遊戯王ARC-V -エンタメデュエリストと紅白の巫女-   作:坂本コウヤ

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どうも、こんにちは。坂本コウヤです!!


いやぁ、何か操作ミスって、前書きも何もないヤツ投稿しちゃいました。すいません。

にしても、最近また書くの不調になってきたな。何でなんでしょうね。


さて、今回はあの黒咲さんに「ワンターンスリーキルゥ…。」された三人が出てきます。あと、あの理事長さんも。はたしてどうなるんでしょうね。


それでは、どうぞ!!


P.S.)

3/7 タイトルと本編内の誤字を直しておきました。あんな重要なシーンで誤字出してすみません!! 今後気をつけます。





第10話:決戦開始! 遊勝塾VSLDS!!

「う、う~。あったま痛~い…。」

 

 

 

 

さんさんと輝く朝日が、今日も窓とカーテンの隙間から、私の顔を照りつけてきた。私は、まだ痛みの残る頭を少し押さえながら、上半身をベットから起こした。

 

 

ていうか、いつの間に寝てたのね、私。何があったんだっけ。

 

ぼんやりとした頭で、徐々に記憶の糸を辿っていく。

 

 

「あぁ~、思い出した。」

 

 

 

 

そう言えば確か、昨日あのあと早苗が復活して(残機まだあったのね)から、遊矢達を家に送り届け、その後帰ろうとすると、急に早苗が

 

 

「家には帰りません!! 神奈子様と諏訪子様には、少し私に頼らない生活をしてもらいます!!」

 

 

とか何とか怒りながら言っててこでも動かず、仕方なく私の家に連れ込んだんだっけ。

 

 

そこで久々にお酒(神奈子達のために買ってたやつから数本拝借)を早苗と飲み明かし、アイツの愚痴を聞きつつ、こっちも紫とかに対する愚痴を言いつつ、気が付いたら泥酔寸前まで飲んでたんだ。あとその時に、ついでにこの世界に来た理由を教えてもらった。何でも紫が、

 

 

「たまには、家族水入らずで旅にでも出てはいかがでしょうか。」

 

 

とか何とか言って強制的に送りつけられたらしい。そして、送られたのは私がこの街に来た前の日だそうで、着いたら藍と橙がいたらしく、住居に案内してもらったんだとか。私の時とはずいぶん大違いね。待遇の改善を要求したいわ。

 

後、家は郊外にあるらしく、神奈子と諏訪子の事を考えてか、神社風の家をわざわざ土地を購入して立てたらしい。マジで私と待遇が違うんだけど、これどういう事ホント?! 帰ったら問い詰めてやるんだから。夢想封印の一発や二発は覚悟しときなさいよ。

 

 

 

因みに、前々回の話読んだらわかるんだけど、早苗は夕飯の買い物の帰り道で、私の後をつけてきたわけ。買った物そのものは、倉庫の入り口近くの物陰においてたみたいで、幸い盗られたものもなく、あの後リーズに頼んで、スフィアードの状態で空輸で入口まで運んでもらったらしい。しかも、律儀に『しばらく帰りません。早苗』と書いた手紙付きで。これはリーズ本人が家の中で実体化して何かぼやいてたから、間違いないと思う。

 

 

まぁそれはさておき、おそらく私は、早苗に予備の掛け布団と敷布団を貸すだけ貸して寝たっぽいわね。だって入ってたはずのクローゼット、だっけ。それが開きっぱなしになってるし。

 

 

取りあえず、朝ご飯作りましょうか。今日は確か、赤馬に会いに行かなきゃいけないし。

 

私は予備の巫女服を取り出し、着替えてから一階に降りた。

 

 

 

 

 

 

 

◇≡

 

 

「――で、何でこんなことになってんの?」

 

「あぁ、それはぁ、そのぉ。アハハ…。」

 

「アハハ、じゃないわよ。こんな人数の朝ごはん作れないって。」

 

 

私が一階に降りてリビングのドアを開けると、そこはもう、何かすごいことになっていた。

 

