遊戯王ARC-V -エンタメデュエリストと紅白の巫女- 作:坂本コウヤ
今回は霊夢はデュエルはしません。(全くしないとは言っていない。)
アニメで言うと、大体3~4話ぐらいの時間です。つまり、彼が出てきます!!
勿論、遊矢とも会います。タイトルにあぁ銘打ってますからねぇ。恋愛要素は…ん~、どうですかねぇ。
ただし今回、何か色々とネタぶっこみ過ぎてキャラ崩壊起こしてる方々が原作勢で2,3名います。作者でも不安なのが特にフトシ君と前述の彼ですかねぇ。こんな喋り方で大丈夫か?
「大丈夫だ、問題ない。」
(゜o゜)"!?!?!?!?
何今の?! まぁ特に気にせずに、それでは、第2話です。どうぞ!
八雲紫が魔理紗たちと話していたその頃、私、博麗霊夢はというと――
「あぁもう、いつまで続くのよこの空間!! いい加減終わらないと気が狂いそうだわ。」
――いまだにスキマの中を落ち続けていた。いや、実際にはただ漂っているだけって言うのは分かってるんだけど、この空間内だと頭の中がおかしくなってきて、自分が落ちてるのか上がってるのか分かりにくいのよね。だからまぁ、さっきは落とされたから、落ちてるって表現を使ってるんだけれど。
って、そんな事言ってるうちに頭上に光が見えてきた。もしかして、あれが出口?!
そうと分かればさっさと出るに限るわね! 出た先にもし紫がいたら、真っ先にぶっ飛ばしてやるんだから!!
{(注)いません}
…何かネタバレ的な注釈が付いた気がしなくもないけど、取りあえずこの空間から出るわよ!
私はスキマの出口へ向けて急加速し、薄気味悪い眼ばかりが浮いている空間から飛び出した。
◇≡
「へっ、どこよここ?」
スキマから出た先の光景を見て、私は唖然としてしまった。それはそうだろう。おそらくよほど神経が図太いか鈍い奴でも(幻想郷から)連れてこない限りは、この光景を見たら私と同じ感想を抱くはずだ。今横に魔理紗がいない事に少しだけ感謝している。あの子がいたら絶対うるさくなって、耳がキーんってなってると思う。最悪、この格好のせいで悪目立ちしてしまうわ。
私が見てびっくりした事。それは、私がいるのが街のはるか上空であるにもかかわらず、そこからでもはっきりとその存在を確認できるほどの建物が、その街で幾つも確認できたからである。これだけの高さにいて確認できるってことは、紅魔館クラスかそれ以上の大きさでもないと普通確認できないレベルよ。街自体はそこまで大きいようには見えないけれど、それでも、建物の一つ一つが、こんな高い所にまでその存在を証明しているのに、私は驚き、唖然となっていたのだった。
「外の人達は、いつの間にこんな大きなものをたくさん作るようになったのかしらね。」
少し驚きが冷めてから、感慨深げにつぶやいてみる。まぁそんな事より、取りあえず街に下りないと。外の世界じゃ、幻想郷みたいに人間は空を飛んだりしないって聞いてるし、今のままだとやっぱり目立つかもしれない。とっとと下りた方が賢明ね。
私は、適当に高い建物を見つけて、そこに見つからないように降り立った。
◇≡
「ふぅ、何とか地上に降りる事は出来たわね。」
誰もいない路地裏か出て、そう独りごちる。
建物の上に降り立った私はその後、ちょうど降り立った建物と隣の建物の間に出来ていた隙間に飛び降り、そこから街に地に足を付けた。そこは視界の悪い路地裏だったが、幸い人はいなかったので見られてる心配はない。読者の中には、何か妙な事を期待してる人がいるかもしれないけど、これそういう作品じゃないから。そんなシーン入れちゃったら色々と危ないから。絶対警告タグが付いちゃうから、そういうのは求めないで。反論は聞かないわよ。
さて、降りたはいいもの、どこに行こうかしら。残念ながら外の世界の地理なんて全く分からないし、そもそも知り合いすらいないから、誰に聞けばいいのかも分からない。
「まぁ、適当に歩いてればいいでしょ。いずれ何か分かるでしょうし。」
そう思って足を動かそうとした、その時――
「やっべえぇぇ!!!! 遅刻だ遅刻うぅぅぅ!!!!!!」
