遊戯王ARC-V -エンタメデュエリストと紅白の巫女- 作:坂本コウヤ
前回の社長とのデュエルなんですけど、いやぁやっぱり征竜はヤバいなと改めて思いました。架空でやるとこうなるんだな。
後、重要なカードをポンポンと出し過ぎてるのではないかという意見ももらいました。これからはある程度抑えていくと思うので、よろしくお願いします。というか、コンマイ。スダーダスト・シフルOCG化はよ!!
まぁそれはさておき、今回はいよいよ「刃のような鋭さ」と、「弾丸のような威力」を決闘者に求める、あの黒茄子さんが出てきます。果たして霊夢達と、どう絡んでくるのか。
また、手前であんな事かいておいて早速なんですけど、今回また、幻想郷から誰かやってきている様です。そっちも楽しみにしておいてください。
それと今回、デュエル描写が地の文だけとなっています。ほぼ原作通りのデュエルしかやってないからです。そういうところは、カットしても、いいですよね?
さて、それでは――、おや、スキマが開いている、だと。
バカな、紫は直したと言ってい――
「前書きでは、常識に囚われてはいけないのです!!」「なのです!!」
おい非常識ぃ!! うちの電に何教えたぁぁ!! こっからの出番減らすぞ貴様ぁ!!
「ひぃぃぃぃ!! それだけは勘弁してくださぁい!!」
だったら、もう引っこんでろ。電も、この人に教わった事は早々に忘れろ。いいな。
「は、はい。」
はぁ、何かすいませんね。毎度前書きが騒がしくて。もう慣れた自分がいる。怖いな。
まぁそれはともかく、それでは第8話、どうぞ!
第8話:レジスタンス襲来! 反逆の牙、降臨!!
舞網市の郊外にある、神社の様な一軒家。
そこで、一人の少女が昼ご飯を作っていた。どうやらにおいからして、カレーの様だ。
「ふぅ~。こんな感じかな。○○様~! □□様~! ご飯出来ましたよ~!」
少女が名前を呼ぶと、奥から体格の大きな女性と、如何にもロリな体格の変わった帽子をかぶった少女が出てきた。
「おっ、できたのかい△△。」
「はい、今日はカレーですよ。」
「ホント、やったぁ!! △△が作った料理はおいしいからね。」
「フフ、そう言ってもらえるとうれしいです。それでは――」
「「「いただきます!!」」」
◇≡
家でお昼ご飯を済ませ、私は必要なものをすべて持って遊勝塾に向かった。
にしても、外の世界のご飯はもう食べる事だけにこだわってる気もするわね。インスタントに冷凍食品、それにチルド、だっけ。お店にちらっと寄って見てみたものの、もう作る事をほとんど省略したような物ばっか売ってんのね。こんなので満足できるようになっちゃってるなんて、さすがの私でも少しさびしく感じてしまう。料理って言うのは、時間をかけてでも作って、それを家族と皆で食べ合う、暖かな時間だと、私は思ってる。一人で食べてる事が多い私だけど、先代がいたころは一緒に食べてたっけ。今はもういないけど、それでも時々、魔理沙達が来てくれて一緒に食べてくれたりする。そう言う時は、本当に心が暖かくなる。そう言う時、やっぱり一人はさびしいと感じるのだ。ただまぁ、私の場合は、博麗の巫女ってこともあって近づいてくる人の方が少ないんだけどね。
さて、そうこう言ってる間に遊勝塾に着いた私。さて、今日からいったいどんなせ――
「――中が騒がしいわね。」
大方また昨日みたいに騒いでるんじゃないんでしょうね。いくら働く場所とはいえ、教える側の気持ちにもなれっての。
って、何柄にもなくあつくなってんのよ私。これからただ、私はシンクロ召喚の事を教えに行くだけなのに。そう、教えに行くだけなのよ。別に熱くなる必要なんて。
と、とにかく! 取りあえず近所迷惑かもしれないから、注意だけはしとかないと。うん、そうしよう。そういうことよ。大丈夫、あつくなる必要は一切ない。
私は、そう自分に言い聞かせて、遊勝塾の中に入っていった。
入った部屋には無人で誰もおらず、その奥の部屋から、件の声達はしていた。
「ふ~ん、アクションデュエル中って訳ね。」
なるほど、これなら騒がしいのもわかる気がするわ。三度の飯よりデュエルが好きそうなメンバーが約2名ほどいるし。まぁ、デュエル中なら仕方ないわね。でも、誰と誰のデュエルかしら。気になるわね。
私は、取りあえず奥の扉を開けて、遊勝塾内のアクションデュエル場の観戦ブースに入っていった。
中に入ると、塾長の修造さんと柚子達がいた。修造さんは私に気付いて、あっという顔をしていた。
「こんにちは、修造さん。今日からよろしくお願いします。」
「あぁ、霊夢ちゃん。すまない。昨日の今日だというのに、遊矢達の事で熱くなってしまって、忘れてしまっていた。」
忘れてたって。塾長でしょこの人。こんなので大丈夫なの?
