遊戯王ARC-V -エンタメデュエリストと紅白の巫女- 作:坂本コウヤ
いやぁ、なぜこんなことを急に言い出したかと言いますと、今回もその一つなんですよ。まぁ、結果として良かったのかなとは思っていますが。その代わり、社長の出番がまた後に。端っこの方でもう少し我慢してて下さい。
さて、今回は予定を変更して、柚子VS真澄のデュエルで行きたいと思います。
ただ、原作通りにデュエルしたら面白くないなと思ったので、色々と変更しています。原作のあのデュエルの流れが好きな方にとっては、抵抗を感じてしまうと思いますが、ご了承ください。
???「そーなのかー。」
…、ルーミアは幻想郷にお帰りなさい。それでは、どうぞ!!
LDSとの、遊勝塾をかけた戦い。
初戦は霊夢が、LDSエクシーズコースの主席である、志島北斗をワンターンキルで仕留め、見事な勝利を挙げた。
そして二戦目、今度は私、柊柚子が出る事になった。自分から、立候補したのだ。
相手は、LDS融合コース主席の光津真澄。どんなデッキの使い手かは分からないけど、このデュエル、霊夢に続いて、私も勝って見せる!
「「デュエル!!」」
柊柚子
LP 4000
デッキ枚数 35枚
手札 5枚
場、Pゾーン、伏せ 全てなし
光津真澄
LP 4000
デッキ枚数 35枚
手札 5枚
場、Pゾーン、伏せ 全てなし
初手の手札は、うん、これならいけるかな。後は、エースを引くだけ。
「フフフ。」
「? 何がおかしいの?」
突然軽く笑った真澄に対して、少しムッとなる私。いったい何がおかしかったって言うのよ。
「いや、ごめんなさい。でも、今のあなたが輝いて見えるって言っていた、あなたのお父さんが、相当な親バカだなって思っただけよ。」
「何ですって?」
真澄が笑った理由。それは、デュエル開始前に、お父さんが調整室越しに私に言ってきた言葉に対してだった。親バカなのが、そんなにいけないわけ?
「確かに、お父さんは親バカだけど、それでも、私のために一生懸命になってくれる人よ。そんな人を笑うなんて、許さない!」
「フッ、許さない、ねぇ。でも、今のあなたに、目のくすんでいるあなたに、そんな気持が貫けるのかしらね?」
「っ、どういう意味よ?」
目がくすんでる? だから、気持ちが貫けない? 真澄の言ってる意味が、全く理解できない。
そう思って返事を返すと、真澄が唐突にこんな事を言い出してきた。
「私のパパは宝石商を営んでるの。だから私も、小さいころからその輝きを見てきたわ。本物の輝きを持つ、本物の宝石をね。」
「…それが、何だって言うのよ?」
「まだ分からない? ならはっきり言ってあげる。あなたの目には、今輝きが全くない。心が迷っている証拠よ!!」
「ッ!?」
真澄にそう言われた瞬間、私は自分が、今一瞬どこにいるのか分からなくなった。そして、激しく動揺した。
そうだ、私は迷ってる。昨日、沢渡との時に出会った、あの遊矢似の子の事が、頭の中でずっとこびり付いて、全く離れないのだ。
あれは、本当に遊矢じゃなかったの? もしかして、本当は遊矢だったんじゃないか? そんな思いが、私の心の中を支配していた。とてもデュエルに集中したり、何か想いを貫いたりなんて、出来る心境ではなかった。
だけどそれでも、この遊勝塾を渡したくないって思いが、こんな心のどこかに少しだけ維持されており、私は、そのほんの少しの思いだけで、今踏ん張っている状態だ。それだけの気持ちで、何ができるっていうんだろう。
グラグラと揺れ動く私の心に、真澄はさらに追い打ちをかけて来る。
「あなたがデュエル前に話していた、あの緑の髪の子。あの子やさっきのデュエルしてた子の目は、すごく輝いていたわ。今のあなたなんかと違って、すごく澄んだ、迷いのない瞳だった。」
「…だから、だからなんだっていうのよ!!」
追い詰められた私は、思わず叫んでしまった。認めたくないから。自分の心が、霊夢達と違って、激しく迷っている自分を認めたら、自分がおかしくなってしまう気がしたから。
