遊戯王ARC-V -エンタメデュエリストと紅白の巫女-   作:坂本コウヤ

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どうも、2週間ぶりですね!! 坂本コウヤです!!

「皆久しぶりだね!! フランだよ!! 皆、元気にしてたかな?」

いやぁ、最近書いてて思ったのが、もう学校のある間は試験期間を除いてこのペースで行こうかなと思っています。体力的にも時間的にも、このペースが一番安定するので。

「やっとペースが定まってきた感じ?」

そんな感じ。

いよいよ明日ですね、『クラッシュ・オブ・リベリオン』の発売日!! 作者は出来たら、アレを箱買いしようと思っています。家に眠ってるレッドアイズ達をようやくメインデッキに組み込める!!

「そう言えば、ボロボロのカードが1枚あるよね。確かDMの時の絵のレッドアイズ。」

うん。あれは俺の持ってるカードの中でも、一番最初期に使ってたヤツで、従兄のお兄ちゃんからもらった奴なんだよな。もらった時にめっちゃ喜んだのを覚えてるわ。

「でも、今お蔵入りしちゃってるんだよね。」

うん。俺のお気に入りの『フェルグラント・ドラゴン』とかと一緒にな。まぁこれ以上思い出話してたら先進まないから、さっさと本編に入りますか!!

「そうだね!! じゃあ今回は、前回、前々回からの予告通り、ゲストキャラが出演しちゃうよ!!」

ゲストキャラは一人とは言ってないので、何人か出ます!! まぁタイトルでお察しのヤツらもいますけどね。

そして、あのフード付きマントの少女の正体も明らかになります!! さて、いったい誰だったんでしょうか?!

「答えは、本編の最初の方で分かるから、楽しみにしててね!! それじゃあ、せぇの!!」

ゆっくりしていってね!
「ゆっくりしていってね!」

…これ、何ぞ?


第18話:今夜は天子(てんこ)盛り! 幻想より萃まる親友(とも)達!!!!

夜風の吹きすさぶ、夜の舞網市――

 

その街の中で、一際目立つ建物、『LDS』と書かれたビルの屋上で、一人の人物が街を見下ろす形で立っていた。顔はフードを深めにかぶっているので分かりづらいが、風に羽織っているマントをとばされぬよう抑えている、手首に鉄の輪を付けた綺麗な血色のいい左腕と、その風になびいて見えている腰から下の辺りが、ワインレッドで茨模様の描かれている前掛けに白色の服、それと黄緑色のスカートを着て、これまたワインレッドの靴を履いて、両足にもそれぞれ、靴や前掛けと同色のアンクレットを巻いているであることが確認できる。

 

その者は、しばらく眼下に輝く舞網市を眺めていたが、急に後ろに気配を感じたのか、すぐさま振り向いた。しかし、その視線の先には誰もおらず、あるのは街の明かりの真逆の、暗い闇だけであった。にもかかわらず、マントを羽織ったものは一向にその視界を闇から離そうとはしなかった。まるで、その闇の中に何かがいる事を確信しているかのように。

 

マントを羽織っている人物は、しばらくその闇を見つめ続け、そこに向かってこう言った。そしてその声から、その人物が女、それも比較的底まで年齢のいっていない少女であることが分かった。

 

 

「そこにいる事は分かっています。早く出てきたらどうです? 私は、逃げも隠れもしませんよ。」

 

 

少女の声は、ただ闇の中へと虚しく消えていくかに思われたが、その声に反応してか、闇の中から一人の人物が、おどけた女性の声を出しながら姿を現した。

 

 

「あらぁ、私は別に、いつ出てきても良かったのよ。でも、それで顔をずっと隠しているから、てっきり見られたくないのかと思ってたわ。」

 

「……。」

 

 

闇の中から出てきた人物に指摘されたくないところを指摘され、マントを羽織った少女は少々押し黙ってしまったが、いつまでも顔を隠しておく必要もないと考えたのか、かぶっていたフードを脱いだ。すると、今まで隠されていた顔の様子と、フードを脱ぐときにマントの外に出した右腕もうかがう事ができた。

 

髪はピンク色のショートヘアで、頭にシニヨンキャップをつけていた。そして眼の色はピンク色で、顔立ちも非常に整った、美少女と呼ばれる部類に属するような顔立ちだった。そして、何故か右腕は包帯でぐるぐる巻きにされており、左腕とは逆に、全く素肌が見えない状態になっていた。

 

