思い出して借りようとした時は貸し出し中なんだよなー。
とりあえず、今回は妄想劇場です。
織斑一夏は狙われていた。
いや、現に狙われている。と言った方が正確かもしれない。
それはもちろんIS学園に在籍していることから、企業・国家などからはとりあえず3年間の保証はされていると言っていい。しかし、逆を言えば3年間しかないのだ。
そして、狙っているのはそんな外側の世界だけではなく……。
「はい、おりむー。あーん♪」
「あーん……む、これは老舗和菓子店『涼屋』の芋ようかん!」
「凄いおりむー正解~!」
IS学園内でも別の意味で狙われ続けている。本人の危機感は少し薄いのかもしれないが。
ちなみに現在、一夏は目隠しをされ、何らかのお菓子を食べさせられ、それを当てるというゲームをやらされていた。更に言えば、『王様ゲーム』の一環としてだ。ちなみにここには一夏とのほほんこと
「こほんっ。では、次だ!」
「「「「「王様だ~れだ!」」」」」
再度始まった王様ゲーム。この場で行われている王様ゲームの【特殊追加ルール】を説明しよう。そもそも一夏は王様ゲームを詳しく理解していなかった。いや、それどころか全く理解していなかった。
(王様って男でしょ? 女の人なら女王様だもんね。なら王様って僕でしょ?)と深く浅く性別のこととか考えていた。そのため、最初に了承してしまったのだが、最初の王様を引いた鈴が「一夏が王様じゃない場合、その都度 引いた番号を申告する事」という悪魔的な契約を交わしてしまっていた。一夏は(王様が言うことなら仕方がない……んだよね? でもあれー? ……あれー?)と思い込み、それから一度も王様を引き当てる事も出来ずに、弄ばれていた。
「っ……ぅう、まただぁ……3番です」
また王様を引けなかった一夏は下唇を噛み悔しそうに番号見えるように差し出しながら申告した。
「ふふふ、次の王様はボクだよ♪ ……ょしっ」
女子達は過激にさせ過ぎないように、如何に一夏と接するかを考えながら命令を考える。ここで、今回の王様を引いたシャルは時計をちらりと確認し攻勢に出た。
「3番は王様の膝の上に座ること」
「「「「「っ!!?」」」」」
「え、シャル王様なのに良いの? ここに座るの? よっと…王様
後ろから抱えるようにシャルは一夏を包みこみ、幸せそうな笑みを浮かべる。
「くっ……! つ、次だ!」
「えぇ! そうですわ!」
箒とセシリアは急かす様に王様ゲームの棒を回収した。
が、策士シャルロット。時間計算も頭に入れての事だった。午後の授業開始の予鈴が鳴り響く。
「くっここまでか……!」
「午後はなんだっけ~? いつもと違うのは覚えてるんだけど……」
「『学園体験入学』とのことで、適性検査である程度の成績を残し、入学希望の中学3年生の方が来られるそうですよ」
「私たちはその案内の一役としてISでの模擬戦を見せるようだな」
一夏の何気ない質問にセシリアとラウラが答える。
「そういうのもあるんだ~。へ~……あ、のっほほ~ん。芋ようかん残ってる?」
「あるよ~、はいあーん♪」
「へ、いや、もう自分で……あ、あーん」
一夏は照れながらも芋ようかんを堪能した。そして、たった今話した体験入学のことなど忘れて。
(遂にこの日が来た。IS学園の学園体験入学会。ここに一夏さんが……!!)
五反田 蘭は体験入学会の学生達の中にいた。
「きゃー! 千冬様よー!」
「え!? どこどこ!?」
「きゃー素敵!!」
「入学して担任になってくれたらどれだけ幸せか……!」
(あぁそうだ。千冬さんもいるんだ。でも、私の狙いは一夏さん!)