ん、何か声が聞こえた気がするけど。まぁ私には関係のな――
「うわぁ、どいてくれぇぇぇぇ!!!!」
「へっ?」
突然の声かけに、私は間抜けな声を出しながら声のした方を向いた。するとそこには、ほぼ眼前まで迫った男のこの姿があった。当然今気付いたので、普段ならこういうのは難なく避けれる私も、さすがにこの時ばかりは避ける事が出来ず――
――ドーンッ――
「キャア!!」
「うわぁ!!」
双方綺麗な正面衝突。吹っ飛びはしなかったものの、私もぶつかってきた彼も、思いっきり尻もちをつく形となってしまった。
「痛た…、もう、どこ見てんのよ!!」
「あぁ、すいません! 急いでたので、つい。」
「つい、じゃないわよ。急いでたからって前方不注意は無いでしょう!!」
「す、すいません。」
ぶつかった本人に軽い説教。まったく、こう言うのは柄じゃないって。まぁ本人も反省してるみたいだし、これに関しては良しとしましょう。私は、説教から未だ立ち直れてない男の子に声をかけた。
「ほら、いつまでウジウジしてんのよ。シャキッとしなさい。」
――バンッ――
「痛って。」
「あぁごめん、大丈夫?」
しまった。シャキッとさせるために背中をたたいたものの、ちょっときつかったかしら。
「いてて。いえ、大丈夫です。」
「そ、そう。ならいいけど。」
そう言って私は、改めて少年の顔を見た。
トマトみたいな頭をした髪型で、そこに片方のレンズに星のマークが書いてあるゴーグルを付けている。目は赤色だけど、どこか無邪気そうな感じがする目である。外見的には私と同い年くらいな感じだった。服装は、まぁ、何というか、髪型同様奇抜な感じだったのは否めないけど。いったいこの子の親はどういう教育をしたのかしら。
「ん、俺の顔になんか付いてますか?」
「え、いや、そういう事じゃないの。ただ、変わった髪型だなぁって思って。あと、たぶん同い年だと思うから敬語使わなくていいわよ。」
「えっ、マジで?! と言うか、君の格好も相当独特だと思うけど。」
「まぁ、確かにこの街じゃ巫女服は目立つかもね。後、年齢に関してはあくまで勘よ。」
「そっか。あっ、俺榊遊矢って言うんだ。君は?」
「あっ、自己紹介がまだだったわね。私は博麗霊夢。気軽に霊夢って呼んでくれていいわ。」
「分かった。それじゃ俺の事も、遊矢ってよんでくれ。」
「そう。じゃあ遊矢、一つ聞きたいんだけどさ。」
「ん、どうしたんだ?」
「このあたりに、この街の地図が売ってるところか、案内所みたいなのは無いかしら?」
「あぁ、それならこの街の観光案内所が、この先の突き当たりに――」
と、話そうとしたところで、彼のデュエルディスクが鳴った。たぶん誰かから連絡が来たんだと思うけど。
その通知を見た遊矢の顔が徐々に青ざめていくのが横目に見えた。そう言えばさっき、ぶつかる前に遅刻だとか何とか言ってた気がするわね。もしかして今の、それに関する事かしら。
「あぁぁぁぁぁ、やッべぇぇぇぇ!!! 学校に遅刻しそうになってたの忘れてたぁぁぁ!!!」
「学校?」
「あぁ。悪い霊夢、俺急いで行かないといけないから、またな!」
「えぇ、またいつかね。教えてくれてありがとう。」
「あぁ! じゃあな!!」
そういうと遊矢は、全速力で私の後ろを駆け抜けていった。私はその後ろ姿が、見えなくなるまで見続ける、なんてことはせず、遊矢がさっき教えてくれた案内所の方に向かって歩き出したのだった。それにしても――
「榊、遊矢か…。何か――」
――不思議な感じがしたわね。初めて会うはずなのに、何か初めてじゃないような気もする、そんな感じ。こう言うのを、俗に『既視感(デジャブ)』って言うのかしら。あんまり感じた事は無いんだけど、でも、嫌な気はしないわね。あっちはどう思ってるか知らないけど。
それに、私の勘が言ってるんだけど、何かあいつとは、近い将来また会いそうな気がするのよね。それも、何か厄介な形で。
――数時間後、出来れば外れてほしかったこの私の勘が当たってしまう事など、今の私には、知る由もなかった。
◇≡
レディース、アーンド、ジェントルメーン!!