 

入ってすぐ近くの床辺りでは、リーズとフェリスが酒のビン持ったまま大の字で重なって寝てるし、ソファの辺りには、本を読みながら肩を寄せ合って寝てるカームとライラの姿があり、その足元には、イグルがライコウに乗っかって寝てるし、何かもう、カオスな空間になってた。

 

 

「何で精霊達が、こんなにも実体化して寝てんのよ?!」

 

 

あまりのカオス空間に、朝っぱらだというのに叫んでしまった。おまけに叫んだせいで、さっきまで治まってた頭痛がまた再発してきた。

 

 

「あ痛た…。」

 

「霊夢さん、大丈夫ですか?」

 

「だ、大丈夫。つかアンタ、珍しく二日酔い、起こしてないのね。」

 

「はい。昨日は少し、加減もしてましたし。霊夢さんは、別に私に無理やり飲ませようとはしなかったので。」

 

「…あぁ、そういう事? なるほど、アンタも苦労するわね。」

 

 

私の言葉に、思わず早苗は苦笑いしていた。それはそうだ。使える側である早苗にとって、あの守矢の二柱の神は、いわばご主人様みたいなものだ。家族のように過ごしてはいるけど、でも本来の関係としては、そういうものである。でもまぁ、それを差し引いたとしても、互いに仲が良い関係ではあるのだ。ただまぁ、時々無茶を要求されたり、日常の雑務を全て早苗に押しつけたりするので、こうして早苗が反撃したりするのだが。まぁ今回の場合、早苗はただ単に、自分にばかり任せないで、ときには動いてほしい、という事なんだろうけど。

 

 

「さて、この子達、戻ってくれると思う?」

 

「実体化している分、体力は使っていると思うので、戻ってくれるはずですが。」

 

「戻ってくれないと困るんだけどね。」

 

 

そう言いながら、腰に入れてあったカードホルダーから、互いに今実体化している子達のカードを取り出し、皆にかざした。すると、実体化していた皆が光となってカードに吸い込まれ、戻ってきた。これで後は、カード内の空間で休んでくれるはずだ。

 

 

「はぁ、にしても、何で皆実体化してたのよ。」

 

 

みんなを戻し終わった後、私は当然のごとく疑問に思った事を口にした。それに早苗が口を開いて答えてくれた。

 

 

「おそらく、リーズが実体化してたから、それで皆も久々に出たかったんじゃないでしょうか。どうやら、私達が寝ている間に出ていたようなので。」

 

「ふぅん。うちの子達にも、意外な面があるのね。」

 

 

そう言いながら私は、今日の朝ごはんの支度を始めた。早苗も手伝ってくれるようで、二人で台所で作ることにした。

 

 

 

 

 

 

◇≡

 

 

 

「「ごちそうさま(ごちそうさまでした)。」」

 

 

早苗と二人でほぼ同時にご飯を食べ終わった。やっぱさすがは早苗、あの二神をいつも世話してるだけあって、料理スキルはすごく高い。私よりも人に出すことを前提にして作ってるためか、その辺のスキル、盛り付けやおいしく見せるための一工夫などは、私よりも格段に上である(これは他の従者組にも言えることだけれど)。

 

 

対して私は、「おいしいものが食べれたらいい」感覚の持ち主で、しかもだいたい一人で食べることの方が多いので、盛り付けも人並み程度。逆に味は、自分で食べるだけだけど、おいしいのが好きだから、最近はよく味の研究とかしてるかな。特にデュエルモンスターズの大会は優勝金出るから(支出どこがしてるか知らないけど)、それで溜まったお金とかで食べていけてるし、その中で余ったヤツで研究してる感じ。たまに失敗作ができて、その時はゲェゲェ言いながら食ってるけど。

 

 

とまぁ、それぞれスタイルの違う食生活もしてるから、料理スキルにも差が出る。あっ、言っとくけど、盛り付けに関して高いからと言って、アイツ飯マズではないから。

 

 

 

