織斑一夏は男の娘   作:フリスタ

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第01話「織斑一夏は男の娘?」

 

 

 みなさん初めまして。

 

 僕の名前は織斑(おりむら)一夏(いちか)って言います。

 

 仲の良い友達は「いっちゃん」とか「一夏」って呼びます。

 

 僕はついこの間、中学を卒業したばかりです。

 

 そして、僕の目の前にあるこの大きくて近未来的な建物。

 

 これがIS学園です。キレーですね~。強そう(?)ですね~。

 

 なんか変形して大きなロボになったり、

 

 プールが割れる様に開いて大きなロボが出てきても不思議じゃないです。

 

 

 

 

 

 【IS】 正式名称、インフィニットストラトス。

 

 世界最強の兵器と言われています。

 

 ですが万能ではありません。

 

 女性にしか使えないモノで、男性が使う事は出来ません。

 

 良く分かりませんがそーゆー兵器らしいです。

 

 この兵器のおかげで女尊男卑。女性の方が強いんだーという感じになり、

 

 男性の肩身は狭くなっていきました。

 

 男と女で戦争をしたら男が勝つ! と言うのはかなり前の話。

 

 大変ですね……。

 

 でもそーでもないかも。だって仲良くしてれば戦争なんて起きないしね。

 

 

 

 

 

 あ~話しを戻しますね。

 

 このIS学園はそんなIS使用者を育てる学校らしいです。

 

 どうして僕がここにいるかと言うと、

 

 誰かにお弁当を届けに来たとか、

 

 散歩してたら通りかかったとかじゃありません。

 

 え? 生徒なのかって? ……い、一応今日からそうですけど、

 

 僕……男ですよ?

 

 えー……嘘付くなって? 女だろって? 男がISの学校に来た理由?

 

 あんまり性別の事は触れないでください。中学の時も大変だったんです。

 

 あ、えっと理由でしたね。それが……僕、動かしちゃったんです。IS。

 

 

 

 

 

 あれは中学卒業を控える寒い時期。

 

 幼い頃に両親に捨てられて、お姉ちゃんと二人暮らし、

 

 千冬お姉ちゃんに養ってもらってて、

 

 家事とかマッサージとかだけで恩を返してるのも申し訳なくて、

 

 学費が安くて就職率が高い学校【藍越(あいえつ)学園】を受験したんです。

 

 したんですけど……。

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

「受験者ね? そこの部屋で着替えて準備して。時間ないから早くね」

 

 そんな! 着替えなんて持ってきてないよ!?

 

 試験は着替えて行うものだったのか! カンニング対策かな~?

 

 でもそんなことよりも、着替えなんて何もないよ~。

 

 試験官さんは忙しいのかコチラを一度も見てくれない。

 

 声もかけづらいし……。

 

 仕方なく、言われた部屋に入るとボヤっと優しい光を放つ機械がある。

 

 あ~テレビで見た事がある。ISだ。

 

 僕は何気なく触れてしまう。すると、膨大な情報が頭の中に染み込んでいく。

 

「ぉぉ? って、あー! 勉強したこと忘れちゃう!! 止めて止めて!!」

 

 しかし、止まることも無く、僕の身体はISに包まれていた。あれ、何で?

 

 ISの動かし方が分かる。一応勉強したことも覚えてる。でも……

 

「僕 男なんですけど!?」

 

 そう、女性にしか使用できないはずのISは僕が意識したとおりに動きます。

 

 ガチャ

 

「準備できた? はいじゃあコッチね」

 

「あ、いや、あの……僕、その……」

 

 

「ボクっ娘!? うわ、良いわね。キャラ立ってるわね。はい、そこを左」

 

 おぉ!? 良く分からないけど高評価!? 試験受かる!?

 

 そっか、そういえば面接もあったんだっけ? でも筆記の後だったような……。

 

 そんな違う事を考えつつ、僕はグイグイ押されて……。

 

『じゃあ試験開始しますよ~? 』

 

「へ?」

 

 

『試験官の山田って言います~。適性を見るだけだから撃墜されても気にしないで普段通りに落ち着いてやってくださいね?』

 

「へ?」

 

 適性試験? ISで? 何で普通の学校でIS使うの? 普段通りも何も初めてだよ?

