ピクニック隊長と血みどろ特殊部隊   作:ウンバボ族の強襲

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 イェン・ツィー戦決着回です。

 
 









phase32 氷解

「ここで……死にたい?」

 

 

 私が聞いた直後に、オリガちゃんは即答した。

 

 

 

「なくはないですよ。……ここで死んでもいいとは思ってます……覚悟はできてます」

 

 

 だけど、と少しだけ言葉を濁した。

 やがて、決意したかのように……意志の強い目を向ける。

 

 

 

 

 

 

「やられっ放しなんて冗談じゃない……一矢でも二矢でも報いてから死んでやります」

 

 

「……分かった」

 

 

 

 私はアンプルを出して説明する。

 コレが『ブラッド』のP-66用の偏食因子だということ。

 P-66なら感応種相手でも対抗できるということ。

 コレを神機に投与すれば……もしかしたら神機を励起させることができるかもしれない……ということ。

 

 

「でも、ソレはもう……あなたの神機じゃない……この意味分かるよね?」

 

 旧型の旧型、第一世代に第三世代用の偏食因子を突っ込むのだ。

 当然、色々なものが書き換わる――それこそが、神機を動かせるようにする希望でもあるのだけど……同時に『ソレ』はもう、今まで適合していた神機ではなくなるということになる。

 

「だから……少しでも怖いなら辞めた方がいいよ……できる?」

 

 どうなるにしても相当の痛みは伴う、と言外に告げる。

 すオリガちゃんは綺麗に笑った。

 

「問題ありません、適合試験をもう一回やればいいって思えば良いんですから~。元々適合率は高い方じゃありませんし!

 それに、いい加減腹立つんですよ……アラガミにも神機にも。オラクル細胞だか何だか知りませんけど…… 神様気取りで勝手に人を選んだり、選ばなかったり、世界を喰ったり……大概にしろってんですよ……。

 

 

 見せてやりましょう……人の意志と人間の意地を。いい加減にしやがれってね!」

 

 

 

 

「……い、いや……別にそこまで思ってないカナー私……。……うん」

「えー? そーなんですかー?」

「……なんかむしろ……適合してくれてありがとう……みたいな……? ごめんなさい……」

「は~~何か別世界の人みたいですね~。呑気というか、贅沢というか」

「面目ないですぅ……!」

 

 いつもの調子を装って、オリガちゃんが軽く口を叩く。もう自分の立ち位置というかイジラレ位置は弁えているつもりだ。

 ……というかこの場合はド正論だから反論のしようもないのだけど。

 

 

 

「でも、貴女は……それでいいんだと思います」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「シエル! 使え!!」

「……了解!」

 

 ジュリウスがシエルへ自分の残り少ない回復錠を投げた。

 これで残量はゼロになる――だが、そんなことを気にしている場合ではなかった。

 回復錠を噛み砕いたシエルの、大腿部から膝にかけての裂傷がみるみるうちに回復する。

 赤い血だけが鮮やかに太ももに残った。

 

「畜生……どこまで湧くんだよ……こいつらぁ!!」

「……もしかすると感応種に引きつけられている……可能性がある」

「マジで……!? ってことは感応種を討伐しないと……ってことか!?」

「……そうなるな」

 

 煤と泥で顔をまっ黒にしたロミオが歯噛みする。

 周囲のアラガミを全部狩り切るまで終わらない――全く終わりの見えない苦行に絶望さえ感じながら。

 

『キリないよ~~……はぁ……そろそろおでんパン補給しないと死んじゃう~』

「ナナあんまり無理すんなよ!!」

『はいはーい。しないよ~~』

 

 全員声には疲労が滲んでいた。コレ以上の戦闘をいつまで続けられるか……限界が見えてきたところだった。

 ジュリウスは極秘回線――隊長職以上にしか使えない裏回線を経由してオペレーターへと繋ぐ。

 

 

 