にしても、昨日の朝昼と一昨日の昼を除けば、誰かと一緒に食べてるわね。それも、料理も一緒に作ったり。向こうじゃ、こんな事宴会の時ぐらいしかなかったからな。ちょっと新鮮かな。

 

 

 

あっ、そう言えば――

 

 

「早苗。」

 

「へっ、何ですか?」

 

 

私は使った皿を食洗機(外の世界で、食器を纏めて洗う用の機械らしい。存在は知ってたけど使い方が分からず、昨日早苗に教えてもらった)に入れながら、早苗を呼んだ。テーブルを拭いていたが、すぐに反応してくれた。

 

 

「昨日の事なんだけど。」

 

「あぁ、あの事ですか。」

 

「そう。何か知ってる?」

 

 

 

私が早苗に訊いたのは、昨日遊矢を足止めしていた蛙を操る少女の事についてだ。この『蛙を操る』というので、私は速攻でこの子の使える二神のうちの一人、『洩矢諏訪子』を思い浮かべた。そのせいで、昨日は早苗にぶち切れはしたものの、冷静に考えると、もしかしたらこの子も、何故諏訪子がそんな事をしたのか知らないのかもしれない。そう思い直したので、尋ねることにしてみたのだ。

 

早苗は少し考えた後、口を開いた。

 

 

「そうですねぇ。私には、思い当たる節がないんですけど、ただ、もしかしたら諏訪子様は、あの遊矢君に似たあの人が、突然消えた理由を知ってるのかもしれません。」

 

「ありえそうね。確かに、柚子のブレスレッドが光り出したのは、遊矢が倉庫に入ってくる少し前だった。もし遊矢が諏訪子に妨害されずに真っ直ぐ来ていた場合、最悪アンタとあの男、『エクシーズ次元』の遊矢とのデュエルが途中で中断していた、もしくはデュエルすら行えずに勝手に消えた可能性が高いわね。それに、あそこには転移反応もあったしね。」

 

「転移反応、ですか。」

 

「えぇ。何かが瞬間移動した時に、その出発地点に残る僅かな空間のゆがみ。スキマと違って、境界をいじって出すわけじゃないから、どうしても空間にゆがみが生じる。あそこには、かすかだったけどそれが残ってた。あのブレスレットが、多分関係してるんだろうけど。あくまで推測だけど、もしかしたらあのブレスレット、柚子の近くに異なる次元の遊矢が二人いた場合、この次元の遊矢以外は、遠くに転移してしまうのかもしれないわね。」

 

 

 

これは、あくまで私の推測である。でも何か、あの時の黒遊矢と遊矢、それと柚子の位置関係が、どうも何か引っかかってるのだ。時間的にも、黒遊矢がいなくなったころに遊矢が現れた。だとすると、柚子に遊矢が近づいた事で、あのブレスレッドに秘められた転移能力が作動し、消えたのかもしれない。

 

 

 

 

 

あぁ今更だけど、この子も一応、この世界の次元の概念については紫に教えてもらっているらしい。だから普通に、あの黒遊矢の事を、『エクシーズ次元』の遊矢と言っても通じている。これに関しては、昨日の時点で確認済みなので問題ない。

 

 

さて、そんな話をしてる間に、こっちも片付け終わったわね。早苗の方はというと、おっ、もう拭き終わってるわね。

 

私は、拭き終わった早苗から台拭きを受け取り、それをまた水洗いして干しておいた。これでようやく、アイツのところに行けるわね。昨日の事も含めて、色々と話すことが多そうね。あぁ、そう言えば、早苗はどうしようかしら。

 

 

「早苗、アンタこれからどうする?」

 

「えっ、私ですか? そうですね、霊夢さんについていってもいいですか?」

 

「えっ、私に?」

 

「はい。久々に二人で動くって言うのも良くないですか?」

 

「ん~、私は良いけど、アイツが許可出してくれるかなぁ?」

 

 

まぁ、一人で来いとは言われてないし、いいのかな。昨日の話をするうえで、早苗は重要だろうけど。

 