「ちょっとお父さん! そんなの忘れてちゃダメでしょ!! 大事な講師で、同じ塾の仲間でもあるのに。」
「ちょ、柚子?! 落ち着け!! 確かに今回のは俺が悪かった!!だから――」
「問答無用!! 一回食らって反省しろ!!」
――バシンッ――
「アーーーーーーーーーッ!!!!!」
あぁ、修造さん南無。昨日も見てたけど、あのハリセン痛そうなのよね。出来れば食らいたくないわね。柚子は修造さんをハリセンでしばいた後、私に謝ってきた。
「霊夢、ごめんね。昨日約束したのに、お父さんが忘れてて。」
「いいわよ。気にしないで。まぁ私も、シンクロの何をどういうふうに教えたらいいのか、あんまり分かってなかったし。着いてから場あたり的な感じで考えようと思ってたから。適当でごめん。」
「そっか。いや、良いのよ。教えてもらえるだけでも十分ありがたいし。」
「そういうもんなの? というかアンタ達、シンクロ召喚についてはどこまで分かってるの。」
「えっと、チューナーモンスター1体と、それ以外のモンスター1体のレベルの合計を、エクストラデッキにあるシンクロモンスターのレベルに合わせてリリースして召喚する方法、よね?」
「ん~、それは半分あたりで、半分間違いかな。正しくは、『シンクロモンスターに指定された素材のレベルの合計』を、チューナーとそれ以外で同数値にして特殊召喚する方法ね。まぁ、基本的に柚子が言った事で問題ないと思うけど、中には特定のチューナーを指定してくる奴もいるし、素材に縛りやのある奴もいるから、私は基本こう覚えているわ。」
「そうなんだ。」
「えぇ。まぁ詳しい話は、後で講義の時に話してあげるから、楽しみにしてて。今ので大体、どういう感じで教えたら良いのかも分かったし。」
「そう、よかった。役に立てたみたいで。」
そう言う柚子の顔は笑っていた。何かこう、一つでも何かを教えた子の笑顔を見るっていうのは、存外悪くないものね。まぁ彼女の場合、今笑ってるのは、自分が役に立てたからって言うのだろうけど。そして柚子を見ていると、何だか、こっちまで笑いたくなってきた。
「フフフ。」
「な、何? どうしたの?」
「いや、何かアンタが笑ってるとこっちまで笑いがこみあげてくるっていうか。」
「えっ、それってどういう意味?」
「言葉どおりの意味よ。分かりにくかったら、自分の大切な人か、もしくは、自分のデュエルで観客が笑顔になってくれてるのを想像してみなさい。何となくわかるから。」
そう言われて、柚子も気づいたのか、はっとした顔になっていた。そして、急に笑い出した。
「もう、そう言う事? 初めからそう言ってくれたらいいのに。」
「悪いわね。私、あんまりそういうの得意じゃないのよ。素直になろうとは思ってるんだけど。」
「そっか。なら、そういう自分を素直に出すっていうのも、ここで人と話しながら訓練して言ったらどう?」
「柚子…。そうね、アンタ達と関わっていく中で、それが出来るようになったらいいかな。」
そう言いながら私は、今なおデュエルが続いているアクションデュエル場に目を向けた。そう言えば誰がデュエルしてるのかしら。それが気になって入ったのに、すっかり忘れていた。
「ねぇ、柚子。話が変わるんだけど、今誰と誰がデュエルしてるの?」
「あぁ。今ね、遊矢が素良君とデュエルしてるのよ。弟子入りするかどうかっていうのを決めるためのね。」
「あぁ。昨日のヤツ、まだ決着ついてなかったのね。」
「うん。何か今日、素良君にずっと付け回されてたらしくて。それで、塾に来たらまたいて、そこでデュエルしようってことになったのよ。最初は遊矢嫌がってたんだけど、遊矢が勝ったら弟子入りも『師匠』って呼ぶのも止めるのを条件に始めたのよ。素良君のあの笑顔には、遊矢も勝てなかったみたいでね。」
「ふぅん。」
なるほど、ストーカーされてたけど、これを機会に師匠呼びするのをやめさせるため、ね。にしても、遊矢がデュエル断るなんてね。明日はソードフィッシュでも降ってくるんじゃないかしら、それも大群で。とか思っていると――
「ゆ、柚子お姉ちゃん! それに、霊夢お姉ちゃんも見て!」
「ん、どうしたのアユちゃん?」
「そ、素良君が。」
「?!」
素良の名前を聞いて、私はすぐにデュエル場の方に目を向けた。すると、そこに見えたのは――
『悪魔の爪よ!! 野獣の牙よ!! 今一つとなりて、新たな力と姿を見せよ!! 融合召喚!! 現れ出ちゃえ、全てを切り裂く戦慄のケダモノ、『デストーイ・シザー・ベアー』!!』
紫雲院素良が、遊矢に対して融合召喚を決めているところだった。
デストーイ…、ってことはなるほど。あの子のデッキは【ファーニマル】か。あれには少々苦戦させられたわね。フランが使ってたけど、あのデッキは【DD】と似たような感じで、エクストラデッキの召喚に随分長けてる。唯一あいつらと違うのは、ペンデュラムモンスターがカテゴリ内にいないことね。だからそれによる大量召喚はないけど、それを超えて有り余るだけの面倒な効果持ちのモンスターが多いのよ。後専用の融合カードだったり、融合カードそのものが無しでも融合できるモンスターがいたりと、色々とめんどくさい。ま、デュエルする前にアイツが面倒なカード使ってるってことが分かったから、私的には全然良いけど。そう言えば、久々にあの子達に会いたくなってきたわね。パチュリーに会ったせいかしら。
「素良君、融合召喚が使えたのね。」
「みたいね。でもあのモンスター、融合素材がガッチガチに縛られてるやつね。」
