もしもるう子があきらっきーのくすぐり奴隷だったら   作:-Y-

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3.その戦いは非道

 薄暗く不気味な雰囲気なバトルフィールド。いつもは不安感を煽るこの場所が、るう子には安心感を与えていた。

 ここならば強制的な笑いという拷問から、少しの間でも逃れることができる――るう子はそう考えていた。

 とはいえ、バトルに勝たなければまた"あの地獄"が……そう思うとるう子は思わず身震いした。

 

「じゃああきらっきーの先行だね。やっちゃいなミルルンッ」

 

「頑張るーんっ♪」

 

 元気よくバトルを開始する晶とミルルン。こうしている間は二人は相性の良いセレクターとルリグに見える。

 

「エナチャージ、んでグロウ! シグニを置いてターンエンド!」

 

 無難にプレイングを終え、ターンはるう子に回ってくる。

 

「じゃあ、いくね……エナチャージ、イオナをグロウ!」

 

 るう子も自身のルリグ……イオナをグロウさせる。レベルが低い状態ではあまりすることもないので早々にアタックしてターンを回したいところだが、るう子はいつも以上に慎重になっていた。

 なぜなら今回は負ければ地獄の体験が待っている。バトルの重みが違うのだ。ただそれがたかが"くすぐり"というところに、るう子は計り知れない悔しさを感じていた。

 なんで自分の身体は勝手に笑ってしまうんだろう。なんであんなに苦しいんだろう――そんなことをぼんやりと考えていた、その時だった。

 

「――くっ!? ひっひひひひひあははははっはっはっはっあぁぁぁ!!??」

 

 突如身体に猛烈なくすぐったさを感じたるう子は思わず自分の身体を守るため、自身を抱きしめるような格好になる。

 が、それでもくすぐったさは消えなかった。まるで見えない手にわき腹を蹂躙されているような感触だった。

 

「(きたっ……きてくれたぁ……!)」

 

 そんな中、一人嬉しそうな表情を浮かべるのは晶だった。

 一見なにもない場所でるう子が笑いだした……その理由を知るのは、この場では晶一人だった。

 

「るうるう~? くすぐったいの~? それはね、今、現実世界のるうるうの身体を、ウリスがくすぐってるんだよ~?」

 

「ウっ、ウリスがあぁぁぁぁ!!?? あっははははっははあああ!!!?」

 

 思わず地面に突っ伏し、転げまわるるう子。いくら暴れようとも身体は強制的に笑わされていた。

 

「ウリスは外からこっちを見てるの。るうるうのプレイがちょっと遅いな~って思ったらくすぐるんだって~!」

 

「そ、そんにゃあっぁぁぁははははははははは!!?!? 聞いてないぃぃひっひひひひひひひひぃ!!?」

 

 じたばたと暴れるるう子。本来ならば実体があるであろうくすぐる手に反抗するようにもだえるが、そこに手はない。

 るう子をくすぐるのはあくまでも現実世界のウリスの手なのだ。

 

「るう子! 早くプレイしなさい! 逃れるにはそれしかないわ!」

 

 咄嗟にフォローを入れるイオナ。その言葉に従うようにるう子はなんとか立ち上がり、早口でプレイングする。

 

「が、凱旋とサーバント配置! くひっひひひひひ!!!? 効果!! 凱旋の効果で黒いシグニをサーチ!! あっははははあはひゃあははっは!?!? なんでもいい! なんでもいいから早くぅうっひひひひぃぃひゃあはははははは!!!?? タ、ターンエンド! ターンエンドッ!!」

 

 シグニ効果で適当なカードを掴むるう子。しかもアタックせずにこのターンを終えてしまう。

 それほどまでにるう子にとってくすぐりという行為は苦しいのだ。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「あっれ~? アタックしないのぉ? じゃああきらっきーのターンだね」

 

 そう言ってプレイを開始する晶。それと同時にるう子はくすぐり地獄から一時的に解放される。

 この晶のターンがるう子にとって唯一の休憩時間だった。

 

 晶は安定したプレイングをして、このターンはるう子のライフクロスを2枚割ることに成功した。

 早速ライフに差が空いてしまったるう子はなんとかして遅れを取り戻さなければならなかった。

 

「るうのターン! エナチャージしてグロウ! シグニを配置してバトル!」

 

 プレイに遅延が見られればまたくすぐられてしまう。そのことを意識して早回し気味にプレイを行うるう子。しかし――。

 

「んー……ちょっと待ってねぇ。あきらっきーアーツ使うか考えるねぇ」

 

「えっ……う、うん……」

 

 こんな序盤で使用するアーツなんてあっただろうか……不思議そうに首を傾げるるう子。

 それにさっきはアタックしなかったから晶にエナはない。どういうつもりなのだろうか。そう考えていた矢先――。

 

「ふひゃあ!? あぎっひっひっひひひひひひひひいいぃぃ!!!? にゃんでぇ、にゃんでいまくすぐっぐぎひひひひひひひゃああははははははは!!!??」

 

 またも突然強烈なくすぐったさに襲われたるう子は叫ぶように笑いながら暴れまわる。

 

「あれー? またくすぐったいのお? あ、そっかー……だって今は"るうるうのターン"だったもんねぇ?」

 

「あはははははっはははははあぁぁぁ!!!?? ずるいっずるいいぃぃぃっひひひひひひひはははははっ!!!? アーツなんて、アーツなんてないくせににぃぃぃぐぎゅふひゃひゃひゃひゃあああ!!!??」

 

 泣きながら講義するるう子。呼吸困難に陥り、みるみる内に体力が無くなって暴れる身体に力が入らない。

 

「えー? それって口プレイってやつぅ? あきらっきー疑われて悲しいなぁ、グスングスン。でも今回はアーツ使わなくていいかなあ。アタックフェイズに入っていいよぉ」

 

「全員でアタック! アタックしてターンエンド! ターンエンドッ!!」

 

 場の状況など気にしていられないるう子はとにかく持ちうる全てのシグニで晶のシグニを攻撃した。結果全バニッシュに成功したが、それが良いプレイングであったかは分からない。

 むしろ悪い状況のようだ……とイオナは感じていた。

 一ターン目にアタックしなかったのだから、相手のエナはない。今回もアタックしなければグロウを遅らせることができたのだ。

 しかし今のるう子にはそんなことを考えている余裕はない。少しでもライフを割って、早く決着を付けなければならなかった。

 

 そんなプレイを強要されたせいか、ターンが続くたびにるう子は劣勢になっていった。

 そして、終盤。晶にターンが回る。

 

「ミルルンレベル4にグロウ! るうるうの手札からスペルをパクっちゃえー!」

 

「了解るーん!」

 

 ミルルンの効果。相手の手札にあるスペルを奪い、そのまま使用するスペル。今回指定されたスペルは……。

 

「アークオーラ……ふふっ、いいカード持ってたじゃない。るうるう?」

 

 奪われたのは強力なフィニッシュカード、アークオーラ。奇しくもそれは以前晶とるう子が戦った時にるう子がトドメに使ったカードである。

 

「あの時の屈辱……晴らしてあげる! ミルルン、アークオーラ!!」

 

「るーんっ!」

 

 ミルルンの怒涛の攻撃。くすぐりによってプレイングを乱されたるう子にはもうライフが残されていなかった。

 

「イ、イオナっ……きゃああぁぁぁぁぁ!!?」

 

 ――そして、るう子は敗北した。

 バトルフィールドが崩れ、意識が元の世界へと戻っていった――。

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