織斑一夏は男の娘   作:フリスタ

9 / 22

お気に入りも175件! 評価も200pt届きそう!? 本当にありがとございます。

今回は後書きも含めて7000文字弱かな。本編だけで6000弱です。

ではどーぞ!




第08話「男の娘の決意」

 

 シャー……キュッ……。

 

「ふぅ……」

 

 お風呂の鏡で目の前に映っている自分の姿を見る。

 

 いつ測っても伸びてない身長。

 

 いくら沢山食べても、いくら筋トレして筋力が増えても何故か増えない体重。

 

 勝手に切るとお姉ちゃんにもの凄く怒られる長い髪。

 

 少しコンプレックス気味の割と大きな瞳。

 

 自分で鏡に映っている自分を見ても本当は分かってるんだ。

 

 ムッとした顔をしても、にぱっとした顔をしても

 

 キリッとした顔をしても、しゅんとした顔をしても

 

 男らしく。常にそう思っても。分かってるんだ。

 

 女の子みたいだって……。

 

「身長高いならまだ良いんだけどなぁ……」

 

 長い前髪に触れながら独り愚痴る。

 

「あ、でも 目も少し切れ長で……あ、鼻も もう少し こう……」

 

 

「一夏~! そろそろご飯行くよ~!」

 

 男子と偽って同室になったシャルルの声がお風呂場に鈍く響いて来た。

 

「うわっ! 急がないと……!!(ズルッ)……ぁぇ?」

 

 おかしいぞ。照明が上にあるのは当たり前の話だよね。

 それが何で正面に見えているんだ? あれ? 何でイスや桶が宙を舞ってるんだ?

 

 ガラガラドタンッ!! ゴチンッ!

 ガチャ!

 

「一夏!? 凄い音したけど大丈夫!?」

 

「あいたたたた……だ、大丈……」

 

 目の前には駆けつけたシャルル。

 僕……裸。

 

「ぁわわ……シャ、シャルルのえっちー!!」

 

「ご、ごめーん!!」

 

『……お約束の逆パターンですか?』

 

 そーゆーのいらないから!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side 箒】

 

 何故だ……『私が勝ったら……つ、付き合って貰う!!』と言う話が何故……『今月の学年別トーナメントで優勝したら、織斑きゅんと付き合える事になっているらしいの!』と言う噂になるのだ?

 

 優勝したら一夏と付き合えるのは私だけの筈だ。とにかく優勝すれば問題はない。優勝すれば……。大丈夫だ今回はあの時とは違う。大丈夫、大丈夫なはずだ―――。

 

 

 

 姉さんが、圧倒的な性能から兵器などへの転用なども危ぶまれた【IS】を発表した所為で、幼い頃から私と家族は重要人物保護プログラムによって各地を転々とし、気が付けば両親とは別々に暮し、姉さんは行方知れず。私は執拗なまでの監視と聴取を幾度となくされ、私は心身ともに参っていた。

 

 それでも、剣道だけは続けた。それだけが一夏との繋がりに思えたからだ。しかし、あの頃の私はとても醜い人間だった。相手を叩きのめすだけの憂さ晴らしの剣道をしていたんだ。

 

 

 

 ―――あれはただの暴力だった。

 強いとは言えない。強さとはそう言うのを指すものではない。

 

 一夏は剣道を辞めてしまっていたが、何も変わっていなかった。……本当になにも変わっていなかったが……と、とにかく 一夏は強いままだった。

 

 今度こそ私は強さと言うモノを見誤らずに勝つことが出来るだろうか。いや、勝たなくてはならない。なにより己自身に。

 

【Side out】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side セシリア & 鈴】

 

 開放されたアリーナ。そこには授業を終えて直行してきた人影が二人確認できる。

 近々行われる学年別トーナメントの特訓と言ったところだろう。

 

「あら? てっきり私が一番のりだと思ってましたのに」

 

「早いわね……私はこれから学年別トーナメント優勝に向けて特訓するんだけど」

 

 

「私もまったく同じですわ」

 

 二人は視線をぶつけ合い、火花を散らす。

 

「この際、どっちが上かハッキリさせておくのも悪くないわね」

 

「よろしくってよ~♪ どちらがより強く、より優雅であるか。この場で決着を付けて差し上げますわ」

 