「え、霊夢。あのモンスターが何か分かるの?」
「えぇ。私が前に紫といったところで使ってた子がいてね。」
うん、やっぱり違和感感じるわね、この言い方。だって、前住んでたって言おうにも、在住扱いになってるから変な事言えないし、この子達はまだ次元の話を知らない。だったら教える必要はない。でもやっぱり、こんな嘘ついてると、段々私がおかしくなってきそうね。大丈夫かしら。
「そ、そうなんだ。」
「じゃあ、アイツの効果も分かるのかよ、霊夢姉ちゃん。」
今度はフトシ君が聞いてきた。
「えぇ、わかるわ。アイツの効果は、1ターンに1度、戦闘で破壊したモンスターを、攻撃力を1000ポイントアップさせる装備カードとして装備する効果を持ってるわ。」
「ま、マジかよ。」
「マジよ。ただ、アイツは素で耐性はないし、装備カードを『大嵐』等で破壊されたら攻撃力は元に戻る。何より素材が『エッジインプ・シザー』と『ファーニマル・ベアー』で固定されてるから、素材に融通が利かないわ。『沼地の魔神王』とかいたら別だけど。」
「よく知ってるわね。」
「たとえ使わないとしても、召喚方法って言うのは意味があって存在するんだから、覚えとくのと覚えとかないのじゃ大違いよ。この前の私と沢渡のデュエル、思い返してみて。もし『緊急同調』の存在をアイツが知っていたら、まず真っ先に伏せを壊しに来るはず。でもそうせず、勝てると豪語して突っ込んできて負けた。」
「つまり、どんな召喚方法でも、知っておいて損はないってこと?」
「そういう事。さっき言ってたことと矛盾してるだろうけど、もし知っていれば、たとえ使わなかったとしても、どこかで役に立つ事はあるから。もしそれらの召喚のサポートカードが、自分の使ってるカテゴリに出てきても、すぐさま対応できる。それに、出す方法を知ってるってことは、それを阻止する方法も自ずと見えてくる。例えばさっきの融合召喚。一番メタになりやすいのは『融合禁止エリア』。それか、『融合』が魔法カードであることを逆手にとって、『魔封じの芳香』を使うとか、後は自分が通常召喚しかしない、もしくは特殊召喚をやれるだけやった状態なら、『虚無空間(ヴァニティー・スペース)』っていう手もあるわね。因みに、このカードは特殊召喚そのものを封じるから、他の召喚方法に対しても有効よ。ただまぁ、これらを使うんだったら、それらを守れる構築にしとかないといけないけど。因みに、今のは一例よ。」
「…本当に、詳しいのね。」
「私なんてまだまだよ。紫といったところの子達は、皆それぐらいの知識あったし、むしろ無いと付いていけなかったもん。私以上に、それらの長所短所をよく理解して、使ってたやつらもいたしね。融合モンスターを使ったエクシーズやシンクロ、またはそれの逆とかも平気でやってたわね。」
「…霊夢が行ったその場所って、いったいどこなの?」
「あっ、そ、それは――」
ヤバい、これは答えられない。さすがに情報漏らし過ぎたか。どうやってごまかそうかと、頭の中で思案していると、思わぬ助け船がきた。
『オッドアイズ!!』
「ん、遊矢?」
遊矢の叫び声が聞こえたせいか、柚子がそっちに気をそらしてくれた。つられて、私もそちらを見た。何かよくわかんないけど、助かったわ、ゆ――
『……。』
――うやと、私は心の声をつなげようとしたが、すぐにやめた。なぜなら、遊矢がフィールド上でうずくまっていたからだ。
「何、何があったの?」
「れ、霊夢お姉ちゃん。それが――」
――私と柚子が話しこんでいる間に、何があったのかタツヤ君が教えてくれた。
先程シザー・ベアーが召喚されたターン、素良は遊矢の足となっていたディスカバー・ヒッポを破壊し装備、返しのターン、遊矢もソードフィッシュの効果でシザー・ベア―の攻撃力を下げようとするも、アクションマジック『キャンディ・コート』で無効化。結局、そのターン遊矢は攻撃できず、今の素良のターンに、シザー・ベアーの攻撃を罠カード『エンタメ・フラッシュ』でシザー・ベアーを守備表示にする事で回避しようとしたが、またも素良に『キャンディ・コート』で無効化され、オッドアイズを攻撃されて今に至る。
なるほど、切り札をやられて落ち込んでいると。いや、それだけだったらあんなに落ち込む事はないはず。遊矢だって決闘者だ。自身のモンスターが破壊されるところなんて、さんざん見てきてるはず。ならなぜ。
「柚子、何でアイツ、あんなに落ち込んでるの?」
「?! あっ、そっか。霊夢は知らないのね。オッドアイズは、遊矢にとって、勇気を持って一歩踏み出す切欠になったモンスターなのよ。だから。」
「……。」
ハァ、あのバカ。昨日あんなこと私に言っといて、何自分が落ち込んでんのよ。イライラするわね。
私はすぐさまデュエルディスクの通信機能をオンにして、遊矢に怒鳴りつけた。
「遊矢!!」
『ん、霊夢。何だよ。』
「何落ち込んでんのよ、このバカ!! 昨日私にあんなこと言っといて、ふざけんじゃないわよ!!」
「れ、霊夢?! 落ち着いて!!」
「そ、そうだ霊夢ちゃん。いくら何でもそれはいいす――」
「柚子と修造さんは黙ってて下さい!!」
「「ハ、ハイィィ!!」」
近くにいた柚子と、いつの間にか復活していた修造さんが止めに入ろうとしてきたけど、威圧して無理やり黙らせた。ちょっとだけ罪悪感がこみあげてきたけど、今はそれよりも遊矢に対する怒りが大幅に勝ってる。何でこんなに怒りたいのか分かんないけど、とにかく怒り倒さないと気が済まない!!
