遊戯王ARC-V -エンタメデュエリストと紅白の巫女-   作:坂本コウヤ

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えぇ、皆さんお久しぶりです。坂本コウヤです。

いやぁ、バイトでの疲れがあってなかなか書けなかったんですよ。ホントすみませんね。


まぁ作者の話は置いておいて、この作品もついにUA9712と、大変皆様に読んでいただけていて、且つお気に入りも88件も登録していただいてるようで、作者としてもとても感謝しております!! また、毎話書くごとに届く感想も、楽しく読ませて頂いております。これからも、この作品をよろしくお願いします!!


さて、今回は珍しくデュエル無し回です。最後、開始の合図だけしてますが、デュエル自体は無いです。はてさてあの後、霊夢と柚子はどうなったのか?! 楽しみにしていて下さい!!




それではどうぞ!!




第13話:怒りの霊夢! 遊矢の決意!!

遊勝塾をかけた、遊勝塾チームとLDSチームによる、3本勝負。

 

1回戦、私とLDSエクシーズコース主席の志島北斗の戦いは、私の新たな仲間、征竜達と、遊矢達の前で新たに使った、エクシーズモンスター達、そして超ド級のシンクロモンスター、『星態龍』による、華麗なワンターンキルによる勝利で終わった。

 

 

ところが二回戦、昨日の黒遊矢の事がまだ頭に残っていたのか、迷いを抱えたままの柚子は、LDS融合コースの光津真澄とのデュエルで、いつものデュエルが出来ずにワンキルで敗退。

 

これがただのワンキル負けだけなら、私も大して何とも思わない。だってそれは、全力でぶつかったとしても、やっぱり決闘者の実力の差もあるだろうし、デッキの相性もある。事実、まだこちらでは融合系統の幻奏カードが生まれてないせいもあって、柚子のデッキはいまだ未完成の状態。それに対して、ガチ構築とまではいかないまでも、ほぼ完成の域まで達している【ジェムナイト】のデッキを使う光津真澄とでは、相性はほぼ最悪。ワンキルになる可能性は十分に考えていた。

 

 

 

だけど、このデュエルにおいて、私はどうしても、柚子に対して許せない事がある。

 

それは、大丈夫だと言っておきながら結局その迷いを付け込まれ、挙句自分の実力も発揮できなかったことだ。しかもこのデュエルには、遊勝塾の未来がかかっていることぐらい、彼女には分かっていたはず。にもかかわらず、こんな無様なデュエルを見せられたのでは、極論になるけど、柚子はこの塾がどうなったって構わないと思っているのではと疑いたくなる。絶対そうは思ってないだろうけど、でも、それでも、私は一応、この塾のシンクロの講師だ。塾生でもあり、これからどんな授業を受けられるのだろうというワクワクもあれば、どんな授業にしようかという想いもある。

 

 

それを、先程の柚子のデュエルは、ものの見事に打ち砕いてくれた。教えるのも、皆と一緒に学ぶのも楽しみにしていた、私の気持ちを踏みにじった。だから許せない。

 

 

 

だから私は、柚子のデュエルが終わり、柚子が意識を取り戻した後、彼女に近づいて、平手をうった。それも、張り倒すぐらいの勢いで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇≡

 

 

 

遊勝塾にあるデュエル場。

 

 

普段なら、人がいれば声の一つや二つは上がってそうな場所で、現在、静寂だけが支配していた。

 

遊勝塾側の人間も、LDS側の人間も、まるで時が止まったかのように、ある場所だけを見つめ、完全に静止していた。

 

 

それは、先程柚子が、私、博麗霊夢によって、平手をうたれた、その現場だった。

 

 

そして、それを見る人の目は、最初は「何だ?」程度だったのかもしれない。だけど、その目は見る見るうちにみな恐怖に色を浮かべ、畏怖の念を向けていた。

 

 

 