「もちろん私の方が上なのは分かりきってるけど」

 

「ふふん。弱い犬ほどよく吠えると言うけれど、本当ですわね」

 

「どういう意味よ」

 

「自分が上だって、わざわざ大きくして見せようとしているところが典型的ですもの」

 

「その言葉……そっくりそのまま返してあげる!!」

 

 それがトーナメント前哨戦開始の合図かと思われた。実際挑発し合っていた二人はISを起動し身に纏っていた。しかし第3者による 二人の間を通すよう放たれた射撃により、戦いは別の展開を迎えていった。

 

 そこにいたのは、織斑一夏を叩き、昨日も敵意を剥き出しで主砲を放ったラウラ・ボーデヴィッヒだった。黒いISを見に纏い不敵な笑みを浮かべたラウラは挑発を始める。

 

「くっ、ドイツ第三世代機【シュヴァルツェア・レーゲン】」

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ……」

 

「中国の【シェンロン】に、イギリスの【ブルー・ティアーズ】か……データで見た時の方がまだ強そうであったな」

 

 この言葉に二人に火が点き始めた。

 

「なに? やるの? わざわざドイツくんだりからボコられたいなんて大したマゾっぷりね。それともジャガイモ農場じゃそういうのも流行ってるの?」

 

「あらあら鈴さん。どうもコチラの方は共通言語をお持ちでないようですから、あまり虐めるのは可哀そうですわよ」

 

 さきほどまで挑発し合っていた二人は共通の敵を見据えていた。

 

 

「二人掛かりで来たらどうだ? 男だか女だかも分からん様な下らん種馬を取り合う様なメスにこの私が負けるものか」

 

「今何て言った! 私の耳には『どうぞ好きなだけ殴って下さい』って聞こえたけど!」

 

「この場にいない人間の侮辱までするなんて、その軽口 二度と叩けぬようにして差し上げますわ!」

 

 

「ふん。とっとと来い」

 

「上等!!」

「上等ですわ!!」

 

【Side out】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 授業が終わって少しだけ補習をするのが僕の日課です。何故って? そりゃあ分厚い入門書を棄ててしまったからだよ。あれからお姉ちゃんとの約束の1週間は余裕で過ぎてるけど、理解力を深めないと至らない点が多いんです。でも もうすぐでみんなの知識量に追いつくよ~。

 

「シャルルはえっちだけど勉強教えるの上手いよね」

 

「あ、朝の件は悪かったってば~。それよりも一夏。今日も特訓するよね?」

 

 

「うん。トーナメントまで時間ないしね~」

 

 そんな感じでアリーナに向かいます。

 そんな時に限って問題は起きます。僕らの前の横切る廊下を走りながら噂を広げる女子生徒がいたのです。

 

「第3アリーナで代表候補生3人が模擬戦やってるって!

「そりゃ見モノだわ!」

「早く早く~!!」

 

 ……とても嫌な予感がする。代表候補生でしょ? IS学園なんだから他にいてもおかしくはないかもしれないけど、3人なんでしょ? ……こう言う時の勘は間違いなく当たる。

 

「行こう一夏!」

 

「い、いや~第2アリーナで特訓しようか。ね?」

 

 

「何言ってるの、使用許可は第3アリーナで取ってるんだから。ほらほら!」

 

 

 

 と言った感じで、半ば強引に手を引かれて来てしまいました。

 

「あ、箒も来たんだ」

 

「あぁ……。ラウラ・ボーデヴィッヒか……」

 

「凰さんとオルコットさんも」

 

 予想通りと言うか何と言うか……。ラウラさんとセシリアと鈴が模擬戦をやってるみたいです。2対1でやってるんですね……。何故にホワイ?

 

 

『くらえー!!』

 

『無駄だ。このシュヴァルツェア・レーゲンの停止結界の前ではな』

 

 鈴の衝撃砲はラウラさんの手によって止められていた。ダメージは明らかに無さそうだ。

 何あれ?