どうも、読者の皆。榊遊矢だ。さっきぶりかな。
さて、俺は今、霊夢と別れ、学校で大人しく授業――を受けずに教室で熟睡中である。
あの後の俺だけど、当然遅刻である。メールを送ってきた柚子には当然怒られ、ハリセンも二、三発はもらった。
でもさ、俺もやれるだけのことはやったんだ。その結果がこれだったんだよ。前作の『ナンバーズ・ハンター』と中の人が同じの人みたいに砂漠に倒れて理不尽に喚いたりする程ではないけど、やっぱり何か理不尽な気がするんだよな。俺も、結果的に道案内(口頭と身振り手振りでだけど)をしてたわけで、それで予定よりちょっと遅くなっただけなんだから、もう少し加減してくれてもいいのに、と思ってる次第です。にしても――
(博麗、霊夢かぁ。)
ぼやけた意識の中で、そう呟く。
あの腋出しの巫女服(?)にも驚いたが、何というか、身に纏ってる雰囲気が、あの子の格好とすごくマッチしてると言うか、とにかく、不思議な印象を抱かせる子だったなぁ。
観光案内所を探しているって言ってたから、この街の子じゃないんだろう。どうやってきたのかは知らないけれど、左手にデュエルディスクをつけてたから、デュエル目的でこの街に来た可能性は高い。確かに、この舞網市はデュエルが盛んな街で、それ目当てでこの街に来る人がいる位である。あの子も、そんな決闘者(デュエリスト)の一人なんだろうと思えば、何となく納得できた。ただ、彼女に自分と(見た目的に)同い年だろうと言われ、ではどうして彼女がいるのだろうという疑問も抱いた。もし同い年なら、彼女にも学校というものがあるはずなのだ。結局、その事に関しては彼女に一つも聞く事が出来なかったなぁ。
(まぁ、また会えるよな。)
あのしゃべり方からして、しばらくはこの街に滞在するのだろうから、きっとどこかで会うこともあるはずだ。その時に、また聞けばいい。俺はそう思いながら、深い眠りに意識を落としていったのだった。
因みにあの後、授業が終わってから柚子に滅茶苦茶怒られました。皆は、まじめに授業を聞こうな(←お前が言うな。)。
◇≡
「ふぅ。さて、これからどうしようかしらね。」
遊矢と別れてから数時間後、私は観光案内所でもらった地図と、案内所で教えてもらった知識を頼りに、この街、舞網市を歩きまわっていた。時間的にはもう日が頂点から少し動きだしたぐらいで、時間的には熱くなり出す時間帯である。街の風景はというと、幻想郷の美しさに比べればまだまだだけど、こういう風景もなかなかいいものね。悪くはないわ。ちょっと似たような風景が続くところ以外は、だけど。
まぁ、ここらへんで現状の整理をしておくわ。
まず、さっきも言ったけど、この街は舞網市という街で、デュエルが盛んな街であるという事。
そしてこの街では、質量持ちのソリッドビジョンの開発に成功した『レオ・コーポレーション』という会社があるらしく、デュエルの中でも特にアクションデュエルが盛んだという事。
また、デュエルが盛んな街というだけあって、デュエルを教えることに特化した寺子屋みたいな施設、『デュエル塾』というのがたくさんあるらしく、その中でも、さっき言った『レオ・コーポレーション』が取り仕切ってる『レオ・デュエル・スクール』、通称『LDS』が入塾率トップらしいという事。分かったのはこれぐらいかな。
まぁ、これだけ分かれば、取りあえずこの街で生活していくのには十分でしょ。どうせ紫はしばらく返してくれないでしょうし、こうなった以上ここのルールになじんでいくしかないわね。