「私が迷ってる? それが何だっていうのよ!! 私は、この塾を守りたいの。それだけなの!! 今アンタに言われた、私が迷ってるとか、瞳がくすんでいるとか、そんなのどうだっていいじゃない!! これ以上、私を惑わさないで!!」
崩れそうになってる私の思いを守るために、気が付けばありったけ叫び散らしていた。それでも、真澄の顔からは笑顔が消えなかった。
怖い。
すごく怖い。
まるで、全てを見透かされているようで。
そして恐怖が、徐々に私の身体を、心を支配し始めた。私は、そんな感情から逃げたくなって、気付けば自分のターンを始めていた。
「私のターン!! 私は、手札から魔法カード、『独奏の第一楽章』を発動!! このカードは、1ターンに1度だけ発動できて、その後私は、幻奏モンスター以外特殊召喚できなくなるけど、その代わり、手札、またはデッキから、レベル4以下の幻奏モンスター1体を特殊召喚出来る!! 私はデッキから、『幻奏の音女アリア』を、特殊召喚!!」
幻奏の音女アリア
☆4
光属性,天使族/効果
DEF 1200
「さらに、自分フィールド上に幻奏モンスターがいる事で、手札から『幻奏の音女ソナタ』と『幻奏の音女カノン』を、特殊召喚!!」
幻奏の音女ソナタ
☆3
光属性,天使族/効果
ATK 1200
幻奏の音女カノン
☆4
光属性,天使族/効果
ATK 1400
「そして、今特殊召喚したソナタとカノンをリリースして、アドバンス召喚!! 天上に響く妙なる調べよ、眠れる天才を呼び覚ませ!! いでよ!! レベル8、『幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト』!!」
幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト
☆8
光属性,天使族/効果
ATK 2600
「へぇ、いきなりエースモンスターの登場かしら? 随分余裕がないのね。」
「っ、うるさい!! 私はカードを1枚伏せ、ターンエンド!!」
(今伏せたカードは『リビングデッドの呼び声』。これなら、相手にたとえアリアやプロディジー・モーツァルトを破壊されても、これですぐに復活させられる。よしんば『ブラック・ホール』とか使われたって、何とかなるわ。)
柊柚子
LP 4000
デッキ枚数 34枚
手札 無し
場
幻奏の音女アリア
幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト
Pゾーン 無し
伏せ 1枚
真澄に図星を突かれ、思わず声を荒げてしまう。そう、私は確かに、もう塾の事とか、さっきのお父さんの事とか、そんな事を意識している余裕など、頭の中には無かった。グラついて、ひどく脆い、迷ってる心で、私は、戦うしかなかった。
◇≡
「まずいですね、あれ。」
「えぇ。いくら何でも、余裕がなくなり過ぎてる。あんなので、まともなデュエルができるわけがない。」
私と早苗は、今隣に並んで、柚子のデュエルを見ていた。あの子の様子からして嫌な予感はしてたけど、やっぱりこうなるのね。
しかも、相手でである光津真澄にひどく精神を揺さぶられて、とてもじゃないけどまともな精神状態じゃない。目なんか見なくてもわかる。普通初ターン、それも先攻で耐性の無いエースモンスターを出すなんて、余裕のない証拠。一応アリアで戦闘耐性だけはつけてるみたいだけど、あれじゃアリアを貫通モンスターで狙って下さいって言ってるようなものよ。だから早苗に変わった方が良いんじゃないかって言ったのに。
実はデュエル前に、早苗が柚子に、自分が出ようかと提案したのだ。ところが柚子は大丈夫の一点張り。さすがに私もその段階で、何となく嫌な予感はしてたから、交代した方が良いんじゃないかって言ったんだけど、それでもてこでも動かず、おまけに遊矢達に止められたから、仕方なく引き下がったのだ。だけど――
「大丈夫って言ったくせに、この様なの?」
正直腹立ってくる。今何か柱の辺りに隠れてる赤馬に対しても別の意味でムカついてるけど、柚子の場合はそれ以上。余裕がないくせに無理して、相手の言葉で滅茶苦茶動揺して、挙句の果てに露骨に余裕がありませんって言うプレイングして、ふざけてるの?
