遊戯王ARC-V -エンタメデュエリストと紅白の巫女-   作:坂本コウヤ

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チルノ「フフン、作者が出て来ると思った? 残念、チルノでしたー!!」

大妖精「チ、チルノちゃん。今の何?(か、可愛い。)」

チルノ「ん、何って、前振りだよ。かっこいいでしょー?」

大妖精「(か、かっこいい? 可愛かったような気が。)」

チルノ「という訳で、この前書きコーナーはアタイ達が、乗っ取t――」


???「きゅっとして、ドカーン!!」


――デデーン――


大妖精「チ、チルノちゃ~~ん!!」

ふぅ、危ない危ない。危うくホントに乗っ取られるところだった。フラン、サンキューな。


フラン「フフフ、また壊してほしいものがあったら言ってね。それじゃ!!」

おう。んじゃ、第9話、始めますか。


大妖精「は、はい…。」



んじゃま、今回は前回の続き、早苗VS黒遊矢ことユートのデュエル回です。今回、この小説内初めての説明フラグがたちます。さぁいったいどっちがたてるんでしょうねぇ。


いずれわかるさ、いずれな(ドヤァ


大妖精「作者さん、好きですね、そのネタ。」


いやぁ、最近また久々にあのシーン見てたからさぁ。何となくねじ込みたくなった。


大妖精「もしかして、小説内のあのドラマのネt――」


あーっと、それ以上はネタバレになるからストオォォップ!!


大妖精「は、はい!!」


ふぅ、さいて、3日間も待たせてしまいましたが、それについては後書きで話します。それでは第9話、どうぞ!!


大妖精「楽しんでくださいね!!」






第9話:神風操る風祝! 東風谷早苗!!

先程、沢渡とエクシーズ次元の遊矢、通称黒遊矢とのデュエルがあった場所。そこに、二人の少年少女が向き合っていた。

 

 

一人は、先ほど言っていた黒遊矢。今はもうマスクを外しており、その顔が露わになっていた。

 

なるほど、確かに紫が似てるって言うわけだ。というか、ホントに瓜二つね。上に生えてる髪が、『トマトのヘタ』か、それとも『ナスのヘタ』かの違い以外は。まぁ、恰好が違うっていうのは、一番目がいきやすい場所だけど、それはたぶん、過ごしてきた環境の違いでしょう。だって彼らが住む『エクシーズ次元』は、『融合次元』からの侵略により、ひどく荒れていると聞いてる。そしておそらく、彼はそんな故郷の中で、侵略してきた『融合次元』の人間達と戦ってきたんだ。だからこそ、あれだけ服もボロボロなんだと思う。

 

 

 

で、その黒遊矢と向き合ってるのが、『幻想郷』におけるもう一人の巫女にして、守矢神社の風祝で現人神でもある、東風谷早苗。

 

あの子はまぁ、前の話の最後見てたら分かると思うけど、去ろうとしていた黒遊矢の前に立ち塞がり、出て行きたければ自分を倒してから行けって言って、デュエルをやろうとしていた。まぁ、私もこいつから情報引き出したかったから、ちょうどよかったと言えばそうなんだけど。さすが安定のデュエル脳ね。

 

 

 

因みに、あの状況からどうしてこうなったのかというと、まず、暑かったのかなんか知らないけど、急にマスクをとりだした黒遊矢の顔を見た沢渡が失神、それをとり巻き達が慌てて外に運び出そうとした。その時、入口に私達がいたため、邪魔になっていたので、入口にいた黒遊矢と早苗を、倉庫の中に柚子と二人で強引に引き込んだ。

 

 

 

結果として沢渡達は出ていき、現在ここには、私と早苗、柚子と黒遊矢のみとなっているのである。

 

 

それにしても、こっちの遊矢はやけに遅いわね。何してんのかしら。まさか、アユちゃんに何かあったのかしら。それとも――。

 

 

まぁ遊矢の事はさておき、今はこっちよね。本当は今すぐにでも早苗と交代して、私がデュエルしたいぐらいなんだけど、この子自分がやるって言って聞かないのよね。まぁ、いずれにせよ情報は引き出せるだろうし、別にいいかな。久々にこの子のデュエルもみたいし。

 

 

「準備は良いですか?」

 

 

早苗がデュエルディスクを構えながら、目の前の黒遊矢に最後の確認をとっていた。その目や表情には、何か強い意思が宿っているようにも感じた。

 