一歩闇の中から出てきた人物も、比較的明るめの場所にまで、「フフフッ。」と、かすかに笑いながら出てきていた。こちらは髪と眼が青色で、服は水色の袖の膨らんだワンピースに、赤と黄色の点で出来た帯状模様が描かれており、半透明の羽衣を纏って、腰に黒いベルトを巻いている。さらに足には白い靴下と、先程のピンク髪の少女と対照的な青い靴を履いていて、膝の少し下あたりに細いひもを、ちょうちょ結びにして身に付けていた。そして、∞のような形に結った髪型の結い目には、鑿をさしていて、全体的に見ると、さながらお伽話に出て来る天女のような印象を受ける。

 

青髪の少女はピンク髪の少女に微笑みながら、また口を開いた。

 

 

「やっと顔を見せてくれたわね、『片腕有角の仙人』さん。」

 

「…私にいったい、何のようですか。『邪仙』であるあなたが。」

 

「あら、冷たいですわね。あなたにそこまでの害を与えたことは、私はなかったと思いますけど。」

 

「まったく、あぁ言えばこう言いますね。相変わらず、言葉遊びだけは上手なようで。」

 

「褒め言葉として受け取っておくわ。」

 

 

『邪仙』と呼ばれた少女は、ゆったりとした口調で『片腕有角の仙人』と呼ばれた少女に話しかけているが、話かけられているとうの『片腕有角の仙人』の少女は、あまり彼女と会話を続けたくはないといった感じに、冷たく当たっていた。『邪仙』の少女は、それを大して気にもしていないようだが。

 

もうこれ以上言葉であしらい続けるのは難しいと判断したのか、『片腕有角の仙人』の少女、茨木華扇は、「ハァ。」とため息をついて、『邪仙』の少女、霍青娥と会話を続けることにした。

 

 

「で、本当に何しにきたんですか、霍青娥。」

 

「フフフ、久しぶりに名前で呼んでくれたわね。華扇ったら、なかなか名前で呼んでくれないんだもん。嬉しいわ。」

 

「茶化さないでください。」

 

「まぁまぁ、そんなに怒らないで。同じ仙人のよしみでしょ?」

 

「あなたと同じになった覚えはありません!」

 

 

会話を続けることにしたものの、青娥の言葉の端々から最近感じるようになった『相容れない何か』のせいで、華扇は徐々に苛立ち始めていた。昔はある程度仲が良かった時期もあったのだが、華扇と青娥の仲は、ここ最近あまりいい方ではない。

 

その主な理由として、前回デュエルモンスターズの精霊によって引き起こされた数々の異変の裏で、青娥が密かに『三幻魔』と呼ばれる闇のカードたちを復活させようとしていたり、ナンバーズ達に本来宿っていた闇の力を意図的に解放したりと、明らかな妨害行為と認められる行為や、『オーバーハンドレッドナンバーズ』や『決闘竜(デュエル・ドラゴン)』など、力のあるカードを奪おうと画策するなど、碌なことをしていなかったのが原因である(どれも本人達が追い返したか、霊夢達に邪魔され頓挫したが)。

 

だがとうの本人は、そんな事は微塵も気にしていないのか、はたまた華扇の反応を見て楽しんでいるのか、「フフフッ。」と笑っているだけだった。そのことが、逆に華扇の神経を逆撫でしているのだ。

 

そして、華扇が苛立ちが募るにつれて空いている右手を握りしめ、今にも殴りかからんとしているところで、青蛾が真面目な表情をしながら口を開いた。

 

 

「まぁ、今日はあなたに、ちょっとだけお話があって、ここに来たんだけどね。」

 

「…何です、急に真面目な顔をして。言っておきますけど、ふざけた話なら――」

 

「結構真面目な話よ。心配しないで。」

 

「…本当ですか?」

 

「えぇ。嘘だったら、あの閻魔に突き出されてもかまわないわ。」

 

 

そう言って、青娥は華扇の目をしっかりと見据えてきた。こういう時の彼女の目は、大抵二つのパターンがある事を華扇は知っている。そして彼女の目を見たところ、どうやら本当に真剣な話である事は間違いない様だった。

 

 

「分かりました。話だけは聞きましょう。」

 

 

 

華扇は取りあえず、少しだけ彼女に対して警戒を解いて、しかし、必要最低限の注意だけは払って、青娥の話を聞くことにした。

 

 

 

 

一方、その頃――

 

 

 

◇≡

 

 

「……。」

 

 

うわっ、何これ?! 酒臭!! それが私の、リビングに入った時に一番最初に抱いた感想だった。

 