体験入学生の声が聞こえていないのか、無視をしているのか判別付かないが、日誌のようなものを持ち少し遠くを歩いていく織斑千冬をちらりと確認するも、すぐさま正面に視線を戻す。
「えー皆さんIS学園へようこそ。本日皆さんの案内を担当させてもらう山田真耶です。右手に見えるのが学生寮。左手奥に見えるのが学園と、第1から連なるアリーナとなっています」
と、そんな説明をされつつ学園内を案内される中学生たちの間に鼻歌が聞こえてくる。とても機嫌が良さそうな鼻歌に自然と視線は少し離れた木陰の方へ向けられる。その鼻歌は前奏だったのか、歌詞がそのテンポにのっかった。
「やだよ やだよ いやだよ 顔も見たくないよ~♪」
ピンポイントだった。今日は【体験入学会】だということは学園生ならば誰もが知っているはずなのだが、その少女は知ってか知らずか『歓迎してませんよ』と言わんばかりの歌詞を気持ち良~く歌って歩いていた。まさにピンポイントである。そんな少女の左手には赤い紙の箱。そこに右手を伸ばしては中から極細のスティック状のチョコのお菓子を口に運ぶ。
長い黒髪に色白な肌。控え目な身長、それでいて主張が激しい可愛さ。そんな少女の外見で不思議な点があるとすれば服装だ。IS学園の制服で間違いなさそうなのだが、スカートではなくズボンを履いている。
「やだよ やだよ いやだよ 近づかないでくれ~♪」
ポムッ
と、更にそこに制服姿の一人の女性が現れた。こちらはちゃんと女子のスカートを着用している。彼女は歌っていた少女の肩に手を置くと無言でニコニコと扇子を広げている。
「え? だ、誰ですか? ……え? ……え? あーーーーーん! 僕のお菓子ー!!」
何かを言ったのだろうか? 知り合いではなかったようだが、少女は扇子の女性に赤い箱を取られてしまい連れて行かれてしまった。
そして残された体験入学生たちは少しばかりの静寂に包まれた。
「え、えぇっとぉ……。後ほどアリーナで皆さんの先輩になる 現在の一年生が模擬戦をしてくれます。今はまだ準備中なので、後ほど休憩を挟んだらアリーナへ案内しますね。とりあえず今は教室へ―――」
教員の山田真耶が真っ先に再起動し、苦笑しながらも平静を取り戻しながら案内を再開する。そんな中、再起動はしているのだが案内を全く聞いていない。というよりも聴こえない世界に行っている者がいた。五反田蘭である。
(い、一夏さんだった!! 制服姿も素敵!! どこに行っちゃったんだろう? というか、あの女の人は誰? 一夏さんのお菓子持って行っちゃったけど……敵!?)
織斑一夏は自分のISの雪羅から流れてくる懐かしい音楽についつい鼻歌を歌って歩いていた。そしてその曲は遂に
「やだよ やだよ いやだよ 顔も見たくないよ~♪」
姉であり担任である織斑千冬には、「ゆっくりでも良いが午後はアリーナに行け」と言われていた。専用機持ちと、一部の生徒はアリーナに集合。その他は見学でも帰っても良いと言われている特別な今日という日。一夏は(とりあえず行けばいいんだよね?)と、内容も忘れながらもアリーナへと向かっていた。
「やだよ やだよ いやだよ 近づかないでくれ~♪」
ポムッ
と、後ろから肩に手を置かれた一夏は小さく「にゃわっ」という奇声を上げつつ、ビクリっと体を震わせ、歌を聞かれたことに真っ赤になりつつゆっくりと後ろを振り向く。そこには一人の女子生徒がいた。ショートカットの綺麗なお姉さんだった。無言でニコニコと扇子を広げている。扇子には『静粛っ!』の文字があったがその文字に意味があったのかはその時の一夏には分からなかった。しかし、音も無くいきなり現れたその人にびっくりしつつも、恥ずかしくもありつつ、何も言わないその人に一夏は逃げ出したくなる気持ちを抑えつつこちらから声をかけた。
「え? だ、誰ですか?」
突然すぎて、初めて会った人に対して失礼な言い方になってしまったが、そのお姉さんは別段気にした素振りは見せずに ニコニコとしたまま一夏が持っていた赤い紙の箱を手に取った。
「……え?」
お姉さんはニコニコ顔は崩さぬままに箱の中から一本 チョコのついたスティックを取り出す。
「……え?」
そして……食べた。ニコニコ顔は変わらない。そこには悪意も何も感じられない。一夏は一瞬何が起きたのか分からなくなったが、状況を理解すると叫んだ。
「あーーーーーん! 僕のお菓子ー!!」
踵を返し、お姉さんは箱を返さずに行ってしまう。一夏は「返して! 返して~!」と、ついていく。もちろん返してくれないニコニコなお姉さん。一夏の身長ではお姉さんが高く持ち上げた赤い箱にはジャンプしても届かない。そこまで身長が高いというわけでもない女性なのだが、身長が極端に小さい一夏では手を上げられてしまったら最後……届かないのだ!! 切実に!!