だけど確認をとられた当の本人は、まだ何か迷っている感じだった。早苗の気迫に圧されてる訳ではないと思う。おそらく、仲間か誰か、待っているヤツがいるのか、それかもしくは、無益な戦いを望んでいないか。

 

でもどちらにしても、こうなってしまった早苗を動かすのはてこでも難しい。この子強情だし、一旦この状態になったらホント人の話聞かないからなぁ。まぁ人の話聞かないのは元々だけど、それがさらにひどくなる。

 

 

 

「諦めた方がいいわよ。そうなったその子をどかしたいなら、デュエルするしかないわ。まぁ、その子とやらなくても、私とはやってもらうけどね。」

 

 

 

私は未だ迷っている黒遊矢に、圧力をかけつつ助言をした。「そいつとやらなくても、今度は私とやることになるから覚悟しておけ。」という圧力をね。

 

その言葉を聞いて、迷っている暇はないと判断したのか、黒遊矢は左腕のデュエルディスクを前に構えた。その様子を見て、早苗もこわばっていた表情を少し崩した。

 

 

「フッ、ようやく構えてくれましたね。」

 

「…手加減はしない。」

 

 

早苗の言葉に、黒遊矢はそう短く答えた。その言葉に、早苗も力強く頷いていた。

 

 

 

「それは、こちらもです。いきますよ!」

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

かくして、黒い茄子頭の不審者こと黒遊矢と、守矢の風祝兼現人神こと東風谷早苗のデュエルが、ここに幕を開けた。

 

 

 

 

◇≡

 

 

目の前にいる少女の合図により、彼女と俺のデュエルが始まった。

 

 

 

黒遊矢

LP 4000

デッキ枚数 35枚

手札 5枚

場、Pゾーン、伏せ 全て無し

 

 

東風谷早苗

LP 4000

デッキ枚数 35枚

手札 5枚

場、Pゾーン、伏せ 全て無し

 

 

最初の五枚の手札を見る。よし、これなら先程とは違う戦法でいける。おそらく彼女は俺のデッキのカードをほとんど知らない。知られていたとしても、先程のLDSのヤツとの時に使ったカードぐらいだろう。こんな不毛なデュエル、さっさと終わらせる。

 

 

「先攻はお譲りしますよ。」

 

「ならいかせてもらおう。俺は『幻影騎士団(ファントムナイツ)ダスティローブ』を召喚。」

 

 

幻影騎士団ダスティローブ

☆3

闇属性,戦士族/効果

ATK 800

 

 

「さらに、自分フィールド上にレベル3の『幻影騎士団』モンスターが存在するとき、手札の『幻影騎士団サイレントブーツ』を特殊召喚出来る。」

 

 

幻影騎士団サイレントブーツ

☆3

闇属性,戦士族/効果

ATK 200

 

 

「いくぞ。俺は、レベル3のダスティローブと、サイレントブーツで、オーバーレイ! 戦場に倒れし騎士たちの魂よ、今こそ蘇り、闇を切り裂く光となれ!! エクシーズ召喚!! 現れよ、ランク3! 『幻影騎士団ブレイクソード』!!」

 

 

幻影騎士団ブレイクソード

★3

闇属性,戦士族/エクシーズ/効果

ATK 2000

ORU 2つ

 

 

「俺はカードを2枚伏せて、ターンエンド。」

 

 

 

黒遊矢

LP 4000

デッキ枚数 35枚

手札 1枚

 

幻影騎士団ブレイクソード(ORU 2つ)

 

 

Pゾーン 無し

 

伏せ 2枚

 

 

今伏せたカードは、『デモンズ・チェーン』と『幻影剣(ファントム・ソード)』。おそらく相手は、前回のデュエルで俺が『幻影騎士団シャドーベイル』を使っている事を知っている可能性がある。だとすれば、伏せカードにはかなり警戒してくるはず。手を出すことはしてこないはず。だが、油断はできない。何があっても、落ち着いていこう。

 

 

 

 

 

 

◇≡

 

 

「ではいきます。私のターン、ドロー!」

 

 

東風谷早苗

手札 5→6枚

 

 

ん~、この手札ですか。相手の伏せが気になりますが、ここは大胆に行きましょう。墓地発動のカードが仮にあったとしても、私のデッキでは基本的に刺さらないカードなので。

 

 

「私は、手札から魔法カード『ワン・フォー・ワン』を発動!! 手札のモンスターを墓地に送る事で、デッキから、レベル1モンスターを1体、特殊召喚できます! 私は、手札の『ガスタ・グリフ』を墓地に送り、デッキから、レベル1のチューナーモンスター、『ヴァイロン・スフィア』を特殊召喚します!!」