何故こんなに部屋が酒臭く、そう思っていると、元凶はすぐに見つかった。

 

 

「おぉ~、霊夢。やっと帰って来たのかぁ?」

 

 

そういって、左手に持っている紫色の瓢箪、伊吹瓢からずっと酒を飲み続けているのは、頭から角を生やした小柄な鬼の少女、伊吹萃香だった。酒臭さの元凶は、まず間違いなくコイツだろう。そして、酒を飲んではいなかったが、他にも先客は来ていた。

 

 

「あら、遅かったじゃない霊夢。」

 

「総領娘様、それは我々が早かっただけだと思いますが。」

 

「アッ、霊夢。お帰り。ずいぶん遅かったけど、何かあったの?」

 

 

テーブルの上で、自分のデッキをずっと弄ってる、桃のついた黒い帽子をかぶった、青髪ロングヘアーの天人、比那名居天子。

 

そして、そんな天子の横で、静かに読書(何の本読んでるのかは分からない。大きさからしてたぶん文庫本)をしている、緋色の羽衣を纏った竜宮の使い、永江衣玖。

 

そして、この中で一番幼い見た目ながら、人形のように可愛らしく椅子に座ってこちらを見ている吸血鬼の少女、フランドール・スカーレット。

 

 

なるほどね、こんなメンツがいたわけか。道理で声聞いたことあるヤツばっかだと思ったわよ。というか、それよりまず萃香をどうにかしないと。フランは今ちゃんと羽根消してくれてるし、天子達も見た目は奇抜だけどちゃんと人間に見える。でも萃香はそうはいかない! よしんば角どうにか出来たとしても、コイツがいたんじゃ酒酒うるさくて仕方がない。何より見た目はどう見てもフランとどっこいどっこいだから、コイツが酒飲んでたらさすがにまずい!!

 

 

そう判断した私は、未だ酒に少し酔っている萃香を引っ掴み、窓を全開にして思いっきり放り投げた。

 

 

「アンタは出てって―!!」

 

「アイヤ何でーーーーーーー?!?!?!?!」

 

 

 

――キラリンッ――

 

 

 

ふぅ、取りあえずあの酒豪は何とか出来た。これで当面は大じょ――

 

 

 

 

「霊夢、大丈夫か?!」

 

「何か大きな声が聞こえたけど、大丈夫?!」

 

「霊夢さん、無事ですか?!」

 

 

「あっ…。」

 

 

――うぶじゃなかった。しまった。外にこの子達いたの、完全に忘れてた。こりゃ説明がちょっとややこしくなりそうね。

 

 

――そこから、萃香の事を含めて説明するのに一悶着あったのは、言うまでもない。

 

 

 

 

◇≡

 

 

「なんだよ、全く人騒がせだな。」

 

「アンタが言えた事じゃないでしょ。」

 

「にしても、その酒飲みの人、萃香さんだっけ。別に投げ飛ばさなくても良かったんじゃ――」

 

「ダメよ。教育上悪いじゃない。というか、未成年にまで飲ませかねないから、アイツは。あぁ早苗、そこの醤油とって。」

 

「はぁい。」

 

 

さっき投げ飛ばしてしまった萃香の事も含めて説明をし終わり、今私達は、なかなかな大所帯で夕食を食べていた。リビングのテーブル自体は4人分しかスペースが無いので、私達がテーブルの所で食べ、フラン達には、悪いけどソファの辺りで、こたつの机部分だけ引き出してもらって、そこで食べてもらっている。うん、この秋刀魚なかなかうまいわね。大根おろしとも結構合うし。どこで売ってたものか、後で衣玖に聞いてみますか。

 

因みに、晩御飯は私と早苗、それと衣玖の3人で作った。材料はあらかじめ買ってきてくれていたみたいなので、後は秋刀魚を焼いて、大根おろしと具たくさんの豚汁を7人前作り、それを配膳するだけで済んだ。ただ、萃香の分と思しきものだけは取りあえず置いておいた。もし戻ってきた時に飯なかったなんてなったら面倒だし。

 

 

「そう言えば霊夢。」

 

「ん、何ぃ、遊矢?」

 

 

取りあえずご飯を食べる事に専念していると、遊矢が話しかけてきた。

 

 

「あそこで食べてる三人も、霊夢の知り合い、なんだよな。」

 