それで、ルールついででここの世界の禁止・制限リスト見た時なんだけど、まぁ何というか、これでよくデュエルがカオスな状況にならないわねって突っ込み入れたくなったわね。特に混沌帝龍使ってる身としては、いくら枚数少ないからって(私達の世界の)ルール改訂後のエラッタされた後の効果じゃなくて、エラッタ前の効果で制限とかトチ狂ってるでしょう。DDBにしても最盛期の時のまんまだし、どうかしてるわ。
ただ、征竜の制限がこっちと大体一緒だったから、そこはちょっと複雑な気分かな。以前紫を止めるために力を貸してくれたカード群たちだから、ちょっと思い入れがあったんだけどなぁ。もしまた使う事が出来たのなら、その時はちゃんとしたデッキ構成で組んであげたいわね。
そんな事を考えながらフラフラと歩いていると、気が付いたら私は、この街のほぼ中心部に位置する場所にある、『LDS』と上の方にデカデカとした文字の看板をはりつけた建物の近くまで来ていた。
「あれが、『LDS』、それと『レオ・コーポレーション』の本社のある建物ね。」
まるで天にも届かんとばかりにその存在を示したがっているその大きな建造物に、私は少し嫌悪感を覚えた。何となくだけど、その建物の在り方が、そこのトップのヤツの性格(あったことないからわからないけど)を如実に表してる気がして、不快感を覚えたからだ。ここにきてから、何かとそう言う不可解な感情を胸の内に抱くようになっていた。こんなに感情豊かだったのね、私。
まぁ、その事は置いといて。私は次に、目の前にある大きなドーム状の建物に視線を戻した。
「何かしらこれ。まぁ、普通に考えれば、アクションデュエルをするための場所でしょうけど。」
今まで外の世界で生活した事がない私だったが、その建物の正体だけはなぜか予想できた。
その理由は、幻想郷にも似たような建物があり(気が付いたらにとり達が妖怪の山の麓辺りに作ってた。因みに紫も許可済みで、他にも博麗神社の裏地、人里近くの広大な土地、紅魔館の地下等にもある)、その外見がとても似通っていたので推測できたと言うだけである。
中でもしかしたらデュエルをしているかもしれないと思い、人目のつかないところに移動して空に飛び、ドームの屋根の上に降り立って中の様子を見ることにした。すると、そこにいたのは――
『レディース、アーンド、ジェントルメーン!!』
「うわあぁぁぁ! っと、あっぶなぁ。危うく落ちるところだったじゃない。脅かさないでよもう、ってあれ、遊矢?!」
デュエル場の中を見てみると、なんとそこで、前髪が金髪のナルシっぽい奴と遊矢が、デュエルをしていた。
ウソォ、遊矢がデュエルしてたの? て言うか今の何? ショーでも始める気? と思ってみてたら、やっぱりする気の様だ。ただのショーみたいなデュエルの仕方をするやつなのかなと思って、別段特に気にせずデュエルを見ていたのだけど、遊矢が次に召喚したモンスターに、私も驚かざるを得なかった。
『俺は、スケール1の『星読みの魔術師』と、スケール8の『時読みの魔術師』で、ペンデュラムスケールをセッティング!!』
「(星読みと時読み…。出せるモンスターは2~7のレベルを持つモンスター達ね。まぁその辺りのレベルとかだったら無難なモンスターも多いし、シンクロやエクシーズを作るのにも優秀なモンスターが多いレベル帯だから、手札のモンスターによっては押し切れるわね。にしても、珍しいカード持ってるわね。確かあのカード達は、パチュリーが自分用に創ったカード達だって言ってたけど。それもこっちだけの話なのかしら。)」
『揺れろ、魂のペンデュラム!! 天空に描け、光のアーク!! ペンデュラム召喚!! 出でよ、俺のモンスター達!! 『EM ヒックリカエル』、『EM カレイド・スコーピオン』、そして、『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!』