 

 

ヴァイロン・スフィア

☆1

光属性,機械族/チューナー/効果

ATK 400

 

 

「チューナーモンスターだと?!」

 

「? そんなに驚くことですか?」

 

 

エクシーズ召喚を知っているのであれば、そんなに驚くことでもないと思うんですけど。

 

 

「あ~、早苗。いちいちそんなんに反応しなくていいから、さっさと進めなさい。」

 

「は、はい。」

 

 

霊夢さんに言われたので、取りあえず進めましょう。相手を待たせるわけにもいきませんしね。

 

 

「私はここで、手札から墓地に送った『ガスタ・グリフ』の効果を発動します! 『ガスタ・グリフ』は1ターンに1度、自身が手札から墓地へ送られた場合、デッキからガスタモンスターを1体、特殊召喚します!! 私は『ガスタの疾風 リーズ』を特殊召喚!!」

 

 

ガスタの疾風 リーズ

☆5

風属性,サイキック族/効果

ATK 1900

 

 

『ガスタの疾風 リーズ』。これが私のもつ、特別な子の一人。このデュエルに勝つためには、この子の力が必要です。まぁ、当の本人はこんな事言ってますけど。

 

 

『(早苗、私を呼ぶの早くない? もうちょい後で、『あの姿』で呼ばれると思ってたのに。)』

 

 

彼女が言う『あの姿』というのは、おそらく、シンクロ召喚で呼び出す、アレの事でしょう。でも、今回の作戦においては、両方の力が必要になります。

 

 

『(リーズ。今回は、その状態のあなたの力も必要なんです。頼りにしてますよ。)』

 

『(はぁ、めんどくさいわね。けど呼ばれた以上は、ちゃんと働かないとね。)』

 

『(はい。よろしくお願いしますね。)』

 

『(ハイハイ。)』

 

 

もう、相変わらず素直じゃないんですから。そんなリーズは放っておいて、次に進めましょう。

 

 

 

「さらに私は、チューナーモンスター『ガスタ・イグル』を召喚!!」

 

 

ガスタ・イグル

☆1

風属性,鳥獣族/チューナー/効果

ATK 200

 

 

「またチューナーモンスター。」

 

「そして私は、装備魔法『巨大化』を、あなたのフィールドのブレイクソードに装備します!!」

 

「何、ブレイクソードにだと?!」

 

「そんな事をして、いったい何の意味が。」

 

 

フフ、確かに普通に考えれば、この行動は不可解ですよね。霊夢さんだけは気付いているみたいですけど。そう、私のデッキにとって、これには意味があるんです。戦略的に。

 

 

「これで準備は整いました。いきますよ。私は、『ガスタの疾風 リーズ』の効果を発動!! 1ターンに1度、手札を1枚デッキの一番下に戻す事で、自分フィールド上のガスタモンスターと、相手フィールド上のモンスターのコントロールを入れ替えます!」

 

「何だと?! くっ、『巨大化』の装備はそのためか。ならば永続罠『デモンズ・チェーン』を発動!! 相手フィールド上のモンスター1体を選択し、このカードがフィールド上に存在する限り、そのモンスターは攻撃できず、、効果は無効にされる!!」

 

 

『(ぐぅっ、うわぁぁ!?)』

 

「リーズ?! くっ!?」

 

 

リーズが鎖に縛られ、苦悶の表情を浮かべ呻いた。その声を聞いて、かすかに動揺した私ですが、リーズはこちらに、苦しみながらも強い目を向けてきた。『私に構わず続けろ』という事でしょうか。

 

リーズ、ごめんなさい! 後ですぐ解放しますから!!

 

 

 

「なら私は、このままバトルフェイズに入り、『ガスタ・イグル』で、ブレイクソードを攻撃!!」

 

「攻撃力の低いモンスターで、だと?」

 

 

私の場の『ガスタ・イグル』が指示に従い、ブレイクソードに向かって突撃しました。ですが、力の差は歴然で、イグルはブレイクソードに近づく前に、ブレイクソードの剣に斬り裂かれ、消滅しました。

 

 

ガスタ・イグル

ATK 200

 

幻影騎士団ブレイクソード

ATK 2000

 

 

東風谷早苗

LP 4000-(2000-200)=2200

 

 

 

「くぅぅ!!」

 

 

っ、なんて衝撃なんですか?! でも、これぐらいで吹き飛ばされて、たまるもんですか!!

