さんも浜寺さんなの。言葉の重みが中学生ってレベルじゃないの。

 

「はぁ、じゃあこれでアンタとアタシは友達よ!」

「……は?」

「アリサちゃん、話飛ばし過ぎだよぉ」

「浜寺さんも困ってるの」

「何よ、そんなにアタシと友達になるのが嫌なワケ?」

 

 そうじゃないんだけどなぁ……。

 

「いい? 1回しか言わないからよく聞きなさい! 涼、アンタはアタシ達の悩みを解決してくれた。んで、そのお返しにしてやれる事を考えた結果、友達になるってことにしたの。分かった?」

 

 それ、単に「アンタ友達居ないみたいだからアタシがなってあげる」っていう、とっても失礼な言い方なの。

 

「へぇ、言い方はちょっとアレだけど、悪気はないみたいだな。なら、俺達は友人だな、これからよろしく」

「えぇ、これからよろしくお願いするわ」

 

 またしても通じ合ったみたいに二人共笑い合ってる。でも、その笑い方があくどい……。越後屋とお代官なの……。

 

「それじゃあ知ってるみたいだけど、改めて名乗らせてもらうわ。アタシの名前はアリサ・バニングス。気軽にアリサって呼びなさいよね!」

「あ、えと、月村すずかです。すずかって呼んでもらって構いません。」

 

 すずかちゃん、しれっと自己紹介してる!?

 

「じゃあアリサ、すずか、これからよろしくな」

「え!? 私はスルーなの!?」

「冗談だよ冗談、なのはもよろしくな」

「ついでみたいな感じがするけど……涼さん、よろしくお願いします!」

 

 

 

 

 結果から言うと、私は涼さんに付いて行くことにした。それは何故かと聞かれると、『カン』が言う可能性と希望ってモノを見てみたかったからなのかもしれない。結局はまだまだ感覚に頼りすぎて、自分の想いを強く持ててないって事なのかな? でも、後悔はしないの。感覚でも想いでも、自分で選んだって事には変わりはないから。

 だから、今はまだ分からない事ばっかりだけど、私が出来る事を精一杯やるの。

 

 

 

 

「ところで、涼となのはは知り合いだったみたいだけど、一体いつ何処で知り合ったのよ?」

 

 

 とりあえずは、この言い訳から。

 

 

「ああ、その事な。この前なのはが夜の動物病院に、フェレットを迎えに行った時に会ったんだよ。女の子が夜道を1人歩きするのは良くないからって、途中まで送ってやって、その時自己紹介したんだ」

 

 

 考える必要は無かったみたいです……。とにもかくにも! 小学生兼魔法少女、高町なのは頑張ります!

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 あれから塾に行くというなのは、アリサ、すずかの3人を途中まで送った後まっすぐ帰宅する。数日ぶりに、誰かとたくさん喋ったからだろう。どことなく家が広く感じる。

 

「さてっと」

 

 身体の空気を入れ換えて、気持ちを切り替える。ここからは魔法の時間だ。

 

「『ユニコーン』、準備はいいか?」

 

 ……問題ないみたいだな。

 

「マルチタスクの思考全部をシミュレーション訓練に割り当ててくれ。俺はジュエルシードの探索に行く。何かあったらすぐに展開出来るよう、起動準備だけは頼む」

 

 ふむ、任せろ、か。まだまだ謎の多い機体だけども、頼りになることこの上ない。早速着替えて家を出る。誰かが回収していなければだが、後18個もある筈だから見つかるといいけどな。

 

 

 

 

 探索の結果、1時間程探査魔法を走らせながら歩いて1つ見つけ簡易封印に成功。こんな簡単に事が運んでいいものかと思うが、油断した時に限ってロクな事にならない。訓練を終了して注意力を上げておこう。

 と思ったらこれまたあっさり釣れた。魔法技術の存在しない世界だと理解しているようで認識阻害魔法を使っているから助かるが、いきなり上空から近付いて来るのは心臓に悪い。まずは人気の無い所まで行こう。

 

 

 すっかり日も落ちて人の居なくなった公園に着くと、なんと追跡者はあろうことか空から話しかけてきた。見られたらどうするんだよ……。

 

「あなたが手に持っている青い宝石、渡してください」

 

 丁寧な口調だが、有無を言わさない空気を纏っている。気付かないフリは出来ない。ならば話し合いに持ち込もう。そう思い声のした後方上空に視線を向けて、我が目を疑った。

 

「な」

「渡してください。さもなくば攻撃します」

 

 レオタード。そう、黒いレオタードなのだ。バリアジャケットの特性上、極限環境でもない限り最悪パンツ1枚でも大丈夫だ。しかしこれは『無い』。それに加え、そもそも隠す事を前提としていないスカート、際どさを引き上げるハイソックス、一応防御に使えない事もない謎マント。これを金髪ツインテールの『小学生程の女の子』が身に着けているのが問題なのだ。もしこれが一般人やそのテの奴らに見られでもしたら、目も当てられない惨事になること間違い無い。

 

「あの、聞こえてますか?」

 

 俺が一般人でもそのテの人間でも無かったから良いものの、これは流石に拙い。空飛ぶ少女に男子中学生。どう見てもヤバい絵面だ、主に俺が。まず間違いなく俺が国家権力のお世話になってしまう。それを回避する為には、この少女の格好を正す事からしなければ!