それは、平手をうたれた当人と、その近くにいた遊矢も同じ、いや、それ以上の恐怖と畏怖の念を、私に向けていた。フフフ、いったい私、どんな顔してんのかしらね。下のソリッドビジョン発生用の機械を蓋してる液晶盤みたいなのを見れば一発なんだろうけど、そんなの見る気すら起きない。今の私を動かしている感情は、ただ一つだけ。それは、柚子に対する怒りだ。

 

 

私はしばらく、柚子をそのまま見降ろして無言のままでいた。今の日の傾きからして、柚子にはもしかしたら、私が柚子を殺そうとしている悪魔に見えてるかもしれないわね。まぁ、それはそれで面白そうだけど。

 

 

それからしばらくして、柚子が口をゆっくりと、震わせながら開いて、震え、かすれた声で私の名前を呼んだ。

 

 

「れ、霊夢……。」

 

「……。」

 

 

柚子のそんな声を聞いて、私はまた、自分の怒りのボルテージが上がっていくのを感じた。どうせならここで、怒りを全開放して『夢想転生』でもぶつけてやりたい気分だけど、そんな事したら最悪ここが跡形もなく吹き飛んじゃうだろうし、死人も何人出るか分かったもんじゃない。だから私は、残ってる理性を総動員して、そこだけは踏みとどまっていた。

 

ただ、この怒りはもう抑えているだけでどうにか出来るものじゃなくなっていた。だからまず私は、どうにかしてこの怒りを吐き出さなきゃ気が済まなかった。ただ、いっぺんに吐き出したら、それこそさっき言ってた事みたいになる可能性があるので、少しずつ出していくことにした。

 

 

「平手で撃たれた理由、分かってるわよね。」

 

「ッ!?」

 

 

私が口を開いた途端、柚子の顔が恐怖に染まった。そりゃそうでしょうね。自分でも、これ本当に自分の声かどうか分からないくらい、声が低くなってたんだから。すごいわね、怒りって。声まで変えちゃうものなのね。でも、そんな事はどうでもいい。今は目の前の小心者に、自分の立場を理解させないと。

 

 

「分かってるの? どうなのよ?」

 

「っ、ご、ごめん…。私…。」

 

 

――ギリッ――

 

 

この屑が、まだ私をイライラさせたいの? そんな蚊の鳴くような小声で謝ってんじゃないわよ!!

 

そう思い出すと、私の理性は一気に弾け飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな蚊の鳴くような声で、何言ってんのよ!!!!!」

 

 

 

 

――バンッ――

 

 

 

「キャアア!!」

 

「ッ、柚子!! 霊夢、いくらなんで、も…。」

 

 

 

遊矢が柚子に近寄り、私に何か言ってるのが聞こえた。だけど、理性の限界を突破した怒りを全身からオーラみたいに噴出させてる私を見て、声をかけにくくなったのか尻すぼみになっていった。それがさらに、私の怒りのボルテージを加速させる。

 

 

 

 

「…何、文句でもあんの? アァン?! 邪魔すんならアンタもふっ飛ばすわよ!!」

 

 

 

「…霊夢。……。」

 

 

私の言葉に完全に気押され、遊矢は押し黙った。押し黙った遊矢の横を通り過ぎて、未だ床で半身だけ起こして怯えている屑のところまで近づいた。そして、力の限り怒鳴り散らした。

 

 

 

「何よ、さっきのデュエルは?! ふざけんのも大概にしなさいよ!! ちょっと図星つかれたぐらいで、ちょっと揺さぶりかけられたぐらいで、そんなんでアンタのデュエルって崩壊するもんなの?! ふざけんじゃないわよ!!」

 

「ッ?!」

 

「アンタさぁ、私達に言ったわよね。『大丈夫だ』って、いったわよね!! その結果がこのザマ?! どこが大丈夫なのよ?! アァ?! 言ってみなさいよ!! その饒舌に『大丈夫』『大丈夫』言ってた口で!! ほら!! 言ってみなさいよ!!」