 

私は、吹き飛ばされそうになる自分の体を、必死に足に力を入れて踏ん張り、何とか持ちこたえさせました。

 

 

 

「ハァ、ハァ。」

 

「やるな。だが、今の攻撃に何の意味があった。攻撃したことで、お前のライフが大幅に削られただけだぞ。」

 

 

黒髪の少年の発言に、私は思わずニヤリとしました。

 

 

「そうですね。ですが、何の意味もなかったわけじゃないですよ。まず、あなたの場のブレイクソードの攻撃力は、効果により倍になります。」

 

 

幻影騎士団ブレイクソード

ATK 2000→4000

 

 

「そして、私にも意味があります!! 私は、破壊された『ガスタ・イグル』の効果発動!! このカードが戦闘で破壊された時、デッキからチューナー以外の、レベル4以下のガスタモンスター1体を、特殊召喚出来ます!! 私は、『ガスタの巫女 ウィンダ』を特殊召喚!!」

 

 

ガスタの巫女 ウィンダ

☆2

風属性,サイキック族/効果

ATK 1000

 

 

「チッ、リクルーターだったのか。」

 

「なるほど。わざわざあの子を出したのは、デッキからチューナー以外のモンスターを召喚するためだったのね。」

 

 

ん~、霊夢さんの隣にいる、私と同い年くらいの女の子、確か、柊柚子って言いましたか。、それはちょっと違いますね。私は何も、ただシンクロ召喚のために、この子を呼んだわけじゃないですよ。意味はちゃんとあるんです。ちゃんとね。

 

 

『(ウィンダ、今回も頼みましたよ。)』

 

『(任せて下さい。私も、リーズや皆が入れ、ってリーズ?! どうしたのそれ、って、もしかしてそう趣味持ってたの?)』

 

『(んなわけないでしょ。ハァ、ハァ、早苗。なるべく早くして。そろそろ限界。苦しくなってきた。)』

 

『(分かってますよリーズ。すぐ解放しますから、待ってて下さい!!)』

 

 

私は、リーズにそう呼びかけた後、さっきから蚊帳の外だった『ヴァイロン・スフィア』に頷き、それに『ヴァイロン・スフィア』は、各部の部分を明滅させることで答えた。

 

 

 

「これで、本当に全ての準備は整いました!! 私はメインフェイズ2に移行し、レベル5の『ガスタの疾風 リーズ』に、レベル1の『ヴァイロン・スフィア』をチューニング!! 集いし希望の光よ、今こそ清らなる願いに応え、疾風の生命(いのち)に、聖なる力を与えたまえ!! シンクロ召喚!! 覚醒せよ、レベル6!! 全ての穢れ弾く浄化の戦士、『ダイガスタ・スフィアード』!!」

 

 

 

ダイガスタ・スフィアード

☆6

風属性,サイキック族/シンクロ/効果

ATK 2000

 

 

 

『(ふぅ、やっと解放されたわ。というか、やっぱこっちの方が落ち着くわね。これで思いっきり戦える!!)』

 

『(すみません、解放するのが遅くなってしまって。)』

 

『(別にいいわよ。というか、こっからが本番でしょ、早苗。)』

 

『(はい!! いきますよ!!)』

 

 

私は、スフィアードへと姿を変えたリーズともう一度頷き合い、最後の仕上げに入った。

 

 

「『ダイガスタ・スフィアード』の効果発動です!! このモンスターのシンクロ召喚に成功した時、墓地のガスタカードを1枚、手札に加えることができます。それにチェーンして、『ヴァイロン・スフィア』の効果も発動します!!『ヴァイロン・スフィア』がモンスターカードゾーン上から墓地へ送られた時、ライフを500ポイント払う事で、装備カードとして、自分フィールド上のカードに装備できます。『ダイガスタ・スフィアード』に装備します!! そして、スフィアードの効果で、再び『ガスタ・イグル』を手札に加えます。最後に私は、カードを1枚伏せ、ターンエンドです!!」

 

 

東風谷早苗

LP 2200-500=1700

デッキ枚数 32枚

手札 1枚

 

ガスタの巫女 ウィンダ

ダイガスタ・スフィアード

 

巨大化(装備対象:幻影騎士団ブレイクソード)

ヴァイロン・スフィア(装備対象:ダイガスタ・スフィアード)

 

 

Pゾーン 無し

 

伏せ 1枚

 

 

 

 

◇≡

 

 

 

 

「うわー、初見でこれはキツいわねー。」

 

 

 

 

私は、目の前で行われているデュエル、正確には、その中での早苗の動きを見ていた。

 

 