「CP。ブラッドー04のビーコン反応が消失したら俺にだけ教えてくれ――副隊長は単騎で救出に行く」

『こちらCP……それは……』

「ブラッドにコレ以上負荷をかける訳にはいかない……だが、一人でも欠けさせる訳にもいかない。あいつは俺が必ず連れて帰る――いいか?」

『……了解しました……』

 

 手は打った。あとは……ただ信じること。

 

 

「ブラッド総員! 戦闘時間残り600秒! この先を一匹たりとも通させるな!!」

 

 バラバラに了解、の声が反響して返ってくる。

 

 

 

 

 

 

『……その意気や良し……ブラッド諸君! 健闘を祈る! 僕は……見たっ……! 命を賭し、死力を尽くし…信じる仲間の背中を守り抜くその騎士の姿勢を! 戦友の背後を守ることこそ騎士の誉れ!! ならこの僕もその志に追従しよう……! 付き合ってくれますなヘルマン殿?』

『……無論だ。元より仲間の背後を支援する遊撃部隊――その為に俺たちは結成されたようなものだ』

『覚悟に揺るぎはない、と見て宜しいかッ!?』

『あぁ……。それに……あの胸は、無くすには、惜しい』

『……大いに結構!! あぁ愛、それは愛……! 変態道、貫けばそれも誠なり……! 

 なるわけなくても何となくそれはそれでアリなんじゃないかと思いますぞヘルマン殿。

 いや……シュルツ卿!! 今僕は騎士の魂をそこに見た! ということにしておく!! ならば我が騎士道を示すは今! そう今!! 

 

 神機使いの闘いは……ただの闘いではない! 

 この絶望の世界に於いてッ! 神機使いは……人々の希望の依代だッ!

 正義が勝つから民は明日を信じ、正義が負けぬから皆前を向いて生きるッ!

 故に騎士は! 絶対に倒れるわけにはいかないのだ!!

 希望である限り、希望がある限り……倒れ伏す訳にはいかないのだぁあああああああ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……だよな、エリック』

 

 

 

 

 

「きょ、協力に感謝する……」

「ドイツ系すげぇ……騎士の国って一体何なんだよ……」

『熱いね~……ブラッドにドイツ系の人居なくて良かったよ~……』

 

「何でしょう私……胸が……あつい……! これが……騎士……の魂……!?」

「正気に戻れシエル。手遅れにならないうちに回線を切るんだ、汚染されるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 喉が引き千切れそうな絶叫。

 神機の配列を一瞬で書き換えるような荒業をやっているのだから当たり前……と、頭で理解していても、つい耳を塞ぎたくなる衝動にかられた。

 でも……これは最後まで聞く。

 たとえどんな結果に終わったとしても。

 

 

「はぁ……はぁ……きっつ……うっ……ぁあああぁああっ……!」

 

 

 むき出しのアーティフィシャルCNS……人工的コアは見えている。

 何かあれば……すぐに狙える。その兆候が見えたら、ソレを撃ち抜く。

 兆候が見えたら……。

 オリガちゃんもそれを分かっているから……どんなに苦しくても、拳銃を頭にしっかり当てている。

 

 

 

「お願い……だから……っ! 言うこと聞いて……聞いて……聞いてっ……!!」

 

 額に脂汗を滲ませながら必死に呼びかけていた。

 

 

「こ、この腐れ神機……いつまでも……いつまでたっても……前の持ち主に固執しやがって……!!」

「オリガちゃん!!」

 

 適合率が安定していない――どんどんどんどん悪い方にばかり思考が回転していく。

 

 怖いとか……罪悪感だとか、自責でさえ……ありとあらゆることが一切考えられなくなる。仲間を手にかけることへの罪の意識も、人を殺してしまうという事に対する拒絶も……追い詰められてどんどんどんどん消えてなくなる。

 

 こんな所でアラガミ2体となんか戦えない――こんな場所で死にたくない、という思いで心がまっ黒に塗りつぶされていく。

 

 

 

 