「アンタ昨日、私に言ったわよね!!『泣きたいときは笑え』って!! アンタそれ一体どこに行ったのよ!! 切り札がやられたから、勇気を踏み出す切欠になった相棒がやられたから、それでアンタは全部終わりなの?! まだアンタには、ライフが残ってんでしょ!! 決闘者なら、まだ終わりもしていないデュエルで、支え一つなくなったくらいでウジウジすんな!!!」
怒りのままに思いついた言葉をバンバン吐き散らしてやった。これで立ち直れなかったら、私はこいつの事を過大評価していたことになる。そうはならないでほしい。頼むから、私があの時アンタにみた、ホントのアンタを見せてみなさいよ!! デュエルで人を笑顔にする、『エンタメデュエリスト』としてのアンタを!!
私は、通信を終えた後も画像を凝視していた。遊矢は最初ピクリとも動かず、下を向いたままだったが、不意に身体を震わせ――
『ハハハ、ハハハハハハハハ、アーハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!!!』
――笑いだした。そうよ、それで良いのよ。遊矢。
皆は、昨日の事もあってか、遊矢が何で急に笑い出したのかすぐにはっとなっていた。ただ、あの場にいたにもかかわらず、素良の方はというと、首をかしげていた。
『し、師匠?』
素良に声をかけられても、遊矢はしばらく笑い続けていた。そして、それからしばらく経って、遊矢は立ち上がり、私に通信越しでもう一度話しかけてきた。
『ハァ、ハァ。サンキュー、霊夢。お前のおかげで、目が覚めたよ。』
「…遅いのよ、バカ。」
『ハハハ、ごめん。でもいつの間に来てたんだ?』
「ついさっきよ。それよりも、デュエルに集中しなさい。お楽しみは、これからでしょ。」
『あぁ!!』
そう言って、遊矢は通信を切った。もうこれで大丈夫でしょ、アイツは。後は、アイツが勝つのを信じるだけ。でもなんか、あいつなら勝っちゃいそうな気がするのよね。こんな状況でも。
そう思うと、何か自然と笑みがこぼれた。そんな様子を見たアユちゃん達が、不思議そうな眼を向けていた事に、今更気付いた。
「ん、どうしたの。皆してそんな顔して。」
「え、いや。」
「さっきまで、遊矢兄ちゃんを怒ってたと思ったら。」
「立ち直った瞬間、その、ニヤニヤしだしたから。」
「えっ?」
どうやら、子供たちからしたら、私の行動が理解できなかったみたい。まぁそりゃ、怒ってた人が急に笑い出すことほど、理解しがたいものはないけど。かくいう私も、何でさっきまで怒ってたのか、自分でも分かってないのだ。子供たちに分かるわけない。でも、これだけは言える。
「そうね。何か、アイツの最後の返事聞いたら、安心できたから、かしらね?」
そう、今の私にとって、これだけは確実に言えることである。アイツの最後の返事を聞いた途端、何かほっとした自分がいたのだ。さっき言った、アイツなら勝っちゃう気がするって思いも、これに後押しをしている。勝てるっていう想いが、もしかしたら、私に安心感を与えたのかもしれない。う~ん、どうなんだろう。
「柚子。」
「な、何よお父さん。そんな顔して。」
「どうやら、強力なライバルが出来たようだな。頑張れよ!」
「…ハァ?!」
ただし、その裏でこんな親子の会話が繰り広げられていたのだが、それはまた、別のお話。
◇≡
結論から言うと、結果的に遊矢が勝った。あの後、『EMチアモール』を出した遊矢が、ソードフィッシュの効果とチアモールの効果でシザー・ベアーの攻撃力を1600ポイント下げ、さらにアクションマジック『ナナナ』で、オッドアイズを攻撃力を上げたのだ。そして、そのままシザー・ベアーを攻撃して、ダメージ倍加能力も相まって、素良に見事勝利した。
その後、素良は弟子入りをあきらめ、代わりに遊矢の友達になると言いだした。またも遊矢が認めないと駄々をこねたが、友達ぐらいなら良いじゃないと、私と柚子にいわれ、渋々ながら承諾。その後、遊矢達が「アイスが食べたい」と言い出したので、現在私達で、近くのコンビニまでいって買って帰っているところである。
「全く、何で私達が。ごめんね二人とも。わざわざ手伝ってもらっちゃって。」
「いいよ。だって、柚子お姉ちゃん一人に任せるなんて、出来ないもん。」
「私も、その点は気にしてないわ。女3人の方が、気楽だしね。」
「霊夢、ホントごめんね。こんなことになっちゃって。」
「いいって。まさか、さっきの事まだ気にしてんの?」
「うん。だって、せっかく教えに来てもらったのに、遊矢達のデュエルを見てもらっただけだなんて。」
そう、さっきから柚子、今日の私の講義が無くなってしまった事に、えらい申し訳なく感じてるみたいで、それでさっきから口を開いては、ごめんを連呼しているのだ。私は別に気にしていないと言ってるのに、修造さんと違って随分と生真面目なのね(あの人が生真面目じゃないとは言わないけど)。よし、それなら――
「なら柚子、帰ったら私とデュエルしましょ。」
「えっ、霊夢と?」
「えぇ。講義って形じゃないけど、特別にデュエルしながら教えてあげる。」
「えっ、良いの?」
「良いわよ。アユちゃんもみたいわよね。」
「うん。またあの綺麗なドラゴン、私見たい!」
「フフ、だそうよ?」
「アユちゃんまで。分かったわ。そのデュエル、受けて立つわ!」