というかあの子、相手が初見だからって随分めんどくさい戦法とるわね。普通こんな回りくどいことしないでしょ。いや、【ガスタ】デッキ触ったことないからわからないけど。

 

 

つーかまず、エースの『ダイガスタ・スフィアード』立てとけば、後は何とかなるでしょ。相手のエースはダーク・リベリオンなんだから、突っ込んできたら勝手に自滅してくれるんだし(ライフ的に)。まぁ削りきれはしないだろうけど、返しのターンでどうにかなるでしょう、普通。

 

とまぁ、そういう事を悶々と考えてると、横から柚子に呼びかけられた。

 

 

「ねぇ、霊夢。」

 

「ん、何よ、柚子。」

 

「さっきからあの女の子見てるけど、もしかして、霊夢の知り合い?」

 

 

あ~、見てたのばれてたか。でも、あれだけガン見してたらばれるわよね。

 

 

「あ~、、知り合いっていうか、昔の腐れ縁。こっちに来て初めてデュエルした奴で、名前は東風谷早苗。『東』の『風』に『谷』って書いて『東風谷』。あんな字書かれて、初めは読めなかったわよ。だからこそ印象がきついんだけど。」

 

 

早苗の名前に関すること以外は、全部嘘である。アイツは『幻想郷』で初めてデュエルモンスターズというものをした奴であり、いわゆる幻想郷におけるデュエルモンスターズの『開拓者』と言ってもいい。外の世界でやってたアニメで見た、『不動遊星』とかいうヤツにあこがれて、シンクロデッキを使い始めたらしく、『スターダスト・ドラゴン』も、その彼の切り札だという事で入れてるそうだ。まぁ見ての通り、デッキは風祝の彼女らしい、【ガスタ】を使ってるんだけどね。

 

 

「そう、なんだ。シンクロ使いってことは、あの子、LDSかな?」

 

「い~や。たぶん違うと思う。あそこの家、この子に対して過保護なところあるみたいだから。今はどうか知らないけど。独学で覚えたか、誰かに教えてもらった可能性が高いわね。」

 

 

これも嘘。仮に後半の誰かに教えてもらったとしたら、それはおそらく、画面越しだが『不動遊星』という事になるんだろうな。分からないけど。まぁ、あの2神が過保護なのは本当だけど。

 

 

「へぇ~。霊夢以外にも、そういう人いるのね。でも、どうして『巨大化』をあのままにしたり、せっかく呼び出した『ガスタの巫女 ウィンダ』をシンクロに使わなかったのかな?」

 

「あ~、それね。初見ならそう思うわ。これにはちゃんと、意味があるのよ。今さっき呼び出した、『ダイガスタ・スフィアード』の効果を使うためにね。」

 

「『ダイガスタ・スフィアード』の、効果? それっていったい―」

 

「見てたら分かるわ。」

 

 

そう、これは実際に見てみた方がいい。これこそが、『ダイガスタ・スフィアード』がガスタモンスターの切り札たる所以なんだから。

 

 

 

そんな話をしている内に、黒遊矢のターンが始まっていた。

 

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 

黒遊矢

手札 1→2枚

 

 

引いたカードと手札を見比べた後、黒遊矢は早苗に対し、静かに語りかけた。

 

 

 

「さっきのターンの攻撃、何の意味があったのかは分からない。だが、君では俺に勝てない。ブレイクソードを奪えなかった時点で、君の負けは確定している。これ以上のデュエルに、意味はない。」

 

「……。」

 

 

早苗はそう言われ、しばらく目を閉じて黙り込んだ。まぁこう言われたら、普通はきついけど、この子の場合、それは逆に自分の策に見事に嵌まってくれてるって言うのを暗に示しちゃってるのよね。事実、早苗少し笑ってるし。普通に見たらわからない程度だけど、若干肩震えてんのよね。アレ、絶対笑いこらえてる。

 

 

しばしの沈黙が去り、早苗が顔を上げた。それも、笑顔で。やっぱり笑ってたわね、この子。

 

 

「フフフ、何言ってるんですか。まだ私には、ライフが残ってます。」

 

「…、だからなんだ。今のこの状況、どうひっくり返っても、俺がブレイクソードで君のウィンダを攻撃すれば、それで終わる。俺はこれ以上、無関係な人を傷つけたくは――」

 

「そうですね。この状況、どう考えても、私の方が不利ですよね。でも。」

 

 

そこまで言って一旦言葉を止め、早苗は黒遊矢に微笑みながら言葉をつづけた。

 

 

 