そう思ってると、私は自然と拳を握りしめていた。それも、手が真っ白になるくらいに。
「霊夢さん。」
早苗はそんな私を見て、そっと肩に手を置いてきた。普段ならきっと、それで少しは怒りが収まる時もあるのだろうが、それでも、私の中の怒りは収まる事を知らなかった。
おそらく今の柚子に、昨日の遊矢のような事をしても逆効果だろう。それゆえに、自分としても歯痒くて仕方ないと思っている。柚子に対する怒りもあるにはあるが、そんな何もできない自分に対する怒りが、よりその怒りの炎を燃え上がらせていた。
怒りで気が狂いそうになっていると、早苗が手を置いている方とは逆の肩に、別の手が置かれていた。そちらに顔を向けると、そこには遊矢がいた。
「霊夢。」
「…何よ、遊矢。今気分が悪いの、ほっといて。」
何でかは分からない。本当はもっと、何か別の事をしてもらいたかったのかもしれない。でも、気が付けば、そんな言葉が出ていた。ただ事実として、確かに気分は悪かったから、あまり話しかけられたくは無かった、というのはあるが。
「…確かに、柚子は今、何か様子がおかしい。でも、少なくとも、俺達は信じてやろうよ。アイツなら、やれるって。」
「……。」
「遊矢君。」
遊矢の言葉に私は押し黙った。そして同時に、また少しだけ怒りがこみ上げてきていた。あぁそうね。確かにそうやって、気楽に信じられたらどれだけ楽か。でも、何度もそういうヤツを見てきたから分かる。迷ったり、心が乱れたりしてる時のデュエルほど、ろくなものは無いって。楽しいデュエルしか知らないこの子達にとっては、この状況は確かに「遊勝塾がかかってるから、負けられない」って言う気持ちはあるだろうけど、それはただあるだけで、きっちり結びついてはいない。自分の全てをかけてでも護って見せるっていう気概が感じられない。そんなのでいったい、何を守るっていうのよ。
言ったところで詮無いことだと分かってはいたものの、私の心では、そんな思いが渦巻いていた。そんな思い渦巻いている私の目の前で、柚子と光津のデュエルは続いていた。今は光津のターンだった。
『私のターン、ドロー!!』
光津真澄
手札 5→6枚
『行くわよ。私は手札から、魔法カード『ジェムナイト・フュージョン』を発動!! 自分の手札、フィールドから、ジェムナイト融合モンスターによって決められた素材を墓地に送り、その融合モンスターを1体、エクストラデッキから融合召喚する!! 私は、手札の『ジェムナイト・ガネット』と、『ジェムナイト・オブシディア』を融合!! 紅の真実よ!! 鋭利な漆黒よ!! 光渦巻きて、新たな輝きと共に一つとならん!! 融合召喚!! 現れよ、情熱溢れる紅の戦士!! 『ジェムナイト・ルビーズ』!!』
ジェムナイト・ルビーズ
☆6
地属性,炎族/融合/効果
ATK 2500
「召喚権も使わずに融合だって?」
「何というヤツだ。」
隣にいた遊矢と、後ろにいつの間にかいた権現坂が、そう呟いたのが聞こえた。どうやらここじゃ、手札融合すら珍しいようね。その後、融合を使う素良がわざわざ説明してるところを見ると、本当に知らないみたいね。
にしても【ジェムナイト】、ね。これ結果見るまでもなく終わったわね。おまけに出されたのが、貫通効果持ちで、且つ1ターンに1度、自分の場のジェムモンスター1体をリリースする事で、そいつの攻撃力分、自身の攻撃力を上げることのできる『ジェムナイト・ルビーズ』。もしこの後ジルコニアなんて出されでもしたら、確実に終わるわね。というか、終わらせに来るんじゃない。終わらせてほしいくらいだけど。イライラを収めてほしいから。