そんな事を考える私に、早苗が頭に「?」を浮かべながら聞いてきた。

 

 

「霊夢さん、アイツって誰ですか?」

 

「ん? あぁ、赤馬零児の事よ。」

 

「赤馬零児?! あの、『レオ・コーポレーション』社長の、ですか?」

 

「えぇ。昨日朝早くに来てね、デュエルしたの。その時に私が勝って、今日アイツのところに行くことになってるの。」

 

「はぁ、そうですか。勝ったのに行かないといけないんですね。」

 

 

早苗が苦笑しながらいってきた。まぁ、勝ったのにアイツのところに行かないといけないというのも、何かおかしな話ではあるけどね。

 

 

 

「面倒ではあるけれど、アイツとの約束が、『アイツが勝てば昨日、私が勝てば今日行く』ことになってたから、仕方ないわ。元々言いだしっぺ私だし。」

 

「えっ、霊夢さんが提案したんですか?」

 

「えぇ。断って実力行使されても困るから。」

 

「なるほど。それじゃ、私はついて行かない方がいいかもしれませんね。」

 

「う~ん、それがそうでもないかも。」

 

「どういう事ですか?」

 

「アイツ別に、一人で来いとは言ってないし。それに昨日の夜の話的に、アンタがいた方が、説明も何かとしやすいからね。」

 

「まぁ、当事者がいた方が、話はしやすいですからね。でも、良いんですか? 私が付いていっても。」

 

「それ今確認するから、ちょっと待ってくれる?」

 

「はい。」

 

 

私は赤馬に確認をとるために、デュエルディスクを取り出して、アイツが昨日、去り際に教えてくれたアドレスで、アイツに連絡を取ろうとした。すると、ちょうどいいタイミングで、アイツから通信がかかってきたので、通信に出た。

 

 

「あら赤馬。ちょうどよかったわ。今からそっちに――」

 

『博麗霊夢、今どこにいる?』

 

「えっ? 家だけど。」

 

 

どうしたのかしら、えらく焦ってるみたいね。

 

 

「何かあったの?」

 

『察しが良いな。だが今は、説明している時間がない。悪いが、遊勝塾で合流してくれないか?』

 

「遊勝塾で?」

 

『あぁ。』

 

 

遊勝塾で、ねぇ。何か分からないけど、アイツが少し焦ってるってことは、よほどの事が起こってるってことよね。

 

 

「分かったわ。友達連れてってもいいかしら。」

 

『構わない。だが急いでくれ。』

 

「オッケー。じゃあ、後でね。」

 

『分かった。』

 

 

通信はそこで切れた。私は早苗の方を向いて、口を開いた。

 

 

「早苗、今の話聞いてたわね。」

 

「はい。遊勝塾、でしたっけ。」

 

「そう。悪いけど、一緒に来てくれる?」

 

「お安いご用です。いつでも出れますよ。」

 

「よし、なら行くわよ。」

 

「はい!」

 

 

私達はすぐに家を出て、鍵を閉めてから猛ダッシュで遊勝塾へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇≡

 

 

 

遊勝塾には3分足らずで着くことができた。途中人目のない場所から飛行してとばしたため、意外と早く着けた。

 

昨日と違って、中から声はせず静まり返っており、何か起こっていることは想定できた。そして次に、周辺に目を行き渡らせると、変わったものを見つけた。

 

 

「何かしら、あれ。」

 

 

それが外の世界でいう移動手段、『自動車』というものだという事は分かった。問題はその大きさ。大人数が乗れそうなバカデカい物だったのだ。どんだけの人数が押し掛けてきてるのよ。

 

そう思ってると、早苗が後ろから近づいてきて口を開いた。

 

 

「あら、白いキャビンですか? 随分豪華な人が来てるんですね。」

 

「キャビン? 何それ?」

 

「キャビンカーという物ので、政府関係者やVIPが使う物ですね。」

 

「そのVIPって言うのが何かはわからないけど、要するにお偉いさんが使う自動車ってことね。」

 