 

「グッ、アァァァ!!」

 

 

そう言って私は、屑の顎の辺りを掴んで、ぐっと上に上げてやった。当然痛いのは分かってる。痛みで言えないのも承知だ。だけど私は、そんな理不尽すらも押し通したいぐらい、私は怒り狂っていたのだ。

 

何も言わないと判断した私は掴んでた顎を後ろに倒すように叩きつけた。屑は、そのままの勢いで背中から叩きつけられた。

 

 

「言えないんでしょ?! ハッ、お笑いね!! アンタ何?! 塾長の娘のくせに、このデュエルどうでもいいとでも思ってたわけ?!」

 

「ッ?! そ、それは――」

 

「違うって?! 違わないでしょ!! 本当に違うんだったら、その結果はもっとマシなものになってたはずよ!! でも結果はどうよ?! アンタそれでよくエンタメなんて言えるわね!! なめてんじゃないわよ!!!」

 

「ッ?!?!」

 

「アンタさぁ、まさか私が、遊びでアイツとデュエルしてたとでも思ってるの? ねぇ、答えなさいよ。」

 

 

私は、自分がこの屑の前にデュエルしたのを、コイツは遊びか何かみたいに見てたのではないかと思い始めた。どうせ碌な答えは返ってこないでしょうけど、聞くだけ聞いといてやるわ。

 

屑は、声を震わせ、恐怖し、泣きながらも、掠れた声で私にこう言った。

 

 

「お、思って、ない…。」

 

「へぇ。思ってないんだ。じゃあ、何でこんなことになってるのよ? 何でこんなザマなのよ?! 何で本気でやってないのよ?!!」

 

「ッ?!?!?!」

 

 

柚子の顔が再び、恐怖で引きつっていくのが見て取れる。ただ、その顔でさえ、私の怒りの炎に油を大量に注いでいるだけになっていた。私は、怒りのせいで若干自分でも、自分が訳が分からない事を喚き散らしていると承知しているものの、それでも叫ばずにはいられなかった事を矢継ぎ早に、目の前の屑にぶちまけた

 

 

 

「アンタさぁ、私の気持ちをさぁ、教える側の気持ちをさぁ、考えた事ある?! 私が昨日、何考えながらアンタにデュエルしようって持ちかけたかさぁ、分かる?! 私はね、これからこの塾で、皆と一緒にエンタメを学びながら、アンタ達に私の知識を、持てるだけの技術を、強くなりたいっていうアンタ達のために教えようって!! そう思ってんのよ!! その一心で今、この塾のために私は戦ってる!! これからも皆と一緒にいたいから!! 皆にシンクロの事をもっと知ってほしいから!! そして何より、皆にもっと強くなってほしいから!! それだけのためにやってんのよ!! なのにね、アンタみたいなことされるとね、腹立つのよ!! こっちの気持ちも、知りもしないで!! 勝手な事やって、迷惑なのよ!! 少しは、教える側の気持ちにもなれ!!!!!」

 

 

叫ぶだけ一気に叫び通した。まだ怒鳴り足りないぐらいだけれど。これ以上やっちゃうと頭おかしくなりそうだし、残った怒りは別の事で発散するか、自然鎮火するのを待つしかないわね。自分の怒りの炎だけど、さすがにこのままじゃいけないしね。

 

 

柚子は完全に沈黙していた。そして、その目からは大粒の涙が流れ落ちていた。怒りのあまりに、心の中での呼び方も、柚子から屑になり変わっていたが、その点に関しては言いすぎたかとも思った。それでも、私が言いたい事は伝わった、ハズ。喚き散らしてただけだし、あんまり上手く伝わってないかもしれないけど。

 

そして、柚子の小さな泣き声が私の耳に届く中、私の肩に、一つの手が置かれた。振り返ると、そこには意外にも、先ほどまで怯んでいた遊矢がいた。

 