「えぇ。紫の伝手で出会った子達でね。あの桃の飾りがついた黒い帽子かぶってるのが、確かどっかのいいとこのお嬢さんの比那名居天子。その横にいるあの緋色の羽衣着てるヤツが、さっき言った天子の付き人の永江衣玖。で、天子と向かい合って食べてるあの赤い服の女の子が、フランドール・スカーレット。あの子もいいとこのお嬢さんで、確か姉がいたはずよ。」

 

「へぇぇ、ってえぇぇぇ?! 皆結構、お金持ちの人ばっか?! 紫さんっていったい――」

 

「アイツの交友関係を探るのは、たぶん海の底とか宇宙の果て調べるのと同じぐらい面倒だと思うわ。正直、私でも把握しきれてない。」

 

 

私が最後に言った言葉に、遊矢は顔を若干引きつらせていた。

 

ハァ、我ながら思うけど、この2、3日でこんなウソをよく平気でつけるようになったわね。まぁ紫の交友関係を調べるのがムズイのは事実だし、『いいとこのお嬢さん』って表現も、あながち間違ってはいないはず。天子にしてもフランにしても、幻想郷の一大勢力のトップに近い位置にいるからね。天子は天界を統べる天人の長の一人娘、フランは紅魔館の主、レミリア・スカーレットのたった一人の妹だし。

 

 

ただまぁ、そこが本当にいい場所かどうかは本人達に依存するだろうけど。特にフランのいる紅魔館。あそこでフランは、495年以上もの間、地下でずっと閉じ込められて、外界の情報は全く入ってこないどころか、何も教えてもらえてなかったんだから。人ならある程度持つべき、良いことと悪いことの違いでさえ。

 

そのせいで、昔は人を傷つけることに何のためらいも持っていなかったのよね。今でこそある程度鳴りを潜めてるけど、時々その頃の彼女が表出したりすることもあって、そういう時は本当に止めることに苦労する。その後のアフターフォローもだけど。昔はその『善悪の判断基準』みたいなものが本人の中に無かったから落ち込む事もあんまりなかったみたいだけど、本当は意外と繊細みたいだからね。

 

まぁ今はパチュリーとかアリスに魔理沙、後同じ『決闘竜』使いのつながりで、妹紅や、妹紅と交友関係の深い慧音に色々と教えてもらったりしているらしい。最初の頃は会う度に「今日は~教えてもらったんだ。」とか、「~ってどういう事?」とか言ってたってレミリアから聞いたけど、最近では学んだことから色々と考えたりすることもあるようで、時たまヴワル魔法図書館で、パチュリーと一緒に読書してたりもするんだとか。で、そういう時にたまたま魔理沙が本を盗みに(本人曰く「こっそり借りに」)来たりして、見つかって怒られたりしてるって言ってたっけ。

 

勿論、門番の美鈴と遊んでたり、確か大妖精達と絡んでる事もあるって聞いたことあったわね。チルノが時々『きゅっとして、ドカーン!!』の餌食になってるとかなってないとか。本当か知らないけど。

 

 

 

 

 

「――いむ、霊夢!!」

 

「へっ、な、何柚子?」

 

 

いっけない。フランの事ずっと考えてて、柚子に声かけられるまで周りの様子全く見てなかった。ヤバいわね。

 

 

「何、じゃないわよ。どうしたの、さっきからずっとボーっとして。」

 

「ごめん、ちょっと考え事してた。」

 

「そう。で、霊夢。今日と明日やるって言ってたの、どうする? 親戚の人が来てるんだったら――」

 

「あぁ、気にしないで。別に親戚とかじゃないし。それに、基本的にそんなのにとやかく言うような奴らじゃないから。」

 

 

まぁ、仮に文句言ったとしても、フラン以外ならぶっ飛ばすけどね。あの子はまずぶっ飛ばすのが気が引けるし、今この場にはいないけど姉とその従者が黙ってないだろうしね。

 

まぁこんなことを私が考えているとは微塵も知らない柚子は、普通に納得していた。

 

 

「そっか。明日は予定通り?」

 

「そうね。ちょっと赤馬との用事もあるから、それ次第だけどね。」

 

「分かった。じゃあ、今日はどうする?」

 

「そうね。まだちょっと時間もあるし、アンタと遊矢の体力とかが持つなら、近くの公園でデュエルしても良いけど。」

 

 

壁にかかってる時計を見ながら、私はそう提案してみた。で、ここで遊矢か柚子が反応するのならまだ話はわかるんだけど、残念ながら、この場には一人、三度の飯よりデュエルが好きな天人が一人いたことを私は失念していたため、いきなり割って入ってきたその声にちょっと驚いてしまった。