「ざっくり言えば、その通りですね。」

 

「ふぅん。」

 

 

という事は、さっきの赤馬の様子から考えて、『レオ・コーポレーション』本社のお偉いさんが誰かがここに来てるってことね。そりゃアイツも焦る訳だ。

 

 

「取りあえず、中に入りましょうか。」

 

「そうですね。状況の整理はそれからでも。」

 

「えぇ。」

 

 

私は早苗と二人で並んで、共に塾内へと入っていった。

 

 

 

塾中はどこか閑散としてはいたが、事務室の方から声がしたので、そちらに入った。扉を開く音は小さめにしてたものの、金属同士のこすれる音で気づいたのか、全員がこちらに目を向けてきた。

 

そこにはいたのは、やたら派手な服を着たおばさんと修造さんが向かい合っており、その周りに遊矢達が立っていた。赤馬の姿はちょっと見えないけど。まぁ、まずは状況整理ね。

 

 

「あらあら、呼ばれて来てみたら。いったいどういう状況よ、これ。」

 

「霊夢、何でここに。」

 

「知り合いか、遊矢。」

 

「あぁ、最近ここに入った、博麗霊夢だよ。昨日学校で教えた。」

 

「おぉ、彼女が。」

 

「互いの自己紹介はそこまでにしてくれるかしら。なるほど、塾生がもう一人いたのですね。」

 

 

派手な服装のおばさんが私達の会話を遮りつつ、修造さんにそんな事を言っていた。

 

 

「えぇ、まぁ。彼女には、少し特殊な事情がありまして、ここで講師も務めてもらってまして。」

 

「あら、塾生さんがですか?」

 

 

くそ、いちいちイライラする言い方するわね。こいつ見てると、色々とかき回してくる時の紫思い出すわね。

 

 

「悪かったわね、塾生がやってて。そういうアンタは誰? 赤馬はどこにいるの?」

 

「赤馬? 私も『赤馬』なのですけど。それと、礼儀がなっていませんわね。どんな教育を受けてきているのかしら。」

 

 

こいつも赤馬? ってことは、こいつアイツの母親かしら? 全然アイツと違うわね。礼儀作法を振りかざしてくるなんて、上等じゃない。口には出さないけど、アンタなんかに向ける礼儀なんて、これで十分よ。敬意なんて、欠片も向ける気ないわ。

 

 

「お生憎さま、こっちは礼儀教えてもらう前に親に死なれたので。学校とか何とか、そういう所に行く気も起こらなかったから。」

 

「あら、そうなの。そんな子に講師なんて務まってるのかしらね、塾長さん?」

 

「あぁ、彼女にはまd――」

 

「私の話なんか、今どうでもいいでしょう。状況説明の方が先よ!」

 

 

さすがにイライラしてきたため、口調を荒げてしまった。ホントイライラしてくるわね。コイツ、何様よ。

 

 

「…良いでしょう。ですが、その前に。」

 

「何、まだ何かあんの?」

 

「あなたのその後ろの子の事も、説明していただけるかしら。それと、先ほどあなたが言ったことについてもね。」

 

「こいつは私の友達よ。」

 

「初めまして、東風谷早苗と言います。」

 

 

早苗がそう言って、お辞儀をした。相変わらず礼儀正しいわね。私だったら絶対無理。

 

 

「あら、お友達の方が礼儀正しいのね。そちらの子が講師を務めた方がよろしいのでは――」

 

「すみません。私、今日ここに来たばかりなので。」

 

「あら、そうですか。では部が――」

 

 

あぁんもう、一々余計なことばっかり言うわね。早苗の事なんか、今追及してもしょうがないでしょ!! 何でわかんないのよ、コイツは?! 取りあえず、さっき言われたことも含めて、言ってあげるから黙れっつうの!!

