「ジン坊ちゃーん!新しい方々をお連れしましたよー!」
黒ウサギにジンと呼ばれた少年がハッと顔を上げる、外門前の街道から黒ウサギと女性が五人、男性が一人歩いてきた。
「おかえり黒ウサギ、そちらの六人様が?」
「ハイな、こちらの八人様が………」
クルリ、とこちらを振り返り。カチン、と固まる黒ウサギ。
「………え、あれ?もう二人いませんでしたか?ちょっと目つきが悪くてかなり口が悪くていかにも俺問題児!って人と、帽子をかぶったふわふわしたような女の子が…」
「ああ、十六夜君のこと?彼なら『ちょっと世界の果てに行ってくるぜ!」とか言って駆け出していったわよ?」
「こいしもそれについていったぜ」
飛鳥と鏡也があっちの方に、と指を指すのは上空から見えた断崖絶壁、それを聞いた黒ウサギはウサ耳を立てて全員に問いただす。
「な、なんで止めてくれなかったんですか!?」
「『止めてくれるなよ』と言われたから」
「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」
「『黒ウサギには言うなよ』と言われたから」
「嘘です!絶対嘘です!さとりさん達は何故…?」
「こいしが楽しそうだったので、すみません」
さとりしか返事をしない、お燐とお空は動物の姿になり耀に抱えられているためだ。
「あれ?鏡也さんは?」
先ほどまではしっかりここにいたはずの鏡也がいない、辺りを見渡すと先に箱庭へと入ろうとしている鏡也を見つける。
「腹減ったから先行くぞ」
「自分勝手ですか!?」
黒ウサギが鏡也の腕を引っ張り連れ戻す、するとさとりが口を開く。
「幻獣、ですか、危険はそうそう無いと思いますが…こいしは迷子になりそうなので早めに迎えに行ってあげてください」
「はっ!そうでした!ジン坊ちゃん!皆様のご案内をお願いします、私はお二人を連れ戻しに参ります!」
そう言いジンの返答も聞かず髪の色を淡い緋色に染め飛び去って行く、それを見送り、飛鳥が呟く。
「あなたが案内をしてくれるのかしら?」
「あ、はい、コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです、齢十一になったばかりですが、よろしくお願いします、皆様のお名前は?」
「久遠飛鳥よ、そこで猫やら鴉やらを抱えているのが」
「春日部耀、そこの二人は」
「神泉鏡也だ」
「古明地さとりです」
ジンの自己紹介を聞き全員がそれに返す。
「んじゃ、さっさと入ろうぜ、出来れば飯を食いながらでも話しようや」
鏡也が促すと飛鳥がジンの手を取り、胸を踊らせるような笑顔で箱庭の外門をくぐった。