織斑一夏は男の娘   作:フリスタ

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終わりが近い。近いよ~。

まだ2期の方を書くか考えてないw


第14話「男の娘……散る」

 

『マスター、作戦開始までもう少し時間がありますね~』

「あるね~、お、イチゴ味がやっぱり美味しぃ~」

 

 シューアイスとシュークリームを消化しつつリラックス。この時間がたまらなく好きだ。甘いモノに支配されるこの空間。たまに定時連絡とかがお姉ちゃんから飛んでくるけど、僕が緊張しない程度の内容や雰囲気にしてくれる。そんな時に白式は今回の作戦の問題点を挙げた。

 

『今回の作戦。箒さんが問題かと思われます』

「え、何で? 紅椿も束さんのおかげで調整完璧なんでしょ? 問題なんてないじゃないか」

 

 白式が言うには新たな力を得たから、それも今回に限っては圧倒的とも言えるほどの力だ。それを手に入れたから油断や慢心、それだけならまだしも、力に飲まれて自分を見失う事がある。ということらしい。

 

 というわけで、箒のとこにやってきましたよ~っと。ここは白式に教えて貰った通りに声をかける事にします。いつもと違う呼び方だから少し不安だけど……。こほんっ!

 

「ねぇねぇモッピー♪」

 

「怒らせたいのか?(ビキビキビキ……)」

 

 

 うん、失敗だコレ。BAD END……デレデ~☠

 

 

 

 

 

 Take2! ……もう一回。

 

「箒~箒~♪」

 

「何だ?」

 

 成功したよ!! やっぱ白式の言ったアプローチは怒られるよね。普段通りが一番さね。

 

「あのね、紅椿って凄いよね。速いしぃ、強いしぃ、紅いしさ」

 

「あぁ……色は関係ないと思うが……」

 

 関係あるよ! 戦隊モノでもレッドが主役でしょ!? ブラックも良いけどさ!! でもゴールドの徳山兄さんもカッコいいよね!

 

『マスター思考がズレています』

 

 あ、そうでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side 箒

 

「あのね、紅椿って凄いよね。速いしぃ、強いしぃ、紅いしさ」

 

「あぁ……色は関係ないと思うが……」

 

「えっと、そのね? その……大丈夫?」

 

「っ!?」

 

 その一言で一夏が何を言わんとしているのかが伝わって来た。『力に飲み込まれるな』と、そう言いたいのだろう。遂に手に入った私の専用機。その性能は規格外。更に他機種の追随を許さない第4世代型IS。間違いなく心は撃ち震え、どこかで全力でこの力を試したいとさえ思っていた。

 

 ふと、数ヶ月前の一夏を思い返す。ISを動かした初めての男性操縦者としてニュースになり、IS学園で再会したかと思えばチヤホヤされるのは当然、ましてや千冬さんの弟だ。騒がれないはずがない。そして、すぐに代表候補制と戦うことになり、専用機を宛がわれた。それなのにコイツは自分を見失わなかった。自分の出来ることを考えて、それを地道に繰り返してるだけだ。空回りしているのはいつも周りだ。

 

「わ、私は……」

 

「あのね、箒……その、よろしくね?」

 

 手を差し出してくる一夏。どうしてコイツはこんなにも強いんだ。腕力などで捻じ伏せることは出来るかもしれない。だが、コイツの心の強さには勝てない。そうだ。小学校の頃もそうだったか……?