「えぇぇぇぇ!? オ、オッドアイズですって?! 遊矢も持ってたの?」
これはさすがに予想外。オッドアイズって確か、魔理紗から聞いた話だと、ある日突然パチュリーのデッキの中に入ってきた3枚のドラゴンのカードのうちの1枚って言ってなかったっけ。あのオッドアイズは、そいつらとは違うのかしら? うーん、これは後で本人に聞いてみるしかないわね。
その後は大体予想通りだったわ。『EM』って名前のついたカード群は大体効果を知ってたし、オッドアイズが場にいる時点でもう御察しって感じだしね。結果は遊矢の勝利。ナルシの方はもう何か可愛そうなぐらいボコボコにされてたけど、正直どうでもいい。ただ、あのデュエルを見て思ったのが、あの前髪金髪ナルシスト、どうやら自分の使うカード以外は屑カードと思ってる節がありそうね。これはちょっとお灸をすえないといけねいかしらね。あいつが屑カード屑カード言うたびに段々こっちもイライラしてきてたし、ちょっとぐらい分からせてあげないとね――
「くそ、こうなったら力ず――」
「でえぇいやあぁぁぁぁぁ!!!」
「ぶべらっ!?」
――今何が起こったのか、簡単に説明してあげる。
私は、屋根の上からあのナルシストの後ろに亜空穴で転移した後、両足であいつの後頭部めがけて思いっきりドロップキックをかましてやったのだ。その後は華麗にくるりと回転して着地してから、遊矢達の下に向かった。何か取り巻きっぽいのがナルシストのヤツに声をかけてはいたが、眼中になかった。
「ったく。大丈夫、遊矢?」
「あ、あぁ。ってお前、霊夢じゃないか。」
「あら、覚えていてくれたのね。」
「そっちこそ。俺の事、覚えていてくれたのか。」
「あんな出会い方した奴の事なんか、一生忘れないわよ。」
私がぶつかったときの事をほのめかすと、遊矢は途端に苦笑いを浮かべながら頭をかいた。うん、やっぱりあの事はこいつとしても気にしてるのね。あんまり触れないでおいておこうかしら。よし、話題を変えましょう。
「ところで、隣にいるのはアンタの友達?」
「あぁ、そんなところだ。」
「遊矢、あの子と知り合いみたいだけど、誰なの?」
「私も気になるよ~。」
「教えてくれよ、遊矢兄ちゃ~ん。」
「教えて下さい、遊矢兄ちゃん。」
「あぁ、分かった。分かったから落ち着いて。ちゃんと教えるから。皆、こっちが博麗霊夢。俺が朝学校に登校する途中であった子だよ。で、霊夢。こっちにいるのは俺が通ってる『遊勝塾』のメンバーで、左から順に、柊柚子、鮎川アユ、原田フトシ、山城タツヤだ。」
「そう。さっき遊矢に紹介してもらったけど、私は博麗霊夢よ。よろしくね。」
「柊柚子よ。今朝は遊矢がお世話になったわ。よろしくね。」
「鮎川アユです。よろしくお願いします。」
「原田フトシだぜ。さっきの姉ちゃんの登場の仕方、しびれるくらいかっこよかったぜ。今度どうやったのか、教えてくれよ。」
「山城タツヤです。よろしくお願いします。」
「えぇ。」
取りあえず一通りの自己紹介を終え、服装の事などで色々会話し、どうしてこんなことになっているのかについても教えてもらっていると、
「お、おいお前!! いきなり何をするんだ!!」
「ん? あら、結構起きるの早かったわね。どうしたの?」
声がしたので振り向いたら、先程蹴り飛ばしたナルシストがもう立ち上がっていた。おっかしいわねぇ、普通の人なら半日は寝込んでるくらいの勢いで後頭部を蹴りつけたのに。もしかして、あの慧音と同類の石頭なのかしら?