「この状況で、逆転できるかもしれない。だからこそ、諦めたくないんです。」

 

 

 

いや早苗、アンタのそれ、逆転じゃなくてカウンターフィニッシュだし、しかも特大ワンキル級の。ていうか、これ相手をあおってるわね。たぶん、相手が止めかかってるからだろうけど。

 

 

因みに、それを聞いた黒遊矢の反応はというと、その目に悲しみの色を浮かべてはいたものの、闘志自体は消えていないようだった。

 

 

そして、一度目を閉じて、もう一度目を開いてから早苗に目を向け、ディスクを構えなおした。どうやら続けてはくれるみたいね。

 

 

 

「ならば、その身を持って知るといい。逆転の奇跡などこの状況では万に一つもないという事を。俺は永続罠、『幻影剣』を発動。このカードは、自分フィールド上の『幻影騎士団』モンスター1体の攻撃力を800ポイント上げることができる。俺は、『幻影騎士団ブレイクソード』の攻撃力を、800ポイント上げる。」

 

 

幻影騎士団ブレイクソード

ATK 4000+800=4800

 

 

奇跡、ねぇ。それを『操る』事の出来る子の前で、それを言ってもねぇ。というかこいつ、自分から首しめに言ったわね。あ~あ、どうなっても知らないわよ。

 

 

「バトルだ。『幻影騎士団ブレイクソード』で、『ガスタの巫女 ウィンダ』を攻撃!」

 

 

黒馬に跨ったブレイクソードが、その剣を振りかざしながら、緑髪のポニーテールの少女に斬りかかっていった。

 

 

 

その場面を見ながら、早苗の顔がにやりとした。いや、これはもう待ってましたと言わんばかりの笑みね。

 

 

「それを待ってましたよ!! リバースカード、オープン!! 『収縮』!!」

 

「何? このタイミングで?」

 

 

発動されたリバースカードに、黒遊矢は少し驚いていた。一方私の隣にいる柚子は、「そうか!!」と言って手を叩いていた。まぁ間違ってるだろうけど、一応聞いておこうかしら。

 

 

「何が分かったの、柚子。」

 

「霊夢、早苗って子、『収縮』を使ってブレイクソードの攻撃力を下げて、ダメージを減らす気なのよ!!」

 

「って考えるのは素人ね。」

 

「えっ?」

 

「ハァ。柚子、私が、早苗の戦法をとったのかの話をした時、なんて言ったか覚えてる?」

 

「え~と、確か、『ダイガスタ・スフィアード』の効果がどうとかって。」

 

「そう。さっきのだと全く使ってないじゃない。」

 

「でも、『収縮』を使うなら、普通開いて相手に使わない? だって、元々の攻撃力の半分にできるんだし。」

 

「あの子のデッキの場合、というより、この状況の場合は別なのよ。まぁ見てなさい。すぐわかるから。」

 

 

私がそういうと、柚子はそれ以上何もいわず、ただ黙って見ていた。その場では、未だ二人のデュエルが進行していた。

 

 

「『収縮』の効果を使って、私は、ウィンダの元々の攻撃力を、半分にします!!」

 

「何だと?!」

 

「えぇ、ウィンダを?!」

 

 

ガスタの巫女 ウィンダ

ATK 1000→500

 

 

 

『収縮』によって小さくなったウィンダだったが、ブレイクソードの正確無比な斬撃が、彼女の体を引き裂き、消滅させた。

 

 

 

私を除いた二人が、驚愕の声を上げた。まぁ、何度もいうようでしつこいけど、初見で相手カードの効果確認しようとしない奴らには、このコンボはめちゃくちゃ刺さる。

 

 

黒遊矢は、早苗の今のカードの発動に戸惑いを隠せないようで、声にも動揺が現れていた。

 

 

「待て!! そんな事したら、4300ものダメージが自分に来るんだぞ!! 分かってるのか?!」

 

「はい!! そしてこの瞬間、私の勝ちが決まりました!!」

 

「な、何を言っている?! 君のライフはもう、ブレイクソードの攻撃で耐えられるほど残っていない!!」

 

「誰が『私がダメージを受ける』と言ったんですか? 受けるのはあなたです!!『ダイガスタ・スフィアード』がフィールド上で表側表示で存在する限り、自分フィールド上のガスタモンスターとの戦闘で発生する自分へのダメージは、代わりに相手が受けるんです!!」

 

「何ですって?!」

 

 

いや、柚子。そんなに驚く事じゃないわよ。まぁ、反射ダメージ持ちのモンスターが珍しいっていうのは分かるけど。確か効果モンスターだったら、『アマゾネスの剣士』位しか、私も知らないし。