しばらく歩くが、お姉さんは最初の一本目以外のお菓子には手を付けてない。「返して!返して! なんでーっ!」という一夏だが、そこだけは冷静に確認していた。もう一本取っていたら
歩くこと数分。アリーナの控室までやってきた2人。お姉さんは長椅子に座り赤い箱。(もう言い変えよう! 赤い箱赤い箱面倒くさいわ!! 私はポッキーを応援しています!!)ポッキーの箱を隣に置く。一夏はそれに飛びつきお姉さんに捕まった。
「織斑一夏きゅ~ん? まずは『ごめんなさい』でしょう?」
「え? なんで? お姉さん誰? なんで僕のこと知ってるの?」
「ん? あれ? 何か噛み合ってない? ん~……今日は何の日か知ってる?」
「え? ……さぁ? ポッキーの日じゃないよ?」
「あ、そうゆうことね。分かった。そこはお姉さんが悪かった面もあるわね。じゃあ最初から行こうか」
さ・い・しょ・か・ら♪ そう言ってお姉さんは立ち上がり、一夏をキチンと座らせ。一夏の真正面に来て目線に合わせるように膝立ちした。
「こほんっ 織斑一夏クン。君はこの学園、いや世界的に有名だから顔を知らない人以外はほとんど知ってると思うよ。お姉さんの名前は
「せ、生徒会長!!? え、偉い人ですか!?」
「う、うん? 同じ生徒だからね~……。一夏クンは、今日が『体験入学』の日って知らなかったかな?」
純粋すぎてやりずらいモノを感じながら生徒会長の更識は、とりあえず今日が何の日かを分からせなければと言葉をつなぐ。
「あ」
「忘れてたか~。でね、さっきあそこで歌ってた時ね、すごーく綺麗な歌声だったんだけど、ちょうど少し離れたところに体験入学の子達が来ててね」
「あわ、あわわわわ……」
一夏は別に頭が悪いわけではない。たまに抜けてたり、天然だったりするが、生徒会長である更識楯無が言ったことをすぐに理解し、自分の行動を思い出し、自分がどんないけないことをしたのかを把握した。
「ご、ごめんなさい! 僕、すごくダメな歌を……」
「うんうん。理解が早くてお姉さん助かるよ。ここに色々な思いを胸に来てくれた子達に『顔も見たくない』って歌詞はアウトだったね~だから一夏クン。君には罰ゲームを与えます」
「は、はい……」
酷く落ち込む一夏に更識楯無はひじょーに危ない気持ちになるが、ぐっとこらえた。
「さ、さてっと、とりあえず時間も中々に進んでるからね。ISスーツに着替えて、アリーナに集合しててね」
一夏はアリーナに行くと、箒たちはすでに来ていた。ISも纏っている。確か模擬戦とか、そういったものを体験入学の子達に見せるんだ。と思い出しつつも、先ほど生徒会長に言われた『罰ゲーム』というのがどこで実行されるのか分からなかった一夏はすべてを全力でこなした。気持ち的にもそれで許されるわけではないが、真摯に受け止め、みんなと連携して事にあたった。
「一夏さんのIS姿もカッコいい……」
五反田蘭は模擬戦闘や訓練内容を見学していた。基本的に一夏しか見てないが。
(それにしても張り切ってるなぁ……っ! 私のために!?)
いつも以上に真剣な表情の一夏にきゅんきゅんしている蘭だが、興奮とともに数十分前のことも気になっていた。一夏をいじめていたあの女性は誰なのか? 一夏がお菓子好きなのは当然知っている。ならばそれを奪うのは悪だ。イジメだ。友達同士のイタズラ程度なら良いのかもしれないが、遠目から見ても先ほどの光景は友達の様には見えなかった。
しかし、その考えも消え去ろうとしている。何故なら―――。
「やっぱりさっき歌ってた子だよね?」
「うん。すごく綺麗な子だったけど、この資料見ると織斑一夏って……」
「あのテレビでやってた『男で初めてISを起動させた』って人だよね」
「ねぇ、千冬様も素敵だけど……」
「千冬様の弟なんだよね……」
「っ!! あの子と結婚とかしたら、千冬様も家族ってこと!?」
(まずい。一夏さんの魅力が隠しきれず、漏れ出し、更に千冬さんという付加価値が拍車をかけている!!)