 

「遊矢、何よ?」

 

「霊夢。お前が柚子に言いたいこと、伝えたいことは、何となくだけど分かったよ。でも、柚子もきっと、柚子なりに何とかしようとしてたんだと俺は思う。それのせいで、いつも通りの力が出なかったのは、それはまずいだろうけど、それなら、俺達がそれをカバーすれば。」

 

「カバーって、気楽に言ってくれてるけどねぇ。言っておくけど遊矢、次戦う刀堂刃がどんな決闘者なのか、アンタ想像ついてるの?」

 

「えっ? いや、それは出来てないけど。」

 

 

遊矢からの返答に、私は思わずため息をついてしまった。遊矢はカバーするってことの意味を理解していない。持論になるけど、『カバーする』というのは本来、出来るヤツがいう台詞であってでそうでないのが言うのは、ただの『無責任な一言』なのである。遊矢の一言は正しくそれだ。

 

 

 

次の相手、相手はシンクロコース主席の刀堂刃。コイツのデッキも、ほぼ100%ガチの部類に入るカテゴリのカードを使ってくるはず。これまでの二人のカテゴリを見ても、【セイクリッド】、【ジェムナイト】と、かなり強いカードが含まれ、且つそのカテゴリ自体も強力なものばかりが出てきた。恐らく刀堂も、その手のカテゴリを使ってくる可能性が十二分にある。シンクロでそういう部類に入るものと言えば、【竜星】、【ドラグニティ】、【X-セイバー】などがあがる。そのうち、【X-セイバー】にはハンデス効果持ちのガトムズ、シンクロ召喚されると魔法・罠カードを3枚まで破壊できるヒュンレイ、さらには守備を吹っ飛ばす効果を持つソウザと、厄介なモンスター達が目白押しで、且つ手札によってはワンキルされる可能性もある。これは、基本的に相手依存になりがちな【竜星】(構築にもよるけど)を除けば、基本的にどのシンクロデッキでも言えることである。

 

 

反対に遊矢のデッキは、ペンデュラム召喚によって展開力やフィールド・アドバンテージをとることには長けてるけど、基本的にハンドに比重がおかれすぎてて消費も激しく、デッキの構築の関係上、防御系のカードが基本的に少ない。特に、相手に先攻を取られてハンデスなんてされた日には目も当てられない状況になりかねない。

 

 

 

これがまだ、私がまだ出てないとかだったらマシだったんだけど、残念ながら私はもう北斗と戦っちゃってる。しかも柚子が負けちゃったせいで、もう後がなくなってる。残ってるのは遊矢、早苗、素良の三人だけど、素良は紫から聞いたこともあってあまり信用は出来ないし、あの【ファーニマル】デッキじゃおそらく刀堂とはきついでしょう。

 

早苗はまだ信頼できる。先手さえ取ってしまえば、スフィアードで防御しつつ、手堅く攻める事が出来る。ただもし、裏に控えてるあいつが出て来るような事があると、アイツには遊矢じゃキツい。おそらくデュエル中にペンデュラムは使って来るでしょうしね。そうなったら最後、ペンデュラムは自分だけの力と思ってる遊矢にとって、それほどショックな事は無いでしょう。

 

 

 

 

となると刀堂の相手は必然的に遊矢になっちゃうんだけど、アイツで刀堂をどうにか出来るものなのかしら。正直不安しかないわ。さっき上げたデッキの相性って言うのもあるし、何より遊矢のデュエルに向き合う姿勢的な事を考えると、こういう事には向かない気もするのだ。あくまで遊矢は、楽しむデュエルをしようとしている。でも今やってるこの3本デュエルは、勝ちを徹底的に求められてる。今の遊矢にそれは――

 

 

 

「霊夢さん。」

 

「うわっ?! な、何早苗?」

 

 

突然声をかけられたので振り向くと、そこには心配そうな顔で見る早苗と、遊矢の顔があった。

 