 

「AICだ……」

 

 シャルルの声に僕は初めて聞く専門用語に首を傾げた。

 

「AIC?」

『説明しよう! AICとは、アクティブ・イナーシャル・キャンセラーの略で、もともとISに搭載されているPICを発展させたもの。対象を任意に停止させることができ、1対1では反則的な効果を発揮するが、使用には多量の集中力が必要であり、複数相手やエネルギー兵器には効果が薄い! 今回のテスト範囲ではないけど頭の片隅に置いておくように!』

 

 今回は説明解説キャラで来たんだね……。ええと、確かPICって言うのはISの基本システムで、飛んだり加速したり減速したりするシステム……だったはずだよね。そこは勉強したよ~。

 でもそれを発展させるだけであんなに強力なモノになるんだね。やっぱりISってスゴイや。

 

 

「うわ~ラウラさん強~……あれ? 何分ぐらいコンボ決めてる!?」

 

 そして、ワイヤーブレードを鈴とセシリアの首に巻き付けて殴る蹴るの暴行を続ける。鈴達のISがその形状を変えて行く。砕けて行っているのだ。ISのシールドバリアが持たない!!

 

「駄目! 駄目だってラウラさん!! それ以上は……!!」

 

 

 僕は観客席に張られているシールドを叩くが、アチラは気付かないし、シールドが割れることもない。

 

「白式!!」

『先生に怒られますよ?』

 

「友達がピンチなの!! だからお願い!!」

『分かりました』

 

「い、一夏? まさか……」

 

「確かに雪片弐型ならこのシールドも破れるかもしれないけど」

 

 

「ラウラさんが僕だけを敵視して狙ってくるなら構わない。でも僕の所為で他の人も狙われるのなんて見たく無い! みんなに笑顔でいてほしいんだ! だから、僕はもう逃げない……!!」

 

 

 僕は雪片弐型を装備してシールドを切り裂いてアリーナに突撃した。

 即座にラウラさんのワイヤーブレードを斬り、ISが解除されたセシリアと鈴を回収する。限界ギリギリだったんだね……。

 

『とりあえず命に別状はなしですね』

「良かった!」

 

 

「織斑一夏ァァァッ!!」

 

 ラウラさんの砲撃が飛んでくる。白式の計算だと間違いなく直撃コースだ。

 

「くっ……! 白式! イグニッション!」

『ブースト!!』

 

 キュンッ!!

 

「なっ!?」

 

 ダララララララララララララッ!!

 過ぎ去った後方でマシンガンの音がする。

 

「ちっ! ザコが!」

 

「一夏! オルコットさん達を安全な場所まで!!」

 

 シャルルまで……一緒に怒られても知らないよ? でも……。

 

「助かる!」

 

 

 二人を両脇に抱えて、アリーナの端まで連れて行く。

 

「一夏……」

「無様な姿をお見せしましたわね……」

 

「ここで、少しだけ我慢してね。シャルルは……」

 

 振り向くとラウラさんのワイヤーにシャルルが捕まってる。

 マシンガンで放させようとするけど、AICの能力で銃弾は通らない。

 

「面白い。世代差というものを見せつけてやろう。行くぞ!!」

 

 駄目だ! ここからじゃ間に合わない!! ってアレは!!?

 

 ギィィィンッ!!!

 

「きょ、教官!?」

 

「やれやれ、これだからガキの相手は疲れる」

 

「お姉ちゃん……」

 

 お姉ちゃんはラウラさんのプラズマ手刀をISのブレードで受け止める。ちなみにこちらのお姉ちゃんISは装備しておりません!!

 

 それってISの武装だよね……。普通 生身で持てるの……?

 

 

「模擬戦をやるのは構わん。しかし、アリーナのバリアまで破壊する事態となられては教師として黙認しかねる。この戦いの決着は学年別トーナメントで着けて貰おう」

 

「教官がそう仰るなら」

 

 そう言ってラウラさんはISを解除する。

 

「織斑・デュノア。お前達もそれで良いな?」

 

「はい!! 畏まりました!! ごめんなさい!!」

 

「僕もそれで構いません」

 

 

「では、学年別トーナメントまで私闘の一切を禁ずる! 解散!!」

 

「あの~ちなみに織斑先生~? バリア壊したの僕なんですけど~?」

 

 

「ふ、正直だな。アイツ等を助けるため……それならマッサージのみで不問とする。異議はあるか?」

 

「ないです! ありがとうございます!」

 

 ほっ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 腕や足、頭にも包帯を巻いている二人は何故かムクれている。

 

「別に助けてくれなくても良かったのに」

 

「あのまま続けていれば勝ってましたわ」

 

「え……そうなの!?」

『有り得ませんよマスター。IS自体が動作しなくなっていたんですから』

 

 

「二人とも無理しちゃって。(二人とも好きな人にかっこ悪いとこ見せたから恥ずかしいんだよね~?)」

 

 お茶を渡しながらシャルルは何かを小声で話した。何だろ?