取りあえずめんどくさいヤツが起きてしまったので、そちらの方に目線だけ向けながら適当に質問をしてみた。まぁ、聞く気はさらさらないけど。
「どうしたの、じゃねぇ!! てめぇ、この俺を蹴りやがって、ただで済むと思ってんのか?!」
「――というわけでさぁ。」
「へぇ、そうだったの。アンタも大変だったわね。」
「おおい!! 俺の話を無視すんじゃねぇ!!!」
「ハァ。もう何よさっきから、うるさいわね。」
少しやかましかったので、うんざりしながらちょっとだけ返答。ん、何で聞かなかったのかって? それはだって、まだ遊矢達から状況説明してもらってなかったからよ。それと後めんどくさかったから。聞く気はないって言ったから、伝わってるって思ったんだけど。えっ、地の文には書いてあるけど直接は言ってない? そんなの雰囲気でわかるでしょ、普通。読めないあいつが悪いのよ。
因みに遊矢に教えてもらったが、あのナルシストの名前は沢渡シンゴって言うらしい。
この舞網市の市会議員、まぁいわゆる権力者の一人を実の父として持つ奴らしく、典型的なおぼっちゃま気質を持っているみたい。遊矢達が学校から帰ろうとした時に絡まれ、ここでデュエルをしようって約束をしてここに来ると、時読みと星読みを見せてくれと言ってそれらのカードを奪取。その後柚子達を人質にとってデュエルを始めたらしい。時読みと星読みを取り返すまでは苦戦してたらしいけど、とり返した後は一気に逆転。1ターンで決着がついた。私が見ていたのは、どうやらその逆転の1ターンの時だったようね。
とまぁメタ説明と状況解説等はこれぐらいにして、沢渡の方に目を向けると、さっきの私の返答がよっぽどお気に召さなかったのか、額に青筋を立て始めていた。
「てんめぇ!! 誰に向かって口きいてんのか分かってんのか!! この、市会議員の息子の、沢渡シンゴ様に!!」
「あぁ、そういうのいらないから。どうせ親の七光りなんて、これっぽッちも役に立たないから。」
「な、何だとぉ!!」
「お前ぇ、沢渡さんをバカにするk――、あべしっ!?」
「お、おいどうs――、ひでぶっ!?」
「クソマァ!?」
あぁ、もう何となくうるさそうな気がしたから、取りあえずとり巻き達には寝といてもらうことにした。なんか最後断末魔がおかしいやつがいたけど、気にしないでいいでしょう。何をしたのかって? 聞かなくても、さっきの沢渡の時のことを思い浮かべれば、大体分かるでしょ。
「お、お前ぇ。こいつらにいったい何しやがった!?」
「ちょっと寝といてもらったけよ。2、3時間したらすぐ起きるわよ。」
「なぁ、今何が起こったんだ?」
「さ、さぁ。早すぎて分からなかったわ。」
「貴っ様ぁ、それで本当にただで済むと思ってんのか?!」
「そっちこそ、人のカード奪ったり、自分の使わないカードを『屑カード』呼ばわりして、ただで済むと思ってないでしょうねぇ?」
そう言って私は、内側に抑え込んでた怒りのオーラを少しだけ表に出した。正直こいつと話してるだけで、出会ったばかりで悪いとは思ってるけれど、イライラがどんどん募ってくるのだ。レミリアみたいにちゃんとした力があるヤツがこう言う事を言ってももっともらしく聞こえるけど、こいつみたいな小物がああいうセリフをパンパン吐いてるのを見たり聞いたりしてると、イライラしてくんのよねぇ。身の程をわきまえなさいよ。
それに本当に強い奴だったら、どんなカードであっても絶対に『屑カード』だなんて呼ばない。どんな生命(いのち)にだって、生まれてきた意味がある。それは、カードであったって一緒だ。どんなカードにだって、生まれてきたのには必ず意味がある。だから存在している。生命にせよ、カードにせよ、無駄なものなんて一切ない。だって、意味がなければ、生まれてくる事なんて、ないんだから。
「アンタには、決闘者(デュエリスト)としての誇りは無いの?! 自分の使わないカードを屑呼ばわりしたり、人のカードを奪ってさも自分のカードみたいに使ってみせたり、そのカードのおかげなのにこれが自分の力みたいに言ってみたり…、ふざけんじゃないわよ!! アンタみたいなやつに決闘者を名乗る資格なんてない!!」
「うっせぇよ!! そんなの、お前に決められる事じゃねぇ!! 俺は強いんだ。お前らみたいな屑達と、一緒にすんじゃねぇ!!」