 

 

「何々、デュエルするの?! ちょっと霊夢、私もそれ混ぜなさいよ!」

 

「うわぁ?! 天子、何であんたが反応するのよ?!」

 

「いいじゃない、デュエルするんでしょ? だったら私も混ぜなさいよ!」

 

「何でアンタを加えなきゃいけないのよ?! 言っとくけど、これは二人の特訓のためであって――」

 

「そんなの別にどうだっていいじゃない! やりましょうよ、ねぇ霊夢。」

 

 

あぁんもう、まったくこのわがまま天人は。コイツにはもうちょっと遠慮とか我慢ってものがないのかしら。それとも何か? こいつは構ってちゃんなの? ドMな上に構ってちゃんとか、どんだけメンドくさいヤツなのよコイツ。

 

お願い、誰かこの変人早く止めて。私の堪忍袋の緒が切れる前に。そう思っていると、良いタイミングで仲裁の声が上がった。

 

 

「総領娘様、あまりわがままが過ぎるようでしたら、この秋刀魚全てフランさんに差し上げますけど、いいですね?」

 

「えっ、ちょっと衣玖?!」

 

「衣玖、これもらっちゃっていいの?」

 

「はい。あんなわがまま娘に残すものなんて――」

 

「わかった!! 悪かったから!! お願いだから、その秋刀魚だけは取り上げないで!!」

 

「えぇ~、どうしましょうかねぇ?」

 

「…ごめんなさい、これ以上迷惑かけないのでお返し下さい。」

 

「ふぅ、初めからそう言えばいいものを。」

 

 

そう言って衣玖は、今まであのポーズで取り上げていた天子の秋刀魚を元の場所に置いた。天子も天子で、今面倒事を起こすと衣玖に何をされるか分からないと悟ったからか、これ以上は騒がなかった。

 

それを見て私はほっと一安心し、衣玖に礼を言った

 

 

「ハァ。助かったわ衣玖。」

 

「いえいえ。これも総領娘様に関する教育の一環と思えば、大したことじゃないですよ。それに、私は空気を読んだまでですから。」

 

「アンタも苦労するわね。」

 

「まぁ、もう慣れましたが。」

 

「そう。」

 

 

その後は天子も食事中は騒がず、大人しく食べていた。これ以上はさすがに危ないと判断したんでしょうね。因みに、晩御飯の後に柚子達に提案したデュエルだけど、本人達も今の自分の本当の実力を知りたいそうで、向こうからもお願いされたので、やることが決まった。さて、となるとデッキの調整をしとかなくちゃね。特にまだ未完成とはいえ、柚子の【幻奏】相手になら【征竜ライロ】より【カオスライロ】の方が有効そうだし。それに征龍達入ってるとワンキルしやすくなっちゃうからね。

 

 

 

 

 

 

◇≡

 

 

『ごちそうさまでした。』

 

 

晩ご飯を食べ終えた私達は、全員でそろってごちそうさまの挨拶をし、協力して皿洗いと片付けを済ませた。その最中、あることを思い出したので、近くにいたフランに尋ねた。

 

 

「ねぇフラン。そう言えば今更だけど、アンタ達どうやって向こうからこっちに来たの?」

 

「あぁ、えっとね。他の二人と一緒に、八雲紫に連れてきてもらったの。」

 

「やっぱりアイツか。たく、こんなにたくさん向こうから連れてきて、あっちは大丈夫なの?」

 

「さぁ。でも、紅魔館にはパチュリーが残ってるし、オーバーハンドレッドナンバーズ使いの皆と、私達を除いた『決闘竜(デュエル・ドラゴン)』の使い手の皆もほとんど残ってるよ。それに、永遠亭は今メンバーが誰も欠けてないから、何か起こってもきっと大丈夫だと思うけど。」

 

「だといいけどね。ってあれ? パチュリーは確か他の世界に行くとか行ってなかったっけ。もう戻って来たの?」

 

「ううん。実は、お姉様も他の世界に行かなきゃいけなくなって、パチュリーには、お姉さまが戻って来てからって話になってるの。」

 

「それで残ってるのね。」

 

「うん。元々、そこまで急ぎの用事でもなかったらしくて。ただ、今はもう食事が習慣化しちゃってて、一緒に食べてるけどね。小悪魔がメイド妖精達と一緒に全員分作ってくれて。」

 

「そう。」

 

 

てことは、きっとレミリアのヤツには咲夜がついてってるわね。じゃないと小悪魔があそこのメイド妖精達と一緒に、全員分の料理を作ってる事と辻褄が合わなくなる。

 