 

でも、だからこそこれが、初見で効果読まないやつには無理ゲーって言った本当の理由。だってこれ、相手の攻撃力が高い、ならあげて対抗しよう、じゃなくて、『下げてそっくりそのまま返してやろう』ってやつだもん。普通予想しないって。ていうかあの黒遊矢、『幻影剣』を使わなかったら、何とかギリちょんライフ残って、ってあっ、そっか。『巨大化』ついてるから攻撃力半分になるのか。だとしたら、どっちにせよ返しのターンで終わってたわね。早苗がバックの伏せ残すとは思えないし。どちらにせよ、前のターンでスフィアード出されてた段階で、こいつ積んでたわね。

 

事実、どうしようもできないのか、黒遊矢はただただ呆然となって、早苗を見ていた。

 

ようやく口を開いて出た言葉も、完全に乾ききった、どこかかすれた声だった。

 

 

「…最初から、これを狙ってたのか。ブレイクソードのコントロールがどうなろうと、結局、このモンスターがいたから。」

 

「そういう事です! スフィアード!! ウィンダの痛み、そして、先程の彼の痛みも含めて、全て相手に返して下さい!! 『リフレクト・ツイスター』」

 

『(ウィンダ、あなたの痛み、無駄にはしない!! 食らいなさい!!)』

 

 

『ダイガスタ・スフィアード』が、辺りに舞っていたウィンダの消えた時に出た光を風と共に杖に集め、それを竜巻状にして黒遊矢に放った。黒遊矢は、その激しい風に耐えきることができず、吹き飛ばされてしまった。

 

 

幻影騎士団ブレイクソード

ATK 4800

 

ガスタの巫女 ウィンダ

ATK 500

 

 

黒遊矢

LP 4000-(4800-500)=-300

 

 

 

「くぅ、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 

 

吹き飛ばされてしまった黒遊矢は、そのまま地面に激突し、地に伏した。

 

 

winner 東風谷早苗

 

 

 

 

 

◇≡

 

 

 

 

「ふぅ、私の勝ち、ですね。」

 

 

思い描いていた通りに勝てたからか、早苗がご満悦そうな顔でそう言っていた。

 

私はとりあえず、場の空気的にはずれた発言をしている早苗を諫めた。

 

 

「早苗、それはどうでもいいから。取りあえずこっちを何とかしないと。」

 

「霊夢さん。そうですね。もとはと言えば、私が引きとめたんですし。」

 

 

私と早苗は、同時に黒遊矢を見た。黒遊矢の方には柚子が駆け寄っており、すでに抱え起こしていて、柚子に片を借りて立っていた。かと思ったら、強がっているのか、立った途端に柚子から離れ、しっかりと地面を踏みしめていた。さすがは『エクシーズ次元』の人間ってことかしら。

 

私は、立ちあがった黒遊矢のところまで近づいて、話しかけようとして、異変に気付いた。

 

何と、いきなり何の前触れもなく、柚子の腕輪が光り出したのだ。

 

 

「っ、何?!」

 

「ま、眩しいです!!」

 

「な、何が起こってるの?!」

 

 

どうやら、当の柚子本人にも理解できていないことのようである。というか、何の前触れもなく腕輪が光るとかってあるの?!

 

 

そして、急に光ったと思った腕輪は、その光を急速に縮ませていき、消えたころには、あの黒遊矢の姿もなかった。

 

 

「えっ、アイツは?!」

 

「どういう…、ことですか…。」

 

「へっ、ゆ、遊矢に似た、彼は? どこに行ったの?!」

 

「こっちが訊きたいわよ!! くそ、いったいどこに、ん?」

 

 

その時私は、柚子の近くにある空間に少し違和感を感じた。

 

あれ、この感じ…。スキマ、じゃない。でも、この感じ、転移系の何かを使った時に、かすかに感じるものに似てる。いったいこれは――

 

 

「ん、霊夢さん? どうしたんです、そんな顔しt――」

 

 

早苗が何か口を開いて、私に尋ねようとしてきたその時――

 

 

 

 

「柚子ーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

「っ、遊矢?!」

 

 

倉庫の扉から、遊矢が猛ダッシュで入ってきた。倉庫内に着いた遊矢は息を切らしており、おそらく、遊勝塾からここまで全速力で走ってきたのだろうことをうかがわせる。でも、全速力で走ったにしては、やけに遅かったわね。

 

 