「オリガちゃん!! しっかりして!! オリガちゃん!!」

 

 

 まるで薄氷の上を渡るかのような感覚――呵責も葛藤も……もう何も考えられなくなりそうだった。

 

 

 

 その時――オリガちゃんが苦し紛れに叫び声を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい加減にしてよ……このクソ神機! 私は私!!」

 

 

 

 

 まるで、――叩き付けるようだった。

 

 

 

「……代用品だとか出来損ないだとか……そんなもん、今までだって散々言われてきた……!適合率もない、強くもない……でも……でも……!」

 

 

 血を吐くような声。苦しみに塗れた声が、絞り出される。

 今までため込んできた――ずっとずっと心の中にしまい込んできたその思いが。

 慟哭と共に。空へと響く。

 

 

 

「……どんなに自分が嫌でも……嫌いでも他の誰かになんかになれない!!

 別の何かに生まれ変われる訳ない……どんなに頑張っても……変えられないことだって……変わらないことだって……もう変えられないことだって!! 沢山……腐る程あった……だけど……!」

 

 

 俯いてたオリガちゃんの顔が、上がる。

 

 

 

 

 

 

 

「そう簡単に自分の人生を『誰かに』取って代わられてたまるもんですか! 私は私!!」 

 

 

 

 神機の中央部、アーティフィシャルCNS。沈黙したままだったソレが、琥珀色の輝きを放った。

 確かに見えた。

 それは、神機が起動する時の合図。

 

 

「消耗品で上等……人類の盾と呼ばれようが何だろうが……もう決めたんだから。

 

 誰かの代わりなんかじゃない!! もう二度と『代わり』にはならないんだって……たとえ死んでも……最後の最後まで! 弱くてダサくて出来損ないの『私』で、足掻ききってやるんだって!! 

 

 

 誰の願いでも希望でもない、自分の……自分自身の意志で!! だからっ!!」

 

 

 そして、神機が浮いた。

 大きな剣が――泥と血だらけの、お世辞にも綺麗とは言えない神機から、黒い触手が伸びて、赤い腕輪へと接続がなされる。

 

 

 

 

「あんたも前に!! 歩き出しなさいっ!!!!」

 

 

 

 

「……オリガちゃん……!」

 

 

 その顔にもう苦痛の色はない。

 負傷による出血、もろもろによって酷く汚れてはいるものの――直感的に理解した。もう大丈夫。

 もう、戦える、と。

 

 肩で息をしながら、オリガちゃんはいつもの笑顔を無理やり作る。

 

 

 

 

「……お待たせしましたっ! 唯さん!!」

「……うん……! うん……! 行くよ!!」

 

 

 あきれ果てたことに……私は安堵していた。

 

 ……でも、今は――今だけは。

 後悔も反省も、後ですればいい……ここを、生き残ってから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 通信回路が開きっぱなしだった。

 恐らく、あの二人の小娘はそのことに気づきもしないだろう。彼女らに余裕がなかったのだろう。

 

 だが、その一連の出来事を……悲鳴も慟哭も絶叫も、アーサーは全部聞いていた。

 大音量が反響し、耳が完全にイカレつつあることを自覚しながらも、アーサーは……呆然としていた。

 

 気づかされたからだ。

 

 他でもない――『彼女』の声で。

 

 

「……オレは…………ずっと……」

 

 

 己の咎を。

 

 

 

 

「あいつを……見てなかった……?」

 

 

 

 オリガはハッキリと言っていた。おそらく……神機に向かって。この世界に向かって。

『私は、私』――だと。

 

 誰だって、一度は世界の不条理を恨んだことはある――アラガミによって何もかも奪われていくことへの不条理を。

 ……そんなものを嘆いても、何の意味もないことを、心の底で分かっていても。

 だが、大抵の人間はソレを理解し……そして、立ち直っていく。諦めや、忘却という形で。

 

 

 自分もそうした。

 

 ……そうしてきた――つもりだった。

 