まぁ取りあえず、現状あっちを守れるだけの戦力はだいたい残ってるみたいだし、いざとなれば紫や魔理沙達がいるから、当面は心配ないかしら。何かあったら、私も早苗も呼び戻されるかもしれないけど。

 

 

で、そんな雑談をしている間に片付けも終わり、これからどうするかを遊矢達と話し合う段階で、またあのわがまま天人が割り込んできた。

 

 

「ねぇねぇ霊夢。」

 

「…ハァ、今度は何よ、天子。」

 

「そんな露骨に嫌がらなくてもいいじゃない。」

 

「アンタさっき何したっけ。」

 

「もう、それぐらい水に流してよ。」

 

 

たく、本当にコイツと付き合ってると、だんだん疲れて来る。私はコイツの保護者かっつーの。取りあえず、もうこのバカは無視しとくに限るわね。

 

 

「で、遊矢、柚子。これからどうする? やる?」

 

「ちょっ、無視しな――」

 

「そうだな。俺はどっちでもいいよ。出来ればやりたいけど。」

 

「ちょっ――」

 

「そう。柚子は?」

 

「そうねぇ。もう一度、自分のデュエルを見つめ直したいし、お願いしてもいい?」

 

「だから人の話を――」

 

「分かったわ。じゃあ柚子からでもいい、遊矢? もしかしたら明日に回すかもしれないけど。」

 

「分かった。それで――」

 

「おい、人の話を聞けええええぇぇぇぇ!!!!!」

 

「ハァ、何よさっきからうるさいわねぇ。別にアンタとは今じゃなくてもいいでしょ? 衣玖もいるんだし。」

 

 

あまりに無視されたのが相当ご立腹だったのか、天子は顔を真っ赤にしてこちらを睨んでいた。目尻に若干涙を浮かべていたので、これ以上無視するのも悪いと思い、先手を打ちつつ返事を返した。すると、天子が返答を返す前に、衣玖がこんな提案をしてきた。

 

 

「霊夢さん、その事なんですが、総領娘様とだけ一戦して頂けないでしょうか。おそらく、ここ最近デュエルをしていないフラストレーションがたまってるでしょうし。その代わりと言っては何ですが、榊遊矢さんの特訓の方を、私がお手伝いしますよ。お相手ぐらいなら出来ますし。」

 

「ちょっ、衣玖?!」

 

「う~ん、まぁ確かに、アンタもシンクロ使いだから、それでも良いけど。遊矢、構わない?」

 

「えっ、うん。別に良いけど。」

 

 

よし、遊矢からは許可をとれた。ならまぁ、別にいいかしら。衣玖のあのデッキがちょっと特殊なシンクロ召喚系の部類に入ること以外は。普通のシンクロデッキと毛色が違うからなぁ、アレは。

 

 

「しょうがないわね。じゃあ一戦だけよ。」

 

「やったぁ!!! 衣玖、アンタもたまには気の利く事言うじゃない!!」

 

「たまには、は余計です。ですがまぁ、喜んで頂けたようで何よりです。」

 

 

うん、やっぱり思うけど、従者組の中で、衣玖が一番『飴とムチ』の使い方が上手いと思う。たぶん他の所と違って、ここの場合衣玖が天子のお目付け役的な役割を持ってるからだろうけど。こういう視点から見てみると、同じように見える主従関係も、結構違って見えたりするのね。挙げ出したらきりがないから挙げないけど。

 

と、そんな他愛のない事を考えていると、天子にこんな事を言われながら腕を引っ付かまれた。

 

 

「それじゃあ、早速行きましょうよ!! その公園とかいう場所に!!」

 

「ちょっと天子!! いきなり引っ張んないで!! 私だってまだデッキの調整が――」

 

「そんなの向こうででも出来るでしょ? ほら、早く早く!!」

 

「あぁもう、分かったわよ!! 分かったから、いい加減腕引っ張るのやめなさ~い!!」

 

 

私の必死の抗議もむなしく、私は態勢不利のまま、天子に外まで引っ張り出されたのだった。

 

 

 

◇≡

 

 

アハハ、相変わらず天子さん、こういう事になると強引ですね。あの霊夢さんを引っ張り出すとは。よっぽど楽しみにしてたんでしょうか。

 

まぁそれはともかく、私達も急いで移動した方がいいですかね。早く行かないと時間が無くなっちゃいそうですし。

 