「そうこなきゃね。言っとくけど、手を抜く気はないから。」
「勿論! そうじゃなきゃ、楽しくないじゃない!」
よし、これで問題は解決ね。ただ、うっかりエクシーズしないように、デッキを後で前の状態に戻し――
「霊夢、隠れて。」
「へっ、何、ってうわっ!」
ボーっとよそ見して考え事をしていたせいで、急に柚子にそでを引っ張られて対処できず、身体を思いっきり打ちつけてしまった。最近何かと地面に身体ぶつけてるわね、私。まぁ、向こうだったらこんなのしょっちゅうだったけど。
「いった、何すんのよ柚子。」
「シーッ。」
柚子がそう言って、ある方を指差した。私も、隠れながらその方向を見てみた。そこには、昨日会った沢渡のとり巻きの内二人が、何か話していた。
「沢渡さん、相当気合入ってんなぁ。」
「どんな事をしてでも、榊遊矢と博麗霊夢をぶちのめすってなぁ。」
「あの人、相当卑劣なことしそうだな。」
「ウィークポイント、徹底的に攻めるってよ。」
なるほど。この前負けたことが相当お気に召さなかったみたいね。灸を据えたつもりだったんだけど、どうやらまだ懲りてないみたいね。こうなったら今度は徹底的にこっちがぶちのめすしかないわね。新デッキの『征竜』達の餌食にしてやる。とか考えてると、柚子が声をかけてきた。
「霊夢。」
「柚子、アイツら追うわよ。」
「ううん、私が追うから、霊夢はアユちゃんと一緒に、遊矢を呼びに行って。」
「アンタ、さっきのアイツらの会話、聞いてた? 遊矢にとって、アンタは相当なウィークポイントになる事、自覚してないの?」
「たとえそうだとしても、今度は私が、遊矢を守りたいの。お願い。」
柚子の言いたい事はわかる。分かるけど。でもまぁ、柚子のプレイングを見てないから、実際は遊矢よりもうまいのかもしれない。こうなったら、今は信じるしかなさそうね。
「分かった。じゃあ、アイツらがいる場所分かったら、すぐに知らせて。遊矢と一緒に向かうから。」
「分かった。お願いね。」
そう言って柚子は、沢渡のとり巻き達を追っていった。私は、取りあえず柚子にいわれた通り、アユちゃんと一緒に遊勝塾へと向かっていった。
「ねぇ、霊夢お姉ちゃん。」
「ん、どうしたの?」
遊勝塾への帰り道で、アユちゃんが心配そうな眼で私に聞いてきた。
「柚子お姉ちゃん、大丈夫かな。」
「…今は、連絡が来るのを待つしかないわ。柚子にはあぁ言ったけど、私だって心配だし。」
そう。実際のところ、私も心配なのだ。もしさっき言っていたウィークポイントというのが、本当に私の心配している通りのものだった場合、柚子が危ない。でも、場所も分からないんじゃ、駆けつけようがない。今はとりあえず、この子を連れて、遊勝塾に行くのが先決。ついた時に連絡が来てくれるのがベストだけど、最悪私一人でいくしかないわね。
さて、遊勝塾にもう少しでつくわね。ここまできたら、アユちゃんも――
――ピロリロン、ピロリロン――
っ、かかってきた!
「柚子、見つけた?」
『うん、見つけたわ。港のところにある、52番倉庫ってところに入っていったわ。』
「港ね。分かった、すぐ向かうわ。」
私はそう言って、横にいたアユちゃんにこう言った。
「アユちゃん、後は一人でいけるわね?」
「えっ、霊夢お姉ちゃん?」
「私は先にいって、柚子と合流してるわ。アユちゃんには、遊矢を呼んできてほしいの。お願いできないかな?」
「で、でも、柚子お姉ちゃん、遊矢お兄ちゃんと二人でって。」
「それだと、もし柚子が危ない目にあってたら間に合わなくなるの。お願い、時間がない。」
正直、柚子の性格からして、おそらく待たずに倉庫に入ってる。だとしたら、私が行くまでに確実に、柚子と沢渡のデュエルが始まってる確率が高い。だから、それに間に合わせるためには、ここで私だけでも先に、柚子の下に行かなきゃいけない。お願い、アユちゃん。ホントに時間がないの。
アユちゃんは、しばらく逡巡していたが、やがて私の方を向いてこう言った。
「分かった。でも、無茶はしないでね。絶対遊矢お兄ちゃんを連れて来るから。」
「えぇ、約束するわ。」
私が笑顔でうなずくと、アユちゃんもうなずいて、遊勝塾へと走っていった。
さて、取りあえず人目のない所に行かないと。
私は、近くにあった小道に隠れ、人に見られていない事を確認してから、高高度まで一気に飛翔した。さすがに、この高度まできたら、いくら目の良い人間でも、人に見える事はないでしょう。
私は、大急ぎで柚子のいっていた港の倉庫まで飛んでいった。
◇≡
一方、霊夢が空を飛んで柚子の下へと向かっていた時。舞網市内のとあるスーパーから、一人の少女が出てきた。その少女は、自分と一緒に暮らしている二人の事について、何やらブツブツぼやいていた。
「全くもう。○○様も□□様も、何でも人任せにして。何でお酒まで私が買ってこなきゃいけないんですか。晩御飯の買い出しに行くと言っただけなのに。大体、二人は私に頼り過ぎです。一度家出して見ても――、あら?」
そんな不満を愚痴愚痴言っていた少女は、空を何かが通り過ぎていくのを目撃した。
最初は見間違いかとも思った。だが、空を飛んでいった物に、見覚えがあったのだ。
「あれは、もしかして――」
そう、それは人だった。それも、ただの人ではない。
赤い巫女装束に身を包み、赤いリボンで髪を少し後ろでまとめている、風変わりな少女だった。