そして、神様も案外私を見てくれているのか、このデュエルは決着が付いてしまうようだった。
『そして私は、素材に使った『ジェムナイト・オブシディア』の効果発動!! このカードが手札から墓地へ送られた時、墓地のレベル4以下の通常モンスターを1体、特殊召喚出来る!! 私は、同じく素材に使った、『ジェムナイト・ガネット』を特殊召喚!!』
ジェムナイト・ガネット
☆4
地属性,炎族
ATK 1900
『さらに私は、墓地の『ジェムナイト・フュージョン』の効果発動!! 墓地にあるジェムナイトモンスター1体を除外する事で、墓地のこのカードを、手札に戻すことができる!! 私は墓地の『ジェムナイト・オブシディア』を除外し、『ジェムナイト・フュージョン』を手札に戻す!!』
「まずい。これでまた融合モンスターが。」
「だ、だが柚子の場には、特殊召喚された守備表示の『幻奏の音女アリア』がいる。それに『ジェムナイト・ルビーズ』の攻撃力は2500。僅かだが届いていない。よしんば強化能力があったとしても、アリアの効果で――」
「いえ、このターンでおそらく、決着が付きます。」
遊矢が悲観的になってるところを、権現坂が希望的観測を示そうとした時に、それに水を差す者がいた。早苗だった。
その早苗の断定的な言葉にムッとしたのか、権現坂が早苗にズカズカと歩み寄っていった。
「どういう事だ。」
「簡単な事です。『ジェムナイト・ルビーズ』には、貫通効果があるんです。」
「貫通効果だって?!」
早苗の口から出た言葉に、遊矢が驚愕していた。権現坂も少し驚いた表情をしていたが、その顔には、まだ希望があるようにも見えた。早苗は、その希望の宿った顔を見て、もう一つの決定的理由を話すかどうか迷っているようだった。迷う必要なんてないのに。しょうがないわね。
「権現坂、それに遊矢も。悪いけど、それ以外にも理由があるのよ。」
「霊夢?」
「それは何だ? 柚子がこのターンで終わるほど深刻なものなのか。」
「えぇ。『ジェムナイト・ルビーズ』にはもう一つ効果があって、1ターンに1度、自分フィールド上のジェムモンスター1体をリリースする事で、そのモンスターの攻撃力分、自身の攻撃力を上げる効果を持ってるのよ。」
「何だって?!」
「だが、たとえそうだとしても、今『ジェムナイト・ルビーズ』以外に場にいるのは、攻撃力1900の『ジェムナイト・ガネット』のみ。それでどうやって削りきるというのだ?」
まだ勝てる希望にすがってるのね。ここまで信じられてるなんて、あの子いい友達持ったわね。でも、私も現実も、そんなに甘くは無い。
「さっき光津真澄が手札に戻したのは『ジェムナイト・フュージョン』。つまり、攻撃力2500以上のモンスターを融合召喚した瞬間、あの子の負けは確定する。極端な話、ジェムナイト融合モンスターの中でも攻撃力の高くて、大した効果も持ってない『ジェムナイト・ジルコニア』が出れば、そいつをリリースして、ワンショットキルに持ち込むことだってできる。」
「そ、そんな。」
「まぁ勿論、これは相手が手加減しない事を前提に話してるけど、相手が手加減してくれるとは思えないわ。彼女達にもプライドってものはあるでしょうから。」
ここまで言われてか、さすがの権現坂も黙り込んだ。遊矢もまた、下を向いて俯いている。
まぁ普通、どんな状況でも逆転の一手ってものはあるでしょうけど、あの伏せカードがそうとは思えないのよね。【幻奏】でよく使う『光神化』は手札がないからまず無い。『奇跡の降臨』も除外モンスターがいないから論外。『禁じられた~』系の速攻魔法も、今の状況とはかみ合いが悪い。それにこの世界のデュエリスト、極端なぐらい魔法・罠カードで破壊するカードが少ない。その上、反射ダメージ目的なら、モーツァルトを出す必要もない。だとするとあれは、リビングデッドとかの蘇生系カードの可能性が高い。もしくはブラフか。いずれにしても役に立たないカードね。