 

「あ、あの……話を……」

「あ、ああ、すまない。考え事をしていて呆けていたんだ。コレだろう?」

 

 ちょっとオロオロし始めた……可愛い。じゃなくて! 格納領域からポケットにジュエルシードを転送、それを取り出すと明らかにコレしか目に入ってない少女が降りてきて手を伸ばしてくる。

 

「待ってくれ、コレを渡す前に少しだけ話を聞いて欲しい。聞いてくれたら渡すから、な?」

 

 何が「な?」だよ! どこからどう見てもそのテの人間の言い方じゃないか……。

 

「……分かりました。話を聞くだけでいいのなら」

「え゛!?」

「え!?」

 

 おっといけない、先ずは少女の恰好を指摘しなければ。

 

「いや、何でもない。聞いて欲しいのは、君の格好についてだ」

「わ、私の? 普通は『聞きたい』じゃないんですか?」

 

 くそぅ、普通じゃない少女に普通について言われた……。

 

「正確に言えば君の格好について、俺が一言言いたいんだ」

「そうなんですか」

 

 そうなんです。

 

「まずどう見てもおかしい。この国でそのような恰好は、どんな事があろうとしないんだ。居たとしても、年に1、2回くらいしかしない」

「そ、そうなんですか……。かっこいいのに……」

 

 それカッコイイとか思ってたのか!? 落ち込む姿もまた……じゃない。

 

「か、カッコイイと思うなら、本当に重要な時にしかしてはいけないんだ。所謂勝負服というヤツだ」

「勝負服……!」

「因みにその恰好のコンセプトはどういうものなんだ?」

 

 何聞いてんだ俺。

 

「えっと、機動力を重視しつつそれなりの防御力を兼ね備えた万能型、です」

 

 マントを広げて全身を見せながら、得意げな顔で解説してくる。うん、いい眺め……ん? ちゃっかり情報ゲットしてしまった。

 

「お、おお、なかなかいいんじゃないか? 君がその恰好を本当に気に入ってるのは良く分かった。だからこそ、そういうのは見せびらかしちゃいけないんだ」

「分かりました。大事な勝負の時でしか着ません」

「後、この国では人は飛ばないんだ。だからさ、俺も含めてこの石を持っている人に近付く時は、飛ばずに、普通の服で話しかけるんだ。分かったかい?」

「はい、分かりました。飛ばない、勝負服は着ない、ですね」

 

 なんて素直な子なのだろうか。ていうか勝負服っていうフレーズ、気に入ったんだな……。

 

「よろしい、俺との約束だ。これはその証にやろう」

「証……はい!」

 

 そう言ってジュエルシードを差し出す。少女はそれを両手で大事そうに受け取ると、キリッとした顔を向ける。

 

「ありがとうございます。約束、必ず守ります……!」

「うむ、なら、敬語もいらないぞ。えっと……」

「フェイト・テスタロッサ、フェイトでいいで……いいよ」

「俺の名前はり……っ」

 

 何でこんな時に? いや、ここは従っておこう。

 

「り?」

「いや、何でもない。俺の名前はスズっていうんだ」

「スズ。うん、分かった」

 

 ただ単に涼の読み方を変えただけだが大丈夫か?

 

「それじゃあ、また?」

 

 首を傾けて聞いてくるフェイトに胸が高鳴っ……たら駄目だろ。

 

「えっと、向こうの方角に一つだけ家があるんだ。俺はそこに住んでる。話がしたかったらいつでも来るといい」

 

 え、何で家の場所教えてるんだよ。拙いだろ……え? 拙くない?

 

「あっちだね。それじゃあスズ、またね」

「ああ、またな」

 

 そう言って認識阻害魔法を使ってから飛び去っていくフェイトを見送る俺。

 

 

 ……あれ?

 

 

「ジュエルシード渡してしまった……」

 

 

 今日の探索は無駄になったということか!? なんてことだ。フェイトに会っておかしくなってしまったのか? 明日こそ気を引き締めなければいけないな。そうと決まれば……帰るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジュエルシード探索、失敗。理由:フェイトに惑わされた結果、渡してしまったから。




 後書きにて一言、どうしてこうなった。

 順調に書き進めていた筈なのですが、気が付けばちょいと変態チックな道に逸れかけている事実。やはり戦闘が絡まない回はおかしくなるようです。

 これでいいのか? いいわけが無いでしょう。

 次回こそ、真面目に格好の良い戦闘がしたいです……。



 ではまた次回。
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