 

『ではレディ~GO~♪』

 

「うわわわわわっ!」

 

 頭の中は筆記試験でいっぱいいっぱいだった。

 

 でも迫って来る試験官さんのIS、撃って来る砲撃もかわし、落ち着いて……

 

「落ち着けない~!!」

 

『あらあら、凄く早いですね~。少し待って下さいね~。じゃあ少し適正レベルを上げて~……』

 

 試験官さんは何かを操作しているようだ。今のうちに考えよう。どうしたら良いか?

 

 何か設定を弄っているらしい試験官さんを見ながら深呼吸をする。

 

「落ち着け~。夢じゃない。とりあえず分かんないけど撃墜されても試験に落ちる訳じゃないらしい。でもこれが終わったら筆記試験だろうから撃墜されると、IS特集のテレビを見る限り、体力的に辛そうだ。そんなんじゃ試験中に眠っちゃうよ……って事は、逆に落すのが早い! 武器、武器は?」

 

 独り言を呟きながら冷静になり今の状況、打開策を考える。

 

【近:近接戦闘用ブレード】

【中:アサルトライフル:試験により使用制限】

【遠:ミサイルポッド:試験により使用制限】

 

 刀が一本。……試験官さん撃って来ましたけど!?

 

『では行きますよ~♪』

 

「へぅっ!? や、やるしかない!」

 

 先ほどの様に突撃して来ない試験官さんは距離を取る。

 

 そして……。

 

『避けられますかね~?』

 

 眼の前に広がる様に展開された鉄の細い棒。

 

 棒の後ろの方には火が付いているみたいに見える。

 

 近づいて来るにつれて細い棒は太く見えてくる。ちなみに目算で8本。

 

「み、ミサイル~!?」

 

『おぉ! 凄いです凄いです~!』

 

 

「くっぬっ……いりゃあ!……ケホッケホッ……あ~危なかった~」

 

 何とかミサイルを避けきり、2本斬りおとした僕は爆風に咳き込んだ。

 

『はい、良く出来ました。でもここまでですね』

 

 そう言って遠くにいたはずの試験官さんは、

 

 超高速で接近して来て薙刀を振り下ろしてきた。

 

 でも、僕はその薙刀をかわした。

 

『あ、あら……?』

 

 試験官さんは僕に触れることなく空振りし、

 

 勢い余って壁に激突しダウンした。

 

『ふ、ふぎゅう……』

 

「……えーと……えいっ」

 

 金属同士が触れ合うような優しい音色を奏でると、電子音が鳴り、ISが表示する画面が現れた。

 

 【試験官機撃墜。お疲れさまでした】

 

 そのメッセージを見て、僕はさっきの部屋に戻る事にした。

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 で、戻ったら警備員さんとか先生とかに取り押さえられて、

 

 「あなたは誰!?」って……その時やっと気付いたんです。

 

 あぁ、試験会場間違えてたんだって……。

 

 どっかで間違えて【IS(あいえす)学園】の試験会場に入っちゃったんだ。

 

 そこで中学の生徒手帳とか受験票とかでやっと僕が男だって分かってもらえて、

 

 「男!?」って大騒ぎになって。数時間後やっと解放されたと思ったら、カメラに囲まれていたんだ。

 

 手で目元を隠した自分が映っている報道番組を無心で見て、外に出る事も出来ず、

 

 しばらくは自宅謹慎みたいな感じにもなって大変だった。

 

 買い置きの食料が尽きたら、カップ麺で、それも尽きたら非常食で何とか乗り切った。

 

 そして、少し前に久々に帰って来たお姉ちゃんが入学手続きを済ませていて……。

 

 

 

 

 

【2週間前の事】

 

 ポシャ

 

 そんな音を立てて 頭の上に薄いビニールに包まれた衣服が置かれる。

 