 

「ななん、何を言っているのか全然分からないわね!」

 

「べべっべ、別に私無理なんてしていませんわ」

 

 

「そもそも何でラウラさんとバトルすることになったのさ?」

 

 僕が質問すると二人同時に喉を通りかけたお茶を咳き込むように吐き出す。

 

「い、いやぁ。そ、それは……」

 

「その、なんと言いますか。女のプライドを侮辱されたから……ですわね」

 

「あ! もしかして一夏の事……ぅわ!」

 

「アンタって本当に一言多いわね!!」

「そ、そうですわ! 全くです!!」

 

 怪我人とは思えない動きでセシリアと鈴はシャルルをベッドに捻じ伏せた。

 

「……怪我人だよね?」

『女の子には色々と秘め事があるんですよマスター』

 

 ISにまで分かってしまう秘め事ってなにさ。

 女心と秋の空とか言うけど、ISも加えた方がいいらしいです。

 

『分類的には女性側の造りですから』

 

 心まで読むってなにさ。

 

 

 バンッ!!

 

「「「「「織斑きゅ~ん!!!」」」」」

 

「ぅわっ!? な、何!?」

 

 そこにはクラスの女子の皆様が押し掛けてきていた。

 怪我人がいるのでお静かに!!

 

「「「「「シャルル君も!!」」」」」

 

「ど、どうしてのみんな?」

 

 シャルルも面を喰らっている様だ。

 

「「「「「これっ!!!」」」」」

 

 突き出されたのは1枚の書類。

 

 何々?【今月開催する学年別トーナメントでは、より実践的な模擬戦闘を行うため 2人組での参加を必須とする。なお、ペアが出来なかった者は抽選で選ばれた者同士で組むものとする】

 

 他に締め切りとかが書いてある。どうやらこのペアとしてシャルルのところに来たらしい。あ、僕もですか……。

 

「みんなごめん!! 僕はシャルルと組むから諦めて!!」

 

「まぁそう言う事なら……」

「他の子と組まれるよりは良いしね~」

「男同士っていうのも絵になるしね~」

 

 アッサリ退いて行く女子たち。

 一気に静かになった保健室に鈴とセシリアさんが声をあげた。

 

「一夏! 私と組みなさいよ! 幼馴染でしょうが!!」

「いいえ! ここはクラスメイトである私と!」

 

 なんて理不尽な、いや、て言うか怪我は大丈夫なの?

 

「駄目ですよ。お二人のIS、ダメージレベルCを超えています。トーナメント参加は許可できません」

 

 と、いきなり現れたのは山田先生でした。入れ替わり激しい保健室だ。

 

『無理をすると重大な欠陥とかが出てしまうことがありますからね。トーナメントに出ると言うなら時間が無さ過ぎますね』

 

 そっか。まぁ安静にしてれば良いじゃない。

 すると、納得したのかしてないのか、鈴とセシリアさんは互いに見つめ合った。

 

「(優勝したら。その子が一夏と付き合うのよね?)」

「(それだけは阻止しなければなりませんわ)」

 

「「(と、なれば優勝は……)」」

 

 そして頷き合う二人。なんかカッコいいなぁ。わわ、こっちみた!

 

「良い!? アンタ達! 絶対優勝すんのよ!!」

 

「私達の分まで頑張って下さいな! 心から応援致しますわ!」

 

 おぉ……カッコいい。友情だよ。流石は代表候補生というエリートさん。カッコいい~。決めるとこ決めるんだよね~。ドラマみたいだな~。

 

「二人ともありがとう。精一杯頑張るよ!」

 

「ま、眩しい。そんな目で見ないで一夏……」

 

「凄く悪い事をお願いしてる気がしますわ……」

 

 

 

 

 

 そして、学年別トーナメントが始まる。

 

 

 




感想は随時受付中です。




ではまた次回!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。