 

 

 

「……『二度と』失わねえって……何……言ってたんだよ……オレ……」

 

 

 ヘルマンにも再三言われていたのに。

 見たいものを見るな――見るべきものを見誤るな、と。

 

 

 自分を許せなかった。

 オレーシャを死なせてしまった事も、それをまだ受け入れられていないことも。せめて『新型』――アリサからオレーシャの最期を聞いて居れば受け入れられたかもしれない……そして、何よりあの時『新型』を失ってさえいなければ……あんな地獄のような防衛戦を繰り広げなくてよかったのかもしれない、と。

 

 だが、『新型』は自分たちと会うことさえできなかった。

 だから……行くアテのない自責をずっと、抱え込んでいく結果になった――――その、自覚もないままに。

 

 だから、オレーシャの神機を持った、あの時死んだままの年齢と同じくらいの少女を見た時……ほっとした。

 

 

 あぁ、良かった。コレで全部許せる。

 今度こそ守り抜こう、あのとき救えなかったアイツの代わりに――と。

 

 

 

「……何言ってやがったんだよ……オレは……!」

 

 

 

 足りなくなった正規のゴッドイーターの代わりに、捨て駒として神機も適合率も加味されずに徴兵されたアラガミ災の孤児。

 『使い切り』とされ口減らし同然に動員された少年兵――何かの『身代わり』にされて、一番苦しかったのは…………苦しんでいたのは…………――。

 

 

 それに、気づいていたハズだ。

 

 

 

 それでもオリガは――――――何も言わなかった。

 

 

 

 

 

「…………弱くてダサいのはオレも――ってことか」

 

 

 

 

 そして、今でも……何も言おうとしていない。

 

 自分が救われようだとか、救われたいだとか……これっぽちも考えていない。

 ただ、『人類の盾』として使い潰れるつもりだ。一人でも多くの人間が救われる時間を、稼ぐためだけの。

 

 ……使い捨てとしての、ままの。

 

 

 

 

 

 ならば、やることは決まっている。

 

 

「……悲しみだけじゃねーよ。これから……アイツは色々飲み干さなきゃいけないモンが死ぬ程あるんだ。

 自分自身だとか、存在価値だとか……色々あるんだよ」

 

 

 

 アーサーの神機――遠距離狙撃型の、神機。

 周囲に展開していたアラガミに近くされない為のシールド――ステルス・フィールドを解除する。

 

 同じ戦域に居たとしても自分やヘルマン、エミールといった『P-53型』でも神機は動かすことができる。

 それはこの戦闘中に証明したハズだ。

 つまり、偏食場パルスには影響範囲がある。そして、おそらくソレは……。

 

 

 

「だからさぁ……!!」

 

 

 

 

 

 感応種が持つ偏食場パルスが及ぶ範囲は、あくまで半径500メートル程。

 

 

 他の神機ならば何も出来なくなる距離。

 ……自分の神機は旧型、それも第一世代の銃型。近接戦にはとことん向かない。

 

 だが。

 

 

 アーサーはスコープを最大拡大値まで絞る。

 感応種がコレほど離れているにも関わらず――ほぼ間近で目視しているのとまったく変わらない感覚欺瞞。

 だが、実際はわずかな指の振動ですら、着弾点を狂わせる程の距離。

 

 イェン・ツィーの腕が、殴る前の予備動作を行おうとしている――。

 

 

 

 

 

「テメェ如きが……さわってんじゃねぇええ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前のイェン・ツィーの拳が抉れて、弾けとんだ。

 少し遅れてからの発砲音。

 

 何が起こったのかそこで初めて理解する。

 ……遠距離狙撃。しかも、音とコレだけ離れてくる、かなりの距離。

 

 

『反転でもう一撃! 来んぞ!!』

「……え? アーサーさん……?」

『ぼさっとすんな!!』

 

 