「…、これ以上言っても無駄ね。じゃあこの場でデュエルしましょう。アンタと私、どっちが正しいのか、デュエルで決着をつけましょうよ。」
「あぁいいだろう。もしお前がデュエルに負けたら、その時は、さっき言った事を撤回しな!! それと、お前のカード全部よこせ!!」
「前言撤回にアンティ・ルールとはね。いいわ、やってあげる。その代わり、アンタが負けたら二度と『屑カード』なんて言葉を使わないで。いいわね?」
「フン、分かったよ。」
「あぁそれと、もうひとつ言っておきたい事があるわ。」
「あぁん、何だよ?」
「人質とったり、弱いものをいじめたりしようとするのは――」
「――バカのやる事よ!!」
「っ!?」
私がそう言うと、沢渡はまた額に青筋を立てた。相当ご立腹みたいね。でも、怒ってるのはこっちも同じなのよ。カードをまるで、手駒か何かみたいに見ている、あいつの態度に、珍しく私は腹を立てていた。腸が煮えくりかえるほどじゃないけど、こんなに怒っているのは久しぶりだ。自分でも制御がきくかどうか。
『(霊夢。落ち着いて下さい。怒りを覚える気持ちもわかりますが、飲まれてはいけません。)』
『(ライラ…。)』
気が付くと、私の傍にライラが出てきていた。ライラだけじゃない。ミネルバやジェイン、ライデンなど、私のデッキの中に眠る、たくさんの精霊(なかま)達が私の傍に寄り添っていた。
『(そなたが怒る理由も十分わかる。それは怒っていいことだ。だが、怒りにのまれて戦っては、見えるものも見えなくなる。)』
『(ジェイン…。)』
『(大丈夫だ。お前の傍には、いつも俺達が付いている。何も問題はない。俺達を信じろ。)』
『(ライデン…。)』
『(霊夢の気持ち、よくわかります。でも、今はこのデュエルに集中して、デュエルを楽しんでください。その中で、彼に気持ちをぶつけて下さい。)』
『(ミネルバ…。そうね。最近何か負け続きで、結構忘れてたけど、デュエルって、楽しむものよね。決して怒りの道具とかに使って良いものじゃないものね。ありがとう。おかげで幾らかはマシになったわ。もう大丈夫。)』
そうよね。確かに、さっきの沢渡に対する怒りはまだ消えない。でもだからと言って、それはデュエルでぶつけていいものじゃないわよね。デュエルは全力で楽しむもの、そうだったわね、魔理紗。目の前のアイツがどう思ってるかは分からないけど、少なくとも、私はこのデュエルを楽しまないと。
と思っていると、足元にいたライコウにこうぼやかれた。
『(ったく、気付くのがおせぇんだよ。)』
『(おい、ライコウ。そんな風に言うことないだろ。霊夢は霊夢なりに色々と考えているんだ。)』
『(まぁマスターが鈍いことは認めるけど、ルミナスみたいに世話焼きすぎるのもどうかと思うけどな。)』
『(な、何だと!? フェリス、それはいったいどういう意味だ!!)』
『(はいはい、3人とも揉めないで下さい。これから楽しい霊夢とのデュエルの始まりなんですから、喧嘩してたら楽しくなくなっちゃうじゃないですか。)』
『(ライラ…。)』
『(チッ…。しゃあねぇなぁ。)』
『(ハァ、しょうがないわね。って言うかヴォルフ! いつまで寝てんのよアンタ!!)』
『(……zzzzzz。)』
…フフフ、全く。デュエルするときはすごく真面目な子達なのに、それ以外だとこんなにフリーというか、楽しそうなのよね。もう、あなた達がそんなんじゃ、楽しむしかなくなっちゃうじゃないの。
『(ほら、皆行くわよ。それとヴォルフ、行けるわね。)』
『(…出陣か。)』
『(えぇ。頼むわよ。)』
『(…御意。)』
さて、これで私の心の準備は整った。そして、私が皆と話している間に、ステージの方も準備が整ったようだ。今回のアクションデュエルの舞台は、『光の空間-ジャスティスワールド-』。どうやらライトロードのサポートフィールド、『ジャスティスワールド』を元にして作ってるみたいね。アレみたいな効果はないようだけど、この世界での初めてのデュエルとしては、お誂え向きのフィールドじゃない。これ選んだヤツセンスあるわね。私は、心の中でこのフィールドを選んでくれた人に感謝した。
「霊夢お姉ちゃーん! 頑張ってねー!」