 

私は、努めて冷静に割り込んで、さっきの説明もまとめてしてやった。

 

 

「悪いけど、私達『赤馬零児』にここで落ち合おうって言われたから、来たんだけど。この子もその時に連れてきていいって言われたから。」

 

「えっ?」

 

「零児さんに、ですか?」

 

 

その場の全員が驚いて、一斉にこちらを向いた。それはそうだろう。相手側の社長に呼ばれて来たなんて言ったら、普通驚かないわけがない。それは、相手方にも言えること。自分の社長が、こんな小娘を呼び付けて、自分のところに来させた、しかも、あろうことか、社長自らこっちに来るとかいう一大事。これで驚かなかったら、むしろそいつは事情を知っているか、それとも筋金入りのバカしかあり得ない。

 

 

「さて、こっちの事は話したわよ。次は誰でもいいから、状況説明して。分かりやすく。」

 

「それは、俺から話すよ。」

 

 

私の言葉で、驚きから立ち直っていた修造さんがそう言って、今に至る状況を話してくれた。

 

 

 

どうやら沢渡のヤツ、昨日あの後この街の病院に入院して、そこで遊矢に襲われたって言ったみたいね。そのせいで、今目の前にいるおばさん、『レオ・コーポレーション』理事長の赤馬日美香が出しゃばってきて、デュエルで勝ったら、この遊勝塾をLDSの傘下に加えるって言ってるらしい。

 

 

「なるほどね。大体理解しました。ありがとうございます。」

 

「いや、良いよ。にしても、さっきの話は本当なのかい? その、赤馬零児に呼ばれたというのは。」

 

「呼ばれた、ではなく落ち合おうですけど、本当です。私のデュエルディスクの通信履歴を見てもらえれば、分かると思います。」

 

「それ、見せていただけるかしら。」

 

 

と、ここでさっきの一言から黙っていた理事長が会話に加わってきた。

 

 

「…良いけど、ちょっと待って。今開くから。」

 

 

そう言って私は、通信履歴を開いて、それを皆に見せた。

 

 

「…確かに、零児さんのアドレスです。ですが、信じられません。いったいいつ会ったのですか?」

 

「昨日の午前に、私のところに来て、その時にデュエルしたの。その時に教えてもらったのよ。」

 

「…そうですか。にわかには信じられませんが、通信履歴がある以上、あなたとの接点がなければおかしいことになりますものね。」

 

 

そう言って、理事長はそこに関しては引き下がった。皆も、それ以上は聞いてこなかった。フトシ君達が何か聞きたそうな感じだったけど、おそらくデュエル結果の事だろうから、今自重してるって感じかな。そんな空気じゃないしね。

 

 

「で、遊勝塾としては、これ受けるんですか、修造さん。」

 

 

私は修造さんに、このデュエルについての『遊勝塾』としての回答を聞いた。もし受けなければ、その瞬間ここはLDSのものとなってしまう。それだけは私は避けたい。ただ、そこは塾長のこの人が決めること。だから、修三さんに確認をとったのだ。

 

修造さんは、これに関しては少し迷ってるようだ。たぶん、『ペンデュラム召喚』が他に広まることには何得してるのかもしれないけど、LDSの傘下になるになるってことはつまり、今の方針を貫けなくなる。それが嫌なんだろうけど。

 

 

「ん~、皆さんはどうなんですか?」

 

 

早苗が今度は、この場にいる遊勝塾のメンバー(+何か分かんない奴)に訊いた。すると、真っ先に応えたのは柚子だった。

 

 

「私は嫌よ。だって、もしLDSなんかに取り込まれたら、『エンタメデュエル』を教える事が出来なくなっちゃう!!」

 

「柚子。」

 

「そうだよ。柚子お姉ちゃんの言う通り!」

 

「ここがLDSなんかになっちゃったら、今の楽しい生活が全部おじゃんになっちゃうぜ!」

 

「僕も。遊勝塾は渡したくありません!」

 

「僕もかな。元々LDSに入りたくなかったからこっちに来たんだし。」

 

 

 

一人だけ意見は違うけど、皆の意思は一つみたいね。となると後は――

 

 

 