 

「いや、何と言われても。ずっと黙りこんでましたから。」

 

「あぁごめん。ちょっと、考え事してて。」

 

「次の試合に、こちらから出すメンバー、ですか。」

 

「察しが良いわね。そう、その通りよ。」

 

「次の対戦相手は確か、シンクロコース主席の刀堂刃、だっけ。」

 

「えぇ。その点を考えて、一番有力なのが早苗。次がアンタ、最後が素良って感じなんだけど。」

 

 

取りあえず、私の考えを二人に明かしてみた。特に早苗からは、何か良い案がもらえるとも思ったので。だがしかし、私のこの期待は、次の早苗の一言で脆くも崩れるのだった。

 

 

「ん~、なら私は、遊矢君が良いと思いますよ。」

 

「えっ?」

 

「だって、新参の私が出るよりも、古参の遊矢君が出る方がいいと思いますし、何より、彼ならきっと、勝ってくれそうな気がするんですよ。」

 

「気がするって。アンタ、まさかそれだけで選んだの?」

 

「はい。」

 

 

呆れた。嘘でしょ? いやまぁ、確かに早苗のいう事は分かる。早苗は一応こちら側とはいえ、つい2、3時間前に入塾したばかりの人間。そんな人間がいきなり出るよりも、遊矢が出た方が良いのは体裁的にもいいのかもしれない。でもそれだと、負ける確率も出て来る。今の遊矢ならあり得ないと思うけど、さっきの柚子みたいなことだってあり得る。もしそうなったら、今度こそ取り返しが――

 

 

「霊夢さん。」

 

「…何よ。」

 

「…教える側なら、もっと教え子達の事を、信じなきゃダメですよ。」

 

 

その一言で、私ははっとなった。そして早苗の方を向くと、そこには、笑顔で微笑む早苗の顔があった。

 

 

「早苗。」

 

「柚子さんの事もあって、信じることが難しくなってるのかもしれません。でも、それでも、今は遊矢君の事を、信じてみませんか?」

 

「……。」

 

 

信じる、ね。そうね。

 

確かに私は、心のどこかではきっと、柚子の事を信じてたけど、結果的にこんな事になって、柚子に対する信頼が崩れちゃったのかもしれない。そして、それと同時に、柚子が出る事を後押しした人達に対しても、信じられなくなってるのかもしれない。

 

でもたったそれだけの事で、いきなりその信頼関係を破棄するのは良くないわよね。まだ何も教えもしてないのに、私が志島と戦う時に、あんなにも信じて送り出してくれたみんなに対して、それは確かに失礼かも。

 

そう思うと、さっきまでの心にあった黒いものが少しだけ晴れて、代わりに少し、風が通り抜けていく感じの、気持ちのいいものが、心の中に湧いてきた。

 

 

「ふぅ、分かったわ、早苗。遊矢!」

 

「何だ?」

 

「次の試合、これがあいつらとの、遊勝塾をかけたラストバトルよ。正直言いたくないし、アンタにとって変なプレッシャーになりかねないから口に出さなかったけど、もう負けは許されないわ。」

 

「あぁ、分かってる。」

 

 

そういう遊矢の目には、すでに闘志の火が付いていた。どうやら意志は固そうね。これなら、信じられる、かな。

 

 

「そう。分かってるなら良いわ。なら次の試合、必ず勝ってきなさい!」

 

「あぁ!!」

 

 

そう言って、遊矢はデュエルの準備に取り掛かるために、一旦裏に行った。その背中が扉の奥に消えるのを見届けてから、私は早苗に礼を言った。

 

 

「早苗、ありがとね。」

 

「何がですか?」

 

「さっきの。確かに、柚子の事は少し私も、大人げなかったわ。後で、皆に謝らなきゃね。」

 

「霊夢さん。」

 

「じゃあ、私達も戻りましょうか。」

 

「はい!」

 