私が権現坂たちと話をしている間に、デュエルはさらに先に進んでいた。
『行くわよ!! 私は再度『ジェムナイト・フュージョン』を発動し、フィールドの『ジェムナイト・ガネット』と、手札の岩石族モンスター『ジェムナイト・アレキサンド』を融合!! 紅の真実よ!!昼と夜の顔を持つ魔石よ!! 光渦巻きて、新たな輝きと一つとならん!! 融合召喚!! 現れよ!! 幻惑の輝き!! 『ジェムナイト・ジルコニア』!!』
ジェムナイト・ジルコニア
☆8
地属性,岩石族/融合/効果
ATK 2900
「攻撃力、2900…。」
「…終わりましたね。」
「えぇ。あんな状態じゃ、とてもアクションカードなんてとれないでしょ。」
遊矢の絶望の混じった声が、室内にポツリとつぶやかれ、私達もまた、この試合の勝負の結果を早く理解した。
一方、光津と向き合っている柚子はというと、完全には諦めてないようだけど、もうその目には、闘志の炎は感じられなかった。
◇≡
嘘…。
こんなことって、あるの…。
こんな、こんな…。
私のターンを終えて、次の真澄のターン。真澄は、専用の融合カードを用いて、手札からモンスターを融合召喚してきた。それだけなら、さすがLDSの融合コースの主席だって思っただけだったけど、その後彼女は、さらにもう一度融合召喚をしてきたのだ。それも、全く召喚権を使わないで。
私はもう、先程まで自分を支えていたほんの少しの思いだけじゃ、立っているのが精いっぱいなぐらい、精神的に追い詰められていた。逃げたい、ここからすぐに逃げ出したい。それぐらい、私の心は、先程の恐怖が徐々に浸食して、胸を締め付けていたのだ。
そんな私の表情を、いや、その表情の中にある、彼女のいうくすんだ目を見て、こう言ってきた。
「ふん。その輝きの無いくすんだ、いや、くすんでるのを超えて濁りきった目、もう見飽きたわ。一撃で片を付けてあげる。『ジェムナイト・ルビーズ』の効果発動!! 1ターンに1度、自分フィールド上のジェムモンスター1体をリリースする事で、『ジェムナイト・ルビーズ』の攻撃力を、リリースしたモンスターの攻撃力分アップさせる!! 私がリリースするのは、当然さっき召喚した、『ジェムナイト・ジルコニア』!!」
『ジェムナイト・ジルコニア』が真澄のフィールドから消え、消えた時に出た光を『ジェムナイト・ルビーズ』が吸収して、その力を増していった。
ジェムナイト・ルビーズ
ATK 2500+2900=5400
「攻撃力、5400……。」
「これで終わりよ。バトル!!『ジェムナイト・ルビーズ』で、『幻奏の音女アリア』を攻撃!! そして、『ジェムナイト・ルビーズ』は、守備モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与える!!」
『ジェムナイト・ルビーズ』が、持っていた炎の杖をアリアに向け、その杖から、強烈な火炎をほとばしらせ、アリアはそれを、自身の前に障壁を張って防ごうとしたものの弾かれ、その火炎は、私を飲み込んでいった。そして、その猛烈な火炎の中で、私の意識は、暗闇のかなたに追いやられていった。
ジェムナイト・ルビーズ
ATK 5400
幻奏の音女アリア
DEF 1200
柊柚子
LP 4000-(5400-1200)=-200
(遊、矢…、皆…、ごめん、ね……。)
意識が完全に沈み切る直前、私は、心の中で皆に誤った。そして、その一言を心の中で呟いた途端。私の意識は、完全に闇の中へと落ちて行った――