「遊矢、アンタはどうなの?」

 

「えっ、俺は。」

 

「迷ってるの?」

 

「だって、デュエルは喧嘩のための道具じゃない。でも、遊勝塾も渡したくないし。」

 

 

なるほどね。まぁ、コイツらしいって言えば、そうなのかな。まだ会って高々2日か3日だけど、コイツの性格って言うのが、何となく分かっってきた。

 

こいつは本当に、純粋にデュエルを無条件に楽しいものとして考えてる。だからこそ、こういう事に反対なんだろう。コイツみたいに、純粋な気持ちでデュエルしてたのとか、いつ頃だったかしらね。

 

 

私は遊矢の肩に手尾を優しく置き、彼に向かって優しく微笑んでこう言った。

 

 

「だったら。」

 

「? 霊夢?」

 

「あなたが思ってる、一番強い思いに、自分がやりたいと思ってることに、正直になりなさい。」

 

「俺が、一番やりたい?」

 

「そう。アンタは今、何がしたいの?」

 

「俺は…。」

 

 

そう言って遊矢は首からかけているペンデュラムを握って一度目を閉じ、もう一度目を開けてこちらを力強く見返してきた。私は、それを正面から受け止める。

 

 

「俺は、皆と一緒にいたい。ここにいる、皆と。そして、渡したくない。ペンデュラムも、遊勝塾も。」

 

「なら、答えはもう、決まってるでしょ?」

 

「あぁ!」

 

 

そういうと遊矢は、理事長に視線を向け、強く宣言した。

 

 

「デュエルは喧嘩のための道具じゃない。けど、俺は遊勝塾も、ペンデュラムも渡したくない! ここは、遊勝塾は、父さんが作り上げた、『エンタメデュエル』を教えてくれる塾! 人々皆を笑顔にするこの塾を、金や力で何でも自分のものにしようとするアンタなんかに、渡したくない!!」

 

「遊矢。」

 

「遊矢君。」

 

 

ハァ、遅いわよ、全く。

 

 

「という訳みたいですけど、修造さん?」

 

「そうだな。これで俺も、気持ちが固まった! 遊勝塾は誰にも渡さない!! それは、たとえLDSであってもだ!!」

 

 

修造さんのその言葉に、皆が強くうなずいた。理事長は一度目を閉じ、それから目を開いてこう言った。

 

 

 

「それでは、仕方ありませんね。始めましょうか。この遊勝塾をかけた、塾生対抗戦を!」

 

 

 

 

 

◇≡

 

 

 

遊勝塾内にある、アクションデュエル場。

 

 

そこに、二つのデュエル塾の塾生数名が、互いに向き合っていた。

 

 

一つは、私と早苗が今いる、遊勝塾の塾生メンバー。早苗に関しては部外者扱いになりそうだったところを、あの子勝手に遊勝塾に入るとか言いだして、その場で契約成立。とか言うふざけた入り方をしたので、一応こちら陣営に所属で決定した。まぁ、詳しい金関係は後でってことなんだろうけどね。まぁこっちとしては、人数少なかったからちょうどよかったんだけど。

 

 

そして、もう一つはLDSの融合クラス、シンクロクラス、エクシーズクラスからわざわざ来たトップのメンバー組。どう見てもこっちを見下しているとしか思えない目をこちらに向けている。特にあのエクシーズクラスから来たとかいうヤツ、志島北斗って言ったっけ。アイツさっきから何なの? 一発ぶん殴ってやろうかしら。

 

とか思ってたら、あの理事長が口を開いていた。

 

 

「3人対3人。先に2勝した方が勝ちという事で、よろしいですね。」

 

「構いません。皆も、それでいいな?」

 

『はい!!』

 

 

 

遊勝塾全員の声が、一つになった。覚悟もばっちりね。

 

そして、了解を得た向こうが、誰が出て来るのかを聞いてきた。こちらは最初に素良が出ようとしたところ、遊矢が出ると言いだした。ただ、いきなり遊矢をぶつけるのは得策じゃないと判断した私は、その遊矢に待ったをかけた。