少女はこの巫女服の物を知っている。なぜなら、巫女服の者は、少女にとって『向こう』での商売敵の一人であり、また同時に、友達でもあった人物だからである。その名は――
「――霊夢、さん?」
◇≡
「ふぅ、見つけた! あそこね。」
飛び立ってから1分もかからず、私は目的の場所へとやってきた。取りあえず、人目がない事を確認してから効果した。
倉庫の入り口は開け放たれており、中の様子を見る事が出来た。どうやらデュエルをしてるようね。ここで様子を見といた方が――
――ビュオオォォォォ――
「っ、吹雪ですって?」
倉庫の中をうかがおうと、入口に近づいた途端、強烈な吹雪が発生し出した。何とか少し離れて何は逃れたものの、さすがに今のは驚いた。私たちなら、こんなダメージが発生してもおかしくないけど。いったい、中でいったいどんなデュエルが――
「俺は墓地より、『幻影騎士団(ファントムナイツ)シャドーベイル』の効果発動! ダイレクトアタックの宣言時、自身を墓地から、可能な限り特殊召喚出来る。俺の墓地には、3体のシャドーベイルがいる。よって、全て特殊召喚!」
幻影騎士団シャドーベイル(×3)
☆4
闇属性,戦士族
DEF 300
「チッ、墓地から魔法だと? だが、所詮その場しのぎの壁を出してきただけだ。行け、『凍氷帝メビウス』よ! シャドーベイルを攻撃!! 『インペリアル・チャージ』!!」
――そこででデュエルしていたのは沢渡と、何かよくわからない黒と紫のつんつんはねの髪で、ボロボロのマントとスカーフを纏った男だった。なぜあの二人がデュエルすることになってるのかは分からないけれど、どうやら様子から見て、柚子を助けるために出てきた感じかしら。というかあの男、やけに声がくぐもってるけど、もしかして、マスクかなんかでも付けてんの? 何のために?
にしても沢渡、今度は【帝】デッキ?! まぁ確かに、遊矢の方にはあのデッキは効果絶大だけど、まさか、ウィークポイントを攻めるってそういう事?! 心配した私が損した。
ただ、一つ引っかかるわね。何で攻撃や効果が実体化してるの? 沢渡や柚子は、そんな力持ってないはずだから、可能性としては、あの黒服つんつんの可能性が高いけど。
にしてもあの後ろ姿、どっかで見たことあんのよねぇ。それもごく最近。しかも、デュエルしてたところも見覚えがある。何でかしら?
私が、考えても意味のない事で悩んでいると、倉庫の中から、こんな声が聞こえた。
「もう少し歯応えがあるものだと思っていたが、貴様の攻撃からは、刃のような鋭さも、弾丸のような威力も感じられない――かけらほどもな。」
私はこの発言が聞こえた時、身体がかすかにこわばった。やっぱり、こいつのせいで、デュエル中のカードの効果とかが実体化してるの? だとしたら、沢渡や柚子が――
「俺は、レベル4の『幻影騎士団シャドーベイル』2体で、オーバーレイ!! 漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う反逆の牙!! 今降臨せよ!! エクシーズ召喚!! 現れよ、ランク4!!『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』!!」
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
★4
闇属性,ドラゴン族/エクシーズ/効果
ATK 2500
ORU 2つ
――なっ、ダーク・リベリオンですって?! まさかあの黒服つんつん、『エクシーズ次元』の遊矢?!
まぁ、だとしたら見た事あるのも納得できるし、柚子を助けたのにも納得がいく。遊矢が確か、柚子は幼馴染だって遊勝塾で教えてくれたし。きっと、『エクシーズ次元』にいた柚子に似た子と間違えたのね。紫が、遊矢や柚子に似た子が、4つの次元にいるって言ってたし、一目ぼれで助けたって訳じゃないでしょう。
どうしよう、ここで接触しておけば、後で何ならかのコンタクトはとれるだろうけど。というより、あのデュエル放置してたらマズい。ダーク・リベリオンがこんな所で攻撃したら、いったいどんな被害が出るか。止めないと!!
中に入ると、ダーク・リベリオンが『凍氷帝メビウス』に対して効果を使った後、装備魔法『エクシーズ・ユニット』を装備して攻撃力を上昇。そしてそのまま、『凍氷帝メビウス』に攻撃を仕掛けようとしているところだった。
「くっ、お願いだから間に合ってよ!!」
もう止める事は出来ない、だったらせめて――、っ、お願い!!
「間に合えぇ!!」
◇≡
黒マスクの男
LP 4000
手札 無し
場
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン(ORU無し、『エクシーズ・ユニット』装備)
ATK 4700
エクシーズ・ユニット
Pゾーン、伏せ 共に無し
沢渡シンゴ
LP 4000
手札 1枚
場
凍氷帝メビウス
ATK 1400
Pゾーン、伏せ 共に無し
――なんだよ、これ。
こんなの、俺の計算の中にないぞ!!
くそ、あの騎士(ナイト)気取りめ、まさかエクシーズ使いだったのかよ。昨日のシンクロ使い、博麗霊夢と言い、こいつと言い、何で皆計算外の事ばかりしてくるんだ!!