「霊夢姉ちゃん、沢渡の奴なんかに負けんなよぉ! しびれるデュエル期待してるぜぇ!」
「霊夢姉ちゃん。頑張って―!」
声のした方を向くと、観客席の方に遊矢達がいた。さっきの声はアユちゃん達の声だったみたい。応援してくれてるのね。こりゃ負けられないかな。まぁ、負ける気なんてさらさらないけど。
そして、視線を動かしてると、遊矢と目があった。遊矢の隣にいた柚子も遊矢の視線を辿って、どこを見ているのかに気付き、私に向かって叫んできた。
「霊夢ぅ、頑張って―!!」
「頑張れよー、霊夢!!」
全く、出会ってまだ1日も経ってない素性不明の子を応援するなんて。でもまぁ、悪い気はしないかな。いつ以来だろう。こんな気持ちでデュエルするのは。おかしいな。さっきまでは、沢渡に対する怒りしかなかったのに、ライラ達と話して、遊矢達に応援されてから、何か気持ちが、晴れやかになった気がする。今なら、負ける気がしない。
私は、笑顔で遊矢達に向かって手を振った後、目の前のデュエルの相手、沢渡と向き合った。
「行くわよ、沢渡。」
「フン、後悔しても知らないぜ。」
「後悔なんてしないわよ。勝つの、私だから。」
「チッ、気にいらねぇその態度。そんな余裕、速攻でぶっ壊してやる!!」
「やれるものならやってみなさい。まぁ、楽しみましょう。」
そう言って深呼吸を一つ置き、私達は、アクションデュエルをするときに言う、あの口上を(客席も含めて)言いあった。
「戦いの殿堂に集いし決闘者達が!!」
「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!!」
「「フィールド内を駆け巡る!!」」
「見よ、これがデュエルの最強進化形!!」
「「「「アクショーン、」」」」
「「デュエル!!!」」
沢渡シンゴ
LP 4000
デッキ枚数 40枚
手札 5枚
場、Pゾーン、伏せ、全てなし
博麗霊夢
LP 4000
デッキ枚数 50枚
手札 5枚
場、Pゾーン、伏せ、全てなし
かくして、私の、この世界での初めてのデュエルが行われる事となった。
はい、みなさん、いかがだったでしょうか。
沢渡の口調が何か違和感バリバリな気がする。こうなってしまったのは作者(わたし)の責任だ。
だが私は謝らない(キリッ
はい、ネタが過ぎましたね。後書きに行きましょう。
今回はなんか霊夢がただ沢渡達を相手にリアルファイト&かっこいいセリフを言いまくる回でしたね。原作の霊夢ってこんな子じゃ無かったよな。そんな事より、おい、デュエルしろよ...。
あと、霊夢が言っていたARC-Vの世界の禁止・制限リストなんですけど、あの世界でしか使われてないカードがあったり、そのカード群をこいつ特有のものって感じにしてる物が多いので、正直特定のカードにのみ制限がかかってたりすると、そのキャラのデッキが組みにくくなってしまったり、そいつのデッキだけ弱体化したり、そのデッキ特有の回し方が出来なくなってしまう気がしたので、あんな形にしました。特に、あの世界だとEXデッキからの特殊召喚に当たるモンスター達(EXに飛んで行ったペンデュラムモンスター達を除く)の召喚は、特定のコースやそういう講義を受けて学ばないと使えないみたいなので、そんなに禁止・制限の縛りがきつくないんじゃないかなとと思っています。だからDDBが無制限だったりします。
ただ、何でも緩めてしまうと、あちらこちらで征竜や魔導が暴れまわったり、八汰ロックがいとも簡単に完成してしまうため、一部のカードはこちらと同じ禁止・制限カードとしています。後で活動報告の方にでも上げておくので、よかったら見て置いて下さい。もし、直してほしいところがあったら教えて下さい。特に征竜は子征竜をどう扱おうかで迷った結果のリストですので、猛威をふるっていた当時の状況を直に見た人いたら、ご意見の方をよろしくお願いします。
さて、次回はいよいよ霊夢が沢渡とデュエルします!!
果たして霊夢は沢渡に勝ち、無事自身のカードを守り抜いて、沢渡にカードの大切さを伝えることができるのか?こうご期待!!
えっ、院ゲス? 誰それ? これの主人公、霊夢。後はわかるな?
遊矢&霊夢「「お楽しみは、これからだ(これからよ)!!」」