ライバルだとは思わない。しかし、邪魔になる。人間とは切磋琢磨する面も持つが、ほとんどの場合は足を引っ張り合う生き物だ。自分が好きな人が他の人も好きになる。これは非常によくないことだ。そんなこんなで、蘭の頭の中から、先ほどの一夏をいじめていた(?)女性の存在は消えつつあった。……とりあえず、歌の歌詞で嫌な気分になった人はいないようだ。
「では本日は『体験入学会』にご参加いただきありがとうございました。皆さんのご入学を心よりお待ちしております。さて、知り合いの先輩の方がいる人は残ってもかまいませんが、遅くなりすぎないようにお願いしますね。体験入学用にお渡ししたその腕輪は最後に返却してください。一応帰りの時間まで管理していますのでよろしくお願いします。お疲れさまでした」
\ありがとうございました!!/
とりあえずの終わりを告げる言葉に礼儀正しく返礼する体験入学生たち。しかし、顔を上げると同時に管理されていない野良犬と化した者たちだ。織斑千冬を探しに疾走する者、その弟の織斑一夏に惹かれ探そうとする者、実際にちゃんと知り合いの先輩のもとへ連絡を取りながら向かう者などで溢れ返ったアリーナ前。
窓から下を眺める一夏は少し休憩をしていた。そのまま訓練しようと ラウラ達に誘われているため、まだ寮には帰らないのだ。
「さっきの子達、まだ帰らないみたいだよ。体験入学って楽しいのかな?」
「うーん。この学園が特別だと思うよ? それよりもさ、今日の一夏すごかったね」
「うんうん。ミスなんてなかったじゃない」
「嫁としての自覚が出てきたか」
「え、あ……うん」
その返しで全員悟った。「あ、こいつ何かやったな?」と。
「何があったんだ一夏」
「え、その……ば、罰ゲームって終わったのかなって思って」
「「「「「罰ゲーム?」」」」」
順を追って説明する一夏に「何で歌ったのさ?」「何の歌よ?」「私にも聞かせてください一夏さん」と茶々が入り、「生徒会長か、見たことがないな」「私も噂程度しか聞いたことが……」「ん~でも聞いた限りだと良い人そうじゃない?」と、結局今回の罰ゲームとは『しっかり体験入学生たちをもてなすこと』という事だったのではないかと全員が判断した。
それは一夏が体験入学生たちに不快な思いをさせてしまったのではないかという点と、罰ゲームと言っておきながら何も指定しなかった点で、流石に生徒会長という肩書を持っている人間がそれ以上の罰ゲームを用意するとは思えなかったからだ。一夏以外その生徒会長に会ったことはないのだが、妥当なところだと言えるだろう。そう言われ、一夏もほっとする。
「そ、そっか。よかった……」
「気を付けるのよ?」と、鈴が言い、
「さ、休憩も終わりにしようか」と、シャルがこの話はお終い。と、空気を変える。
「では行くか」と、ラウラが動き出せば、
「そういえばA判定の子がいたらしいですわよ」と、セシリアが山田先生から得ていた情報を提示する。
しかし、箒だけ何か引っかかるような顔をしていた。
「どうしたの箒?」
「……あ、いや、考えすぎだろう」
そして、訓練は夕焼けの空に変わるぐらいまで続いた。
「あーいないなー……今日は仕方ないかな……」
五反田蘭は一夏を探していたが見つからなかった。夕焼けに染まり、ここまで粘ったのに……という気持ちはあるが、何も成果がないのであれば仕方がない。アリーナにいる可能性が最も高いのだが、体験入学が終わった時点で、学園関係者と同伴でない限りは立ち入り禁止になってしまっているため、ただの体験入学生という身分では立ち入りが出来なかった。乗り込もうかとも考えたが、有名私立女子校「聖マリアンヌ女学院」の生徒会長という肩書が邪魔をしている。肩書がなくても『恥知らずな女と思われる』という兄の弾に言われた言葉が彼女を留まらせるだろう。
諦めて帰ろうと、垂れた頭を戻した時、奇跡は来た!