 

そう言って私達も、観戦ブースの方に戻っていった。途中で柚子のいた辺りに顔を向けると、そこには修造さんに抱きかかえられて赤面してる柚子の顔があった。あの様子なら、一応大丈夫なのかな。まぁ、さっき早苗にも言ったけど、後で謝っとかなきゃね。

 

 

 

 

 

 

◇≡

 

 

遊勝塾のデュエル場の制御室。

 

私はそこで今、修造さんと二人で、次のデュエルの準備をしていた。

 

 

「いやぁ、すまんなぁ霊夢ちゃん。手伝ってもらって。」

 

「いえ、こちらこそすみません。柚子にあんなひどい事言ったあとなのに、こんなお願い聞いてもらって。」

 

「あぁ、さっきの事か。俺は別に、気にしてないよ。あぁいうのもまた、青春の形の一つだからな。後は霊夢ちゃんと、柚子の問題だ。ひどい事を言ったと思うのなら謝ったらいいし、自分は正しい事を言ってるんだと思うのなら、それを貫けばいい。」

 

 

そういう修造さんの顔は、笑っていた。たぶん、心からそうやって思ってるんだと思う。そんな修造さんの性格に、私は心の中で感謝した。

 

 

「さて、遊矢にとって有利なステージは――」

 

「修造さん。それ、不公平ですよ。たまには遊矢にも、逆境で貫けるだけの訓練は必要だと思います。」

 

「いや、霊夢ちゃん。それ今やる事か? さすがにそれは――」

 

「『実戦に勝る訓練は無し』、ですよ。それに、そんな風に有利なステージでやらせたら、それは私達から、アイツを信じていない事になってしまいます。多少不利でも、信じてあげないと。」

 

「…、そうだな! よーしっ、それじゃあ二人とも!! ステージをセットするぞー!! フィールド魔法、『剣の墓場』発動!!」

 

 

修三さんがボタンを押すと、デュエル場の下の質量持ちソリッドビジョン発生装置が作動し、徐々に場内の景色を、あちこちに錆びた剣が突き刺さる荒野の広がる場所に変えた。

 

 

『この勝負、絶対に勝つ!!』

 

『へっ、残念だが、勝つのは俺だぜ!!』

 

 

よし、両者ともに気迫十分ってところかしら。そろそろ始まりそうね。

 

 

『行くぞ!! 『闘いの殿堂に集いし決闘者達が!!』』

 

『『モンスターと共に地を蹴り宙を舞い、フィールド内を駆け巡る!!』』

 

「『見よ!! これぞ!!』」

 

「『デュエルの最強進化形!! アクショーン!!』」

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

榊遊矢

LP 4000

デッキ枚数 40枚

手札 5枚

場、Pゾーン、伏せ 全てなし

 

 

刀堂刃

LP 4000

デッキ枚数 40枚

手札 5枚

場、Pゾーン、伏せ 全てなし

 

 

 




どうも、お疲れ様です!! いかがだったでしょうか。

いやぁ、霊夢がマジギレするとこんな感じになるのかなぁって思いながら書きました。いつものクールというかどっか冷めた感じの霊夢さんは完全にログアウトしました、今回。序盤に書いてる事が、もしかしたら前回と違うかもしれないんですけど、霊夢が怒ってたのにはこういう理由もあったんだと思ってて下さい。

因みに今回、LDS側が最後の刃君除いて一回も喋ってないですけど、あの状況じゃ喋ってる雰囲気なんて差し込めないですよ、よしんば喋ってたとしても。霊夢ガチギレしてますもん。権現坂くんとかも似たような理由で出てきてないです。実際にはいます。


さて次回、大役を背負わされてしまった遊矢!! 果たして刃に勝つことはできるのか?! そして、遊勝塾の運命はいかに?!



それでは、次回もお楽しみに!!




遊矢&霊夢「「お楽しみは、これからだ(これからよ)!!」」

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