「あ、お姉ちゃん帰ってたの!?」

 

「そりゃ帰って来る。私の家だからな」

 

 

「コレって何?」

 

「IS学園の制服だ。入学手続きも終わったぞ」

 

 

「え……あ、藍越学園受け直したんだよ!? 合格通知も来たのに!」

 

「ISに乗れる世界で唯一の男。実験動物で研究所にぶち込まれるのとどっちがいい? あそこならどこの国も手出しできない。とりあえず3年間は身の安全は保証される」

 

 

「え、あ……ありがとうございます……うぅ」

 

「ふふ、そう気を落とすな。初の男子生徒と言う事の上に適正値は高く、学費はほぼ特待生扱いになってタダになったわけだし、IS学園も普通の高校と大差ない。充実した学園生活を送れるかどうかはお前次第だ」

 

 勝手に進む話に涙が溢れてきたけど、学費がタダなら更に負担にならないかと打算的な事を考えてしまう。

 

 でもなぁ、うーん。別に充実しなくても、

 

 すぐに働いてお姉ちゃんの助けになればソレで良いんだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 ――――と、そんな訳で、今日からこのIS学園で勉強に励むことになりました。

 

 でも、世界で唯一ISを使える男って事で、知らない人たちに囲まれるのが眼に見えるようで嫌だった。……そのはずだったけど、やっぱりどーでもいいのかな?

 

 誰もその事に触れて来ない……。

 

 ふふふ、空気を読んでくれて助かるよ。IS学園サイコー!

 

 

 

 教室の自動ドアが開く。

 

 そこには僕達とは違う私服の人が入って来る。

 

「皆さん入学おめでとう。私は副担任の山田(やまだ)真耶(まや)です。今日から皆さんはこのIS学園の生徒です。この学園は全寮制。学校でも放課後も一緒です。仲良く助け合って楽しい3年間にしましょうね」

 

 うんうん。周りは女の子だけしかいないけど。

 

 僕が男だと言う事には不干渉の暗黙のルールが敷かれてるみたいだ。

 

「先生質問でーす」

 

 女の子の一人が手を上げる。

 

 あぁ、「先生恋人はいるんですかー?」「あはははは~♪」「うふふふふ~♪」

 なーんて初々しい感じの質問から僕の学園生活が始まるんだな。

 

「噂の男の子はウチのクラスだって聞いたんですけど? デマですか?」

 

 うんうん……うん?

 

「え、えっとそれなら私の目の前に……」

 

 山田先生の声に視線を一斉に浴びた。……気がする。

 

 僕は一番前の席で真ん中だから怖くて後ろを見ることも出来ないけど。

 

 ……背筋が冷えた! ぞわっと来たよ! やっぱりすっごい見られてる気がする!

 

「やっぱりそうだったんだよ! ホラ! 一人だけズボンじゃん!」

 

 チクッ チクチクッと針でつつかれる感覚がする。

 

「えー! だって女の子にしか見えないよ!?」

 

 グサッと矢が刺さった感覚すら覚えた。

 

「どっからどー見ても女の子だよね!? 髪すごく長いし」

 

 グサ! グサグサグサッ! それも無数にね!!

 

 言葉という凶器が僕を貫いて行く。

 

「ひ、酷いよ……」

 

「あぁ、お、織斑君? 気を落とさずに……ね? そ、そうだわ。自己紹介から始めましょうか。えっと、出席番号順でやろうかと思ってましたけど……織斑君から始めましょうか」

 

 自己紹介?

 そうだ! ここでちゃんと男ですって言えば誤解されなくてすむよね?

 

 僕は男らしく立ち上がり、後ろを向いて挨拶をした。

 

「えっと、僕は織斑一夏です! 友達は『いっちゃん』とか『一夏』って呼びます。見ての通り正真正銘の男です。よろしくお願いします!」

 

「えー……正真正銘女の子だと思ったのに~」

「いっちゃんって……ね~」

「見ての通りじゃないよね~」

 

 ダンッ! 火薬が炸裂したかのような衝撃を額に覚える。

 

 銃弾にも撃ち抜かれたようだ。全て幻覚だけどね!!