私は皆さんに早く行くように促し、皆さんもそれに頷いて、霊夢さんと天子さんの後を追いました。その途中、遊矢君がこんな事を聞いてきました。

 

 

「そう言えば早苗。」

 

「はい。何でしょうか。」

 

「今更なんだけどさ、早苗も衣玖さん達と知り合い、なのか?」

 

「う~ん、そうですね。霊夢さん程ではないですけど、そこそこには。って言っても、一度デュエルでお手合わせさせて頂いたくらいですけどね。」

 

「そうなのか?」

 

「はい。」

 

 

すみません、遊矢君。今私が言ってること、ほとんど嘘です。霊夢さん程知り合ってないという点は合ってますけど、デュエルは一度どころか何回もしましたし、お話だって色々したことがあります。特に衣玖さんとは、同じ従者繋がりで何度もお会いしてますし、フランさんとも色々遊んだりしてるので。うぅ~、騙してしまって、本当にごめんなさい。

 

私がこんな罪悪感を一人抱えているとは露知らず、遊矢君は普通に返事を返してくれました。

 

 

「そっか。じゃあ、今日が2回目って感じか。」

 

「そう、ですね。随分久しぶりに会ったので、私もびっくりしちゃいました。」

 

「そうなんだ。」

 

「はい。」

 

 

それからしばらくは、遊矢君とどうという事は無い話を続けている内に霊夢さん達に追いつき、霊夢さんの案内で、家の近くにあった公園に着きました。なるほど、聞いてはいましたけど、確かに広いですね。霊夢さんは、ここであの社長さんとデュエルをしたんでしょう。何か少しえぐれてる場所とかありますし。天子さんとデュエルするときに、また後が増えないといいですけど。まぁ、霊夢さんなら加減して下さるでしょう

 

 

 

 

◇≡

 

 

「さて、それじゃあやっていきましょうか。誰からやりたい?」

 

 

パチュリーや赤馬とデュエルした公園に皆とやってきた私は、取りあえず順番を決めることにした。デッキ調整をしたいから、出来れば後ろの方がいいけど。

 

 

 

「それは当然わた――」

 

 

――ガンッ――

 

 

「いったぁ!! 殴る事無いじゃないの、衣玖ぅ。」

 

「空気を呼んで下さい、総領娘様。今回のデュエルは、あくまで遊矢さん達の特訓が目的だという事を、お忘れなきように。」

 

 

ハァ、全く天子のヤツ、今日はやけに『わがまま+KY』ね。そこまで自分を押したいの? ダメとは言わないけど、もうちょっと空気読みなさいよ。それとも、こっちに来ると皆感情を爆発させやすくなる何かでものあるのかしら。

 

で、結局話し合いの結果、遊矢と衣玖のデュエルを初めにする事になった。遊矢には悪いけど、私はその間に、柚子とデュエルするためにデッキを【カオスライロ】に組み直させてもらいましょうか。勿論、デュエルの様子はちょこちょこ見ながら、だけどね。私が教えるって言ってたんだし。

 

さぁ、どんなデュエルになるのかしらね、今回は。遊矢、期待してるわよ。

 

 

 

「それじゃあ改めて、衣玖さん、よろしくお願いします!」

 

「はい、こちらこそ。修練のためとはいえ、手加減はしませんよ。それと、敬語は省いてくれて構いませんよ。私はあくまで、従者ですから。」

 

「分かった! いくぞ!!」

 

「えぇ!!」

 

「「デュエル!!」」

 

 

永江衣玖

LP 4000

デッキ枚数 35枚

手札 5枚

場、Pゾーン、伏せ 全てなし

 

 

榊遊矢

LP 4000

デッキ枚数 35枚

手札 5枚

場、Pゾーン、伏せ 全てなし

 

 

 




どうも、お疲れ様です!! いかがだったでしょう か!!

「やったぁ!! 出番もらえたぁ!!」

良かったな、フラン。リクエストもらえて。そんなフランちゃんに朗報があります。

「ん、何々?」

え~、この度出てもらったゲストキャラ全部、特にフランはこのままレギュラーキャラ化することが、プロット上ほぼ決まりました。ていうか確定事項。

「えっ、ホント?!」

うん、ホントホント。天子と衣玖と萃香、それと青娥娘々はちょっと分からんけど、少なくともフランは、本編でまだ言ってないけど霊夢と一緒に住む事が確定してるから、ほぼ間違いない。

