第二十二話:鏡の企み
「ジン、居るか?」
鏡也の声だ、作業をしていたジンも一旦作業を止め、返答しドアを開ける。
「はい、こんな時間に珍しいですね、どうかしましたか?」
「ああ、実は話があってな」
招かれるまま二人が部屋の中へ入っていく。
「それで、は話というのは?」
「ああ、実はな…俺達地霊殿の面々は、コミュニティノーネームを抜けようと思う」
その言葉を聞いてジンが顔を強ばらせる、無理もないだろう、先日まで主力の面々がコミュニティを抜けると言い出せば誰でもこんな表情になる。
「そう…ですか…わかりました…残念です」
「そう凹むなや、もうちょい続くから話を続けるぞ」
「どういうことですか?」
するとドアがノックされる、ジンが対応すると黒ウサギが入ってくる。
「鏡也さん、あのお話のことですが…よろしいのですか?」
あのお話、と言われジンが話を止める。
「黒ウサギ?あの話…って?」
「待て待て、それを今から話そうとしてるんだ、簡単に言えば俺達はコミュニティを抜ける、そしてこの前白夜叉に聞いて知った、同盟って形で俺が新しく作ったコミュニティが支援する、って事だ」
ジンが半分硬直、理解までに時間が掛かる。
「……そう言う事でしたか…それで…ですが何故新しいコミュニティを?」
そこの説明は黒ウサギがすると言って話をする。
「私達はノーネーム、名も旗印もありません、ですが鏡也さんが作るコミュニティは名も旗印も存在します、そうなれば必然的にゲームがしやすくなります、そしてそのゲームの賞品を一部こちらに譲渡してくれる…ということなのですよ」
そこまで説明を聞いて理解しないジンではない、自分達のためにコミュニティを抜け、新たなコミュニティから支援してくれる、それに最初に行っていた同盟と言った形ならば魔王との戦いも問題ないここまで考えてもらって断るわけにも行かない。
「ありがとうございます…僕達の為に」
「勘違いすんな、これはお前達の為じゃない、俺達の為だ」
え?とジンに加え黒ウサギも固まる。
「俺達はここに来る前に地霊殿と呼ばれる城の主だったんだ、正直な所そこからここに来て誰かの下につくのは癪に障る、だったら自分達の居場所を作りそこの主になる…ま、そう言う事だ」
それじゃ、白夜叉んとこ行くわ、新しいコミュニティ作ったら挨拶に来る、と言って部屋を出ていく、それに二人は何も言わず微笑んで送り出した。
「ふふ…照れ隠しにしてはよく考えてありましたね」
「そうだね、挨拶に来る時には何か用意しないとね」
はい!と黒ウサギも部屋を出ていった、そして今の時間が夜の十一時、この後作業を終えジンは書庫に行く、その後あんな事態が起こるなどとは今の二人には想像も付かなかっただろう。