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

「おーい男女~」

「今日は木刀持ってないのかよ~?」

 

「くっ……」

 

 少し男勝りな女子は『男女』だと言われる。男の輪に入ってくるな、という様な反抗だ。あの頃の私は当然、更に食って掛かった。男子とケンカすることも多かった。しかし―――。

 

「うるさいな~暇なら帰ってよ~、もしくは手伝ってよ~」

 

 

 そこにほとんどと言って良いほどに一緒にいたのが一夏だった。

 

 

「何だよ織斑、お前こいつの味方かよ?」

「この男女が好きなのか?」

「だよな~こいつ等夫婦なんだよ。知ってるんだぜ、お前ら朝からいちゃいちゃしてるんだろ?」

「だよなぁ、コイツこの前なんかリボンなんかしてたもんなぁ、笑っちゃうよな」

 

 手が出そうになった。悔しかった。そんな時に助けてくれたのも一夏だった。

 

「お姉ちゃんが言っていた。男がやってはいけないことが二つある。女の子を泣かせることと、食べ物を粗末にすることだ!」

 

 だが、それを先に手を出してたのが一夏だった。その姿は私にとって何とも輝かしいものに見えた。その拳は3人の男子を圧倒した。

 

 人差し指を天を示すように勝利のポーズを決める一夏がそこにいた。

 

 ……一応ではあるが、ここで勘違いしないでほしいのは、3人の男子は死んでいないという事だ。今頃どこかの高校で元気にやっているだろう。

 

 

 それはさておき、一夏は私の親がやっている道場の門下生だった。その日も放課後に道場に来た。練習が終わり、その日の事について私は話を振った。だが、いつもの事だが、感謝ではなく、どうしてもうまく伝える事が出来ずに、伝えたい事を楽な方に、厭らしい方にすり替える自分がいた。

 

「お前はバカだな」

 

「えー……どういう意味~?」

 

「あんなことをすれば、後で面倒なことになると考えないのか?」

 

「あー、考えないかも。許せないからやったことだしさ、だから篠ノ之さんも気にしない方が良いんじゃない? 前にしてたリボンも似合ってたんだしさ、またすればいいじゃん」

 

「ふ、ふん! 私は誰の指図も受けない! ……箒だ」

 

「ふぇ?」

 

「大体この道場は、父も母も姉もみんな篠ノ之なのだから、紛らわしいだろ。次からは名前で呼べ。良いな?」

 

 今振り返ってみても、なにも成長していない自分がいる。そして、一夏もまた何も変わっていない強いままだ。

 

 

「じゃあ一夏ね」

 

「え?」

 

「織斑も二人いるからね。僕の事も名前で呼んでよね、箒♪」

 

 ―――――その笑顔だ。そうだ思い返せば、その笑顔に私は全てを持っていかれた気がする。

 

 

 

 ちなみに、次の日あたりから他の男子からのイジメみたいなモノは無くなり……。

 

「お、織斑……こ、これ食べるか?」

「これもやるよ!」

「あ、俺のもあげる!」

 

「お菓子だ!! ありが―――!!」

 

 

「―――織斑君!! お菓子を学校に持ってきてはいけません!!」

 

「あーん!! 僕のお菓子ー!!」

 

 男子からも、好意を持たれるようになっていたがする。友情以上の好意を……もちろん。

 

「織斑きゅんって可愛すぎ……」

「抱きしめたいんですけど……」

「あ、鼻血が……」

 

 それよりもだいぶ前から女子からも同様だった気がする……。

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 ……少しずれたかも知れないが、一夏の言わんとしている事が分かった。

 

「あぁ、自分を見失うところだったな……よろしく頼む一夏」

 

Side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『11:25……そろそろ時間ですよマスター』

 

「あーい。箒~行こう~」

 

「緊張感というモノは無いのか……?」

 

「え、だって箒と一緒でしょ? 大丈夫だって~。じゃ、お願いね」

 

「……し、仕方のない奴だな。本来ならば女の上に男が乗るなど私のプライドが許さないが、今回だけは特別だぞ」

 

『大胆発言ですね~』

「んぅ? どういう事?」

 

『マスターったら相変わらず鈍いんですから、上に乗りたいって言ってるんですよ~』

「乗ってどうするの?」

 

「何を話してるか分からないが、一夏に不純な説明はするなよ? 白式」

 

 

『読まれましたね。相性(シンクロ)はバッチリみたいですねマスター』

「何だかよく分からないけど、行こっか!」

 

 どこへって? 『しるばりお・ごすぺる』って言う銀色の暴走ISを止めに行くんだよ。前回まで見てない!? いきなりここから読んでどうするの! はい、最初からどーぞ!!