 言われた通り、イェン・ツィーの反転攻撃――もう一回殴りにかかってくる。

 だが、さっきほどの勢いも速度もない――十分に見切れる程度の拳。

 

「カウンターもらいです!!」

 

 前に出たオリガちゃんが盾を起動。

 ……バスターソードだけが使える簡易防御。更にアラガミから貰った衝撃を生かし刀身を反転させるカウンター攻撃をかます。

 

 ……ときに。ひとつ、異常が見えた。

 

 

 

 カウンターを出す前に……コアが、神機が――赤く、光った。

 

 

 

 

「……!?」

 

 

 そして、殴った後、赤い閃光が迸る。

 

 ソレは正面からイェン・ツィーの腹部を抉り……アラガミのコアをむき出しにする。

 

 

 

 

「い、今の!?」

「アーサーさんっ!!」

『外すかぁぁぁああああ!!』

 

 2発の連続発射。頭部に命中。結合崩壊を起こしたらしく、今度は再生しない。

 叫ぶ口がなくなれば――あの一点攻撃も、オウガテイルモドキの生成も不可能。

 

 今度こそ……と。神機をゼロスタンスにしてから、狙いをつける。

 

 

 

「どぉりゃぁあああああああああ!!」

 

 

 

 周囲のオラクル細胞を一気に凝集。剣がまるで風の様にそれを纏う――充填よし……踏み込んで、斬る。

 すれ違いざまに複数の斬撃を叩き込む居合い斬り。

 

 

 

 

 

 

 ブラッドアーツ――疾風ノ太刀・鉄。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今のって!? ね、ねぇ今のって!?」

「んー? そう言えば何か光りましたね~~……ま、いっか……。アーサーさん討伐完了です!! すぐ回収ポイントへ向かってください!!」

 

 オリガちゃん、華麗にスルーしてる……!?

 が、そうはさせない。絶対この子分かってるハズだ。

 

 だっていまの、どう見てもブラッドアーツだったじゃん……!?

 

 

『遠距離狙撃なんか久しぶりにやったー……コレ心臓に悪りぃなオイ! CPとブラッドー01、感応種討伐完了した! 撤退する! そちら状況は!?』

『こちらCP……ヘルマンさん、エミールさんも戦闘終了……?』

 

 

『ヘルマン殿!? 何ですか今の赤い光は!? からの連撃は!? ま、まさか……! ホールドの神が貴殿の神機に降臨してきたとでも言うのであろうかっ……!?』

『……? なにが起こったのか分からない……?』

 

「え? えぇ!? そ、そっちも!?」

 

 

 通信を聞く限り何かそっちにも何かあったらしい。

 ――おかしい、何かがおかしい。一体いつ!? どこで!? 何の接触が原因……。

 

 

 

 ……。

 

 

 ……そう言えば出撃前に、こいつらの神機のメンテナンスとアップデート、やったのうちのクソ兄貴だ。

 ……十中八九、なんかやらかしただろうクソ兄貴を、帰ったら絶対吊し上げる、と心に誓う。

 

 

 

『ブラッド-04。何が何だかオレにも分かるように教えてくれねーか? 何かウチの前衛たちに何かが起こってるみてーなんだけど……』

「すみません私にもわかりません!!」

『おい』

「ご、ごめんなさい! 何でもしますから命だけはぁっ!!」

『いや……別に分かんないならいいよ!? 仕方ないことじゃん!? そこまで謝る意味!?