「バトルだ! 『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』で、『凍氷帝メビウス』を攻撃!! その牙で、氷河を砕け!! 『反逆のライトニング・ディスオベイ』!!」
ヤツの場のダーク・リベリオンが、俺の『凍氷帝メビウス』に向かって突撃してきた。あれが通れば、俺は確実に大幅にライフポイントを削られる!! 次のターンが来ても、アイツの攻撃力はあのまま。また負けるのか、俺は。
「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――」
そして、ダーク・リベリオンの牙がメビウスを貫き、破壊されて、爆風が起こった。俺は、それふっ飛ば――
「――ぁぁ、あれ? いったい、何が?」
――される事はなかった。なぜなら――
『グオォォォォォ!!』
『グアァァァァァ!!』
「っ、お前らは!」
――2体の白い竜、『閃珖竜スターダスト』が、俺を、俺達を守っていてくれたからだった。
◇≡
ふぅ、危なかったぁ。
間一髪、沢渡達を戦闘による爆風から護る事に、「私達」は成功した。
「ふぅ、危ないところでしたね。」
そう言って、私の方に近づいてきたのは、幻想郷にいると思っていた『東風谷早苗(こちやさなえ)』だった。格好も何か、如何にもここの人、みたいなラフな格好になっており、何でここにこの子がいるのかも気になるけど、今は置いておきましょう。私が『閃珖竜スターダスト』を出すより先に、早苗が外から『スターダスト・ドラゴン』を召喚し、先に沢渡達をかばってもらって爆風から覆い隠し、その間に、私も自分のスターダストを実体化。『波動音壁(ソニック・バリア)』を張ってもらい、爆風から彼らを完全にシャットアウトしてもらったのだった。
因みに、私達は自身で結界を張って、何とか守った。早苗はちゃっかり柚子達も守ったようで、さっき柚子にお礼を言われていたのがちらっと見えた。
「サンキュー、助かったわよ早苗。」
「いえいえ、買い物の途中で、偶然霊夢さんを見かけたので、後をつけたんですよ。そしたら、霊夢さんがすごい顔で中に入っていったので。」
「気になって手助けしたと。なるほどね。ていうか、何でアンタいるのよ。守矢神社はどうしたの?」
そう、この子は本来、守矢神社の風祝(かぜはふり)で、そこの巫女もしている。何でここにこの子がいるのかが、私は疑問で仕方なかったのだ。
すると、早苗は珍しく言葉を濁した。
「あっ、ええっとですねぇ、それはぁ、そのぉ。」
「何よ、歯切れが悪いわね。ごまかすようなら問答無用で『夢想封印』くらわすけど。」
「わ、分かりました!! あとで言いますから!! それよりもまず、この状況を解決しましょうよ。」
「そらしたわね。まぁいいわ。たしかに、こっちの方が面倒そうだしね。」
珍しく早苗が正論を言ったのには、少し驚いたものの表には出なかった。私達は、それぞれのスターダストのカードをディスクから外し、白く輝くそれぞれの相棒を引っこめ、状況が飲み込めていない沢渡達の下へと向かった。
「大丈夫、沢渡。怪我はない?」
「博麗、霊夢? な、何故お前がここに?! いや、それよりも、さっきのスターダストは何だ?!」
「何でって、柚子がここの場所を教えてくれたからよ。それと、あのスターダスト達は、これを使って実体化させた奴らよ。」
「デュエルディスクで? そんな事が――」
「出来るのよ。私や、この子みたいな子はね。」
そう言って、沢渡との会話を無理やり切った。これ以上この事を、この事を離すわけにはいかないわ。私は、早苗と共に、黒服つんつんこと、『エクシーズ次元』の遊矢――ここでは仮に、黒い遊矢だから『黒遊矢』と読んでおきましょうか――の方へと向き直った。
「それにしても、一般人に向かって『ダメージの実体化』とか、正気の沙汰じゃないでしょ? 何考えてんのよ?! 危うくアンタ、怪我人ところだったかもしれないのよ! 分かってんの?!」
「……。」
「…、黙ってないで、何とか言ったらどうなのよ!! 霊符『夢想――」
「霊夢さん!! 駄目です!! それじゃ、あいつと同じです!!」
「っ、早苗…。」
「落ち着いて下さい、霊夢さん。それで本当に怪我人が出たら、シャレになりません。」
「…分かったわよ。」
確かに、こんな所で面倒事を起こすなんてごめんだわ。でも、こいつは許せない。何の力も持たない、楽しいデュエルしか知らなさそうな決闘者に向かって、あんな力を使うなんて。
黒遊矢は、デュエルディスクの電源を落とさず、沢渡に近づこうとした。その間に、私が割って入りこんだ。もしまだ沢渡に手出しをしようものなら、さすがの私でも見過ごせない。幻想郷で異変を解決してきて、デュエルモンスターズの精霊たちによる異変で、こんな風景を幾度となく見てきた私にとって、これは見過ごせる事じゃない。黒遊矢は私を見ると、短くこう言った。
「…どけ。」
「いやよ。」
「どけと言っている。」
「嫌だっつってんでしょ。」
そのまま、そいつと私は睨み合いに入った。早苗が、心配そうな眼で私達を見守る中、一人の声が、沈黙を破った。沢渡だった。
「博麗霊夢、そいつのいう通りだ、どけ。まだ、デュエルは続いてるんだ。」
「沢渡…。」