 

『マスター。滅多(メタ)なことは考えないでください』

 

 巧い事言った。みたいな思考が入ってくる。今日も白式はノリノリのようです。

 

 

 

 

 でもって、作戦開始時刻となって超高速で飛んでいく僕達。何回も音速の壁を超えてポロポロと落ちて行くルマンドの食べカス。食べカスが後方に吹っ飛んでいかないのは、ISのシールドバリア? シールドエネルギー?の有効範囲が影響しているらしいけど、気にしない。飛んでても確かに風圧はそこまで強く感じないしそういうモノなんだろうと認識している。

 

「一夏! 食べるのを止めろ!」

 

 ゴォォォォォォォォォッ!!!

 でも音はスゴイ。何でだろう。箒が何か言ってるけど全然聞こえない。

 

「えー!? なーにー!? 美味しーよー!?」

 

 

「食べカスがこっちにも落ちてきてると言ってるんだ!」

 

 ゴォォォォォォォォォッ!!!

 

「食べたいのー!? あ……最後の一個だ……しかも少し食べちゃった……これで良い?」

 

「なっ!? 誰が食べたいと……!(食べかけ……間接……)い、頂こう!」

 

「あー!! 箒! 見えた見えた!!(ぱくっ、サクサクサク……)」

 

「あー!! 私の間接キスがー!!」

 

「止まって箒ー!!(ポムポム!)」

 

『(甘ーい! この二人激甘です!! と弄り倒したいところですが!)マスター! 全力で行きますよ!!』

 

 あ、音声クリアにしてなかったから箒の声が聞こえなかったのか。何かの拍子にモード切り替えをしてしまったんだろう。大事なとこ抜けてるな~。でももう大丈夫! 一撃で片付ける! その意気込みでやって来た。白式は装備を雪片二型に切り替えて、更にワンオフ・アビリティである零落白夜を使用する。

 

 箒は何か落ち込んでいるのか、話は全く聞かずに減速せずにフルスピードで目標にどんどん接近していく。

 

「ええええええええ!? だ、大丈夫なの!? ぶつかるんじゃ……!!」

『ポイント修正必要ありません。完璧なポジションです!』

 

 そう言うことなら問題ない。僕はタイミングを見計らい力を込めて袈裟斬りに振り下ろした。手応えは十分。ほぼ全エネルギーを注いだその一振りは、片翼と片腕を斬り落とし、銀色の機体はバランスを崩し、海へと落下していった。袈裟斬りじゃなくて、横薙ぎに斬れば完璧だったかもしれないけど十分だろうと思う。

 

 白式の残りのシールドエネルギーは50ぐらい。イグニッションブーストも1回使ったら終了と言うぐらいに叩き込んだ一撃だ。

 

「やった!!? 楽勝楽勝~!! 帰ってお菓子パーティーだー!!」

 

『……いえ! いけません!! セカンドシフトです!!』

 

 白式の言葉とほぼ同時に、福音は光に包まれながら海から噴出した。

 

 キュンッ!

 エネルギーが収束していく。そして、収束砲は僕達に向けて放たれた。

 

「やっヴァイ!! 箒! 箒!! 不味いって!! くっ!!」

『マスター!!?』

 

 一瞬だった。無意識に操作したイグニッションブーストの細かい加速はエネルギーをほぼ使い切り、僕を箒の前に滑り込ませた。そして、箒をかばって、僕は光に包まれた。

 

「い、一夏!!?」

 

 最後に見たのは光。

 

 最後に聞いたのは箒の声。

 

 力が入らない身体。ISで制御されているはずの浮遊感や落下している感覚が連続で強く伝わってくるけど、眼は開いているはずなのに自然と視界は真っ暗になり、一瞬の苦しさと共に眼を閉じた。

 

 ―――箒……無事だったかな?

 

 

 

 




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