 つーかブラッドー01応答してく……おい!? ジュリウスさん!?』

「え……!?」

 

 

 そういえばさっきから、隊長からの応答が来ていない……。

 

 

 ……考えてみれば、私たちが悠長に感応種相手にあーでもない、コーデモナイ、と戦闘できていたのは……。

 周囲のアラガミを、一手に他のチームが引き受けてくれていたから――だ。

 

 

 

 

 

『……こちら、ブラッドー01……。……――……』

「隊長!?」

『CPからブラッドー01へ……コレが最後です中型種3体! ジャミングが発生してます……おそらく――ラーヴァナです!! 移動可能な戦闘員はすぐに救助へ向かってください!! このアラガミは聴覚に優れるので撤退してもすぐに捕捉されます!!』

「そ……んな……!?」

 

 

 隊長からの通信は雑音しかもう聞こえてこない。

 ラーヴァナがどんなアラガミか知らないけど……そんなものが3体も出てくる状況を知り、目の前が暗くなる。

 

 

 

『こちらヘルマン、300秒粘れ――すぐ行く!』

『待たれよッ! この先の通路は塞がっているッ!! 直線移動はできないぞヘルマン殿!!』

『……』

 

 

「隊長!!――隊長!? ロミオ先輩! シエルちゃん!?」

『ジャミング発生中につき通信断絶です……これでは……最期の言葉すら聞くことも……』

「物騒なこと言わないで下さいフランさん! 何諦めてんですか!?」

『ですがもう無理……。バイタル情報も何もかも断絶……もうこの期に及んで投入できる戦力がカツカツです。』

「でも……!」

 

 

 隊長やロミオ先輩が死ぬわけない……ブラッドで1年も戦ってきたコンビがそう簡単に崩れる訳ない。

 ……シエルちゃんなんか、まだ新兵。それも初陣なのに……死ぬわけない……。

 

 私の――せい?

 

 私が――感応種討伐なんかやってた……から? だから仲間が……本当なら最優先で守らなきゃいけなかった仲間が……?

 

 もう何をしたらいいのか、何をすべきなのかが分からない。頭が完全にパニックになる。

 今からでも行くべきなのか――もう諦めた方が良いのか、そもそもロシアの回収部隊はいつ来るのか……。

 

 ……このラーヴァナ3体が突破してきたら――戦えるのか。

 

 そうじゃない! 隊長がそんな簡単にやられるわけがない。

 ……だって……!

 

 …………だって…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『諦めるのは早計ですよ……皆さん……?』

 

 

「ラケル先生……?」

 

 

 戦場に、女神の声が響き渡る。

 

 

 

『ふふふ……すこし『調整』に手間取りましたが……間に合ったようで何よりです……。親として、私の愛しい子供たちを、このような場所で……見捨てるわけにはいきません……ジュリウス……もう少し、待っていなさい。

 ……みんなで帰るのでしょう? 私たちの方舟――フライアに……』

 

「先生……」

 

 

『唯もよく頑張りました。さぞ怖かったことでしょう……でも、貴女は負けずに……己の義務と任務を果たしたことを、誇りなさい。もう大丈夫なのだから。

 

 

 ……救援部隊、降下開始。周囲にアラガミは居ません……ただ前方3体を殲滅なさい。

 

 

 ……さぁ……いってらっしゃい……? ……ギル』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 











 次回、ロシア編最終回になります。




 
 ↓↓↓こっから先全然関係ない&アニメ未視聴な人ネタバレ注意↓↓↓





 イロハ姉さぁああああああああああああん!!
 姉さぁあああああああああぁああん!!

 素晴らしかったよあの10話!! うわぁあああああああああ!!

 
 クソ……レンカGE2RBの聖域なんか見ちゃったらイロハ姉さん思い出して絶対泣き崩れちまうよ!! 

 みんなでピクニックしたかっただろうに……! 
 聖域のピクニックしたかっただろうに……!
 お姉さんもお父さんもあと3年(4年?)頑張れば何とかなったのにぃいい!

 あ、でも黒蛛びょ(ry

 素晴らしい10話だった。あとのこり3話。
 どう進むのか全然分からないあと3話。落ちるとこまで行ったからあとは覆すのみ。
 9話も素晴らしかったけど、軽く超えた10話でした! ありがとうufo……!
 ありがとうGE……! 生きろレンカぁぁぁ……!

 最終回はオウガテイルの大虐殺祭だって信じてます!!


 

 


 メテオライトに栄光あれ!!(爆死)



 



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