――気のせいか、最後に遊矢の声が、聞こえたような気がした――
◇≡
「――ず、柚子。しっかりしろ柚子!」
「ん、ん…。あれ、遊矢?」
突然肩を揺すられ、目を開けると、そこには遊矢がいて、心配そうな目でこちらを見ていた。そして、その遊矢の顔に、一瞬だけ、あの遊矢似の子の顔が被ったものの、それはすぐに消えた。そして、どうしてこうなっているのかを、鮮明に思い出した。そうだ。私は、真澄に、負けて。
「…ごめん、遊矢。私、大事な試合だったのに。」
「いや、俺の方こそ、ごめん。そんなにアレの事で、思い詰めてたの、俺、知らなかったから。」
「遊矢。」
「あらあら、見せつけてくれちゃって。」
遊矢に抱きつくような形で、謝っていると、突然横から冷やかしの声が聞こえた。真澄だった。
私は、顔を真っ赤にして遊矢を弾きとばそうと思ったけど、その遊矢の肩越しに、ある人物の顔が見えてすぐに止めた。
私が見えた顔。それは霊夢だった。ただ、いつもみたいなクールな感じで無いのは、空気的に分かった。そして子の表情も、目を伏せてこちらに来ていたので、その表情は伺い知れなかった。
霊夢のただならぬ空気を感じてか、遊矢も少し後ずさり、私の前を開けた。霊夢は、遊矢を無視して、一直線にこちらまで歩み寄った。私も、そんないつもと違う霊夢の様子に、戸惑いを隠せなかった。ただ何となく、怒っているように感じた私は、取りあえず霊夢に謝る事にした。
「れ、霊夢。その、ごめん。負けちゃ――」
――そこで、私の言葉は途切れた。なぜなら――
――バシーンッ――
――霊夢の強烈な平手が、私の左頬を襲ったからだった。私はそのまま、デュエル場の床に倒れこんでしまった。
「キャア!!」
「っ、柚子!? 霊夢、何を、?!」
遊矢が、平手をした霊夢に何かを言おうとしたが、その顔を見てすぐに止めていた。
そして私も、叩かれて床に倒れたまま半身だけ起こし、霊夢の顔を見た。するとそこには――
――まるで、家畜などを見るような目をした、無表情の霊夢の顔があった。
どうも、お疲れ様です。いかがだったでしょうか。
ワンキル書きたくないって言った次の回でこれだよ!! 何やってんだ、俺。
でもまぁ、流れ的にこうした方がいいかなと思った結果のこれです。柚子はこの時目がくすんでると真澄にいわれていましたが、どうせならもっと極端にやってしまおうと思った結果がこれです。正直やりすぎたかなぁ。でもまぁ、霊夢達もいたから、これぐらいでよかったとも思っています。
霊夢と早苗が劇中で言っていた、自分達が柚子の代わりに出ると言っていた事は、実は作者の頭の中で考えていた事そのままです。ただ、そうすると柚子が迷いっぱなしになる上に、きっと成長のタイミングを逃してしまう気がしたので。ただ、迷ってる柚子を放置しておくほど、早苗さんも薄情ではないでしょうし、霊夢も何気に心配したりはしてると思うんですよね。だから、あんな形で入れてみました。
後、これ書いてて思ったのが、『ジェムナイト・フュージョン』やっぱTUEEEEEEEE!!!
どう考えても1ターンに1度じゃないとか鬼畜!! あれで何体も融合繰り返されて、「あれー、一人でやってるよー。」って思った事ありますもん。コンマイよ、何故あんな効果にしたのか。
さて次回、今回最後に強烈な平手を柚子にかました揚句、家畜を見るような目で柚子を見下ろした霊夢。この後、いったいどうなってしまうのか。
そして、次回こそ社長は出るのか?! 乞うご期待!!
それでは、次回もお楽しみに!!
遊矢&霊夢「「お楽しみは、これからだ(これからよ)!!」」