「ありがとう!! あれ、でも素良も確か【ファーニマル】使ってなかったっけ? 大丈夫なの?」

うーん、ミラー勝負する予定はないし、個人的な見解、出してもそんなに支障はないと思ってるから。

「分かった!! じゃあ、これからは本編とこっちと両方出られるってことね!」

あっ、うん。そういう事になるかな。(こっちはゲスト扱いにするつもりだったんだが。まぁいいか。)

「ありがとう!! これからもがんばるから、皆応援よろしくね!!」

え~、という訳で、幻想郷から来たキャラが何名か増えちゃいましたが、これからもよろしくお願いしますね。(実はもう二人増えるなんて言えない。)

ん、ん~。さて冒頭に戻りますが、やっと正体を明かしてくれましたね、フード付きマントの少女こと華仙さん。実はフランがレギュラーになるのが決まるまで、この小説唯一の『幻想郷から来た融合使い』でした。

「て事は、融合主体のデッキかぁ。どんなデッキなんだろう。」

まぁ、それは楽しみにしててください。因みに華仙さんを出そうと確定させた時に、家の近くのカードショップで偶然華仙さんのスリーブを見つけてしまって、その場で華仙さんのデッキに必要なカードを、全部3枚ずつ買ってしまったという。今ではメインの一つになってますが。

「そ、そうなんだ。私の【ファーニマル】のデッキに必要なカード買うのと、どっちが安いんだろう。」

知らん、そんな事は俺の管轄外だ。

まぁそれは置いといて、萃香の扱いwww

「酒飲んでただけで投げ飛ばされるなんてね。て言うか鬼投げ飛ばすって、霊夢の腕の力どうなってるの?」

知らんな。本人に聞いてみたら?

「そうだね。後で聞いてみるよ。そう言えば、天子と衣玖はリクエストあったヤツだけど、萃香は確か、誰もリクエストしてなかったよね。」

あぁ、アイツを出したのは天子達の持ってる『あるカード』の絡みで出すことにした。今回は投げ飛ばされただけだけど、今度出す時は活躍の場がある、はず。

「ふぅん。じゃあ萃香は別に初めから出す予定があった訳じゃないんだ。」

あぁ。今後もこういうキャラの出し方をするかはまだ未確定だから、今の所萃香だけかなって気はするけど。

「そっか。それにしても、今回はやけに天子がわがままだったけど、原作あんなんだったっけ?」

う~ん、正直ちょっとやり過ぎたかな。ただその分、衣玖が保護者っぽくなったから、これはこれでありかなぁって。

「確かに、従者というよりは、どっちかっていうと親みたいだったよね、衣玖。」

だろ?

「うん。あんなお母さんだったら、私も欲しいなぁって思った。」

空気読めて物腰丁寧。確かに、これだけでも母親としては十分だよな。個人の料理スキルが未知数なのと、ちょっと体力面に不安がある以外は。

「そう言えば普段、浮いて移動してたんだった。向こうだとちょっと苦労しそうだね。」

まぁ一応天子と同じ天人だし、慣れれば何とかなるんじゃないかな?

「それもそっか。じゃあ、そろそろまた次回予告いこっか。」

そうだな。ただ今回、ちょっと試験的に次回予告の感じをアニメ風にしようと思ってるんだけど。

「えっ、それってあの何か、次回の台詞が少し出たりする感じのヤツ?」

うん。まぁ今回やってみて、続けてほしいってなったら続けるし、そうじゃなかったらまた元に戻すし。

「なるほどね。あくまで試験的にって事ね。それじゃあ、今回の次回予告、行ってみよー!!」

おう!!


次回予告(地の分:榊遊矢)

霊夢の知り合いであり、シンクロ使いの永江衣玖とデュエルすることになった俺。

しかし、彼女の操るシンクロモンスター達に、俺は翻弄され、次第に追い込まれていく。そして彼女は、俺に驚愕の事実を突きつけてきた。

柚子「遊矢のターン中に、シンクロ召喚ですって?!」

天子「たとえ破壊されても、また別の輝きを放ちながら現れる。あれこそ、衣玖のデッキの真骨頂よ。」

衣玖「あなたはまだ、本当の『竜星』の輝きを目にしていません! それをお見せしましょう!! ペンデュラム召喚!!」

遊矢「そんな・・・。何で俺以外が、ペンデュラム召喚を?!」


次回。『遊戯王ARC-V -エンタメデュエリストと紅白の巫女-』。

『神託を受けし竜星! 永江衣玖!!』


遊矢&霊夢「「お楽しみは、これからだ(これからよ)!!」」
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