 

 そんな中、再び教室の自動ドアが開いた。

 

「貴様らは学友の自己紹介もまともに聞けんのか!」

 

「え!? 千冬お姉ちゃん!?」

 

 ぺちっ

 

「いたっ……えー……?」

 

 額にデコピンを受ける。額を擦りながら僕は千冬お姉ちゃんを見つめる。

 

「学校では『織斑先生』だ」

 

「先生。もう会議は終わられてんですか?」

 

「あぁ、山田君。クラスへの挨拶を押しつけてすまなかったな」

 

 何故にここに千冬お姉ちゃんがいるのか?

 

 職業不詳で、月に1、2回しか帰って来ない実の姉が……?

 

「諸君! 私が担任の織斑千冬だ! 君達新人を1年で使い物にするのが仕事だ」

 

「「「「「キャァァァァァァァァッ!!」」」」」

 

「千冬様! 本物の千冬様よ!」

「私、お姉さまに憧れてこの学園に来たんです! 北九州から!」

「私! お姉さまの為なら死ねますっ!」

「お姉さま! もっと叱って罵ってぇ!」

「でも時には優しくして~!」

「そして、つけ上がらないように躾をして~!」

 

 凄い大騒ぎになってる!? お姉ちゃん凄く人気あるんだな……。

 

「毎年よくこれだけバカ者が集まるものだ。私のクラスにだけ集中させてるのか?」

 

 若者? バカ者?

 お姉ちゃんは誰に聞こえるでもなく、頭を抱えてそう呟いた。僕には聞こえたけどね。

 

「え? じゃあ織斑クンって千冬様の弟?」

「それじゃあ世界で唯一ISが使えるって言うのも何か関係が……?」

 

「静かに! 諸君らにはISの基礎知識を1週間で覚えてもらう。その後実習だが、基本動作は半月で身体に染み込ませろ。良いか? 良いなら返事をしろ。良くなくても返事をしろ!」

 

「「「「「はいっ!」」」」」

 

 僕のお姉ちゃん。織斑千冬は第一世代IS操縦者の元日本代表です。ある日突然引退して姿を消しちゃったんだけど……。

 

 学校の先生やってたんだ……心配いらなかったんだね。

 

 

 

 気を取り直して副担任の山田先生が説明を始める。

 

 と言っても、誰もが知っている説明だった。

 

 ISは10年ぐらい前は宇宙で使うスーツとして開発されていたけど、

 

 今は競技種目とかのスポーツとして使用するモノ。

 

 アラスカ条約とかで軍事利用も出来ないようになってる。

 

 で、このIS学園は世界で唯一のIS操縦者の教育機関。

 

 世界中から沢山の生徒が来てる。

 

 IS操縦から製造まで幅広い留学生も多い。

 

 唯一分からないのは、僕が使えると言う事だ。

 

 だって、僕は男だよ? え、見えない? 冗談だよね?

 

 ……え?

 

 

 

 




感想は随時受付中です。



【簡単な設定】

織斑一夏(おりむらいちか)。

言わずと知れた(?)男の娘。

身長:148センチ

体重:38キロ


中学生の頃は友人から「いっちゃん」「一夏」と呼ばれていた。

普通に接されるのは良いが、過剰に「女だ!」というとヘコむ。


【見た目】

長い黒髪:結ったりしてない。伸ばしてるだけだが、割と綺麗にまとまっている。

目:パッチリお目々。イチコロだよ♪(なにを?)

※髪は姉である千冬から切る事を制限されている。



好きな食べ物:甘いモノ・お菓子なら何でもOK

※一日一つだけと千冬から制限されている。だが、IS学園に入ってから、というか、中学卒業からは自己責任という風にみられている。



世界初の男のIS適合者で、テレビなどのメディア報道があったにも関わらず、周りから初見でバレていないのは、手で顔を隠しているシーンしか報道されていなかったため。
※ツッコミ不可。 
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