「遅かったじゃない、遊矢!! 何してたのよ?!」

 

 

私は、倉庫内で未だ息を整えている遊矢に向かって怒鳴った。すると、遊矢は息を整えながら、こう返してきた。

 

 

「ハァ、ハァ、いや、何って…。急にさ、ここに、向かってる途中で、蛙操ってた、変な女の子に、絡まれちゃって。」

 

「…、ハァァァァア?!」

 

「カ・エ・ルだぁ~?!」

 

 

私は早苗を、柚子は遊矢を同時にすごい形相で見た。遊矢の方はおそらく、ホントにそういう事がたったのだろうから、弁解の余地はあるし、実際それなら遅れた理由もわかる。柚子の怒りを受けるいわれはないけど、今はアイツらの仲裁に入ってる場合じゃないわね。問・題・はこっち!!

 

早苗はすごい目で睨みつけてる私から必死に顔をそらそうとしていたが、あいにく私もそこまで甘くはない。この子がそらそうとする視線に移動して無理やり合わせにいった。

 

視線ではごまかしきれないと判断したのか、早苗は他人事のような事を言い出した。

 

 

「カ、カエルヲアヤツル、デスカ。ス、スゴイデスネー。レイムサンモ、ソウオモイマセンカ?」

 

「早苗、アンタ何でさっきから片言なの? 他人事なら、別に気にしなくてもいいわよね?」

 

「ナ、ナンノコトデショウカ? ワタシ、フダンカラコンナカンジデスヨ?」

 

「……(ピクピクッ)。」

 

 

ここまで来て、まだ嘘をつく気? イライラするわね、着くならもっとうまい嘘つきなさいよ!!

 

さすがにしびれを切らした私は、1枚のスペカを取り出し、速攻で発動させた。このまま追及してもどうせ嘘でごまかして逃げるだけだから、こうなったら速攻で片づける。まさかこの世界で使う最初のスペカがこれになるなんてね。

 

 

「…神霊、『夢想封印 瞬』!!」

 

「へっ、ちょっ、霊夢さん!? そのスペカはちょ、ダメ、あ、アーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

早苗が何か言ったが、私はそんなことは一切無視して怒りにまかせて弾幕を大量にぶつけてやった。慈悲? んなもん最初っからあるわけないでしょ!! こんな奴にくれてやる慈悲なんて雀の、いや、蚊程の涙もないわよ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因みに、それを外野から見ていた遊矢と柚子はというと、

 

 

 

「……柚子。」

 

「…何、遊矢。」

 

「その、ごめんな。さっきは。」

 

「……どうでもいいわよ。それよりも。」

 

「あぁ、分かる。何が言いたいのか。」

 

「そう、じゃあ、今思ってること、せ~ので言いましょ。」

 

「いいよ。せ~の。」

 

 

 

「「霊夢怖ーーーい(怖ええええええええ)!!!」」

 

 

 

 

と言って、金輪際私を怒らせないと誓ったらしい。

 

 

 




どうも、お疲れ様でした。いかがだったでしょうか。


え~、3日間も待たせた末に書き上げた今回の話、満足いただけたでしょうか。


本当はこの話、10話にする予定だったんですよ。それももうちょい増量して。




実は、本来のこの小説の第9話は、『第⑨話』と銘打って、番外編にする予定だったんですよ、チルノ達を主人公にした!!

でも、書いてる途中でどうしても、「これも違う!!」「あれも違う!!」となってしまって、3回ぐらい書きなおしてできたのがこの第9話です。


いや~しかし、予定って本当に狂うもんなんだなぁってつくづく思い知らされましたね、今回は。以後もこういう事があるかもしれませんが、今後ともよろしくお願いします。



初フラグはユート君でしたね。見事に早苗さん、回収(?)してくれましたし。


早苗は【ガスタ】デッキです。正確には純粋な【ガスタ】デッキではないですが、今後の話の中で分かってくると思います。ヒントは、この話の中に隠れてますよ。


霊夢さん、初マジ切れ。遊矢達の前で、とうとうスペカを使っちゃいました。一応倉庫は無事の設定のつもりです。一点集中にしてくれてると思うので。



えっ、蛙操る子って言ったら、あの方しかいないじゃないですか。


さて次回、霊夢が社長と接触する予定。それと、いよいよあの3人が出て来る、ハズ!! 乞うご期待!!



なお、明日はバイトがあるので投稿できません。そこだけはご了承ください。

それでは、次回もお楽しみに!!






遊矢&霊夢「「お楽しみは、これからだ(これからよ)!!」」


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