集団で寮の方向へと向かう一夏とその他女子大勢。隣に箒が居ることに気づき少しイラっとするが、ここで突撃するのはあまりよろしくない。一夏が一人に……なるわけないのだが、チャンスを伺いながら距離を置いて隠れながらついていくことにする蘭。
最初の方で案内された寮にたどりつく。ここからが問題だ。この奇跡をモノにしないとならないと、蘭は諦めずに寮に侵入した。門前払いをくらえば仕方なく帰ろうと思ったが、すんなりと入れた。少しばかり疑問にも感じたが都合のいい方に解釈した。ツイてる、と。
姿は見えないが、話題の中心に想い人あり。たまに返事をしている一夏の声もあるため間違いがない。その声を頼りに付かず離れずでスニーキングする蘭。しかし、途中で分からなくなってしまった。
「こ、ここまで来て……ん? あの人は……」
そこで見かけたのは一夏をいじめていたショートヘアの女の人だった。ニヤニヤしながら足取り軽く進んでいくその人を蘭の勘が目を離すなと言っている。ここまで来れたのは奇跡と、ツキだ、ならばあの人を見かけたのは……何かが確信に変わろうとしている。
「ばっつゲーム♪ 罰ゲームゥ~♪」
(罰ゲーム? ……怪しい)
「ん?」
(あっぶな……何? 動物的感でも備わってるの?)
全くの死角だったはずである。前方に鏡も反射するような窓ガラスも無い。距離だって離れてる。それなのにその女性はこちらへ振り向いた。別段、落し物があったとかでもないのだが振り返ったのだ。緊張感に胸を弾ませながら蘭は尾行を継続する。念のためもう少し距離をあけて。
そして一つの扉の前で止まる。扉に耳を当て、頷き開けようとするが、鍵がかかっているようだ。それを確認すると今度はポケットに手を入れ何かを取り出した。それをドアでカチャカチャと鼻歌交じりにいじり、3秒もかからずにドアは開いた。
(ぴ、ピッキング!? な、何なのあの人!?)
蘭は驚愕しながらも、さっきの女の人が入って行った扉の前に到着する。すると次の瞬間。扉の向こう側が騒がしくなった。
『え、何の音……? わわっ!? な、何してるんですか!? 鍵は!?』
『開けたよ? これからお風呂かぁ……よし! 罰ゲームは私とお風呂に入ること!!』
『えぇぇぇっぇええええっ!!?』
(一夏さんの声だ!! 助けなきゃ!!)
幸いにも扉の鍵は開けたままになっていた。
バンッ!!
「一夏さん!! 大丈夫ですか!!? ぶっ!!」
そこには水着姿になっている例の女の人と、裸にタオル一枚でこれからお風呂ですと言わんばかりの一夏がそこにいた。
「ら、蘭ちゃん!? た、助けて蘭ちゃん!!」
「はい!! あ、あなたは何者なんですか!!?」
「それはこっちのセリフだよ。この学園の生徒じゃない部外者だよね?」
「くっ……」
「生徒会長さん、罰ゲームは終わったんじゃ……」
(せ、生徒会長……?)
「何を言ってるんだい一夏クン。私は罰ゲームの内容はまだ何も伝えてないよ?」
そして、生徒会長である更識楯無が一夏に再び手を伸ばしたところで―――。
「―――うわぁぁぁっ!!! ……あれ?」
一夏は眼を覚ました。
『おはようございますマスター』
雪羅の声に汗を拭い、何とか挨拶を返す。
『どんな夢だったんですか?』
「えっと、あ、そう言えばせっちゃん一回も出てこなかった!」
『はぁ……それで、どんな?』
「ポッキー取られる夢」
……そこに生徒会長という存在や体験入学などという夢の内容はすべて飛び、ただお菓子を何者かに盗られる夢としか思い出せない一夏であった。
そして、
「―――っ! 一夏さん!!? させるかぁっ!! ……あれ?」
五反田蘭もまた眼が覚めた。
「お前、何の夢見てたんだよ……」
そんな妹の寝起き姿に五反田弾は溜息を吐いた。
「お兄……」
「何だよ?」
「子供の頃、一夏さんとお菓子の取り合いで一夏さん泣かせたことあったよね?」
「え? ん~……あ、俺の食べてたBIGチョコバーを少しくれって言うから3分の1ぐらいあげたら、泣いた事はあったかもな」
「せいっ!!」
「ぐえっ!! な、何でだ……」
弾のわき腹に深く突き刺さる蘭の拳。崩れ落ちながらも何故殴られたのか理解できない弾は苦しみながらも声を挙げる。
「何でケチなの!! それしかあげないから一夏さんが泣いたんでしょうが!!」
「ちげーよ!! こんなにくれるのかって泣いて喜んでたんだよ!!」
「あ、ごはんの準備しよー」
「おいこらーーー!!」
蘭ちゃんの話しが書きたかったけど大幅にミスってますね。無理やり夢落ちですごめんなさい読者のみなさん蘭ちゃん。
おかしーなー。
そもそもIS学園は普通の学校じゃないから体験入学なんてないだろうしね。
挿入歌【YA-DA-YO】でした。