 

 

「遊矢、アンタは最後まで待ってさい。」

 

「霊夢、何言ってるんだよ?」

 

「いきなりアンタが出るのは得策じゃないって言ってるの。大丈夫、私に任せなさい。」

 

「…分かった。」

 

 

そう言って遊矢は引き下がってくれた。相手さんは、どうやら今のやり取りがどうも面白くなかったみたいで、少し不機嫌そうな顔をしていたものの、すぐにその顔を、あのムカつく顔に変えた。

 

 

「あら、あなたが最初? 止めておきなさい。そこは榊遊矢君に任せて、あなたは――」

 

「あら、人を見た目や塾、喋り方で判断するなんて。それだけ見栄でも張ってないと、LDSッてやっていけないもんなの?」

 

「……、良いでしょう。ならまず、あなたから叩き潰――」

 

「アンタが叩き潰すんじゃないでしょ?それと、こっちとしては誰と戦うか指名したいくらいなんだけど。」

 

 

そう言って私は指をあの志島北斗の方に向け、宣言した。

 

 

「私の相手は、アンタよ!!」

 

 

私がそういうと、志島は急に笑い出してこう言った。

 

 

「ハハハハハハ!! 君がこの僕、LDSのエクシーズクラスのエリートであるこの僕と? ハハハ、止めておきなよ。恥をかくだけだよ。」

 

「そうね。アンタがね。」

 

「何?」

 

 

私が軽く挑発してやると、あっさり乗ってきた。うん、良いノリね。

 

 

「お前、今何て言った?!」

 

「真実を述べたまでだけど。」

 

「貴様ッ!! 良いだろう、そこまで言うなら、僕が君を叩き潰してあげるよ!!」

 

「フフフ、じゃあ始めましょう。修造さん、お願いします。」

 

「あ、あぁ。分かった。」

 

 

そう言って、私と志島の二人を残して、皆は外に出た。修造さんと理事長は、調整室に入ってアクションフィールドのセットに入った。

 

 

『よーしっ、ではいくぞー!! フィールド魔法『星の聖域(コスモ・サンクチュアリ)』、セット・オン!!』

 

 

修造さんの掛け声とともに、私たちの周りの景色が徐々に変わっていき、まるで星空の中に浮かぶ、神殿のような場所に変わった。

 

 

「準備は良いわね?」

 

 

取りあえず、相手に確認をとった。志島は先程の余裕の表情に戻っており、「大丈夫だ。」とだけ答えてきた。

 

 

「じゃあ始めましょう! 『戦いの殿堂に集いし決闘者達が!!』」

 

「『モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!!』」

 

「「『フィールド内を駆け巡る!!』」」

 

「『見よ!! これぞ!!』」

 

「『デュエルの最強進化形!!』」

 

「「『アクショーン!!』」」

 

 

 

「「『デュエル!!』」」

 

 

 

志島北斗

LP 4000

デッキ枚数 35枚

手札 5枚

場、Pゾーン、伏せ 全てなし

 

 

博麗霊夢

LP 4000

デッキ枚数 40枚

手札 5枚

場、Pゾーン、伏せ 全てなし

 

 

 

 

 

 

かくして、私達、遊勝塾のメンバーと、LDSのメンバーによる、遊勝塾をかけた戦いが、ここに幕を開けたのだった。

 

 

 

 




どうも、お疲れ様です。いかがだったでしょうか。

いやぁ、目に見えて内容が落ち込んできてますね。くそ、いったいなぜなんだ。



さて、恒例のいつもの振り返りですが、それする前に投稿しちゃったので、いきなり次回予告でいきます。

次回はもう、流れ見てもらったら分かる通り、北斗VS霊夢です。もう流れがワンパターン化してきてるかもしれませんが、果たして今回はどうなるんでしょうね。


それでは、次回もお楽しみに!!



遊矢&霊夢「「お楽しみは、これからだ(これからよ)!!」」


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