第十九話:休日、鏡の昔話
「暇だな」
ペルセウス戦の後、歓迎会を終えた二日後、鏡也とさとりの部屋にて、ふと鏡也が呟く。それに対しさとりが返す。
「歓迎会が終わってからそればっかりですね…」
「だってよ…そこらのゲームは参加断られるし、奴らじゃ遊び相手にもなんねーし…」
鏡也が深くため息を吐くと、コンコン、とノックの音がする。
「はい?どちら様ですか?」
するとドアの向こうから女の子の声がする。
「春日部です、最近何もないから皆の過去話でもしようと思うんだけど…鏡也達もどう?」
二人が少し考えると、鏡也が思い出したように。
「そうだ、あの話があるな、いいぜ、少し待ってな」
さとりもその言葉を聞き思い出したようだ、ふふ、と笑い二人は部屋を出た。
「お、来たな」
「あら、お燐とお空さんは?」
「二人ならこいしと出かけてるよ、黒ウサギに頼まれて買い出しだってよ」
大広間のようなところで集まり、問題児三人と地霊組の二人が円になり座る。
「それじゃあ誰から話す?」
耀が切り出す、十六夜や飛鳥はネタが無いらしく、それなら、と鏡也が手を挙げる。
「なら俺がここに来る前、五十年程前の昔話をしようか」
それを聞いて十六夜らの三人は興味を示す。
「へぇ、おもしろそうじゃない」
「こりゃ、面白いのが聞けそうだな」
「期待大」
「それじゃあ話そうか、人間だった者の妖怪になってからの起承転結とんでもストーリー」
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幻想郷、忘れ去られたものが集まる地、そこに今瀕死の青年が落ちてきた。
「さて、藍、橙、彼をどうにかするわよ」
(あ?ここは…あいつらは誰だ?……それに…俺は?……確かにあそこで通り魔に刺されて死んだ……はずだ)
「紫さま、なぜこのような事を?」
「愚問ね、おもしろそうだからよ」
こうして八雲家による、改造と言う名の治療が始まった。
そして数十年の時が流れる。
「どう?動ける?」
紫が青年に声をかける、横になっている青年は体を起こし口を開く。
「ほんとに生き返るとはな…礼は言っとく」
それを聞いて紫が笑い出す、それを見て青年は困惑するが、しばし待つと笑いが止み、涙目になりながら言う。
「ふ…ふふ…あー面白い…まさか驚くでもなく悲鳴を上げるでもなくお礼を言われるなんてね…気に入った!貴方、名前は?」
名前を聞かれ、青年が頭を抱える、どうやら記憶が曖昧らしい。
「名前がわからないのね…うーん…そうだ、今から貴方は神泉鏡也よ、自分の名前を思い出すまでその名前を使いなさい、それと…藍!」
名前を呼ばれ、襖を開け藍と呼ばれた女性が入ってくる。
「起きたのですね」
「藍、彼に服と体の説明をしてあげて、私はこれから出かけるから」
かしこまりました、と藍が言うと。
「そうそう、説明を聞いたら幻想郷を回って見なさい、戻ってくる必要はないわ、貴方は自由、好きなようにしなさい」
そう言うとスキマを開き紫が消える、そして藍から服を受け取り着替え、説明を受ける。
「だいたい分かった、俺の体は既に人間じゃない、そして妖怪としての体になったことで妖力がある、そのおかげで俺は能力が使えるようになり、空を飛んだりすることが可能…と」
「そう言う事だ、それで自分の力はだいたいわかるな?」
「ああ、俺の能力は多分…全てを記憶する能力、それと相手の力をコピーできる能力、じゃないかな?」
正解だ、と言うと藍も部屋を出ようとする。
「さあ、行くといい、この地には何かと面白いものが多いから、色々と見てみるといい」
そう言い部屋を出る、それを聞き鏡也は一言つぶやき、マヨヒガを出た。
「んじゃ行こうかね、ありがとな」
そして鏡也もスキマを開き、消えた。