「オラッ!」
始まるや否や十六夜が先手必勝と飛び込み拳を突き上げる、だが勇儀はゆらりとその拳を避け。
「スピードはまあまあ、だけど振り方が甘いね、どの方向に来るかバレバレだよ」
「助言どうもっと、そっちが攻撃してこないなら畳み掛けて喰らわせるだけだ!」
十六夜が半ばやけくそに拳を振るう、勇儀はニヤリと笑いながらその全てを避ける。
「あの十六夜君が押されてる?まさか…」
「勇儀…まーた遊んでんな…」
外野の声は戦闘中の二人には届かず、十六夜がラストスパートをかけている。
「避けてばっかで!勝てると思うなよ!」
最後の一発を放つ、だが当たることはなく。
「なら私の番だね、さて…死んでくれるなよ?」
勇儀が遂に構える、その構え方、殺気で十六夜が竦む。
「鬼符《怪力乱神》!」
勇儀が思い切り拳を突き出す、十六夜は避ける事を諦め、腕でガードを試す、だがこのルールでは一発もらった時点で敗北、ノックバックを受け倒れこんだ十六夜に。
「あんたはもっと強くなるよ、がんばんな」
勇儀が手を貸す、十六夜は素直に手を取り。
「初めて負けた…ハハっ!ヤハハ!面白ぇ!絶対リベンジしてやるから待っとけ!」
清々しい笑顔で下がった。
「私もやるの?」
「ああ、どうせ俺は出ないし」
はぁ…と橋姫が溜息を吐く、嫌々前に出て、飛鳥と並ぶ。
「水橋パルシィ…ただの妖怪」
「久遠飛鳥、人間よ」
「始め」
二人とも動かない、正確には動けない、飛鳥は相手がどう出るかを見定めるために、パルシィは準備の為に。
「あくまで先手を譲るってこと?なら先に行かせてもらうわ!」
飛鳥が動く、パルシィは準備が終わりスペカを使う。
「恨符《丑の刻参り》」
パルシィが弾幕を放つ、密度は薄く、通常の人間では避けるのもままならない。
「弾幕!?この密度…やってみるしか…!」
ただし飛鳥は何か考えがあるらしく歩みを止める、そして高らかに声を上げる。
「【止まれ】!」
すると弾幕が全て動きを止める、それを見たパルシィは驚き。
「弾幕を止める…妬ましい…勝てないわよ…降参」
人間対妖怪の喧嘩は妖怪二点の人間一点、妖怪の勝ちで終わりを告げた。
「まったく……何をやっているのですか!?」
「面白そうだったんでつい…すいませんでした…」
その後全員が解散し、問題児組と地霊殿組だけが残る、そして鏡也はさとりに説教を喰らっていた。
「あはは…これは怒られるよねー」
「さとり様が怒るのって久々に見ましたね…」
「お姉ちゃんってよっぽどのことがなきゃ怒らなかったからね、彼氏ができて変わったんじゃない?」
お燐、お空、こいしがさらっと言う、こいしのセリフに問題児組が一斉に関心を持った。
「もしかして鏡也とさとりか?」
「そうだよ?知らなかったの?」
「知らないわよ!でも…お似合いね」
「うん、二人でいる時とかすごい楽しそうだった」
こいしの思わぬ一言で、鏡也とさとりを弄るネタを問題児に提供してしまった。
「とりあえず箱庭に行きますよ」
さとりが鏡也を引きずり戻ってくる、その時十六夜達がニヤニヤしていたが、まだその理由がさとりにはわからなかった。