「コイツが、やばそうだっていうのはわかる。けどな、俺だって決闘者なんだ。デュエルの邪魔をするのは、俺のプライドにかけて絶対に許さない!」
「…、分かった。」
私はそう言って、黒遊矢の前からどいた。黒遊矢は、沢渡の前まで来るとこんな事を聞いていた。
「このバッチは、『LDS』のものか?」
「あぁ、そうだが。」
「なら、『アカデミア』との関係は? 誰が関わっている?」
なるほど、こいつが沢渡に挑んだのは、単なる情報収集のためか。それでもこれはやり過ぎでしょ、いくら何でも。普通の一般人にやる事じゃない。あまりにも無茶苦茶すぎる。
で、さっきの黒遊矢の質問、沢渡が答えられるわけもなく、黒遊矢は「もうここに用はない」と言って出ていこうとしたが、沢渡がそれを許すはずもなく、伏せてあった罠カード『アイス・レイジ・バーン』を発動させた。だけど、黒遊矢は墓地からさらに、魔法カード『幻影死槍(ファントム・デス・スピア)』を発動。沢渡の発動したカードを無効にして、100ポイントのダメージを与え、デュエルは、黒遊矢が一方的にデュエルディスクの電源を落としたため無効となり、アイツは、柚子を連れてその場を去ろうとしていた。
沢渡が何か喚いてはいるが、正直あいつからすれば、情報が得られなかった段階で用済みなのだろう。だから、この場にとどまらず、さっさと去りたいんでしょうね。まぁ私にとっては、アイツは『エクシーズ次元』の実態を知るのにちょうどいい存在。ここでみすみす逃すわけにはいかない。それに、さっきのダメージ実体化の事についても、きついお仕置きを加えてやらないと。
だが、私が動き出す前に、黒遊矢の前に立ちふさがる者がいた。早苗だった。
「何のつもりだ。」
「残念ですが、あなたをこのまま返すわけにはいきません。」
「悪いが、君に構っている暇はない。どいてくれ。」
「いいえ、どきません。どうしてもどかせたいなら――」
そう言って早苗は、腰のホルダーからデュエルディスクを引っ張りだし、左腕に装着してかまえたまま、こう言い放った。
「私を、デュエルで倒してからにして下さい!!」
どうも、お疲れ様です。いかがだったでしょうか。
いやぁ、安定の出落ち。伏せ字にしてましたけど、前書きの事もあって、皆さん気付いたんじゃないですか、普通に。
だって守矢一家って、全員キャラ濃いですし。話し方も特徴的だし、3人のカップリングで、様付けが二人出て来るのとか、守矢か八雲家のどっちかかって思いますもん。おまけにあっちだと、動かないでグータラしてるのは上だけだし。正直、伏せただけ無駄だった気もします。
因みに、守矢一家は今後も色んな形で出てきます。特に早苗は。あと、早苗さんの年齢ですが、何か二次設定とかだとよく高校生ってことになってるんですけど、この小説に限っては、霊夢達と同い年という事でいかせてもらいます。早苗ファンの中には言いたい事がある方もいらっしゃるかもしれませんが、取りあえずそういう事にしといて下さい。じゃないと霊夢が早苗をさん付けで呼ばなきゃならなくなっちゃう状況が出ちゃいますから。ご理解の程、お願いします!!
霊夢さんが何か今回、妙に熱かったですね(主に遊矢のことで)。柊ファミリーが何か話してましたが、フフッ、さて、どうでしょうね。
そして安定の沢渡。今回ほとんど話さなかったけど、根はたぶんああいう感じなんだと思います。どんな手を使ってもといっても、ウィークポイントを攻めると言っても、やっぱりそれはデュエル上の行為を逸脱しない範疇での事だと僕は思っています。まぁカードはとりましたけどね。多分、遊矢達の影響じゃないかな。
そして現れた、黒遊矢ことユートくん。アニメではもう出番はないのかな? 出来ればユートと遊矢が共闘してデュエルしてるところが見たいよ、俺は。ついでに遊矢ファミリーVS赤馬零王何ていうのも見てみたいかな。まぁその前にユーリをこっちに引き込まなきゃいけないし、あのヤンキーを説得しなきゃいけないしと、壁は多そうですけどね。
因みに地の分とかだけで分かりにくかったかもしれませんが、今回出てきたカード達は全てOCG準拠のカード効果を持っています。だからダーク・リベリオンが効果を使って『エクシーズ・ユニット』を装備した割には、攻撃力がそんなに上昇していないという訳です。
後、『エクシーズ・ユニット』はどっから引っ張り出したかというと、ユートがアニメだと、最後のターンに引いたカード使ってないんですよね。おまけに引いたカードの表面が見えなかったし。じゃああれをそれにしようという事にしたんです。どう考えても攻撃力の上昇値が足りなくて、どうしようかなと思って考えた苦肉の策です。ご理解下さい。
そして、まさかの一般の面前で実体化させたスターダスト達の夢の競演!! 『スターダスト・ドラゴン』の方は、作中で言っていた通り、早苗のやつです。霊夢が閃珖竜だし、じゃあ同じ巫女に使わせようという事で、彼女が使っています。
さらに、ユートを前にしても一切ビビらない巫女たち。さすがは数々の異変をくぐりぬけてきた、歴戦の猛者達です。これぐらいの威圧ではひるみません!!
さて次回、第9回ですね。フフ、何かありそうですねぇ。
いずれわかるさ、いずれな(ドヤッ
それでは、次回もどうぞ、お楽しみに!!
遊矢&霊夢「「お楽しみは、これからだ(これからよ)!!」」